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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1243990
審判番号 不服2010-24603  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-01 
確定日 2011-09-22 
事件の表示 特願2004-285031「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月13日出願公開、特開2006- 95092〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成16年9月29日の出願であって、平成22年5月13日付けで拒絶理由が通知され、これに対し同年22年6月30日付けで手続補正がなされ、同年7月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年11月1日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。
また、当審において、平成22年12月9日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から平成23年2月8日に回答書が提出されている。

2.本願補正発明
平成22年11月1日付けの手続補正は、請求項の削除を目的とする補正であり、補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 遊技球が入賞可能な図柄始動口と開閉動作を行う入賞装置と図柄を変動表示可能な図柄表示装置とが遊技領域内に設けられているとともに、作動内容を制御する制御装置が内蔵されており、
遊技領域に打ち出された遊技球が図柄始動口に入賞した場合に、
図柄表示装置に表示された図柄を変動させ、かつ、制御装置内で第一抽選を実行し、その第一抽選の結果、大当たりが生起した場合には、図柄の変動終了後に図柄表示装置に大当たり図柄を表示して、前記入賞装置が所定回数だけ断続的な開成を繰り返す特別遊技状態を生起させる一方、
生起した大当たりを特定の大当たりとするか否かを決定するための第二抽選を前記制御装置内で実行し、その第二抽選において生起した大当たりを特定の大当たりとすることを決定した場合には、前記特別遊技状態の終了後に、前記第一抽選における大当たりの生起確率を増加させる特定遊技状態を生起させるとともに、
前記第二抽選の結果、特定の大当たりが生起したか特定の大当たり以外の非特定の大当たりが生起したかを報知する遊技機であって、
所定の入力を行うための入力手段を設ける一方、
前記図柄表示装置に、前記第一抽選及び前記第二抽選の結果を反映する特別図柄と、同じく前記第一抽選及び前記第二抽選の結果を反映する装飾図柄との二種類の図柄を夫々別個に表示するとともに、
前記第一抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される前記特別図柄の表示態様である大当たり特別図柄については、前記第二抽選の結果が特定の大当たりである場合と、前記第二抽選の結果が非特定の大当たりである場合とで異ならせ、
前記第一抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される前記装飾図柄の表示態様である大当たり装飾図柄については、前記第二抽選の結果が特定の大当たりである場合と、前記第二抽選の結果が非特定の大当たりである場合とにおいて同一のものを含ませており、
前記大当たり装飾図柄のうち、前記同一のものを表示した場合には、当該表示後に生起する前記特別遊技状態中において所定のゲームを実行し、そのゲームに対応して前記入力手段が操作され、その結果が所定の結果であった場合には、前記第二抽選の結果が特定の大当たりであると前記特別遊技状態中に前記第二抽選の結果が特定の大当たりであったことを表示する一方、
前記ゲームに対応して前記入力手段が操作されなかった場合には、当該特別遊技状態における前記入賞装置の最後の開成の後に前記第二抽選の結果を表示することを特徴とする遊技機。」

3.引用刊行物記載の発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-242748号公報(以下「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている。
(a).「【0020】図2に示すように、遊技盤5には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その内側の遊技領域5aの略中央には、液晶カラーディスプレイ14が配置されている。また、遊技領域5aの適所には、2つの図柄始動口15、大入賞口16、4つの普通入賞口17、左右の通過口であるゲート18が配設されている。・・・」(段落【0020】)
(b).「【0021】液晶ディスプレイ14は、大当り状態に係わる特別図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この液晶ディスプレイ14は、中央部に特別図柄表示部DISPと右上部に普通図柄表示部19を有している。・・・」(段落【0021】)
(c).「【0022】・・・この図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部DISPの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。
【0023】大入賞口16は、前方に開放可能な開閉板16aで開閉されるが、特別図柄表示部DISPの変動停止後の図柄が「7・7・7」などの特別図柄のとき、「大当り」と称される特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。・・・」(段落【0022】?【0023】)
(d).「【0025】ところで、特別図柄表示部DISPの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。この特定図柄による大当りを「確変大当り」と言いうこともあるが、この実施例では、111?999の特別図柄のうち、奇数値(111,33,555,777,999)を特に特定図柄として、確変大当り用に使用している。
【0026】図3は、実施例に係るパチンコ機1の全体構成を示すブロック図である。図示の通り、このパチンコ機1は、遊技動作を中心的に制御する主制御基板30と、液晶ディスプレイ14の動作を制御する図柄制御基板31と、音声的な遊技演出を実現すると共にランプ類を点滅動作させる音声/ランプ制御基板32と、払出モータM2を制御して遊技球を払出す払出制御基板33と、発射モータM1によって遊技球を発射させる発射制御基板34と、AC24Vを受けて装置各部に直流電圧を供給する電源基板35とを中心に構成されている。」(段落【0025】?【0026】)
(e).「【0027】・・・この第1実施例では、プッシュボタン11は、特別図柄表示部DISPにおける演出図柄を、遊技者に意志に基づいて変更する用途で使用される。」(段落【0027】)
(f).「【0038】図6(a)は、特別図柄処理(ST24)における抽選処理について整理したものである。先ず、ステップST11の処理で更新された大当り用カウンタCTの値を、当選値Hitと対比することによって1/Nの確率で大当り状態となるが、より詳細には、1/(aN)の確率で確変大当りとなり、(a-1)/(aN)の確率で非確変(ノーマル)大当りとなる。なお、1-1/Nの大きな確率で殆どの場合はハズレ状態となる。
【0039】このように、図柄始動口15に遊技球が入賞する毎に、大当り状態か否かの当否抽選が行われるが(ST24)、抽選結果を直ちに遊技者に報知したのでは娯楽性に欠けるので、抽選結果を報知する前に、数10秒程度の演出時間を設け、液晶ディスプレイ14における図柄変動動作を実施している。・・・」(段落【0038】?【0039】)
(g).「【0043】ここで、左、中、右の停止図柄は、特別図柄表示部DISPにおける図柄変動演出の後に、T4のタイミングで停止確定される3つの図柄である。先に説明したように、この実施例では、非確変大当りの場合には偶数値(2,4,6,8)が停止図柄となり、リーチ演出の後に、左側、中央、右側の停止図柄が偶数値で揃うことになる。一方、確変大当りの場合には、奇数値(1,3,5,7,9)が停止図柄となり、リーチ演出の後に、左側、中央、右側の停止図柄が奇数値で揃うことになる。」(段落【0043】)
(h).「【0048】・・・ここでは確変大当り状態の変動パターンコマンドを受信した場合を説明しており、停止図柄は「7・7・7」であるとする。
【0049】今、ステップST30のボタン演出抽選に外れたとすると、リーチ演出(ST31)を経て、「7・7・7」の状態で図柄を仮停止させ(ST32)、再変動演出の後(ST33)、図柄停止コマンドを受信したT4のタイミングで「7・7・7」の図柄で停止させる(ST34)。
【0050】一方、ボタン演出抽選に当選した場合には、最終的に確定することとなる停止図柄(ここでは「7」)とは異なる図柄(例えば「6」)によってリーチ演出を行う(ST35)。・・・」(段落【0048】?【0050】)
(i).「【0052】図7は、最終的に確変大当りに至る場合を例示しており、リーチ図柄が他の偶数値(=「4」)に変化したものとして説明を続けるが、「4・4・4」のように偶数値を揃えて仮停止させた後(ST40)、再変動の動作を開始させる(ST41)。再変動の動作は、再抽選とも称される演出であり、非確変状態の大当り状態の確定「4・4・4」から、確変状態の大当り状態に昇格することを期待させるものである。そして、このような再変動の後、予め決定されている確定図柄「7・7・7」によって図柄を停止させる(ST42)。
【0053】ところで、ボタンチャンス状態で、全ての遊技者がプッシュボタン11を操作するとは限らない。そこで、所定時間経過してもプッシュボタン11が操作されない場合(ST37,38)には、それまでのリーチ演出に整合した図柄で仮停止させる(ST43)。この例では「6・6・6」が仮停止図柄となり、非確変状態の大当りが確定するが、この段階で再度、ボタンチャンス状態を招来させる。
【0054】これは、最初のボタンチャンス状態において最適タイミングを熟考したために操作タイミングを逃すこともあることに配慮したものであり、また、非確変状態の大当りから確変状態の大当りに昇格させるチャンスを遊技者に付与するためである。そしてボタン操作があれば、適宜な演出画面を表示した後(ST47)、図柄停止コマンドを受信したタイミングで、予め決定されている「7・7・7」の図柄で停止させる(ST48)。なお、所定時間経過後にもボタン操作がない場合には、図柄停止コマンドを受信したタイミングで、予め決定されている「7・7・7」の図柄で停止させる(ST49)。」(段落【0052】?【0054】)
(j).「【0056】以上、確変大当り状態の変動パターンコマンドを受信した場合について説明したが、非確変大当り状態の変動パターンコマンド(再変動動作を伴うもの)を受信した場合もほぼ同様である。図9は、このような非確変大当り状態の変動パターンコマンドを受信した後の図柄制御部31の動作を概説したフローチャートであり、図10は、その演出内容を図示したものである。」(段落【0056】)
(k).「【0057】・・・ここでは停止図柄が「2・2・2」であったとする。
【0058】そして、ステップST51のボタン演出抽選に外れたとすると、リーチ演出(ST52)を経て、「2・2・2」の状態で図柄を仮停止させ(ST53)、再変動演出の後(ST54)、図柄停止コマンドを受信したT4のタイミングで「2・2・2」の図柄で停止させる(ST55)。
【0059】一方、ボタン演出抽選に当選した場合には、確定している停止図柄(ここでは「2」)とは異なる図柄(例えば「6」)によってリーチ演出を行う(ST56)。・・・」(段落【0057】?【0059】)
(l).「【0061】・・・再変動の動作は、非確変状態の大当り状態の確定「4・4・4」から、確変状態の大当り状態に昇格することを期待させるものであるが、ここでは、昇格は有り得ず、予め決定されている確定図柄「2・2・2」によって図柄を停止させる(ST63)。
【0062】一方、所定時間経過してもプッシュボタン11が操作されない場合(ST58,59)には、それまでのリーチ演出に整合した図柄で仮停止させる(ST64)。この例では「6・6・6」が仮停止図柄となり、非確変状態の大当りが確定するが、この段階で、再度、ボタンチャンス状態を招来させる。そしてボタン操作があれば、適宜な演出画面を表示した後(ST68)、図柄停止コマンドを受信したタイミングで、予め決定されている「2・2・2」の図柄で停止させる(ST69)。なお、所定時間経過後にもボタン操作がない場合にも、図柄停止コマンドを受信したタイミングで、予め決定されている「2・2・2」の図柄で停止させる(ST70)。
その後、大当り状態が発生して、大入賞口16が所定回数開くことになるが、その際、遊技者のボタン操作に応答して、非確変図柄が確変図柄に変化する場合があるようにしても良い。つまり、その場合は、確変が内部当選した場合でも大当り状態が発生するまでは非確変図柄が表示される場合があるようにすると共に、その場合に大当り中にボタンを有効化して遊技者のボタン操作に対応して図柄が変化するようにしておけば良い。
【0063】以上のように、非確変大当りコマンドを受信している場合には、プッシュボタン11の操作タイミングに拘わらず、当選状態の昇格は有り得えないが、図10(b)の演出動作は、遊技者にとっては、最後まで図8(b)の演出動作と区別がつかないので、期待感をもってボタンチャンス状態のゲームに望むことができる。」(段落【0061】?【0063】)

これらの記載及び図1?13によれば、引用文献には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「遊技球が入賞可能な図柄始動口15と、前方に開放可能な開閉板16aで開閉される大入賞口16と、図柄変動動作を実施する液晶ディスプレイ14とが遊技領域5aに設けられているとともに、遊技動作を中心的に制御する主制御基板30が内蔵されており、
前記図柄始動口15に遊技球が入賞する毎に、
前記主制御基板30で確変大当りか非確変大当りかハズレかの抽選が行われ、前記液晶ディスプレイ14における図柄変動動作を実施し、前記抽選の結果が確変大当り又は非確変大当りの場合には、図柄変動演出の後に左側、中央、右側の停止図柄が揃い、前記大入賞口16が所定回数開くことになる大当り状態が発生する一方、
前記抽選の結果が確変大当りの場合には、大当り状態終了後のゲームが高確率状態になるとともに、
前記抽選の結果が確変大当りの場合には、左側、中央、右側の停止図柄が奇数値で揃い、前記抽選の結果が非確変大当りの場合には、左側、中央、右側の停止図柄が偶数値で揃うパチンコ機1であって、
図柄を遊技者に意志に基づいて変更する用途で使用されるプッシュボタン11を設ける一方、
前記液晶ディスプレイ14に、抽選結果を報知する前に図柄変動動作を実施し、
ボタン演出抽選に当選した場合には、確変大当りの場合で停止図柄が「7・7・7」であれば、偶数値を揃えた図柄が仮停止した後、大当り中にプッシュボタン11を有効化して遊技者のボタン操作に対応して図柄が「7・7・7」に変化し、非確変大当りの場合で停止図柄が「2・2・2」であれば、「2」以外の偶数値を揃えた図柄が仮停止した後、大当り中にプッシュボタン11を有効化して遊技者のボタン操作に対応して図柄が「2・2・2」に変化するようにし、
ボタンチャンス状態で所定時間経過後にもボタン操作がない場合、確変大当りの場合には「7・7・7」の図柄で停止させ、非確変大当りの場合には「2・2・2」の図柄で停止させるようにしたパチンコ機1。」

4.対比判断
本願補正発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「遊技球が入賞可能な図柄始動口15」は、本願補正発明の「遊技球が入賞可能な図柄始動口」に相当し、以下同様に、
「前方に開放可能な開閉板16aで開閉される大入賞口16」は「開閉動作を行う入賞装置」に、
「図柄変動動作を実施する液晶ディスプレイ14」は「図柄を変動表示可能な図柄表示装置」に、
「遊技領域5aに設けられている」は「遊技領域内に設けられている」に、
「遊技動作を中心的に制御する主制御基板30」は「作動内容を制御する制御装置」に、
「液晶ディスプレイ14における図柄変動動作を実施」は「図柄表示装置に表示された図柄を変動」に、
「図柄変動演出の後に左側、中央、右側の停止図柄が揃い」は「図柄の変動終了後に図柄表示装置に大当たり図柄を表示して」に、
「前記大入賞口16が所定回数開くことになる大当り状態が発生する」は「前記入賞装置が所定回数だけ断続的な開成を繰り返す特別遊技状態を生起させる」に、
「前記抽選の結果が確変大当りの場合」は「生起した大当たりを特定の大当たりとすることを決定した場合」に、
「確変大当り」は「特定の大当たり」に、
「非確変大当り」は「特定の大当たり以外の非特定の大当たり」に、
「パチンコ機1」は「遊技機」に、
「図柄を遊技者に意志に基づいて変更する用途で使用されるプッシュボタン11」は「所定の入力を行うための入力手段」に、それぞれ相当する。

さらに、引用文献の記載等からみて、以下のことがいえる。
a.引用発明においても遊技球が遊技領域5aに打ち出されることは明らかであるから、引用発明の「前記図柄始動口15に遊技球が入賞する毎に」は、本願補正発明の「遊技領域に打ち出された遊技球が図柄始動口に入賞した場合に」に相当するといえる。
b.引用発明の「液晶ディスプレイ14における図柄変動動作を実施」は、本願補正発明の「図柄表示装置に表示された図柄を変動」に相当するとともに、引用発明における「前記抽選の結果が確変大当り又は非確変大当りの場合」と、本願補正発明における「その第一抽選の結果、大当たりが生起した場合」は、いずれも「抽選の結果、大当たりが生起した場合」ということができ、引用発明において「主制御基板30で確変大当りか非確変大当りかハズレかの抽選が行われ」るということは、制御装置である主制御基板30内で大当りにするかハズレにするかの抽選を行っているといえるから、引用発明の「主制御基板30で確変大当りか非確変大当りかハズレかの抽選が行われ」ることと本願補正発明の「制御装置内で第一抽選を実行」することは、「制御装置内で抽選を実行」する点で共通している。
よって、引用発明と本願補正発明は、「図柄表示装置に表示された図柄を変動させ、かつ、制御装置内で第一抽選を実行」する点で共通している。
c.引用発明において「高確率状態になる」ということは、図柄始動口15に遊技球が入賞した時に行われる抽選における「確変大当りか非確変大当り」となる確率を増加させる状態になると解するのが普通であるから、引用発明の「大当り状態終了後のゲームが高確率状態になる」ことと、本願補正発明の「特別遊技状態の終了後に、前記第一抽選における大当たりの生起確率を増加させる特定遊技状態を生起させる」ことは、「特別遊技状態の終了後に、前記抽選における大当たりの生起確率を増加させる特定遊技状態を生起させる」点で共通しているということができる。
d.引用発明において遊技者は、左側、中央、右側の停止図柄が奇数値で揃えば、確変大当りであることが分かり、左側、中央、右側の停止図柄が偶数値で揃えば、非確変大当りであることが分かるのであるから、引用発明は本願補正発明の「特定の大当たりが生起したか特定の大当たり以外の非特定の大当たりが生起したかを報知する」に相当する機能を有するものといえる。
e.引用発明において「抽選結果を報知する」内容は、大当りであるか外れであるか、確変大当りであるか非確変大当りであるか、という本願補正発明の「第一抽選及び前記第二抽選の結果」の内容であるから、引用発明の「抽選結果を報知する」ことは、本願補正発明の「前記第一抽選及び前記第二抽選の結果を反映する」ことに相当し、その報知が図柄によってなされていることも明らかであるから、「前記抽選の結果を反映する図柄を表示する」点で共通している。
f.引用発明は偶数値を揃えた図柄が仮停止した後大当り状態になるものであり、図柄が仮停止することにより大当り状態になることが確定し、大当り中にボタン演出抽選を行うものであるから、引用発明の「仮停止した後」は本願補正発明の「変動終了後」に相当すると解することができ、ボタン演出抽選に当選した場合には、確変大当りの場合(本願補正発明の「特定の大当たりである場合」に相当)、偶数値を揃えた図柄が仮停止し、非確変大当りの場合も(本願補正発明の「非特定の大当たりである場合」に相当)、偶数値を揃えた図柄が仮停止しており、それぞれの場合で図柄が同一であるから、引用発明の図柄表示態様は、本願補正発明と「前記抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される図柄の表示態様である大当たり図柄については、前記抽選の結果が特定の大当たりである場合と、前記抽選の結果が非特定の大当たりである場合とにおいて同一のものを含ませており」の点で共通するものとなっている。
また、引用発明は、偶数値を揃えた図柄が仮停止した後の大当り中(本願補正発明の「当該表示後に生起する前記特別遊技状態中」に相当)に、プッシュボタン11を有効化して遊技者のボタン操作に対応して、前者の場合図柄が「7・7・7」に変化し、後者の場合図柄が「2・2・2」に変化するものであり、引用発明の「プッシュボタン11を有効化して遊技者のボタン操作」がなされることは、本願補正発明の「所定のゲームを実行し、そのゲームに対応して前記入力手段が操作」されることに相当するから、引用発明は本願補正発明と「前記大当たり図柄のうち、前記同一のものを表示した場合には、当該表示後に生起する前記特別遊技状態中において所定のゲームを実行し、そのゲームに対応して前記入力手段が操作され、その結果が所定の結果であった場合には、前記抽選の結果が特定の大当たりであると前記特別遊技状態中に前記抽選の結果が特定の大当たりであったことを表示する」点で共通する表示が行われているといえる。
そうしてみると、引用発明の「図柄」は、本願補正発明の「装飾図柄」に相当するものといえる。
g.引用発明の「ボタンチャンス状態で所定時間経過後にもボタン操作がない場合」は本願補正発明の「ゲームに対応して入力手段が操作されなかった場合」に相当し、引用発明の「確変大当りの場合には「7・7・7」の図柄で停止させ、非確変大当りの場合には「2・2・2」の図柄で停止させるようにした」は、抽選結果が確変大当りか非確変大当りかの結果を表示しているといえる。そして、本願補正発明の「第二抽選の結果を表示すること」は、特定の大当たりであるか非特定の大当たりであるかを表示することにほかならないから、引用発明と本願補正発明は「前記ゲームに対応して前記入力手段が操作されなかった場合には、特定の大当たりであるか非特定の大当たりであるかを表示する」点で共通している。

以上を総合すると、両者は、「遊技球が入賞可能な図柄始動口と開閉動作を行う入賞装置と図柄を変動表示可能な図柄表示装置とが遊技領域内に設けられているとともに、作動内容を制御する制御装置が内蔵されており、
遊技領域に打ち出された遊技球が図柄始動口に入賞した場合に、
図柄表示装置に表示された図柄を変動させ、かつ、制御装置内で抽選を実行し、その抽選の結果、大当たりが生起した場合には、図柄の変動終了後に図柄表示装置に大当たり図柄を表示して、前記入賞装置が所定回数だけ断続的な開成を繰り返す特別遊技状態を生起させる一方、
生起した大当たりを特定の大当たりとすることを決定した場合には、前記特別遊技状態の終了後に、前記抽選における大当たりの生起確率を増加させる特定遊技状態を生起させるとともに、
特定の大当たりが生起したか特定の大当たり以外の非特定の大当たりが生起したかを報知する遊技機であって、
所定の入力を行うための入力手段を設ける一方、
前記図柄表示装置に、前記抽選の結果を反映する装飾図柄を表示するとともに、
前記抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される前記装飾図柄の表示態様である大当たり装飾図柄については、特定の大当たりである場合と、非特定の大当たりである場合とにおいて同一のものを含ませており、
前記大当たり装飾図柄のうち、前記同一のものを表示した場合には、当該表示後に生起する前記特別遊技状態中において所定のゲームを実行し、そのゲームに対応して前記入力手段が操作され、その結果が所定の結果であった場合には、特定の大当たりであると前記特別遊技状態中に特定の大当たりであったことを表示する一方、
前記ゲームに対応して前記入力手段が操作されなかった場合には、特定の大当たりであるか非特定の大当たりであるかを表示する遊技機。」である点で一致し、
以下の点で相違する。

(A) 本願補正発明は、第一抽選を実行し、その第一抽選の結果、大当たりが生起した場合には、生起した大当たりを特定の大当たりとするか否かを決定するための第二抽選を実行するのに対し、
引用発明は、確変大当りか非確変大当りかハズレかの抽選を行っており、大当りかハズレかの抽選と、確変大当りか非確変大当りかの抽選とを分けて行っていない点。

(B) 本願補正発明の「図柄表示装置」は、「前記第一抽選及び前記第二抽選の結果を反映する特別図柄と、同じく前記第一抽選及び前記第二抽選の結果を反映する装飾図柄との二種類の図柄を夫々別個に表示する」のに対し、
引用発明の「液晶ディスプレイ14」は、本願補正発明の装飾図柄と同じ表示態様を行う図柄のみを有する点。

(C) 本願補正発明は、「前記第一抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される前記特別図柄の表示態様である大当たり特別図柄については、前記第二抽選の結果が特定の大当たりである場合と、前記第二抽選の結果が非特定の大当たりである場合とで異ならせ」ているのに対して、
引用発明は、本願補正発明の装飾図柄と同じ表示態様を行う図柄のみを有し、本願補正発明の特別図柄と同じ表示態様を行う別の図柄を有していない点。

(D) 本願補正発明は、「ゲームに対応して入力手段が操作されなかった場合には、当該特別遊技状態における入賞装置の最後の開成の後に第二抽選の結果を表示する」のに対し、
引用発明は、ボタン演出抽選に当選し大当り中にプッシュボタン11を有効化したが、遊技者のボタン操作がなかった場合に、図柄がどのタイミングで第二抽選の結果を表示するのか明らかでない点。

5.当審の判断
上記相違点(A)乃至(D)について検討する。
相違点(A)について
遊技機の制御装置内に、大当たりが生起するか否かを決定する第一抽選手段だけでなく、生起した大当たりを特定の大当たりとするか否かを決定する第二抽選手段を設けることは、例えば、特開平11-290517号公報[「C RND KAKU」が第二抽選手段に相当。【0071】?【0072】、【0078】、図2,5等参照]、特開2002-331115号公報[「確率変動決定乱数カウンタ1570」が第二抽選手段に相当。【0024】、【0026】、【0054】?【0055】、図2、15?16等参照]に記載されるように従来周知の技術であるから、
上記周知技術に基づいて上記相違点(A)の発明特定事項とする程度のことは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

相違点(B)について
遊技機の制御装置内に、第一抽選手段だけでなく、大当たりを特定の大当たりとするか非特定の大当たりとするかを決定する第二抽選手段を設ける点については、すでに上記相違点(A)についての項でも検討している。
図柄表示装置に、第一抽選及び前記第二抽選(特定の大当たりであるか否か)の結果を反映する特別図柄と装飾図柄との二種類の図柄を夫々別個に表示するようにすることは、例えば、特開2004-230104号公報[【0017】?【0018】、【0187】、【0189】、【0191】、図37,39,41等参照]、特開2003-320110号公報[【表1】,【表2】を見ると、各ダミー図柄は、確変特別図柄と非確変特別図柄のペアーで構成されていることが分かる。【0019】?【0023】、【0029】?【0033】、【0036】、図16?20等参照]、特開2004-208902号公報[【0017】?【0018】、【0188】、【0190】、【0193】、図37,39,41等参照]に記載されるように従来周知の技術であるから、
上記周知技術に基づいて上記相違点(B)の発明特定事項とする程度のことは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

相違点(C)について
遊技機の制御装置内に、第一抽選手段だけでなく、大当たりを特定の大当たりとするか非特定の大当たりとするかを決定する第二抽選手段を設ける点は、すでに上記相違点(A)についての項でも検討している。
また、図柄表示装置に、第一抽選及び特定の大当たりであるか非特定の大当たりであるかの結果を反映する特別図柄と、同じく前記第一抽選及び特定の大当たりであるか非特定の大当たりであるかの結果を反映する装飾図柄との二種類の図柄を夫々別個に表示する点も、すでに上記相違点(B)についての項でも検討している。
第一抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される特別図柄の表示態様である大当たり特別図柄については、大当たりを特定の大当たりとするか非特定の大当たりとするかの結果が特定の大当たりである場合と、非特定の大当たりである場合とで異ならせ、
前記第一抽選の結果大当たりである場合に変動終了後に表示される装飾図柄の表示態様である大当たり装飾図柄については、特定の大当たりである場合と、非特定の大当たりである場合とにおいて同一のものを含ませることも、例えば、特開2004-230104号公報[【0017】?【0018】、【0187】、【0189】、【0191】、図37,39,41等参照]、特開2003-320110号公報[【表1】,【表2】を見ると、各ダミー図柄は、確変特別図柄と非確変特別図柄のペアーで構成されていることが分かる。【0019】?【0023】、【0029】?【0033】、【0036】、図16?20等参照]、特開2004-208902号公報[【0017】?【0018】、【0188】、【0190】、【0193】、図37,39,41等参照]に記載されるように従来周知の技術であるから、
引用発明の図柄の表示態様に加えて、別の図柄で本願補正発明の特別図柄の表示態様を行うようにすることにより、上記相違点(C)の発明特定事項とする程度のことは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

相違点(D)について
入力手段の操作可能期間に所定期間を設定しておき、入力手段が操作されない場合は少なくとも入力手段の操作可能期間が経過するまで待つのが普通であるから、入力手段が操作されなかった場合、操作された場合よりも、特定の大当たりとするか非特定の大当たりとするかの表示を遅くする程度のことは当業者が普通に採用することである。
また、特別遊技状態における入賞装置の最後の開成の後に、特定の大当たりとするか非特定の大当たりとするかの表示を行うことは、例えば、特開平11-290517号公報[【0152】等参照]、特開2002-331115号公報[【0058】、図18?20等参照]、図10?13等参照]に記載されるように従来周知の技術であるから、
引用発明において、ボタンチャンス状態で所定時間経過後にもボタン操作がない場合、抽選結果が確変大当りか非確変大当りかを表示するタイミングを上記周知技術に基づいて、上記相違点(D)の発明特定事項とする程度のことは、当業者が容易に成し得る程度のことにすぎない。

そして、本願補正発明の奏する効果は引用発明及び上記周知技術から当業者が容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとも認められない。

6.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、請求項2に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-21 
結審通知日 2011-07-26 
審決日 2011-08-09 
出願番号 特願2004-285031(P2004-285031)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼藤 啓  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 石田 喜樹  
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