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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1242787
審判番号 不服2009-22528  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-18 
確定日 2011-09-08 
事件の表示 特願2004-358368「コピー制御装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月22日出願公開、特開2006-164162〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年12月10日の出願であって、平成21年4月2日付けの拒絶の理由の通知に対して、同年6月8日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年8月13日付けで拒絶をすべき旨の査定がされ、これに対し同年11月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成21年11月18日付けの手続補正についての却下の決定
[結論]
平成21年11月18日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正
平成21年11月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成21年6月8日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正前の請求項」という。)1?8を、平成21年11月18日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項(以下「補正後の請求項」という。)1?8に補正したものである。補正後の請求項1は、以下のとおりである。

「【請求項1】
ホスト装置からコピー要求を受信すると前記ホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行うコピー制御装置であって、
第1のコピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動される前に前記コピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報と、前記第1のコピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動された後に更新された該コピー元領域のデータの更新箇所を示す更新箇所情報とを格納する格納手段と、
前記第1のコピー要求を受信したとき、前記コピー対象情報に基づき、前記コピー元領域から前記コピー先領域へコピーするとともに、前記コピー元領域に対する更新要求を前記更新箇所情報に記録し、該更新要求が該コピー元領域中のコピー未完了のデータに対する更新要求であれば該コピー未完了のデータを前記コピー先領域へコピーするとともに、該コピー未完了のデータがコピー済みである旨を前記コピー対象情報に記録し、第2のコピー要求を受信したとき、前記更新箇所情報に基づき、前記更新箇所に対応する前記コピー元領域のデータを前記コピー先領域へコピーする制御を行い、前記第1のコピー要求のコピー完了後に該コピー元領域のデータを前記第1のコピー要求のコピー開始前の状態とするとき、前記更新箇所情報に基づいて該コピー元領域の更新箇所に対応するデータを該コピー先領域から該コピー元領域へコピーする制御を行う処理手段と
を備えることを特徴とするコピー制御装置。」

本件補正による請求項1は、補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項である「処理手段」について「該更新要求が該コピー元領域中のコピー未完了のデータに対する更新要求であれば該コピー未完了のデータを前記コピー先領域へコピーするとともに、該コピー未完了のデータがコピー済みである旨を前記コピー対象情報に記録し」との限定を付加する補正をしたものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-83677号公報(平成6年3月25日発行。以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的はアクセス中のデータ処理システムに関連した外部記憶装置内のデータセットの連続使用可能性を維持する改良された方法及びシステムを提供することにある。
【0014】本発明の第二の目的は外部記憶装置内のレコードをバックアップ・コピーすると同時に、前記コピーによって起きることがあるデータ処理システム・アプリケーション実行の遅延を劇的に短縮する改良された方法及びシステムを提供することにある。
【0015】本発明の第三の目的はデータ処理システムでレコードを増分バックアップ・コピーし、前記コピー中にデータ処理システム・アプリケーション実行の延期、及びバックアップを必要とする実際のデータ量を最小にする改良された方法及びシステムを提供することにある。」(段落【0013】-【0015】)

B.「【0022】図3はタイム・ゼロ・バックアップ・コピー・システムのバックアップ・ウィンドウを示す。相互参照特許出願に詳細に記述されているように、各バックアップ・ウィンドウ45及び47はなおアプリケーション処理の延期又は終了を必要とするが、延期又は終了は非常に短い期間にだけ起きる。相互参照アプリケーションに記述されているように、タイム・ゼロ・バックアップ方法が開始し、当該時点でバックアップされるデータセット内のデータを凍結する。その後、バックアップされるデータセット内の各トラックを識別するビット・マップが生成され、そのビット・マップが生成された後、前記コピーは論理的に終了したと言われる。確約された状態、即ち物理的に終了した状態はしばらく後まで起きない。しかしながら、論理的に終了した時点で、そのデータはデータ処理システム内のアプリケーションにより完全に使用可能である。このようなシステムでアプリケーション処理が延期される時間は一般に低いサブセカンドの範囲にある。しかしながら、コピーされるデータに対するビット・マップを生成するために必要な時間はデータセット内のデータの量によることを当業者は理解する。
【0023】もちろん、もしタイム・ゼロ・バックアップ・プロセスが論理的な終了点と物理的な終了点の間で異常に終了すれば、バックアップ・コピーはもはや有用ではなく、プロセスは再開始される必要があることを当業者は理解する。ちなみに、タイム・ゼロ・バックアップ・プロセスは従来の技術のバックアップ・システムの場合に非常によく似てエラーを被りやすい。すなわち、もしプロセスが終了前に異常に終了すれば、全てのバックアップ動作は再実行されなければならない。
【0024】図4は増分タイム・ゼロ・バックアップ・コピー・プロセスを示す。前述のように、アプリケーション処理の一時延期又は終了を必要とする初期バックアップ・ウィンドウ49が存在する。しかしながら、本明細書に詳細に説明されるように、初期バックアップ・コピーが開始した後に起きるデータセットへの更新は指定データセットの代替ビット・マップを用いて追跡される。その後、変更された指定データ内のトラックだけが後続の増分コピー・セッション中にコピーされる。前の全量コピーが終了した後に更新されたデータセット内のこれらのトラックを識別するビット・マップの生成は更新プロセス中に起きるから、次の全量コピーが要求されるまでは処理を延期しなくてもよい。このように、アプリケーション処理の延期又は中断はかなり減少する。」(段落【0022】-【0024】)

C.「【0028】以下に記述するように、バックアップ・プロセスは初期化期間を含み、その間にデータセットが分類され、少なくとも1つのビット・マップが生成され、そしてビット・マップの論理的な終了がプロセッサの呼出しプロセスに通知される。次に、リストされ又は識別されたデータセットはアクセス経路エレメントによりDASDトラック細分性にまで分類される。次に、データセットとアクセス経路を、それらのどれか1つが所与のコピー・セッションに包含されるか又はそこから除外される限り、相関させるビット・マップが構築される。最後に、資源マネジャ63は、ごく短い遅延の後に前記物理的な終了が起きる時点までデータセットの更新が処理されることを示す論理的な終了を通知する。
【0029】初期化に続いて、資源マネジャ63は要求されているデータのトラックの読取りを開始する。コピー・セッションが活動状態である間に、各記憶制御機構はデータセットの全ての更新をモニタする。もし別のアプリケーション67から更新が受取られれば、記憶制御機構65は当該更新を処理する所定のアルゴリズムを下記のように実行する。
【0030】タイム・ゼロ・バックアップ・コピー・システムで、アプリケーション67により試みられた更新が現在のコピー・セッション中にはないボリュームのものであるかどうかの判定が最初に行われる。もしボリュームが現在のコピー・セッション内になければ、更新は正常に終了する。代わりに、更新がコピー・セッションの一部であるボリュームのものであれば、一次セッション・ビット・マップが検査され、当該トラックが保護されているかどうかを調べる。もしビット・マップ内の対応するビットがオフであり、当該トラックが現在コピー・セッション内にないことを示すならば、更新は正常に終了する。しかしながら、もしトラックが保護されている(ビット・マップ内の対応するビットがオンである)ならば、問題のトラックはコピー・セッションの一部であり、まだ資源マネジャ63により読取られていない。このような場合、記憶制御機構65は一時的に更新を緩衝記憶し、影響を受けたトラックのコピーを追跡巡回記憶装置61から記憶制御機構65内のメモリに書込む。その後、更新は終了することが可能になる。
【0031】従って、図5に示すように、アプリケーション67により開始された更新は記憶制御機構65によって処理し、追跡巡回記憶装置61内のトラック3及び5でデータを更新することができる。更新が起こりうる前に、トラック3及び5がサイドファイルとして記憶制御機構65内のメモリに書込まれ、その後に更新は終了可能になる。そして一次ビット・マップが変更され、バックアップ・コピーが要求された時点で存在したトラックのようなトラック3及び5のコピーはもはや追跡巡回記憶装置61内にはないがいまは記憶制御機構65内のメモリ内に存在することを示す。
【0032】次に、資源マネジャ63によって追跡巡回記憶装置61から直に非更新トラックをコピーすることにより、又はこれらのトラックを、追跡巡回記憶装置61から、ホスト・プロセッサの拡張メモリ内で生成しうる一次ホスト・サイドファイル71に間接的にコピーすることにより、バックアップ・コピーが要求された時点での指定データセットを表わす組合せコピーが参照番号69で生成される。更に、更新終了前に記憶制御機構65にあるメモリ内のサイドファイルに書込まれたデータセット内のトラックは、記憶制御機構65内のメモリから一次ホスト・サイドファイル71に間接的に読取られることもある。このように指定データセットのコピーは追跡巡回記憶装置61内の変更されないトラックから、記憶制御機構65のメモリ内に記憶された更新されたトラックから生成し、そののち一次ホスト・サイドファイル71に転送することができ、これらの指定データセットの部分は、バックアップ・コピーが開始された時点で生成されたビット・マップを用いてバックアップ・コピー順に組合せできることを当業者は理解する。
【0033】図6は本発明の方法及びシステムに従って増分タイム・ゼロ・バックアップ・コピーを生成するプロセスの初期化を示す高レベルの論理流れ図を示す。図示のように、このプロセスはブロック81で開始した後、ブロック83に進み、初期化プロセスを開始する。その後、プロセスはブロック85に進み、アクセス経路によりデータセットをDASDトラック細分性にまで分類する。この分類は、必然的に、データセットが存在するDASDボリュームの識別及びこれらのボリュームが属する記憶制御機構の識別を解決する。
【0034】次にブロック87で、セッション識別が各プロセッサと関連外部記憶制御機構の間で確立される。セッション識別は、複数のプロセッサが互いのバックアップ・コピー・プロセスと干渉しないように、全ての記憶制御機構にわたって独特であることが望ましい。そしてブロック89で、本明細書及び相互参照特許出願に詳細に示すように、利用しうる一次セッション・ビット・マップが確立され、特定のトラックが現在のコピー・セッションの一部であるかどうかを示す。そしてブロック91で、アプリケーション処理が継続できることを示す論理的終了信号が呼出しプロセスに送られるが、バックアップ・コピーが物理的に終了する時点まで更新の際の僅かな遅延が起きる。
【0035】図7は本発明の方法及びシステムによるデータセットの増分バックアップ・コピーを表わす高レベルの論理流れ図を示す。図示のように、ブロック99でプロセスが開始した後、ブロック101に進む。ブロック101はバックアップ・コピーの読取りの開始を示す。そしてブロック103 で、バックアップ・コピーが全量コピーてあるか又は増分コピーであるかを判定する。前述のように、全量コピーは、データセット内のデータが前に変更されたかどうかに関係なく指定データセット内の各エレメントのコピーである。増分コピーは、前のバックアップ・コピーが起きてから更新又は変更されたデータセットの部分だけを含むコピーである。
【0036】ブロック103で、全量コピーが生成される場合は、プロセスはブロック107に進み、代替セッション・ビット・マップを確立する。本明細書で詳細に説明されるように、代替セッション・ビット・マップは、前のバックアップ・コピーの開始後に起きる指定データセットの部分の変更又は更新を追跡するために利用され、変更されたデータセットの部分だけの増分コピーを後に生成できるようにする。代わりに、増分コピーが生成される場合は、プロセスはブロック 103からブロック105 に進み、代替セッション・ビット・マップの指定を一次セッション・ビット・マップの指定に変更する。そしてプロセスはブロック107 に進み、代替セッション・ビット・マップを確立する。
【0037】従って、全量バックアップ・コピーが開始されると、全量コピーの開始後に起きるデータセットの変更を追跡するために代替セッション・ビット・マップが生成される。その後、もし増分コピーが生成されることになっていれば、前に確立された代替セッション・ビット・マップとして用いられ、そして新しい代替セッション・ビット・マップが生成され、システムは増分コピーの開始後に起きるデータセット内のデータの変更を追跡することができる。
【0038】次に、ブロック109 は更新が起きたかどうかを判定する。更新が起きた場合は、プロセスは更新が起きるまで反復する。更新が起きた場合は、プロセスはブロック111に進む。ブロック111はデータ処理システム内のアプリケーションにより開始された更新がタイム・ゼロ・データセットの部分の更新であるかどうかを判定する。結果がノーの場合は、プロセスはブロック113 に進み、ユーザに透明な形で更新が処理される。しかしんがら、タイム・ゼロ・データセットの部分の更新である場合は、プロセスはブロック115 に進む。
【0039】ブロック115 はタイム・ゼロ・データセットのコピーされた部分の更新であるかコピーされない部分の更新であるかを判定する。即ち、バックアップ・コピーにコピーされたデータセット内のデータであって更新が物理的に終了している部分であるか、又はまだバックアップ・コピーにコピーされていない部分であるかが判定される。もし更新が開始されるデータセットの部分が既にバックアップ・コピーにコピーされていれば、プロセスはブロック117に進む。ブロック117は代替セッション・ビット・マップをマークし、前のバックアップ・コピー開始後にこのデータセットの部分が変更されたことを示す。その後、プロセスは更新を処理するブロック113に進む。そして、プロセスはブロック109に戻り、次の更新の発生を待つ。
【0040】ブロック115 で、まだバックアップ・コピーにコピーされていないタイム・ゼロ・データセットの部分の更新が開始される場合は、プロセスはブロック119 に進む。ブロック119 は更新を一時的に緩衝記憶し、影響を受けたタイム・ゼロ・データセットの部分を記憶制御機構(図5参照)内のメモリ中のサイドファイルにコピーする。その後、プロセスはブロック121 に進み、代替セッション・ビット・マップをマークし、前のバックアップ・コピー開始後にこのデータセットの部分に更新が起きたことを示す。
【0041】次に、プロセスはブロック123 に進み、一次セッション・ビット・マップをマークし、このデータセットの部分が外部記憶装置内で更新されたこと、及びこのデータセットの部分のタイム・ゼロ・コピーがいま記憶制御機構65内のキャッシュ・メモリ中か又は、記憶制御機構65内のキャッシュ・メモリ中のデータのオーバフローの阻止に用いられる一時ホスト・サイドファイル71(図5参照)内にあることを資源マネジャに示す。
【0042】一次セッション・ビット・マップをマークしたのち、プロセスはブロック 125に進み、当該更新を処理する。その後、プロセスはブロック127 に進み、記憶制御機構65のキャッシュ・メモリ内のキャッシュ・メモリ内のサイドファイルしきい値を越えたかどうかを判定する。越えた場合は、プロセスはブロック129 に進み、記憶制御機構内のサイドファイルをプロセッサがコピーできることを示す、アテンション(attention) 信号を生成する。もちろん、記憶制御機構65内のキャッシュ・メモリからのデータのコピーの失敗は、もし当該メモリが重ね書きされればバックアップ・コピーの崩壊を生じることがあることを当業者は理解する。ブロック127 で、サイドファイルしきい値を越えない場合は、プロセスはブロック109 に戻り、次の更新の発生を待つ。
【0043】記憶制御機構65内のキャッシュ・メモリから一時ホスト・サイドファイル又は組合せバックアップ・コピーへのサイドファイル・データの非同期コピーは相互参照特許出願と、追跡巡回記憶装置61から直に読取られたデータ、記憶制御機構65内のキャッシュ・メモリ中のデータ及び(又は)一時ホスト・サイドファイル71内のデータ組合せコピーを生成するプロセスとに詳細に記述されている。
【0044】従って、前述の参照により、タイム・ゼロ・バックアップ・コピーを開始することによって、通常はバックアップ・コピー・セッションを伴うアプリケーション実行の延期は、更新される指定データセット内のデータの各部分を識別するビット・マップを生成したのち該データセットをアプリケーション実行のために解放することにより、かなり減少することを当業者は理解する。そして外部記憶サブシステム内の指定データセットの部分は必要に応じ又は計画的にコピーされ、そこに含まれたデータを更新する試みは、バックアップ・コピーの時点で存在した原始データが、終了したバックアップ・コピー内に含ませるためにサイドファイルに書込みできる時点まで一時的に据置かれる。その後、前記データの更新が外部記憶サブシステム内に書込まれる。
【0045】本発明の方法及びシステムは、更新が起きるか又はシステムがバックアップ・コピーの読取りを開始する毎に自動的に確立される代替ビット・マップを生成するために用いることができる。そして、この代替ビット・マップは、最初のバックアップ・コピーが生成された後、及び次のバックアップ点でデータの変更を追跡するために用いられ、このビット・マップは、前のバックアップ・コピーが生成された後に更新された指定データセットの部分だけのコピーを容易にするために用いられる。後続の増分コピーが開始されると、この代替ビット・マップは一次ビット・マップになり、増分コピーの開始後に起きたデータの変更又は更新を追跡するために別の代替ビット・マップが生成される。このように、バックアップ・コピー中にデータ処理システム内のアプリケーション実行の終了又は延期はかなり削除される。例えば、物理的な終了前に更新の結果として生成された影響を受けたトラックのサイドファイルは、図示の実施例に示すような、記憶制御機構内のメモリ中よりはむしろ、追跡巡回記憶装置内の変わったロケーションに記憶しうることを当業者は理解する。」(段落【0028】-【0045】)

以上の記載によれば、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「データ処理システムでレコードを増分バックアップ・コピーし、前記コピー中にデータ処理システム・アプリケーション実行の延期、及びバックアップを必要とする実際のデータ量を最小にする改良されたシステムであって、
全量コピーは、データセット内のデータが前に変更されたかどうかに関係なく指定データセット内の各エレメントのコピーであり、増分コピーは、前のバックアップ・コピーが起きてから更新又は変更されたデータセットの部分だけを含むコピーであり、
代替セッション・ビット・マップは、前のバックアップ・コピーの開始後に起きる指定データセットの部分の変更又は更新を追跡するために利用され、変更されたデータセットの部分だけの増分コピーを後に生成できるようにするものであり、
プロセスは、代替セッション・ビット・マップをマークし、前のバックアップ・コピー開始後にこのデータセットの部分に更新が起きたことを示し、
初期バックアップ・コピーが開始した後に起きるデータセットへの更新は指定データセットの代替ビット・マップを用いて追跡され、
その後、変更された指定データ内のトラックだけが後続の増分コピー・セッション中にコピーされるデータ処理システム。」

また、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-242566号公報(平成11年9月7日発行。以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

D.「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の基本的な特徴は、データの多重化を形成している環境において、通常バックアップデータとして保存しているデータに対して読み出し、書き込みアクセスした後、再びデータの多重化を形成する際に、アクセスによる更新箇所のみを正システムから副システムへコピーし、あるいは、副システムから正システムへコピーすることにより、効率的に多重化を再形成するようにしたことである。
【0010】本発明による多重化データ処理システムの特徴は、異なるディスク制御装置配下のディスク装置で同一データを保有している多重化データ記憶システムにおいて、バックアップデータを制御する副ディスク制御装置に、正ディスク制御装置に対する書き込み命令を発行する機能を持っていることである。
【0011】これにより、データの多重化中断中に更新された正副両データの更新箇所を、アクセス情報として、正ディスク制御装置のアクセス情報管理テーブルに登録し、正ディスク制御装置で2重化再開命令受領時に、アクセス情報管理テーブルの情報から2重化中断中に発生したアクセス箇所に対応するオリジナルデータをバックアップデータへコピーし、あるいは、バックアップデータをオリジナルデータへコピーすることで効率的に2重化を再形成することが可能となる。」(段落【0009】-【0011】)

E.「【0044】さらに、図7は、実施例における2重化中断中から再開する際の正ディスク制御装置における処理の流れを表している。
【0045】2重化再開後の正ディスク装置のデータを2重化中断中の正ディスク装置のデータとする(正データ活用)か、副ディスク装置のデータとする(副データ活用)かを示す情報を従来の2重化再開コマンドに付加したコマンドを新たな2重化再開コマンドとして用意する。
【0046】図7(a)において、正ディスク制御装置のチャネルコマンド解析部30で、チャネル装置からのコマンドが2重化再開コマンドであると判断した場合(ステップ600)、状態管理テーブル33を参照して2重化中断中以外の状態であるとき(ステップ610)、コマンドを拒否する(ステップ620)。状態が2重化中断中である場合、2重化再開コマンドの付加情報が正データ活用を表しているならば(ステップ630)、アクセス情報管理テーブル34を参照し、アクセス箇所に対する書き込み命令を副ディスク装置に対して発行する(ステップ640)。2重化再開コマンドの付加情報が副データ活用を表しているならば(ステップ670)、アクセス情報管理テーブル34を参照して、アクセス箇所に対する読み出しみ命令を副ディスク制御装置に対して発行し(ステップ680)、取得したデータを正ディスク装置へ書き込む(ステップ690)。
【0047】ステップ640及びステップ690に続いて、図7(b)に示すように、状態管理テーブル33に2重化中を登録し(ステップ650)、アクセス情報管理テーブル34の内容をクリアする(ステップ660)。副ディスク制御装置においても、ステップ640に対して受領したデータの書き込み終了後、またはステップ680に対するデータの報告後、状態管理テーブル39に2重化中を登録する。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の多重化データ記憶システムによれば、業務を実行する正システムとそのバックアップデータを保有する副システムからなる環境において、バックアップデータに対する読出し、書込みアクセスすることで資源の有効利用を図ることができる。
【0049】また、アクセス終了後にその更新箇所のみを正システムのディスク装置から副システムのディスク装置にコピーする、あるいは副システムのディスク装置から正システムのディスク装置にコピーすることで、効率的にデータの多重化を再形成することができる。」(段落【0044】-【0049】)

また、当審で新たに引用する特開2001-166974号公報(平成13年6月22日発行。本願の明細書において、従来技術(特許文献1)として示された文献。以下「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、当該文献内では、○付き数字が用いられている箇所があるが、以下では、○を省いた形で数字を記載している。

F.「【0025】本発明は、複写指示に応じて直ちに複写完了の応答を返し、実データを複写しながら、アクセス要求を受け付け、複写元及び複写先データ領域への参照及び更新アクセスを行うものである。このため、第1に、複写元データ領域の領域を複数に分割し、分割された領域単位で、複写先データ領域へ複写するようにして、複写中に、アクセス要求があった時は、複写動作を中断し、アクセス要求を実行するようにしている。」(段落【0025】)

G.「【0043】図1に示すように、RAIDシステムでは、論理ディスク1は、1又は複数の物理ディスクで構成される。物理ディスクは、磁気ディスクや光ディスクを使用することができる。論理ディスク2は、1又は複数の物理ディスクで構成される。ディスクコントローラ3は、ホストの指示に応じて、論理ディスク1、2をアクセスする。
【0044】ディスクコントローラ3は、プロセッサ(CPU)4と、メモリ(主記憶)5とを有する。メモリ5には、論理ディスク1のキャッシュ領域(キャッシュメモリという)7と、論理ディスク2のキャッシュ領域(キャッシュメモリという)9とが設けられている。又、メモリ5には、論理ディスク1の複写状態を管理するためのビットマップエリア(ビットマップという)6と、論理ディスク2の複写状態を管理するためのビットマップエリア(ビットマップという)8とが設けられている。
【0045】即ち、ビットマップ6、8は、図3(A)に示すように、論理ディスク1、2の複写範囲の各データブロックに対して、1ビットを割り当て、未複写ブロックを「1」、複写済ブロックを「0」として、データブロックの複写状態を管理する。プロセッサ4には、ファームとして、複写プログラムが設けられている。そして、ビットマップ6、8を用いて、論理ディスクの複写範囲を各データブロック単位で複写する。
【0046】図2のコピー処理フローに従い、複写処理を説明する。ここで、複写元を論理ディスク1、複写先を論理ディスク2とする。
【0047】(S1)ホストは、コピー開始に当たり、ディスクコントローラ3に複写指示を与える。プロセッサ4は、複写指示を受けると、ホストに複写完了を通知する。これにより、ホストは、論理ディスク1、2のアクセスが可能となる。
【0048】(S2)プロセッサ4は、複写元ビットマップ6と、複写先ビットマップ8の更新ブロック情報を未更新に設定する。図3(B)に示すように、ビットマップ6、8の各ビットは、未複写の「1」に設定される。
【0049】(S3)プロセッサ4は、複写元ビットマップ6を参照して、未複写ブロック情報を獲得する(1)。そして、プロセッサ4は、複写元論理ディスク1に、対象ブロックのリードを指示する(2)。これにより、複写元論理ディスク1の対象データブロックが複写元のキャッシュメモリ7に展開される。これをステージングという(3)。
【0050】(S4)プロセッサ4は、複写元のキャッシュメモリ7に読み込んだ未複写データブロックを、複写先キャッシュメモリ9に複写する(4)。
【0051】(S5)プロセッサ4は、複写元ビットマップ6と、複写先ビットマップ8の更新ブロック情報を更新済「0」に設定する(6)。図3(C)は、この様子を示している。そして、プロセッサ4は、複写先論理ディスク2に、キャッシュメモリ9に複写された未複写データブロックの書き出しを指示する(7)。これにより、論理ディスク2に、キャッシュメモリ9に複写された未複写データブロックの書き出される。これをライトバックという(8)。
【0052】(S6)プロセッサ4は、複写元ビットマップ6の更新ブロック情報を参照して、複写すべきデータブロックが残っているかを判定する。複写すべきデータブロックが残っていれば、ステップS3に戻る。逆に、複写すべきデータブロックが残っていなければ、複写を終了する。」(段落【0043】-【0052】)

H.「【0063】次に、図5により、複写中の更新処理について、説明する。
【0064】(S20)プロセッサ4は、更新指示(ライト)と判定すると、実複写中かを判定する。実複写中(複写中)でないと、ステップS28の通常更新処理に進む。
【0065】(S21)実複写中であると、複写元への更新要求かを判定する。
【0066】(S22)複写元への更新要求であると、プロセッサ4は、ビットマップ6を参照して、更新要求の領域が、複写未完了部かどうかを判定する。複写元の複写未完了部に対する更新要求でない、即ち、複写元の複写完了部に対する更新要求であると(図6のアクセスパターン2)、ステップS28の通常更新処理に進む。
【0067】(S23)複写元の複写未完了部に対する更新要求である(図6のアクセスパターン4)と、図11に示すように、プロセッサ4は、複写元論理ディスク1に、更新対象ブロックのリードを指示し、複写元論理ディスク1の更新対象データブロックを複写元のキャッシュメモリ7にステージングする。次に、複写元のキャッシュメモリ7に読み込んだ更新対象データブロックを、複写先キャッシュメモリ9に複写する。複写先論理ディスク2に、キャッシュメモリ9に複写された更新対象データブロックの書き出しを指示し、論理ディスク2に、キャッシュメモリ9に複写された更新対象データブロックが書き出される。プロセッサ4は、複写元ビットマップ6と、複写先ビットマップ8の更新ブロック情報を更新済「0」に設定する。そして、プロセッサ4は、ホストから転送されたキャッシュメモリ7の更新データブロックを論理ディスク1に書き出す。」(段落【0063】-【0067】)

(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

引用発明は、指定データセット内の各エレメントのコピーである全量コピー、前のバックアップ・コピーが起きてから更新又は変更されたデータセットの部分だけを含むコピーである増分コピーを有しているデータ処理システムで、レコードを増分バックアップ・コピーを行っているので、引用発明と本願補正発明は、「コピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行う」装置である点で共通する。
引用発明の「代替セッション・ビット・マップ」は、前のバックアップ・コピーの開始後に起きる指定データセットの部分の変更又は更新を追跡するために利用され、変更されたデータセットの部分だけの増分コピーを後に生成できるようにするものであり、プロセスが、代替セッション・ビット・マップをマークし、前のバックアップ・コピー開始後にこのデータセットの部分に更新が起きたことを示すものであるので、引用発明の「代替セッション・ビット・マップ」と本願補正発明の「更新箇所情報」は、「前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動された後に更新された該コピー元領域のデータの更新箇所を示す」点で一致する。
そして、引用発明は、プロセスが、代替セッション・ビット・マップをマークしているので、代替セッション・ビット・マップは情報としてシステム内に格納されているものと言える。また、引用発明において、バックアップ・コピーの開始はシステムにおける処理開始のための要求を受け取ることにより実行されることは明らかであるので、引用発明は「コピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動された後に更新された該コピー元領域のデータの更新箇所を示す更新箇所情報とを格納する格納手段」に相当する構成を有していると言える。
引用発明は、代替セッション・ビット・マップは、前のバックアップ・コピーの開始後に起きる指定データセットの部分の変更又は更新を追跡するために利用され、変更されたデータセットの部分だけの増分コピーを後に生成できるようにするものであり、変更された指定データ内のトラックだけが後続の増分コピー・セッション中にコピーされるものであるので、引用発明の「前のバックアップ・コピー」は本願補正発明の「第1のコピー」に相当し、引用発明の「後続の増分コピー・セッション」は、本願補正発明の「第2のコピー」に相当する。
そして、引用発明は、「前のバックアップ・コピー」と「後続の増分コピー・セッション」の処理を行う処理手段を有していることは明らかであるので、引用発明は、「前記第1のコピー要求を受信したとき、前記コピー元領域から前記コピー先領域へコピーするとともに、前記コピー元領域に対する更新要求を前記更新箇所情報に記録し、第2のコピー要求を受信したとき、前記更新箇所情報に基づき、前記更新箇所に対応する前記コピー元領域のデータを前記コピー先領域へコピーする制御を行う処理手段」に相当する処理手段を有していると言える。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。

一致点
「コピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行うコピー制御装置であって、
第1のコピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動された後に更新された該コピー元領域のデータの更新箇所を示す更新箇所情報とを格納する格納手段と、
前記第1のコピー要求を受信したとき、前記コピー元領域から前記コピー先領域へコピーするとともに、前記コピー元領域に対する更新要求を前記更新箇所情報に記録し、第2のコピー要求を受信したとき、前記更新箇所情報に基づき、前記更新箇所に対応する前記コピー元領域のデータを前記コピー先領域へコピーする制御を行う処理手段と
を備えることを特徴とするコピー制御装置。」

一方、両者は次の点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は、ホスト装置からコピー要求を受信するとホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行うものであるのに対し、引用発明は、コピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行っているが、ホスト装置からコピー要求を受信するとホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピーする制御を行うものであるかは明らかではない点。

(相違点2)
本願補正発明は、第1のコピー要求を受信してコピー元領域からコピー先領域へのコピーが起動される前にコピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報を格納手段に格納し、第1のコピー要求を受信したとき、コピー対象情報に基づき、コピー元領域からコピー先領域へコピーするものであるのに対し、引用発明は、第1のコピー要求を受信してコピー元領域からコピー先領域へのコピーが起動される前にコピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報を格納手段に格納し、第1のコピー要求を受信したとき、コピー対象情報に基づき、コピー元領域からコピー先領域へコピーする構成を有していない点。

(相違点3)
本願補正発明は、第1のコピー要求のコピー完了後にコピー元領域のデータを第1のコピー要求のコピー開始前の状態とするとき、更新箇所情報に基づいてコピー元領域の更新箇所に対応するデータをコピー先領域からコピー元領域へコピーする制御を行うものであるのに対し、引用発明は当該構成を有していない点。

(相違点4)
本願補正発明は、更新要求がコピー元領域中のコピー未完了のデータに対する更新要求であればコピー未完了のデータをコピー先領域へコピーするとともに、コピー未完了のデータがコピー済みである旨をコピー対象情報に記録するものであるのに対し、引用発明では、当該処理が行われているかは明らかではない点。

(4)当審の判断
上記相違点について検討する。

(相違点1についての検討)
ホスト装置からコピー要求を受信するとホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行う構成は、コピー装置において周知の技術である(特開2001-166974号公報(引用例3として提示した文献):段落【0025】を参照。)。したがって、引用発明において、ホスト装置からコピー要求を受信するとホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行う構成を適用することに格別の困難性は認められない。

(相違点2についての検討)
コピー要求を受信してコピー元領域からコピー先領域へのコピーが起動される前にコピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報を格納し、コピー要求を受信したとき、コピー対象情報に基づき、コピー元領域からコピー先領域へコピーする構成は、コピーの制御において周知の技術である(特開2001-166974号公報(引用例3として提示した文献):段落【0043】-【0052】を参照。)。したがって、引用発明において、第1のコピー要求を受信してコピー元領域からコピー先領域へのコピーが起動される前にコピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報を格納手段に格納し、第1のコピー要求を受信したとき、コピー対象情報に基づき、コピー元領域からコピー先領域へコピーする構成を適用することに格別の困難性は認められない。

(相違点3についての検討)
引用例2には、正システムとそのバックアップデータを保有する副システムからなる環境において、アクセス終了後にその更新箇所のみを正システムのディスク装置から副システムのディスク装置にコピーする、あるいは副システムのディスク装置から正システムのディスク装置にコピーすることで、効率的にデータの多重化を再形成することができる構成が記載されている。
そして、バックアップデータを保有する副システムのデータを正システムにコピーすることで正システムのデータを修復することは、周知慣用な技術であるので、引用発明において、引用例2に記載の技術を用いて、更新箇所のデータのみをコピー先領域からコピー元領域にコピーしてデータを修復する制御を行うことに格別の困難性は認められない。
したがって、引用例2に記載の技術及び周知技術に基づいて、引用発明において、第1のコピー要求のコピー完了後にコピー元領域のデータを第1のコピー要求のコピー開始前の状態とするとき、更新箇所情報に基づいてコピー元領域の更新箇所に対応するデータをコピー先領域からコピー元領域へコピーする制御を行うように構成することは、当業者であれば容易に成し得ることである。

(相違点4についての検討)
引用例3(摘記2.(2)G.)には、複写中の更新処理について、更新指示(ライト)と判定すると、実複写中かを判定し、実複写中であると、複写元への更新要求かを判定し、複写元への更新要求であると、ビットマップを参照して、更新要求の領域が、複写未完了部かどうかを判定し、複写元の複写未完了部に対する更新要求であると、複写元のキャッシュメモリに読み込んだ更新対象データブロックを、複写先論理ディスクに複写し、複写元ビットマップと、複写先ビットマップの更新ブロック情報を更新済に設定する構成が記載されている。
引用例3に記載のものと、本願補正発明は、共に複写中の更新処理に関するものであり、共通の技術分野に属するものであるので、引用発明に当該構成を適用して、更新要求がコピー元領域中のコピー未完了のデータに対する更新要求であればコピー未完了のデータをコピー先領域へコピーするとともに、コピー未完了のデータがコピー済みである旨をコピー対象情報に記録するように構成することは、当業者であれば容易に成し得ることである。

また、本願補正発明の構成によって生じる効果も、引用発明、引用例2、引用例3及び周知技術から当業者が予測できるものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2、引用例3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成21年11月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、同年6月8日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ホスト装置からコピー要求を受信すると前記ホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行うコピー制御装置であって、
第1のコピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動される前に前記コピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報と、前記第1のコピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動された後に更新された該コピー元領域のデータの更新箇所を示す更新箇所情報とを格納する格納手段と、
前記第1のコピー要求を受信したとき、前記コピー対象情報に基づき、前記コピー元領域から前記コピー先領域へコピーするとともに、前記コピー元領域に対する更新要求を前記更新箇所情報に記録し、第2のコピー要求を受信したとき、前記更新箇所情報に基づき、前記更新箇所に対応する前記コピー元領域のデータを前記コピー先領域へコピーする制御を行い、前記第1のコピー要求のコピー完了後に該コピー元領域のデータを前記第1のコピー要求のコピー開始前の状態とするとき、前記更新箇所情報に基づいて該コピー元領域の更新箇所に対応するデータを該コピー先領域から該コピー元領域へコピーする制御を行う処理手段と
を備えることを特徴とするコピー制御装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記2.(2)に引用例1、引用例2として記載した通りである。

(2)当審の判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「処理手段」の限定事項である「該更新要求が該コピー元領域中のコピー未完了のデータに対する更新要求であれば該コピー未完了のデータを前記コピー先領域へコピーするとともに、該コピー未完了のデータがコピー済みである旨を前記コピー対象情報に記録し」との構成を省いたものである。

そこで、本願発明と引用発明を対比すると、上記の構成は、本願補正発明と引用発明との間の相違点であったので、本願補正発明から上記構成が省かれた本願発明と引用発明の一致点は、以下の通り、本願補正発明と引用発明との一致点と同様である。

一致点
「コピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行うコピー制御装置であって、
第1のコピー要求を受信して前記コピー元領域から前記コピー先領域へのコピーが起動された後に更新された該コピー元領域のデータの更新箇所を示す更新箇所情報とを格納する格納手段と、
前記第1のコピー要求を受信したとき、前記コピー元領域から前記コピー先領域へコピーするとともに、前記コピー元領域に対する更新要求を前記更新箇所情報に記録し、第2のコピー要求を受信したとき、前記更新箇所情報に基づき、前記更新箇所に対応する前記コピー元領域のデータを前記コピー先領域へコピーする制御を行う処理手段と
を備えることを特徴とするコピー制御装置。」

また、相違点は以下の通りである。

(相違点1)
本願補正発明は、ホスト装置からコピー要求を受信するとホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行うものであるのに対し、引用発明は、コピー元領域のデータをコピー先領域にコピーする制御を行っているが、ホスト装置からコピー要求を受信するとホスト装置に対してコピー完了応答を行ってからコピーする制御を行うものであるかは明らかではない点。

(相違点2)
本願補正発明は、第1のコピー要求を受信してコピー元領域からコピー先領域へのコピーが起動される前にコピー元領域に記憶されているコピー対象データを示すコピー対象情報を格納手段に格納し、第1のコピー要求を受信したとき、コピー対象情報に基づき、コピー元領域からコピー先領域へコピーするものであるのに対し、引用発明は、コピー元領域からコピー先領域へコピーする時に、当該コピー対象情報を用いることの特定がなされていない点。

(相違点3)
本願補正発明は、第1のコピー要求のコピー完了後にコピー元領域のデータを第1のコピー要求のコピー開始前の状態とするとき、更新箇所情報に基づいてコピー元領域の更新箇所に対応するデータをコピー先領域からコピー元領域へコピーする制御を行うものであるのに対し、引用発明は当該構成を有していない点。

上記、相違点1、相違点2、相違点3は、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明、引用例2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に構成することができた点であるから、本願発明も、引用発明、引用例2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載の発明、引用例2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-07 
結審通知日 2011-07-12 
審決日 2011-07-27 
出願番号 特願2004-358368(P2004-358368)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅景 篤  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 安久 司郎
鈴木 重幸
発明の名称 コピー制御装置および方法  
代理人 大菅 義之  
代理人 ▲徳▼永 民雄  

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