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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1242354 |
審判番号 | 不服2010-605 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-13 |
確定日 | 2011-08-25 |
事件の表示 | 特願2004- 38719「画像入力装置および画像出力装置および画像形成システムおよび画像入力装置の制御方法および画像出力装置の制御方法および画像形成システムの制御方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月 7日出願公開、特開2004-282721〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年2月16日(優先権主張 平成15年2月28日)の出願であって、平成21年10月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対 し、平成22年1月13日に拒絶査定に対する審判請求がなされるととも に、手続補正がなされたものである。 そして、平成23年3月25日付けで当審により拒絶理由が通知され、これに対して、平成23年5月30日に意見書及び手続補正書が提出された。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年5月30日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「ネットワークを介して接続された印刷装置とデータ通信可能な画像形成装置において、 少なくとも1つのページが他のページとは向きが異なる複数ページからなる原稿を読み取る読み取り手段と、 前記読み取り手段によって読み取られた原稿に基づく画像データを自装置が備える印刷手段を用いて印刷する第1のモードと、前記読み取り手段に よって読み取られた原稿に基づく画像データを前記ネットワークを介して接続された印刷装置を用いて印刷する第2のモードの何れかを選択する選択手段と、 前記読み取り手段により読み取られた原稿に基づく複数ページの画像データを記憶する記憶手段と、 前記ページ毎に画像データの向きを検知する検知手段と、 印刷対象の各ページへのページ印字処理を指定する指定手段と、 前記記憶された画像データを読み出して、前記検知手段によって検知された向きを示す情報に基づいて画像データの回転処理を行い、ページ番号を合成することによって出力画像を生成する生成手段と、 前記選択手段によって第1のモードが選択された場合、前記生成手段に よって生成された出力画像を自装置が備える印刷手段に出力する第1の出力手段と、 前記選択手段によって第2のモードが選択された場合、前記検知手段に よって検知されたページ毎に画像データの向きを示す向き情報と、ページ印字処理の指定と、前記記憶手段に記憶された画像データとを、前記ネット ワークを介して前記印刷装置へ出力する第2の出力手段と、 を有することを特徴とする画像形成装置。」 3.引用例 平成23年3月25日付けで当審により通知された拒絶理由に引用された特開2002-77492号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がなされている。 (1)「【請求項1】 原稿画像の画像データを入力する入力手段と、画像データを出力する出力手段とを有し、通信媒体を介して他の画像入出力装置に接続される画像入出力装置であって、 前記入力手段により入力された画像データと該入力された画像データに関する画像付随情報とを前記他の画像入出力装置へ送信する送信手段と、 前記他の画像入出力装置から画像データ及び画像付随情報を受信する受信手段と、 前記受信手段によって受信された画像データ及び画像付随情報に基づき前記出力手段に対して画像出力を行わせる出力制御手段とを有することを特徴とする画像入出力装置。 【請求項2】 前記画像付随情報は、対応の画像データが原稿の表面ページに関わる画像データであるか、または裏面ページに関わる画像データであるかを示す情報であり、 前記出力制御手段は、前記画像付随情報を基に、記録媒体に対する画像の出力位置を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像入出力装置。 【請求項3】 前記出力手段はプリンタであり、 前記出力制御手段は、前記画像付随情報を基に、印刷シートに対する画像の印刷位置を調整することを特徴とする請求項2に記載の画像入出力装置。 …… 【請求項9】 前記出力手段は、複数の給紙段を備えたプリンタであり、 前記出力制御手段は、前記画像付随情報を基に、給紙段選択、印刷シート選択、回転制御のうち少なくとも1つを行うことを特徴とする請求項8に記載の画像入出力装置。」 (2)「【請求項61】 スキャナ部、プリンタ部、記憶部、画像処理部、操作部を有し、他の画像入出力装置にネットワークを介して接続される画像入出力装置において、前記スキャナ部により入力した画像データを前記他の画像入出力装置に出力させる画像入出力方法をプログラムコードとして記憶した、コンピュータにより読み出し可能な記憶媒体であって、 前記操作部により入力されたコピー設定情報に基づき生成されるジョブを実行するジョブ実行コードと、 前記ジョブの実行に基づき、前記スキャナ部が画像データを入力し、前記画像処理部が該入力した画像データをTIFFファイル形式に変換し、前記記憶部が該変換されたTIFFファイルを記憶するようにデバイス制御を行うデバイス制御コードと、 前記記憶部に格納された前記TIFFファイルを前記他の画像入出力装置へ送信するネットワーク制御コードとを有し、 前記デバイス制御コードは、前記TIFFファイル形式への変換の際に、デバイス制御情報及び前記コピー設定情報を前記TIFFファイルのヘッダ部に付加し、 前記ネットワーク制御コードは、前記デバイス制御情報及び前記コピー設定情報がヘッダ部に付加されたTIFFファイルを前記他の画像入出力装置に送信することを特徴とする記憶媒体。」 (3)「【0002】 【従来の技術】従来、コントローラユニットを介してネットワーク等の伝送媒体によって画像入力装置(例えばスキャナ)と画像出力装置(例えばプリンタ)とが接続された画像形成システム(以下「リモートコピーシステム」という)や、生産性を高めるため、単一の画像入力装置から複数の画像出力装置へ画像伝送を行う画像形成システム(以下「重連コピーシステム」という)が考案されている。 【0003】また近年、単独の画像入出力装置(例えば複写機)の機能が格段に向上しており、単独の画像入出力装置で行うローカルコピーと同等の機能や性能がリモートコピーシステムや重連コピーシステムにも求められている。 【0004】通常、画像入出力装置で行われるローカルコピーでは、原稿スキャン時に決定された、画像に付随する情報(以下「画像付随情報」とい う)がプリンタ側に伝えられ、プリンタ側はこの画像付随情報を基に印刷の制御を行っている。画像付随情報としては、例えばスキャン画像において画像の上下左右に付加される余白量(マージン)、文字や写真などの原稿種 別、原稿のサイズ、原稿の表裏を識別する情報、ズーム微調整により画像サイズが補正されている場合における補正前の画像サイズ等である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リモートコピーシステムや重連コピーシステムにおいては、ローカルコピーと同等の機能や性能を持ちたくとも、画像出力装置側に所要の画像付随情報が不足していて、ローカルコピーと同等の出力画像を得ることができないという問題があった。 【0006】本発明は、上述した問題点を解決するためのものであり、リ モートコピーシステムや重連コピーシステムにおいてもローカルコピーと同等の画像出力結果を画像出力装置側で得ることを可能とした画像入出力装 置、画像入出力方法、画像入出力システム、及び記憶媒体を提供することを目的とする。」 (4)「【0031】図2は、画像入出力装置200のコントローラユニット2000の内部構成を示すブロック図である。 【0032】コントローラユニット2000は、画像入力デバイスであるスキャナ2070にバス2071を介して接続し、また画像出力デバイスであるプリンタ2095にバス2096を介して接続する。一方でコントローラユニット2000は、LAN2011や公衆回線(WAN)2051と接続することで、画像情報やデバイス情報の入出力制御を行う。 【0033】CPU2001はシステム全体を制御するコントローラであ る。RAM2002はCPU2001が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM2003はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD2004はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データを格納する。 …… 【0036】画像バス2008上に配置される各デバイスにおいて、ラスタイメージプロセッサ(RIP)2060はPDLコードをビットマップイ メージに展開する。デバイスI/F部2020は、スキャナ2070やプリンタ2095とコントローラユニット2000とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部2080は、入力画像 データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部2090は、プリント出力画像データに対して、プリンタ2095に合った補正、解像度変換等を行う。画像回転処理部2030は画像データの回転を行う。画像圧縮処理部2040は、多値画像データに対してJPEGの圧縮伸張処理を行 い、また2値画像画像データに対してJBIG、MMR、MHの圧縮伸張処理を行う。」 (5)「【0081】画像入出力装置200では、LAN2011で接続された遠方の画像入出力装置220,230の画像出力装置(プリンタ2295,2395)にそれぞれ出力すること(リモートコピー)や、同一画像を画像入出力装置220,230の画像出力装置(プリンタ2295,2395)に同時に印刷させるカスケードコピーを行うことができるが、初期状態としては自機への画像出力(ローカルコピー)を行う設定となっている。 ローカルコピーを行うか、リモートコピーを行うか、カスケードコピーを行うかといった各種の動作モードの設定を行うことに応じて、動作モードの設定状況を確認する為の表示が、表示エリア3105に行われる。また、3108は画像出力濃度の設定を行う為のソフトキー群である。」 (6)「【0139】次に、図1に示した画像形成システムにおいて行われるリモートコピーの処理について、図23を参照して説明する。 【0140】図23は、画像形成システムにおいて行われるリモートコピーの処理の手順を示すフローチャートである。ここで、画像入出力装置200をローカル側とし、画像入出力装置220をリモート側とする。 …… 【0145】そして、RAM2002に蓄積されたスキャン画像をTIFFファイルに変換してHDD2004に格納する。このときTIFFファイルのヘッダ部には、予め通知を受けていたコピー設定情報(図21のとじ代情報等)と、ドキュメント処理部による処理により得られた情報(原稿の表裏情報等)とが、画像付随情報として付加される(S2305)。 【0146】HDD2004にスキャン画像を格納し終わると、コピーアプリケーション部4020は、ネットワークアプリケーション部4120に、HDD2004に格納されたファイルの送信を依頼する。依頼を受けたネットワークアプリケーション部4120は、画像付随情報が付加されたTIFFファイルをリモート側(画像入出力装置220)に送信する(S230 6)。」 したがって、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「スキャナ部、プリンタ部、記憶部、画像処理部、操作部を有し、他の画像入出力装置にネットワークを介して接続される画像入出力装置において、 ローカルコピーを行うか、リモートコピーを行うかといった各種の動作 モードの設定を行い、 原稿のサイズ、原稿の表裏を識別する情報等の画像付随情報を原稿スキャン時に決定し、 画像付随情報を基に、給紙段選択、印刷シート選択、回転制御等を行い、 リモートコピーシステムにおいてもローカルコピーと同等の画像出力結果を他の画像出力装置側で得ることを可能とするため、画像データと該入力された画像データに関する画像付随情報とを他の画像入出力装置へ送信する送信手段と、 を有することを特徴とする画像入出力装置。」 4.対比 引用発明は、スキャナ部、プリンタ部、記憶部、画像処理部、操作部を有し、他の画像入出力装置にネットワークを介して接続される画像入出力装置であるから、ネットワークを介して接続された印刷装置とデータ通信可能な画像形成装置といえる点で、本願発明と共通する。 引用発明は、スキャナ部を有するものであるから、原稿を読み取る機能を有する点で、本願発明と共通する。 引用発明は、ローカルコピーを行うか、リモートコピーを行うかといった各種の動作モードの設定を行うものであるから、本願発明と同様に、読み取られた原稿に基づく画像データを自装置が備える印刷手段を用いて印刷する第1のモードと、読み取られた原稿に基づく画像データをネットワークを介して接続された印刷装置を用いて印刷する第2のモードの何れかを選択する機能を有するものである。 引用発明は、記憶部を有するものであるから、本願発明と同様に、読み取られた原稿に基づく複数ページの画像データを記憶する機能を有することは明らかである。 本願発明において、読み取られた原稿のページ毎に画像データの向きを検知することも、引用発明において、原稿のサイズ、原稿の表裏を識別する情報等の画像付随情報を原稿スキャン時に決定することも、画像データに関する画像付随情報を検知することといえる。 引用発明は、画像処理部を有し、画像付随情報を基に、給紙段選択、印刷シート選択、回転制御等を行うものであるから、記憶された画像データを読み出して、検知された画像付随情報に基づいて出力画像を生成する点で、本願発明と共通する。 引用発明は、第1のモードといえるローカルコピーを行う動作モードの設定がされた場合、生成された出力画像を自装置が備える印刷手段に出力する機能を有する点で、本願発明と共通する。 引用発明の、リモートコピーシステムにおいてもローカルコピーと同等の画像出力結果を他の画像出力装置側で得ることを可能とするため、画像データと該入力された画像データに関する画像付随情報とを他の画像入出力装置へ送信する送信手段と、本願発明の「第2の出力手段」とは、第2のモードが選択された場合、検知された画像データに関する画像付随情報と、記憶手段に記憶された画像データとを、ネットワークを介して印刷装置へ出力する機能の点で共通するといえる。 したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、次の点で一致する。 「ネットワークを介して接続された印刷装置とデータ通信可能な画像形成装置において、 原稿を読み取る読み取り手段と、 前記読み取り手段によって読み取られた原稿に基づく画像データを自装置が備える印刷手段を用いて印刷する第1のモードと、前記読み取り手段に よって読み取られた原稿に基づく画像データを前記ネットワークを介して接続された印刷装置を用いて印刷する第2のモードの何れかを選択する選択手段と、 前記読み取り手段により読み取られた原稿に基づく複数ページの画像データを記憶する記憶手段と、 画像データに関する画像付随情報を検知する検知手段と、 前記記憶された画像データを読み出して、前記検知手段によって検知され画像付随情報に基づいて出力画像を生成する生成手段と、 前記選択手段によって第1のモードが選択された場合、前記生成手段に よって生成された出力画像を自装置が備える印刷手段に出力する第1の出力手段と、 前記選択手段によって第2のモードが選択された場合、前記検知手段に よって検知された画像付随情報と、前記記憶手段に記憶された画像データとを、前記ネットワークを介して前記印刷装置へ出力する第2の出力手段と、 を有することを特徴とする画像形成装置。」 また次の点で相違する。 相違点1 本願発明は、読み取り手段が、「少なくとも1つのページが他のページとは向きが異なる複数ページからなる原稿」を読み取り、検知手段が、画像 データに関する画像付随情報として、「前記ページ毎に画像データの向き」を検知し、生成手段が「前記検知手段によって検知された向きを示す情報に基づいて画像データの回転処理」を行い、第2の出力手段が「前記検知手段によって検知されたページ毎に画像データの向きを示す向き情報」も出力するものであるのに対して、引用発明は、「少なくとも1つのページが他の ページとは向きが異なる複数ページからなる原稿」の「前記ページ毎に画像データの向き」を検知し、それに基づく回転処理及びその情報の出力についての特定がない点。 相違点2 本願発明は、「印刷対象の各ページへのページ印字処理を指定する指定手段」を有し、生成手段が「ページ番号を合成することによって出力画像を生成」し、第2の出力手段が「ページ印字処理の指定」を出力するのに対し て、引用発明は、「ページ印字処理」に関する特定がない点。 5.相違点に対する判断 相違点1について 引用発明は、画像データに関する画像付随情報として、原稿の表裏を識別する情報を含むものであり、画像データが、表面を向いている原稿を読み 取ったものか裏面を向いている原稿を読み取ったものかを示すもので、本願発明の「少なくとも1つのページが他のページとは向きが異なる複数ページからなる原稿」の向きが、具体的には「例えば、図28に示すように、A4サイズで且つ1頁目の原稿と3頁目の原稿が下向き(倒立)状態で2頁目の原稿が上向き(正立)状態の3ページ分の原稿からなるジョブAを、…」(本願明細書の段落【0193】)とあるものとは異なるが、原稿の向きという点では類似したものである。 また、引用発明は、原稿の向きに応じたものではないが、回転制御は行うものである。 そして、例えば、平成23年3月25日付けで当審により通知された拒絶理由に引用された特開平10-117281号公報に示されているように、原稿画像の方向検知結果に対して、所定の回転処理を行い、出力画像の方向をそろえる画像形成装置は、よく知られた周知のものである。 したがって、引用発明において、ローカルコピーの場合に、原稿画像の方向検知結果に対して、所定の回転処理を行い、出力画像の方向をそろえることに格別の点はないし、リモートコピーシステムの場合においてもローカルコピーと同等の画像出力結果を他の画像出力装置側で得ることを可能とするため、画像データと、該入力された画像データに関する画像付随情報である原稿画像の方向検知結果とを、他の画像入出力装置へ送信することにも困難な点はないから、引用発明において相違点1を本願発明のようにすること は、当業者が容易になしえることである。 相違点2について 「ページ印字処理」は例を挙げるまでもなく周知の処理であり、引用発明において、ローカルコピーの場合に、本願発明と同様に、「印刷対象の各 ページへのページ印字処理を指定」し、「ページ番号を合成することによって出力画像を生成」することに格別の点はないし、リモートコピーシステムの場合においてもローカルコピーと同等の画像出力結果を他の画像出力装置側で得ることを可能とするため、画像データと、「ページ印字処理の指定」とを、他の画像入出力装置へ送信することにも困難な点はないから、引用発明において相違点2を本願発明のようにすることは、当業者が容易になしえることである。 なお、平成23年5月30日付けの意見書には、以下のように記載されている。 「(3)本願発明と引用文献との対比説明 …… しかしながら、出願人はこの認定には同意できません。そして、本願請求項1の発明は、引用文献1及び2から容易に想到されるものではありませ ん。 第一に、審判官殿が認定した“「画像付随情報」に原稿画像の方向検知結果を含めること”自体が、当業者にとって容易とは言えないと考えます。 引用文献1における「画像付随情報」は、段落0004にその具体例が記述されており、画像付随情報とは例えば、スキャン画像において画像の上下左右に付加される余白量(マージン)、文字や写真などの原稿種別、原稿のサイズ、原稿の表裏を識別する情報、ズーム微調整により画像サイズが補正されている場合における補正前の画像サイズ等です。 これらの情報は全 て、複写処理を行うにあたってその画像データを生成するために必要な情報であり、複写処理を行った結果に反映される情報です。 これに対して本願請求項1の「第2の出力手段」で出力される情報は、 「画像データの向きを示す向き情報」です。この情報は、複写処理を行うにあたってその結果に必ずしも影響を与えるとは言えない情報です。即ち、向きが上下逆さまな複写結果が得られたところで、その用紙をユーザが反転させれば問題ないのであり、後からユーザがそのような作業を行うことを条件として無視できる情報だと言えます。 このように、複写処理を行うにあたって“必ずしも必要ではない情報”である「画像データの向きを示す向き情報」を、複写処理の画像データを生成するために必要な情報を定義した「画像付随情報」に含めることは、当業者にとって決して容易とは言えないと考えます。 そして、本願請求項1の「画像データの向きを示す向き情報」が“必要な情報”となるのは、その複写処理においてページ印字処理が指定されている場合であります。ページ印字処理では、画像データの向きに従って回転処理を行い、正しい位置にページ番号を印刷する必要があるからです。 しかしながら引用文献1では、本願請求項1の「画像データの向きを示す向き情報」が必要となる「ページ印字の処理」について何も開示されていません。つまり引用文献1には、本願請求項1の「画像データの向きを示す向き情報」が必要になる場合がそもそも想定されていないのです。従って引用文献1には、当業者が「画像データの向きを示す向き情報」を複写処理の画像データを生成するために必要な情報を定義した「画像付随情報」に含めようとする動機付けとなる記載もありません。 第2に、“原稿画像の方向検知結果に対して、所定の回転処理を行うローカルコピーの機能を、リモートコピーシステムで可能とすることは、当業者が当然想起する課題”ではないと考えます。 上述した理由から、方向を検知して回転処理を行うことは、複写処理において必ずしも必要な処理ではありません。従って必ずしも必要ではないローカルコピーの機能を、リモートコピーシステムで可能にするという課題は、当業者が当然想起する課題であるとは言えないと思料します。 上述したように、方向を検知して回転処理を行うことが必要になるのは、ページ印字処理が指定されている場合であります。しなしながら引用文献1や引用文献2の何れにも、ページ印字処理を行う場合が何ら想定されていません。したがって、上記審判官殿の認定には同意できず、“原稿画像の方向検知結果に対して、所定の回転処理を行うローカルコピーの機能を、リモートコピーシステムで可能とすることは、当業者が当然想起する課題”であるとは言えないものと考えます。」 「向きが上下逆さまな複写結果が得られたところで、その用紙をユーザが反転させれば問題ないのであり、後からユーザがそのような作業を行うことを条件として無視できる情報だと言えます。」としているが、向きが上下逆さまな複写結果の用紙をユーザが反転させることなく、複写結果の向きがそろっていた方がよいことはもちろんである。 このことは、「しなしながら引用文献1や引用文献2の何れにも、ページ印字処理を行う場合が何ら想定されていません。」とされる引用文献2(特開平10-117281号公報)に、ページ印字処理を行うことなく、原稿画像の方向検知結果に対して、所定の回転処理を行い、出力画像の方向をそろえることが示されていることからも明らかである。 また、「方向を検知して回転処理を行うことが必要になるのは、ページ印字処理が指定されている場合であります。」としているが、請求項3に「前記指定手段によって、前記ページ印字処理が指定されなかった場合、前記画像処理手段は、前記回転処理を行わないことを特徴とする請求項2記載の画像形成システム。」と記載されているものの、「回転処理」が必要になるのは「ページ印字処理」が指定されている場合で、「ページ印字処理」が指定されていない場合は「回転処理」が必要ないというような、「回転処理」と「ページ印字処理」との関係を特定する事項は請求項1には記載されていない。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-14 |
結審通知日 | 2011-06-28 |
審決日 | 2011-07-11 |
出願番号 | 特願2004-38719(P2004-38719) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大野 雅宏、松尾 淳一 |
特許庁審判長 |
加藤 恵一 |
特許庁審判官 |
古川 哲也 吉村 博之 |
発明の名称 | 画像入力装置および画像出力装置および画像形成システムおよび画像入力装置の制御方法および画像出力装置の制御方法および画像形成システムの制御方法およびプログラム |
代理人 | 水垣 親房 |