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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1242070
審判番号 不服2010-2144  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-02-01 
確定日 2011-08-18 
事件の表示 特願2006-147995「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月 6日出願公開、特開2007-313165〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成18年5月29日の出願であって、最初の拒絶理由通知に対応して平成21年6月3日に手続補正書が提出され、その後なされた拒絶査定に対し、平成22年2月1日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、手続補正がなされた。
審判合議体は、平成22年8月31日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から同年11月4日に回答書が提出された。
そして、審判合議体によって平成23年2月18日付けで、平成22年2月1日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶理由が通知され、これに対して平成23年4月21日に手続補正がなされた。

第二.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年4月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 左右一端側のヒンジにより筐体に開閉自在に装着された前面パネルを備え、該前面パネルの前面の上部に第1表示窓を、該第1表示窓の下側で前記前面パネルの上下中央の上側近傍に該第1表示窓よりも大きい第2表示窓を夫々を配置し、前記前面パネルの上部の前記第1表示窓の左右両側に上スピーカを、前記前面パネルの下部の左右両側に下スピーカを夫々配置し、演出画像を表示する表示手段を前記第2表示窓に対応して前記前面パネルの裏面に装着し、前記筐体内に前記表示手段の後方に略対応して主制御基板を備えた遊技機において、前記主制御基板からのコマンドにより、遊技状態に応じて前記表示手段の演出画像、前記スピーカの効果音を制御する演出制御基板を前記表示手段の裏面に装着し、前記前面パネルの前記ヒンジ側の一側縁と前記表示手段との間で前記前面パネルの裏面に形成された縦長状の配置部位に、前記演出制御基板の上下幅内に収まる縦長状の中継基板を設け、該中継基板の裏側に、左右方向に配置されたハーネスを介して前記演出制御基板に接続されたコネクタを上下方向の中間に、その上下両側にスピーカ用コネクタを夫々設け、前記中継基板の上下両側に前記ヒンジ側の一側縁に沿って前記前面パネルの裏面に配置されたスピーカ用のハーネスの内、前記上スピーカ用のハーネスを前記中継基板の上側の前記コネクタに、前記下スピーカ用のハーネスを前記中継基板の下側の前記コネクタに夫々接続したことを特徴とする遊技機。」

第三.特許要件(特許法第29条第2項)の検討
1.引用刊行物記載事項
審判合議体が通知した拒絶理由に引用された特開2006-34439号公報(以下「引用文献A」という。)には以下の事項が記載されている。

【0019】 図1において、本スロットマシン100は、遊技者に面するフロントドア101と、フロントドア101が開閉可能に取り付けられた後述の筐体102とを備えて構成されている。フロントドア101は、上部パネル部103と中部パネル104と下部パネル部105とを備え、全体的に金属製のフレーム(図示略)と硬質プラスチックで成形された前面パネルとで形成されることによって、機械的に強固な構造を有している。
上部パネル部は103には、上部ランプと呼ばれる演出用ランプ103aと、スピーカが取り付けられた放音部103b、103cと、液晶ディスプレイ等で形成された映像表示部103dとが設けられている。
【0020】 中部パネル部104には、複数個(本実施形態では3個)の回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置200が設けられる。なお、回胴リールR1,R2,R3の前面には、透明な硬質プラスチック板で形成された略長方形の透過窓WDが設けられ、これによって回胴リール装置200を外部から保護すると共に、遊技者が透過窓WDを介して回胴リールR1,R2,R3を見ることが可能となっている。
【0025】 次に、図2を参照して、フロントドア101の裏面構造と、筐体102の内部構造を概説する。なお、図3はフロントドア101を開錠して筐体102から開いた状態を表している。同図において、フロントドア101の裏面上部に、上述の放音部103b,103cを構成するスピーカSR1,SL2(図示しない)が設けられると共に、演出表示装置103bの裏面側にサブ制御基板300が取り付けられている。
【0028】 筐体102内には、主電源装置PWUと、ホッパ装置HPから溢れた遊技メダルを収容するための補助貯留部SHPと、状述の透過窓WDに対向する回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置200、回胴リール装置200の上方に主制御基板700、筐体102の内壁の一端に外部集中端子装置としての外部集中基板800が夫々取り付けられている。
【0040】 また、回胴装置基板900は、主制御基板700から各回転リールR1,R2,R3を停止させるべき制御信号が供給されると、ステッピングモータMR1,MR2,MR3をそれぞれ制動制御し、所定の停止時間内に各回転リールR1,R2,R3を停止させる。
サブ制御基板300は、演出用の上部ランプ103aと、スピーカSR1,SR2,SW1,SW2が接続され、主制御基板700から演出開始を示唆する制御信号が供給されると、これらの演出用の上部ランプ103a及びスピーカSR1,SR2,SW1,SW2を駆動することによって、遊技者の視覚と聴覚に訴える演出を行う。
【0041】 更に、サブ制御基板300は、映像表示制御基板600が接続され、主制御基板700から上述の演出開始を示唆する制御信号が供給されると、該当する動画像を表示させるための映像信号を生成し、映像表示部103dに出力する。映像表示部103dは、その供給された映像信号に基づく動画像を表示することにより、遊技者の視覚に訴える演出を行うようになっている。
【0045】 次に、本発明に係るサウンド回路を図4に示されるブロック図を参照して説明する。なお、本サウンド回路は、演出用の音楽等がデジタル化された音源データを音声信号に復調及び増幅する音源部110と、復調された音声信号をスピーカ(SR1,SR2,SW1,SW2)へ出力するための中継回路としての出力段部120とを備えて構成され、上述したサブ制御基板300に回路形成されている。
音源部110は、情報記憶媒体(又は情報記録媒体)としてのROM(Read Only Memory)111と、復調回路112と、D/A変換器113,114と、オーディオ増幅器115,116を備えて構成されている。
【0048】 次に、出力段部120は、増幅された左右それぞれの信号Sr,S1の低音域周波数成分をカットするハイパスフィルタ121,122を備えている。
ハイパスフィルタ121は、前段のオーディオ増幅器115が出力する右用の音声信号Srfをハイパスフィルタリング処理し、低音域周波数成分がカットされた音声信号Srhとして接続端子131へ出力する。
【0049】 また、ハイパスフィルタ122は、前段のオーディオ増幅器116が出力する左用の音声信号Slfをハイパスフィルタリング処理し、低音域周波数成分がカットされた音声信号Slhとして接続端子133へ出力する。
更に、出力段部120において、オーディオ増幅器115が出力する右用のフルレンジの音声信号Srfを接続端子132へ供給するための配線経路123と、オーディオ増幅器116が出力する左用のフルレンジの音声信号Slfを接続端子134へ供給するための配線経路124とが形成されている。
【0050】 次に、上述したスロットマシン100に、本サウンド回路を搭載した場合の動作例を図5を参照して説明する。ここで、図5は、スロットマシン100に取り付けられている4個のスピーカSR1,SR2,SW1,SW2が本サウンド回路に接続された回路構成を表すブロック図である。
なお、同図に示されるスピーカSR1は、スロットマシン100の上部パネル部103右側の放音部103cに、スピーカSR2は、上部パネル部103左側の放音部103bに、スピーカSW1は、下部パネル部105右側の放音部105cに、スピーカSW2は、下部パネル部105左側の放音部105cにそれぞれ取り付けられているものである。そして、スピーカSR1,SR2は、高音域に平坦な周波数特性を有するいわゆるツィータと呼ばれる高音域用スピーカであり、スピーカSW1,SW2は、低音域から中音域まで比較的広帯域の周波数特性を重視して形成されたフルレンジ対応の広音域スピーカである。
【0051】 図5において、スピーカSR1は、本サウンド回路の接続端子131に接続されハイパスフィルタリングされた右用の音声信号Srhが供給されて鳴動する。スピーカSW1は、本サウンド回路132に接続され右用のフルレンジの音声信号Srfが供給されて鳴動する。また、スピーカSR2は、本サウンド回路の接続端子133が接続されハイパスフィルタリングされた左用の音声信号Slhが供給されて鳴動し、スピーカSW2は、接続端子134に接続された左用のフルレンジの音声信号Slfが供給されて鳴動する。
このように、各スピーカSR1,SR2,SW1,SW2を本サウンド回路に接続することで、低音域から高音域にかけてほぼ平坦な周波数特性を有する遊技機における音響システムを実現することができる。
【0058】 次に、基板側接続端子が縦横方向に配置されている場合の実施形態について説明する。接続端子131?134は、図9に示されているように、サブ制御基板300上において、相互に隣接して縦横(Y軸方向、X軸方向)に配列された状態で設けられている。接続端子131?134は、単一のブロックに形成され、相互に一体化された基板側接続部4Bを構成している。基板側接続部4Bは、ケーブル側接続具5が嵌合される嵌合部41と、基板300に固定されている本体42とを有する。嵌合部41の端面には、4つの孔431,432,433,434をそれぞれ有する接続端子(図9中では、接続端子131にのみ符号を付し、他は、省略している)が4つ、所定の間隙441、442を介して配されている。孔431,432,433,434内には、導電材が配され、挿入された電極ピンと接触して、通電可能となるように構成されている。
上段でX軸方向に配置された2つの接続端子131,133は、スピーカSR1,SR2にそれぞれ接続される端子であり、下段でX軸方向に配置された2つの接続端子132,134は、スピーカSW1,SW2にそれぞれ接続される端子である。

引用文献Aにおける記載事項及び図面を総合的に勘案すれば、引用文献Aには、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 筐体102に開閉可能に取り付けられたフロントドア101は、上部パネル部103と中部パネル104と下部パネル部105とを備え、前記上部パネル部103には、スピーカSR1,SR2が取り付けられた左側及び右側の放音部103b、103cと、映像表示部103dとが設けられ、前記中部パネル部104には、3個の回胴リールR1,R2,R3を備えた回胴リール装置200と、前記回胴リールR1,R2,R3の前面に形成された略長方形の透過窓WDが設けられ、前記下部パネル部105には、スピーカSW1,SW2が取り付けられた左側及び右側の放音部105cが設けられ、前記筐体102内に前記回胴リール装置200の上方に主制御基板700が取り付けられているスロットマシン100において、
前記主制御基板700から演出開始を示唆する制御信号が供給されると、該当する動画像を表示させるための映像信号を生成し、前記映像表示部103dに出力するとともに、前記スピーカSR1,SR2,SW1,SW2を駆動するサブ制御基板300を前記映像表示部103dの裏面側に取り付け、
前記サブ制御基板300には、音源部110と、音声信号を前記スピーカSR1,SR2,SW1,SW2へ出力するための中継回路としての出力段部120とを備えて構成されるサウンド回路が回路形成されており、
前記出力段部120は、音声信号Srh,Srf,Slh,Slfを、それぞれ接続端子131,132,133,134へ出力し、上段に配置された前記接続端子131,133は、前記スピーカSR1,SR2にそれぞれ接続され、下段に配置された前記接続端子132,134は、スピーカSW1,SW2にそれぞれ接続されるスロットマシン100。」

2.引用発明と本願発明との対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「筐体102」は本願発明の「筐体」に相当し、以下同様に、
「フロントドア101」は「前面パネル」に、
「上部パネル部103と中部パネル104」は「前面パネルの上部」に、
「下部パネル部105」は「前面パネルの下部」に、
「スピーカSR1,SR2」は「上スピーカ」に、
「映像表示部103d」は「演出画像を表示する表示手段」に、
「略長方形の透過窓WD」は「第2表示窓」に、
「スピーカSW1,SW2」は「下スピーカ」に、
「主制御基板700」は「主制御基板」に、
「スロットマシン100」は「遊技機」に、
「演出開始を示唆する制御信号」は「コマンド」に、
「サブ制御基板300」は「演出制御基板」に、
「前記映像表示部103dの裏面側に取り付け」は「前記表示手段の裏面に装着し」に、
「接続端子131,132,133,134」は「スピーカ用コネクタ」に、
「上段に配置された前記接続端子131,133」は「上側の前記コネクタ」に、
「下段に配置された前記接続端子132,134」は「下側の前記コネクタ」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献Aの記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用文献Aの【図2】からみて、引用発明の「フロントドア101」は左右一端側に設けられたヒンジにより、筐体102に開閉可能に取り付けられているものと認められる。
また、引用発明の「映像表示部103d」が設けられる「上部パネル部103」の前面にも「透過窓WD」と同様の「映像表示部用窓」が設けられていることは明らかである。
そして、この「映像表示部用窓」は本願発明の「第1表示窓」に相当するとともに、「略長方形の透過窓WD」は「映像表示部用窓」の下側に配置されていることが引用文献Aの【図1】から明らかである。
さらに、引用文献Aの【図1】及び【図2】からみて、引用発明の「略長方形の透過窓WD」は「フロントドア101」の上下中央の上側近傍に配置され、かつ、「映像表示部用窓」よりも大きいこと、引用発明の「スピーカSR1,SR2」は「映像表示部103d」の左右両側に夫々配置され、「映像表示部103d」は「映像表示部用窓」に対応して「上部パネル部103」の裏面に装着されていること、及び引用発明の「主制御基板700」は「映像表示部103d」の後方に略対応して取り付けられていることが明らかである。
よって、引用発明と本願発明は“左右一端側のヒンジにより筐体に開閉自在に装着された前面パネルを備え、該前面パネルの前面の上部に第1表示窓を、該第1表示窓の下側で前記前面パネルの上下中央の上側近傍に該第1表示窓よりも大きい第2表示窓を夫々を配置し、前記前面パネルの上部の前記第1表示窓の左右両側に上スピーカを、前記前面パネルの下部の左右両側に下スピーカを夫々配置し、演出画像を表示する表示手段を表示窓に対応して前記前面パネルの裏面に装着し、前記筐体内に前記表示手段の後方に略対応して主制御基板を備えた遊技機”である点で共通している。

b.引用発明の「サブ制御基板300」は、「前記主制御基板700から演出開始を示唆する制御信号が供給されると、該当する動画像を表示させるための映像信号を生成し、前記映像表示部103dに出力するとともに、前記スピーカSR1,SR2,SW1,SW2を駆動する」ものであるところ、その「該当する動画像」が遊技状態に応じた演出画像であること、並びに「前記スピーカSR1,SR2,SW1,SW2」の駆動が遊技状態に応じて制御されることは当然のことである。
よって、引用発明の「サブ制御基板300」は、本願発明の「演出制御基板」が有する「前記主制御基板からのコマンドにより、遊技状態に応じて前記表示手段の演出画像、前記スピーカの効果音を制御する」に相当する機能を有するものであるといえる。

c.引用発明の「中継回路としての出力段部120」及び「接続端子131,132,133,134」は、「スピーカSR1,SR2,SW1,SW2」へ音声信号を出力するためのものであるから、引用発明と本願発明は、“音声信号中継部を設け、該音声信号中継部にスピーカ用コネクタを設けた”点で共通しているといえる。

d.引用発明の「上段に配置された前記接続端子131,133は、前記スピーカSR1,SR2にそれぞれ接続され、下段に配置された前記接続端子132,134は、スピーカSW1,SW2にそれぞれ接続される」のであるから、引用発明と本願発明は“前記上スピーカ用のハーネスを前記音声信号中継部の上側の前記コネクタに、前記下スピーカ用のハーネスを下側の前記コネクタに夫々接続した”点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「 左右一端側のヒンジにより筐体に開閉自在に装着された前面パネルを備え、該前面パネルの前面の上部に第1表示窓を、該第1表示窓の下側で前記前面パネルの上下中央の上側近傍に該第1表示窓よりも大きい第2表示窓を夫々を配置し、前記前面パネルの上部の前記第1表示窓の左右両側に上スピーカを、前記前面パネルの下部の左右両側に下スピーカを夫々配置し、演出画像を表示する表示手段を表示窓に対応して前記前面パネルの裏面に装着し、前記筐体内に前記表示手段の後方に略対応して主制御基板を備えた遊技機において、
前記主制御基板からのコマンドにより、遊技状態に応じて前記表示手段の演出画像、前記スピーカの効果音を制御する演出制御基板を前記表示手段の裏面に装着し、
音声信号中継部を設け、
該音声信号中継部にスピーカ用コネクタを設け、
前記上スピーカ用のハーネスを前記音声信号中継部の上側の前記コネクタに、前記下スピーカ用のハーネスを前記音声信号中継部の下側の前記コネクタに夫々接続した遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願発明の「遊技機」は、「演出画像を表示する表示手段を前記第2表示窓に対応して」装着しているのに対し、引用発明の「スロットマシン100」は、「映像表示部103d」を「映像表示部用窓」(本願発明の「第1表示窓」に相当)に対応して装着しており、「透過窓WD」(本願発明の「第2表示窓」に相当)に対応する位置には「3個の回胴リールR1,R2,R3」が設けられている点。

[相違点2]“音声信号中継部”に関して、本願発明は「前記前面パネルの前記ヒンジ側の一側縁と前記表示手段との間で前記前面パネルの裏面に形成された縦長状の配置部位に、前記演出制御基板の上下幅内に収まる縦長状の中継基板を設け、該中継基板の裏側に、左右方向に配置されたハーネスを介して前記演出制御基板に接続されたコネクタを上下方向の中間に、その上下両側にスピーカ用コネクタを夫々設け」ているのに対し、引用発明の「中継回路としての出力段部120」及び「接続端子131,132,133,134」は、「サブ制御基板300」に回路形成されている「サウンド回路」の構成の一部となっており、本願発明の「中継基板」のような構成ではない点。

[相違点3]本願発明は、「スピーカ用のハーネス」が、「前記中継基板の上下両側に前記ヒンジ側の一側縁に沿って前記前面パネルの裏面に配置された」ものであるのに対し、引用発明の「接続端子131,132,133,134」と「スピーカSR1,SR2,SW1,SW2」とを接続するハーネスの経路及び配置が明らかでない点。

3.当審の判断
[相違点1について]
演出画像を表示する表示手段を2つの表示窓のうちの下の表示窓に対応して前面パネルの裏面に装着する技術は、例えば特開2005-27707号公報(特に、段落【0200】及び【図1】)や特開2005-323937号公報(特に、段落【0041】及び【図1】)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。
よって、引用発明の映像表示部103d及びその裏面側に取り付けられたサブ制御基板300を「透過窓WD」に対応して「中部パネル104」の裏面に装着し、相違点1に係る本願発明のような構成とすることは、遊技機の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に想到し得る。
また、引用発明の映像表示部103d及びその裏面側に取り付けられたサブ制御基板300を「透過窓WD」に対応して「中部パネル104」の裏面に装着した場合、それらは回胴リールR1,R2,R3と比べて薄いため、その表示手段の筐体側にはスペースができる。
そして、そのスペースに主制御基板700を配置することは、当業者が適宜実施し得る設計的事項である。

[相違点2について]
スピーカ用の中継基板を遊技機開閉用のヒンジ側に配置すること、及びハーネスを介してサブ制御基板に接続することは、特開2003-245397号公報(以下「引用文献B」という。)又は特開2002-11201号公報(以下「引用文献C」という。)に記載されている(特に、引用文献Bの段落【0003】及び【図11】並びに引用文献Cの段落【0012】及び【図5】を参照)。
また、裏側にコネクタを有する縦長状の中継基板を用いることは、例えば特開平11-290526号公報(特に、段落【0027】【0028】及び【図3】)や特開2001-321526号公報(特に、段落【0015】及び【図3】)に記載されるように、遊技機の分野において従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)である。
そして、引用発明、引用文献B記載の技術及び引用文献C記載の技術は、いずれも遊技機のスピーカ制御に関するものである点で共通するとともに、遊技機内部における配線を短くすることや錯綜しないようにすることは当業者が通常考慮する事項である。
よって、引用発明に引用文献B記載の技術又は引用文献C記載の技術を適用するとともに周知技術2を合わせて採用し、引用発明の「中継回路としての出力段部120」及び「接続端子131,132,133,134」をサブ制御基板300から分離して、裏側にコネクタを有する縦長状の中継基板とするとともに、フロントドア101裏面のサブ制御基板300とフロントドア101開閉用ヒンジ側の一側縁との間に配置することは、当業者にとって格別困難なことではない。
さらに、縦長状の中継基板をそのような配置とした場合、中継基板の横にサブ制御基板300が存在するとともに、引用発明の接続端子は、上段に配置された接続端子131,133(スピーカSR1,SR2用)と、下段に配置された接続端子132,134(スピーカSW1,SW2用)よりなっているから、縦長状の中継基板の上側に接続端子131,133を、下側に接続端子132,134を設けるとともに、ハーネスを介してサブ制御基板300に接続されるコネクタを縦長状の中継基板の上下方向の中間に設けるのが最も自然である。
そうしてみると、引用発明、引用文献B記載の技術又は引用文献C記載の技術、及び周知技術2に基づいて、相違点2に係る本願発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点3について]
引用文献Bの段落【0003】には、サブ制御基板とスピーカ中継基板を接続する電線C_(3)を、扉体2の開閉を妨げないように、該扉体2の開閉側ではなく、ヒンジ連結側に沿って配置する旨記載されている。
また、引用文献Cの段落【0012】には、スピーカ12a,12bから延びる配線を、前面開閉枠4の上方左右裏面に取り付けられる効果音中継基板17a,17bに一旦接続し、さらに、前面枠3の裏面下部の効果音中継基板97に接続する旨記載され、かつ、【図1】からみてスピーカ12a及び効果音中継基板17aがヒンジ側に近いところに位置していることが分かるので、その配線は少なくとも前面枠3の裏面下部から効果音中継基板17aが取り付けられている高さのところまでは、ヒンジ側の一側縁近傍に上下方向に配置されているものと認められる。
そして、上記[相違点2について]で述べたように、引用発明の「中継回路としての出力段部120」及び「接続端子131,132,133,134」をサブ制御基板300から分離して、裏側にコネクタを有する縦長状の中継基板とするとともに、フロントドア101裏面のサブ制御基板300とフロントドア101開閉用ヒンジ側の一側縁との間に配置した場合に、縦長状の中継基板の上側に接続端子131,133を、下側に接続端子132,134を設けるのが最も自然であるから、接続端子131,133とスピーカSR1,SR2とを接続するハーネスは、中継基板の上側にヒンジ側の一側縁に沿って前記フロントドア101の裏面に配置され、接続端子132,134とスピーカSW1,SW2とを接続するハーネスは、中継基板の下側にヒンジ側の一側縁に沿って前記フロントドア101の裏面に配置されるのも、また自然の成り行きである。
よって、引用発明、引用文献B記載の技術又は引用文献C記載の技術、及び周知技術2に基づいて、相違点3に係る本願発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。

[相違点の判断のまとめ]
本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献B記載の技術及び周知技術1、2から、又は引用発明、引用文献C記載の技術及び周知技術1、2から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、引用文献B記載の技術及び周知技術1、2に基づいて、又は引用発明、引用文献C記載の技術及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第四.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献B記載の技術及び周知技術1、2に基づいて、又は引用発明、引用文献C記載の技術及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-16 
結審通知日 2011-06-21 
審決日 2011-07-05 
出願番号 特願2006-147995(P2006-147995)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
吉村 尚
発明の名称 遊技機  
代理人 谷藤 孝司  
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