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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q |
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管理番号 | 1242766 |
審判番号 | 不服2008-24053 |
総通号数 | 142 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-09-18 |
確定日 | 2011-09-08 |
事件の表示 | 特願2002-328146「電子プリント注文用プログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 6月10日出願公開、特開2004-164184〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成14年11月12日の出願であって、平成20年4月11日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月16日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年8月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月18日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同年10月17日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成20年10月17日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年10月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 平成20年10月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は以下のように補正された。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 画像データを取り込む処理と、 前記画像データによるサムネイル画像を表示部に表示する処理と、 前記表示中のサムネイル画像の中からプリント注文画像を選ぶ指示を受けつける処理と、 前記指示を受けたサムネイル画像に対応する画像データの所定の属性情報に基づいて、前記プリント注文画像を複数のグループに仕分けする仕分け情報を作成する処理と、 受取人、受取場所、支払い方法、納品方法、および希望納期のうち少なくとも一つを注文情報として前記複数のグループごとに受けつける処理と、 前記注文情報、前記仕分け情報、および前記仕分け情報で示されるプリント注文画像に対応する画像データを、ネットワークを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とをコンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラム。 【請求項2】 請求項1に記載の電子プリント注文用プログラムにおいて、 前記プリント注文画像を選ぶ指示を受けつける処理は、前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している所定の仕分け領域にドロップさせる操作を受けつける処理であり、 前記仕分け情報を作成する処理は、前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを前記複数のグループのうちの一つに関連づける処理であることを特徴とする電子プリント注文用プログラム。 【請求項3】 請求項1または2に記載の電子プリント注文用プログラムにおいて、 前記属性情報は、画像データの撮影日時、撮影者、撮影したカメラの機種、撮影テーマ、およびタイトルのうちいずれか一つを示す情報であることを特徴とする電子プリント注文用プログラム。 【請求項4】 画像データを取り込む処理と、 前記画像データによるサムネイル画像と、複数のグループにそれぞれ対応させた仕分け領域とを表示部に表示する処理と、 前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している前記仕分け領域にドロップさせる操作を受けつける処理と、 前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを、該ドロップ先の仕分け領域に対応するグループに関連づける仕分け情報を作成する処理と、 前記ドロップ操作に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部に表示する処理と、 前記プリントサイズおよび前記プリント枚数の指示を、前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報として受けつける処理と、 前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、ネットワークを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とをコンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラム。 【請求項5】 画像データを取り込む処理と、 前記画像データによるサムネイル画像を表示部に表示する処理と、 前記表示中のサムネイル画像の中からプリント注文画像を選ぶ指示を受けつける処理と、 前記指示を受けたサムネイル画像に対応する画像データの所定の属性情報に基づいて、前記プリント注文画像を複数のグループに仕分けする仕分け情報を作成する処理と、 受取人、受取場所、支払い方法、納品方法、および希望納期のうち少なくとも一つを注文情報として前記複数のグループごとに受けつける処理と、 前記注文情報、前記仕分け情報、および前記仕分け情報で示されるプリント注文画像に対応する画像データを、ネットワークを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とをコンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 【請求項6】 画像データを取り込む処理と、 前記画像データによるサムネイル画像と、複数のグループにそれぞれ対応させた仕分け領域とを表示部に表示する処理と、 前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している前記仕分け領域にドロップさせる操作を受けつける処理と、 前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを、該ドロップ先の仕分け領域に対応するグループに関連づける仕分け情報を作成する処理と、 前記ドロップ操作に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部に表示する処理と、 前記プリントサイズおよび前記プリント枚数の指示を、前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報として受けつける処理と、 前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、ネットワークを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とをコンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 メモリと、表示部と、操作部と、ネットワークと通信可能なインターフェースとを有するコンピュータに実行させるための電子注文用プログラムであって、 画像データを前記メモリに取り込む処理と、 前記画像データによるサムネイル画像と、複数のグループにそれぞれ対応させた仕分け領域とを前記表示部に表示させる処理と、 前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している前記仕分け領域にドロップさせるための操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを、該ドロップ先の仕分け領域に対応するグループに関連づける仕分け情報を作成して前記メモリに記憶させる処理と、 前記ドロップ操作信号に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部にポップアップ表示させる処理と、 前記入力表示中に前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を示す操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報として前記メモリに記憶させる処理と、 前記メモリに記憶された前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、前記インターフェースを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とを前記コンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラム。 【請求項2】 メモリと、表示部と、操作部と、ネットワークと通信可能なインターフェースとを有するコンピュータに実行させるための電子注文用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、 画像データを前記メモリに取り込む処理と、 前記画像データによるサムネイル画像と、複数のグループにそれぞれ対応させた仕分け領域とを前記表示部に表示させる処理と、 前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している前記仕分け領域にドロップさせるための操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを、該ドロップ先の仕分け領域に対応するグループに関連づける仕分け情報を作成して前記メモリに記憶させる処理と、 前記ドロップ操作信号に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部にポップアップ表示させる処理と、 前記入力表示中に前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を示す操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報として前記メモリに記憶させる処理と、 前記メモリに記憶された前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、前記インターフェースを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とを前記コンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」 (なお、下線は、本件補正による補正箇所を示すものとして手続補正書において審判請求人が付与したものを援用したものである。) 2 補正の適否 (1)本件補正 特許請求の範囲は、本件補正により、以下のア?オの点について補正されている。 ア 本件補正前の特許請求の範囲から請求項1?3及び5を削除するとともに、 本件補正前の特許請求の範囲の請求項4(以下、「旧請求項4」という。)を本件補正後の特許請求の範囲の請求項1(以下、「新請求項1」という。)に、 本件補正前の特許請求の範囲の請求項6(以下、「旧請求項6」という。)を本件補正後の特許請求の範囲の請求項2(以下、「新請求項2」という。)とすること。 イ 旧請求項4を新請求項1に改め、 「メモリと、表示部と、操作部と、ネットワークと通信可能なインターフェースとを有するコンピュータに実行させるための電子注文用プログラムであって、」を追加し、 「画像データを取り込む処理」を、「画像データを前記メモリに取り込む処理」に改め、 「表示部に表示する処理」を、「前記表示部に表示させる処理」に改め、 「ドロップさせるための操作を受けつける処理」を、「ドロップさせるための操作信号を前記操作部から受けつける処理」に改め、 「仕分け情報を作成する処理」を、「仕分け情報を作成して前記メモリに記憶させる処理」に改め、 「前記ドロップ操作」を、「前記ドロップ操作信号」に改め、 「前記プリントサイズおよび前記プリント枚数の指示を、前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報として受けつける処理と、」を、「前記入力表示中に前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を示す操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報として前記メモリに記憶させる処理と、」に改め、 「前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、ネットワークを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理」を、「前記メモリに記憶された前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、前記インターフェースを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理」に改めること。 ウ 旧請求項4を新請求項1に改め、 「前記ドロップ操作に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部に」対して、「表示する処理」を「ポップアップ表示させる処理」とすること。 エ 旧請求項6を新請求項2に改め、上記イと同様の補正を行うこと。 オ 旧請求項6を新請求項2に改め、上記ウと同様の補正を行うこと。 (2)上記アに係る補正の適否 上記アに係る補正は、請求項を削除したものである。 このため、上記アに係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に規定される請求項の削除を目的とする補正に該当する。 (3)上記イ及びエに係る補正の適否 本件補正による補正前の全ての請求項(請求項1?6)は、平成20年8月15日付け拒絶査定の理由2(特許法第36条第6項第2号)において、「コンピュータがどのような具体的情報処理を実行するのか、また、その情報処理に際して、コンピュータが備えるいかなるハードウエア資源がどのように用いられているのかが明らかでない。」と指摘されている。 上記イに係る補正は、プログラムによる動作に関して、コンピュータの各構成における動作を特定することにより、コンピュータの各構成における動作が明確になるように改めたものである。このため、上記イの補正は、上記の指摘事項に対して、特許請求の範囲の記載を明りょうにする事を目的とした補正と認められる。 また、上記エについても同様である。 このため、上記イ及びエに係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に規定される明りょうでない記載の釈明を目的とする補正に該当する。 (4)上記ウ及びオに係る補正の適否 上記ウに係る補正は、「前記ドロップ操作に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部に表示する処理」について、「表示する処理」を「ポップアップ表示させる処理」と限定するものである。 また、上記オについても同様である。 このため、上記ウ及びオに係る補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項に規定された事項を目的とする補正に該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3 引用例 原査定の拒絶の理由において引用された特開2002-259762号公報(平成14年9月13日発行。以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。(以下、「引用例1摘記事項」という。) ・「【0005】ここで「注文情報」とは、具体的にはサービス内容(通常プリント、ポストカード作成等)を指定する処理番号、写真を指定する画像番号(画像データのファイル番号)、プリントサイズ、プリント枚数、プリント面質(艶あり、艶なし)、紙厚、写真処理の内容、トリミングの指定情報等のことである。また、注文を行うユーザの氏名、住所、郵便番号、電話番号等の情報も含む。」 ・「【0024】ユーザ1は、モニタ11、キーボードとマウスとからなる入力手段12およびハードディスク13等を備えたパソコンをユーザ端末10として有しており、インターネットや専用線等のネットワーク4を介してプリント受注センタ2に対してプリント注文を行うことが可能である。」 ・「【0025】なお、ユーザ1には、画像の表示、注文情報Cの生成および送信を行う機能を有するビューアーソフトが記録されたCD-Rが前もって渡されており、ユーザ1は、渡されたCD-Rをユーザ端末10に設けられたCD-ROMドライブ(不図示)にセットし、CD-Rに記録されたビューアーソフトをユーザ端末10にインストールする。これにより、ユーザ1はビューアーソフトを用いて、画像データSの閲覧、加工、画像データSについての注文内容を表す注文情報Cの作成、およびプリント注文を行うことができる。なお、プリント注文時には、ビューアーソフトによりユーザ端末10が受注センタ2にアクセスし、注文情報Cおよびプリントを依頼する画像データSを受注センタ2に送信する。」 ・「【0032】図3はモニタ11に表示される一覧表示画面60を示す図である。図3に示すように、この一覧表示画面60には、上記CD-Rに記録された画像データについてのサムネイル画像TSが表示され、(途中略)プリント注文する画像データSを登録するための注文ボックスアイコン16が表示される。」 ・「【0036】ユーザ1はモニタ11の一覧表示画面60に表示されたサムネイル画像TSからプリント注文を行うサムネイル画像を注文ボックスアイコン16にドラッグアンドドロップすることにより、注文ボックスアイコン16にプリント注文を行う画像データSを登録する(ステップS3)。」 ・「【0040】そして、注文ボックスアイコン16をクリックすることにより、注文ボックスアイコン16が開かれたか否かが判断され(ステップS4)、ステップS4が否定された場合には、ユーザによるプリント注文を行う画像データSの登録が未了であるとしてさらなるサムネイル画像TSの登録を受け付けるべくステップS3に戻る。ステップS4が肯定された場合には、登録された画像データSについてのプリント内容を設定するための設定画面が表示される(ステップS5)。」 ・「【0044】ユーザ1は、図5および図6に示す設定画面62,63において、プリント注文内容の設定を行う(ステップS6)。このプリント注文内容の設定は、通常プリントの場合には設定画面62のサムネイル画像TSをクリックし、入力フィールド41においてプリントサイズおよび枚数を入力することにより行う。」 ・「【0053】一方、ステップS7が否定された場合、すなわちインターネットで注文ボタン49がクリックされた場合、(途中略)ステップS16において注文内容の確認画面が表示され(確認画面65とは異なり、Webブラウザに表示される)。そして、Webブラウザに表示された完了ボタンをクリックするとステップS17が肯定されて、画像データSおよび注文情報Cがネットワーク4経由で受注センタ2の注文受付サーバ21に送信され(ステップS18)、処理を終了する。」 ・「【0062】なお、上記実施形態においては、1つの注文ボックスアイコン16のみを表示し、ここにドラッグアンドドロップされた画像を1つの注文ボックスフォルダ18に登録しているが、図9に示すように複数の注文ボックスアイコン16A,16B,16Cをモニタ11に表示し、これに対応させて複数の注文ボックスフォルダ18A,18B,18Cを作成してもよい。この場合、各注文ボックスアイコン16A,16B,16Cを例えば自分用1、自分用2、他人用のように分類しておくことにより、画像データの分類を容易に行うことができる。」 上記引用例1摘記事項及び関連する図の記載によれば、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「モニタ、キーボードとマウスとからなる入力手段およびハードディスクを備え、インターネットや専用線等のネットワークを介してプリント注文を行うユーザ端末において、当該ユーザ端末にインストールされ、画像データの閲覧、加工、画像データについての注文内容を表す注文情報の作成、およびプリント注文を行うことができるビューアーソフトであって、 一覧表示画面に、CD-Rに記録された画像データについてのサムネイル画像が表示され、プリント注文する画像データを登録するための注文ボックスアイコンが表示され、 複数の注文ボックスフォルダに対応させた複数の注文ボックスアイコンをモニタに表示し、 モニタの一覧表示画面に表示されたサムネイル画像からプリント注文を行うサムネイル画像を注文ボックスアイコンにドラッグアンドドロップすることにより、注文ボックスアイコンにプリント注文を行う画像データを登録し、 注文ボックスアイコンをクリックすることにより、登録された画像データについてのプリント内容を設定するための設定画面が表示され、 設定画面のサムネイル画像をクリックすると、入力フィールドにおいてプリントサイズおよび枚数を入力することができ、 注文情報とは、プリントサイズ、プリント枚数等のことであり、 インターネットで注文ボタンがクリックされた場合、画像データおよび注文情報がネットワーク経由で受注センタの注文受付サーバに送信される との動作をユーザ端末に実行させるビューアーソフト。」 4 対比 本願補正発明と引用発明とを比較する。 引用発明の「ハードディスク」は、本願補正発明の「メモリ」に相当し、以下同様に、 「モニタ」は、「表示部」に、 「入力手段」は、「操作部」に、 「ネットワーク」は、「ネットワーク」に、 「ユーザ端末」を「ネットワーク」に接続する構成は、「インターフェース」に、 「ユーザ端末」は、「コンピュータ」に、 「画像データ」は、「画像データ」に、 「注文ボックスフォルダ」は、「グループ」に、 「注文ボックスアイコン」の表示されている領域は、「仕分け領域」に、 各画像データがそれぞれどの「注文ボックスアイコン」に属するかの情報は、「仕分け情報」に、 「注文受付サーバ」は、「画像プリント受注サーバ」に相当する。 また、引用発明における「一覧表示画面に、CD-Rに記録された画像データについてのサムネイル画像が表示され、プリント注文する画像データを登録するための注文ボックスアイコンが表示され」るとの事項、及び、「複数の注文ボックスフォルダに対応させた複数の注文ボックスアイコンをモニタに表示」するとの事項は、本願補正発明の「前記画像データによるサムネイル画像と、複数のグループにそれぞれ対応させた仕分け領域とを前記表示部に表示させる処理」に相当する。 また、引用発明における「モニタの一覧表示画面に表示されたサムネイル画像からプリント注文を行うサムネイル画像を注文ボックスアイコンにドラッグアンドドロップすることにより、注文ボックスアイコンにプリント注文を行う画像データを登録」するとの事項は、本願補正発明の「前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している前記仕分け領域にドロップさせるための操作信号を前記操作部から受けつける処理」及び「前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを、該ドロップ先の仕分け領域に対応するグループに関連づける仕分け情報を作成」する処理に相当する。 また、本願補正発明における「前記ドロップ操作信号に応じて、画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記仕分け領域の表示に対応させて前記表示部にポップアップ表示させる処理」との事項と、引用発明における「注文ボックスアイコンをクリックすることにより、登録された画像データについてのプリント内容を設定するための設定画面が表示」するとの事項は、「画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記表示部に表示させる処理」である点で共通する。 また、引用発明における「設定画面のサムネイル画像をクリックすると、入力フィールドにおいてプリントサイズおよび枚数を入力することができ」るとの事項は、本願補正発明の「前記入力表示中に前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を示す操作信号を前記操作部から受けつける処理」に相当する。 また、引用発明における「注文情報とは、プリントサイズ、プリント枚数等のことであり」との事項から、引用発明の「注文情報」は、本願補正発明の「前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報」に相当する。 また、引用発明における「インターネットで注文ボタンがクリックされた場合、画像データおよび注文情報がネットワーク経由で受注センタの注文受付サーバに送信され」るとの事項は、本願補正発明の「前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、前記インターフェースを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理」に相当する。 また、引用発明の「ビューアーソフト」に含まれているプログラムは、以下の相違点で挙げる点を除いて、本願補正発明の「電子注文用プログラム」及び「電子プリント注文用プログラム」に対応する。 よって、本願補正発明と引用発明は、以下の<一致点>で一致し、以下の<相違点>で相違している。 <一致点> 「メモリと、表示部と、操作部と、ネットワークと通信可能なインターフェースとを有するコンピュータに実行させるための電子注文用プログラムであって、 前記画像データによるサムネイル画像と、複数のグループにそれぞれ対応させた仕分け領域とを前記表示部に表示させる処理と、 前記表示部に表示している前記サムネイル画像を前記表示部に表示している前記仕分け領域にドロップさせるための操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記ドロップさせたサムネイル画像に対応する画像データを、該ドロップ先の仕分け領域に対応するグループに関連づける仕分け情報を作成する処理と、 画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示を前記表示部に表示させる処理と、 前記入力表示中に前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を示す操作信号を前記操作部から受けつける処理と、 前記プリントサイズおよび前記プリント枚数を前記入力表示に対応する仕分け領域が示すグループの注文情報とし、 前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データを、前記インターフェースを介して画像プリント受注サーバーへ送信する処理とを前記コンピュータに実行させるための電子プリント注文用プログラム。」 <相違点> [相違点1]本願補正発明では、「画像データを前記メモリに取り込む処理」、「仕分け情報をメモリに記憶させる処理」及び「注文情報としてメモリに記憶させる処理」が含まれており、かつ、「画像プリント受注サーバーへ送信する処理」においても、「前記注文情報、前記仕分け情報、前記仕分け情報で示される前記画像データ」は「前記メモリに記憶」されているのに対し、引用発明では、これらに相当する情報がどこに記憶されているのかについて記載されていない点。 [相違点2]「画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示」を行うタイミングが、本願補正発明では「前記ドロップ操作信号に応じて」行うものであるのに対し、引用発明では「設定画面において、プリント注文内容の設定を行う」とされており、注文する画像を選択した後に行われるものである点。 [相違点3]「画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示」の表示方法が、本願補正発明では「仕分け領域の表示に対応させて表示部にポップアップ表示させる」ものであるのに対し、引用発明はそのようになっていない点。 5 判断 ・相違点1について プログラムが扱う情報を、プログラムが動作するコンピュータのハードディスクに記憶することは、慣用されている技術である。 このため、引用発明において、プログラムの動作中に、画像データ、仕分け情報に対応するデータ、及び、注文情報をハードディスクに記憶する構成とすることで、相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜設計しうる事項である。 したがって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 ・相違点2について 引用発明は、注文した画像を選択した後に、それぞれの画像をプリントする枚数やサイズを入力するものであるが、プリントする枚数やサイズを入力するタイミングは、画像を仕分ける前、画像を仕分けながら、あるいは、画像を仕分けた後など、適宜選択しうる事項である。 このため、引用発明において「画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示」を行うタイミングを、画像を仕分けながら行うようにすることは適宜選択しうる事項であり、本願補正発明の「前記ドロップ操作信号に応じて」とすることは、当業者が適宜設計しうる事項である。 したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 ・相違点3について 情報入力のためのダイアログボックスを、対象に関連する領域にポップアップ表示することは、本願の出願時点で、慣用されている技術である。 このため、引用発明において「画像のプリントサイズおよびプリント枚数を入力するための入力表示」を行うにあたり、上記慣用技術を適用して、本願補正発明の「仕分け領域の表示に対応させて表示部にポップアップ表示させる」とすることは、当業者が適宜設計しうる事項である。 したがって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び慣用技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6 むすび 以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 平成20年10月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、同年6月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される、上記第2の1(1)(本件補正前の特許請求の範囲)に示したとおりのものである。 第4 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、上記第2の3に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、上記第2で検討した本願補正発明から上記第2の2(1)イ及びウに記載した事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2の5に記載したとおり、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-07-11 |
結審通知日 | 2011-07-12 |
審決日 | 2011-07-25 |
出願番号 | 特願2002-328146(P2002-328146) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06Q)
P 1 8・ 574- WZ (G06Q) P 1 8・ 572- WZ (G06Q) P 1 8・ 575- WZ (G06Q) P 1 8・ 55- WZ (G06Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 篠原 功一 |
特許庁審判長 |
井上 正 |
特許庁審判官 |
須田 勝巳 木方 庸輔 |
発明の名称 | 電子プリント注文用プログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体 |
代理人 | 渡辺 隆男 |
代理人 | 永井 冬紀 |