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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1243871
審判番号 不服2009-19357  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-09 
確定日 2011-09-21 
事件の表示 特願2005-335771「マルチメディア再生システムのクラスター化機能選択を迅速に起動する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 8日出願公開、特開2007- 35013〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成17年11月21日(パリ条約による優先権主張2005年7月22日、台湾)の出願であって、平成20年10月15日付けで拒絶理由通知がなされ、平成21年2月17日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが、同年6月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月9日付けで審判請求がなされたものである。

そして、本願の請求項1に係る発明は、平成21年2月17日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面に記載からみて、次の事項により特定されるものであると認める。
「コンピュータ中にはデータ保存メディア、システムメモリ、BIOS、複数のショートカットキー、複数のマルチメディア再生装置を接続し、
該データ保存メディア中にはOS、該複数のマルチメディア再生装置の駆動プログラム、複数のマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、装置起動クラスター表を保存し、
該装置起動クラスター表中には該各マルチメディア再生装置の機能属性に応じて各ショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラム、マルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、マルチメディア再生装置を定義し、
本発明の方法は以下のステップを包含し、
(a)操作された各ショートカットキーの状態を探知し、
(b)任意のショートカットキーが操作されたことを探知すると、該コンピュータはシステム起動作業を実行し、
(c)該コンピュータは該データ保存メディア中より該装置起動クラスター表を該システムメモリ中のランダムアクセス領域中に読み込み、
(d)該装置起動クラスター表中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行し、
(e)該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラムを実行し、
(f)該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置を作動し、該操作されていないショートカットキーが対応する他のマルチメディア再生装置は作動しないことを特徴とするマルチメディア再生システムを迅速に起動する方法。」

なお、平成21年2月17日付けの手続補正により補正された請求項1には、
「(d)該装置起動クラスター中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行し」、
と記載されている。
しかし「装置起動クラスター中」で「指示」が「予め定義される」とは認められず、そして、同項には「装置起動クラスター表中には該各マルチメディア再生装置の機能属性に応じて各ショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラム、マルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、マルチメディア再生装置を定義」すると記載されている。さらには、本願の請求項3?5には、「該装置起動クラスター表中に予め定義される指示」と記載されている。
以上から、前記「(d)該装置起動クラスター中に予め定義される指示に基づき」の記載は“(d)該装置起動クラスター表中に予め定義される指示に基づき”の誤記であることは明らかである。そこで、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)を、上記のように認定した。


第2.引用文献
1.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2000-020285号公報(以下「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、参考のため、当審において付した。)。
A.「【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような方法では、電源スイッチをオンにした後、システム上でソフトウェアが動作可能な状態になってからでないとオペレーティングシステムの切り換えが行なえないため、当初より第2のオペレーティングシステムを起動したいような場合であっても、一旦、第1のオペレーティングシステムを起動するといった余計な手間を費やさざるを得ないといった問題があった。
……(中略)……
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明のコンピュータシステムは、前述の目的を達成するために、システムを所望の状態に起動させるための選択スイッチを設け、電源スイッチの押下によりシステムの電源が投入されたときに、その選択スイッチの押下または状態に応じて、複数のオペレーティングシステムの中のいずれか一つを起動するようにしたものである。」

B.「【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。図1は、この発明の実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成を示す図である。図1に示すように、このコンピュータシステムは、CPU11、システムメモリ12、BIOS-ROM13、電源コントローラ(PSC)14、磁気ディスク装置(HDD)15、CD-ROMドライブ16、リムーバブルデバイス17、DVDドライブ18、ディスプレイコントローラ19およびキーボードコントローラ20などを備えており、これらはシステムバスを介して相互に接続されている。また、電源コントローラ(PSC)14には、用途別に設けられた複数の選択スイッチ141が接続されている。そして、このコンピュータシステムは、この電源コントローラ(PSC)14に接続された選択スイッチ141によって、ユーザがシステムの起動状態を選択できるようになっている。
【0016】CPU11は、このコンピュータシステム全体の制御を司るものであり、システムメモリ12に格納されたオペレーティングシステムやユーティリティを含むアプリケーションプログラムおよびBIOS-ROM13に格納されたシステムルーチンを実行制御する。
【0017】システムメモリ12は、このコンピュータシステムの主記憶となるメモリデバイスであり、CPU11によって実行制御されるオペレーティングシステムやユーティリティを含むアプリケーションプログラムおよびこれらの実行に用いられる処理データを格納する。
【0018】BIOS-ROM13は、システムの電源投入直後に実行されるシステム内の各種デバイスを起動するためのシステムブートルーチン、システム内の各種デバイスを検査するためのシステムチェックルーチン、システム内の各種デバイスを初期化するためのシステムイニシャライズルーチンおよびオペレーティングシステム(またはオペレーティングシステムをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)を起動するためのオペレーティングシステムブートルーチンなどを格納するメモリデバイスである。
【0019】電源コントローラ(PSC)14は、このコンピュータシステムの電源の供給/遮断を一元的に管理するものであり、用途別に設けられた複数の選択スイッチ141のいずれかが押下された際、システムの電源を投入するとともに、選択スイッチ141が押下された旨を制御信号線を介してCPU11に通知する。したがって、この選択スイッチ141は、電源スイッチの役割も併せ持っていることになる。」

C.「【0021】図2には、この選択スイッチ141群が配置されるコンピュータシステムの筐体(一部分)の外観が示されており、ここでは、用途別に「PC1」、「PC2」、「PC3」、「CD」、「DVD」および「GAME」の選択肢が設けられているものとする。
【0022】このうち、「PC1」?「PC3」は、磁気ディスク装置(HDD)15やリムーバブルデバイス17など、それぞれに対応づけられた記録媒体(または同一記録媒体上の異なる記録領域)に格納されたオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。すなわち、この「PC1」?「PC3」は、このコンピュータシステムを所望のオペレーティングが稼動するパーソナルコンピュータとして動作させるためのスイッチである。また、「CD」は、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチであり、「DVD」は、このコンピュータシステムをDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。この「CD」および「DVD」のスイッチに対応づけられたオペレーティングシステム(および、そのオペレーティングシステムをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)は、磁気ディスク装置(HDD)15上の予め定められた領域に格納されるものであり、また、これらのオペレーティングシステムは、その起動後に、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムまたはDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動する。そして、「GAME」は、CD-ROMドライブ16に装填されたCD-ROM上のローダを実行することにより、そのCD-ROMに格納された独自のオペレーティングシステムを起動するものであり、これにより、このコンピュータシステムは、その独自のオペレーティングシステム下で稼動するアプリケーションプログラムによって、いわゆるゲーム機として動作する。」

D.「【0023】また、磁気ディスク装置(HDD)15、CD-ROMドライブ16およびリムーバブルデバイス17は、このコンピュータシステムの外部記憶となるメモリデバイスであり、これらのメモリデバイス上に、排他選択的に起動される複数のオペレーティングシステム(および、それらをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)が格納されている。」

E.「【0026】図4は、この実施形態の電源コントローラ(PSC)14の動作手順を説明するためのフローチャートである。電源コントローラ(PSC)14は、システムが電源オフの状態にあるとき、すべての選択スイッチ141の押下有無を監視しており(ステップA1)、いずれかの選択スイッチ141が押下されると(ステップA1のYes)、まず、システムを電源オンの状態にする(ステップA2)。その後、電源コントローラ(PSC)14は、選択スイッチ141が押下された旨を制御信号線を介してCPU11に通知するとともに、この通知に応答して、CPU11がシステムバス経由でいずれの選択スイッチ141が押下されたのかを問い合わせてきたときに、その選択スイッチ141を特定させるためのデータをシステムバス上に出力する(ステップA3)。」

F.「【0027】図5は、この実施形態のBIOSの動作手順を説明するためのフローチャートである。選択スイッチ141が押下されたことにより、システムが電源オン状態となると、まず、BIOS内のシステムブートルーチンが稼動し、システム内の各種デバイスの起動を実行する(ステップB1)。この各種デバイスの起動が完了すると、次に、BIOS内のシステムチェックルーチンが稼動し、その起動された各種デバイスの検査を実行する(ステップB2)。
【0028】この各種デバイスの検査が完了すると、今度は、BIOS内のシステムイニシャライズルーチンが稼動し、検査済みの各種デバイスの初期化が実行される(ステップB3)。
【0029】そして、この各種デバイスの初期化まで完了すると、BIOSでは、オペレーティングシステムブートルーチンが稼動する。このオペレーティングシステムブートルーチンが稼動すると、まず、CPU11から電源コントローラ(PSC)14に対し、システムバス経由でいずれの選択スイッチ141が押下されたのかが問い合わせられる。一方、この問い合わせを受けた電源コントローラ(PSC)14は、いずれの選択スイッチ141が押下されたのかをシステムバス経由で返答する。そして、この返答を受けたCPU11は、押下された選択スイッチ141から起動すべきオペレーティングシステムを判定し(ステップB4)、所定の記録領域に記録されたそのオペレーティングシステム(または、そのオペレーティングシステムをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)をシステムメモリ12上にロードして起動する(ステップB5)。」

G.「【0030】このように、この実施形態のコンピュータシステムによれば、選択スイッチ141の押下によって、所望の状態にシステムを起動させることが可能となり、また、いずれかのオペレーティングシステムが起動不能な状態に陥っている場合でも、他のオペレーティングシステムは問題なく起動させることが可能となる。
【0031】なお、前述した例では、選択スイッチ141が電源スイッチの役割を併せ持たせていたが、電源スイッチを別途設けて、その押下有無を電源コントローラ(PSC)14に監視させることも有効である。この場合、電源スイッチの押下に続いて選択スイッチ141の押下が行なわれるものとする。また、この場合、電源コントローラ(PSC)14は、前回押下された選択スイッチ141といずれの選択スイッチ141も押下されなかったときに押下されたとみなす選択スイッチ141(デフォルト値)とを保持する手段を備えるものとする。(以下、省略)

H.「【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、ユーザは、電源スイッチの押下とともに、たとえば用途に応じて設けられた複数の選択ボタンの中の所望の選択スイッチを押下することにより(または、電源スイッチの役割を併せ持った複数の選択ボタンの中の所望の選択スイッチを押下することにより)、システム電源投入当初から所望の状態でシステムを起動させることができることになり、また、いずれかのオペレーティングシステムが記録媒体の損傷などによって起動不能な状態に陥っている場合でも、その他のオペレーティングシステムは問題なく起動させることが可能となる。」

2.引用文献の認定
a.Bの「図1に示すように、このコンピュータシステムは、CPU11、システムメモリ12、BIOS-ROM13、電源コントローラ(PSC)14、磁気ディスク装置(HDD)15、CD-ROMドライブ16、リムーバブルデバイス17、DVDドライブ18、ディスプレイコントローラ19およびキーボードコントローラ20などを備えており、これらはシステムバスを介して相互に接続されている。また、電源コントローラ(PSC)14には、用途別に設けられた複数の選択スイッチ141が接続されている。」から、引用文献には、コンピュータシステム中には、CPU、磁気ディスク装置、システムメモリ、BIOS-ROM、用途別に設けられた複数の選択スイッチが接続された電源コントローラ、リムーバブルデバイス、CD-ROMドライブ、DVDドライブがシステムバスを介して相互に接続されている、ことが記載されている。

Bの「このコンピュータシステムは、この電源コントローラ(PSC)14に接続された選択スイッチ141によって、ユーザがシステムの起動状態を選択できるようになっている。」、Cの「この選択スイッチ141群が配置されるコンピュータシステムの筐体(一部分)の外観が示されており、ここでは、用途別に「PC1」、「PC2」、「PC3」、「CD」、「DVD」および「GAME」の選択肢が設けられている」、「すなわち、この「PC1」?「PC3」は、このコンピュータシステムを所望のオペレーティングシステムが稼動するパーソナルコンピュータとして動作させるためのスイッチである。また、「CD」は、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチであり、「DVD」は、このコンピュータシステムをDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。」から、選択スイッチによって、コンピュータシステムは、パーソナルコンピュータ、CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれかとして動作するように起動すると解される。

そして、B及びCの上記記載、及び、Aの「この発明のコンピュータシステムは、前述の目的を達成するために、システムを所望の状態に起動させるための選択スイッチを設け、電源スイッチの押下によりシステムの電源が投入されたときに、その選択スイッチの押下または状態に応じて、複数のオペレーティングシステムの中のいずれか一つを起動するようにしたものである。」、Eの「図4は、この実施形態の電源コントローラ(PSC)14の動作手順を説明するためのフローチャートである。」及びFの「図5は、この実施形態のBIOSの動作手順を説明するためのフローチャートである。」から、引用文献には、選択スイッチの押下に応じて、コンピュータシステムを所望の状態に起動させる方法、が記載されている。

以上から、引用文献には、
CPU、磁気ディスク装置、システムメモリ、BIOS-ROM、用途別に設けられた複数の選択スイッチが接続された電源コントローラ、リムーバブルデバイス、CD-ROMドライブ、DVDドライブがシステムバスを介して相互に接続されたコンピュータシステムにおいて、前記選択スイッチの押下に応じて、前記コンピュータシステムを、パーソナルコンピュータ、CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれかとして動作する状態に起動させる方法、
が記載されている。

b.Dの「磁気ディスク装置(HDD)15、CD-ROMドライブ16およびリムーバブルデバイス17は、このコンピュータシステムの外部記憶となるメモリデバイスであり、これらのメモリデバイス上に、排他選択的に起動される複数のオペレーティングシステム(および、それらをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)が格納されている。」から、引用文献には、
磁気ディスク装置には、複数のオペレーティングシステムと、それらをシステムメモリにロードして起動するためのローダが格納される、
ことが記載されている。

c.Eの「システムが電源オフの状態にあるとき、すべての選択スイッチ141の押下有無を監視しており(ステップA1)」から、引用文献には、
コンピュータシステムが電源オフの状態にあるとき、すべての選択スイッチの押下有無を監視するステップ、
が記載されている。

d.Cの「この選択スイッチ141群が配置されるコンピュータシステムの筐体(一部分)の外観が示されており、ここでは、用途別に「PC1」、「PC2」、「PC3」、「CD」、「DVD」および「GAME」の選択肢が設けられている」、「このうち、「PC1」?「PC3」は……それぞれに対応づけられた記録媒体(または同一記録媒体上の異なる記録領域)に格納されたオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。すなわち、この「PC1」?「PC3」は、このコンピュータシステムを所望のオペレーティングが稼動するパーソナルコンピュータとして動作させるためのスイッチである。」、「また、「CD」は、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチであり、「DVD」は、このコンピュータシステムをDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。」から、用途別に設けられた複数の選択スイッチは、各選択スイッチに対応する用途のシステムとしてコンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステムを起動するためのスイッチであることが記載されている。
そして、Eの「いずれかの選択スイッチ141が押下されると(ステップA1のYes)、まず、システムを電源オンの状態にする(ステップA2)。その後、電源コントローラ(PSC)14は、選択スイッチ141が押下された旨を制御信号線を介してCPU11に通知するとともに、この通知に応答して、CPU11がシステムバス経由でいずれの選択スイッチ141が押下されたのかを問い合わせてきたときに、その選択スイッチ141を特定させるためのデータをシステムバス上に出力する(ステップA3)。」、Fの「この問い合わせを受けた電源コントローラ(PSC)14は、いずれの選択スイッチ141が押下されたのかをシステムバス経由で返答する。そして、この返答を受けたCPU11は、押下された選択スイッチ141から起動すべきオペレーティングシステムを判定し(ステップB4)、所定の記録領域に記録されたそのオペレーティングシステム(または、そのオペレーティングシステムをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)をシステムメモリ12上にロードして起動する(ステップB5)。」から、選択スイッチのいずれかが押下されたことの報知を受けたCPUが、押下された選択スイッチから起動すべきオペレーティングシステムを判定し、そのオペレーティングシステムをシステムメモリ上にロードして起動するステップが記載されている。
以上から、引用文献には、
用途別に設けられた選択スイッチのいずれかが押下されたことの報知を受けたCPUが、いずれの選択スイッチが押下されたのかを示す情報から、前記押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとしてコンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステムを判定し、当該判定されたオペレーティングシステムをシステムメモリ上にロードして起動するステップ、
が記載されている。

e.Cの「この「CD」および「DVD」のスイッチに対応づけられたオペレーティングシステム(および、そのオペレーティングシステムをシステムメモリ12にロードして起動するためのローダ)は、磁気ディスク装置(HDD)15上の予め定められた領域に格納されるものであり、また、これらのオペレーティングシステムは、その起動後に、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムまたはDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動する。」から、引用文献には、
CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後、当該起動されたオペレーティングシステムは、コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させるステップ、
が記載されていると解される。

f.Cの「この「PC1」?「PC3」は、このコンピュータシステムを所望のオペレーティングが稼動するパーソナルコンピュータとして動作させるためのスイッチである。また、「CD」は、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチであり、「DVD」は、このコンピュータシステムをDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。」から、引用文献には、
コンピュータシステムを、押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させるステップ、
が記載されている。

g.引用文献に記載される前記c?fで認定した各ステップは、それぞれ、aの「前記コンピュータシステムを、パーソナルコンピュータ、CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれかとして動作する状態に起動させる方法」の1ステップであり、前記c?fで認定した各ステップはc→d→e→fの順で実行されることは、明らかである。

以上、a?gから、引用文献には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「CPU、磁気ディスク装置、システムメモリ、BIOS-ROM、用途別に設けられた複数の選択スイッチが接続された電源コントローラ、リムーバブルデバイス、CD-ROMドライブ、DVDドライブがシステムバスを介して相互に接続されたコンピュータシステムにおいて、前記選択スイッチの押下に応じて、前記コンピュータシステムを、パーソナルコンピュータ、CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれかとして動作する状態に起動させる方法であって、
前記磁気ディスク装置には、複数のオペレーティングシステムと、それらを前記システムメモリにロードして起動するためのローダが格納され、
前記コンピュータシステムを起動させる方法は、
前記コンピュータシステムが電源オフの状態にあるとき、すべての前記選択スイッチの押下有無を監視するステップと、
用途別に設けられた前記選択スイッチのいずれかが押下されたことの報知を受けた前記CPUが、いずれの選択スイッチが押下されたのかを示す情報から、前記押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとして前記コンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステムを判定し、当該判定されたオペレーティングシステムを前記システムメモリ上にロードして起動するステップと、
CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後、当該起動されたオペレーティングシステムは、前記コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させるステップと、
前記コンピュータシステムを、前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させるステップと、
を有することを特徴とする、コンピュータシステムを、パーソナルコンピュータ、CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれかとして動作する状態に起動させる方法。」


第3.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

a.引用発明の「コンピュータシステム」、「システムメモリ」、「BIOS-ROM」、「用途別に設けられた複数の選択スイッチ」及び「複数のオペレーティングシステム」は、それぞれ、本願発明の「コンピュータ」、「システムメモリ」、「BIOS」、「複数のショートカットキー」及び「OS」に相当する。
引用発明の「コンピュータシステム」は、周辺装置として「リムーバブルデバイス、CD-ROMドライブ、DVDドライブ」を有している。ここで、前記「DVDドライブ」がマルチメディア再生用の「ドライブ」であることは自明であり、前記「CD-ROMドライブ」がCDプレーヤユニット即ちデジタル音楽再生ユニットとして利用できることは技術常識であるので、引用発明の、少なくとも、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」は、本願発明の「複数のマルチメディア再生装置」に相当する。

b.引用発明の「磁気ディスク装置には、複数のオペレーティングシステムと、それらをシステムメモリにロードして起動するためのローダが格納され」ている。
これに対して、本願発明の「データ保存メディア中にはOS、該複数のマルチメディア再生装置の駆動プログラム、複数のマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、装置起動クラスター表を保存し」ている。そして、本願明細書には、段落【0015】に「図2に示すように、図1中のハードディスク17中にはOS171、1組のマルチメディア再生装置の駆動プログラム172、1組のマルチメディア再生装置アプリケーションプログラム173、1組の装置起動クラスター表174をインストールする。」と記載されている。してみれば、本願発明は、明細書の発明の詳細な説明に記載された「ハードディスク17」を「データ保存メディア」と称していること、すなわち、本願発明の「データ保存メディア」は「ハードディスク」を含む概念の装置であることは明らかである。
そして、引用発明の「磁気ディスク装置」はハードディスクに他ならない。
したがって、引用発明の「磁気ディスク装置」と、本願発明の「データ保存メディア」とは、オペレーティングシステムを保存するハードディスクである点で共通している。

c.前記a、bから、引用発明の「コンピュータシステム」において「CPU、磁気ディスク装置、システムメモリ、BIOS-ROM、用途別に設けられた複数の選択スイッチが接続された電源コントローラ、リムーバブルデバイス、CD-ROMドライブ、DVDドライブがシステムバスを介して相互に接続された」ことと、本願発明の「コンピュータ中にはデータ保存メディア、システムメモリ、BIOS、複数のショートカットキー、複数のマルチメディア再生装置を接続し」たこととは、コンピュータ中に、ハードディスク、システムメモリ、BIOS、複数のショートカットキー、複数のマルチメディア再生装置を接続した点で一致している。

d.引用発明の「複数の選択スイッチ」は「用途別に設けられ」ているから、各「選択スイッチ」は当然に、その「用途」に対応付けられている。
引用発明は、「いずれの選択スイッチが押下されたのかを示す情報から、前記押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとして前記コンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステムを判定」し、「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたCDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後、当該起動されたオペレーティングシステムは、前記コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させる」とともに、「前記コンピュータシステムを、前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させる」ものである。してみれば、引用発明の「用途別に設けられた複数の選択スイッチ」のそれぞれは、「押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとして前記コンピュータシステムを動作させるために必要」な「オペレーティングシステム」に「対応付け」られており、「コンピュータシステム」を「CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させる」ために「必要」な「オペレーティングシステム」は「コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させる」ための「アプリケーションプログラム」に対応付けられていることは明らかである。
すなわち、引用発明の「コンピュータシステム」は、「用途別」に設けられた「選択スイッチ」のそれぞれをその「用途」と「必要なオペレーティングシステム」に「対応付け」るとともに、前記「必要なオペレーティングシステム」と「コンピュータシステムを……CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」とを対応付けるための情報を有しており、前記「必要なオペレーティングシステム」の「判定」や「CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」の選択は当該情報を用いて行っていると認められる。
引用発明における、この、「用途別」に設けられた「選択スイッチ」のそれぞれをその「用途」と「必要なオペレーティングシステム」とに「対応付け」るとともに、前記「必要なオペレーティングシステム」と「コンピュータシステムを……CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」とを対応付けるための情報と、本願発明における、「各マルチメディア再生装置の機能属性に応じて各ショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラム、マルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、マルチメディア再生装置」を「定義」する「該装置起動クラスター表」とは、各ショートカットキーが関連するマルチメディア再生システムとしてコンピュータを動作させるアプリケーションプログラムを定義する情報である点で共通している。
そして、引用発明の「コンピュータシステム」が、前記「用途別」に設けられた「選択スイッチ」のそれぞれをその「用途」と「必要なオペレーティングシステム」に「対応付け」るとともに、前記「必要なオペレーティングシステム」と「コンピュータシステムを……CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」とを対応付けるための情報を有することと、本願発明において、前記「装置起動クラスター表」を「コンピュータ中」に「接続」された「データ保存メディア中」に「保存」することとは、各ショートカットキーが関連するマルチメディア再生装置としてコンピュータを動作させるアプリケーションプログラムを定義する情報をコンピュータ中に保存する点で共通している。

e.引用発明の「コンピュータシステム」は「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」という、マルチメディア再生に利用する周辺装置を有している。そして、前記「コンピュータシステム」は、これら「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御して、前記「コンピュータシステム」を「CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させる」処理をしていることは明らかである。
したがって、引用発明の「コンピュータシステム」は、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアを有することは明らかである。
してみれば、引用発明の「コンピュータシステム」が「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアを有することと、本願発明において、「複数のマルチメディア再生装置の駆動プログラム」を「コンピュータ中」に「接続」された「データ保存メディア中」に「保存」することとは、マルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアをコンピュータ中に保存する点で共通している

f.本願発明の「操作された各ショートカットキーの状態を探知」する「ステップ」は、「コンピュータ」の「システム起動作業を実行」する前の「ステップ」であるから、「システム起動」前に実行される「ステップ」である。
したがって、引用発明の「前記コンピュータシステムが電源オフの状態にあるとき、すべての前記選択スイッチの押下有無を監視するステップ」は、本願発明の「操作された各ショートカットキーの状態を探知」する「ステップ」に相当する。

g.引用発明の「用途別に設けられた前記選択スイッチのいずれかが押下されたことの報知を受けた前記CPUが、いずれの選択スイッチが押下されたのかを示す情報から、前記押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとして前記コンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステムを判定し、当該判定されたオペレーティングシステムを前記システムメモリ上にロードして起動するステップ」は、「選択スイッチのいずれかが押下されたことの報知を受け」ると「必要なオペレーティングシステム」を「前記システムメモリ上にロードして起動するステップ」である。そして、「必要なオペレーティングシステム」を「前記システムメモリ上にロードして起動する」ことは、引用発明の「コンピュータシステム」の起動作業を実行することに他ならない。
してみれば、引用発明の「用途別に設けられた前記選択スイッチのいずれかが押下されたことの報知を受けた前記CPUが、いずれの選択スイッチが押下されたのかを示す情報から、前記押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとして前記コンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステムを判定し、当該判定されたオペレーティングシステムを前記システムメモリ上にロードして起動するステップ」は、本願発明の「任意のショートカットキーが操作されたことを探知すると、該コンピュータはシステム起動作業を実行」するステップに相当する。

h.前記dで述べたとおり、引用発明の「コンピュータシステム」は、「用途別」に設けられた「選択スイッチ」のそれぞれを、その「用途」と「必要なオペレーティングシステム」に「対応付け」るとともに、前記「必要なオペレーティングシステム」と「CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」とを対応付けるための情報を有していること、前記情報を用いて「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後、当該起動されたオペレーティングシステムは、前記コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させる」ことは明らかである。
すなわち、「必要」な「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後」に、前記情報が参照されていることは明らかである。
したがって、引用発明において、「コンピュータシステム」が「必要」な「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後」に前記情報を利用することと、本願発明が「システム起動作業を実行し」た後で「該コンピュータは該データ保存メディア中より該装置起動クラスター表を該システムメモリ中のランダムアクセス領域中に読み込」むこととは、システム起動作業を実行した後で、各マルチメディア再生装置の機能属性に応じて各ショートカットキーが関連するマルチメディア再生装置としてコンピュータを動作させるアプリケーションプログラムを定義する情報が参照される点で共通している。

i.前記eで述べたとおり、引用発明の「コンピュータシステム」は、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアを有することは明らかである。
ここで、引用発明においては、「コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させる」際には、少なくとも「DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置」を作動させていることも明らかであるから、そのために、少なくとも「DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアを実行させることも明らかである。

これに対し、本願発明は「該装置起動クラスター表中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行」する。
ここで、前記「該装置起動クラスター中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行」するという発明特定事項に関して、本願明細書には、
段落【0025】に「該コンピュータ100が上記の起動手順を完了後……使用者が1つめのショートカットキー21を押すと(ステップ104a)、該コンピュータ100は該装置起動クラスター表174に予め定義される指示に基づき、該ハードディスク17中より音楽光ディスク装置の駆動プログラム172a及び音声効果装置駆動プログラム175を実行する(ステップ105a)。」と記載されるとともに、
段落【0021】に「続いて図4に示すように、図1中の装置起動クラスター表174中には各ショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラム、マルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、マルチメディア再生装置を定義する。該装置起動クラスター表174中にはショートカットキー欄、ショートカットキー番号欄、ショートカットキー対応駆動プログラム欄、ショートカットキー対応アプリケーションプログラム欄、ショートカットキー対応装置欄を包含する。各ショートカットキー21、22、23、24はクラスター化の方式により、1個或いは1個以上のショートカットキー対応駆動プログラム、ショートカットキー対応アプリケーションプログラム、ショートカットキー対応マルチメディア再生装置に対応する。」と記載され、段落【0029】には「【図4】図1中の装置起動クラスター表のクラスター内容指示図である。」と記載されている。
よって、本願明細書の記載を参酌すれば、本願発明の前記「装置起動クラスター表中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行」するとの発明特定事項は、装置起動クラスター表中に予め定義される、各ショートカットキーに対応する駆動プログラムを指示する情報に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行する、ことを意味することは明らかである。

ここで、前記「DVDドライブ」は本願発明の「マルチメディア再生装置」に相当することは、前記aで述べたとおりである。
してみれば、引用発明において、「アプリケーションプログラムを自動的に起動させる」際に、少なくとも「DVDドライブ」というマルチメディア再生のために作動させる周辺装置を駆動・制御するソフトウェアを実行させることと、本願発明において、「アプリケーションプログラムを実行」する際に「装置起動クラスター表中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行」することとは、アプリケーションプログラムを実行する際にマルチメディア再生装置を駆動・制御するソフトウェアを実行する点で共通している。

j.引用発明の「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたCDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後、当該起動されたオペレーティングシステムは、前記コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させるステップ」と、本願発明の「該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラムを実行」する「ステップ」とは、操作されたショートカットキーに関連するマルチメディア再生システムとしてコンピュータを動作させるアプリケーションプログラムを実行するステップである点で共通している。

k.引用発明においては、「前記コンピュータシステムを、前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させる」が、このとき、「前記コンピュータシステム」は「記押下され」ていない「選択スイッチに対応付けられた用途のシステム」としては「動作」しないことは、当然である。
したがって、引用発明の「前記コンピュータシステムを、前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させるステップ」と本願発明の「該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置を作動し、該操作されていないショートカットキーが対応する他のマルチメディア再生装置は作動しない」「ステップ」とは、コンピュータが、操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生システムとして動作し、操作されていないショートカットキーが対応する他のマルチメディア再生システムとしては動作しないステップである点で、共通している。

m.本願発明の「方法」は、「マルチメディア再生システムを迅速に起動する方法」である。ここで、前記「迅速に起動する」との語句の意味するところについて、本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌する。
すると、その段落【0009】に「迅速に起動する時には、任意のショートカットキーが操作されたことを探知すると、該コンピュータは該装置起動クラスター中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行し、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラムを実行し、こうして、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置は作動し、操作されていないショートカットキーが対応する他のマルチメディア再生装置は作動しないことを特徴とするマルチメディア再生システムを迅速に起動する方法である。」と記載されている。
してみれば、本願発明の「方法」が「マルチメディア再生システムを迅速に起動する方法」であるのは、「起動」する「マルチメディア再生システム」に必要なソフトウェアのみを起動し実行することで実現されると認められる。
そして、引用発明においては、「磁気ディスク装置」に「格納」された「複数のオペレーティングシステム」のうち、「押下された選択スイッチに対応する用途のシステムとして前記コンピュータシステムを動作させるために必要なオペレーティングシステム」を「ロードして起動する」ものであり、「自動的に起動」される「アプリケーションプログラム」は、「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステム」に対応する「アプリケーションプログラム」である。すなわち、引用発明は、「押下された選択スイッチに対応する用途のシステム」に必要な「オペレーティングシステム」及び「アプリケーションプログラム」を「起動」している。
してみれば、引用発明の「コンピュータシステムを、パーソナルコンピュータ、CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれかとして動作する状態に起動させる方法」と、本願発明の「マルチメディア再生システムを迅速に起動する方法」とは、いずれも、マルチメディア再生システムを迅速に起動する方法である点で一致している。


以上a?mから、引用発明と本願発明とは、以下の点で、一致するとともに相違している。
(一致点)
コンピュータ中にはハードディスク、システムメモリ、BIOS、複数のショートカットキー、複数のマルチメディア再生装置を接続し、
該ハードディスク中にはオペレーティングシステムを保存し、
該コンピュータ中に、各ショートカットキーが関連するマルチメディア再生装置として前記コンピュータを動作させるアプリケーションプログラムを定義する情報と、マルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアとを保存し、
本発明の方法は以下のステップを包含し、
(a)操作された各ショートカットキーの状態を探知し、
(b)任意のショートカットキーが操作されたことを探知すると、該コンピュータはシステム起動作業を実行し、
(c)該保存された前記情報が参照され、
(d)該マルチメディア再生装置を駆動・制御するソフトウェアを実行し、
(e)該操作されたショートカットキーに関連するマルチメディア再生システムとして該コンピュータを動作させるアプリケーションプログラムを実行し、
(f)前記コンピュータが、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生システムとして動作し、操作されていないショートカットキーが対応する他のマルチメディア再生システムとしては動作しない、
ことを特徴とするマルチメディア再生システムを迅速に起動する方法。

(相違点1)
本願発明の「データ保存メディア」すなわち「ハードディスク」中には「OS」のほか、「該複数のマルチメディア再生装置の駆動プログラム、複数のマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、装置起動クラスター表」を「保存」するのに対して、引用発明の「磁気ディスク装置」には「複数のオペレーティングシステムと、それらをシステムメモリにロードして起動するためのローダ」以外には何が「格納」されるのか不明である点。

(相違点2)
本願発明の「装置起動クラスター表」は、該「表」中には「該各マルチメディア再生装置の機能属性に応じて各ショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラム、マルチメディア再生装置のアプリケーションプログラム、マルチメディア再生装置を定義」するものであるのに対して、引用発明の「コンピュータシステム」は、「用途別」に設けられた「選択スイッチ」のそれぞれをその「用途」と「必要なオペレーティングシステム」とに「対応付け」るとともに、前記「必要なオペレーティングシステム」と「CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」とを対応付けるための情報を有していると認められる点。

(相違点3)
本願発明は「該コンピュータは該データ保存メディア中より該装置起動クラスター表を該システムメモリ中のランダムアクセス領域中に読み込」むというステップを有するのに対して、引用発明においては、「必要」な「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後」に前記各対応付けを行うための情報が参照されるものの、当該参照のため、前記各対応付けを行うための情報が「コンピュータシステム」の「システムメモリ」中の「ランダムアクセス領域中に読み込」まれるかどうかは不明である点。

(相違点4)
本願発明は「該装置起動クラスター表中に予め定義される指示に基づき、該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置の駆動プログラムを実行」するというステップを有するのに対して、引用発明は、少なくとも「DVDドライブ」というマルチメディア再生に利用する周辺装置を駆動・制御するソフトウェアを実行させる点。

(相違点5)
本願発明は「該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置のアプリケーションプログラムを実行」するステップを有するのに対して、引用発明は「CDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたCDないしDVDの選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後、当該起動されたオペレーティングシステムは、前記コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを自動的に起動させるステップ」を有する点。

(相違点6)
本願発明は「該操作されたショートカットキーが対応するマルチメディア再生装置を作動し、該操作されていないショートカットキーが対応する他のマルチメディア再生装置は作動しない」ステップを有するのに対して、引用発明は「前記コンピュータシステムを、前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させるステップ」を有する点。


第4.当審の判断
1.相違点について
(1)当業者の技術知識
次に、本願の優先権主張の日における、当業者の技術知識について、検討する。

a.アプリケーションプログラムを実行するに際しては、ハードディスク等の保存媒体に格納された前記アプリケーションプログラムをまず主記憶にロードすることは、技術常識である。
そして、デバイスドライバ、すなわち、コンピュータの周辺機器を動作させるための該周辺機器の駆動プログラムに関しても、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平08-263364号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、参考のため、当審において付した。以下、他の刊行物についても同様である。)。
ア.「【0003】MS-DOSに機能を付加するデバイスドライバ、常駐プログラム等(以下デバイスドライバ或はドライバという)は、通常メインメモリにロードされるため、そのデバイスドライバのメモリ消費量だけ、メインメモリ空間を圧迫する。したがってデバイスドライバを他のメモリ領域に移動させることができれば、メインメモリを圧迫しなくて済む。
【0004】そこで、従来のメモり管理方法では、デバイスドライバをEMS(expandedmemory specification:詳細には日経バイト1988年11月号P157?166参照)、UMB(upper memory block)等の拡張メモリ領域に移動させていた。この様子を図9を使って説明する。MS-DOSは8086系CPUのリアルモードで動作することを前提としているので1MB空間しかアクセスすることができない。この中にOS、アプリケーションがロードされるメインメモリ、表示用メモリがマッピングされるVRAMエリア、EMSメモリをアクセスする窓となるEMSエリア、BIOSROM等を見せるROMエリア、更にメインメモリ以外で前記VRAM,ROMエリア以外の部分を称するUMBエリア、が取られる。よってEMSエリアも広義ではUMBエリアの一部になる。また図示しないが、VRAMエリアとROMエリア間にはHDD等の拡張機器を制御する拡張BIOSROMが飛び飛びに存在し、結果UMBは断続的となり、連続領域としては32KB程度しか取れない場合が多い。」
イ.「【0009】本発明は、こうした問題を解決るものであって、デバイスドライバ等を極力UMB等の拡張メモリ領域に移動し、アプリケーションにより多くのメインメモリを開放することを目的とし、次の構成を取った。」
ウ.「【0014】
【実施例】以上説明した本発明を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。図1は本実施例のハードウェアブロック図である。共通のバスラインによって、ハードウェア全体を制御するCPU2、BIOS、拡張BIOS等を格納するROM4、OS、アプリケーション、更に本実施例の要部であるZZHIGH.SYS等を展開、実行するRAM6、CRT等を備える表示部8、OSのPRINT.SYS等によって制御されるプリンタ10、キーボード等の入力部12、フロッピーディスク15をR/WするFDD14、Aドライブ、Bドライブ、後述するZZ.SYSによって仮想的に作られたCドライブからなるHDD16、が接続されている。ZZHIGH.SYSはフロッピーディスク15またはHDD16に通常格納されて使用者に提供される。MS-DOSシステム及び付属するデバイスドライバはHDD16あるいはフロッピーディスク15からロードされ、CONFIG.SYS等の指定に基づいてRAM6上にメモリマップを展開する。」

同様に、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2003-067685号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
エ.「【0013】同電子機器は、マイクロプロセッサ(CPU)1、メモリ2、入力装置3、及びハードディスクドライブ(HDD)4を有する。メモリ2は、CPU1の動作に必要な各種プログラム(同実施形態に関するデバイスドライバを含む)をロードするためのメインメモリ(DRAM)や、ROM及びフラッシュEEPROMなどのICメモリ群を含む。入力装置3は、データやコマンドを入力するためのキーボードやマウスなどを含む。
【0014】HDD4は、CPU1の動作に必要なOSや各種のアプリケーションを格納する外部記憶装置であり、後述するように、カード10の制御に必要なデバイスドライバ(制御用ソフトウェア)群40及びIDデータベース41をそれぞれファイルとして格納している。」
オ.「【0021】ホストコントローラ5は、カードスロット6にカード10が装着されると、それを検知して第1のデバイスドライバ(A)に通知する(ステップS1)。ここで、実際には、HDD4からデバイスドライバ(A)がメインメモリにロードされて、CPU1はデバイスドライバ(A)を起動することにより、以下のような制御動作を実行する(ステップS2)。」

さらに、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2004-228622号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
カ.「【0030】
メインメモリ13は、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、実行対象のアプリケーションプログラム及び処理データ等を格納する。
【0031】
第2のブリッジ回路14は、HDD(Hard Disk Drive)15及びI/O(In/Out)コントローラ16と接続される。
【0032】
HDD15は、オペレーティングシステム、デバイスドライバ、実行対象のアプリケーションプログラム等が記憶されており、適時メインメモリ13に転送される。」

ア?カから、
周辺機器を動作させるための当該周辺機器の駆動プログラムであるデバイスドライバとアプリケーションプログラムを磁気ディスク装置に格納すること、
前記デバイスドライバと前記アプリケーションプログラムを主記憶のランダムアクセス領域にロードして前記デバイスドライバと前記アプリケーションプログラムを実行する、
ことは、いずれも、本願の優先権主張の日において、既に、技術常識であった。

b.次に、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2000-066797号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
キ.「【0002】
【従来の技術】従来、モニタに所定の画面を表示させるためには、この画面に関与する画面プログラム,画面ファイル,また、この画面に対して操作を行うことによって実行される処理プログラム,この処理に伴う画面ファイル等、前記所定の画面に関与するプログラム,ファイル等、つまり、前記画面の画面オブジェクトを全て主記憶領域にロードするようにしている。そして、ロードしたプログラム或いはファイル等に基づいて演算処理装置で所定の処理を実行するようになっている。」
ク.「【0019】このオブジェクト管理処理では、起動されると、まず、ステップS1で、外部記憶装置5に格納されている親画面オブジェクトをメインメモリ2にロードすると共に、予め設定されて外部記憶装置5に格納さている親子関係テーブルTをメインメモリ2にロードする。この親子関係テーブルTは、親画面及びこの親画面において指定可能な子画面等に基づいて予め設定されたテーブルであって、例えば図4に示すように形成されている。つまり、親画面において指定された子画面を特定するための子画面選択項目を表す親画面実行結果11と、ロードすべき子画面オブジェクトを特定するための子画面情報12と、子画面オブジェクトが起動された後に再度親画面オブジェクトを起動させる必要があるか、つまり、親画面に復帰する子画面であるかどうかを表す再起情報(定義情報)13とから構成されている。」

本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平07-093214号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ケ.「【0011】ハードディスクドライブ(HDD)106は、メインメモリ104にロードするプログラムや各種のテーブルを格納する。メインメモリ104にロードするプログラムは、ファイル管理部のプログラムとファイルを利用するサーバアプリケーションプログラムとからなる。ハードディスクドライブ(HDD)106内のこれらの情報はシステムの電源投入時にメインメモリ104にロードされる。」
コ.「【0018】図5はキャッシュ管理テーブルの構成を示す図である。同図に示すように、キャッシュ管理テーブルは、キャッシュの状態を表すフラグ501、キャッシュのデータの格納先であるメディアのメディア番号502、メディア上のブロックのアドレス(ブロック番号)503、キャッシュに格納されたデータの階層順位504からなる。……(中略)……階層順位504はデータのアクセス頻度を表し、アプリケーションプログラムがデータをアクセスする際に設定される。階層順位305は0から9までの数字で指定され、数字が大きいほどアクセスの頻度が高く、よく参照されるデータであることを示す。また-1を指定するとシステムの持つデフォルト7が使われる。このデフォルトの値は磁気ディスクに格納されている。CPU101は、ファイル管理テーブル、メディア管理テーブル、装填テーブルを電源OFFの手続きによって磁気ディスクに記録し、電源投入によってメインメモリ104にロードする。」

さらに、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平06-290011号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
サ.「【0048】第2実施例では、文字処理に関わる各種の初期(デフォルト)値を記載したテーブルが補助記憶装置3に設置されたシステムディスクから電源起動時に読出され、メインメモリ2内の専用領域にロードされる。」
シ.「【0056】CPU1において文書処理装置機能が起動されるとS100において図6の標準データテーブルがメインメモリ2内にロードされ、表示装置4には用紙サイズ情報102の示すサイズの原稿用紙を示す画面が表示される。ユーザが入力装置5から入力した文字仕様は上記標準データにより決定される(S101)。」

キ?シから、
アプリケーションプログラムの実行に用いられるデータをテーブルとして、前記アプリケーションプログラムの実行に際して、前記アプリケーションプログラムとともに主記憶のランダムアクセス領域にロードして用いる、
ことは、本願の優先権主張の日において、既に、周知慣用の事項であった。

c.そして、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平08-201721号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ス.「【0017】請求項9に記載の発明の構成は、映像表示装置を含み、映像源からの映像を受像し、もって対応する虚像を生じさせる統合式コンピュータ式のマルチメディア表示装置において、信号を制御すると共に複数のマルチメディアの周辺装置と接続され、もって複数のマルチメディア機能を実行するコンピュータを有し、当該コンピュータ、前記周辺装置および前記映像表示装置は、一つのコンパクトなパッケージに統合されていることを特徴とする。」

本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2004-164778号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
セ.「【0024】
図2に示すように、第1のクライアント装置であるパソコン101は、メディア装填機構11、データ読取部12および送受信部13を備えて構成されている。メディア装填機構11は、CD,SACD,DVD等のメディアを装填するCDドライブあるいはDVDドライブである。新しい規格のメディアを再生したい場合は、少なくともパソコン101については当該新しい規格に対応する必要がある。
【0025】
ここでは、第1のクライアント装置としてパソコン101を用いているが、当該パソコン101の代わりに、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、MDプレーヤ、カセットデッキ、ラジオチューナ等を備えたホームオーディオ装置を用い、これに携帯電話等の通信機器を接続してインターネット110にアクセスできるようにしても良い。」
ソ.「【0031】
デコーダ25は、CD、SACD、DVD、MD、ラジオ、テレビなどの複数種類のメディアに対応して複数種類備えられている。これら複数のデコーダ25は、サーバ104から受信されたデータのメディアに応じて何れかが選択的に動作し、当該データをデコードして出力する。アンプ26は、デコードされたデータが音声データの場合に、その音声データをアナログの音声信号に変換した後所定量だけ増幅し、スピーカ29から出力する。」

さらに、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2004-527817号公報には、図面とともに以下の事項が記載されている。
タ.「【請求項70】
ネットワークと、
ネットワーク接続を提供するためのシステムバス、及びネットワークインターフェースカード(NIC)を有するホストコンピューターと、
前記ネットワークに取り付けられたマルチメディアコンテンツを再生するための多数のマルチメディア再生機、
前記コンピューターが各マルチメディア再生機をまるで前記コンピューターのシステムバスに直接に連結された地域ディバイスのように認識する仮想ホストバスアダプターを生成するために、前記ホストで実行されるディバイスドライバーを含むことを特徴とする、マルチメディアコンテンツ再生用コンピュータージュークボックス。
……(中略)……
【請求項73】
前記マルチメディア再生機はCDドライブを含むことを特徴とする請求項70記載のコンピュータージュークボックス。
【請求項74】
前記マルチメディア再生機はDVDドライブを含むことを特徴とする請求項70記載のコンピュータージュークボックス。」

ス?タから、
コンピュータに周辺装置として複数のマルチメディア再生装置を接続して、前記コンピュータを、作動させるマルチメディア再生装置に対応するマルチメディア再生機能を有するコンピュータシステムとして動作させる、
ことは、本願の優先権主張の日において、既に、常套手段であった。

(2)各相違点についての判断
引用発明において、「コンピュータシステム」は、「CDプレーヤないしDVDプレーヤのいずれか」の「用途」で「動作する」とともに、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」が「接続され」ている。ここで、「コンピュータシステム」を「DVDプレーヤ」として「動作」させるとき「DVDドライブ」を作動させることは自明であるが、「CDプレーヤ」として「動作」させるとにに「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のどちらを作動させるのか、引用文献には記載されていない。
しかし、コンピュータに周辺装置として複数のマルチメディア再生装置を接続して、前記コンピュータを、作動させるマルチメディア再生装置に対応するマルチメディア再生機能を有するコンピュータシステムとして動作させることは、前記「(1)当業者の技術知識」の項の「c」で指摘したとおり、常套手段であった。
してみれば、引用発明の「コンピュータシステム」においては、「DVDドライブ」を作動させて「DVDプレーヤ」として「動作」させ、「CD-ROMドライブ」を作動させて「CDプレーヤ」として「動作」させること、すなわち、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかの「ドライブ」を選択すると「コンピュータシステム」の「用途」が決まるようにすることは、当業者が普通に想起すると認められる。

さて、周辺装置を駆動・制御するソフトウェアとしては、普通は、デバイスドライバが用いられることは技術常識である。そして、デバイスドライバは、周辺装置の仕様が装置毎に異なることから、当該周辺装置を駆動・制御する機能をオペレーティングシステム本体から切り離し、その機能をデバイスドライバとして組み込んだソフトウェアである。
したがって、前述のように、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかの「ドライブ」を選択すると「コンピュータシステム」の「用途」が決まるようにするとき、「用途別に設けられた前記選択スイッチのいずれ」が「押下された」かに応じて「必要なオペレーティングシステムを判定」することと同様に、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」をそれぞれ駆動・制御するソフトウェアとしての複数のデバイスドライバの中から、「押下」された「選択スイッチ」により選択された「ドライブ」に応じたデバイスドライバを選択させることは、当業者であれば当然に想到する事項であると認められる。

引用文献には、前記「第2.引用文献」の「1.引用文献の記載事項」の項において、Cで挙げたように、「「CD」は、このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチであり、「DVD」は、このコンピュータシステムをDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラムを動作制御するのに必要な最小限の機能をもつオペレーティングシステムを起動するためのスイッチである。」と記載されている。してみれば、「CD」スイッチに「このコンピュータシステムをCDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」を対応付け、「DVD」スイッチに「このコンピュータシステムをDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」を対応付けることも、引用文献には示唆されていると認められる。
したがって、引用発明において、個々の「選択スイッチ」に、「必要なオペレーティングシステム」を直接に対応付けていることと同様に、個々の「アプリケーションプログラム」も前記「選択スイッチ」に直接に対応付けることは、当然になし得たものと認められる。

そして、前述のように、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかの「ドライブ」を選択すると「コンピュータシステム」の「用途」が決まるようにした場合は、引用発明において、「選択スイッチ」のそれぞれを、「用途」に対応付けることに代えて、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかに対応付けることは、当然になすべき事項であると認められる。

以上から、引用発明において、前述のように、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかの「ドライブ」を選択すると「コンピュータシステム」の「用途」が決まるようにするに伴い、「複数の選択スイッチ」のそれぞれを、「必要なオペレーティングシステム」と対応付けるだけでなく、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」の各「ドライブ」に対応する個々のデバイスドライバ、個々の「アプリケーションプログラム」、及び、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかとも対応づけることは、当業者であれば当然になし得たものと認められる。
また、このように、「複数の選択スイッチ」のそれぞれを、「必要なオペレーティングシステム」、各「ドライブ」に対応する個々のデバイスドライバ、個々の「アプリケーションプログラム」、及び、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかと、それぞれ、対応づける情報をテーブル形式の情報とすることは、当業者であれば適宜なし得た設計事項にすぎないものと認められる。

さらに、前記「(1)当業者の技術知識」の項の「a」で指摘したとおり、
周辺機器を動作させるための当該周辺機器の駆動プログラムであるデバイスドライバとアプリケーションプログラムを磁気ディスク装置に格納すること、
前記デバイスドライバと前記アプリケーションプログラムを主記憶のランダムアクセス領域にロードして前記デバイスドライバと前記アプリケーションプログラムを実行すること、
が技術常識であった。
また、前記「(1)当業者の技術知識」の「b」の項で指摘したように、
アプリケーションプログラムの実行に用いられるデータをテーブルとして、前記アプリケーションプログラムの実行に際して、前記アプリケーションプログラムとともに主記憶のランダムアクセス領域にロードして用いること、
は周知慣用の事項であった。
そして、引用文献には、前記「第2.引用文献」の「1.引用文献の記載事項」における「B」の項に、「システムメモリ12は、このコンピュータシステムの主記憶となるメモリデバイスであり、CPU11によって実行制御されるオペレーティングシステムやユーティリティを含むアプリケーションプログラムおよびこれらの実行に用いられる処理データを格納する。」と、
記載されている。

以上の事項に鑑みれば、引用発明において、
「磁気ディスク装置」に、「複数のオペレーティングシステムと、それらをシステムメモリにロードして起動するためのローダ」に加えて、「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」の各「ドライブ」のデバイスドライバ、「コンピュータシステムを、それぞれ、CDプレーヤないしDVDプレーヤとして動作させるアプリケーションプログラム」、及び、「複数の選択スイッチ」のそれぞれを「必要なオペレーティングシステム」と前記各「ドライブ」の個々のデバイスドライバと個々の「アプリケーションプログラム」及び「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のいずれかとに対応づけるテーブル形式の情報を「格納」して、
必要なデバイスドライバ及び必要な「アプリケーションプログラム」を実行するに際しては、それぞれを実行させるために必要となる前記テーブル形式の情報を「コンピュータシステム」の「システムメモリ」中にロードすることで、当該情報が参照されるようにして、
参照する前記テーブル形式の情報中の、「押下」された「選択スイッチ」に対応するデバイスドライバを選択して実行し、
前記参照する前記テーブル形式の情報中の、「押下」された「選択スイッチ」に対応する「アプリケーションプログラム」を選択して自動的に起動させ、
「CD-ROMドライブ、DVDドライブ」のうち、「押下」された「選択スイッチ」に対応する「ドライブ」を作動させ、「押下」していない「選択スイッチ」に対応する「ドライブ」は作動させない、
ことは当業者が容易に想到し得たものと認められる。

以上から、相違点1ないし相違点6は格別のものでない。

2.審判請求人の主張
審判請求人は、平成21年2月17日付けの意見書において、
a.「本願発明は、「該データ保存メディア中より該装置起動クラスター表を該システムメモリ中のランダムアクセス領域中に読み込み」を行うことにより、データ保存メディア(ハードディスク)に格納されていた装置起動クラスター表をシステムメモリ内に読み込むことで、装置起動クラスター表の参照時にシステムメモリより情報処理が遅いデータ保存メディア(ハードディスク)へのアクセスを必要とせず、情報処理をより速く実行することができます。
また、装置起動クラスター表読み込み後は、ハードディスクの電源を切っておくことができ、節電効果を得ることもできます。
引用文献1に記載の発明は、当該効果について言及する記載はありません。」、
と主張している。

また、審判請求人は、「請求の理由」として、
b.「引用文献1に記載の発明には、段落0029等の記載から理解されるとおり、「選択スイッチ141の押下の検出によって起動OSが選択される」点が開示されているに過ぎず、本願発明における「装置起動クラスター表」の存在について何らの示唆もない。」、
c.「本願発明においては、引用文献1のように、「装置起動クラスター表」は、CPU、コアチップ、BIOS又はそれらの組合せ等ではなく、HDDなどのデータ保存メディア中に格納され、適宜システムメモリ中のランダムアクセス領域中に読み込まれるものであることから、マルチメディア再生装置の構成変更に伴って「装置起動クラスター表」の変更が要求される場合であっても、「装置起動クラスター表」の編集は容易であり、変更作業に伴う、システム全体への悪影響を極力低減させることができる、という効果を奏する。
各引用文献には、上記本願発明が有する有利な効果について何ら教える記載はない。」と、それぞれ、主張している。

上記各主張について検討すると、
前記aの主張について、引用発明において、「前記押下された選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後」に、「前記コンピュータシステムを前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させるアプリケーションプログラム」を実行するために用いられる前記テーブルのデータを「磁気ディスク装置」から「システムメモリ」にロードすることは、前記「(2)各相違点についての判断」で述べたように、当業者であれば当然に行い得た事項であると認められる。
そして、「装置起動クラスター表読み込み後は、ハードディスクの電源を切っておくことができ」るとの効果は、本願の請求項1の記載に基づくものとは認められないが、上記のように、前記テーブル形式のデータを「磁気ディスク装置」から「システムメモリ」にロードするという構成から、当業者であれば当然に予期し得る構成であると認められる。

前記bの主張について、引用発明において、前記「第3.対比」の「d」の項で述べたとおり、引用発明の「コンピュータシステム」は、「複数の選択スイッチ」のそれぞれと各「選択スイッチ」の「用途」を対応付けるとともに、前記「複数の選択スイッチ」のそれぞれと「起動すべきオペレーティングシステム」を「対応付け」、前記「複数の選択スイッチ」のそれぞれに「動作させるアプリケーションプログラム」を「対応」させる情報を有していることは、明らかである。
したがって、前記bの主張は当を得ていない。

前記cの主張は、本願の請求項1に記載された「データ保存メディア」がハードディスク等であり、該「データ保存メディア」上のデータ「システムメモリ」に読み込むことを前提とする主張であるが、この点については引用発明も相違せず、この主張は当を得ていない。さらに、「マルチメディア再生装置」の構成変更に伴って「装置起動クラスター表」の変更を行う旨の記載は、本願の請求項1に記載されておらず、前記cの主張は、本願の特許請求の範囲に基づくものではない。
なお、引用発明において、「前記押下された選択スイッチに対応付けられたオペレーティングシステムの起動後」に、「前記コンピュータシステムを前記押下された選択スイッチに対応付けられた用途のシステムとして動作させるアプリケーションプログラム」を実行するために用いられる前記テーブルのデータを「磁気ディスク装置」から「システムメモリ」にロードすることは、前記「(2)各相違点についての判断」で述べたように、当業者であれば当然に行い得た事項であると認められるから、前記主張の効果は、引用発明から予期し得たものと認められる。

したがって、前記の各主張は、いずれも当を得ておらず、これらを採用することはできない。

3.小括
以上の通りであるから、相違点1ないし相違点6は、いずれも格別のものではない。そして、本願発明の効果も、引用発明から当業者が予期し得たものと認められる。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであると認められる。


第5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-04-25 
結審通知日 2011-04-26 
審決日 2011-05-11 
出願番号 特願2005-335771(P2005-335771)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北川 純次  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 石井 茂和
冨吉 伸弥
発明の名称 マルチメディア再生システムのクラスター化機能選択を迅速に起動する方法  
代理人 山口 朔生  

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