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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1242262
審判番号 不服2008-12757  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-19 
確定日 2011-08-22 
事件の表示 特願2003-133823「自然言語理解システムに関するトレーニングデータの自動注釈付けのための方法およびユーザインターフェース」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月 8日出願公開、特開2004- 5648〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年5月12日(パリ条約による優先権主張2002年5月10日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成20年2月15日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年5月19日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.原査定の理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである(平成19年10月31日付け拒絶理由通知書より摘記)。
「2.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)特許請求の範囲第1項の記載では、如何なる『技術的思想』で提案された注釈を生成するのか、如何なる『技術的思想』でトレーニングするのか不明である。
(2)?(10)省略」

3.当審の判断
平成20年5月19日付けの手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。
「1つまたは複数のモデルを使用して入力された自然言語のデータを理解する自然言語理解(NLU)システムをトレーニングして、前記自然言語のデータに対応するコマンドを認識する性能を高めるために、注釈付けされたトレーニングデータを生成するための方法であって、前記1つまたは複数のモデルはコンピュータに入力される複数のコマンドを含み、前記トレーニングデータは複数の語句の単位からなり、前記注釈は前記語句の単位に対応するコマンドを示し、前記1つまたは複数のモデルは、記憶装置に記憶された制約の情報であって、前記語句の単位に前記注釈を付けるための品詞または意味に関する制約の情報を含み、前記コンピュータのプロセッサが、
前記1つまたは複数のモデルのトレーニングに使用する注釈が付けられていないトレーニングデータを入力するステップと、
前記NLUシステムのプログラムを実行することにより、前記1つまたは複数のモデルに含まれた制約の情報を使用して、前記トレーニングデータのそれぞれの語句の単位に対応するコマンドを示すために提案された注釈を生成するステップと、
前記提案された注釈を表示装置に表示するステップと、
入力装置を介して前記表示装置に表示された注釈の確認または修正のための入力を受けるステップと、
前記確認または修正の入力を受けた注釈を前記入力されたトレーニングデータのそれぞれの単位に付けて前記記憶装置に記憶するステップと、
前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップとを備えることを特徴とする方法。」

上記補正後の請求項1の記載において、当該発明が明確であるかどうかを検討するに、当審は、特に「前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップ」の記載により規定されるステップの内容が明確でなく、よって当該発明は明確でないと判断する。その理由は以下のとおり。

ア.上記「前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップ」なる記載では、そこでいう「1つまたは複数のモデル」が「トレーニング」される具体的な内容を特定することができないから、上記記載により規定されるステップの内容は明確でない。

ここで、「株式会社岩波書店 広辞苑第六版」によれば、「トレーニング」という用語については以下のように記載されている。
「トレーニング【training】
訓練。練習。鍛錬。『?に励む』」
上記記載によれば、「トレーニングする」は「訓練する」、「練習する」、「鍛錬する」との意味であると解され、その用語自体は明確であるといえるものの、「1つまたは複数のモデル」を、「『訓練する』、『練習する』、または『鍛錬する』」という記載からは、請求項1に記載されているコンピュータのプロセッサが、上記モデルに対して具体的にどのような処理を行うのか、またそれにより該モデルが具体的にどのような状態からどのような状態に変化するのかが明らかでなく、また当業者に自明な事項であるともいえない。

イ.次に、請求項1中の「前記1つまたは複数のモデルはコンピュータに入力される複数のコマンドを含み」との記載と、「前記1つまたは複数のモデルは、記憶装置に記憶された制約の情報であって、前記語句の単位に前記注釈を付けるための品詞または意味に関する制約の情報を含み」との記載によれば、本願請求項1でいう「1つまたは複数のモデル」は、「コマンド」及び「制約の情報」を含んだものであると解することができる。一方、請求項1中の「前記トレーニングデータは複数の語句の単位からなり」との記載と、「前記注釈は前記語句の単位に対応するコマンドを示し」との記載によれば、「注釈が付けられたトレーニングデータ」は、「語句の単位に対応するコマンドを示す情報が付けられた複数の語句の単位からなるデータ」であると解することができる。したがって、上記「前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップ」は、「語句の単位に対応するコマンドを示す情報が付けられた複数の語句の単位からなるデータ」を使用して、「コマンド及び制約の情報を含んだ、1つまたは複数のモデル」をトレーニングするという意に解することもできる。しかし、そのように解したとしても、請求項1に記載されているコンピュータのプロセッサが、上記モデルに対して具体的にどのような処理を行うのか、またそれにより該モデルが具体的にどのような状態からどのような状態に変化するのかは明らかでなく、また当業者に自明な事項であるともいえない。

ウ.さらに、請求項1の「1つまたは複数のモデルを使用して入力された自然言語のデータを理解する自然言語理解(NLU)システムをトレーニングして、前記自然言語のデータに対応するコマンドを認識する性能を高めるために、注釈付けされたトレーニングデータを生成するための方法であって」との記載によれば、請求項1に係る発明は「注釈付けされたトレーニングデータを生成する」発明であると解されるところ、この点と上記「前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップ」とが、どのような関係にあって整合するものであるのかも不明である。

エ.また、上記「前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップ」なる記載により規定されるステップの具体的処理内容が明らかでないという事情は、発明の詳細な説明を参酌しても変わらない。その理由は以下のとおりである。
発明の詳細な説明には、上記ステップに関連する記載として以下の記載がある。
「【0035】
ユーザが提案された注釈316を修正または検証して、修正済みまたは検証済みの注釈322を取得すると、修正済みまたは検証済みの注釈322は学習構成要素304に提供される。次に学習構成要素304は、修正済みまたは検証済み注釈322に基づいて、NLUシステム302で使用されるモデルをトレーニングまたは検証する。これは図3のブロック324で示されている。」

「【0057】
修正済みまたは検証済みの注釈322は保存され、学習構成要素304に提示される。これは図5Bのブロック416に示されている。学習構成要素304は、例示的には、新しく入力されたトレーニングデータ(修正済みまたは検証済みの注釈322など)に基づいてモデルを修正する、知られた学習アルゴリズムである。更新された言語モデルパラメータは図4のブロック420で示されており、それらパラメータを生成するプロセスは、図5Bのブロック422で示されている。」

上記記載及び関連する図面である図3、図4、及び図5Bからは、学習構成要素が、注釈に基づいて、モデルをトレーニング、検証、または修正する、「知られた学習アルゴリズム」であることが把握できるにすぎず、コンピュータのプロセッサが、上記モデルに対して具体的にどのような処理を行うのか、またそれにより該モデルが具体的にどのような状態からどのような状態に変化するのかは明らかでなく、モデルをトレーニングすることの具体的処理内容は上記記載によっても不明であることに変わりはない。
したがって、発明の詳細な説明を参酌しても、上記「前記注釈が付けられたトレーニングデータを使用して前記1つまたは複数のモデルをトレーニングするステップ」の記載により規定されるステップの内容は依然として明確でない。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は明確でない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第36条第6項第2号に規定される要件を満たしていないので拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-03-25 
結審通知日 2011-04-01 
審決日 2011-04-12 
出願番号 特願2003-133823(P2003-133823)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 成瀬 博之和田 財太  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 池田 聡史
岩崎 伸二
発明の名称 自然言語理解システムに関するトレーニングデータの自動注釈付けのための方法およびユーザインターフェース  
復代理人 窪田 郁大  
代理人 阿部 和夫  
代理人 谷 義一  
復代理人 濱中 淳宏  
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