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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1243546
審判番号 不服2009-10821  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-08 
確定日 2011-10-11 
事件の表示 特願2003-539330「インタレースのダミー双方向予測ピクチャを使用したトリックモード」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月 1日国際公開、WO03/36971、平成17年12月15日国内公表、特表2005-538575、請求項の数(24)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.経緯
本願は、2002年10月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年10月23日、米国、2002年6月7日、米国)を国際出願日とする出願であって、 平成21年3月2日付けで拒絶査定された。
本件は上記拒絶査定を不服とする拒絶査定不服審判であって、平成21年9月1日付け、平成22年3月3日付けで拒絶理由が通知された。

2.本願発明
本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成22年9月8日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載されたところにより特定されるものと認める。そのうち、独立請求項である請求項1、13は次のとおりである。(以下、「本願発明1」、「本願発明13」ともいう)

【請求項1】
複数の原画像を含むビデオ信号にスローモーションのトリックモードを実行する方法であって、
それぞれの参照画像の1つのフィールドからフィールドに基づいた予測を使用してダミーの双方向予測ピクチャを予測手段により予測するステップと、
スローモーションのトリックモードのコマンドを受信手段により受信するステップと、
フィールドに基づいた予測を使用して、予測されたダミーの双方向予測ピクチャの少なくとも1つを前記ビデオ信号に挿入手段により選択的に挿入し、スローモーションのトリックモードのビデオ信号を形成するステップとを含み、
ピクチャの振動によるアーチファクトを制御するため、それぞれの参照画像のトップフィールドである第一のフィールドから所定数のダミーの双方向予測ピクチャが予測されるか、又は、それぞれの参照画像のボトムフィールドである第二のフィールドから所定数のダミーの双方向予測ピクチャが予測される、
ことを特徴とする方法。

【請求項13】
複数の原画像を含むビデオ信号にスローモーションのトリックモードを実行するシステムであって、
記憶媒体からデータを読み出して、前記複数の原画像を含む前記ビデオ信号を出力するコントローラと、
それぞれの参照画像の1つのフィールドからフィールドに基づいた予測を使用してダミーの双方向予測ピクチャを予測し、スローモーションのトリックモードのコマンドを受信し、フィールドに基づいた予測を使用して、予測されたダミーの双方向予測ピクチャの少なくとも1つを前記ビデオ信号に選択的に挿入して、スローモーションのトリックモードのビデオ信号を形成するためにプログラムされるプロセッサとを備え、
ピクチャの振動によるアーチファクトを制御するため、それぞれの参照画像のトップフィールドである第一のフィールドから所定数のダミーの双方向予測ピクチャが予測されるか、又は、それぞれの参照画像のボトムフィールドである第二のフィールドから所定数のダミーの双方向予測ピクチャが予測される、
ことを特徴とするシステム。

3.判断
平成22年3月3日付け拒絶理由で通知した刊行物1(特開平11-146339号公報)には、スロー再生時に、元の画像データを繰り返し表示し、繰り返し表示するための疑似画像データを差分無しの前方予測のBピクチャとする技術が記載されている。刊行物1ではピクチャに基づく動き補償予測をしており、疑似画像データである差分無しの前方予測のBピクチャはピクチャに基づく予測を用いるものと認められる。刊行物1のこのピクチャは、フレームを構成するものとして説明されており、ピクチャに基づく予測はフレームに基づく予測といえ、「フィールドに基づいた予測」ではない。したがって、刊行物1は「フレームに基づく予測」であり、本願発明1、13が「フィールドに基づいた予測」すなわち「参照画像の1つのフィールドからフィールドに基づいた予測を使用してダミーの双方向予測ピクチャを予測手段により予測」していることに対して相違する。

平成22年3月3日付け拒絶理由で通知した刊行物2(特開2000-244929号公報)には、スロー再生の技術が記載【図17】されており、「同一の表示フレームを繰り返し表示」【0096】している。刊行物2には、更に、【0100】ないし【0103】に、「上記の特殊再生において、符号化された動画像データがインターレースされた映像である場合については、復号化された映像信号をそのまま上記の通り出力した場合、図13?図17に示した繰り返しフレームの再生において、動きのぎくしゃくした映像となってしまう場合がある。」との課題解決手段として、【図18】に示す方法が記載されている。【図18】に示す方法は、符号化された動画像データがインターレースされた映像である場合、(a)(b)、(a’)(b’)を用いて説明されており、
「再符号化されるフレーム(a')および(b')は、(a)および(b)のトップフィールドである0および2をそれぞれ繰り返し表示したフィールドでフレームを構成」し、「復号化された映像フィールドは、0→1→2→3のフィールド順となるが、実際のアナログ表示および再符号化されるフィールドは0→0→2→2の順で構成され」、「図18の再符号化時に用いられる動きベクトル223は、220のフィールドを単位とした動きベクトルをそのままフレームを単位とした動きベクトルに変換したものとなる。また、第1の符号化において、フィールド2がフィールド1からの動き補償予測による符号化がなされている場合、つまり図18において動きベクトル221を用いて符号化がなされてる場合は、この動きベクトル221の値を垂直および水平方向にそれぞれ2倍にスケーリングして、再符号化のための動きベクトル223を生成する。これにより、1フィールド間隔の時間における動き量を示す動きベクトル221を1フレーム間隔の動き量を示す動きベクトル223に変換することが可能となる。」
とされる。
これによると、図18の(a')(b')は再符号化されるフレームであり、スロー再生【図17】で繰り返しの元となるB0、B1等に対応するフレームであると認められ、刊行物2では、スロー再生において、符号化された動画像データがインターレースされた映像である場合、繰り返しの元となるフレームを図18の技術で作成し、そのフレームを繰り返すものと認められる。
そうすると、刊行物2で繰り返されるのはフレームであり、繰り返されるフレームは、本願の「参照画像の1つのフィールドからフィールドに基づいた予測を使用してダミーの双方向予測ピクチャを予測手段により予測」するものとはいえない。

このようであるから、刊行物1、刊行物2のいずれにも本願発明1、13の「参照画像の1つのフィールドからフィールドに基づいた予測を使用してダミーの双方向予測ピクチャを予測手段により予測」する技術の開示はなく、また、刊行物1、刊行物2の発明を組み合わせても、本願発明1、13の「参照画像の1つのフィールドからフィールドに基づいた予測を使用してダミーの双方向予測ピクチャを予測手段により予測」する技術を導くことができない。
本願の他の請求項は本願発明1、13(請求項1、13)を引用するものであり、同様に判断される。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-09-28 
出願番号 特願2003-539330(P2003-539330)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04N)
P 1 8・ 161- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅岡 信幸  
特許庁審判長 奥村 元宏
特許庁審判官 乾 雅浩
梅本 達雄
発明の名称 インタレースのダミー双方向予測ピクチャを使用したトリックモード  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
代理人 伊東 忠彦  

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