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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1243982
審判番号 不服2010-13495  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-21 
確定日 2011-09-22 
事件の表示 特願2009- 4204「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成21年11月12日出願公開、特開2009-261898〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯等
本願は,特許法41条に基づく優先権主張を伴う出願であって,その手続の経緯概要は以下のとおりである。
平成21年 1月13日 出願(優先日:平成20年3月31日)
平成21年 3月25日 拒絶理由通知
平成21年 4月14日 手続補正
平成21年 8月20日 拒絶理由通知
平成21年10月23日 手続補正
平成22年 3月18日 拒絶査定
平成22年 6月21日 拒絶査定不服審判請求,手続補正
平成22年10月19日 審尋
平成22年12月15日 回答書
平成23年 3月14日 拒絶理由通知
平成23年 5月12日 補正書

第2.補正後の本願発明
平成23年5月12日付け手続補正により,特許請求の範囲の請求項1は,
「遊技球が入球可能に設けられた第1始動口,および,遊技球の入球機会が予め設定された第1の態様もしくは所定条件の成立により前記第1の態様よりも遊技球の入球機会が増す第2の態様に制御される第2始動口と,
少なくとも,前記第2始動口が第2の態様よりも第1の態様に制御される時間が長く設定された非時短遊技状態,または,該非時短遊技状態よりも前記第2始動口が前記第2の態様に制御される時間が長く設定される遊技価値が付与された時短遊技状態にて遊技の進行を制御する制御手段と,を備え,
前記制御手段は,
前記第1始動口または第2始動口への前記遊技球の入球を契機に遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と,
該遊技データ抽選手段によって取得された遊技データに基づいて,遊技者に付与される遊技価値が対応付けられ,特別図柄変動表示手段において停止表示される特別図柄を決定する特別図柄決定手段と,
前記特別図柄変動表示手段において特別図柄の変動表示を開始するとともに,所定時間経過後に前記特別図柄決定手段によって決定された特別図柄を停止表示させることにより,特別図柄の変動表示を終了する特別図柄表示制御手段と,
前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第1始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第1保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第1変動表示保留手段と,
前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第2始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第2保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第2変動表示保留手段と,を備え,
前記特別図柄表示制御手段は,
前記第1変動表示保留手段に第1保留が記憶され,前記第2変動表示保留手段に第2保留が記憶されていない場合には,前記第1変動表示保留手段に記憶された第1保留の中でもっとも先に記憶された第1保留に基づいて決定された特別図柄の変動表示を開始し,
前記第2変動表示保留手段に第2保留が記憶されている場合には,前記第1変動表示保留手段に第1保留が記憶されているか否かにかかわらず,前記第2変動表示保留手段に記憶された第2保留の中でもっとも先に記憶された第2保留に基づいて決定された特別図柄の変動表示を開始する遊技機であって,
前記制御手段は,
前記時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたって,各特別図柄の変動表示中に所定の演出が連続的に実行される関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する第1事前判定手段と,
非時短遊技状態において,前記第1変動表示保留手段に新たに第1保留が記憶されたとき,当該第1変動表示保留手段に記憶されている他の第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第1保留を判定して決定する第2事前判定手段と,
非時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する第3事前判定手段と,
該事前判定手段によって前記関連演出を実行することが決定された特別図柄の変動表示中に前記関連演出を構成する所定の演出を実行する演出制御手段と,を備え,
前記非時短遊技状態において,前記第2事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率は,前記第3事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率よりも高く,
前記時短遊技状態において,前記関連演出は前記第2保留に基づいてなされる複数回の特別図柄の変動表示にわたってのみ実行されることを特徴とする遊技機。」(以下,「本願補正発明」という。)と補正された。

第3.優先権主張についての検討
本願は,平成20年3月31日に出願された特願2008-93676号(以下,「優先権基礎出願」という。)に記載された発明に基づいて優先権を主張をし,平成21年1月13日に出願したものである。
そして,本願補正発明のうち,「前記非時短遊技状態において,前記第2事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率は,前記第3事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率よりも高く,」との構成Aは,本願の願書に最初に添付された明細書(以下,「本願当初明細書」という。)の段落【0199】の記載に基づくもの(平成23年5月12日付け意見書2頁22?23行参照)であるが,優先権基礎出願の願書に最初に添付された明細書(以下,「基礎出願当初明細書」という。)には記載されていない。
また,本願補正発明のうち,「前記時短遊技状態において,前記関連演出は前記第2保留に基づいてなされる複数回の特別図柄の変動表示にわたってのみ実行される」との構成Bは,本願当初明細書の「第2実施形態」に基づくものであるが,基礎出願当初明細書には記載されていない。
そうすると,構成A及びBを含む本願補正発明は,基礎出願当初明細書に記載されたものとは認められないから,特許法29条の2の規定の適用については,本願は実際の出願日(平成21年1月13日)に出願されたものとする。

第4.先願発明

当審の拒絶の理由に引用された特願2008-294977号(平成20年11月18日出願,特開2010-119535号)の願書に最初に添付された明細書又は図面(「先願明細書等」という。)には,以下の事項が記載されている。

・【0006】
そのような遊技機において,大当りやリーチとなる変動の表示結果が導出表示される前に,大当りやリーチとなることを複数回の変動表示にわたって予告する連続予告演出を実行可能に構成したものがある(特許文献1参照)。例えば,特許文献1に記載された遊技機では,2つの可変表示装置を備えるように構成し,一方の可変表示装置における図柄の変動表示結果を大当りと決定した場合に,その大当りの変動表示結果を導出表示する前に,他方の可変表示装置において複数回のリーチを発生させることによって,大当りを予告する連続予告演出を実行することが記載されている。
・【0011】
本発明による遊技機は,第1始動条件の成立(例えば,第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの可変表示も実行されておらず,かつ大当り遊技状態でもないこと)にもとづいて,各々を識別可能な複数種類の第1の識別情報(例えば,第1特別図柄)の可変表示を行う第1可変表示手段(例えば,第1特別図柄表示器8a)と,第2始動条件の成立(例えば,第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの可変表示も実行されておらず,かつ大当り遊技状態でもないこと)にもとづいて,各々を識別可能な複数種類の第2の識別情報(例えば,第2特別図柄)の可変表示を行う第2可変表示手段(例えば,第2特別図柄表示器8b)とを備え,第1可変表示手段または第2可変表示手段に表示結果を導出することで遊技の結果を確定し,遊技の結果が特定遊技結果(例えば,大当り図柄)となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば,大当り遊技状態)に移行させる遊技機であって,第1始動条件の成立(例えば,第1始動入賞口13に始動入賞したこと)に
もとづいて,第1の識別情報の可変表示を行う権利(例えば,第1保留記憶)を記憶する第1保留記憶手段(例えば,第1保留記憶バッファ)と,第2始動条件の成立(例えば,第2始動入賞口14に始動入賞したこと)にもとづいて,第2の識別情報の可変表示を行う権利(例えば,第2保留記憶)を記憶する第2保留記憶手段(例えば,第2保留記憶バッファ)と,権利にもとづいて識別情報の可変表示の実行を開始するときに,遊技の結果を特定遊技結果とするか否かを決定する事前決定手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS61,S62,S73を実行する部分)と,特定遊技状態が終了した後に,第2始動条件の成立頻度および/または第2の識別情報の可変表示の実行頻度の高まる有利遊技状態(例えば,高ベース状態(確変状態や時短状態))に遊技状態を制御する有利遊技状態制御手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS167,S170,S171を実行する部分)と,少なくとも有利遊技状態において,第1保留記憶手段と第2保留記憶手段の双方に権利が記憶されているときに,第1の識別情報の可変表示よりも第2の識別情報の可変表示を優先して実行する可変表示制御手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560において,ステップS52で第2保留記憶数が0でなければステップS53を優先して実行して特別図柄ポインタに「第2」を示す値をセットし,ステップS55以降の処理を実行して第2特別図柄の変動表示を実行する部分)と,を備え,事前決定手段は,特定遊技状態として,所定量の遊技価値(例えば,ここで付与する遊技価値の量を異ならせるために,大当りのラウンド数,大入賞口への遊技球の入賞数(カウント数)の許容量,1ラウンドあたり大入賞口の開放時間を異ならせてもよい)を付与する(例えば,第1ラウンド数(例えば,2ラウンド)のラウンド制御を実行する)第1特定遊技状態(例えば,突然確変大当りとなったときに移行される大当り遊技状態),または第1特定遊技状態よりも多い量の遊技価値を付与する(例えば,第1ラウンド数(例えば,2ラウンド)より多い第2ラウンド数(例えば,15ラウンド)のラウンド制御を実行する)第2特定遊技状態(例えば,確変大当りや通常大当りとなったときに移行される大当り遊技状態)とするかを決定するとともに,第1始動条件の成立にもとづく場合には,第2始動条件の成立にもとづく場合と比較して,高い割合で特定遊技状態として第1特定遊技状態とすることに決定し(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560は,ステップS73において,図8(D)に示すように第1特別図柄の変動表示を行うときには40分の10の割合で突然確変大当りと決定するのに対して,図8(E)に示すように第2特別図柄の変動表示を行うときには40分の3の割合で突然確変大当りと決定する),遊技機は,さらに,第1始動条件が成立したときに,第1保留記憶手段に記憶される権利により行われる第1の識別情報の可変表示による遊技の結果が特定遊技結果となるか否かを判定する第1始動条件成立時判定手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS217Aを実行する部分)と,第2始動条件が成立したときに,第2保留記憶手段に記憶される権利により行われる第2の識別情報の可変表示による遊技の結果が特定遊技結果となるか否かを判定する第2始動条件成立時判定手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS217Bを実行する部分)と,第1保留記憶手段または第2保留記憶手段に1の権利が記憶された後,該1の権利により行われる可変表示が開始されるまでに,該1の権利についての第1始動条件成立時判定手段または第2始動条件成立時判定手段の判定結果にもとづいて,遊技機に設けられた所定の演出手段(例えば,演出表示装置9)を用いて該1の権利についての先読み予告(例えば,連続予告演出)を実行する演出制御手段(例えば,演出制御用マイクロコンピュータ100において,ステップS1802を実行して連続予告演出の有無および演出態様を決定してステップS1848を実行することによって,図46?図49に示す演出態様の連続予告演出を実行する部分)と,特定遊技状態において,第1始動条件成立時判定手段による判定の実行を制限する特定遊技状態中判定制限手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS216AでYと判定したときにステップS217Aに移行しないように制御する部分)と,有利遊技状態において,第1始動条件成立時判定手段による判定の実行を制限する有利遊技状態中判定制限手段(例えば,遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS215AでYと判定したときにステップS217Aに移行しないように制御する部分)と,を備えたことを特徴とする。
・【0015】
演出制御手段は,第1保留記憶手段または第2保留記憶手段に1の権利が記憶された後,該1の権利により行われる可変表示が開始されるまでの複数の識別情報の可変表示にわたって,先読み予告を実行し(例えば,演出制御用マイクロコンピュータ100は,ステップS1812で変動回数カウンタの値が0となってステップS1813を実行するまで,図46?図49に示すように複数回の変動表示にわたって連続予告演出を実行する),1の権利により行われる可変表示が開始されるまでの識別情報の可変表示結果として特殊表示結果(例えば,チャンス目図柄)を導出表示し,1の権利により行われる可変表示が開始されるまでの次の可変表示を開始するときに所定演出(例えば,演出表示装置9の表示画面の上方においてフラッシュが光るような態様の表示を行う演出)を実行する(例えば,演出制御用マイクロコンピュータ100は,図46(5)(8)に示すように,変動表示の終了時にチャンス目図柄を停止表示し,図46(6)(9)に示すように,変動表示の開始時に所定演出を実行する)ように構成されていてもよい。
・【0025】
遊技盤6における演出表示装置9の上部の左側には,識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施の形態では,第1特別図柄表示器8aは,0?9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち,第1特別図柄表示器8aは,0?9の数字(または,記号)を可変表示するように構成されている。遊技盤6における演出表示装置9の上部の右側には,識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは,0?9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち,第2特別図柄表示器8bは,0?9の数字(または,記号)を可変表示するように構成されている。
・【0030】
演出表示装置9の下方には,第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は,遊技盤6の背面に導かれ,第1始動口スイッチ13aによって検出される。
・【0031】
また,第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には,遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は,遊技盤6の背面に導かれ,第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は,ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって,遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり),遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では,第1始動入賞口13よりも,第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また,可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では,遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。なお,可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において,入賞はしづらいものの,入賞することは可能である(すなわち,遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
・【0040】
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると,普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では,上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ,例えば,可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして,普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に,可変入賞球装置15が所定回数,所定時間だけ開状態になる。すなわち,可変入賞球装置15の状態は,普通図柄の停止図柄が当り図柄である場合に,遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口14に遊技球が入賞可能な状態)に変化する。普通図柄表示器10の近傍には,ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示器(例えば,LED)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に,すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に,普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示器を1増やす。そして,普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に,点灯する表示器を1減らす。さらに,通常状態に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態では,普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに,可変入賞球装置15の開放時間が長くなり,かつ,開放回数が増加される。すなわち,遊技球が始動入賞しやすくなる(つまり,特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行する。また,この実施の形態では,時短状態(特別図柄の可変表示時間が短縮される遊技状態)においても,可変入賞球装置15の開放時間が長くなり,かつ,開放回数が増加される。
・【0153】
図15および図16は,主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には,CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように,特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において,CPU56は,第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ13aがオンしていたら,すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞が発生していたら,第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。また,CPU56は,第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ14aがオンしていたら,すなわち第2始動入賞口14への始動入賞が発生していたら,第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS313,S314)。そして,ステップS300?S310のうちのいずれかの処理を行う。第1始動入賞口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aがオンしていなければ,内部状態に応じて,ステップS300?S310のうちのいずれかの処理を行う。
・【0168】
第1保留記憶数が上限値に達していなければ,CPU56は,第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS212A)とともに,合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS213A)。次いで,CPU56は,乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し,それらを,第1保留記憶バッファ(図18参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS214A)。なお,ステップS214Aの処理では,ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され,保存領域に格納される。
・【0170】
次いで,CPU56は,遊技状態が時短状態(確変状態を含む)であることを示す時短フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS215A)。セットされていれば,そのままステップS218Aに移行する。時短フラグがセットされていなければ,CPU56は,特別図柄プロセスフラグの値が5以上であるか否かを確認する(ステップS216A)。特別図柄プロセスフラグの値が5以上であれば(すなわち,大当り遊技状態または小当り遊技状態であれば),CPU56は,そのままステップS218Aに移行する。
・【0171】
特別図柄プロセスフラグの値が5未満であれば,CPU56は,検出した始動入賞にもとづく変動がその後実行されたときの変動表示結果を始動入賞時にあらかじめ判定する入賞時演出処理を実行する(ステップS217A)。そして,CPU56は,第1保留記憶数カウンタの値にもとづいて第1保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行うとともに,入賞時演出処理の判定結果にもとづいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS218A)。
・【0172】
なお,ステップS215AまたはステップS216AでYと判定したことによりステップS217Aの入賞時演出処理を実行しなかった場合には,CPU56は,ステップS218Aにおいて,第1保留記憶数指定コマンドのみを送信する制御を行い,入賞時判定結果指定コマンドを送信する制御は行わない。なお,ステップS217Aの入賞時演出処理を実行しなかった場合に,入賞判定結果を特定不能であることを示す値をEXTデータとして設定した入賞時判定結果指定コマンドを送信するようにしてもよい。
・【0173】
なお,この実施の形態では,ステップS215Aの処理が実行されることによって,第1始動入賞口13への始動入賞があった場合には,遊技状態が通常状態である場合(確変状態でも時短状態でもない場合)にのみステップS217Aの入賞時演出処理が実行される。また,この実施の形態では,ステップS216Aの処理が実行されることによって,第1始動入賞口13への始動入賞があった場合には,大当り遊技状態や小当り遊技状態でない場合にのみステップS217Aの入賞時演出処理が実行される。なお,大当り遊技状態である場合にのみステップS217Aに移行しないようにし,小当り遊技状態である場合にはステップS217Aに移行して入賞時演出処理が実行されるようにしてもよい。
・【0175】
第2保留記憶数が上限値に達していなければ,CPU56は,第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS212B)とともに,合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS213B)。次いで,CPU56は,乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し,それらを,第2保留記憶バッファ(図18参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS214B)。なお,ステップS214Bの処理では,ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され,保存領域に格納される。
・【0176】
次いで,CPU56は,入賞時演出処理を実行する(ステップS217B)。そして,CPU56は,第2保留記憶数カウンタの値にもとづいて第2保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行うとともに,入賞時演出処理の判定結果にもとづいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS218B)。
・【0177】
図19は,ステップS217A,S217Bの入賞時演出処理を示すフローチャートである。入賞時演出処理では,CPU56は,まず,ステップS214A,S214Bで抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図8(A)の左欄に示す通常時の大当り判定値とを比較し,それらが一致するか否かを確認する(ステップS220)。この実施の形態では,特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで,後述する特別図柄通常処理において大当りや小当りとするか否か,大当り種別を決定したり,変動パターン設定処理において変動パターンを決定したりするのであるが,それとは別に,遊技球が第1始動入賞口13や第2始動入賞口14に始動入賞したタイミングで,その始動入賞にもとづく変動表示が開始される前に,入賞時演出処理を実行することによって,あらかじめいずれの変動パターン種別となるか否かを確認する。そのようにすることによって,演出図柄の変動表示が実行されるより前にあらかじめ変動パターン種別を予測し,後述するように,入賞時の判定結果にもとづいて,演出制御用マイクロコンピュータ100によって大当りやスーパーリーチとなることを予告する連続予告演出を実行する。
・【0188】
そして,CPU56は,判定した変動パターン種別を入賞時判定結果指定コマンドに設定する処理を行う(ステップS230)。例えば,第1始動入賞口13への始動入賞があった場合(図17(A)に示す第1始動口スイッチ通過処理で入賞時演出処理(ステップS217A参照)を実行する場合)には,ステップS229で「非リーチはずれ」と判定した場合には,MODEデータ「95(H)」で構成される入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに「00(H)」を設定する処理を行う。また,ステップS229で「スーパーリーチはずれ」と判定した場合には,MODEデータ「95(H)」で構成される入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに「01(H)」を設定する処理を行う。また,ステップS229で「スーパーリーチ大当り」と判定した場合には,MODEデータ「95(H)」で構成される入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに「02(H)」を設定する処理を行う。また,第2始動入賞口14への始動入賞があった場合(図17(B)に示す第2始動口スイッチ通過処理で入賞時演出処理(ステップS217B参照)を実行する場合)には,ステップS229で「非リーチはずれ」と判定した場合には,MODEデータ「95(H)」で構成される入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに「03(H)」を設定する処理を行う。また,ステップS229で「スーパーリーチはずれ」と判定した場合には,MODEデータ「95(H)」で構成される入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに「04(H)」を設定する処理を行う。また,ステップS229で「スーパーリーチ大当り」と判定した場合には,MODEデータ「95(H)」で構成される入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに「05(H)」を設定する処理を行う。その他,CPU56は,判定した変動パターン種別に応じた値を入賞時判定結果指定コマンドのEXTデータに設定する処理を行う。
・【0190】
合算保留記憶数が0でなければ,CPU56は,第1保留記憶数が0であるか否かを確認する(ステップS52)。具体的には,第1保留記憶数カウンタの値が0であるか否かを確認する。第2保留記憶数が0でなければ,CPU56は,特別図柄ポインタ(第1特別図柄について特別図柄プロセス処理を行っているのか第2特別図柄について特別図柄プロセス処理を行っているのかを示すフラグ)に「第2」を示すデータを設定する(ステップS53)。第2保留記憶数が0であれば(すなわち,第1保留記憶数のみが溜まっている場合)には,CPU66は,特別図柄ポインタに「第1」を示すデータを設定する(ステップS54)。
・【0191】
この実施の形態では,ステップS52?S54の処理が実行されることによって,第1特別図柄の変動表示に対して,第2特別図柄の変動表示が優先して実行される。
・【0192】
次いで,CPU56は,RAM55において,特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する(ステップS55)。具体的には,CPU56は,特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には,第1保留記憶数バッファにおける第1保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する。また,CPU56は,特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には,第2保留記憶数バッファにおける第2保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納する。
・【0193】
そして,CPU56は,特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し,かつ,各保存領域の内容をシフトする(ステップS56)。具体的には,CPU56は,特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には,第1保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し,かつ,第1保留記憶数バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。また,特別図柄ポインタが「第2」を示している場合に,第2保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し,かつ,第2保留記憶数バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。
・【0195】
よって,各第1保留記憶数(または,各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は,常に,第1保留記憶数(または,第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。
・【0199】
次いで,CPU56は,乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読み出し,大当り判定モジュールを実行する。なお,この場合,CPU56は,第1始動口スイッチ通過処理のステップS214Aや第2始動口スイッチ通過処理のステップS214Bで抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し,大当り判定を行う。大当り判定モジュールは,あらかじめ決められている大当り判定値や小当り判定値(図8参照)と大当り判定用乱数とを比較し,それらが一致したら大当りや小当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち,大当り判定や小当り判定の処理を実行するプログラムである。
・【0205】
次いで,CPU56は,選択した大当り種別判定テーブルを用いて,乱数バッファ領域に格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」,「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定する(ステップS73)。なお,この場合,CPU56は,第1始動口スイッチ通過処理のステップS214Aや第2始動口スイッチ通過処理のステップS214Bで抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り種別判定用乱数を読み出し,大当り種別の決定を行う。
・【0207】
次いで,CPU56は,特別図柄の停止図柄を決定する(ステップS75)。具体的には,大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもセットされていない場合には,はずれ図柄となる「-」を特別図柄の停止図柄に決定する。大当りフラグがセットされている場合には,大当り種別の決定結果に応じて,大当り図柄となる「1」,「3」,「7」のいずれかを特別図柄の停止図柄に決定する。すなわち,大当り種別を「突然確変大当り」に決定した場合には「1」を特別図柄の停止図柄に決定し,「通常大当り」に決定した場合には「3」を特別図柄の停止図柄に決定し,「確変大当り」に決定した場合には「7」を特別図柄の停止図柄に決定する。また,小当りフラグがセットされている場合には,小当り図柄となる「5」を特別図柄の停止図柄に決定する。
・【0219】
また,特別図柄の変動を開始する(ステップS107)。例えば,ステップS33の特別図柄表示制御処理で参照される特別図柄に対応した開始フラグをセットする。また,RAM55に形成されている変動時間タイマに,選択された変動パターンに対応した変動時間に応じた値を設定する(ステップS108)。そして,特別図柄プロセスフラグの値を表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302)に対応した値に更新する(ステップS109)。
・【0225】
図24は,特別図柄プロセス処理における特別図柄変動中処理(ステップS303)を
示すフローチャートである。特別図柄変動中処理において,CPU56は,変動時間タイマを1減算し(ステップS125),変動時間タイマがタイムアウトしたら(ステップS126),特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄停止処理(ステップS304)に対応した値に更新する(ステップS127)。変動時間タイマがタイムアウトしていない場合には,そのまま処理を終了する。
・【0226】
図25は,特別図柄プロセス処理における特別図柄停止処理(ステップS304)を示すフローチャートである。特別図柄停止処理において,CPU56は,ステップS32の特別図柄表示制御処理で参照される終了フラグをセットして特別図柄の変動を終了させ,第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bに停止図柄を導出表示する制御を行う(ステップS131)。なお,特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されている場合には第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動を終了させ,特別図柄ポインタに「第2」を示すデータが設定されている場合には第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動を終了させる。また,演出制御用マイクロコンピュータ100に図柄確定指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS132)。そして,大当りフラグがセットされていない場合には,ステップS140に移行する(ステップS133)。
・【0232】
大当り終了表示時間を経過していれば(ステップS165のY),CPU56は,大当りの種別が確変大当りまたは突然確変大当りであるか否かを確認する(ステップS166)。なお,確変大当りまたは突然確変大当りであるか否かは,具体的には,特別図柄通常処理のステップS74で大当り種別バッファに設定されたデータが「02」?「03」であるか否かを確認することによって判定できる。確変大当りおよび突然確変大当りのいずれでもなければ(すなわち,通常大当りであれば),CPU56は,時短フラグをセットして遊技状態を時短状態に移行させる(ステップS167)。また,CPU56は,時短回数をカウントするための時短回数カウンタに所定回数(例えば100回)をセットする(ステップS168)。また,CPU56は,時短状態指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS169)。そして,ステップS173に移行する。
・【0283】
現在の遊技状態が通常状態であると判定した場合には,演出制御用CPU101は,図37(A)に示す通常状態時の連続予告振分テーブルを用いて,いずれの入賞時判定結果フラグがセットされているかにもとづいて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定する。例えば,入賞時判定結果1フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図37(A)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」または「モード移行」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果2フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図37(A)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」,「モード移行」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果3フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図37(A)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」,「モード移行」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果4フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図37(A)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果5フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図37(A)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果6フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図37(A)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。
・【0285】
現在の遊技状態が確変状態であると判定した場合には,演出制御用CPU101は,図37(B)に示す確変状態時の連続予告振分テーブルを用いて,いずれの入賞時判定結果フラグがセットされているかにもとづいて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定する。例えば,入賞時判定結果1フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図37(B)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果2フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図37(B)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果3フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図37(B)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果4フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図37(B)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果5フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図37(B)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果6フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図37(B)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。
・【0286】
現在の遊技状態が時短状態であると判定した場合には,演出制御用CPU101は,図37(C),図38(D)または図38(E)に示す時短状態時の連続予告振分テーブルを用いて,いずれの入賞時判定結果フラグがセットされているかにもとづいて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定する。この場合,演出制御用CPU101は,時短回数保存領域に保存されている時短状態の残り回数(ステップS664参照)にもとづいて,時短状態に移行して何回目の変動を実行する場合であるかを特定する。そして,演出制御用CPU101は,時短状態に移行後1回目?91回目の変動を実行する場合には,図37(C)に示す連続予告振分テーブルを選択する。また,演出制御用CPU101は,時短状態に移行後92回目?100回目の変動を実行する場合には,図38(D)に示す連続予告振分テーブルを選択する。また,演出制御用CPU101は,時短状態に移行後101回目?108回目の変動を実行する場合には,図38(E)に示す連続予告振分テーブルを選択する。
・【0287】
時短状態に移行後1回目?91回目の変動を実行すると判定した場合には,演出制御用CPU101は,例えば,入賞時判定結果1フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図37(C)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果2フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図37(C)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果3フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図37(C)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果4フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図37(C)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果5フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図37(C)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果6フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図37(C)に示すように,「図柄変動時の変動形態の変化」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。
・【0288】
時短状態に移行後92回目?100回目の変動を実行すると判定した場合には,演出制御用CPU101は,例えば,入賞時判定結果1フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図38(D)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果2フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図38(D)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果3フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図38(D)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果4フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図38(D)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果5フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図38(D)に示すように,「保留球変化」の演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果6フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図38(D)に示すように,「保留球変化」の演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。
・【0289】
時短状態に移行後92回目?100回目の変動を実行すると判定した場合には,演出制御用CPU101は,例えば,入賞時判定結果1フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図38(E)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果2フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図38(E)に示すように,「保留球変化」の演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果3フラグがセットされている場合(すなわち,第1始動入賞口13への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図38(E)に示すように,「保留球変化」の演出態様の連続予告演出を実行することに決定する。また,例えば,入賞時判定結果4フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時に非リーチはずれと判定された場合)には,図38(E)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果5フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチはずれと判定された場合)には,図38(E)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。また,例えば,入賞時判定結果6フラグがセットされている場合(すなわち,第2始動入賞口14への始動入賞時にスーパーリーチ大当りと判定された場合)には,図38(E)に示すように,いずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく,連続予告を実行しないことに決定する。
・【0290】
次いで,演出制御用CPU101は,ステップS1802で連続予告演出を実行することに決定した場合には(ステップS1803のY),現在の保留記憶数を変動回数カウンタにセットする(ステップS1804)。この場合,演出制御用CPU101は,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果3フラグのいずれかがセットされている場合には,第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数(ステップS652参照)を変動回数カウンタにセットする。また,入賞時判定結果4フラグ?入賞時判定結果6フラグのいずれかがセットされている場合には,第2保留記憶数保存領域に格納されている第2保留記憶数(ステップS655参照)を変動回数カウンタにセットする。なお,変動回数カウンタは,入賞時判定結果指定コマンドで指定された入賞時判定結果の判定対象となった変動表示が開始されるまでに実行される変動表示の回数をカウントするためのカウンタである。
・【0297】
次いで,演出制御用CPU101は,セットされていれば,変動回数カウンタの値を1減算する(ステップS1811)。また,演出制御用CPU101は,減算後の変動回数カウンタの値が0であるか否かを確認する(ステップS1812)。そして,変動回数カウンタの値が0になっていれば,演出制御用CPU101は,セットされている連続予告実行中フラグ(第1連続予告実行中フラグまたは第2連続予告実行中フラグ)をリセットする(ステップS1813)。そのような処理が実行されることによって,この実施の形態では,入賞時判定の対象となった変動が開始される1つ前の変動表示まで連続予告演出が実行されて,その入賞時判定の対象となった変動表示の開始時に連続予告実行中フラグがリセットされる(その入賞時判定の対象となった変動表示中には連続予告演出は行われない)。なお,その入賞時判定の対象となった変動表示中においても,連続予告演出を実行するようにしてもよい。
・【0308】
(3)高確率状態(確変状態),時短状態,または突然確変大当りによる高確率状態である場合には,第1始動入賞口13に始動入賞したことに対する入賞時判定の入賞時判定結果指定コマンドが送信されないように制御する(ステップS215A参照)。
・【0309】
(4)時短状態の移行後に92回目から108回目までの変動を行う場合には,時短状態の終了まで残り少なく,時短状態から通常状態に移行したタイミングによって入賞時判定の際の遊技状態と実際の変動時の遊技状態とが不一致となる可能性がある。そのため,同じ時短状態であっても,92回目から108回目までの変動を行う場合には,1回目から91回目までの変動を行う場合とは異なる連続予告振分テーブルを用いることによって,「保留球変化」の連続予告演出のみが実行されるように制御する(図38参照)。
・【0379】
また,この実施の形態では,遊技状態が通常状態(低ベース状態)である場合には可変入賞球装置15が開放状態となる頻度が極めて低く,遊技状態が確変状態や時短状態(高ベース状態)である場合には可変入賞球装置が開放状態となる頻度が高められる。そのため,遊技状態が通常状態である場合には,第2始動入賞口14に遊技球が始動入賞することは希であり,主として第1特別図柄の変動表示が連続して実行される。また,遊技状態が確変状態や時短状態である場合には,第2始動入賞口14に遊技球が始動入賞する頻度が高くなるとともに,第2特別図柄の変動表示が優先実行されることから,主として第2特別図柄の変動表示が連続して実行される。しかし,遊技状態が通常状態である場合であっても,低い頻度であるものの第2始動入賞口14に遊技球が始動入賞し,第2特別図柄の変動表示が実行される場合がある。この場合,第1始動入賞口13への始動入賞に対する入賞時判定結果にもとづいて連続予告演出を実行している途中に第2始動入賞口14への始動入賞があると,連続予告演出の途中で第2特別図柄の変動表示が割り込んでくることになる。そこで,この実施の形態では,連続予告演出の途中で第2特別図柄の変動表示が割り込む場合には連続予告演出を中断するように制御する。

以上を含む全記載及び図示によれば,先願明細書等には次の発明が記載されていると認められる。
「遊技球が入賞可能に設けられた第1始動入賞口13,および,可変入賞球装置15が閉状態となっている状態では遊技球が入賞せず,普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である場合に開状態となって遊技球が入賞しやすい第2始動入賞口14を備え,
有利遊技状態(例えば,高ベース状態(確変状態や時短状態))では,普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに可変入賞球装置15の開放時間が長くなるように遊技状態を制御し,
CPU56は,
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことが検出されると,乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから,ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を抽出し,第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファの保存領域に格納し,
乱数バッファ領域に格納されたランダムR(大当り判定用乱数)を読み出して大当り判定を行い,乱数バッファ領域に格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」,「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定するとともに,第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて表示される特別図柄の停止図柄を決定し,
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄の変動を開始させ,変動時間タイマがタイムアウトしたら,決定された特別図柄の停止図柄を表示させることにより,特別図柄の変動を終了させ,
第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことにもとづいて,当該入賞を契機として抽出されたハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第1保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶する第1保留記憶手段を備え,
第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことにもとづいて,当該入賞を契機として抽出されたハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第2保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶する第2保留記憶手段を備え,
第1特別図柄の変動表示に対して,第2特別図柄の変動表示を優先して実行するとともに,特別図柄プロセス処理を行っている保留記憶を示すデータを特別図柄ポインタに設定し,
特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納し,特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し,かつ,各保存領域の内容をシフトすることにより,各第1保留記憶数(または,各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は,常に,第1保留記憶数(または,第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようにし,
第1始動入賞口13への始動入賞があった場合には,遊技状態が通常状態である場合(確変状態でも時短状態でもない場合)にのみ入賞時演出処理の判定結果に基づいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行い,
第2始動入賞口14への始動入賞があった場合には,入賞時演出処理の判定結果に基づいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行い,
演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101は,
新たに第1保留記憶又は第2保留記憶が記憶された時に送信された入賞時判定結果指定コマンドを受信したとき,当該コマンドに対応した入賞時判定結果1?3フラグ(第1始動入賞口13への始動入賞に基づく場合),入賞時判定結果4?6フラグ(第2始動入賞口14への始動入賞に基づく場合)をセットし,
現在の遊技状態が確変状態または時短状態であると判定した場合には,連続予告振分テーブル(確変状態時)または連続予告振分テーブル(時短状態時1回目?91回目まで),連続予告振分テーブル(時短状態時92回目?100回目まで)連続予告振分テーブル(時短状態時101回目?108回目まで)を用いて,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果6フラグがセットされているかにもとづいて,大当りやリーチとなることを複数回の変動表示にわたって予告する連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定し,
現在の遊技状態が通常状態であると判定した場合には,第2特別図柄に関しては連続予告演出に対する割り振りがない連続予告振分テーブル(通常状態時)を用いて,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果6フラグがセットされているかにもとづいて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定し,
連続予告演出を実行することに決定した場合には,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果3フラグのいずれかがセットされている場合には,第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数を変動回数カウンタにセットし,入賞時判定結果4フラグ?入賞時判定結果6フラグのいずれかがセットされている場合には,第2保留記憶数保存領域に格納されている第2保留記憶数を変動回数カウンタにセットし,大当りやリーチとなることを複数回の変動表示にわたって予告する連続予告演出を実行する,
遊技機。」(以下,「先願発明」という。)

第5.対比判断
本願補正発明と先願発明を対比する。
先願発明の「入賞」は本願補正発明の「入球」に相当し,以下同様に「第1始動入賞口13」は「第1始動口」に,「第2始動入賞口14」は「第2始動口」に,「ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)」は「遊技データ」に,「種別(「通常大当り」,「確変大当り」または「突然確変大当り」)」は「遊技者に付与される遊技価値」に,「第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8b」は「特別図柄変動表示手段」に,「変動時間タイマがタイムアウトしたら」は「所定時間経過後に」に,「第1保留記憶」は「第1保留」に,「第1保留記憶手段」は「第1変動表示保留手段」に,「第2保留記憶」は「第2保留」に,「第2保留記憶手段」は「第2変動表示保留手段」に,「大当りやリーチとなることを複数回の変動表示にわたって予告する連続予告演出」は「各特別図柄の変動表示中に所定の演出が連続的に実行される関連演出」に,それぞれ相当する。

そして,先願発明について,以下のことがいえる。
(1)「遊技球が入賞可能に設けられた第1始動入賞口13,および,可変入賞球装置15が閉状態となっている状態では遊技球が入賞せず,普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である場合に開状態となって遊技球が入賞しやすい第2始動入賞口14を備え」について

第2始動入賞口14において,「可変入賞球装置15が閉状態となっている状態」を「第1の態様」,「開状態」を「第2の態様」ということができる。
そして,「可変入賞球装置15が閉状態となっている状態」では入球機会(遊技球の入賞するチャンス)は予め決まった所定のもの(遊技球が入賞しないからそのチャンスは0)となっているということができるから,その状態は「遊技球の入球機会が予め設定された第1の態様」ということができる。そして,「普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄である場合」は「所定の条件の成立」ということができ,閉状態では遊技球が入賞せず開状態では閉状態に比べて遊技球が入賞しやすいから,開状態は「所定条件の成立により前記第1の態様よりも遊技球の入球機会が増す第2の態様に制御される第2始動口」に相当する。
そうすると,先願発明は,本願補正発明の「遊技球が入球可能に設けられた第1始動口,および,遊技球の入球機会が予め設定された第1の態様もしくは所定条件の成立により前記第1の態様よりも遊技球の入球機会が増す第2の態様に制御される第2始動口」に相当する構成を実質的に具備している。

(2)「有利遊技状態(例えば,高ベース状態(確変状態や時短状態))では,普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに可変入賞球装置15の開放時間が長くなるように遊技状態を制御し」について

本願の明細書には,遊技状態として,「確変遊技状態」「時短遊技状態」「特別遊技状態」等の記載があるが,本願補正発明(特許請求の範囲)の「時短遊技状態」が「確変遊技状態」を含む概念であるか必ずしも明確でないため,先ず,本願補正発明の「時短遊技状態」の技術的意義について検討する。本願補正発明の基礎となった「第2実施形態」をみると,段落【0160】には「まず,時短遊技状態になっているとき(大当りの当選確率が高確率であるか低確率であるかを問わない)」と記載されており,「確変遊技状態」であっても可動片129aの開放時間が長く設定されるものであれば「時短遊技状態」に含まれるものと解される。
そして,先願発明の「確変状態」は,先願明細書等の段落【0040】に「確変状態では,・・可変入賞球装置15の開放時間が長くなり」と記載されているように,可変始動口の開放時間が長く設定されるものである。
そうすると,先願発明の「有利遊技状態」,「確変状態」と「時短状態」は本願補正発明の「時短遊技状態」に相当し,先願発明における「確変状態」と「時短状態」以外の状態である「通常状態」は本願補正発明の「非時短遊技状態」に相当する。そして,先願発明において,「通常状態」では「可変入賞球装置15の開放時間が長くなるように」されていないから「第2始動口が第2の態様よりも第1の態様に制御される時間が長く設定された」ものといえ,このような遊技状態の制御は遊技の進行を制御をする制御手段が行うことは自明であるから,先願発明は本願補正発明の「少なくとも,前記第2始動口が第2の態様よりも第1の態様に制御される時間が長く設定された非時短遊技状態,または,該非時短遊技状態よりも前記第2始動口が前記第2の態様に制御される時間が長く設定される遊技価値が付与された時短遊技状態にて遊技の進行を制御する制御手段と,を備え」に相当する構成を実質的に具備している。

(3)「CPU56は,
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことが検出されると,乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから,ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を抽出し,第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファの保存領域に格納し,
乱数バッファ領域に格納されたランダムR(大当り判定用乱数)を読み出して大当り判定を行い,乱数バッファ領域に格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」,「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定するとともに,第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて表示される特別図柄の停止図柄を決定し,
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄の変動を開始させ,変動時間タイマがタイムアウトしたら,決定された特別図柄の停止図柄を表示させることにより,特別図柄の変動を終了させ,
第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことにもとづいて,当該入賞を契機として抽出されたハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第1保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶する第1保留記憶手段を備え,
第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことにもとづいて,当該入賞を契機として抽出されたハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第2保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶する第2保留記憶手段を備え」について

ア.「CPU56」及び後述する「演出制御用CPU101」は遊技機の遊技の進行を制御するものであることは明らかであり,あわせて本願補正発明の「制御手段」に相当する。したがって,「CPU56」が有する機能,手段は,「制御手段」が有する機能,手段である。

イ.「第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことが検出され」た時に「ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を抽出」することは,「第1始動口または第2始動口への遊技球の入球を契機に遊技データを抽選により取得する」といいかえることができ,そのような機能を実行する手段としての「遊技データ抽選手段」を「CPU56」が備えることは自明である。

ウ.「乱数バッファ領域に格納されたランダムR(大当り判定用乱数)を読み出して大当り判定を行い,乱数バッファ領域に格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」,「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定する」ことは,「遊技データ抽選手段によって取得された遊技データに基づいて,遊技者に付与される遊技価値が対応付けられ」といいかえることができ,「第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて表示される特別図柄の停止図柄を決定」することは,「特別図柄変動表示手段において停止表示される特別図柄を決定する」といいかえることができ,そのような機能を実行する手段としての「特別図柄決定手段」を「CPU56」が備えることは自明である。

エ.「変動時間タイマがタイムアウト」とすることは「所定時間が経過する」ことであるから,「第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄の変動を開始させ,変動時間タイマがタイムアウトしたら,決定された特別図柄の停止図柄を表示させることにより,特別図柄の変動を終了させ,」は,「特別図柄変動表示手段において特別図柄の変動表示を開始するとともに,所定時間経過後に前記特別図柄決定手段によって決定された特別図柄を停止表示させることにより,特別図柄の変動表示を終了する」といいかえることができ,そのような機能を実行する手段としての「特別図柄表示制御手段」を「CPU56」が備えることは自明である。

オ.第1始動入賞口13に遊技球が入賞した場合,第1保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶が行われるが,当該記憶は第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄の変動が実行されている場合においても行われることは自明であるから,「第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことにもとづいて,当該入賞を契機として抽出されたハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第1保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶する第1保留記憶手段」は,本願補正発明の「前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第1始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第1保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第1変動表示保留手段」に相当する。

カ.第2始動入賞口14に遊技球が入賞した場合,第2保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶が行われるが,当該記憶は第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおいて特別図柄の変動が実行されている場合においても行われることは自明であるから,「第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことにもとづいて,当該入賞を契機として抽出されたハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や,ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1),変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第1保留記憶として記憶して特別図柄の変動表示の権利として記憶する第2保留記憶手段」は,本願補正発明の「前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第2始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第2保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第2変動表示保留手段」に相当する。

キ.以上ア?カによれば,先願発明は,本願補正発明の「前記制御手段は,前記第1始動口または第2始動口への前記遊技球の入球を契機に遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と,該遊技データ抽選手段によって取得された遊技データに基づいて,遊技者に付与される遊技価値が対応付けられ,特別図柄変動表示手段において停止表示される特別図柄を決定する特別図柄決定手段と,前記特別図柄変動表示手段において特別図柄の変動表示を開始するとともに,所定時間経過後に前記特別図柄決定手段によって決定された特別図柄を停止表示させることにより,特別図柄の変動表示を終了する特別図柄表示制御手段と,前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第1始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第1保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第1変動表示保留手段と,
前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第2始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第2保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第2変動表示保留手段と,を備え」に相当する構成を実質的に具備している。

(4)「第1特別図柄の変動表示に対して,第2特別図柄の変動表示を優先して実行するとともに,特別図柄プロセス処理を行っている保留記憶を示すデータを特別図柄ポインタに設定し,
特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納し,特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し,かつ,各保存領域の内容をシフトすることにより,各第1保留記憶数(または,各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は,常に,第1保留記憶数(または,第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようにし」について

特別図柄プロセス処理を行っている第1保留記憶手段または第2保留記憶手段における保留記憶数=1に対応する保存領域(最も先に記憶されたもの)に格納されている各乱数値を読み出してRAM55の乱数バッファ領域に格納し,それに基づき特別図柄の変動を開始させるものであるから,第1保留記憶手段に限ってみると常に最も先に記憶された保存領域の記憶に基いて特別図柄の変動が開始されるとともに,第2保留記憶手段に限ってみると常に最も先に記憶された保存領域の記憶に基いて特別図柄の変動が開始されるものである。また,「第1特別図柄の変動表示に対して,第2特別図柄の変動表示を優先して実行する」ものであるから,第2保留記憶手段に基づく特別図柄の変動の開始は,第1保留記憶手段に記憶が存在するか否かに関係なく実行されるものであり,第1保留記憶手段に基づく特別図柄の変動の開始は,第2保留記憶に記憶が存在しない場合に実行されるものである。そして,このような特別図柄の変動に関する制御は「特別図柄表示制御手段」が実行することは明らかである。
そうすると,先願発明は,本願補正発明の「前記特別図柄表示制御手段は,前記第1変動表示保留手段に第1保留が記憶され,前記第2変動表示保留手段に第2保留が記憶されていない場合には,前記第1変動表示保留手段に記憶された第1保留の中でもっとも先に記憶された第1保留に基づいて決定された特別図柄の変動表示を開始し,前記第2変動表示保留手段に第2保留が記憶されている場合には,前記第1変動表示保留手段に第1保留が記憶されているか否かにかかわらず,前記第2変動表示保留手段に記憶された第2保留の中でもっとも先に記憶された第2保留に基づいて決定された特別図柄の変動表示を開始する」に相当する構成を実質的に具備している。

(5)「第1始動入賞口13への始動入賞があった場合には,遊技状態が通常状態である場合(確変状態でも時短状態でもない場合)にのみ入賞時演出処理の判定結果に基づいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行い,
第2始動入賞口14への始動入賞があった場合には,入賞時演出処理の判定結果に基づいて入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行い,
演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101は,
新たに第1保留記憶又は第2保留記憶が記憶された時に送信された入賞時判定結果指定コマンドを受信したとき,当該コマンドに対応した入賞時判定結果1?3フラグ(第1始動入賞口13への始動入賞に基づく場合),入賞時判定結果4?6フラグ(第2始動入賞口14への始動入賞に基づく場合)をセットし,
現在の遊技状態が確変状態または時短状態であると判定した場合には,連続予告振分テーブル(確変状態時)または連続予告振分テーブル(時短状態時1回目?91回目まで),連続予告振分テーブル(時短状態時92回目?100回目まで)連続予告振分テーブル(時短状態時101回目?108回目まで)を用いて,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果6フラグがセットされているかにもとづいて,大当りやリーチとなることを複数回の変動表示にわたって予告する連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定し,
現在の遊技状態が通常状態であると判定した場合には,第2特別図柄に関しては連続予告演出に対する割り振りがない連続予告振分テーブル(通常状態時)を用いて,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果6フラグがセットされているかにもとづいて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定し,
連続予告演出を実行することに決定した場合には,入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果3フラグのいずれかがセットされている場合には,第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数を変動回数カウンタにセットし,入賞時判定結果4フラグ?入賞時判定結果6フラグのいずれかがセットされている場合には,第2保留記憶数保存領域に格納されている第2保留記憶数を変動回数カウンタにセットし,大当りやリーチとなることを複数回の変動表示にわたって予告する連続予告演出を実行する」について

ア.第1始動入賞口13への始動入賞があった場合には,遊技状態が通常状態である場合(確変状態でも時短状態でもない場合)にのみ入賞時判定結果指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信するものであるから,第1始動入賞口13への始動入賞があっても確変状態または時短状態であれば入賞時判定結果指定コマンドは演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されないものである。また,第2始動入賞口14への始動入賞があった場合には,遊技状態に係わらず入賞時判定結果指定コマンドは演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されるものである。

イ.連続予告演出を実行することが第1保留記憶に基づき決定された(入賞時判定結果1フラグ?入賞時判定結果3フラグのいずれかがセットされている)場合には,第1保留記憶数保存領域に格納されている第1保留記憶数を変動回数カウンタにセットして連続予告演出が実行されるから,この場合の「連続予告演出」は本願補正発明の「当該第1変動表示保留手段に記憶されている他の第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出」に相当する。
また,連続予告演出を実行することが第2保留記憶に基づき決定された(入賞時判定結果4フラグ?入賞時判定結果6フラグのいずれかがセットされている)場合には,第2保留記憶数保存領域に格納されている第2保留記憶数を変動回数カウンタにセットして連続予告演出が実行されるから,この場合の「連続予告演出」は本願補正発明の「当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたって,各特別図柄の変動表示中に所定の演出が連続的に実行される関連演出」及び「当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出」に相当する。

ウ.第2保留記憶手段に新たに第2保留記憶が記憶されたとき,演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101は,受信した入賞時判定結果指定コマンドに対応した入賞時判定結果4?6フラグをセットし,その時の遊技状態が確変状態または時短状態であると判定した場合には,連続予告振分テーブル(確変状態時)または連続予告振分テーブル(時短状態時1回目?91回目まで),連続予告振分テーブル(時短状態時92回目?100回目まで)連続予告振分テーブル(時短状態時101回目?108回目まで)を用いて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定するものであり,これは本願補正発明の「時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたって,各特別図柄の変動表示中に所定の演出が連続的に実行される関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する」に相当する。
そして,「時短遊技状態において」「関連演出」の実行の可否を「新たに保留された第2保留を判定して決定する」機能を実行する手段としての「第1事前判定手段」を演出制御用CPU101が備えることは自明である。

エ.第1保留記憶手段に新たに第1保留記憶が記憶されたとき,演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101は,受信した入賞時判定結果指定コマンドに対応した入賞時判定結果1?3フラグをセットし,その時の遊技状態が通常状態であると判定した場合には,連続予告振分テーブル(通常状態時)を用いて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定するものであり,これは本願補正発明の「非時短遊技状態において,前記第1変動表示保留手段に新たに第1保留が記憶されたとき,当該第1変動表示保留手段に記憶されている他の第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第1保留を判定して決定する」に相当する。
そして,「非時短遊技状態において」「関連演出」の実行の可否を「新たに保留された第1保留を判定して決定する」機能を実行する手段としての「第2事前判定手段」を演出制御用CPU101が備えることは自明である。

オ.第2保留記憶手段に新たに第2保留記憶が記憶されたとき,演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御用CPU101は,受信した入賞時判定結果指定コマンドに対応した入賞時判定結果4?6フラグをセットし,その時の遊技状態が通常状態であると判定した場合には,連続予告振分テーブル(通常状態時)を用いて,連続予告演出の実行の有無および連続予告演出の演出態様を決定するものであり,これは本願補正発明の「非時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する」に相当する。
そして,「非時短遊技状態において」「関連演出」の実行の可否を「新たに保留された第2保留を判定して決定する」機能を実行する手段としての「第3事前判定手段」を演出制御用CPU101が備えることは自明である。

カ.連続予告演出を実行することが決定された場合には,変動回数カウンタにセットされた回数の変動表示にわたって,大当りやリーチとなることを予告する連続予告演出を実行するが,これは本願補正発明の「該事前判定手段によって前記関連演出を実行することが決定された特別図柄の変動表示中に前記関連演出を構成する所定の演出を実行する」に相当する。
そして,「演出を実行する」機能を実行する手段としての「演出制御手段」を演出制御用CPU101が備えることは自明である。

キ.上記第1?3事前判定手段及び演出制御手段を備えた演出制御用CPU101は,(3)アで前述したとおり,「演出制御用CPU101」及び「CPU56」は遊技機の遊技の進行を制御するものであることは明らかであり,あわせて本願補正発明の「制御手段」に相当する。したがって,「演出制御用CPU101」が有する機能,手段は,「制御手段」が有する機能,手段である。
以上ア?キを総合すると,先願発明は,本願補正発明の
「前記制御手段は,
前記時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたって,各特別図柄の変動表示中に所定の演出が連続的に実行される関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する第1事前判定手段と,
非時短遊技状態において,前記第1変動表示保留手段に新たに第1保留が記憶されたとき,当該第1変動表示保留手段に記憶されている他の第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第1保留を判定して決定する第2事前判定手段と,
非時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する第3事前判定手段と,
該事前判定手段によって前記関連演出を実行することが決定された特別図柄の変動表示中に前記関連演出を構成する所定の演出を実行する演出制御手段と,を備え」に相当する構成を実質的に具備する。

ク.通常状態において連続予告演出の決定に用いられる連続予告振分テーブル(通常状態時)(【図37】(A)参照)において,第1保留記憶が記憶された時には「図柄変動時の変動形態の変化」,「モード移行」,「カウントダウン」または「保留球変化」のいずれかの演出態様の連続予告演出を実行することが決定されるが,第2保留記憶が記憶された時にはいずれの演出態様の連続予告演出に対しても割り振りがなく連続予告演出を実行しないことが決定される。すなわち,通常状態においては,第2保留記憶が記憶された時に連続予告演出を実行すると決定する確率は0であるのに対し,第1保留記憶が記憶された時に連続予告演出を実行すると決定する確率は不明であるが,何らかの確率で決定されると解される。したがって,通常状態において,第1保留記憶が記憶された時に連続予告演出を実行すると決定する確率は第2保留記憶が記憶された時に連続予告演出を実行すると決定する確率よりも高くされているということができる。
そうすると,引用発明は,本願補正発明の「非時短遊技状態において,前記第2事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率は,前記第3事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率よりも高く」に相当する構成を実質的に具備する。

ケ.上記アで前述したように「第1始動入賞口13への始動入賞があっても確変状態または時短状態であれば入賞時判定結果指定コマンドは演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されない」から,確変状態または時短状態であれば第1始動入賞口13への始動入賞があっても連続予告演出は行われない一方,「第2始動入賞口14への始動入賞があった場合には,遊技状態に係わらず入賞時判定結果指定コマンドは演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されるものである」から,確変状態または時短状態のときに第2始動入賞口14への始動入賞があると連続予告演出の実行が有り得る。
そうすると,先願発明は,本願補正発明の「前記時短遊技状態において,前記関連演出は前記第2保留に基づいてなされる複数回の特別図柄の変動表示にわたってのみ実行される」に相当する構成を実質的に具備する。

そうすると,両者は,
「遊技球が入球可能に設けられた第1始動口,および,遊技球の入球機会が予め設定された第1の態様もしくは所定条件の成立により前記第1の態様よりも遊技球の入球機会が増す第2の態様に制御される第2始動口と,
少なくとも,前記第2始動口が第2の態様よりも第1の態様に制御される時間が長く設定された非時短遊技状態,または,該非時短遊技状態よりも前記第2始動口が前記第2の態様に制御される時間が長く設定される遊技価値が付与された時短遊技状態にて遊技の進行を制御する制御手段と,を備え,
前記制御手段は,
前記第1始動口または第2始動口への前記遊技球の入球を契機に遊技データを抽選により取得する遊技データ抽選手段と,
該遊技データ抽選手段によって取得された遊技データに基づいて,遊技者に付与される遊技価値が対応付けられ,特別図柄変動表示手段において停止表示される特別図柄を決定する特別図柄決定手段と,
前記特別図柄変動表示手段において特別図柄の変動表示を開始するとともに,所定時間経過後に前記特別図柄決定手段によって決定された特別図柄を停止表示させることにより,特別図柄の変動表示を終了する特別図柄表示制御手段と,
前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第1始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第1保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第1変動表示保留手段と,
前記特別図柄変動表示手段に特別図柄が変動表示されているときに前記遊技球が前記第2始動口に入球したとき,当該入球を契機として取得された前記遊技データを第2保留として記憶して特別図柄の変動表示の権利を留保する第2変動表示保留手段と,を備え,
前記特別図柄表示制御手段は,
前記第1変動表示保留手段に第1保留が記憶され,前記第2変動表示保留手段に第2保留が記憶されていない場合には,前記第1変動表示保留手段に記憶された第1保留の中でもっとも先に記憶された第1保留に基づいて決定された特別図柄の変動表示を開始し,
前記第2変動表示保留手段に第2保留が記憶されている場合には,前記第1変動表示保留手段に第1保留が記憶されているか否かにかかわらず,前記第2変動表示保留手段に記憶された第2保留の中でもっとも先に記憶された第2保留に基づいて決定された特別図柄の変動表示を開始する遊技機であって,
前記制御手段は,
前記時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたって,各特別図柄の変動表示中に所定の演出が連続的に実行される関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する第1事前判定手段と,
非時短遊技状態において,前記第1変動表示保留手段に新たに第1保留が記憶されたとき,当該第1変動表示保留手段に記憶されている他の第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第1保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第1保留を判定して決定する第2事前判定手段と,
非時短遊技状態において,前記第2変動表示保留手段に新たに第2保留が記憶されたとき,当該第2変動表示保留手段に記憶されている他の第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示から当該新たに記憶された第2保留に基づいて実行される特別図柄の変動表示にわたった前記関連演出の実行の可否を,当該新たに記憶された第2保留を判定して決定する第3事前判定手段と,
該事前判定手段によって前記関連演出を実行することが決定された特別図柄の変動表示中に前記関連演出を構成する所定の演出を実行する演出制御手段と,を備え,
前記非時短遊技状態において,前記第2事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率は,前記第3事前判定手段が前記関連演出を実行すると決定する確率よりも高く,
前記時短遊技状態において,前記関連演出は前記第2保留に基づいてなされる複数回の特別図柄の変動表示にわたってのみ実行される,遊技機。」
である点で一致し,相違する点はない。

第6.むすび
したがって,本願補正発明は,先願発明と同一であり,しかも,本願補正発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも,また,本願の出願時に,その出願人が上記先願の出願人と同一であるとも認められないので,本願補正発明は,特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-25 
結審通知日 2011-07-26 
審決日 2011-08-11 
出願番号 特願2009-4204(P2009-4204)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿南 進一  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 吉村 尚
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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