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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1242792
審判番号 不服2010-4963  
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-05 
確定日 2011-09-08 
事件の表示 特願2005-316806「集積回路チップ及びRFIDシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月17日出願公開、特開2007-122600〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成17年10月31日の出願であって、平成21年4月2日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月4日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年3月5日付けで前記拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに手続補正がなされ、同年5月21日付けで特許法第164条第3項の規定による報告がなされ、平成23年1月28日付けで当審より審尋がなされ、同年4月1日付けで前記審尋に対する回答書が提出されたものである。


第2.平成22年3月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年3月5日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
平成22年3月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、平成21年6月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載、
「 【請求項1】
アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路と、
該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路を含むことを特徴とする集積回路チップ。
【請求項2】
該不揮発性メモリの該アクセス動作は該不揮発性メモリに対するデータ書き込み動作であることを特徴とする請求項1記載の集積回路チップ。
【請求項3】
該ロジック回路は、該アンテナから受信した所定のコマンドに応答して、該センサ回路に該データ測定動作を実行させ、該データ測定動作が終了した後に、該不揮発性メモリに該データ測定動作により得られた測定データを書き込む該アクセス動作を実行することを特徴とする請求項2記載の集積回路チップ。
【請求項4】
該ロジック回路は、該データ測定動作により得られた該測定データを一時的に保持するレジスタを含むことを特徴とする請求項3記載の集積回路チップ。
【請求項5】
該センサ回路が該データ測定動作を実行することにより消費する電力は該不揮発性メモリが該アクセス動作を実行することにより消費する電力よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の集積回路チップ。
【請求項6】
電波を送受信するリーダ・ライタと、
該リーダ・ライタと該電波を介して通信するICタグ
を含み、該ICタグは、
アンテナと、
該アンテナに結合され該アンテナが受信した該電波の交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路
を含み、該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように制御されることを特徴とするRFIDシステム。
【請求項7】
該リーダ・ライタは、第1の所定のコマンドを該ICタグに送信して該センサ回路に該データ測定動作を実行させ、該データ測定動作が終了した後に、第2の所定のコマンドを該ICタグに送信して該不揮発性メモリに該データ測定動作により得られた測定データを書き込む該アクセス動作を実行させることを特徴とする請求項6記載のRFIDシステム。
【請求項8】
リーダ・ライタとの間で電波を送受信するICタグにおいて、
アンテナと、
該アンテナに結合され該アンテナが受信した該電波の交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路
を含み、該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように制御されることを特徴とするICタグ。
【請求項9】
該不揮発性メモリの該アクセス動作は該不揮発性メモリに対するデータ書き込み動作であることを特徴とする請求項8記載のICタグ。
【請求項10】
該データ測定動作により得られた測定データを一時的に保持するレジスタを更に含むことを特徴とする請求項9記載のICタグ。」を、

「 【請求項1】
アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路と、
該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路を含み、
前記ロジック回路は、前記不揮発性メモリおよび前記センサ回路の動作電圧より低い動作電圧で動作すること
を特徴とする集積回路チップ。
【請求項2】
該不揮発性メモリの該アクセス動作は該不揮発性メモリに対するデータ書き込み動作であることを特徴とする請求項1記載の集積回路チップ。
【請求項3】
該ロジック回路は、該アンテナから受信した所定のコマンドに応答して、該センサ回路に該データ測定動作を実行させ、該データ測定動作が終了した後に、該不揮発性メモリに該データ測定動作により得られた測定データを書き込む該アクセス動作を実行することを特徴とする請求項2記載の集積回路チップ。
【請求項4】
該ロジック回路は、該データ測定動作により得られた該測定データを一時的に保持するレジスタを含むことを特徴とする請求項3記載の集積回路チップ。
【請求項5】
該センサ回路が該データ測定動作を実行することにより消費する電力は該不揮発性メモリが該アクセス動作を実行することにより消費する電力よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の集積回路チップ。
【請求項6】
電波を送受信するリーダ・ライタと、
該リーダ・ライタと該電波を介して通信するICタグ
を含み、該ICタグは、
アンテナと、
該アンテナに結合され該アンテナが受信した該電波の交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路
を含み、
該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように制御する制御回路は、前記不揮発性メモリおよび前記センサ回路の動作電圧より低い動作電圧で動作すること
を特徴とするRFIDシステム。
【請求項7】
該リーダ・ライタは、第1の所定のコマンドを該ICタグに送信して該センサ回路に該データ測定動作を実行させ、該データ測定動作が終了した後に、第2の所定のコマンドを該ICタグに送信して該不揮発性メモリに該データ測定動作により得られた測定データを書き込む該アクセス動作を実行させることを特徴とする請求項6記載のRFIDシステム。
【請求項8】
リーダ・ライタとの間で電波を送受信するICタグにおいて、
アンテナと、
該アンテナに結合され該アンテナが受信した該電波の交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路
を含み、
該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように制御する制御回路は、前記不揮発性メモリおよび前記センサ回路の動作電圧より低い動作電圧で動作すること
を特徴とするICタグ。
【請求項9】
該不揮発性メモリの該アクセス動作は該不揮発性メモリに対するデータ書き込み動作であることを特徴とする請求項8記載のICタグ。
【請求項10】
該データ測定動作により得られた測定データを一時的に保持するレジスタを更に含むことを特徴とする請求項9記載のICタグ。」に、
補正するものである。


2.補正の適否
以下、本件補正後の請求項1についてする本件補正が、特許法第17条の2の規定を満足しているかについて検討する。

(1)新規事項の有無、補正の目的要件
本件補正後の請求項1についてする本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。

そして、本件補正後の請求項1についてする本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明に、「前記ロジック回路は、前記不揮発性メモリおよび前記センサ回路の動作電圧より低い動作電圧で動作する」という発明特定事項を追加する補正である。この補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の「ロジック回路」、「不揮発性メモリ」及び「センサ回路」の「動作電圧」の関係を限定したものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)を目的とするものである。


(2)独立特許要件
以上のとおり、本件補正後の請求項1についてする本件補正は、特許法17条の2第4項の規定に適合している。
そこで、次に、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「補正後の発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、検討する。

(2-1)引用文献の記載事項
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である、特開2004-024551号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、参考のために当審で付したものである。)

A.「(実施例1)
センサシステム用半導体装置すなわちセンサチップの構成の一実施例を図1(a)、(b)に示す。図1(a)には、センサチップの一方の主面を、また、図1(b)には、図1(a)とは逆の主面を示している。センサチップ(SCHIP1)は、第1の半導体集積回路(CHIP1)、第2の半導体集積回路(CHIP2)、発光ダイオード(LED)チップ(LED1)、コンデンサ(C1、C2、C3)、インダクタ(L1)、及び、これらを搭載するための基板(BO1)から構成される。このうち、基板(BO1)には、これらのチップ間を結線するための配線パターン、後述する高周波送受信回路で使用するアンテナ(ANT1?4)パターン、及び、後述するセンサ回路(GS1)で使用する電極(GSR1?4)パターン等が、銅あるいは金等の金属で描かれている。これらについては、通常、MCP(Multi Chip Package)チップとして用いられているのと同様のもので構成されている。」(第7頁第16?27行)

B.「これらの半導体集積回路(CHIP1、CHIP2)を用いたセンサチップ(SCHIP1)を使用することにより、小型・軽量の携帯型健康管理機器を実現することができる。センサチップを健康管理機器へ応用した一例を図3に示す。この実施例では、センサチップは、ばんそうこう等のシール(BA1)により、ユーザ(US1)の皮膚等(SKIN1)に装着するように構成されている。センサチップのSIDE1面を、ユーザの皮膚等に接触させるように装着する。このように装着することで、後述する各種センサにより、ユーザの体調または健康状態を検知することが可能となる。なお、この実施例ではばんそうこう等のシールBA1により装着しているが、皮膚等に接触させることができれば、必ずしもこれに限られない。例えば、腕時計の裏側にセンサチップを装着することによっても、実現可能である。
検知されたデータは、第1の半導体集積回路CHIP1上にある、マイクロプロセッサCPU1、及び、高周波送信回路RF1を経由して、無線(WL1)により外部の健康モニタ(MONITOR1)等に送信される。第1の半導体集積回路(CHIP1)は、マイクロプロセッサ(CPU1)、メモリ(MEM1)、外部との通信を行う高周波送受信回路(RF1)、基板(BO1)上に設けられたアンテナ(ANT1?4)の送受信等を切り替える高周波スイッチ(RW1)、温度センサ(TD1)、加速度センサ(AS1)、赤外/赤色光センサ(PD1)、インピーダンスセンサ(GS1)等で構成されるセンサ回路、センサからの信号を増幅してディジタル量に変換するA/D変換回路(AD1)、基板上に搭載された発光ダイオード(LED1)を駆動するドライバ(LD1)、上記CPU1、MEM1、RF1、RW1、TD1、AS1、PD1、GS1への電源供給を制御する電源制御回路(PC1)、PC1のオン/オフを制御するタイマ回路(TM1)、及び、コンデンサC1に蓄積された電荷量を監視する電荷監視回路(CW1)から構成される。
マイクロプロセッサCPU1は、メモリMEM1上に格納されたプログラム(PR1)に従って、チップ上の各回路の動作モードを設定して制御して、各センサを駆動して検知を行う。また、後述するように、検知されたデータを圧縮する、または、ID情報を付加する等の加工を行った後に、上記高周波送信回路RF1経由で、無線にて外部に送信する。さらに、RF1内蔵の受信回路により、外部からの指令、例えば、マイクロプロセッサCPU1における動作モードのパラメータの設定変更が可能である。また、プログラムPR1に適切なプログラムコードを付加することにより、任意の処理を追加することが可能である。
メモリMEM1は、プログラムPR1の以外にも、例えば、センサからの取得データや、マイクロプロセッサCPU1における動作モードのパラメータ等の情報を保持する。メモリMEM1は、典型的には、低消費電力でデータ保持可能なSRAMや、電源供給オフ時でもメモリ内容が保持されるNOR型あるいはAND型等のフラッシュメモリ等で構成される。しかし、低消費電力でメモリ内容が保持できれば、他のタイプのメモリも使用可能である。」(第8頁第6?42行)

C.「第2の半導体集積回路(CHIP2)は、微弱な外部振動を電気エネルギーに変換する小型の発電チップである。文献7に開示されているように、床、壁、人体等の外部振動エネルギーを利用すれば、0.1mW程度の発電が可能となる。以下、本発明の発電チップの動作を具体的に説明する。発電チップCHIP2は、外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ(CM1)、及び、電力回収回路(PC2)から構成される。電力回収回路PC2は、可変容量コンデンサCM1により外部振動の力学エネルギーから変換された電気エネルギーを回収して、基板上のコンデンサ(C3)を充電するように機能する。可変容量コンデンサC
M1は、通常、MEMSプロセスによりシリコンチップ上に微細構造で構成される。具体的には、図1(b)に示すように、2つの固定電極(ST1、ST2)及び、可動電極(VT1)から構成される。このうち、可動電極(VT1)はアンカー(PN1?4)以外のどこにも固定されておらず、CHIP2上に浮いている。このため、CHIP2がある加速度を持って振動等の運動をすると、これにより発生する慣性力により、2つの固定電極(ST1、ST2)間を振動する。この振動により、これらの電極間の距離が変わり、静電容量が変化する。
図4に示すのは、可変容量コンデンサ(CM1)の電荷Qを一定のQ1にして、外部振動によりCM1の静電容量がC1→C2(C2<C1)と変化した場合の、電圧V(V0→V1)と静電エネルギー(E1→E2)の変化を示す図である。このように、外部振動により静電容量が変化する結果、蓄えられる静電エネルギーが増加する(ΔE=E2-E1)。そして、この静電エネルギーの増加分ΔEを回収することにより、小型発電機としての機能を発揮する。
CHIP2に形成する電力回収回路の一実施例を図5に示す。この回路は、文献8に開示されているものと同様の構成をしている。可変容量コンデンサCM1の他に、コンデンサC2、C3、インダクタL1、PMOSトランジスタTP1、NMOSトランジスタTN1、及び、これらのトランジスタのオン/オフのタイミングを制御するドライブ回路(PDR1)から構成される。ドライブ回路PDR1は、外部振動による可変容量CM1の静電容量の変化に応じて、図6に示すタイミング(T1?T5)で、TN1及び、TP1のオン/オフを制御する。電力回収回路の動作は本発明の特徴部分ではないため、ここでは説明を省略する。発生した電力については、最終的には、コンデンサC3、ダイオードD3を経てVDD1ラインに供給され、第1の半導体集積回路CHIP1の電源制御回路PC1に接続されたコンデンサC1に充電される。なお、CM1に元となる電荷を供給するコンデンサC2には初期電荷を与える必要がある。この目的で、本発明のセンサチップにおいては、コンデンサC2の充電をアンテナ(ANT1?4)及び、整流器(D2)を経由して、RFIDリーダー等により外部から誘導された高周波電力により非接触で充電を行う。
……(中略)……
以上のように、本発明のセンサチップにおいては、自律的に電源を得ることが可能である。」(第8頁第43行?第10頁第8行)

D.「しかし、高周波により無線で外部と通信を行うには、例えば、低消費電力と言われている、Bluetooth等の小電力無線インタフェースでも、1mW程度のRF出力が必要とされている。実際には、供給電力をRFに変換するRFパワー付加効率が50%程度であるので、数mW程度の電力が必要になるものと予想される。このため、従来から、より低消費電力な無線方式が提案されているが、1mW程度の供給電力が必要とされている。このように、RF部分が電力を最も必要としており、上記発電チップからの微小電力そのままでは、高周波により外部と通信を行うのは困難である。
この問題を解決するために、本発明では、コンデンサC1、タイマTM1、スイッチトランジスタTP2、電荷監視回路CW1、及び、電源制御回路PC1から構成された低消費電力動作方式を用いる。すなわち、CHIP1の各回路には常時通電せず、その代わりにコンデンサC1に発電電力を蓄える。タイマTM1により設定された時間間隔が経過したと判断された場合、あるいは、電荷監視回路CW1が十分な電力が蓄えられたと判断した場合のみに、電源制御回路PC1内のスイッチトランジスタを導通させ、他の回路に電力を供給する。つまり、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行う。この超低消費電力動作方式をより具体的に示したのが、図7に示す動作フローチャートである。
図7に示されるように、CPU1は常時スリープ状態P110にある。タイマTM1あるいは電荷監視回路CW1からの割り込みによりP120以降の動作状態に遷移する。動作状態においては、メモリMEM1に格納されたプログラムあるいは動作パラメータに従って以降の動作を決定する。例えば、動作パラメータがデータの検知ならば、データセンスルーチンP200を呼び出し、センサ駆動/サブルーチンP210、データ取り出し/加工(圧縮等)サブルーチンP220、データ書き込みサブルーチンP230を順次実行し、センサからデータを取得し、メモリにデータを書き込む。一方、動作パラメータがデータ送信の場合には、データ送信ルーチンP300を呼び出し、データ読み出しサブルーチンP310、識別子生成サブルーチンP320、パケット生成サブルーチンP330、圧縮/変調サブルーチンP340、パケット送信サブルーチンP350を順次実行し、データを送信する。」(第10頁第17?42行)

E.「PC1、CW1、TM1により実現される本発明の超低消費電力動作方式を図10に示す。図10に示されるように、半導体集積回路CHIP1の大部分の回路は、通常は動作しておらず(SLP)、短い時間のみ間欠的に動作する(OPR)。このような間欠動作により、前述した電力の問題も解決可能である。例えば、コンデンサC1には、典型的には、1μF程度のものが使用可能であり、例えば、1Vで充電すれば1μクーロンすなわち、1mA程度の電流を1m秒程度、供給可能である。つまり、コンデンサC1の充電電圧を数V(通常3V程度)と設定した場合には、RFパワー付加効率を50%とした場合にも、1mW程度の送信電力で外部にデータを送信することも実現可能である。」(第11頁第37?46行)

F.「さらに、図12(d)に示すのは、脈拍センサの構成である。本脈拍センサは、フォトダイオードD5、負荷抵抗R4、及び、増幅器A4から構成される光学センサPD1、及び、光学センサPD1の光源となる基板上に搭載された赤色/赤外LED(LED1)、及び、バスインタフェースLIF1とLED1のドライブトランジスタTN3から構成されたドライブ回路LD1から構成される。本脈拍センサでは、測定時にのみ、バスBU1経由でマイクロプロセッサCPU1からの制御信号に基づいて、トランジスタTN3を導通させて、LED1を発光させ、ユーザの皮膚SKIN1に赤色光あるいは赤外光を照射する。照射光(LR1)の反射光/散乱光(LR2)その他をフォトダイオードD5にて受信する。増幅器A4で増幅後、A/D変換回路経由で、マイクロプロセッサCPU1で受信光の強度を測定して、血流量に応じた赤色光/赤外光の減衰量の推移(=脈拍)を測定する。なお、通常のLEDでは、十分な強度の赤外光あるいは赤色光を得るためには、少なくとも1mA程度のドライブ電流が必要である。このため、高周波送受信回路を駆動する場合と同様に、本脈拍センサもコンデンサC1に蓄積した電荷により間欠的に動作させる、本発明に特有な超低消費電力動作方式は必須である。」(第13頁第10?23行)

G.「RW1は、データ送信時あるいはデータ受信時以外の場合においては、RS3とRS4が導通状態に設定される。このため、アンテナから受信した高周波電力は、整流器D2を通して発電チップに元となる電荷を供給するコンデンサC2、及び、整流器D1を通じて本センサチップの間欠動作を実現するコンデンサC1に蓄えられる。このように、本発明のセンサチップでは、外部からアンテナ経由で電力を供給することも可能である。」(第14頁第43?47行)

H.「具体的には、本発明のセンサチップ内の脈拍センサあるいはインピーダンスセンサから取得された脈拍情報、GSR情報を元に、CPU50にて、ユーザの感情あるいは心理状態を推定する。」(第18頁第48?50行)

(2-2)引用発明
a.Cの「第2の半導体集積回路(CHIP2)は、微弱な外部振動を電気エネルギーに変換する小型の発電チップである。文献7に開示されているように、床、壁、人体等の外部振動エネルギーを利用すれば、0.1mW程度の発電が可能となる。以下、本発明の発電チップの動作を具体的に説明する。
発電チップCHIP2は、外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ(CM1)、及び、電力回収回路(PC2)から構成される。電力回収回路PC2は、可変容量コンデンサCM1により外部振動の力学エネルギーから変換された電気エネルギーを回収して、基板上のコンデンサ(C3)を充電するように機能する。」、「電力回収回路の一実施例を図5に示す。この回路は、文献8に開示されているものと同様の構成をしている。可変容量コンデンサCM1の他に、コンデンサC2、C3、インダクタL1、PMOSトランジスタTP1、NMOSトランジスタTN1、及び、これらのトランジスタのオン/オフのタイミングを制御するドライブ回路(PDR1)から構成される。」、「発生した電力については、最終的には、コンデンサC3、ダイオードD3を経てVDD1ラインに供給され、第1の半導体集積回路CHIP1の電源制御回路PC1に接続されたコンデンサC1に充電される。なお、CM1に元となる電荷を供給するコンデンサC2には初期電荷を与える必要がある。この目的で、本発明のセンサチップにおいては、コンデンサC2の充電をアンテナ(ANT1?4)及び、整流器(D2)を経由して、RFIDリーダー等により外部から誘導された高周波電力により非接触で充電を行う。」、「本発明のセンサチップにおいては、自律的に電源を得る」、及び、Dの「本発明では、コンデンサC1、タイマTM1、スイッチトランジスタTP2、電荷監視回路CW1、及び、電源制御回路PC1から構成された低消費電力動作方式を用いる。すなわち、CHIP1の各回路には常時通電せず、その代わりにコンデンサC1に発電電力を蓄える。」から、引用文献には、
外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ、及び、アンテナに誘導された高周波電力により整流器を経由して初期電荷を与えられて前記可変容量コンデンサに元となる電荷を供給するコンデンサC2を備える電力回収回路から構成され、センサチップに電力を供給するためにコンデンサC1を充電する発電チップCHIP2、
が記載されている。

b.Aの「センサチップ(SCHIP1)は、第1の半導体集積回路(CHIP1)、第2の半導体集積回路(CHIP2)、発光ダイオード(LED)チップ(LED1)、コンデンサ(C1、C2、C3)、インダクタ(L1)、及び、これらを搭載するための基板(BO1)から構成される。」、Bの「第1の半導体集積回路(CHIP1)は、マイクロプロセッサ(CPU1)、メモリ(MEM1)、外部との通信を行う高周波送受信回路(RF1)、基板(BO1)上に設けられたアンテナ(ANT1?4)の送受信等を切り替える高周波スイッチ(RW1)、温度センサ(TD1)、加速度センサ(AS1)、赤外/赤色光センサ(PD1)、インピーダンスセンサ(GS1)等で構成されるセンサ回路、センサからの信号を増幅してディジタル量に変換するA/D変換回路(AD1)、基板上に搭載された発光ダイオード(LED1)を駆動するドライバ(LD1)、上記CPU1、MEM1、RF1、RW1、TD1、AS1、PD1、GS1への電源供給を制御する電源制御回路(PC1)、PC1のオン/オフを制御するタイマ回路(TM1)、及び、コンデンサC1に蓄積された電荷量を監視する電荷監視回路(CW1)から構成される。」から、センサチップは、前記発電チップCHIP2、メモリMEM1、センサ回路及びマイクロプロセッサCPU1を含むことが記載されている。
また、前記センサチップは、アンテナ及びコンデンサC2を含むことも記載されているから、前記aで認定した、前記アンテナに誘導された高周波電力を整流して、前記コンデンサC2に初期電荷を与える整流器も、前記センサチップに含まれることは明らかである。
そして、前記発電チップCHIP2は、コンデンサC1を充電することで前記センサチップに電力を供給するのであるから、当該センサチップに含まれる前記メモリMEM1、前記センサ回路及び前記マイクロプロセッサCPU1は、前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作することは明らかである。

c.Bの「メモリMEM1は、プログラムPR1の以外にも、例えば、センサからの取得データや、マイクロプロセッサCPU1における動作モードのパラメータ等の情報を保持する。メモリMEM1は、典型的には、低消費電力でデータ保持可能なSRAMや、電源供給オフ時でもメモリ内容が保持されるNOR型あるいはAND型等のフラッシュメモリ等で構成される。」の記載において、「センサからの取得データ」は、Bの「温度センサ(TD1)、加速度センサ(AS1)、赤外/赤色光センサ(PD1)、インピーダンスセンサ(GS1)等で構成されるセンサ回路」から、結局、センサ回路からの取得データである。
したがって、引用文献には、
メモリMEM1は、センサ回路からの取得データを保持するフラッシュメモリである、
ことが記載されている。

d.Aの「センサチップ(SCHIP1)は、第1の半導体集積回路(CHIP1)……これらを搭載するための基板(BO1)から構成される。このうち、基板(BO1)には、これらのチップ間を結線するための配線パターン、後述する高周波送受信回路で使用するアンテナ(ANT1?4)パターン、及び、後述するセンサ回路(GS1)で使用する電極(GSR1?4)パターン等が、銅あるいは金等の金属で描かれている。」、Bの「第1の半導体集積回路(CHIP1)は……赤外/赤色光センサ(PD1)……等で構成されるセンサ回路……から構成される。」、Fの「本脈拍センサは、フォトダイオードD5、負荷抵抗R4、及び、増幅器A4から構成される光学センサPD1、及び、光学センサPD1の光源となる基板上に搭載された赤色/赤外LED(LED1)、及び、バスインタフェースLIF1とLED1のドライブトランジスタTN3から構成されたドライブ回路LD1から構成される。本脈拍センサでは、測定時にのみ、バスBU1経由でマイクロプロセッサCPU1からの制御信号に基づいて、トランジスタTN3を導通させて、LED1を発光させ、ユーザの皮膚SKIN1に赤色光あるいは赤外光を照射する。照射光(LR1)の反射光/散乱光(LR2)その他をフォトダイオードD5にて受信する。」、及び、Hの「本発明のセンサチップ内の脈拍センサ」から、センサチップが含むセンサ回路は、ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光を測定する脈拍センサであることが記載されている。
そして、Fの「本脈拍センサでは、測定時にのみ、バスBU1経由でマイクロプロセッサCPU1からの制御信号に基づいて、トランジスタTN3を導通させて、LED1を発光させ、ユーザの皮膚SKIN1に赤色光あるいは赤外光を照射する。」及び「通常のLEDでは、十分な強度の赤外光あるいは赤色光を得るためには、少なくとも1mA程度のドライブ電流が必要である。このため、高周波送受信回路を駆動する場合と同様に、本脈拍センサもコンデンサC1に蓄積した電荷により間欠的に動作させる、本発明に特有な超低消費電力動作方式は必須である。」から、前記脈拍センサは、測定時にのみコンデンサC1に蓄積した電荷が供給されて間欠的に動作することが記載されている。
したがって、引用文献には、
センサチップが含むセンサ回路である脈拍センサは、ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光を測定するとともに、測定時にのみコンデンサC1に蓄積した電力が供給されて間欠的に動作する、
ことが記載されている。

e.Dの「図7に示されるように、CPU1は常時スリープ状態P110にある。タイマTM1あるいは電荷監視回路CW1からの割り込みによりP120以降の動作状態に遷移する。動作状態においては、メモリMEM1に格納されたプログラムあるいは動作パラメータに従って以降の動作を決定する。例えば、動作パラメータがデータの検知ならば、データセンスルーチンP200を呼び出し、センサ駆動/サブルーチンP210、データ取り出し/加工(圧縮等)サブルーチンP220、データ書き込みサブルーチンP230を順次実行し、センサからデータを取得し、メモリにデータを書き込む。」、及び、Bの「温度センサ(TD1)、加速度センサ(AS1)、赤外/赤色光センサ(PD1)、インピーダンスセンサ(GS1)等で構成されるセンサ回路」から、CPU1は、動作状態に遷移すると、センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、センサ回路から取得したデータをメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行することが記載されている。
また、Fの「本脈拍センサでは、測定時にのみ、バスBU1経由でマイクロプロセッサCPU1からの制御信号に基づいて」との記載から、脈拍センサが測定時にのみコンデンサC1に蓄積した電力が供給されて間欠的に動作するのは、マイクロプロセッサCPU1の制御に基づくものである。
そして、dで述べたように、前記脈拍センサは、センサチップが含むセンサ回路である。
してみれば、引用文献には、
動作状態に遷移すると、センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、脈拍センサから取得したデータをメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行するとともに、前記脈拍センサが測定時にのみ電力が供給されて間欠的に動作するように制御するマイクロプロセッサCPU1、
が記載されている。

以上、a?eから、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ、及び、アンテナに誘導された高周波電力により整流器を経由して初期電荷を与えられて前記可変容量コンデンサに元となる電荷を供給するコンデンサC2を備える電力回収回路から構成され、センサチップに電力を供給するためにコンデンサC1を充電する発電チップCHIP2と、
前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、脈拍センサからの取得データを保持するフラッシュメモリと、
前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光を測定するとともに、測定時にのみ前記電力が供給されて間欠的に動作する前記脈拍センサと、
前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、動作状態に遷移すると、センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行するとともに、前記脈拍センサの前記間欠的な動作を制御するマイクロプロセッサCPU1と、
を含むことを特徴とするセンサチップ。」

(2-3)対比
補正後の発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「センサチップ」と補正後の発明の「集積回路チップ」とは、いずれも、集積回路チップである点で一致する。

b.引用発明の「外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ、及び、アンテナに誘導された高周波電力により整流器を経由して初期電荷を与えられて前記可変容量コンデンサに元となる電荷を供給するコンデンサC2を備える電力回収回路から構成され、センサチップに電力を供給するためにコンデンサC1を充電する発電チップCHIP2」は、「可変容量コンデンサに元となる電荷を供給するコンデンサC2」に対し、「アンテナに誘導された高周波電力」を「初期電荷」として「与え」る「整流器」を有している。
この「アンテナに誘導された高周波電力」を「初期電荷」として「与え」る「整流器」は、前記「アンテナに誘導された高周波電力」を「整流」して直流電圧に変換し、該直流電圧により「コンデンサC2」を充電することで、該「コンデンサC2」に「初期電荷を与え」るように機能する「整流器」である、と解される。
そして、前記「アンテナに誘導された高周波電力」を「初期電荷」として「与え」る「整流器」を有する「発電チップCHIP2」は、「センサチップ」に含まれるものである。
したがって、引用発明の「センサチップ」が含む前記「発電チップCHIP2」が「アンテナに誘導された高周波電力」を「初期電荷」として「与え」る「整流器」を有することと、補正後の発明の「集積回路チップ」が「アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路」を含むこととは、いずれも、集積回路チップが、アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路を含む点で一致する。

c.引用発明の「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、脈拍センサからの取得データを保持するフラッシュメモリ」において、「発電チップCHIP2」は「センサチップに電力を供給するためにコンデンサC1を充電する」から、「フラッシュメモリ」は「コンデンサC1」の端子間の直流電圧によって動作すると解される。
そして、引用発明の「フラッシュメモリ」は不揮発性メモリの一つである。
したがって、引用発明の「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、脈拍センサからの取得データを保持するフラッシュメモリ」と、補正後の発明の「該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリとは、いずれも、直流電圧で動作する不揮発性メモリである点で共通する。

d.引用発明の「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光を測定するとともに、測定時にのみ前記電力が供給されて間欠的に動作する前記脈拍センサ」は、「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作」するとともに、「ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光を測定」する回路である。
したがって、上記cと同様の理由により、引用発明の「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光を測定するとともに、測定時にのみ前記電力が供給されて間欠的に動作する前記脈拍センサ」と、補正後の発明の「該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路」とは、いずれも、直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路である点で共通する。

e.さて、引用発明は「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、動作状態に遷移すると、センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行するとともに、前記脈拍センサの前記間欠的な動作を制御するマイクロプロセッサCPU1」を有する。
ここで、引用発明にあっては、前記「センサ駆動/サブルーチン」においては、「脈拍センサ」は「前記発電チップCHIP2が供給する電力」が「測定時にのみ」「供給され」て「駆動」され、これにより、「脈拍センサ」が「間欠的に動作する」と解される。すなわち、「マイクロプロセッサCPU1」が当該「センサ駆動/サブルーチン」を「実行」することで、「脈拍センサ」が「間欠的」に「駆動」され、当該「実行」時に前記「脈拍センサ」が前記「マイクロプロセッサCPU1」に制御されて「ユーザの皮膚に光を照射した際の反射光/散乱光」の「測定」がなされることは明らかである。
また、前記「マイクロプロセッサCPU1」が「前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチン」を「実行」することで、「前記フラッシュメモリ」への「書き込」みアクセスがなされるように、前記「マイクロプロセッサCPU1」が前記「フラッシュメモリ」を制御することも明らかである。
そして、前記「反射光/散乱光」の「測定」がなされる前記「センサ駆動/サブルーチン」の「実行」と、前記「脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチン」の「実行」とは、間に、「データ取り出し/加工サブルーチン」の「実行」を介在させ、間隔を置いてなされている。
したがって、引用発明の「マイクロプロセッサCPU1」は、前記「反射光/散乱光」の「測定」という動作と前記「脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込む」という動作を、間隔を置いて「実行」する、すなわち、時間的に重ならず同時に「実行」されないように、前記「センサ回路」及び前記「フラッシュメモリ」とを制御していると認められる。
これに対して、補正後の発明の「該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路」も、当該「ロジック回路」が動作状態にあるときに前記「制御」を実行しているのは当然である。
よって、引用発明の「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作し、動作状態に遷移すると、センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行するとともに、前記脈拍センサの前記間欠的な動作を制御するマイクロプロセッサCPU1」と、補正後の発明の「該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路」とは、いずれも、不揮発性メモリのアクセス動作とセンサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路である点で共通する。

以上a?eから、補正後の発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。
(一致点)
「アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路と、
該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路と、
を含むことを特徴とする集積回路チップ。」

(相違点1)
補正後の発明の「不揮発性メモリ」は「アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路」に「結合され」て「直流電圧」を供給されるのに対して、引用発明の「フラッシュメモリ」は「外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ、及び、アンテナに誘導された高周波電力により整流器を経由して充電されると共に前記可変容量コンデンサに元となる電荷を供給するコンデンサC2を備える電力回収回路から構成され、センサチップに電力を供給するためにコンデンサC1を充電する発電チップCHIP2」が「供給する電力で動作」する点。

(相違点2)
補正後の発明の「センサ回路」は前記「整流回路」に「結合され」て「直流電圧」を供給されるのに対して、引用発明の「脈拍センサ」は前記「発電チップCHIP2」が「供給する電力で動作」する点。

(相違点3)
補正後の発明においては、「前記ロジック回路は、前記不揮発性メモリおよび前記センサ回路の動作電圧より低い動作電圧で動作する」のに対し、引用発明においては、「マイクロプロセッサCPU1」は、「フラッシュメモリ」及び「脈拍センサ」と同じ「前記発電チップCHIP2が供給する電力で動作」する点。

(2-4)判断
RFIDタグやカード等の形状をした携帯可能な情報処理デバイスにおいて、当該デバイスへの電力供給を、当該デバイス内に設けたアンテナ、及び該アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路を利用して行うことは、きわめて一般的な常套手段である。
そして、原審の拒絶理由通知において、「引用文献2」として引用された特開2003-132316号公報には、
ア.「【0034】次に、本発明の第1の実施の形態について説明する。図2は、本発明の実施の形態の構成例を示す図である。この図に示すように、本発明のカード型情報処理デバイスは、アンテナ10、ダイオード11-1?11-4、電源発生回路50、復調回路14、CLK回路15、RST回路16、変調回路17、MPU18、および、不揮発性メモリ19によって構成されている。」、
イ.「【0053】ダイオード11-1?11-4は、ブリッジ回路を構成しており、アンテナ10の両端に発生した電気信号を全波整流し、直流信号に変換して出力する。電源発生回路50のレギュレート回路60は、ダイオード11-1,11-2の出力電圧を所定の電圧になるように調整し、電源#1として出力する。レギュレート回路60から出力された電源#1は、コンデンサ61に蓄えられた後、アナログ回路に供給される。」、
と記載されている(下線は、参考のために当審において付したもの。以下、他の文献についても同様である。)。
すなわち、前記「引用文献2」には、不揮発性メモリを備えた携帯可能なカードの形状をした携帯可能な情報処理デバイスにおいて、当該デバイスへの電力供給を、当該デバイス内に設けたアンテナ、及び該アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路を利用して行うことが記載されている。

さらに、引用文献には、前記「(2-1)引用文献の記載事項」の項のGに、
「アンテナから受信した高周波電力は、整流器D2を通して発電チップに元となる電荷を供給するコンデンサC2、及び、整流器D1を通じて本センサチップの間欠動作を実現するコンデンサC1に蓄えられる。このように、本発明のセンサチップでは、外部からアンテナ経由で電力を供給することも可能である。」
と記載されており、引用文献には、アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流器を「センサチップ」各部に結合することで、該「センサチップ」に電力を供給することが可能である旨が示唆されている。

してみれば、引用発明において、「外部の振動により静電容量が変化する可変容量コンデンサ、及び、アンテナに誘導された高周波電力により整流器を経由して充電されると共に前記可変容量コンデンサに元となる電荷を供給するコンデンサC2を備える電力回収回路から構成される発電チップCHIP2」により「センサチップに電力を供給する」ことに代えて、「アンテナ」に結合され該「アンテナ」からの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流器を「センサチップ」各部に結合して「センサチップに電力を供給する」こと、したがって、「フラッシュメモリ」及び「脈拍センサ」に「電力を供給する」ことは、当然になし得た事項である。

このとき、
前記「引用文献2」に、
ウ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は情報処理装置およびカード型情報処理デバイスに関し、特に、所定の情報に応じて変調された搬送波を受信し、情報と電力とを抽出して所定の処理を実行する情報処理装置およびカード型情報処理デバイスに関する。」、
エ.「【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では、MPU18の電源電圧が低下する傾向にあり、例えば、1.8V程度でも動作可能なデバイスが出現しつつある。一方、不揮発性メモリ19については、書き込み時および読み出し時において、ある程度のエネルギを必要とすることから、電源電圧は3V程度は必要である。
【0017】従って、従来の方法では、不揮発性メモリ19がネックとなって、電源#2の電圧をある程度以下には下げることができないため、消費電力の更なる低減が困難であるという問題点があった。」、
と記載されている。
すなわち、不揮発性メモリを有するカード型情報処理デバイスにおいて、当該デバイスの制御回路であるMPUの動作電圧より高い動作電圧を有する不揮発性メモリは一般であった。

一方、引用発明の「脈拍センサ」は、「マイクロプロセッサCPU1」と同じく、「発電チップCHIP2が供給する電力で動作」している。
しかしながら、一般に、センサ回路の動作電圧は、当該センサ回路の回路構成と共に、当該センサ回路が用いるセンサや各種回路デバイスのタイプに応じて、種々、異なることは自明の事項である。
そして、
本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭62-293873号公報には、
オ.「メモリ31はイメージセンサ16が出力する画像信号を所定のアドレスに記憶するものであり、例えば、本体100に挿入あるいは抜き取りができるメモリカードであっても良く、あるいは、内部に固定されたメモリであっても良い。」(第2頁下右欄第14?19行)、
カ.「スイッチ32をオンすると、電圧変換回路17に、例えば、3Vの電圧が入力する。この電圧は、12Vとして発光ダイオードアレイ14に与えられ、また、3Vとして制御部18、エンコーダ13および電池残量ランプ19に与えられる。また電池入力の時、電池残量がわからず、例えば、走査の途中で使えなくなったりする不都合が生じていた。オペレータが手駆動により原稿10上を移動させると、ローラ11の回転を受けてエンコーダ13が移動距離に応じた位置信号を出力する。同時に、発光ダイオードアレイ14に照射された原稿10の反射光を受けたイメージセンサ16はメモリに画像信号を出力し、位置信号に応じて出力されるアドレス信号に基づいて所定のアドレスに記憶させる。」(第3頁上左欄第3?17行)と、
本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2002-365704号公報には、
キ.「【0022】本実施形態におけるCPU1は、低消費電力と高速動作の両立を目指すために素子の微細化が進められており、このCPU1が動作するための電源電圧の範囲は1.8V±5%となっている。この1.8V程度の電源電圧は、第一の電源入力端子3および第二の電源入力端子4に供給される。
……(中略)……
【0024】9は測距を行うためのAFセンサで、被写体からの光を受光するラインセンサ等により構成されている。AFセンサ9はCPU1からの指示に従い、ラインセンサにて得られた像信号を適切に処理してから、CPU1内のA/D変換器2に出力する。CPU1は、像信号のA/D変換結果をもとに被写体距離を求め、この被写体距離に基づいて不図示の撮影レンズの位置制御等を行った後に、露光動作を開始させる。
【0025】また、AFセンサ9には、このAFセンサ9を駆動するために用いられる電源電圧(3.3V)が入力される電源入力端子と、CPU1との間のロジック信号伝達のために用いられる(インターフェース用の)電源電圧(1.8V)が入力される電源入力端子とが用意されている。
【0026】ここで、CPU1は電源電圧が1.8V程度で動作するが、AFセンサ9においてはラインセンサを駆動するために1.8V以上の電源電圧が必要であり、本実施形態においてはAFセンサ9を駆動するための電源電圧として3.3Vを必要とする。このため、AFセンサ9には、後述する電池12の電圧(VBAT)をDC/DCコンバータ13(本願請求項に記載の第1電源出力手段)により昇圧して、3.3Vとしてから供給している。」と、
本願の出願日前に頒布された刊行物である国際公開第00/67962号には、
ク.「つぎに、各回路への電源供給の系統について図7を用いて説明する。
バッテリ123は、リチウムイオン電池からなり、7.2V2700mAhの電源電圧を有する。DC-DCコンバータ124は、上記電源電圧に基づいて電圧変換を行い、所定の電圧に変換された電源を各回路に供給する。例えば、DC-DCコンバータ124は、測距センサ220やCCDイメージセンサ226に対して5Vで1Aの電源を、また、CPU101やPCカードコントローラ103やフラッシュメモリ105等に対しては3.3Vで3Aの電源を、さらに、モータを駆動するための各ドライバ205,224等に対しては5Vで3Aの電源を供給している。なお、レギュレータ122は、バッテリ123の電源電圧を3.3Vに変換してコントローラ126等に供給している。」(明細書の第12頁第6?18行)と、
さらに、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2005-293485号公報には、
ケ.「【0084】
《第3の実施形態》
図7は、ICタグ31のセンサ接続を説明する図である。
図7において、レギュレータ(またはDC-DCコンバータ)34は、電池32の電圧Vccを安定化して、安定化電圧Vddとして出力する。この安定化電圧Vddは、CPU35、データ通信部36、記録部37に電力供給される。
一方、センサユニット33は、電池32の電圧Vccによって作動する。このセンサユニット33は、磁気センサと、磁気センサによって外界状態を検出するたびに出力信号を反転(トグル動作)させる回路とから構成される。
このセンサユニット33の出力信号は、レギュレータ34のチップイネーブル端子に入力される。」と、
それぞれ、記載されている。
オ?ケから、CPU等の制御回路の動作電圧よりも高い動作電圧を有するセンサ回路が種々存在することは、周知の事項であった。

したがって、引用発明において、「マイクロプロセッサCPU1」、「フラッシュメモリ」及び「脈拍センサ」に「電力」を「供給」するに際して、前記「マイクロプロセッサCPU1」を、前記「フラッシュメモリ」及び前記「脈拍センサ」の動作電圧より低い動作電圧で「動作」させることは、前記「フラッシュメモリ」の種類と、前記「脈拍センサ」の回路構成や当該「脈拍センサ」が用いるセンサや各種回路デバイスのタイプに応じて、当業者であれば適宜なし得た事項であると認められる。

以上をまとめれば、
引用発明において、引用文献において示唆されるように、「アンテナ」に結合され該「アンテナ」からの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流器を「センサチップ」各部に結合して、「フラッシュメモリ」及び「脈拍センサ」に「電力を供給する」とともに、この「電力」の「供給」に際しては、前記「フラッシュメモリ」の種類と、前記「脈拍センサ」の回路構成や当該「脈拍センサ」が用いるセンサや各種回路デバイスのタイプに応じて、「マイクロプロセッサCPU1」を、前記「フラッシュメモリ」及び前記「脈拍センサ」の動作電圧より低い動作電圧で「動作」させることは、当業者であれば適宜なし得た事項であると認められる。

よって、相違点1ないし相違点3は格別のものではない。
そして、補正後の発明の効果も、引用発明から当業者が予期し得たものであると認められる。

(2-5)審判請求人の主張
審判請求人は、審判請求書において、
a.「このように引用文献1乃至3の何れにも、不揮発性メモリとセンサ回路とを制御するロジック回路の動作電圧が不揮発性メモリおよびセンサ回路の動作電圧より低い構成は開示も示唆もされていません。本願発明では、不揮発性メモリとセンサ回路とを制御するロジック回路の動作電圧を、不揮発性メモリおよびセンサ回路の動作電圧より低い設定とすることにより、更なる低消費電力化が実現されるという格別の効果が得られます。」、
と主張している。

また、平成23年4月1日付けの回答書において、「引用文献1」について、
b.「まず引用文献1ですが、発電チップからの微小電力そのままでは高周波により外部と通信を行うのは困難であるという問題を解決するために、コンデンサC1に発電電力を蓄え、設定された時間間隔が経過したと判断された場合、あるいは、十分な電力が蓄えられたと判断した場合のみに、電源制御回路内のスイッチトランジスタを導通させ、他の回路に電力を供給します。これにより、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行います。この動作が、図7の動作フローチャートに超低消費電力動作方式として示されています。審査官殿が抜粋しているBの記載は、このフローチャートの説明であり、センサ駆動/サブルーチンP210、データ取り出し/加工(圧縮等)サブルーチンP220、データ書き込みサブルーチンP230を順次実行すると述べているにすぎません。データの加工の前にまず検出動作が必要なのは当然であり、またデータ書き込み前に必要なデータの加工を行なうのも当然であり、順次実行するという構成と消費電力削減とは何ら関係がありません。また審査官殿が抜粋しているCの記載も同様です。引用文献1の発明の趣旨は、十分な電力が蓄えられた場合のみ回路を動作させることにより、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行うというものです。」、
c.「そもそも引用文献1は内部発電チップを有するものであり、アンテナを介した外部との通信により直流電圧を得るという本願発明の構成とは異なります。引用文献1では、内部発電チップの発電力が微少すぎるので、まず発電した電力をコンデンサC1に蓄え、十分な電力が得られた時点で動作を実行するというものであり、センサ検出動作、データ加工、データ書き込みを実行するに十分な電力が蓄えられているのであれば、順次実行する必要もなく、同時に実行しても消費する総電力は何ら変わりがありません。即ち、順次実行しようが同時実行しようが消費する総電力に変わりはなく、何ら消費電力削減という観点からすれば順次実行するという構成には何も意味はありません。このように引用文献1には、複数の回路が時間的に重ならず同時に実行されない、という発明概念或いは技術的思想は全く存在いたしません。」、
と主張している。

そして、前記回答書において、「引用文献2及び3」について、
d.「このように」、引用文献2及び引用文献3には、「複数の回路が時間的に重ならず同時に実行されない、という発明概念或いは技術的思想は全く存在しません。」、
と主張している。

しかしながら、
前記a及びcの主張については、前記「(2-4)判断」の項で述べたとおりである。
特にcの主張に関し、引用発明は「発電チップCHIP2」を用いるものの、「センサチップ」の動作のためには該「発電チップCHIP2」が供給する微少電力では十分でないため、「センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行する」という低消費電力動作方式を用いた旨が、前記「(2-1)引用文献の記載事項」の項のDに記載されている。したがって、cの主張は当を得ていない。

また、引用文献2及び引用文献3には、「複数の回路が時間的に重ならず同時に実行されない、という発明概念或いは技術的思想は全く存在し」ないことは、前記dの主張のとおりである。しかし、前記の「複数の回路が時間的に重ならず同時に実行されない、という発明概念或いは技術的思想」は、前記「(2-3)対比」の項のeで述べたとおり、「引用文献1」すなわち、引用文献に記載されている。

次に、前記bの主張に関して、「引用文献1の発明の趣旨は、十分な電力が蓄えられた場合のみ回路を動作させることにより、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行うというもの」であることは、前記「(2-1)引用文献の記載事項」の項のEに記載され、前記主張のとおりである。
しかし、引用発明は、前記の「間欠的」に動作している状態である「動作状態」において、「マイクロプロセッサCPU1」は「センサ駆動/サブルーチン、データ取り出し/加工サブルーチン、及び、前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチンを順次実行する」ものである。そして、この「動作状態」においては、前記「(2-3)対比」の項のeで述べたとおり、引用発明の「マイクロプロセッサCPU1」は、前記「脈拍データ」の「測定」の動作と前記「脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込む」という動作を間隔を置いて「実行」する、すなわち、時間的に重ならず同時に「実行」されないように、前記「センサ回路」及び前記「フラッシュメモリ」とを制御している。
すなわち、引用発明の「マイクロプロセッサCPU1」は補正後の発明の「ロジック回路」と同じ動作をしているものである。
また、審判請求人は前記bの主張において、「十分な電力が蓄えられたと判断した場合のみに、電源制御回路内のスイッチトランジスタを導通させ、他の回路に電力を供給します。これにより、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行います。」と主張し、引用文献の「センサチップ」には、前記「間欠的」に動作している状態においては、「他の回路」にも「電力を供給」するから、「センサ駆動/サブルーチンP210、データ取り出し/加工(圧縮等)サブルーチンP220、データ書き込みサブルーチンP230」を単に「順次実行」しているにすぎない旨の主張をしている。
しかしながら、引用発明の「マイクロプロセッサCPU1」が「動作状態」にあって、かつ、たとえば「前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むためのデータ書き込みサブルーチン」を「実行」していない状態では、「前記フラッシュメモリ」に電力が供給されたままであっても、当該「フラッシュメモリ」は、書き込みのアクセスの「制御」はなされず、「前記脈拍センサから取得したデータを前記フラッシュメモリに書き込むため」に電力を消費しないことは明らかである。
以上のとおりであるから、bの主張は、本件補正により補正された請求項1の記載に基づくものではなく、また、当を得ていないので、これを採用することはできない。

なお、前記bの「引用文献1……十分な電力が蓄えられたと判断した場合のみに、電源制御回路内のスイッチトランジスタを導通させ、他の回路に電力を供給します。これにより、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行います。」との主張は、「引用文献1」においては、「十分な電力が蓄えられたと判断した場合」は「他の回路」も含めセンサチップ全体に電力を供給している、という主張である。
この主張に基づけば、審判請求人は、補正後の発明においては、必要とされている回路にのみ電力を供給するために「不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されない」ことができると主張している、とも解することができる。
そこで、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参照すると、
段落【0037】に「まずセンサ回路16が駆動され、センサ回路16によるデータ測定動作が実行される」と記載され、「センサ回路16によるデータ測定動作」時に「センサ回路16が駆動され」ることが記載されている。この「センサ回路16が駆動され」るとはセンサ回路16に電源供給されることであると解することが可能な記載である。
しかしながら、段落【0038】に「センサ回路16による測定動作が終了すると、センサ回路16の動作停止後に、不揮発性メモリ14に対する測定データの書き込み処理を実行する(S5)。具体的には、データ処理回路43に一時的に保持されている測定データを、メモリIF回路44を介して不揮発性メモリ14に転送するとともに、ロジック回路18からメモリ書き込み指示を不揮発性メモリ14に与えることで、不揮発性メモリ14に対する測定データ書き込みが実行される。」と、「ロジック回路18からメモリ書き込み指示を不揮発性メモリ14に与える」ことで不揮発性メモリ14に対する書き込みアクセス動作を行うことが記載されているだけである。この点は、本願明細書の他の記載を参照しても同様である。
よって、本願明細書には、「センサ回路16」には、必要とされている時にのみ電力を供給するが、「不揮発性メモリ14」には、必要とされている時にのみ指示を与えて動作させることが記載されている。そして、この点は、引用発明も同様である。
一方、非接触カードやRFIDタグの技術分野において、搭載するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに、必要とされている時にのみ電力を供給することは、「引用文献2」の段落【0083】?【0084】、「引用文献3」の段落【0113】?【0116】にそれぞれ記載されるように、周知慣用の技術である。したがって、本願明細書の「不揮発性メモリ14」には、必要とされている時にのみ電力が供給されることは、明示の記載がなくても当業者には自明な事項であると考えることも可能である。
しかし、引用発明の「マイクロプロセッサCPU1」は、「脈拍センサ」が「測定時にのみ前記電力が供給されて間欠的に動作する」ように「前記脈拍センサの前記間欠的な動作を制御する」ものである。そして、「引用文献1の発明の趣旨は、十分な電力が蓄えられた場合のみ回路を動作させることにより、間欠的に検知動作あるいは外部との通信を行うというもの」であるから、引用発明は当該「回路」の省電力「動作」を課題としている。
してみれば、引用発明の「脈拍センサ」が「測定時にのみ前記電力が供給されて間欠的に動作する」以上、「フラッシュメモリ」についても「脈拍センサからの取得データ」の書き込み時にのみ「前記電力が供給されて間欠的に動作」させようとすることは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。

以上から、前記a?dの各主張は、いずれも、当を得ておらず、これらを採用することができない。

(2-6)独立特許要件のまとめ
以上のとおりであるから、補正後の発明は、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定に適合していない。


3.小括
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり、決定する。


第3.本願発明について
1.本願発明
平成22年3月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年6月4日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「アンテナに結合され該アンテナからの交流電圧を直流電圧に変換するよう機能する整流回路と、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作する不揮発性メモリと、
該整流回路に結合され該直流電圧で動作し所定のデータを測定するセンサ回路と、
該不揮発性メモリのアクセス動作と該センサ回路のデータ測定動作とが時間的に重ならず同時に実行されないように該不揮発性メモリと該センサ回路とを制御するロジック回路を含むことを特徴とする集積回路チップ。」


2.引用発明
引用発明は、前記「第2.平成22年3月5日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件」の「(2-2)引用発明」の項で認定したとおりである。


3.対比・判断
本願発明は、補正後の発明が有する、
「前記ロジック回路は、前記不揮発性メモリおよび前記センサ回路の動作電圧より低い動作電圧で動作すること」、
という発明特定事項を削除した発明である。
そして、前記「第2.平成22年3月5日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件」における「(2-1)引用文献の記載事項」?「(2-6)独立特許要件のまとめ」で検討したように、補正後の発明が引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、補正後の発明から前記の発明特定事項を削除した発明である本願発明も、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-07 
結審通知日 2011-07-12 
審決日 2011-07-28 
出願番号 特願2005-316806(P2005-316806)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06K)
P 1 8・ 575- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 浩  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 吉田 美彦
冨吉 伸弥
発明の名称 集積回路チップ及びRFIDシステム  
代理人 山口 昭則  
代理人 伊東 忠彦  

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