• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1244071
審判番号 不服2010-17427  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-04 
確定日 2011-09-29 
事件の表示 特願2005-177657号「端子付きプリント配線基板」拒絶査定不服審判事件〔平成18年2月9日出願公開、特開2006-40884号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年6月17日(優先権主張平成16年6月21日)の出願であって、平成22年4月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年8月4日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。

第2 平成22年8月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年8月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?3について、
請求項1に「一端にプリント配線基板装着端を備え他端にコネクタ装着端を備えた複数の接触子と、該複数の接触子を平行に保持するホルダとを有するコネクタ接続端子と、
前記複数の接触子が接続固定されたプリント配線基板と
を有する端子付きプリント配線基板であって、
前記ホルダは、前記プリント配線基板と所定の間隔を介した位置で前記複数の接触子を保持する保持部と、該保持部の両端側においてそれぞれ前記プリント配線基板と固定されたプリント配線基板装着部とを備えるとともに、
前記プリント配線基板と前記ホルダとの間では、前記複数の接触子の少なくともプリント配線基板装着端側が露出していることを特徴とする端子付きプリント配線基板。」と、
請求項2に「前記ホルダは、前記複数の接触子の少なくとも胴部を包囲する側壁を有し、
該側壁は、前記複数の接触子のプリント配線基板装着端が位置する側に切り欠き部と脚部を隣接状態に有することを特徴とする請求項1記載の端子付きプリント配線基板。」と、
請求項3に「前記ホルダは、前記側壁に包囲されたホルダ内部と連通し該ホルダ内に流入する水を該ホルダ外に排出する水抜き穴を、前記保持部の両端側に形成された前記プリント配線基板装着部のそれぞれに有することを特徴とする請求項2記載の端子付きプリント配線基板。」とある記載を、
請求項1を「一端にプリント配線基板装着端を備え、他端にコネクタ装着端を備えた複数の接触子と、該複数の接触子を平行に保持するホルダとを有するコネクタ接続端子と、
前記複数の接触子が接続固定されたプリント配線基板とを有する端子付きプリント配線基板であって、
前記プリント配線基板に、スルーホールを備え、
前記プリント配線基板装着端を前記スルーホールに挿通固定し、
前記ホルダを、
前記プリント配線基板と所定の間隔を介した位置に配置し、前記プリント配線基板の所定の位置に配置される電気部品以上の高さに形成した前記コネクタ装着端の近傍で前記複数の接触子を保持する保持部と、
該保持部の両端側においてそれぞれ前記プリント配線基板と固定されたプリント配線基板装着部とで構成し、
前記保持部と前記プリント配線基板装着部とで、前記プリント配線基板と前記保持部との間において、前記複数の接触子の少なくともプリント配線基板装着端側が露出する門形構造を形成した
端子付きプリント配線基板。」と、
請求項2を「前記複数の接触子に、
前記プリント配線基板装着端と前記コネクタ装着端との間で、クランク状に屈曲したクランク部を備え、
前記保持部を、
前記複数の接触子における前記クランク部の上方の前記コネクタ装着端の近傍を保持することを特徴とする
請求項1記載の端子付きプリント配線基板。」と、
請求項3を「前記ホルダに、
前記複数の接触子の少なくともコネクタ装着端とプリント配線基板装着端の間で構成する胴部を包囲し、前記プリント配線基板に当接しない側壁と、
該側壁の下端から前記プリント配線基板に当接する3本の脚部とを備え、
該3本の脚部を、
前記ホルダの長手方向に対して、前記複数の接触子をはさんで千鳥配置したことを特徴とする
請求項1または請求項2記載の端子付きプリント配線基板。」とするものである。

2.当審の判断
(1)請求項1について
上記請求項1に係る補正は、発明を特定するための事項であるプリント配線基板に関し、「スルーホールを備え」ること、複数の接触子を接続固定することに関し、「プリント配線基板装着端を前記スルーホールに挿通固定」すること、保持部の、複数の接触子を保持する、プリント配線基板と所定の間隔を介した位置に関し、保持部がその位置に「配置」され、「プリント配線基板の所定の位置に配置される電気部品以上の高さに形成した前記コネクタ装着端の近傍で」保持すること、及び、プリント配線基板とホルダとの間で複数の接触子のプリント配線基板装着端側が露出することに関し、「保持部と前記プリント配線基板装着部とで、前記プリント配線基板と前記保持部との間において、前記複数の接触子の少なくともプリント配線基板装着端側が露出する門形構造を形成した」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
なお、補正後の請求項1は補正前の請求項2又は3の発明を特定するための事項のすべてを含むものではないから、補正前の請求項2又は3について、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、かつ、補正前の請求項2又は3について、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものともいえない。
(2)請求項2について
補正後の請求項2は、補正前の請求項2の発明を特定するための事項である、「ホルダは、前記複数の接触子の少なくとも胴部を包囲する側壁を有し」ているとの事項を特定していないから、補正後の請求項2に係る補正は、補正前の請求項2について、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、かつ、補正前の請求項2について、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものともいえない。
また、補正前の請求項3は補正前の請求項2を引用するものであるから、上記と同様に、補正後の請求項2に係る補正は、補正前の請求項3について、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、かつ、補正前の請求項3について、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものともいえない。
さらに、請求項の削除を目的とするものではないことも明らかである。
(3)請求項3について
補正後の請求項3は、補正前の請求項2の発明を特定するための事項である、複数の接触子の少なくとも胴部を包囲する側壁に関し「コネクタ装着端とプリント配線基板装着端の間で構成する胴部を包囲し、前記プリント配線基板に当接しない」ことを限定するとともに、側壁が複数の接触子のプリント配線基板装着端が位置する側に切り欠き部と脚部を隣接状態に有することに関し「側壁の下端から前記プリント配線基板に当接する3本の脚部とを備え、該3本の脚部を、前記ホルダの長手方向に対して、前記複数の接触子をはさんで千鳥配置した」ことを限定するものであるから、当該補正事項については、補正前の請求項2について、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
なお、補正前の請求項3の発明を特定するための事項を含まないため、補正前の請求項3に対応していない。
しかしながら、補正前の請求項2は請求項1を引用するものであったものを、補正後の請求項3は、「請求項1または請求項2」と択一的に2つの請求項の1つを引用するものである。そうすると、補正後の請求項3に係る補正のうち、当該補正事項は、特許請求の範囲の減縮、請求項の削除、誤記の訂正、あるいは明りょうでない記載の釈明の、いずれを目的としたものとも認められない。
(4)まとめ
上記(2)及び(3)で述べたとおり、請求項2及び3に係る補正は、特許請求の範囲の減縮、請求項の削除、誤記の訂正、あるいは明りょうでない記載の釈明の、いずれを目的としたものでもない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合しないので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、出願時の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記第2の1.参照)。

1.引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用した、実願平3-49570号(実開平4-133362号)のマイクロフィルム(以下「引用刊行物」という。)には、次の事項が図1?4とともに記載されている。
(1)「表面実装基板の外部回路接続用パターン面上に接せられる先端を釘頭状とした接続端子ピンを、前記外部回路接続用パターンの設置ピッチと同一ピッチで固定した絶縁性の接続端子支持部と、この接続端子支持部の左右に設けた、前記支持された接続端子ピンの釘頭状先端が外部回路接続用パターンに接した状態で先端面が表面実装基板面上に接する長さの脚部と、この左右の脚部の先端面から先端部分が前記接続端子ピンの釘頭状先端から接続端子の伸長方向に突出する前記表面実装基板に設けた位置決め支持孔内に圧入される位置決め支持ピン、とを備えたことを特徴とする表面実装用端子台。」(請求項1)
(2)「表面実装基板においては、その搭載回路を他の表面実装基板の搭載回路、電源その他の回路と接続する場合、半田付により外部接続用回路パターン上に固定して接続された接続端子ピンを介して行なう。」(段落【0002】)
(3)「(1) 図1(a)に示す本考案の一実施例斜視図のように、接続端子ピンを表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)面への押接先端を、接続端子ピン(2)の太さより大きい部分をもつ釘頭状先端(3a)をもった接続端子ピン(3)とする。
(2) 図1(b)に示す斜視図の絶縁性の端子台(4)、
即ち釘頭状先端(3a)をもつ直線状の接続端子ピン(3)を、表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)の設置ピッチと同一ピッチで固定した接続端子支持部(7)と、
その左右に設けた前記支持された接続端子ピンの釘頭状先端(3a)が図1(c)のように表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)の面上に接したとき、先端面(5a)(6b)が表面実装基板(1)面に接する長さをもつ脚部(5)(6)と、
この左右脚部(5)(6)の先端面(5a)(6a)に図1(d)のように前記接続端子ピン(3)の伸長方向に接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)から突出させて設けた位置決め支持ピン(8)(9)、
とを備えた端子台(4)を構成する。
(3) この端子台(4)の位置決め支持ピン(8)(9)を、図1(e)に示す斜視図のように表面実装基板(1)側に穿設した、位置決め支持孔(10)(11)に圧入するようにする。そして図2に示す斜視図のように、複数個の接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)が、外部回路接続用パターン(1d)の面上に接した状態で、表面実装基板(1)面上に仮止めできるようにして、半田付を行なえるようにしたものである。」(段落【0005】)
(4)図1?3には、表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)に各々載置される釘頭状先端(3a)をもった複数の接続端子ピン(3)が、端子台(4)の接続端子支持部(7)により、その中間部で平行に支持されて、上端部が接続端子支持部(7)の上方に突出するとともに、釘頭状先端(3a)側が下方にも突出する様子が図示される。

上記記載事項(1)?(3)及び(4)の図示内容を総合すると、引用刊行物には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「下方に表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)に半田付される釘頭状先端(3a)をもち、上端部が接続端子支持部(7)の上方に突出する、他の回路と接続するための複数の接続端子ピン(3)と、複数の接続端子ピン(3)をその中間部で表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)の設置ピッチと同一ピッチで平行に固定した絶縁性の接続端子支持部(7)と、脚部(5)(6)と、位置決め支持ピン(8)(9)とを備えた端子台(4)と、
表面実装基板(1)と
を有する端子台(4)と表面実装基板(1)であって、
接続端子支持部(7)の左右に、前記固定された接続端子ピンの釘頭状先端(3a)が表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)の面上に接したとき、先端面(5a)(6a)が表面実装基板(1)面に接する長さをもつ脚部(5)(6)が設けられ、この左右脚部(5)(6)の先端面(5a)(6a)に、接続端子ピン(3)の伸長方向に接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)から突出させて、位置決め支持ピン(8)(9)が設けられ、位置決め支持ピン(8)(9)が表面実装基板(1)側に穿設した位置決め支持孔(10)(11)に圧入されて、複数個の接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)が外部回路接続用パターン(1d)の面上に接した状態で、表面実装基板(1)面上に仮止めされ、半田付されている、
端子台(4)と表面実装基板(1)。」

2.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「接続端子ピン(3)」は、その機能・構造からみて、前者の「接触子」に相当し、以下同様に、後者の「表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)に半田付される釘頭状先端(3a)」は前者の「プリント配線基板装着端」に、後者の「絶縁性の接続端子支持部(7)と、脚部(5)(6)と、位置決め支持ピン(8)(9)」は前者の「ホルダ」に、後者の「複数の接続端子ピン(3)と、」「絶縁性の接続端子支持部(7)と、脚部(5)(6)と位置決め支持ピン(8)(9)とを備えた端子台(4)」は前者の「コネクタ接続端子」に、後者の「表面実装基板(1)」は前者の「プリント配線基板」に、後者の「端子台(4)と表面実装基板(1)」は前者の「端子付きプリント配線基板」にそれぞれ相当する。
また、後者の「下方」の「釘頭状先端(3a)」は「接続端子ピン(3)」の一端といえ、その他端である「接続端子支持部(7)の上方に突出する」「上端部」は、一端の「釘頭状先端(3a)」が「表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)に半田付される」ものであって、「複数の接続端子ピン(3)」は「他の回路と接続するための」ものであるから、他の回路へ接続するための接続端であるといえ、前者の接触子の他端のコネクタ装着端とは、接続端である限りで共通する。
後者の「絶縁性の接続端子支持部(7)」は「複数の接続端子ピン(3)を」「表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)の設置ピッチと同一ピッチで平行に固定し」ているから、「絶縁性の接続端子支持部(7)と、脚部(5)(6)と、位置決め支持ピン(8)(9)」は、前者の「複数の接触子を平行に保持するホルダ」に相当する。
後者の複数の接続端子ピン(3)は「下方に表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)に半田付される釘頭状先端(3a)をも」つものであるから、表面実装基板(1)には複数の接続端子ピン(3)が半田付されているものといえるので、後者の表面実装基板(1)は、前者の「複数の接触子が接続固定されたプリント配線基板」に相当する。
後者の絶縁性の接続端子支持部(7)は、「下方に表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)に半田付される釘頭状先端(3a)をも」つ「複数の接続端子ピン(3)」を「その中間部で」「固定した」ものであるから、表面実装基板(1)とは間隔を有していて、前者の「プリント配線基板と所定の間隔を介した位置で前記複数の接触子を保持する保持部」に相当し、かつ、後者の複数の接続端子ピン(3)は、絶縁性の接続端子支持部(7)より下方の、釘頭状先端(3a)のある部分が露出しているといえるから、後者も、前者の「プリント配線基板とホルダとの間では、複数の接触子の少なくともプリント配線基板装着端側が露出して」いる態様と同様の態様を有している。
後者の脚部(5)(6)と位置決め支持ピン(8)(9)について、「接続端子支持部(7)の左右に、」「脚部(5)(6)を設け」るから、前者の「保持部の両端側において」「備える」ものであり、かつ、脚部(5)(6)は「固定された接続端子ピンの釘頭状先端(3a)が表面実装基板(1)の外部回路接続用パターン(1d)の面上に接したとき、先端面(5a)(6a)が表面実装基板(1)面に接する長さをもつ」ものであり、位置決め支持ピン(8)(9)は「この左右脚部(5)(6)の先端面(5a)(6a)に、接続端子ピン(3)の伸長方向に接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)から突出さ」れており、「位置決め支持ピン(8)(9)を表面実装基板(1)側に穿設した位置決め支持孔(10)(11)に圧入されて、複数個の接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)が外部回路接続用パターン(1d)の面上に接した状態で、表面実装基板(1)面上に仮止めされ、半田付される」ものであるから、半田付されることで固定される前に仮止めするものではあるものの、位置決め支持孔(10)(11)に圧入するものであるから、前者の「保持部の両端側においてそれぞれ前記プリント配線基板と固定されたプリント配線基板装着部」とは、保持部の両端側においてそれぞれ前記プリント配線基板に保持されたプリント配線基板装着部である点で共通する。
したがって、両者は、「一端にプリント配線基板装着端を備え他端に接続端を備えた複数の接触子と、該複数の接触子を平行に保持するホルダとを有するコネクタ接続端子と、
前記複数の接触子が接続固定されたプリント配線基板と
を有する端子付きプリント配線基板であって、
前記ホルダは、前記プリント配線基板と所定の間隔を介した位置で前記複数の接触子を保持する保持部と、該保持部の両端側においてそれぞれ前記プリント配線基板に保持されたプリント配線基板装着部とを備えるとともに、
前記プリント配線基板と前記ホルダとの間では、前記複数の接触子の少なくともプリント配線基板装着端側が露出している端子付きプリント配線基板。」の点で一致し、次の点で相違する。
相違点A:複数の接触子の他端について、本願発明が「コネクタ接続端子」であるのに対して引用発明は「接続端」である点。
相違点B:プリント配線基板に保持されたプリント配線基板装着部について、本願発明が「プリント配線基板と固定され」ているのに対し、引用発明は「位置決め支持ピン(8)(9)を表面実装基板(1)側に穿設した位置決め支持孔(10)(11)に圧入されて、複数個の接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)が外部回路接続用パターン(1d)の面上に接した状態で、表面実装基板(1)面上に仮止めされ、半田付される」ものである点。

上記相違点について検討する。
(1)相違点Aについて
引用発明の接続端は、他の回路へ接続するための平行な複数の接続端子ピン(3)の端部であり、このように平行なピンの端部により他の回路に接続する手段として、これに結合するコネクタを用いることは、当該技術分野において常套手段であるといえる。
そうすると、引用発明の接続端を他の回路へ接続するための具体的手段として、これに結合するコネクタを用いるべく、コネクタ接続端子とすることは、当業者が適宜なし得たこととことといわざるを得ない。
したがって、相違点Aに係る本願発明の構成とすること当業者が容易になして得たことといえ、そのことによる格別の効果もない。

(2)相違点Bについて
引用発明は、半田付されることで固定される前に仮止めするものではあるものの、位置決め支持孔(10)(11)に圧入するものであるから、固定するものともいえる。
また、接続端子ピン(3)の釘頭状先端(3a)は半田付されており、仮固定のまま固定されてしまうものであって、取り外し可能とする必要もないのであるから、当該仮固定を取り外し等を考慮しない単なる固定とすることも当業者が適宜なし得た設計的事項といえる。
さらに、ピンが上に突出し、かつ他の回路と接続する作業がなされるものであるから、当該半田付された部分を外力等から保護するべく、接続端子ピン(3)が動かないように、仮固定より強固となるように固定することも当業者が格別の困難性を要することなくなし得たことである。
そうすると、相違点Bに係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことといえ、そのことによる格別の効果もない。

以上のようであるから、本願発明は、上記常套手段を参酌すると、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといわざるを得ない。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記常套手段を参酌すると、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうすると、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-27 
結審通知日 2011-08-02 
審決日 2011-08-16 
出願番号 特願2005-177657(P2005-177657)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
P 1 8・ 572- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 秀行佐々木 正章  
特許庁審判長 平上 悦司
特許庁審判官 冨岡 和人
中川 真一
発明の名称 端子付きプリント配線基板  
代理人 永田 元昭  
代理人 永田 良昭  
代理人 大田 英司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ