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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1242399 |
審判番号 | 不服2008-25643 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-10-06 |
確定日 | 2011-08-24 |
事件の表示 | 特願2004-510229「画素画像データ補正装置及び方法、並びに画像処理装置及び処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成15年12月11日国際公開、WO03/103275、平成17年 9月22日国内公表、特表2005-528857〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1 経緯 本願は、2003年6月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年6月4日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成17年3月7日付けで手続補正がなされ、平成19年11月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成20年3月4日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされたが、平成20年6月30日付け(発送日同年7月8日)で拒絶査定がなされたものである 本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成20年10月6日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同時に手続補正がなされたものである。 2 査定の概要 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 [査定の理由] 理由A 1.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 請求項 1,5,19,22,23,25?27,29,30,39?41 引用文献1:特開平4-239886号公報 理由B この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 請求項 2?4,6?13,20,21,28,31?33,42?49 引用文献1:特開平4-239886号公報 理由C この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない。 記 この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項14、34に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。 また、請求項14に従属する請求項15?18係る発明、及び、請求項34に従属する請求項35?38に係る発明も同様に、それらの発明を実施することができる程度に発明の詳細な説明が明確かつ十分に記載されていない。 第2 補正却下の決定 平成20年10月6日付けの手続補正について次のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成20年10月6日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成20年10月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。その詳細は以下のとおりである。 補正前の請求項1の 「イメージセンサアレイから得られる画像から複数の画像データラインを受けるメモリ回路であって」 を、補正後の請求項1の 「イメージセンサアレイから得られる画像から、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データの複数の画像データラインを受けるメモリ回路であって」 に補正するものである。 補正前の請求項6の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データラインであって、各画像データラインが」 を、補正後の請求項6の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データのラインである画像データラインであって、画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインが」 に補正するものである。 補正前の請求項11?14を削除する補正をするものである。 補正前の請求項15?18の引用する請求項を、補正前の請求項14の削除に伴い 「請求項5又は14」 から、 「請求項5」 に補正するものである。 補正前の請求項19の 「信号値を含む画像データの少なくとも3本のラインを」 を、補正後の請求項14の 「信号値を含むとともに、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データの少なくとも3本のラインを」 に補正するものである。 補正前の請求項20?24の引用する請求項を、請求項の削除に伴い補正し、補正後の請求項15?19に補正するものである。 補正前の請求項25の 「信号値を含む画像データの少なくとも3本のラインを」 を、補正後の請求項20の 「信号値を含むとともに、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データの少なくとも3本のラインを」 に補正するものである。 補正前の請求項26?29の引用する請求項を、請求項の削除に伴い補正し、補正後の請求項21?24に補正するものである。 補正前の請求項30?38を削除する補正をするものである。 補正前の請求項39、40の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データラインであって、各画像データラインが」 を、補正後の請求項25,26の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データのラインである画像データラインであって、画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインが」 に補正するものである。 補正前の請求項41?42の引用する請求項を、請求項の削除に伴い補正し、補正後の請求項27?28に補正するものである。 補正前の請求項43を削除する補正をするものである。 補正前の請求項44の 「信号値を含む画像データの少なくとも3本のラインを」 を、補正後の請求項29の 「信号値を含むとともに、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含 む画像データの少なくとも3本のラインを」 に補正するものである。 補正前の請求項45?46の引用する請求項を、請求項の削除に伴い補正し、補正後の請求項30?31に補正するものである。 補正前の請求項47の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データラインであって、各画像データラインが」 を、補正後の請求項32の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データのラインである画像データラインであって、画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインが」 に補正するものである。 補正前の請求項48の 「画像を得るとともに、この画像の各ラインに対し信号値を含む画素画像データを有する画像信号を出力するイメージセンサユニット」 を、補正後の請求項33の 「画像を得るとともに、この画像の各ラインに対し信号値を含むとともに、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画素画像データを有する画像信号を出力するイメージセンサユニット」 に補正するものである。 補正前の請求項49の 「画像データを受けて処理するプロセッサ」 を、補正後の請求項34の 「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データを受けて処理するプロセッサ」 に補正するものである。 2 補正の適合性 (1)補正の目的 補正前の請求項11?14、30?38、43を削除する補正は、請求項の削除を目的とするものである。 補正後の請求項1、6、14、20、25、26、29、32?34は、補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 補正後の請求項2?5、7?13、15?19、21?24、27、28、30、31は、他の補正後の請求項を引用するもので、発明の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)独立特許要件 上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。 (3)補正後発明 補正後の請求項1に係る発明、請求項6に係る発明(以下それぞれ「補正後発明1」、「補正後発明6」という。)は、補正後の特許請求の範囲の請求項1、請求項6に記載された下記のとおりのものである。 記(補正後発明1) 「イメージセンサアレイから得られる画像から、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データの複数の画像データラインを受けるメモリ回路であって、各画像データラインが、イメージセンサアレイ中の画素の1ラインに対応する信号値データを含みうるようにする当該メモリ回路と、 このメモリ回路から画像データを受ける補正回路であって、イメージセンサアレイ中の検査画素の信号値を、この検査画素と同じ種類の色を有する少なくとも8つの周囲画素の信号値データと比較し、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも大きい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最大の信号値に置き換えるか、或いは、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも小さい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最小の信号値に置き換えるようにする当該補正回路と を具える画素画像データ補正装置。」 記(補正後発明6) 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データのラインである画像データラインであって、画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データラインを、各メモリバンクが受けて一時的に記憶するようにした複数のメモリバンクと、 前記複数のメモリバンクから画像データを受ける各メモリバンクに対する複数の組のシフトレジスタと、 シフトレジスタの1つの組における画像データ中の検査画素の信号値を検査して、この検査画素の信号値に欠陥があるかどうかを決定し、欠陥が見出された場合に、欠陥のある信号値を補正する補正回路であって、この補正回路は、前記検査画素の信号値を、この検査画素を囲むとともにこの検査画素と同じ種類の色を有する少なくとも8つの画素のそれぞれの信号値と比較することにより、前記検査画素を検査するようにした当該補正回路とを具える画素画像データ補正装置。」 (4)刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-239886号公報(上記引用文献1、以下「刊行物1」という。)には、「画像雑音除去装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 〈産業上の利用分野〉 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、光・電気変換手段を有するビデオカメラ等の画像雑音除去装置に関する。」 〈従来技術〉 「【0002】 【従来の技術】 近年ビデオカメラ等の撮像装置においては、光・電気変換手段として固体撮像素子を用いることが多くなっている。固体撮像素子の出力信号をモニター装置に表示し画像信号を観測すると、画像中に白点(白キズ)、黒点(黒キズ)と呼ばれる画像欠陥が観測されることがある。このような画像欠陥は小さなものでも非常に目立ち、画像欠陥のある撮像素子は製品として使用することができないために歩留りの低下を招くことになる上、製品出荷後にも画像欠陥が生ずることがある。これらの問題は固体撮像素子特有の欠点であり、固体撮像素子を使用する上での大きな障害となっている。 【0003】 従来、前記問題点を解決する手段として、例えば、走査線上に隣接する3画素の画素値を元に、中心画素の画素値が他の2画素の画素値よりも大(小)であるとき、中心画素の画素値を他の2画素のうち大きな(小さな)値を持つ画素値に置き換えることで、画像欠陥を取り除く手法が知られている。また、別の手段として、ある走査線上に画像欠陥が検出されたならば、その走査線上の全ての画素を1フィールド(フレーム)前の全画素と置き換える手法も知られている。」 〈発明が解決しようとする課題〉 「【0004】 【発明が解決しようとする課題】 従来の技術によれば、走査線上に隣接する3画素のみに着目する手法では、画像信号を走査線方向のみに観測している点に問題がある。例えば、走査線に対し鉛直方向にシャープな線が含まれていたとすると、走査線方向のみの観測では,それが有為な画像情報である鉛直方向の線分の一部であるか,画像欠陥であるかが判断することができず、有為な画像情報を損なう恐れがある。・・・ 【0005】 また、画像欠陥の存在する走査線の全画素を1フィールド(フレーム)前の全画素と置き換える手法では、フィールド(フレーム)メモリといった巨大な記憶装置が必要である。さらに、被写体の動きが大きい場合には、フィールド(フレーム)間の画像信号の差が大きくなるため単純に全画素を置き換えたのでは不自然であるため、有効に動作しないといった問題点が残されていた。 【0006】 本発明はかかる点に鑑み、縦線やディテール成分のような有意な画像情報を損なうことなく、又、フィールドメモリのような巨大な記憶装置を必要とすることなく、被写体の動きが大きい場合にも、白キズ又は黒キズのようにパルシブな画像欠陥を良好に除去する装置の提供にある。」 〈課題を解決するための手段〉 「【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明によれば、数ラインにわたる走査線の画素情報を一次的に保持する手段と注目画素および注目画素の周囲に2次元的に近接する画素値群を複数の出力端子より同時に出力する手段とを合わせ持つ走査線メモリと、近傍画素値群のうち最大および最小の画素値を検出し出力する最大最小値検出器と、近傍画素値群のうち最大の画素値に対し注目画素の画素値が所定の或値以上大であるかあるいは近傍画素値群のうち最小の画素値に対し注目画素の画素値が所定の或値以上小であるかといった比較をすることにより注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力するノイズ検出器と、注目画素の画素値と近傍画素値群のうち最大および最小の画素値の3つの画素値から制御信号により何れか一つの画素値を選択し出力する画素値選択器とを少なくとも備えることを特徴とする。」 〈作用〉 「【0008】 【作用】 画像欠陥を除去する際に、画像信号の中からどの画素に画像欠陥が含まれているか判定する必要があるが、除去すべき画像欠陥の判定基準をいたずらに広げてしまうと、画像信号中のディテール成分など有為な画像情報が失われてしまう可能性があるので、画像信号をモニター装置に表示した際、目に付き易い性質を持つ画像欠陥のみを選択的に除去する必要がある。このような性質を持つ画像欠陥として、周囲の画素に対し一点だけが際だって明るい(暗い)画素値を持つ白(黒)キズが挙げられ、本発明では白(黒)キズを選択的に除去する作用を持つことを特徴とする。 【0009】 白キズまたは黒キズは前記性質より、キズの周囲の画素の画素値に対して、飛び抜けて明るいか又は暗いかで判定できる。次に、ある画素がキズと判定されたならば、その画素値を周囲の画素値と置き換えるよう作用することで、キズを消し去ることができる。但しここで、周囲の画素間に相関性が認められる場合には、相関性を保った上でキズを消し去る必要がある。ここで相関性に関しては、走査線に対し水平方向のみでなく、鉛直方向あるいは斜方向も考慮する必要がある。これを実現するには、注目画素が白キズと判定されたならば、注目画素の画素値を2次元的な近傍画素値群のうち最大の画素値を持つものと置き換え、注目画素が黒キズと判定されたならば、注目画素の画素値を2次元的な近傍画素値群のうち最小の画素値を持つものと置き換えるよう作用することにより達成される。」 〈実施例〉 「【0010】 【実施例】 以下に本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。(図1)は、本発明における画像雑音除去装置の概略ブロック図である。 【0011】 (図1)において走査線メモリは、入力端子1より入力される画像信号aを取り込み、注目画素の画素値bおよび、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する。 【0012】 (図2)は走査線メモリの詳細な構成例である。(図2)に於ては上記走査線メモリの動作説明の中で、M=N=3としたときの構成例を示しており、2台のライン遅延器と6台の画素遅延器により構成される。画素遅延器は入力信号を一画素分の走査時間だけ遅延させた信号を出力するものであり、ライン遅延器は入力信号を一水平走査時間だけ遅延させた信号を出力するものである。また、(図6)は走査線上の注目画素と近傍画素群の配置例を示しており、1?8の数字を付してある画素は近傍画素群を構成し注目画素は近傍画素群の中央に位置する。 【0013】 (図2)の入力端子2より入力される画像信号aは、画素遅延器1に接続され、画素遅延器1の出力は画素遅延器2に接続される。画素遅延器1の入力端と画素遅延器1の出力端と画素遅延器2の出力端の3箇所より信号を取り出せば、それぞれ(図6)の近傍画素8、7、6に相当する位置の画素値が得られる。又、(図2)の入力端子2より入力される画像信号は、ライン遅延器1にも接続され、ライン遅延器1の出力端に画素遅延器3、4を直列に接続すれば、同様に(図6)の近傍画素5、注目画素、近傍画素4に相当する位置の画素値が得られる。さらに、(図2)のライン遅延器1の出力端にはライン遅延器2が接続され、ライン遅延器2の出力端に画素遅延器5、6を直列に接続すれば、同様に(図6)の近傍画素3、2、1に相当する位置の画素値が得られる。以上のような構成による走査線メモリであれば、注目画素の画素値bおよび近傍画素群の画素値群cを複数の出力端子より同時に出力することができる。 【0014】 (図1)において最大最小値検出器は、走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する。 【0015】 (図3)は最大最小値検出器の詳細な構成例である。(図3)に於ては前記走査線メモリの説明に合わせ、近傍画素群が8画素で構成される場合の最大最小値検出器の構成例を示しており、8個の入力端子群を持つ最大値回路と、8個の入力端子群を持つ最小値回路から構成される。最大値回路は、入力される近傍画素値群cの中から最大の画素値(Ymax)を抽出し出力する。最小値回路は、入力される近傍画素値群cの中から最小の画素値(Ymin)を抽出し出力する。 【0016】 (図1)においてノイズ検出器は、走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力する。制御信号はYmaxを選択する信号であるSELmaxとYminを選択する信号であるSELminより構成される。 【0017】 (図4)はノイズ検出器の詳細な構成例であり、2台の減算器と、2台の比較器と、2台の或値設定器から構成される。減算器1は注目画素の画素値からYmaxを減じ、その差(以下DIFmaxとする)を生成する。比較器1はDIFmaxと或値生成器1より出力される或値(以下THmaxとする)とを比較し、条件1としてDIFmax>THmaxであればYmaxを選択する信号SELmaxをアクティブにし、条件1が成立しない場合にはSELmaxをインアクティブにし出力する。また、減算器2はYminから注目画素の画素値を減じ、その差(以下DIFminとする)を生成する。比較器2はDIFminと或値生成器2より出力される或値(以下THminとする)とを比較し、条件2としてDIFmin>THminであればYminを選択する信号SELminをアクティブにし、条件2が成立しない場合にはSELminをインアクティブにし出力する。 【0018】 一般的に、レンズ系および光電変換部の開口率等による空間的ローパスフィルター効果により、光電変換素子の出力である画像信号の高域成分(ディテール)の振幅は小さくなるため、注目画素にパルスノイズが含まれていなければ、注目画素に対する近傍画素群の差分も小さくなると言える。従って、THmaxおよびTHminは、画素値の最大値に対して過剰に小さく設定すると画像信号のディテール成分が失われる恐れがあり、過剰に大きく設定するとキズそのものが検出できなくなるため、適切な値に設定する必要がある。 【0019】 (図1)において画素値選択器は、走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を出力端子1に出力する。 【0020】 (図5)は画素値選択器の詳細な構成例であり、1台のマルチプレクサから構成される。マルチプレクサは注目画素の画素値、Ymax、Yminの3信号を入力し、SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を出力端子2に出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを出力端子2に出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを出力端子2に出力する。ここで、前記ノイズ検出器の説明から解かるように、SELmaxおよびSELminを出力する条件から、SELmaxとSELminが共にアクティブとなることは有り得ない。」 〈発明の効果〉 「【0027】 【発明の効果】 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、有意な画像情報を損なうことなく、又、フィールドメモリのような巨大な記憶装置を必要とすることなく、被写体の動きに無関係に、白キズ又は黒キズのようにパルシブな画像欠陥を良好に除去することが可能となり、その実用的効果は大きい。」 (5)補正後発明1と刊行物1に記載された発明との対比・判断 ア 刊行物1に記載された発明 図1に示される画像雑音除去装置を刊行物1に記載された発明として認定する。 (ア)走査線メモリ 「走査線メモリは、入力端子1より入力される画像信号aを取り込み、注目画素の画素値bおよび、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する」(段落【0011】)ものであり、複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成され、「画素遅延器は入力信号を一画素分の走査時間だけ遅延させた信号を出力するものであり、ライン遅延器は入力信号を一水平走査時間だけ遅延させた信号を出力するものである。」(段落【0012】) 刊行物1に記載された画像雑音除去装置は、固体撮像素子の画素欠陥を良好に除去する装置である(段落【0002】?【0006】)から、刊行物1発明の「入力端子1に入力される画像信号a」は、固体撮像素子からの画像信号である。 (イ)最大最小値検出器 「最大最小値検出器は、走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する」(段落【0014】)ものである。 (ウ)ノイズ検出器 「ノイズ検出器は、走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力」し、「制御信号はYmaxを選択する信号であるSELmaxとYminを選択する信号であるSELminより構成される」(段落【0016】)ものである。 「(図4)はノイズ検出器の詳細な構成例であり、・・・減算器1は注目画素の画素値からYmaxを減じ、その差(以下DIFmaxとする)を生成する。比較器1はDIFmaxと或値生成器1より出力される或値(以下THmaxとする)とを比較し、条件1としてDIFmax>THmaxであればYmaxを選択する信号SELmaxをアクティブにし、条件1が成立しない場合にはSELmaxをインアクティブにし出力する。また、減算器2はYminから注目画素の画素値を減じ、その差(以下DIFminとする)を生成する。比較器2はDIFminと或値生成器2より出力される或値(以下THminとする)とを比較し、条件2としてDIFmin>THminであればYminを選択する信号SELminをアクティブにし、条件2が成立しない場合にはSELminをインアクティブにし出力する。」(段落【0017】) 「一般的に、レンズ系および光電変換部の開口率等による空間的ローパスフィルター効果により、光電変換素子の出力である画像信号の高域成分(ディテール)の振幅は小さくなるため、注目画素にパルスノイズが含まれていなければ、注目画素に対する近傍画素群の差分も小さくなると言える。従って、THmaxおよびTHminは、画素値の最大値に対して過剰に小さく設定すると画像信号のディテール成分が失われる恐れがあり、過剰に大きく設定するとキズそのものが検出できなくなるため、適切な値に設定する必要がある。」(段落【0018】) と記載されいる。特に、「THmaxおよびTHminは、画素値の最大値に対して過剰に小さく設定すると画像信号のディテール成分が失われる恐れがあり、過剰に大きく設定するとキズそのものが検出できなくなるため、適切な値に設定する必要がある。」(段落【0018】)の記載から、画像信号のディテール成分が失われる恐れがあるものの、THmax、THminを0と設定した(過剰に小さく設定した)技術が開示されていると認められる。この場合においても、白キズ、黒キズのような画像欠陥が除去されることは明らかである。 したがって、注目画素が近傍画素群の画素値群のcのうち最大の画素値Ymaxより大きい場合(DIFmax>0)は、最大の画素値Ymaxを出力し、注目画素が近傍画素群の画素値群のcのうち最小の画素値Yminより小さい場合(DIFmin>0))は、最小の画素値Yminを出力することが開示されていると認められる。 以上より、ノイズ検出器は、「走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素の画素値bがYmaxより大きい場合にYmaxを選択する信号であるSELmaxを制御信号として出力し、注目画素の画素値bがYminより小さい場合にYminを選択する信号であるSELminを制御信号として出力する」ものである。 (エ)画素値選択器 「画素値選択器は、走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を・・・出力する」(段落【0019】)ものであり、「SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を・・・出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを・・・に出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを・・・出力する」(段落【0020】)ものである。 (オ)刊行物1に記載された発明 以上より、刊行物1には、以下の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 「固体撮像素子から入力端子1より入力される画像信号aを取り込み、注目画素の画素値bおよび、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する走査線メモリであって、走査線メモリは、複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成され、画素遅延器は入力信号を一画素分の走査時間だけ遅延させた信号を出力するものであり、ライン遅延器は入力信号を一水平走査時間だけ遅延させた信号を出力するものである走査線メモリと、 走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する最大最小値検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素の画素値bがYmaxより大きい場合にYmaxを選択する信号であるSELmaxを制御信号として出力し、注目画素の画素値bがYminより小さい場合にYminを選択する信号であるSELminを制御信号として出力するノイズ検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を出力し、SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを出力する画素値選択器と を具える画像雑音除去装置。」 イ 補正後発明1と刊行物1発明との対比 (ア)「メモリ回路」 固体撮像素子は、「イメージセンサアレイ」といえ、固体撮像素子からの画像信号は、「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データ」といえる。 刊行物1発明の「走査線メモリ」は、「メモリ回路」といえる。刊行物1発明における「画像データ」といえる「画像信号」は、「カラー画像信号」ではなく、「画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む」といえず、補正後発明1の「メモリ回路」と相違する。 さらに、刊行物1発明の「走査線メモリ」は、「固体撮像素子から入力端子1より入力される画像信号aを取り込」むものであり、固体撮像素子、すなわちイメージセンサアレイは、通常行毎に、すなわちライン毎にデータを出力するものであり、画像に必要な固体撮像素子の全ての行のデータを出力するものであるからるから、「イメージセンサアレイから得られる画像から、画像データの複数の画像データラインを受けるメモリ回路」といえ、「各画像データラインが、イメージセンサアレイ中の画素の1ラインに対応する信号値データを含」むものといえる。 したがって、刊行物1発明の「走査線メモリ」は、「イメージセンサアレイから得られる画像から、画像データの複数の画像データラインを受けるメモリ回路であって、各画像データラインが、イメージセンサアレイ中の画素の1ラインに対応する信号値データを含みうるようにする当該メモリ回路」といえる。もっとも、「画像データ」が、「画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」でない点で、補正後発明1と相違する。 (イ)「補正回路」 刊行物1発明は、 「走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する最大最小値検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素の画素値bがYmaxより大きい場合にYmaxを選択する信号であるSELmaxを制御信号として出力し、注目画素の画素値bがYminより小さい場合にYminを選択する信号であるSELmaxを制御信号として出力するノイズ検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を出力し、SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを出力する画素値選択器」 を具えている。 上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、注目画素の画素値bが近傍画素群の画素値群cの最大の画素値Ymaxより大きい場合にYmaxを出力し、注目画素の画素値bが近傍画素群の画素値群cの最小の画素値Yminより小さい場合にYminを出力するものである。 注目画素の画素値bは、Ymax、Yminと比較されるものであるから、注目画素は検査画素といえ、検査画素の信号値を検査しているといえる。 また、刊行物1発明における上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、「走査線メモリ」より出力される画素値を用いるものであり、「走査線メモリ」は、「注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する」ものである。刊行物1の段落【0012】には、「M=N=3」についての記載があり、これは注目画素と8つの近傍画素についての記載である。 そうすると、上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、注目画素と8つの近傍画素を用いて検査しているといえる。 そして、「注目画素の画素値bが近傍画素群の画素値群cの最大の画素値Ymaxより大きい場合にYmaxを出力」することは、「注目画素の画素値bが近傍画素群の画素値群の画素値の全てより大きい場合にYmaxを出力」することといえ、「注目画素の画素値bが近傍画素群の画素値群cの最小の画素値Yminより小さい場合にYminを出力する」ことは、「注目画素の画素値bが近傍画素群の画素値群の画素値の全てより小さい場合にYminを出力する」といえる。 したがって、上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、 「このメモリ回路から画像データを受ける補正回路であって、イメージセンサアレイ中の検査画素の信号値を、この検査画素と少なくとも8つの周囲画素の信号値データとを用い、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも大きい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最大の信号値に置き換えるか、或いは、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも小さい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最小の信号値に置き換えるようにする当該補正回路」といえる。 もっとも、「少なくとも8つの周囲画素の信号値」が、刊行物1発明においては、「同じ種類の色を有(する)」していない点で、補正後発明1と相違し、 「検査画素と少なくとも8つの周囲画素の信号値データとを用い」ることが、刊行物1発明においては、検査画素と少なくとも8つの周囲画素の信号値データと「比較」していない点で、補正後発明1と相違する。 (ウ)「画素画像データ補正装置」 刊行物1発明は、上記(イ)のとおり、画素画像データを補正するので、「画素画像データ補正装置」といえる。 ウ 一致点、相違点 そうすると、補正後発明1と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] イメージセンサアレイから得られる画像から、画像データの複数の画像データラインを受けるメモリ回路であって、各画像データラインが、イメージセンサアレイ中の画素の1ラインに対応する信号値データを含みうるようにする当該メモリ回路と、 このメモリ回路から画像データを受ける補正回路であって、イメージセンサアレイ中の検査画素の信号値を、この検査画素と少なくとも8つの周囲画素の信号値データとを用い、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも大きい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最大の信号値に置き換えるか、或いは、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも小さい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最小の信号値に置き換えるようにする当該補正回路と を具える画素画像データ補正装置。 [相違点1] 「画像データ」が、補正後発明1においては、「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」であるのに対し、刊行物1発明においては、そうではなく、 この相違に伴い、「補正回路」における「少なくとも8つの周囲画素」が、補正後発明1においては「同じ種類の色を有する」ものであるのに対し、刊行物1発明においては、そうではない点。 [相違点2] 「検査画素と少なくとも8つの周囲画素とを用い」ることが、補正後発明1においては、「検査画素と少なくとも8つの周囲画素とを比較(し、)」するのに対し、刊行物1発明においてはそうではない点。 エ 相違点の判断等 (ア)相違点1について イメージセンサアレイとして、3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するものは周知であるから、刊行物1発明における「固体撮像素子」を周知の3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するイメージセンサアレイに置き換えることは、当業者が容易になし得ることである。その際、「補正回路」における検査を検査画素と同じ種類の色を有する8つの画素を用いて行うようにすることは自然なことであり、そのようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 (イ)相違点2について 刊行物1発明は、注目画素の値と近傍画素値群とから注目画素の値を近傍画素値群の最大値又は最小値にするか、すなわち注目画素の値を補正するかを、近傍画素値群の最大値、最小値を検出し、注目画素の値と該最大値、最小値の差を求めて、この差に基づいて判定している。 注目画素の値が近傍画素値群の最大値より大きいか、注目画素の値が近傍画素値群の最小値より小さいか、どちらでもないのかを判定するのに、近傍画素値群の最大値、最小値を直接求めるのではなく、注目画素の値と近傍画素値群それぞれの値と差を求め、この差に基づいて判定できることは明らかである。すなわち、注目画素の値が近傍画素群のそれぞれの値より全て大きい場合が、注目画素の値が近傍画素群の最大値より大きい場合であり、注目画素の値が近傍画素群のそれぞれの値より全て小さい場合が、注目画素の値が近傍画素群の最小値より小さい場合である。 そうすると、刊行物1発明において、「検査画素と少なくとも8つの周囲画素とを比較(し、)」するようにすることは、当業者にとって容易である。 また、上記(ア)のとおり、刊行物1発明における「固体撮像素子」を周知の3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するイメージセンサアレイに置き換えることは、当業者が容易になし得ることであり、上記イメージセンサアレイに置き換えることにより、画像データは、「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」となることは明らかであり、「補正回路」における検査を検査画素と同じ種類の色を有する8つの画素を用いて行うようにすることは自然なことであり、そのようにすることは、当業者が容易になし得ることであるから、刊行物1発明を「この検査画素と同じ種類の色を有する少なくとも8つの周囲画素とを比較(し、)」するようにすることは、当業者にとって容易である。 (ウ)その他 上記イの対比においては、「画像データ」が「画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」でない点を除き、刊行物1発明の「走査線メモリ」が補正後発明1の「メモリ回路」と、一致するとしたが、メモリ回路の構成が、刊行物1発明においては、走査線メモリが複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成されている点で、補正後発明1の「メモリ回路」と相違するとも認定できる。 この点について検討すると、刊行物1発明の複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成されている「走査線メモリ」は画像データを記憶するものであるから、上記「走査線メモリ」に代えて周知のメモリとすることは当業者が容易になし得ることである。 (エ)効果等 以上のように、相違点1?2に係る構成はいずれも当業者が容易に想到できたものである。そして、これらの相違点に係る構成を総合しても、補正後発明1が奏する効果は、当業者が容易に予測できたものである。 したがって、補正後発明1は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に反している。 (6)補正後発明6と刊行物1に記載された発明との対比・判断 ア 刊行物1に記載された発明 図1に示される画像雑音除去装置を刊行物1に記載された発明として認定する。 (ア)走査線メモリ 「走査線メモリは、入力端子1より入力される画像信号aを取り込み、注目画素の画素値bおよび、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する」(段落【0011】)ものであり、複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成され、「画素遅延器は入力信号を一画素分の走査時間だけ遅延させた信号を出力するものであり、ライン遅延器は入力信号を一水平走査時間だけ遅延させた信号を出力するものである。」(段落【0012】) 刊行物1に記載された画像雑音除去装置は、固体撮像素子の画素欠陥を良好に除去する装置である(段落【0002】?【0006】)から、刊行物1発明の「入力端子1に入力される画像信号a」は、固体撮像素子からの画像信号である。 (イ)最大最小値検出器 「最大最小値検出器は、走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する」(段落【0014】)ものである。 (ウ)ノイズ検出器 「ノイズ検出器は、走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力」し、「制御信号はYmaxを選択する信号であるSELmaxとYminを選択する信号であるSELminより構成される」(段落【0016】)ものである。 (エ)画素値選択器 「画素値選択器は、走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を・・・出力する」(段落【0019】)ものであり、「SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を・・・出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを・・・出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを・・・出力する」(段落【0020】)ものである。 (オ)刊行物1に記載された発明 以上より、刊行物1には、以下の発明(以下「刊行物1発明2」という。)が記載されていると認められる。 「固体撮像素子から入力端子1より入力される画像信号aを取り込み、注目画素の画素値bおよび、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する走査線メモリであって、走査線メモリは、複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成され、画素遅延器は入力信号を一画素分の走査時間だけ遅延させた信号を出力するものであり、ライン遅延器は入力信号を一水平走査時間だけ遅延させた信号を出力するものである走査線メモリと、 走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する最大最小値検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力し、制御信号はYmaxを選択する信号であるSELmaxとYminを選択する信号であるSELminより構成されるノイズ検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を出力し、SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを出力する画素値選択器と を具える画像雑音除去装置。」 イ 補正後発明6と刊行物1発明2との対比 (ア)「複数のメモリバンク」、「複数組のシフトレジスタ」 固体撮像素子は、「イメージセンサアレイ」といえ、固体撮像素子からの画像信号は、「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データ」といえる。 刊行物1発明2は、「走査線メモリ」を具えているものの、刊行物1発明2における「画像データ」といえる「画像信号」は、「カラー画像信号」ではなく、「画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む」といえず、 さらに、刊行物1発明2は、 「画像データラインであって、各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データラインを、各メモリバンクが受けて一時的に記憶するようにした複数のメモリバンクと、 前記複数のメモリバンクから画像データを受ける各メモリバンクに対する複数の組のシフトレジスタ」 とを具えていない点で補正後発明6と相違する。 (イ)「補正回路」 a 刊行物1発明2は、 「走査線メモリより同時に出力される近傍画素群の画素値群cのうち最大の画素値をYmax、および最小の画素値をYminとして出力する最大最小値検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素の画素値bと、最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力し、制御信号はYmaxを選択する信号であるSELmaxとYminを選択する信号であるSELminより構成されるノイズ検出器と、 走査線メモリより出力される注目画素および最大最小値検出器より出力されるYmaxおよびYminと、ノイズ検出器より出力されるSELmax、SELminを入力し、SELmax、SELminを元に注目画素、Ymax、Yminのうち何れか一つの画素値を出力し、SELmaxとSELminが共にインアクティブであれば注目画素の画素値を出力し、SELmaxがアクティブでSELminがインアクティブであればYmaxを出力し、SELmaxがインアクティブでSELminがアクティブであればYminを出力する画素値選択器と」 を具えている。 上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、注目画素の画素値bを最大最小値検出回路より出力されるYmaxおよびYminとから、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定し判定結果を制御信号として出力し、制御信号SELmaxまたはSELminがアクティブの場合(ノイズが含まれている場合)、YmaxまたはYminを出力するものである。 注目画素の画素値bは、注目画素にノイズが含まれているか否かを判定されるから、注目画素は検査画素といえ、検査画素の信号値を検査しているといえる。 したがって、上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、 「画像データ中の検査画素の信号値を検査して、この検査画素の信号値に欠陥があるかどうかを決定し、欠陥が見出された場合に、欠陥のある信号値を補正する補正回路」といえる。 もっとも、刊行物1発明2は、「シフトレジスタ」を具えていないから、「画像データ」が、「シフトレジスタの1つの組における画像データ」ではない点で、補正後発明6と相違する。 b 刊行物1発明2における上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、「走査線メモリ」より出力される画素値を用いるものであり、「走査線メモリ」は、「注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する」ものである。刊行物1の段落【0012】には、「M=N=3」についての記載があり、これは注目画素と8つの近傍画素についての記載である。 そうすると、上記「最大最小値検出器」、「ノイズ検出器」、「画素値選択装置」は、注目画素と8つの近傍画素を用いて検査しているといえるから、「前記検査画素の信号値を、この検査画素を囲むとともにこの検査画素と少なくとも8つの画素を用いて前記検査画素を検査するようにした当該補正回路」といえる。 もっとも、刊行物1発明2における「画像データ」は、「カラー画像データ」ではないから、「少なくとも8つの画素」が「同じ種類の色を有する少なくとも8つの画素」でない点で、補正後発明6と相違し、 「少なくとも8つの画素を用いて前記検査画素を検査する」ことが、刊行物発明においては「8つの画素のそれぞれの信号値と比較することにより」検査をしていない点で、補正後発明6と相違する。 (ウ)「画素画像データ補正装置」 刊行物1発明2は、上記(イ)のとおり、画素画像データを補正するので、「画素画像データ補正装置」といえる。 ウ 一致点、相違点 そうすると、補正後発明6と刊行物1発明2との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] イメージセンサアレイから得られる画像の画像データ中の検査画素の信号値を検査して、この検査画素の信号値に欠陥があるかどうかを決定し、欠陥が見出された場合に、欠陥のある信号値を補正する補正回路であって、この補正回路は、前記検査画素の信号値を、この検査画素を囲むとともにこの検査画素と少なくとも8つの画素を用いて前記検査画素を検査するようにした当該補正回路と を具える画素画像データ補正装置。 [相違点1] 「画像データ」が、補正後発明6においては、「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」であるのに対し、刊行物1発明2においては、そうではなく、 この相違に伴い、「補正回路」における「8つの画素」が、補正後発明6においては「同じ種類の色を有する」ものであるのに対し、刊行物1発明2においては、そうではない点。 [相違点2] 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データ」が、 補正後発明6においては、 「画像データのラインである画像データラインであって、各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データラインを、各メモリバンクが受けて一時的に記憶するようにした複数のメモリバンクと、 前記複数のメモリバンクから画像データを受ける各メモリバンクに対する複数の組のシフトレジスタと、 シフトレジスタの1つの組における」画像データ であるのに対し、刊行物1発明2においてはそうではない点。 [相違点3] 「検査画素と少なくとも8つの画素を用いて前記検査画素を検査する」ことが、補正後発明6においては、「8つの画素のそれぞれの信号値と比較することにより」検査するのに対し、刊行物1発明2においてはそうではない点。 エ 相違点の判断等 (ア)相違点1について イメージセンサアレイとして、3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するものは周知であるから、刊行物1発明2における「固体撮像素子」を周知の3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するイメージセンサアレイに置き換えることは、当業者が容易になし得ることである。その際、「補正回路」における検査を検査画素と同じ種類の色を有する8つの画素を用いて行うようにすることは自然なことであり、そのようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 (イ)相違点2について 刊行物1発明2の「走査線メモリ」は、 「固体撮像素子から入力端子1より入力される画像信号aを取り込み、注目画素の画素値bおよび、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する走査線メモリであって、走査線メモリは、複数のライン遅延器と複数の画素遅延器により構成され、画素遅延器は入力信号を一画素分の走査時間だけ遅延させた信号を出力するものであり、ライン遅延器は入力信号を一水平走査時間だけ遅延させた信号を出力するものである」。 すなわち、「走査線メモリ」は、固体撮像素子からの画像信号を取り込み、注目画素を中心に走査線方向にN画素、走査線に直交する方向にMライン分の2次元的に近接する画素群から注目画素を除いたN×M-1画素の画素値よりなる近傍画素値群cを出力する ものである。 近傍画素値群を得るために、Mライン分のデータをメモリに記憶し、記憶した画素値から、近傍画素群のN×M-1画素の画素値を得るために、シフトレジスタを用いることは、当業者が容易になし得ることである。そして、Mライン分のデータを記憶するメモリをM個の1ライン分のメモリで構成できることは明らかである。 また、固体撮像素子、すなわちイメージセンサアレイは、通常行毎に、すなわちライン毎にデータを読み出すものである。 そうすると、刊行物1発明2の注目画素の値と近傍画素群を出力する「走査線メモリ」に代えて、複数の1ライン分のメモリ及び複数のシフトレジスタを用いて、 「画像データのラインである画像データラインであって、各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データラインを、各メモリバンクが受けて一時的に記憶するようにした複数のメモリバンクと、 前記複数のメモリバンクから画像データを受ける各メモリバンクに対する複数の組のシフトレジスタと、 シフトレジスタの1つの組における」画像データ中の検査画素の信号値を検査するようにすることは、当業者にとって容易である。 また、上記(ア)のとおり、刊行物1発明2における「固体撮像素子」を周知の3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するイメージセンサアレイに置き換えることは、当業者が容易になし得ることであり、上記イメージセンサアレイに置き換えることにより、画像データは、「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」となることは明らかであるから、刊行物1発明2を 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データのラインである画像データラインであって、画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データラインを、各メモリバンクが受けて一時的に記憶するようにした複数のメモリバンクと、 前記複数のメモリバンクから画像データを受ける各メモリバンクに対する複数の組のシフトレジスタと、 シフトレジスタの1つの組における」画像データ中の検査画素の信号値を検査するようにすることは、当業者にとって容易である。 (ウ)相違点3について 刊行物1発明2は、注目画素の値と近傍画素値群とから注目画素の値を近傍画素値群の最大値又は最小値にするか、すなわち注目画素の値を補正するかを、近傍画素値群の最大値、最小値を検出し、注目画素の値と該最大値、最小値の差を求めて、この差に基づいて判定している。 注目画素の値が近傍画素値群の最大値より大きいか、注目画素の値が近傍画素値群の最小値より小さいか、どちらでもないのかを判定するのに、近傍画素値群の最大値、最小値を直接求めるのではなく、注目画素の値と近傍画素値群それぞれの値と差を求め、この差に基づいて判定できることは明らかである。すなわち、注目画素の値が近傍画素群のそれぞれの値より全て大きい場合が、注目画素の値が近傍画素群の最大値より大きい場合であり、注目画素の値が近傍画素群のそれぞれの値より全て小さい場合が、注目画素の値が近傍画素群の最小値より小さい場合である。 そうすると、上記イ(イ)bのとおり、近傍画素群は8つの画素といえるから、刊行物1発明2において、「8つの画素のそれぞれの信号値と比較することにより」検査するようにすることは、当業者にとって容易である。 また、上記(ア)のとおり、刊行物1発明2における「固体撮像素子」を周知の3つの異なる色を有するカラー画像データを出力するイメージセンサアレイに置き換えることは、当業者が容易になし得ることであり、上記イメージセンサアレイに置き換えることにより、画像データは、「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データ」となることは明らかであり、「補正回路」における検査を検査画素と同じ種類の色を有する8つの画素を用いて行うようにすることは自然なことであり、そのようにすることは、当業者が容易になし得ることであるから、刊行物1発明2を「この検査画素と同じ種類の色を有する少なくとも8つの画素のそれぞれの信号値と比較することにより」検査するようにすることは、当業者にとって容易である。 (エ)効果等 以上のように、相違点1?3に係る構成はいずれも当業者が容易に想到できたものである。そして、これらの相違点に係る構成を総合しても、補正後発明6が奏する効果は、当業者が容易に予測できたものである。 したがって、補正後発明6は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に反している。 3 まとめ 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成20年10月6日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成20年3月4日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の各請求項に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1、6に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」、「本願発明6」という。)は下記のとおりである。 記(本願発明1) 「イメージセンサアレイから得られる画像から複数の画像データラインを受けるメモリ回路であって、各画像データラインが、イメージセンサアレイ中の画素の1ラインに対応する信号値データを含みうるようにする当該メモリ回路と、 このメモリ回路から画像データを受ける補正回路であって、イメージセンサアレイ中の検査画素の信号値を、この検査画素と同じ種類の色を有する少なくとも8つの周囲画素の信号値データと比較し、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも大きい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最大の信号値に置き換えるか、或いは、検査画素の信号値が8つの周囲画素の信号値の全てよりも小さい場合には、検査画素の信号値を8つの周囲画素の中から最小の信号値に置き換えるようにする当該補正回路と を具える画素画像データ補正装置。」 記(本願発明6) 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データラインであって、各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データラインを、各メモリバンクが受けて一時的に記憶するようにした複数のメモリバンクと、 前記複数のメモリバンクから画像データを受ける各メモリバンクに対する複数の組のシフトレジスタと、 シフトレジスタの1つの組における画像データ中の検査画素の信号値を検査して、この検査画素の信号値に欠陥があるかどうかを決定し、欠陥が見出された場合に、欠陥のある信号値を補正する補正回路であって、この補正回路は、前記検出画素の信号値を、この検査画素を囲むとともにこの検査画素と同じ種類の色を有する少なくとも8つの画素のそれぞれの信号値と比較することにより、前記検出画素を検査するようにした当該補正回路とを具える画素画像データ補正装置。」 2 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の2(4)に記載したとおりである。 3 本願発明1と引用文献1に記載された発明との対比・判断 本願発明1は、補正後発明1の 「イメージセンサアレイから得られる画像から、少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データの複数の画像データラインを受けるメモリ回路」 における「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む画像データ」の 「少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含む」の限定をなくしたものであり、その他は補正後発明1と同じである。 引用文献1に記載された発明は、上記第2の2(5)ア(オ)に記載した刊行物1発明と同じである。 本願発明1を限定した補正後発明1は、上記第2の2(5)のとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術により当業者が容易に発明できたものであるから、同じの理由により本願発明1は、引用文献1に記載された発明及び周知技術により当業者が容易に発明できたものである。 4 本願発明6と引用文献1に記載された発明との対比・判断 本願発明6は、補正後発明6の 「イメージセンサアレイから得られる画像の画像データのラインである画像データラインであって、画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインがそれぞれイメージセンサアレイ中の画素の1ラインに相当する信号値データを含んでいる当該各画像データライン」 における「画像データのラインである画像データライン」の「画像データのラインである」の限定をなくし、さらに、「画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに各画像データラインが」の「画像データは少なくとも3つの異なる色を有するカラー画像データを含むとともに」の限定をなくしたものであり、その他は補正後発明1と同じである。 引用文献1に記載された発明は、上記第2の2(6)ア(オ)に記載した刊行物1発明2と同じである。 本願発明6を限定した補正後発明6は、上記第2の2(6)のとおり、引用文献1に記載された発明及び周知技術により当業者が容易に発明できたものであるから、同じの理由により本願発明1は、引用文献1に記載された発明及び周知技術により当業者が容易に発明できたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1、6に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、残る請求項2?5、7?49に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のように審決する。 |
審理終結日 | 2011-03-23 |
結審通知日 | 2011-03-29 |
審決日 | 2011-04-11 |
出願番号 | 特願2004-510229(P2004-510229) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N) P 1 8・ 121- Z (H04N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 勝久 |
特許庁審判長 |
奥村 元宏 |
特許庁審判官 |
▲徳▼田 賢二 小池 正彦 |
発明の名称 | 画素画像データ補正装置及び方法、並びに画像処理装置及び処理システム |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 澤田 達也 |
代理人 | 英 貢 |