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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B32B
管理番号 1243650
審判番号 不服2008-27121  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-10-24 
確定日 2011-09-15 
事件の表示 特願2003- 77139「ステンレス調鏡面化粧シート及びステンレス調化粧材」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月14日出願公開、特開2004-284119〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年3月20日の出願であって、平成20年9月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年11月20日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年11月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
本件補正は、 補正前の特許請求の範囲の請求項1に、
「【請求項1】
着色若しくは透明なポリオレフィン樹脂又は着色若しくは透明な共重合ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層と、ヘアライン調の凹凸模様が付与されたベーマイト処理されているアルミ箔からなるアルミ箔層と、透明ポリオレフィン樹脂又は透明ポリエステル樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層と、該透明熱可塑性樹脂層に表面保護層とを具備していることを特徴とするステンレス調鏡面化粧シート。」
とあるのを、
「【請求項1】
厚みが0.07mmから0.200mmの着色若しくは透明なポリオレフィン樹脂又は着色若しくは透明な共重合ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層とヘアライン調の凹凸模様が付与されたベーマイト処理されているアルミ箔層を設け、前記アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層面に、厚みが0.016mmから0.100mmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層を設け、さらに該透明熱可塑性樹脂層に表面保護層を設けたことを特徴とするステンレス調鏡面化粧シート。」
とする補正を含んでいる。
ところで、本願の発明の詳細な説明又は図面には、アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層が設けられた面と反対側の面に透明熱可塑性樹脂層を設けることは記載されているが、アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層が設けられた面に透明熱可塑性樹脂層を設けることは記載されていないことからみて、上記補正後の請求項1における「前記アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層面に・・・(中略)・・・透明熱可塑性樹脂層を設け」は、「前記アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層の反対面に・・・(中略)・・・透明熱可塑性樹脂層を設け」の誤記と認める。なお、請求人も、平成23年2月18日付けの回答書において、上記認定のとおりの誤記であることを認めている。
そして、上記補正は,請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「熱可塑性樹脂基材層」について「厚みが0.07mmから0.200mmの」との限定を付加し、同じく、「透明熱可塑性樹脂層」について「アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層の反対面」に設けられ、かつ、「厚みが0.07mmから0.200mmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる」との限定を付加するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

1.本願補正発明
本願補正発明は、本件補正後の請求項1に記載された事項において、誤記を訂正した次のとおりのものである。
「厚みが0.07mmから0.200mmの着色若しくは透明なポリオレフィン樹脂又は着色若しくは透明な共重合ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層とヘアライン調の凹凸模様が付与されたベーマイト処理されているアルミ箔層を設け、前記アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層の反対面に、厚みが0.016mmから0.100mmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層を設け、さらに該透明熱可塑性樹脂層に表面保護層を設けたことを特徴とするステンレス調鏡面化粧シート。」

2.引用文献
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-205733号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】アルミニウム箔層の少なくとも一方の面に、1層以上の熱可塑性樹脂層を具備することを特徴とする化粧シート。
【請求項2】アルミニウム箔層の表面に、1層以上の熱可塑性樹脂層を具備することを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
・・・(中略)・・・
【請求項6】前記アルミニウム箔層の裏面にも熱可塑性樹脂層を具備することを特徴とする請求項2?5のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項7】前記アルミニウム箔層の裏面の熱可塑性樹脂層がポリオレフィン樹脂層であることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
・・・(中略)・・・
【請求項9】表面に防汚層を具備することを特徴とする請求項1?8のいずれかに記載の化粧シート。」

イ 「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における上記した問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、ラッピング加工や真空成形加工等の立体成形加工時に、スプリングバック現象による剥離や、局所的に不均一な伸長による柄伸びや艶ムラ等を発生することがなく、しかも、接着剤の塗工ムラ(糊ダク)が表面に現れにくく、特に高鮮映性の立体化粧部材の製造に好適な化粧シートを提供することにある。」

ウ 「【0017】本発明の化粧シートは、図1に示すように、アルミニウム箔層1の少なくとも一方の面に、必要に応じて適宜の接着剤層2を介して、1層以上の熱可塑性樹脂層3を積層して構成されるものである。熱可塑性樹脂層3は、アルミニウム箔層1の表面側に設けても裏面側に設けても良いし、図1に示すように、アルミニウム箔層1の表面側に設けた熱可塑性樹脂層3とは別に、裏面側にも熱可塑性樹脂層8を設けることにより、アルミニウム箔層1を表裏の熱可塑性樹脂層3、8で挟持した構成とすることもできる。
【0018】本発明の化粧シートを、アルミニウム箔層1の金属光沢感を活かした金属調の意匠の化粧シートとする場合には、アルミニウム箔層1の裏面側のみに熱可塑性樹脂層8を設けた構成としても良いし、裏面側の熱可塑性樹脂層8を設けずに若しくはそれと併用して、アルミニウム箔層1の保護のためにその表面側に透明な熱可塑性樹脂層3を設けた構成とすることもできる。」

エ 「【0027】熱可塑性樹脂層3、8の厚みはその総数や積層順序にもよるが、一般的には、アルミニウム箔層1を含む化粧シートの総厚が50?1000μm程度、より望ましくは100?500μm程度となるように、それぞれの層が5?500μm程度、より望ましくは25?200μm程度の範囲内から適宜設計される。なお、立体成形加工時のスプリングバック現象による被貼着基材からの剥離事故を防止するためには、熱可塑性樹脂層3、8の弾性的反撥力が成形されたアルミニウム箔層1の支持力の範囲内とすることが重要であり、この目的のためには、熱可塑性樹脂の種類や層構成等にもよるが一般に、熱可塑性樹脂層3、8を構成する各層の厚みをアルミニウム箔層1の厚みの5倍を越えない範囲で、熱可塑性樹脂層3、8の総厚をアルミニウム箔層1の厚みの10倍を越えない範囲内で、それぞれ設計することが望ましい。」

オ 「【0028】アルミニウム箔層1の表面側の熱可塑性樹脂層3の材質は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン・・・(中略)・・・ポリエチレンテレフタレート・・・(中略)・・・等、或いはこれらから選ばれる2種以上の混合物、複合体、積層体等を使用することができる。」

カ 「【0032】本発明の化粧シートは、既に繰り返し触れた通り、例えばキッチン扉や浴室内装部材等の様に、高鮮映性を主とした高意匠性が要求される用途にあって、特に好適なものであるが、係る高鮮映性を本発明の化粧シートに具備させる為には、アルミニウム箔層1の表面側に設けられる1層以上の熱可塑性樹脂層3の内、少なくとも最表層の熱可塑性樹脂層(例えば図1に示す構成の化粧シートにあっては上層である第2の熱可塑性樹脂層32)を、透明性や表面平滑性に優れたポリエステル樹脂によって構成することが最も望ましい。
【0033】上記ポリエステル樹脂としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表される二軸延伸ポリエステル樹脂であっても良いし、A-PET又はPET-G等と通称される非晶性ポリエステル樹脂であっても良く、若しくはその両者を任意に組み合わせて使用することもできる。またその厚みは5?500μm程度の範囲内で任意に設計することができるが、加工時の取り扱い易さ、積層後のシートの鮮映性、立体形状の被貼着基材の表面への成形貼着時のスプリングバック現象の防止等を考慮すると、50?200μm程度の範囲内とすることが望ましい。また、高鮮映性を主とした高意匠性を得るためには、曇度(HAZE)が1.0?3.0%程度の高透明性の樹脂を使用することが望ましい。」

キ 「【0036】上記の様にアルミニウム箔層1の表面側に1層以上の熱可塑性樹脂層3を設ける場合には、裏面側の熱可塑性樹脂層8は特に必須のものではないが、これを設けると、被貼着基材の表面への成形貼着の際に被貼着基材とアルミニウム箔層1との間でクッションの役割を果たし、被貼着基材の表面の不陸や接着剤の塗工ムラ(糊ダク)による凹凸をより目立たなくできる利点がある。この裏面側の熱可塑性樹脂層8の厚みは、5?200μm程度の範囲内で任意に設計することができるが、上記したクッション効果や、加工時の取り扱い性等を考慮すると、50?100μm程度とすることが最も望ましい。またその材質は特に限定されるものではなく、表面側の熱可塑性樹脂層3の場合と同様の種々の材質から適宜選択すれば良いが、例えば安価で加工性に優れたポリオレフィン樹脂などが適当である。」

ク 「【0038】本発明の化粧シートを、例えばキッチン扉に代表される厨房周辺の用途等の様に、耐汚染性が要求される用途に使用する場合には、化粧シートの最表面に防汚層6を設けることで、耐汚染性の向上を図ることもできる。防汚層6は、例えばシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂等の低表面張力の樹脂を主体とするか、若しくは、例えば2液硬化型ウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、ラジカル重合型ポリエステル系樹脂、電離放射線硬化型(メタ)アクリレート系樹脂等の様な通常の表面保護用の樹脂に、例えばシリコーン系化合物又はフッ素系化合物等の低表面張力の添加剤を添加してなる樹脂組成物を、適宜のコーティング方法により塗工して設けることができる。防汚層6の厚みには特に制限はないが、1?20μm程度が一般的である。」

これらの記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「アルミニウム箔層1の裏面側に厚みが0.05mmから0.100mm程度のポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂層8を設け、アルミニウム箔層1の表面側に厚みが0.05mmから0.200mm程度のポリエチレンテレフタレート等の透明な熱可塑性樹脂層3を設け、表面に防汚層を具備する、アルミニウム箔層1の金属光沢感を活かした金属調の意匠の化粧シート。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された実願昭59-123759号(実開昭61-37925号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「2.実用新案登録請求の範囲
(1)インジェクション成型用樹脂と熱接着可能な合成樹脂シートの表面に金属薄膜層及び透明合成樹脂層が順に積層されていることを特徴とする化粧シート。
(2)金属薄膜層が金属箔であることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の化粧シート。
・・・(中略)・・・
(4)金属薄膜層の透明合成樹脂層側にはヘアーライン加工による微細な溝が多数形成されていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第(1)項?第(3)項いずれか記載の化粧シート。」

イ 「金属薄膜層2は化粧シートに金属光沢を与えるものである。金属薄膜層の材質は希望する外観により様々なものでありうるが、通常はアルミニウムを用いることが多い。」(4頁7?10行)

(3)原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-110112号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

「【0014】このベーマイト処理を行うことにより、アルミニウム箔の表面は針状構造になり、またその表面に-OH基を多く存在させることができ、シーラント層の樹脂フイルム表面の-O-基と水素結合を形成することなどにより、より密着強度をあげることができる。」

(4)原査定の拒絶の理由に周知例として引用された特開昭61-27247号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。

「周知のように、アルミニウムの表面に例えばポリエチレンやポリ塩化ビニール等の合成樹脂製シートを接着する場合、ベーマイト皮膜は接着剤との密着性が良好なので下地処理によく用いられている。」(1頁左欄下から3行?同右欄2行)

3.対比
引用発明の「熱可塑性樹脂層8」は、本願補正発明の「熱可塑性樹脂基材層」に相当し、両者は、少なくとも「ポリオレフィン樹脂からなる」点で共通し、厚みが「0.07mmから0.100mm」の範囲で共通する。
引用発明の「アルミニウム箔層1」は、本願補正発明の「アルミ箔層」に相当する。
引用発明の「透明な熱可塑性樹脂層3」は、本願補正発明の「透明熱可塑性樹脂層」に相当し、両者は、「アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層の反対面」に設けられる点で共通し、「ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる」点で共通し、厚みが「0.05mmから0.100mm」の範囲で共通する。
引用発明の「防汚層」は、化粧シートの表面を汚れから保護するものといえ、また、「通常の表面保護用の樹脂」を含むことも記載されている(2.(1)ク参照)から、本願補正発明の「表面保護層」に相当する。そして、引用発明の「表面に防汚層を具備する」は、図面をも参照すれば、本願補正発明の「透明熱可塑性樹脂層に表面保護層を設けた」に相当する。
引用発明の「アルミニウム箔層1の金属光沢感を活かした金属調の意匠の化粧シート」は、ステンレスに似た外観を有するものといえるから、本願補正発明の「ステンレス調鏡面化粧シート」に相当する。
よって、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「厚みが0.07mmから0.200mmのポリオレフィン樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層とアルミ箔層を設け、前記アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層の反対面に、厚みが0.016mmから0.100mmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層を設け、さらに該透明熱可塑性樹脂層に表面保護層を設けたステンレス調鏡面化粧シート。」

[相違点1]
本願補正発明の熱可塑性樹脂基材層を構成するポリオレフィン樹脂は「着色若しくは透明」と特定されているのに対し、引用発明の熱可塑性樹脂層8を構成するポリオレフィン樹脂はそのように特定されていない点。

[相違点2]
本願補正発明のアルミ箔層は、ヘアライン調の凹凸模様が付与されたベーマイト処理されているものであるのに対し、引用発明のアルミニウム箔層1は、そのようなものとされていない点。

4.判断
(1)相違点1について
引用発明の熱可塑性樹脂層8は、アルミニウム箔層1の裏面側に設けられるものであって、化粧シートの表面側からは見えないのであるから、その色や透明性は、任意に選択して良いものである。よって、熱可塑性樹脂層8を適宜に着色若しくは透明なものとすること、すなわち、相違点1に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
引用文献2には、アルミ箔層にヘアライン調の凹凸模様を付与した化粧シートが記載されている。
引用文献2は、引用発明と同じ化粧シートの技術分野に関するものであって、金属調の外観を与えるものである点も共通している。
よって、引用発明において、引用文献2に開示された金属調の外観を採用し、アルミニウム箔層1にヘアライン調の凹凸模様を付与することは、当業者が容易に想到しえたことである。
そして、樹脂フィルム等との接着強度を向上するため、アルミニウムの表面をベーマイト処理することは、引用文献3、引用文献4に示すように周知であり、引用発明において、アルミニウム箔層1に積層される樹脂層との接着力を向上すべきことも普通に予測できることであるから、引用発明1のアルミニウム箔層1にベーマイト処理することも、当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。
よって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明に、引用文献2に記載の技術事項及び周知技術を採用することにより、当業者が容易に想到し得たものである。

(3)請求人の主張について
請求人は、引用発明は、アルミニウム箔の厚みを前提とし、その他の層の厚みを決めているのに対して、本願補正発明は、アルミニウム箔の表裏に設ける樹脂層の特定、さらにこれらの層の厚みを特定することで、三次元成形を良好にした化粧シートである旨主張し、本願補正発明は、前提条件が異なる引用文献1に基づいて容易に発明できたものではない旨主張する。
しかし、本願補正発明は、アルミ箔層の厚みを特定していないから、アルミ箔層の厚みは引用発明との相違点となるものではない。
そして、3.に示したように、本願補正発明と引用発明は、アルミ箔層の表裏に設ける樹脂層の厚みが共通し、三次元成形性を良好に行う点も、本願補正発明と引用発明は共通しているといえる。
よって、上記請求人の主張は採用できない。

(4)まとめ
本願補正発明の効果も、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、周知技術から予測できる範囲内のものであって格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年7月20日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
着色若しくは透明なポリオレフィン樹脂又は着色若しくは透明な共重合ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層と、ヘアライン調の凹凸模様が付与されたベーマイト処理されているアルミ箔からなるアルミ箔層と、透明ポリオレフィン樹脂又は透明ポリエステル樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層と、該透明熱可塑性樹脂層に表面保護層とを具備していることを特徴とするステンレス調鏡面化粧シート。」

第4 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献、および、その記載事項は、前記「第2[理由]2.引用文献」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明の「厚みが0.07mmから0.200mmの着色若しくは透明なポリオレフィン樹脂又は着色若しくは透明な共重合ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層」から限定を省いて「着色若しくは透明なポリオレフィン樹脂又は着色若しくは透明な共重合ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂基材層」とし、本願補正発明の「透明熱可塑性樹脂層」について「アルミ箔層の熱可塑性樹脂基材層の反対面」に設けられているとの限定事項を省き、本願補正発明の「厚みが0.016mmから0.100mmの透明ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層」から限定を省いて「透明ポリオレフィン樹脂又は透明ポリエステル樹脂からなる透明熱可塑性樹脂層」としたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 4.」に記載したとおり、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-06 
結審通知日 2011-07-12 
審決日 2011-07-25 
出願番号 特願2003-77139(P2003-77139)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岸 進  
特許庁審判長 鈴木 由紀夫
特許庁審判官 熊倉 強
紀本 孝
発明の名称 ステンレス調鏡面化粧シート及びステンレス調化粧材  
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