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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1241233
審判番号 不服2009-7930  
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-13 
確定日 2011-08-03 
事件の表示 特願2003-539142「ナノリソグラフィのための平行個別アドレス可能プローブ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 1日国際公開、WO03/36767、平成17年 3月10日国内公表、特表2005-507175〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成14年7月26日(パリ条約による優先権主張2001年7月26日、2001年12月7日 米国)の出願であって、平成21年1月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年4月13日付けで審判請求がされるとともに、手続補正がなされ、その後、当審から送付した審尋に対し、平成22年11月11日付けで回答書が提出されたものである。

平成21年4月13日付けの手続補正は、平成20年11月14日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項17?27を削除して、請求項28?31をそれぞれ補正後の請求項17?20としたものであるから、請求項の削除を目的とするものであって適法である。

そして、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年4月13日になされた手続補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】
基板へパターンを適用するためのナノリソグラフィ用の装置であって、前記装置が、
少なくとも1つのパターン化化合物と、
平行に配列された作動プローブのアレーを含み、
前記作動プローブの各々が、
カンチレバーと、
前記少なくとも1つのパターン化化合物の1つを前記基板へ適用するため前記カンチレバーの端に設けられた先端部と、
前記カンチレバーへ動作的に結合されるアクチュエータであって、印加された電流または電圧に応答して前記カンチレバーを移動し、前記先端部を前記基板に対して移動するアクチュエータと、
を含むことを特徴とする装置。」

2.引用刊行物

原査定の拒絶の理由において引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第00/41213号(以下「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(a)「 By the present invention, these two related but, with regard to scale and transport mechanism, disparate concepts have been merged to create "dip pen" nanolithography (DPN). DPN utilizes a scanning probe microscope (SPM) tip (e.g., an atomic force microscope (AFM) tip ) as a "nib" or "pen," a solid-state substrate (e.g., gold) as "paper," and molecules with a chemical affinity for the solid-state substrate as "ink." Capillary transport of molecules from the tip to the solid substrate is used in DPN to directly write patterns consisting of a relatively small collection of molecules in submicrometer dimensions.」(第1欄第17?24行)
(当審仮訳:本発明によれば、これらの2つは関連はするが、大きさと移動メカニズムに関しては異なっている概念を合わせて「ディップペン」ナノリソグラフィー(DPN)を創作する。DPNでは、「ペン先」又は「ペン」として走査プローブ顕微鏡(SPM)チップ(例えば原子間力顕微鏡(AFM)チップ)を、「紙」として固体基板(例えば金)を、「インク」として該固体基板に対する化学親和力を有する分子を使用する。DPNでは、チップから固体基板への分子の毛管移動を利用して、マイクロメートル以下の大きさの比較的小さな分子の集合からなるパターンを直接書き込む。)

(b)「 DPN utilizes a scanning probe microscope (SPM) tip. As used herein, the phrases "scanning probe microscope tip" and "SPM tip" refer to tips used in atomic scale imaging, including atomic force microscope (AFM) tips, near field scanning optical microscope (NSOM) tips, scanning tunneling microscope (STM) tips, and devices having similar properties. Many SPM tips are available commercially, and similar devices may be developed using the guidelines provided herein.
Most preferably, the SPM tip is an AFM tip. Any AFM tip can be used. Suitable AFM tips include those that are available commercially from, e.g., Park Scientific, Digital Instruments and Molecular Imaging.」(第6欄第16?24行)
(当審仮訳:DPNは走査プローブ顕微鏡(SPM)チップを利用する。本明細書に使用する場合、「走査プローブ顕微鏡チップ」及び「SPMチップ」というフレーズは、原子間力顕微鏡(AFM)チップを始めとする原子スケールイメージングに使用されるチップ、近視野走査光学顕微鏡(NSOM)チップ、走査トンネル顕微鏡(STM)チップ、及び同様な性質を有する装置を指す。多くのSPMは市販されており、本明細書において提供したガイドラインを用いて同様な装置を製作することが可能である。
より好ましくは、SPMチップはAFMチップである。任意のAFMチップを使用することができる。適当なAFMチップとしては、例えばPark Scientific, Digital Instruments及び Molecular Imagingから市販されているものが含まれる。)

(c)「 To perform DPN, the coated tip is brought into contact with a substrate. Both the patterning compound and a transport medium are necessary for DPN since the patterning compound is transported to the substrate by capillary transport (see Figure 1). The transport medium forms a meniscus which bridges the gap between the tip and the substrate (see Figure 1). Thus, the tip is "in contact" with the substrate when it is close enough so that this meniscus forms. Suitable transport media include water, hydrocarbons (e.g., hexane), and solvents in which the patterning compounds are soluble (e.g., the solvent used for coating the tip - see above). Faster writing with the tip can be accomplished by using the transport medium in which the patterning compound is most soluble.
Single tips can be used to write a pattern utilizing an AFM or similar device. As is known in the art, only some STM and NSOM tips can be used in an AFM, and STM and NSOM tips which can be used in an AFM are available commercially. Two or more different patterning compounds can be applied to the same substrate to form patterns (the same or different) of the different compounds by removing the first tip coated with a first patterning compound and replacing it with another tip coated with a different patterning compound. Alternatively, a plurality of tips can be used in a single device to write a plurality of patterns (the same pattern or different patterns) on a substrate using the same or different patterning compounds. See, e.g., U.S. Patent No. 5,666,190, which describes a device comprising multiple cantilevers and tips for patterning a substrate.」(第14欄第19行?第15欄第6行)
(当審仮訳:DPNを実施するために、被覆したチップを基板と接触させる。パターン化化合物は毛管移動により基板に移動されるため、DPNにはパターン化化合物と移動媒体の両者が必要である(図1参照)。移動媒体は、チップと基板とのギャップを架橋するメニスカスを形成する(図1参照)。従って、チップはこのメニスカスが生成するのに十分なほど近い場合、基板と「接触している状態」にある。ふさわしい移動媒体には、水、炭化水素(例えばヘキサン)、及びパターン化化合物が溶解可能な溶媒(例えば上で述べたチップの被覆に使用される溶媒)が挙げられる。パターン化化合物が最もよく溶解可能な溶媒を用いることによって、チップによるより速い書き込みが達成される。
AFM又は同様の装置を用いてパターンを書き込むために、単一のチップを用いることができる。当技術分野で周知なように、AFMにおいては一部のSTMとNSOMチップのみを用いることができ、AFMで使用可能なSTMとNSOMチップは市販されている。2又はそれ以上の異なるパターン化化合物を同じ基板に施して、第1のパターン化化合物で被覆された第1のチップを取り除き、異なるパターン化化合物で被覆された別のチップと置き換えることにより、各種化合物の(同じ又は異なる)パターンを形成することができる。代わりに、同じか異なるパターン化化合物を用いて複数のパターン(同じパターン又は異なるパターン)を基板に書き込むために、複数のチップを単一の装置内で用いることもできる。例えば、複数のカンチレバーと、基板にパターニングするチップを備えた装置について説明した米国特許第5,666,190号を参照されたい。)

(d)「 DPN was also used to prepare molecular dot features to demonstrate the diffusion properties of the "ink" (Figures 3A and 3B). The ODT-coated tip was brought into contact (set point = 1nN) with the Au substrate for a set period of time. For example, 0.66 μm, 0.88μm, and 1.6μm diameter ODT dots were generated by holding the tip in contact with the surface for 2, 4, and 16 minutes, respectively (left to right, Figure 3A). The uniform appearance of the dots likely reflects an even flow of ODT in all directions from the tip to the surface. Opposite contrast images were obtained by depositing dots of an alkanethiol derivative, 16-mercaptohexadecanoic acid in an analogous fashion (Figure 3B). This not only provides additional evidence that the molecules are being transported from the tip to the surface but also demonstrates the molecular generality of DPN.」(第21欄第9?19行)
(当審仮訳:DPNをさらに用いて分子ドット模様を形成して、「インク」の拡散特性を示した(図3A及び3B)。ODT被覆チップを所定期間Au基板と接触させた(設定点=1nN)。例えば、チップを2分、4分及び16分にわたって表面と接触させた状態に保持することで、それぞれ直径0.66μm、0.88μm及び1.6μmのODTドットを形成した(図3の左から右)。ドットが均一に見えるのは、チップから表面へと全ての方向でODTの流れが均等であることを反映しているものと考えられる。同様にして、アルカンチオール誘導体である16-メルカプトヘキサデカン酸のドットを堆積させることで、逆のコントラストの像が得られた(図3B)。これによって、分子がチップから表面に移動していることを示すさらなる証拠が得られるだけでなく、DPNが分子的に汎用性があることが示されている。)

(e)「WE CLAIM
1. A method of nanolithography comprising:
providing a substrate;
providing a scanning probe microscope tip;
coating the tip with a patterning compound; and
contacting the coated tip with the substrate so that the compound is applied to the substrate so as to produce a desired pattern.
(中略)
9. The method of Claim 1 wherein the tip is coated with the patterning compound by contacting the tip with a solution of the patterning compound one or more times.」(第34欄第2行?第35欄第16行)
(当審仮訳:請求項
1.ナノリソグラフィ法であって、
基板を提供する工程と、
走査プローブ顕微鏡チップを提供する工程と、
チップをパターン化化合物で被覆する工程と、
パターン化化合物を基板に施すことにより所望のパターンを生成すべく、被覆されたチップを基板と接触させる工程と
からなる方法。
(中略)
9.チップをパターン化化合物の溶液と、1回又は複数回接触させることによりチップがパターン化化合物により被覆される、請求項1に記載の方法。」

(f)第3図は以下のとおりである。


これらを踏まえると、引用刊行物には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「基板へパターンを書き込むためのナノリソグラフィ用の装置であって、前記装置が、
1又は2以上のパターン化化合物と、
かかるパターン化化合物を基板に書き込むためのDPNとしてSPMチップを利用し、かかるSPMチップが、
複数のカンチレバーと、
基板にパターニングするチップとを備えている
装置。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

本願発明における「基板へパターンを適用する」とは、本願の明細書の段落【0008】等を参酌すると、DPNによって基板をパターンに書き込むことを指しているから、引用発明における「基板へパターンを書き込む」は、本願発明の「基板へパターンを適用する」に相当する。
また、引用発明における「1又は2以上の異なるパターン化化合物」は、本願発明の「少なくとも1つのパターン化化合物」に相当する。
さらに、引用発明における「SPMチップ」と、本願発明の「少なくとも1つのパターン化化合物の1つを前記基板へ適用するため」の「先端部」は、いずれも「基板へパターン化化合物をパターニングするための部材」の点で共通する。

してみると、両者は、
「基板へパターンを適用するためのナノリソグラフィ用の装置であって、前記装置が、
少なくとも1つのパターン化化合物と、
カンチレバーと、
基板へパターン化化合物をパターニングするための部材と
を含む装置。」
の点で一致し、

以下の点で相違する。

・相違点1
基板へパターニングするための部材が、本願発明ではカンチレバーの端に設けられた先端部であるのに対し、引用発明では複数のカンチレバーと基板にパターニングするチップではあるが、両者の関係が不明である点。

・相違点2
本願発明は、カンチレバーに動作的に結合されるアクチュエータがあり、印加された電流又は電圧に応答してカンチレバーを移動して、カンチレバーの先端に設けられた先端部を基板に対して移動しているのに対し、引用発明は、カンチレバーを有しているものの、かかるカンチレバーを移動、動作させているのか、また、動作させている場合にはどのように動作させているのかについては不明である点。

・相違点3
本願発明は、カンチレバーと、カンチレバーの端に設けられた先端部と、アクチュエータを含む作動プローブを有し、かかる作動プローブが平行に配置されたアレーとなっているのに対し、引用発明は、カンチレバーを有しているものの、かかるカンチレバーを有する作動プローブについての記載はなく、それらの配列方向についても不明である点。

4.判断
上記相違点について検討する。

・相違点1について
引用発明には、DPNとして走査プローブ顕微鏡(SPM)チップを利用すること、及び、カンチレバーを用いることが記載されている。また、SPMチップにおいて、試料の表面を探針するために、カンチレバーを用いることは周知でもある。これらの事項から、基板にパターニングするための部材として、DPNを用いる場合には、SPMチップにおけるカンチレバーに設けるようにすることは、当業者が当然想到しうることであるといえる。また、その際にカンチレバーのうちのいずれの箇所に設けるかについて考えると、仮にレバーの中間部等に設けた場合には、カンチレバーを支持する箇所から見て、書き込みを行う箇所より先にあるレバー部は、書き込みに何ら寄与することはない無用な存在であり、チップ全体の小型化の観点からも、そのような不必要なレバー部を設けておくことは想定し難いものであるから、通常はレバーの一端にカンチレバーを支持する機構を設け、他端に書き込みを行う場所を設ける、すなわち基板にパターニングするための部材をカンチレバーの先端部に設けるようにすることは自然なことであるといえる。

・相違点2及び3について
相違点2及び3については併せて検討する。
まず、本願発明における「カンチレバーへ動作的に結合されるアクチュエータ」における「動作的に結合される」については必ずしも明確ではないが、原出願のClaim 1 を参照すると、当該記載に対応する記載として「an actuator operatively coupled to said cantilever」と記載されていることから、「カンチレバーを動作させることが可能なように結合されるアクチュエータ」といった意味であると解して以下の検討を行うこととする。
引用刊行物には、チップを2分、4分及び16分といった所定期間にわたって表面と接触させ、それぞれ直径0.66μm、0.88μm及び1.6μmのドットを形成することが記載されている。これらの記載事項から、チップと表面との接触時間が長くなるほどドットの直径が大きくなること、所望のドットの大きさを得るための表面との接触時間は定まっていることがわかるから、かかる引用刊行物の記載に接した当業者であれば、所望のドットの大きさを得るための所定期間にわたって、チップを表面と接触させ、所定期間後はチップを表面から離間させる、すなわち、チップを基板に対して法線方向に移動させることを読み取れるといえる。
ここで、相違点1について検討したように、引用発明のカンチレバーの先端部に、基板をパターニングするための部材、すなわちチップを設けることは、当業者が適宜容易になし得ることである。その場合に、チップを基板に対して移動させるためには、カンチレバーを移動させることとなるが、カンチレバーの移動方法として、個々のカンチレバーを動作させることが可能なようにそれぞれのカンチレバーにアクチュエータを結合させ、かかるアクチュエータに電流又は電圧を印加することによって、カンチレバーを移動させるようにすることは、周知(必要であれば、引用刊行物内において参照されたいとも記載されている、米国特許第5,666,190号等を参照)であり、引用発明に記載のカンチレバーについても、通常アクチュエータによって移動されているものといえる。
そうすると、カンチレバーと、カンチレバーの端に設けられた基板をパターニングするための部材である先端部と、カンチレバーを移動させるためのアクチュエータを備えたものが複数存在することとなる。ここで、本願発明の作動プローブは、「作動プローブの各々が、カンチレバーと、・・・先端部と、・・・アクチュエータと、を含む」と規定されていることから、引用発明をもとに構成された「カンチレバーと、カンチレバーの端に設けられた基板をパターニングするための部材である先端部と、カンチレバーを移動させるためのアクチュエータを備えたもの」は、本願発明の作動プローブと同様の構成を有しているものといえる。
次に、引用発明におけるカンチレバーを含んだ複数の作動プローブに相当するものの配列について検討すると、作動プローブに相当するものを配列するにあたっては、種々の配列方法が考えられるものであるが、カンチレバーの一端に基板をパターニングするための部材である先端部を設け、他端にカンチレバーを動作させるためのアクチュエータを設けるという構成を考慮すると、複数の作動プローブを配列するにあたっては、それぞれがばらばらの方向を向いているよりも、それぞれが平行に配列されていた方が書き込みの適切な制御が行えると考えるのが自然であり、逆にきちんと平行に配列させることを阻害する要因もないのであるから、複数の作動プローブを、平行に配列させてアレー状になるようにすることは、当業者が適宜選択しうることにすぎない。

また、本願発明が奏する効果についても、引用発明、引用刊行物に記載の事項及び周知技術から当業者が予測し得る域を超える程の格別顕著なものとは認められない。

したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.補正案について
請求人は平成22年11月11日提出の回答書において、以下の補正案を提示している(請求項1のみ)。

「〔請求項1〕
ナノリソグラフィのために、少なくとも1つのパターン化化合物(26)を基板(24)へ適用する装置(32、100)であって、当該装置は、
選択的に活性化される複数個の作動プローブ(38、54、72、104)からなるアレー(56、74)であって、当該作動プローブからなるアレーは、相互に平行に配列されているアレー(56、74)を含み、且つ、選択的に活性化される作動プローブのそれぞれは、
カンチレバー(50)と、
前記少なくとも1つのパターン化化合物の1つを前記基板へ適用するため前記カンチレバーの端部に置かれた先端部(20)であって、当該先端部(20)は、前記パターン化化合物で塗布されるように構成されている先端部(20)と、
前記カンチレバーへ操作可能に結合されるアクチュエータ(66、68、76)であって、当該印加された電流または電圧に応答して前記カンチレバーを移動し、前記先端部を前記アクチュエータは、印加される電流或いは電圧に応答して、当該カンチレバーを、当該先端部と当該基板との間の接触状態を制御する目的で、当該先端部が当該基板から離れる様に移動するアクチュエータであって、当該アクチュエータは、熱アクチュエータ或いは静電アクチュエータ(76)であるアクチュエータとから構成されている事を特徴とする装置。」

しかしながら、上記相違点2及び3の検討において述べたように、カンチレバーの移動方法として、個々のカンチレバーを動作させることが可能なようにそれぞれのカンチレバーにアクチュエータを結合させ、かかるアクチュエータに電流又は電圧を印加することによって、カンチレバーを移動させるようにすることが周知であることを考慮すると、上記補正案についても、引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-02 
結審通知日 2011-03-08 
審決日 2011-03-23 
出願番号 特願2003-539142(P2003-539142)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 秀樹  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 一宮 誠
柏崎 康司
発明の名称 ナノリソグラフィのための平行個別アドレス可能プローブ  
代理人 斉藤 武彦  

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