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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B
管理番号 1242372
審判番号 不服2010-14479  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-30 
確定日 2011-08-25 
事件の表示 特願2007- 95248「脚部トレーニング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月19日出願公開、特開2007-181731〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2004年5月21日(優先権主張平成15年5月21日)を国際出願日とする出願の一部を平成19年3月30日に新たな特許出願としたものであって、平成22年2月1日に手続補正がなされ、同年3月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月30日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、当審における平成22年10月13日付け審尋に対して、同年12月20日付けで回答書を提出している。

第2 平成22年6月30日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成22年6月30日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成22年6月30日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項1に、
「定位置に設置される基台と、使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する支持部と、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する結合機構とを含み、上記支持部は、使用者の足を載せる踏板を含むことを特徴とする脚部トレーニング装置。」とあったものを、

「定位置に設置される基台と、使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する支持部と、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する結合機構とを含み、上記支持部は、使用者の足を載せる踏板を含むとともに、駆動手段により駆動されるものであることを特徴とする脚部トレーニング装置。」とする補正を含むものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(2)上記(1)の本件補正後の請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「支持部」について、「駆動手段により駆動されるものである」ことを限定するものである。

2 本件補正の目的
上記1(2)のとおり、上記1(1)の本件補正後の請求項1に係る本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3 刊行物の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された「本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である英国特許出願公開第2352627号明細書(以下「引用例1」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「(54) Abstract Title
Therapeutic seating system

(57) A therapeutic seating system comprises a base 17, (101, Fig. 2) adapted to support a seat 11, (110, Fig. 2), wherein a spacer member is provided to maintain the seat and the base in a vertically spaced apart relationship, the spacer member comprising a resiliently deflectable portion which facilitates forward/backward and/or side-to-side movement of the seat with respect to the base. The deflectable portion is preferably a coil spring 15, (120, Fig. 2) or a resilient rod. The seating system may be configured as a stool 10 having one or more ties 22-24 extending between the seat and the base to limit the amount of movement possible. The base may also comprise retaining straps 20-21 to secure the feet of a user. Alternatively, the seating system may be in the form of an armchair (100, Fig. 2), wherein the base may include an upstanding back support (102, Fig. 2) with armrests (103-104, Fig. 2).」(フロントページ下欄1?12行)
(日本語訳)
「(54)要約タイトル
治療座位保持装置

(57) シート11 (110、図2)を支持するように適合されているベース(17) (101、図2)を含む治療座位保持装置であって、それにおいてシートとベースを垂直方向に離れた関係に維持するためにスペーサー部材が設けられているもの。このスペーサー部材は、ベースとの関係における前進/後退および/または横方向のシートの運動を促進する弾性的に曲がる部分を含んでいる。この曲がる部分は、コイル・スプリング15 (120、図2)または弾性をもつ棒とすることが望ましい。この座位保持装置は、可能な運動量を制限するためにシートとベースの間に伸びる1つ以上の紐帯22-24をもつスツール10として構成できる。ベースは、利用者の足を固定する固定ストラップ20-21を含むこともできる。別案として、この座位保持装置は肘掛け椅子(100、図2)の形態とすることもできる。その場合、ベースは、アームレスト(103-104、図2)をもつ直立背部サポート(102、図2)を含み得る。」

イ 「A Therapeutic Chair

The present invention concerns the general field of chairs or stools for supporting seated persons. In particular the invention concerns a chair which is capable of inducing physio-therapeutic movement in a person seated thereon.」(明細書1頁1?7行)
(日本語訳)
「治療椅子

この発明は、座っている人を支持する椅子またはスツールの一般分野に関係する。この発明は、特に、座っている人に理学治療運動を誘起することができる椅子に関係する。」

ウ 「It is well known that lower back pain is a well known source of discomfort in adult humans and may become a problem at an early age. Back pain may be exacerbated by the person suffering the pain spending long periods seated on chairs, such as occurs at school, the workplace or when relaxing at home. In severe cases the sufferer is unable to work and may become bedridden until the pain subsides. Short of major surgery and its consequent risks there is little which can be done to alleviate back pain. In the modern world back pain is a cause of significant absenteeism form work and discomfort for a large number of people.」(明細書1頁9?20行)
(日本語訳)
「よく知られていることであるが、腰の痛みは成人の不快の周知の源であり、若年層においても問題を起こすことがある。背中の痛みは、この痛みに悩む人が学校や職場でまたは家でゆっくりしているときなど長時間椅子に座っている間にひどくなることがある。痛みが激しい場合、患者は働くことができず、痛みが治まるまで寝たきりになることがある。大手術は別として、また、それに伴うリスクのために、背中の痛みを軽減するために行い得ることはほとんどない。現代社会において、背中の痛みは長期欠勤および多数の人々の不快の重大な原因である。」

エ 「In an attempt to alleviate, or prevent, the onset of back pain in habitually seated persons it is known to provide conventional seats which may swivel and may be adjustable for height and backrest angle. This does not prevent people from adopting inappropriate posture, particularly slouching which puts pressure on the lower back.」(明細書1頁22行?2頁2行)
(日本語訳)
「常に座っている人々における背中の痛みの発現を軽減または予防する試みとして、回転可能であり、かつ、高さと背もたれの角度が調整できる通常の椅子を使用することが知られている。これは、人々が不適切な姿勢、特に、腰に圧力をかける前かがみの姿勢をとることを防止しない。」

オ 「A radical alternative to the conventional chair is known in the form of a seat or stool which does away with the backrest. The seat is configured so that the user kneels on one support pad while the bottom is supported on another pad. This arrangement encourages the seated person to adopt what is, for some people, a beneficial posture. However not everyone f inds this arrangement satisfactory or comfortable and the problem of back pain remains widespread.」(明細書2頁4?12行)
(日本語訳)
「通常の椅子の代わりに、背もたれを設けないシートすなわちスツールの形態の過激な手段が知られている。このシートは、使用者がひざを1つの支持パッドにあてがいながら別のパッド上に尻を置くように構成される。この仕組みにより、着座者は一部の人々にとって有益な姿勢を取らされる。しかし、だれもがこの仕組みに満足するかまたは快適に感ずるわけではなく、そして背中の痛みの問題はまん延している。」

カ 「The inventor of the present invention noticed that his back pain was substantially reduced during the course of a long sailing voyage. In helming the sailing boat the seated helmsman continually moves in response to the continual motion of the boat on the sea. This continual motion was seen to be beneficial to the lower back and resulted in a disappearance of back pain during the course of the voyage. As a result of this observation the inventor developed the chair of the present invention which encourages the continuous movement of the lower back of the seated person in an attempt to prevent or alleviate back pain in seated people, as well as provide a physio-therapeutic benefit to people with injured backs.」(明細書2頁14行?3頁2行)
(日本語訳)
「この発明の発明者は、長期帆走旅行中に自分の背中の痛みがほとんど消滅することに気がついた。ヨットの舵をとっているとき、座っている操舵手は、洋上のヨットの連続的な動きに応じて連続的に動いている。この連続的な運動が腰にとって有益であり、航海中の背中の痛みの消滅をもたらすと思われた。この観察の結果として、本件発明者は、着座している人の背中の痛みを予防または軽減するとともに背中を痛めている人々に理学療法的有用性を与える試みとして座っている人の腰の連続的運動を促進するこの発明の椅子を開発した。」

キ 「According to one aspect of the present invention there is provided a therapeutic chair comprising a seat upon which a person may sit, a base for supporting the seat above a floor or ground surface, and spacer means for maintaining the seat and base in vertically spaced apart relation, characterised in that the spacer means comprises a resiliently deflectable portion which permits resiliently constrained forward/backward and/or side to side travel of the seat with respect to the base.」(明細書3頁4?12行)
(日本語訳)
「この発明の1つの側面に従って、人が座るシート、フロアまたは地面の上でシートを支持するベース、およびシートとベースを垂直方向に離れた関係に維持するスペーサー手段から構成される治療椅子を提供する。この椅子は、スペーサー手段がベースとの関係における前進/後退および/または横方向のシートの弾性的に拘束される運動を可能にする弾性的に曲がる部分を含んでいることを特徴としている。」

ク 「The degree of seat travel may be varied by selecting a suitable resilience for the deflectable portion. A typical travel range permits at least 5 mm of lateral travel from an undeflected rest position during normal use, and preferably at least 10 mm, of travel.」(明細書3頁14?18行)
(日本語訳)
「シートの運動の程度は、曲がる部分の適切な弾性を選択することにより変えることができる。典型的な運動範囲は、通常の使用中に曲げられていない静止位置から少なくとも5 mmの横方向運動を可能にするが、少なくとも10 mmの運動が好ましい。」

ケ 「Preferably the resiliently deflectable portion is adapted to permit fore-aft and side to side travel over an imaginary spherical or spheroidal surface located above the base and having a radius located between the base and the seat.」(明細書3頁20?24行)
(日本語訳)
「弾性的に曲がる部分は、ベース上に位置し、ベースとシート間に位置する半径をもつ球面的または回転楕円体的な仮想面の上における前後および左右の運動を可能とするように適合されることが好ましい」

コ 「The chair is therefore to a limited extent unstable and requires balance activity from the seated person to maintain a correct seated posture. Furthermore, the seat encourages motion in the hips and lower backs of the seated person. This motion is beneficial to the back of the user because it exercises the lower back, discourages slouching and encourages the adoption of a correct upright seated posture.」(明細書4頁1?8行)
(日本語訳)
「したがってこの椅子はある程度不安定であり、着座している人に平衡運動を要求して正しい着座姿勢を維持させる。さらに、このシートは、座っている人の腰の運動を促進する。この運動は利用者の背中にとって有益である。それは腰を運動させ、前かがみを妨げ、正しい直立姿勢をとらせるようにするからである。」

サ 「The resiliently deflectable portion may comprise an upstanding member which is compliant so that it deflects by bending along its length to permit travel of the seat.」(明細書4頁10?12行)
(日本語訳)
「弾性的に曲がる部分は、シートの運動を可能にするために長手方向に沿って曲げることにより変形する柔軟な直立部材を含むことができる。」

シ 「The deflectable portion comprises for example a coil spring, or a resilient rod. In one embodiment the deflectable portion comprises a C-profile spring, mechanically connected at each end between the seat and base.」(明細書4頁14?18行)
(日本語訳)
「曲がる部分は、例えば、コイル・スプリング、または弾性をもつ棒から構成する。ある実施態様では、曲がる部分は、シートとベース間の各端に機械的に接続されるC輪郭のスプリングとしている。」

ス 「The deflectable member may have an upstanding orientation and may be compliant so that it deflects by bending along its length to permit travel of the seat portion.」(明細書4頁20?22行)
(日本語訳)
「曲がる部材は直立の方向をもち、柔軟であるので、シート部分の運動を可能にするために長手方向に沿って曲がり得る。」

セ 「In a preferred arrangement the deflectable member comprises a coil spring. The coil spring is preferably sufficiently axially stiff to support the weight of an average human without collapsing. The spring should be bendable in response to weight shifts of the user of the chair. The coil spring has the advantage of providing limited extent bending motion under loading, whilst having no moving parts or bearings to wear. Hence the spring is very reliable. In a preferred embodiment the spring is attached at one end thereof to the seat portion and at another end thereof to the base portion.」(明細書4頁24行?5頁9行)
(日本語訳)
「1つの好ましい構成において、曲がる部材はコイル・スプリングを含む。このコイル・スプリングは、崩壊することなく平均的な人の体重を支持するために軸方向に十分に堅固であることが望ましい。このスプリングは、椅子の利用者の体重移動に応じて曲がらなければならない。このコイル・スプリングは、可動部分または摩耗するベアリングを持っていないが、負荷がかかったときある程度の曲がり運動を与えるという長所をもっている。したがってこのスプリングの信頼性は非常に高い。1つの好ましい実施態様では、このスプリングは、その一端においてシート部分に、その他端でベース部分に取り付けられる。」

ソ 「The spacer means may comprise a rigid strut extending between the underside of the seat portion and an upper end region of the deflectable member. The rigid strut is an extension which accentuates the travel of the seat portion in response to a given deflection of the deflectable member.」(明細書5頁11?16行)
(日本語訳)
「スペーサー手段は、シート部分の下側と曲がる部材の上側末端領域の間に伸びる剛体の支柱とすることができる。この剛体の支柱は、曲がる部材に与えられた曲がりに応じてシート部分の運動を強める延長部である。」

タ 「Preferably the rigid strut is joined to the deflectable member at a junction located about half the distance between the seat and a surface upon which the chair is placed.」(明細書5頁18?21行)
(日本語訳)
「剛体の支柱は、シートと椅子の置かれる表面の間の距離の約半分のところに位置している結合点において曲がる部材に結合することが好ましい。」

チ 「The chair may be provided with restraining means for limiting the degree of travel of the seat fore/aft and/or from side to side.」(明細書5頁23?25行)
(日本語訳)
「この椅子は、シートの前後および/または左右の運動の程度を制限する抑制手段付きで提供できる。」

ツ 「The restraining means may comprise one or more ties extending between the base portion and the seat portion.」(明細書6頁1?2行)
(日本語訳)
「抑制手段は、ベース部分とシート部分間に伸びる1つ以上の紐帯とすることができる。」

テ 「The chair may be configured as a stool. However in a preferred arrangement the base portion is provided with a generally upstanding back support. The base portion may be provided with arm rests disposed on each side of the seat portion, thereby to give an armchair configuration.」(明細書6頁4?8行)
(日本語訳)
「この椅子は、スツールとして構成できる。しかし1つの好ましい構成においては、一般的に直立の背部サポートがベース部分に設けられる。ベース部分に、シート部分の各側に配置されるアームレストを設けて、肘掛け椅子構成とすることができる。」

ト 「The base portion may be provided with foot retainers for securing the feet of the seated person during travel of the seat. This helps prevent the user from falling off the chair during travel of the seat portion. In addition the user can thereby anchor his/her feet to force travel of the seat.」(明細書6頁10?15行)
(日本語訳)
「シートの運動中に座っている人の足を固定する足固定部をベース部分に設けることができる。これは、シート部分の運動中における利用者の椅子からの落下防止に役立つ。また、利用者は、これにより自分の足を使ってシートの運動を起こすことができる。」

ナ 「The spacer means may be provided with adjustment means for altering the spacing between the seat portion and the floor or ground. This permits adjustment of the chair for the individual height requirements of the user. Conventional height adjustment means are well known in the art and are not therefore described further.」(明細書6頁17?22行)
(日本語訳)
「スペーサー手段には、シート部分とフロアまたは地面間の間隔を変える調整手段を設けることができる。これは、利用者の個々の高さ要件に応じて椅子の調整を可能にする。通常の高さ調整手段はこの技術でよく知られているので、これ以上詳しく説明しない。」

ニ 「The base portion may comprise a plate or board which sits on the floor surface. Preferably the plate or board provides a substantial "footprint" which helps prevent unwanted over-balancing of the chair during use.」(明細書6頁24行?7頁2行)
(日本語訳)
「ベース部分は、床面に接するプレートまたは盤を包含できる。プレートまたは盤は、使用中における椅子の望ましくない過度の平衡運動の防止に役立つ十分な『装置が占める面積』をもつことが好ましい。」

ヌ 「Alternatively the base portion comprise a plurality of rigid legs.」(明細書7頁4?5行)
(日本語訳)
「別案として、ベース部分を複数の剛体脚部から構成する。」

ネ 「The base portion may be provided with rollers or wheels for permitting travel of the base portion over a floor surface.」(明細書7頁7?9行)
(日本語訳)
「ベース部分には、ベース部分の床面移動を可能にするローラーまたはホイールを設けることができる。」

ノ 「Following is a description by way of example only and with reference to the drawings of methods of putting the present invention into effect.」(明細書7頁11?13行)
(日本語訳)
「以下は、この発明を実施する方法の単なる例示および図面参照による説明である。」

ハ 「In the drawings:-

Figure 1 is a perspective view of a chair according to the present invention configured as a stool.

Figure 2 is a perspective view of a chair according to the present invention configured as an armchair.」(明細書7頁15?21行)
(日本語訳)
「図面の内容は次のとおりである:

図1は、スツールとして構成されたこの発明による椅子の透視図である。

図2は、肘掛け椅子として構成されたこの発明による椅子の透視図である。」

ヒ 「Stool
A stool according to the present invention is indicated generally as 10 infigure 1. The chair comprises a cushioned seat 11 of generally square plan. The seat has a wooden base portion (not visible) which is provided with an upholstered cushion on an upper surface thereof. An upper end of a square section seat post 12 is attached to a central underside surface of the seat base portion by means of bolts. A lower end of the seat post is formed with a flange 13. The flange is bolted onto a face of an octahedral plate 14. An underside of the plate is fixed by means of clamping tabs (not shown) to a top end of an upstanding coil spring 15. A lower end of the coil spring is fixed by means of clamping tabs 16 to a wooden laminate base plate 17.」(明細書7頁23行?8頁12行)
(日本語訳)
「スツール

この発明によるスツールを図1において一般的に10として示す。この椅子は、一般的に正方形のクッション付きシート11を含んでいる。このシートは、上部表面にクッションの取り付けられた木製ベース部分(見えない)を持っている。方形断面シート支柱12の上端がシート・ベース部分の中央下側表面にボルトの手段により取り付けられている。シート支柱の下端はフランジ13を形成している。このフランジは、八角プレート14の表面にボルト留めされている。このプレートの下側は、クランプ・タブ(示されていない)の手段により直立コイル・スプリング15の上端に固定されている。コイル・スプリングの下端は、クランプ・タブ16の手段により木製ラミネート・プレート17に固定されている。」

フ 「The base plate has a form which is generally circular in plan at one end 18 and provided with an elongate extension tongue 19 at an opposite end. The coil spring is attached to a point on the base plate surface corresponding to the centre of the circular end 18. A wooden stiffening rod is loosely accommodated in the bore of the coil spring. The rod prevents buckling of the spring under extreme loading and limits the extent of flexing of the coil spring.」(明細書8頁14?22行)
(日本語訳)
「ベース・プレートの形状は、一端18において一般的に円形平面であり、他端において細長い拡張舌部19を構成している。コイル・スプリングは、円形端部18の中心に対応するベース・プレート表面上の1点に取り付けられている。木製補強棒はコイル・スプリングの穴の中にゆるく収容されている。この棒は極端な負荷によるスプリングの座屈を防止し、かつ、コイル・スプリングの屈曲の程度を制限する。」

ヘ 「The extension tongue is provided with two side by side spaced apart foot stirrups 20,21. The stirrups are formed by a length of nylon webbing. The webbing is attached at each end to opposite sides of the tongue portion, and clamped in the middle thereof to the tongue portion upper surface. This forms two foot loops which define the stirrups.」(明細書8頁24?9頁5行)
(日本語訳)
「拡張舌部には、2つの左右に離れた足あぶみ20、21が設けられている。これらのあぶみは、長いナイロン・ウェビングにより形成されている。このウェビングは各端で舌部の両側に取り付けられており、その中央部で舌部の上表面に固定されている。これは、あぶみを画定する2つの足ループを形成している。」

ホ 「Three rope restrainers 22, 23 & 24 limit the throw of the stool seat portion fore - aft and from side to side.」(明細書9頁7?8行)
(日本語訳)
「3つの抑止ロープ22、23、24は、スツールのシート部の前後および左右の移動距離を制限している。」

マ 「Armchair
An armchair is shown generally as 100 in figure 2. The armchair comprise a wooden base portion 101 and a seat portion 110. The base portion includes a ladder frame back support 102 comprising three dowels and two generally upstanding, rearward inclined back members 105,106. Extending forward from the respective back members are two arm rests 103,104. The arm rests are supported by inverted arch members 107,108. An apex of each inverted arch member is attached to an upright apex of respective left and right arched leg members 109,111. A front foot region of each leg member is attached to a respective end of a rearwardly lain arched base member 112. A rear foot region of each leg member is attached to respective ends of two forwardly lain arched base members 113 and 114. One of the arched base members 114 passes through the rearwardly lain arched base member, thereby forming an eye shaped frame 115. The frame accommodates a wooden plate 116. Attached to a top surface of the wooden plate is an elongate upstanding coil spring 120. A top end of the coil spring is attached to a wooden block 121. A top surface of the wooden block is fixed to the underside of a cushioned seat member 122.」(明細書9頁10?10頁7行)
(日本語訳)
「肘掛け椅子

肘掛け椅子を一般的に図2の100として示す。この肘掛け椅子は、木製ベース部101およびシート部110を含んでいる。ベース部は、3個のドエルおよび2個の一般的に直立し、後ろに傾いているバック部材105、106から構成されているラダー・フレーム背部サポート102を含んでいる。それぞれのバック部材から前方に伸びているのは、2つのアームレスト103、104である。これらのアームレストは、反転アーチ部材107、108により支持されている。各反転アーチ部材の1つの頂点がそれぞれ左右のアーチ形脚部材109、111の垂直頂点に取り付けられている。各脚部材のフロント・フット領域が後を向いているアーチ形ベース部材112の各端に取り付けられている。各脚部材のリア・フット領域は、2つの前を向いているアーチ形ベース部材113および114のそれぞれの端部に取り付けられている。アーチ側ベース部材114の一方は、後を向いているアーチ形ベース部材を通過して、目の形状のフレーム115を形成している。このフレームは、木製プレート116を収容する。この木製プレートの上側表面に取り付けられているのは、細長い直立コイル・スプリング120である。コイル・スプリングの上端は、木製ブロック121に取り付けられている。木製ブロックの上側表面は、クッション付きシート部材122の下側に固定されている。」

ミ 「The present invention provides a chair which encourages lower back mobility. The chair requires the user actively to balance his/her posterior on the seat and gives a therapeutic action to stiff backs, as well as helping to prevent back trouble for people spending long periods of time seated, e.g. computer operators, office workers or television viewers.」(明細書10頁9?15行)
(日本語訳)
「この発明は、腰の運動を促進する椅子を提供する。この椅子は、利用者がシート上で自分の臀部のバランスを積極的にとることを要求し、そして凝っている背中に治療効果ならびに座って長時間を過ごす人々、例えばコンピュータ・オペレーター、オフィス・ワーカーまたはテレビ視聴者のために腰痛を予防する援助を与える。」

ム 「 CLAIMS

1. A therapeutic chair comprising a seat upon which a person may sit, a base for supporting the seat above a floor or ground surface, and spacer means for maintaining the seat and base in vertically spaced apart relation, characterised in that the spacer means comprises a resiliently deflectable portion which permits resiliently constrained forward/backward and/or side to side travel to of the seat with respect to the base.

2. A chair as claimed in claim 1 wherein the deflectable portion permits forward /backward and side to side travel over an imaginary spherical or spheroidal surface located above the base and having a radius between the base and the seat.

3. A chair as claimed in claim 1 wherein the resiliently deflectable portion comprises an upstanding member which is compliant so that it deflects by bending along its length to permit travel of the seat.

4. A chair as claimed in claim 2 or claim 3 wherein the deflectable portion comprises a coil spring, or a resilient rod.

5. A chair as claimed in any preceding claim wherein the deflectable portion comprises a C-profile spring.

6. A chair as claimed any preceding claim wherein the spacer means further comprises a rigid spacer portion connecting an underside region of the seat portion and an upper end region of the deflectable portion.

7. A chair as claimed in claim 6 wherein the rigid spacer portion extends about half of a vertical spacing between the seat underside and a floor engaging surface of the base portion.

8. A chair as claimed in any preceding claim and provided with restraining means for limiting the degree of travel of the seat fore/aft and/or from side to side.

9. A chair as claimed in claim 8 wherein the restraining means comprises one or more ties extending between the base and the seat.

10. A chair as claimed in any preceding claim and configured as a stool.

11. A chair as claimed in any of claims 1 to 9 wherein the base is orovided with a generally upstanding back support.

12. a chair as claimed in claim 11 wherein the base is provided with arm rests on each side of the seat portion, thereby to give an armchair configuration.

13. A chair as claimed in any preceding claim wherein the base portion is provided with foot retainers for securing the feet of the seated person during travel of the seat.

14. A chair as claimed in any preceding claim wherein the spacer means is provided with adjustment means for altering the spacing between the seat portion and the floor or ground.

15. A chair as claimed in any preceding claim wherein the base comprises a plate or board or frame which sits on the floor surface.

16. A therapeutic chair substantially as hereinbefore described with reference to the drawings.」(明細書11頁1?13頁22行)
(日本語訳)
「特許請求の範囲

1. 人が座るシート、フロアまたは地面の上にシートを支持するベース、シートおよびベースを垂直に離れた関係に維持するスペーサー手段から構成される治療椅子(この椅子は、このスペーサー手段が、ベースとの関係における前進/後退および/または横方向のシートの弾性的に拘束される運動を可能にする弾性的に曲がる部分を含んでいることを特徴としている)。

2. クレーム1で請求した椅子であって、それにおいて曲がる部分が、ベース上に位置しベースとシート間の半径をもつ球面的または回転楕円体的な仮想面の上における前後および左右の運動を可能にするもの。

3. クレーム1で請求した椅子であって、それにおいて弾性的に曲がる部分が、シートの運動を可能にするために長手方向に沿って曲がることにより変形する柔軟な直立部材を含むもの

4. クレーム2またはクレーム3で請求した椅子であって、それにおいて曲がる部分がコイル・スプリング、または弾性をもつ棒を含むもの。

5. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、それにおいて曲がる部分がC輪郭のスプリングを含むもの。

6. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、それにおいてスペーサー手段がさらにシート部分の下側領域および曲がる部分の上端領域と接続する剛体のスペーサー部分を含むもの。

7. クレーム6で請求した椅子であって、それにおいて剛体のスペーサー手段がシートの下側とベース部分のフロア結合表面の間の垂直間隔の約半分のところに伸びるもの。

8. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、シートの前後および/または左右の運動の程度を制限する抑制手段を備えているもの。

9. クレーム8で請求した椅子であって、それにおいて抑制手段がベース部分とシート部分間に伸びる1つ以上の紐帯を含むもの。

10. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、スツールとして構成されるもの。

11. クレーム1?9のいずれかで請求した椅子であって、それにおいてベースに一般的に直立の背部サポートが設けられるもの。

12. クレーム11で請求した椅子であって、それにおいてシート部分の各側にベースにアームレストが設けられ、それにより肘掛け椅子として構成されるもの。

13. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、それにおいてベース部分にシートの運動中に着座者の足を固定する足固定部が設けられるもの。

14. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、それにおいてスペーサー手段にシート部分とフロアまたは地面間の間隔を変える調整手段が設けられるもの。

15. いずれかの先行クレームで請求した椅子であって、それにおいてベースがフロア表面に接するプレートまたは盤もしくはフレームをもつもの。

16. 図面を参照して前記において実質的に記述された治療椅子。」


メ 上記アないしムから、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「腰の痛みは、成人の不快の周知の源であるとともに若年層においても問題を起こすことがあったこと、背中の痛みは、長時間椅子に座っている間にひどくなることがあり、痛みが激しい場合、患者は働くことができず、痛みが治まるまで寝たきりになることがあり、背中の痛みを軽減するために行い得ることはほとんどない痛みであったこと、長期帆走旅行中に背中の痛みがほとんど消滅すること、ヨットの舵をとっているとき座っている操舵手は洋上のヨットの連続的な動きに応じて連続的に動いていること、及び、この連続的な運動が腰にとって有益であり航海中の背中の痛みの消滅をもたらすことから、着座している人の背中の痛みを予防または軽減するとともに背中を痛めている人々に理学療法的有用性を与える試みとして開発した、座っている人の腰の連続的運動を促進する治療椅子であって、
人が座るシート11、
フロアまたは地面の上でシート11を支持するベース17、
及び、
シート11とベース17を垂直方向に離れた関係に維持するスペーサー手段から構成され、
前記ベース17は、円形平面の円形端部18である一端と細長い拡張舌部19の他端とで構成された木製ラミネート・ベース・プレート17であり、
前記拡張舌部19の両側及び中央部に、長いナイロン・ウェビングの各端を固定して2つの足ループを形成することで、前記拡張舌部19に2つの左右に離れた足あぶみ20、21を画定して、前記シート11の運動中に座っている人の足を固定する足固定部20、21を前記ベース部分17に設け、
前記スペーサー手段は、前記ベース17との関係における前進/後退および/または横方向の前記シート11の運動を可能にするものであり、
前記スペーサー手段による前記シート11の運動により、ある程度不安定であり、着座している人に平衡運動を要求して正しい着座姿勢を維持させ、さらに、前記シート11に座っている人の腰の運動を促進し、この運動は利用者の背中にとって有益であり、それは腰を運動させ、前かがみを妨げ、正しい直立姿勢をとらせるようにし、
前記足固定部20、21を設けることにより、前記シート部分11の運動中における利用者の椅子からの落下を防止するとともに、利用者が自分の足を使って前記シート11の運動を起こすことができる、
座っている人の腰の連続的運動を促進する治療椅子。」(以下「引用発明1」という。)

(2)本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平5-329226号公報(以下「引用例2」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【0003】又、腰痛に悩む人は、自ら腰を動かすことをしたがらないが、ゆっくりした動作で腰を動かしてあげれば腰痛の緩和効果が生じるであろう。
【0004】従来、背凭れの角度又は座席の高さが変更できるものや前後方向に揺動する所謂ロッキングチェアなどは知られているが、左右方向に揺動すると共に正逆方向にも回転する椅子はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、左右方向に揺動しながら正逆方向に回転(首振り)する椅子を提供することである。」

イ 「【0010】図1から図3において、ハウジング5内に主柱6を揺動運動並びに回転運動をさせる装置が組み込まれている。主柱6は垂直方向に設けられ、ハウジング5の上部に設けた軸受10により該ハウジング5から先端部が上方に向って突出しており、当該主柱6は該軸受10の中心点Pを中心に揺動運動を行い同時に回転自在となっている。なお、軸受10は、球体を保持する受部が球形に形成されていて、軸受の中心点Pを中心として受部並びに主柱6が傾斜できるようになっている。」

ウ 「【0020】又、本発明は、ごくゆっくりとした動作で駆動することにより、腰痛の緩和効果も奏するものとなる。
【0021】さらに又、本発明は、主柱を駆動する駆動装置がハウジング内に収納されているので体裁がよいことの効果がある。」

エ 上記アないしウから、引用例2には、次の発明が記載されているものと認められる。
「腰痛に悩む人は、ゆっくりした動作で腰を動かしてあげれば腰痛の緩和効果が生じるが、自ら腰を動かすことをしたがらないうえ、従来、左右方向に揺動すると共に正逆方向にも回転する椅子はなかったので、主柱6を揺動運動並びに回転運動をさせる、主柱を駆動する駆動装置をハウジング5内に、組み込んで、ごくゆっくりとした動作で駆動することにより、腰痛の緩和効果を奏する、左右方向に揺動しながら正逆方向に回転する首振り椅子。」(以下「引用発明2」という。)

4 対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1の「フロアまたは地面の上でシート11を支持するベース17」、「『利用者』である『人』」、「人が座るシート11」、「スペーサー手段」、「『木製ラミネート・ベース・プレート17』の『他端』である『細長い拡張舌部19』の『両側及び中央部』に、『長いナイロン・ウェビングの各端を固定して2つの足ループを形成する』ことで、『前記拡張舌部19に2つの左右に離れた足あぶみ20、21を画定』して『設け』た『足固定部20、21』」及び「座っている人の腰の連続的運動を促進する治療椅子」は、それぞれ、本願補正発明の「定位置に設置される基台」、「使用者」、「支持部」、「結合機構」、「踏板」及び「トレーニング装置」に相当する。

(2)引用発明1において、前記「結合機構(スペーサー手段)」は、前記「基台(ベース17)」との関係における前進/後退および/または横方向の前記「支持部(シート11)」の運動を可能にするものであり、前記「結合機構」による前記「支持部」の運動により、「トレーニング装置(治療椅子)」は、ある程度不安定であり、着座している「使用者(人)」に平衡運動を要求して正しい着座姿勢を維持させ、さらに、腰を運動させ、前かがみを妨げ、正しい直立姿勢をとらせる「使用者」の背中にとって有益である腰の運動を前記「支持部」に座っている「使用者」に対して促進し、前記「踏板(足固定部20、21)」は、前記「支持部」の運動中に座っている「使用者」の足を固定するものであって、該「踏板」を設けることにより「使用者」が自分の足を使って前記「支持部」の運動を起こすことができるものであるから、前記「支持部」は、使用者の自重の少なくとも一部が使用者の大腿部を含む脚部に作用する形で、使用者の身体の一部を支持するものであるといえ、不安定である「トレーニング装置」により、平衡運動を要求されて正しい着座姿勢を維持しようとしたり、腰を運動させたり、自分の足を使ったりして、「使用者」が、前記「結合機構」により、前記「基台」との関係における前進/後退および/または横方向に前記「支持部」を運動させると、「使用者」の固定した足位置と重心位置との相対位置は変位し、この変化により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するといえる。
したがって、引用発明1の「支持部」と本願補正発明の「支持部」とは「使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する」点で一致し、引用発明1の「結合機構」と本願補正発明の「結合機構」とは「使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する」点で一致する。

(3)引用発明1の「踏板(足固定部20、21)」は、「木製ラミネート・ベース・プレート17の他端である細長い拡張舌部19の両側及び中央部に、長いナイロン・ウェビングの各端を固定して2つの足ループを形成することで、前記拡張舌部19に2つの左右に離れた足あぶみ20、21を画定して設けた」ものであって、前記「支持部(シート11)」の運動中に座っている「使用者(人)」の足を固定するものであるから、「使用者」の足を載せるものであり、使用者の脚部等の身体の一部を支持するものであるといえる。 したがって、引用発明1の「踏板」と本願補正発明の「踏板」とは「使用者の足を載せる」点及び「支持部に含まれる」点で一致する。

(4)上記(1)ないし(3)からみて、引用発明1の「トレーニング装置(治療椅子)」は、「定位置に設置される基台と、使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する支持部と、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する結合機構とを含み、上記支持部は、使用者の足を載せる踏板を含む」ものであるから、「使用者の自重で脚部に作用する負荷」を変化させることにより脚部のトレーニングも行い得るトレーニング装置である。
したがって、引用発明1の「トレーニング装置」と本願補正発明の「トレーニング装置」とは「脚部トレーニング装置」である点で一致する。

(5)上記(1)ないし(4)によれば、本願補正発明と引用発明1とは、
「定位置に設置される基台と、使用者の自重の少なくとも一部が大腿部を含む脚部に作用する形で使用者の身体の一部を支持する支持部と、使用者の足位置と重心位置との相対位置の変位により使用者の自重で脚部に作用する負荷が変化するように支持部を基台に対して可動に結合する結合機構とを含み、上記支持部は、使用者の足を載せる踏板を含む脚部トレーニング装置。」である点(以下「一致点」)という。)で一致し、次の点で相違する。

相違点:
前記支持部が、本願補正発明では「駆動手段により駆動されるものである」のに対して、引用発明1ではそうでない点。

5 判断
上記相違点について検討する。
(1)引用例2には、上記3(2)で述べたとおり、引用発明2(上記3(2)エ参照。)が記載されている。

(2)引用発明1の「脚部トレーニング装置(治療椅子)」は、駆動装置を備えていないため、腰を動かし始めることは自らなさければならず、腰の運動を全く受動的に行い得るものではないから、自ら腰を動かすことをしたがらない腰痛に悩む人には効果の低いものである。
したがって、引用発明1において、自ら腰を動かすことをしたがらない腰痛に悩む人にも腰痛の緩和効果を奏するようにするため、前記「支持部(シート11)」を駆動する駆動装置を組み込んで、ごくゆっくりとした動作で前記「支持部」を駆動するようになすこと、すなわち引用発明1において、上記相違点に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が引用発明2に基づいて容易になし得たことである。

(3)本願補正発明の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び引用発明2の奏する効果から当業者が予測できた程度のものである。

(4)以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし32に係る発明は、平成22年2月1日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし32に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年2月1日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である引用例1の記載事項は、前記「第2〔理由〕3(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2〔理由〕1(2)」で述べたとおり、本願補正発明は、本願発明に記載した発明を特定するために必要な事項である「支持部」について、「駆動手段により駆動されるものである」ことを限定したものに相当する。
そうすると、本願発明は、本願補正発明から「上記支持部は、駆動手段により駆動されるものである」との限定事項を省いたものに相当するところ、この限定事項は、本願補正発明と引用発明1とが唯一相違する上記相違点(上記「第2〔理由〕4(5)」参照。)であるから、本願発明は、本願補正発明から、本願補正発明と引用発明1との唯一の相違点である「上記支持部は、駆動手段により駆動されるものである」との限定事項を省いたものに相当する。
したがって、本願補正発明から本願補正発明と引用発明1との唯一の相違点である限定事項を省いたものに相当する本願発明と引用発明1とを対比すると、両発明は上記一致点(上記「第2〔理由〕4(5)」参照。)で一致し、相違するところはない。
よって、本願発明は引用例1に記載された発明である。

4 むすび
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-22 
結審通知日 2011-06-28 
審決日 2011-07-11 
出願番号 特願2007-95248(P2007-95248)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63B)
P 1 8・ 575- Z (A63B)
P 1 8・ 113- Z (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 笹野 秀生
菅野 芳男
発明の名称 脚部トレーニング装置  
代理人 西川 惠清  
代理人 坂口 武  
代理人 水尻 勝久  
代理人 北出 英敏  
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