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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A01K |
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管理番号 | 1243441 |
審判番号 | 訂正2011-390085 |
総通号数 | 143 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-11-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2011-07-19 |
確定日 | 2011-08-26 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2929517号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2929517号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第2929517号(以下,「本件特許」という。)は,平成6年4月1日に出願されたものであり,その請求項1?4に係る発明について,平成11年5月21日に特許権の設定登録がなされたものである。 そして,平成23年7月19日付けで訂正審判の請求がなされた。 第2 請求の趣旨 本件審判の請求の趣旨は,本件特許に係る明細書(以下,「特許明細書」という。)を,審判請求書に添付した訂正明細書のとおり,すなわち,以下の各訂正事項のとおり訂正することを求めるものである。 1 訂正事項1 特許明細書の請求項1における 「釣糸捲回胴部とその両側の一対のフランジで形成されたスプールをリール本体の側板間に釣糸放出時に回転自在に支持すると共に」 という記載を 「リール本体に第1の側板と第2の側板とを設け、該第1の側板にハンドル軸を設けると共に該ハンドル軸とクラッチ機構を介して連動されるスプール軸を前記第1及び第2の側板の各々に軸支し、釣糸捲回胴部とその両側の一対のフランジで形成されたスプールを前記スプール軸に固定することで該スプールを前記リール本体の前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記クラッチ機構が分離された釣糸放出時に回転自在となるように支持し、」 と訂正する。 2 訂正事項2 特許明細書の請求項1における 「前記スプールの釣糸捲回胴部内にスプールの過回転を防止する制動装置の制動部を収容配置した」 という記載を, 「前記スプールの釣糸捲回胴部内に前記釣糸放出時に制動力を発生させてスプールの過回転を防止する制動装置の制動部を収容配置し、」 と訂正する。 3 訂正事項3 特許明細書の請求項1において 「該制動力を調節する調節手段をその少なくとも一部が前記第2の側板から露出するように設けた」との発明特定事項を付加する。 4 訂正事項4 特許明細書の請求項1における 「魚釣用リールのバックラッシュ防止装置」 という記載を 「魚釣用両軸受型リールのバックラッシュ防止装置」 と訂正する。 5 訂正事項5 特許明細書の請求項2ないし請求項4における 「魚釣用リールのバックラッシュ防止装置」 という記載を 「魚釣用両軸受型リールのバックラッシュ防止装置」 と訂正する。 6 訂正事項6 特許明細書の段落【0004】における 「【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために、釣糸捲回胴部とその両側の一対のフランジで形成されたスプールをリール本体の側板間に釣糸放出時に回転自在に支持すると共に前記スプールの釣糸捲回胴部内にスプールの過回転を防止する制動装置の制動部を収容配置したことを特徴とするものである。」 という記載を 「【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために、リール本体に第1の側板と2の側板とを設け、該第1の側板にハンドル軸を設けると共に該ハンドル軸とクラッチ機構を介して連動されるスプール軸を前記第1及び第2の側板の各々に軸支し、釣糸捲回胴部とその両側の一対のフランジで形成されたスプールを前記スプール軸に固定することで該スプ-ルを前記リール本体の前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記クラッチ機構が分離された釣糸放出時に回転自在となるように支持し、前記スプールの釣糸捲回胴部内に前記釣糸放出時に制動力を発生させてスプールの過回転を防止する制動装置の制動部を収容配置し、該制動力を調節する調節手段をその少なくとも一部が前記第2の側板から露出するように設けたことを特徴とするものである。」 と訂正する。 第3 当審の判断 本件審判の請求が,特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法[第1条の規定]による改正前の特許法(以下,「特許法」という。)第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とし,同条第1項から第3項までの規定に適合するか否かについて,以下に検討する。 1 特許法第126条第1項ただし書各号(訂正の目的)について (1)訂正事項1,4について 訂正事項4は,特許明細書の請求項1の「魚釣用リール」を「魚釣用両軸受型リール」に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また,訂正事項1のうち「リール本体に第1の側板と第2の側板とを設け、該第1の側板にハンドル軸を設けると共に該ハンドル軸とクラッチ機構を介して連動されるスプール軸を前記第1及び第2の側板の各々に軸支し」たものとする訂正は,魚釣用リールを両軸受型のものに限定するのに際し,魚釣用リールの具体的構成を限定したものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とする。 訂正事項1のうち「スプールを前記スプール軸に固定することで該スプールを前記リール本体の前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記クラッチ機構が分離された釣糸放出時に回転自在となるように支持し、」との訂正は,スプールの支持の仕方を,リール本体の側板間に回転自在に支持するものから,スプールを第1及び第2の側板の各々に軸支したスプール軸に固定することで該スプールをリール本体の第1の側板と第2の側板との間にクラッチ機構が分離された釣糸放出時に回転自在となるように支持するものに限定したものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 したがって,訂正事項1及び4でする訂正は,特許法第126条第1項第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は,特許明細書の請求項1の制動装置を,釣糸放出時に制動力を発生させるものに限定したものであるから,特許法第126条第1項第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は,特許明細書の請求項1の制動装置を,制動力を調節する調節手段をその少なくとも一部が第2の側板から露出するように設けたものに限定するものであるから,特許法第126条第1項第1号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (4)訂正事項5,6について 訂正事項5,6は,請求項1の従属項である請求項2?4及び明細書を,上記訂正事項1?4との整合をとるためにする訂正であるから,特許法第126条第1項第3号に掲げられた明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 2 特許法第126条第1?3項(新規事項,実質拡張又は変更,独立特許要件)について 上記訂正事項1?6は,いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしたものであり, また,上記訂正事項1?6は,本件特許明細書又は図面の記載全体からみて,いずれも特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 そして,本件訂正後の請求項1?4に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由も見あたらない。 第4 むすび したがって,本件訂正は,特許請求の範囲の減縮,明りょうでない記載の釈明を目的とし,いずれも,願書に添付した明細書又は図面に記載されている事項の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 以上のとおりであるから,上記訂正は,特許法第126条第1項ないし3項の規定に適合するので,当該訂正を認める よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 魚釣用リールのバックラッシュ防止装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 リール本体に第1の側板と第2の側板とを設け、該第1の側板にハンドル軸を設けると共に該ハンドル軸とクラッチ機構を介して連動されるスプール軸を前記第1及び第2の側板の各々に軸支し、釣糸捲回胴部とその両側の一対のフランジで形成されたスプールを前記スプール軸に固定することで該スプールを前記リール本体の前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記クラッチ機構が分離された釣糸放出時に回転自在となるように支持し、前記スプールの釣糸捲回胴部内に前記釣糸放出時に制動力を発生させてスプールの過回転を防止する制動装置の制動部を収容配置し、該制動力を調節する調節手段をその少なくとも一部が前記第2の側板から露出するように設けたことを特徴とする魚釣用両軸受型リールのバックラッシュ防止装置。 【請求項2】 スプールの過回転を防止する制動装置の制動手段を磁石の渦電流によって構成した請求項1記載の魚釣用両軸受型リールのバックラッシュ防止装置。 【請求項3】 スプールの過回転を防止する制動装置の制動手段を遠心力によって構成した請求項2記載の魚釣用両軸受型リールのバックラッシュ防止装置。 【請求項4】 釣糸捲回胴部内に磁石の渦電流によるスプールの過回転を防止する制動装置と、遠心力によるスプールの過回転を防止する制動装置とを併設配置した請求項1記載の魚釣用両軸受型リールのバックラッシュ防止装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は魚釣用両軸受型リールの釣糸放出時におけるスプールの過回転を防止するバックラッシュ防止装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 魚釣用両軸受型リールの釣糸放出時におけるスプールの過回転を防止する手段として、スプールと一体的に回転する導電体に磁力作用で渦電流を発生させてスプールを制動する磁力ブレーキ方式とスプールと一体的に回転するブレーキシューの遠心力を利用してスプールを制動する遠心力ブレーキ方式が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら前記前者の磁力ブレーキ方式は実公平2ー33673号公報、実公平2ー36389号公報、実公昭62ー35334号公報に見られるように、スプールの過回転を防止する制動装置の制動手段である導電体をスプールのフランジから軸方向外側に突設したり、フランジの外周縁に軸方向に一体に形成したりしているためリール側板間のスプール軸の軸方向の長さが長くなり、また後者の遠心力ブレーキ方式も実開平3ー79665号公報に見られるようにブレーキシューをスプールのフランジ外側のスプール軸に設けた支持杆に嵌装するためやはりリール側板間のスプール軸方向の長さが長くなる欠陥を生じ、何れの方式もリール本体のスプール軸方向の長さをコンパクト化できず握持操作性を低下させる問題点がある。これらの現状に鑑み、本発明はこれらの欠陥を改善してリール本体をコンパクト化して魚釣り時の握持操作性の向上と携帯を容易にするようにした魚釣用リールのバックラッシュ防止装置を提供することを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】 本発明は前記目的を達成するために、リール本体に第1の側板と第2の側板とを設け、該第1の側板にハンドル軸を設けると共に該ハンドル軸とクラッチ機構を介して連動されるスプール軸を前記第1及び第2の側板の各々に軸支し、釣糸捲回胴部とその両側の一対のフランジで形成されたスプールを前記スプール軸に固定することで該スプールを前記リール本体の前記第1の側板と前記第2の側板との間に前記クラッチ機構が分離された釣糸放出時に回転自在となるように支持し、前記スプールの釣糸捲回胴部内に前記釣糸放出時に制動力を発生させてスプールの過回転を防止する制動装置の制動部を収容配置し、該制動力を調節する調節手段をその少なくとも一部が前記第2の側板から露出するように設けたことを特徴とするものである。 【0005】 前記スプールの過回転を防止する制動装置は、その制動手段として磁石の渦電流を利用する磁力ブレーキ方式の場合、ブレーキシューの遠心力を利用する遠心力ブレーキ方式の場合及びこれら両者を併用する場合があると共にこれら夫々の制動装置にはその制動力を調整できる調節手段を設けることができる。 【0006】 【作用】 本発明はスプールの過回転を防止する制動装置の制動部をスプールの釣糸捲回胴部内に収容配置することによってスプール軸の軸方向の長さを短く形成することができ、リール本体を小型コンパクト化できる。 【0007】 【実施例】 本発明の実施例を説明すると、両軸受型リールのリール本体1の両側板2・3間には両側フランジ4′を有するスプール4を固定したスプール軸5が軸受2′で支持され、該スプール軸5はハンドル6を有するハンドル軸7と公知のように連動機構及びクラッチ機構を介して連動され、釣糸放出時にはクラッチ機構の分離により回転自在に形成されいると共に前記スプール4の釣糸捲回胴部4″内の内周面には導電体8が嵌設されている。 【0008】 また前記側板2には調節螺杆10が回動自在に支持されると共に該調節螺杆10には外側面に磁石11を設けかつ側板2に突設された案内杆12に摺動自在に嵌装された円弧状の支持体13が螺合され、調節螺杆10を摘手14で回動することにより支持体13をスプール軸方向に移動自在に形成して、電導体8に体する磁石11の軸方向の位置を調節して磁石11による渦電流を強弱に調整し、スプール制動力を調節できるように構成されている。従って調節螺杆10の摘手14により支持体13を釣糸捲回胴部4″内に深く位置せしめたときはスプール4を最大制動力で制動し、摘手14で支持体13の位置を側板2側に移動することにより漸次制動力が弱くなるものである。 【0009】 図3及び図4に示す実施例は、支持体13を案内杆12に長孔13′を介してバネ15で保持された調節杆10′で半径方向に移動自在に形成して摘手14により磁石11と導電体8との距離を遠近に調整できるようにして制動力を調節自在に形成したものである。 【0010】 また図5乃至図7に示す実施例は、制動手段としてブレーキシューの遠心力を利用した場合であり、スプール4の釣糸捲回胴部4″内のスプール軸5の半径方向に突設した支持杆16にブレーキシュー17を移動自在に嵌装し、一方側板2の中心部には周面にカム溝18を有する支持筒19を突設すると共に該支持筒19にはスプール4に向け漸次拡開形成した截頭円錐孔にブレーキカラー20を設けた制動環体21を嵌着し、該制動環体21の嵌着部に突設した係合突部22を前記カム溝18に係合し、更に制動環体21の嵌着部外周面に形成した歯部23を摘手14を有する調節杆10″に設けた歯車24に噛合したものであり、摘手14の回動により制動環体21の截頭円錐孔をスプール軸方向に移動することによってスプール回転時のブレーキシュー17の外方移動位置をスプール軸から遠近に調整して遠心力を調節し、スプール4に対する制動力を大小に調節できるようにしたものである。 【0011】 図8乃至図10に示す実施例は、前記実施例の制動環体21の截頭円錐孔における外周円筒部に磁石11を設けると共にスプール4の釣糸捲回胴部4″の内周面に導電体8を設けて、スプール4を磁石による渦流とブレーキシュー17の遠心力との双方の併用により制動するようにしたものであり、スプールの低回転領域では磁石ブレーキ方式の特性を高回転領域では遠心力ブレーキ方式の特性を夫々発揮するようにしてバックラッシュを一層効率良く防止することができると共にこれら両者の制動作用を同時に調節することができる。 【0012】 【発明の効果】 本発明はスプールの過回転を防止する制動装置の制動部をスプールの釣糸捲回胴部内に収容配置して限られたリール本体のスペースを有効に利用することによってスプール軸の軸方向の長さを短縮でき、リール本体の小型コンパクト化を図り、釣糸の捲取り、放出及び合わせ操作等の魚釣り時の握持操作機能を向上できると共に携帯も便利にすることができる。 【0013】 また本発明はスプールの低回転領域での制動作用に有効な磁石ブレーキ方式とスプールの高回転領域での制動作用に有効な遠心力ブレーキ方式とを併用する場合においてもその何れの制動装置の制動部もスプールの釣糸捲回胴部内に収容配置することができるので、両ブレーキ方式によってリール本体の大型化を防止しながら、釣糸のバックラッシュによるスプールの制動を一層効率良く行なうことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一部切欠正面図。 【図2】図1A-A線断面図。 【図3】本発明の第2実施例の要部の縦断正面図。 【図4】図3B-B線断面図。 【図5】本発明の第3実施例の要部の縦断正面図。 【図6】図5C-C線断面図。 【図7】図5D-D線断面図。 【図8】本発明の第4実施例の要部の縦断正面図。 【図9】図8E-E線断面図。 【図10】図8F-F線断面図。 【符号の説明】 1 リール本体 4 スプール 4′ フランジ 4″ 釣糸捲回胴部 8 導電体 11 磁石 13 支持体 17 ブレーキシュー 20 ブレーキカラー 21 制動環体 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2011-08-16 |
出願番号 | 特願平6-85319 |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(A01K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 昭次 |
特許庁審判長 |
山口 由木 |
特許庁審判官 |
鈴野 幹夫 土屋 真理子 |
登録日 | 1999-05-21 |
登録番号 | 特許第2929517号(P2929517) |
発明の名称 | 魚釣用リールのバックラッシュ防止装置 |
代理人 | 村越 智史 |
代理人 | 村越 智史 |