• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B43L
管理番号 1244155
審判番号 不服2011-3507  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-16 
確定日 2011-09-28 
事件の表示 特願2009-285564「スクリーン機能を有するボード」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 3月18日出願公開、特開2010- 58524〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年11月9日(以下「原出願日」という。)に出願された特願2007-291736号の一部を平成21年12月16日に新たな特許出願としたものであって、平成22年11月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成23年2月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において、同年5月18日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)の通知がなされ、同年7月19日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成23年7月19日になされた手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし5にそれぞれ記載された事項によって特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「筆記機能と共にスクリーン機能を有する固定式又は移動式のボードであって、その上部又は側部にプロジェクター取付け部を具備したアームが一体に取り付けられていることを特徴とするスクリーン機能を有するボード。」

第3 引用刊行物及び引用発明
1 当審拒絶理由に引用された、本願の原出願日前に頒布された刊行物である特表2002-538508(以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
(1) 「【0011】
従来の電子フロントプロジェクターは、物理的障害なしに画像を拡大するのに必要な投影容積を提供できる空間を必要とするのが一般である。画像は壁などの大きくクリアな平らな面に投影できるが、別途スクリーンを使用した方がより優れた画像品質が得られる。図1と2は、従来の反射投影システムを示している。プロジェクター10は、テーブルなどの高架面上に配置されて、スクリーンまたは投影面20上に画像を投影する。電子プロジェクターの使用に慣れた者は、スクリーンの通常の軸より下にプロジェクターを傾けると画像の形状がゆがむこと、いわゆるキーストン効果を知っている。新しい電子プロジェクターのほとんどは、限られた度合いのキーストン補正機能を有する。しかし、図2で理解されるように、プロジェクターの配置により観衆の視線が妨害される場合が依然としてある。」

(2) 「【0030】
発明の詳細な説明
本発明の好適実施形態は、光学エンジンを組み込み、モジュラー構造の制御・電源回路と小型軽量のビデオ表示デバイスを提供するための専用投影スクリーンとを有する反射投影システムを含む。図3?6は、本発明に基づく一体型反射投影システムの第1の実施形態を示す。
【0031】
反射投影システム100は、フレーム104に取り付けられた専用高利得投影スクリーン102を含む。投影ヘッド106は、アーム108により、ヒンジユニット110においてフレーム104の中央の一番高い部分にピボットで取り付けられる。アーム108は90°回転して、投影ヘッド106が閉位置、つまり収納位置から、開位置、つまり投影位置に旋回できるようにしてもよい。
【0032】
スクリーン102は投影ヘッドに光学的に連結される。スクリーン102は、フレーム104上に延びる柔軟な材料であっても、あるいは剛直な部品であっても構わない。他の実施形態では、スクリーンとフレームの両方が一体成形シートでできている。スクリーン102は、消去可能なホワイトボードとして使用できるように、積層または特殊コーティングを含んでいても構わない。」

(3)図1及び2から、スクリーン機能を有する壁面固定式ボードが見て取れる。

(4)上記(1)及び(2)から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「消去可能なホワイトボードとしても使用できる、フレームに取り付けられたスクリーンであって、スクリーン上に画像を投影する投影ヘッドが、アームにより、ヒンジユニットにおいて前記フレームの中央の一番高い部分にピボットで取り付けられたスクリーン。」

2 当審拒絶理由に引用された、本願の原出願日前に頒布された刊行物である米国特許第5624173号明細書(以下「引用例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「 BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to multifunctional projec-tion equipment" and more particularly to a portable video projector frame system.
Conventional front video projector systems permanently mount the projector to the ceiling or some other fixed structure. This severely limits the options for locating the screen or substrate onto which the image from the projector is to be projected, as the screen must be placed a predeter-mined and specific distance from the projector to obtain an acceptable focused video image. Moreover, the permanently mounted projector eliminates the portability of the system. It is therefore an object of the present invention to provide a video projector frame system which is easy to install, and which eliminates the requirement of permanently mounting the projector to a fixed structure such as a ceiling.
It is a further object of the present invention to provide a portable video projector frame system which houses and supports the projector, screen, and audio/video equipment and which can be readily assembled and disassembled for ease of transport.
It is a still further object of the present invention to provide a video projector frame system which can be semi-permanently installed if desired.」(1欄1ないし28行)
(日本語訳
この発明の背景
この発明は、多機能投影装置、より具体的にはポータブル・ビデオ・プロジェクター・フレーム・システムに関係する。
在来のフロント・ビデオ・プロジェクター・システムは、プロジェクターを天井またはその他の固定構造に永久的に搭載する。これは、プロジェクターの映像を投影するスクリーンまたはその他の平面を設置する場所の選択肢を厳しく制限する。スクリーンは、満足できる焦点の合ったビデオ映像を得るためにプロジェクターから所定かつ固有の距離に置かれなければならないからである。さらに永久的に設置されるプロジェクターは、システムの可搬性を排除する。
したがって、容易に設置でき、天井のような固定構造にプロジェクターを永久的に取り付けるという要件をもたないプロジェクター・フレーム・システムを提供することがこの発明の1つの目的である。
プロジェクター、スクリーン、およびオーディオ/ビデオ装置を格納・支持するとともに、持ち運びの便のために組立と分解の容易なポータブル・プロジェクター・フレーム・システムを提供することがこの発明のもう1つの目的である。
必要に応じて半永久的に設置できるプロジェクター・フレーム・システムを提供することがこの発明のさらにもう1つの目的である。)

(2)「Extending outwardly from the rear wall 12 is video projector support frame 20. The support frame 20 includes a first arm 21 and a second arm 22.」(3欄5ないし7行)
(日本語訳
リア・ウォール12から外へ伸びているのは、ビデオ・プロジェクター・サポート・フレーム20である。サポート・フレーム20は、第1のアーム21および第2のアーム22を含んでいる。)

(3)「1. A portable video frame system, comprising::
video projector image receiving means having a surface
and defining a rear vertical plane;
a V-shaped video projector top support frame extending
substantially orifaagonally from said rear vertical plane
for removable mounting of a video projector at a
spaced and predetermined distance from said image
receiving means; and
a base providing a support for said video projector receiv-ing means and said top support frame.」(4欄8ないし17行)
(日本語訳
1. 以下からなるポータブル・ビデオ・フレーム・システム:
表面をもち、かつ、リア垂直平面を画定するビデオ・プロジェクター映像受信手段、
前記映像受信手段から所定の距離だけ離隔した場所におけるビデオ・プロジェクターの脱着可能な搭載のために前記リア垂直平面からほぼ直交方向に伸びるV形ビデオ・プロジェクター・トップ・サポート・フレーム、および
前記ビデオ・プロジェクター受信手段およびトップ・サポート・フレームのための支持を与えるベース。)

(4)図1及び図2から、リア・ウォール12の上部からほぼ直交方向に伸びるビデオ・プロジェクター・サポート・フレーム20が見て取れる。

(5)上記(1)ないし(4)から、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「容易に設置でき、天井のような固定構造にプロジェクターを永久的に取り付けるという要件をもたないプロジェクター・フレーム・システムを提供することを1つの目的とし、
プロジェクター、スクリーン、およびオーディオ/ビデオ装置を格納・支持するとともに、持ち運びの便のために組立と分解の容易なポータブル・プロジェクター・フレーム・システムを提供することをもう1つの目的とし、
必要に応じて半永久的に設置できるプロジェクター・フレーム・システムを提供することをさらにもう1つの目的とし、
表面をもち、かつ、リア垂直平面を画定するビデオ・プロジェクター映像受信手段であって、前記映像受信手段から所定の距離だけ離隔した場所におけるビデオ・プロジェクターの脱着可能な搭載のために前記リア垂直平面の上部からほぼ直交方向に伸びるV形ビデオ・プロジェクター・トップ・サポート・フレームを含む、ビデオ・プロジェクター映像受信手段。」

第4 対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
1 引用発明1の「アーム」、「投影ヘッド」、「スクリーン」及び「一番高い部分」は、それぞれ、本願発明の「アーム」、「プロジェクター」、「『スクリーン機能』を有する『ボード』」及び「上部」に相当する。

2 本願明細書の「この多機能な複合ボード面は、本願出願人が開発したものであって、筆記面がスクリーンとしての使用に適する薄有色であって、表面粗さがチョーク及びマーカーの使用及びその払拭に適した範囲であるため、一つの筆記面にてチョークボード、マーカーボード、更にはスクリーンとしての利用が可能となるものである。」(【0014】参照。)との記載によれば、本願発明の「『筆記機能』を有する『ボード』」とは、「チョークボード、マーカーボードとして利用が可能なボード」と解されるところ、引用発明1の「ボード(スクリーン)」も、消去可能なホワイトボードとして使用できるものであるから、引用発明1の「ボード」と本願発明の「ボード」とは、「筆記機能を有する」点で一致する。

3 引用発明1において、「ボード(スクリーン)」は、フレームに取り付けられており、「プロジェクター(投影ヘッド)」が、「アーム」により、ヒンジユニットにおいてフレームの中央の「上部(一番高い部分)」にピボットで取り付けられているから、引用発明1の「ボード」と本願発明の「『上部又は側部にプロジェクター取り付け部を具備したアームが一体に取り付けられ』ている『ボード』」とは、「上部又は側部にプロジェクター支持用アームが一体に取り付けられている」ものである点でも一致するといえる。

4 上記1ないし3から、本願発明と引用発明1とは、
「筆記機能と共にスクリーン機能を有するボードであって、その上部又は側部にプロジェクター支持用アームが一体に取り付けられている、スクリーン機能を有するボード。」
である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記ボードが、本願発明では、「固定式又は移動式」のものであるのに対して、引用発明1では、そのようなものであるのか明らかでない点。

相違点2:
前記プロジェクター支持用アームが、本願発明では、「プロジェクター取り付け部」を具備したものであるのに対して、引用発明1では、そのようなものであるのか明らかでない点。

第5 判断
上記相違点1及び2について検討する。
1 相違点1について
(1)スクリーン機能を有する壁面固定式のボードは、本願の原出願日前に周知であり(以下「周知技術1」という。例.上記第3の1(3)、特開2006-315223号公報【0002】「…(略)…壁面に固定されたプロジェクタースクリーンであるボードスクリーン…(略)…」)、スクリーン機能を有する、下端にキャスターを備えたスタンドに設置される移動式のボードも、本願の原出願日前に周知である(以下「周知技術2」という。例.上記特開2006-315223号公報【0002】「キャスター付きの脚を取付けて移動可能とされた、…(略)…プロジェクタースクリーンであるボードスクリーン」、特開2000-355189号公報【0001】、【0003】及び【0013】参照。)。

(2)上記(1)から、引用発明1において、スクリーンを、壁面固定式、又は下端にキャスターを備えたスタンドに設置される移動式とすることは、当業者が周知技術1及び周知技術2に基づいて適宜なし得た設計上のことである。

(3)本願明細書の「【0018】本発明に係るスクリーン機能を有するボードは、壁面固定式に構成するだけでなく、下端にキャスターを備えたスタンド20に設置される移動式として構成することもできることは言うまでもない(図3参照)。」との記載によれば、本願発明の「スクリーン機能を有する固定式又は移動式のボード」は、壁面固定式のボード、及び下端にキャスターを備えたスタンドに設置される移動式のボードを含むものと解されるから、上記(2)の「スクリーンを壁面固定式、又は下端にキャスターを備えたスタンドに設置される移動式」は本願発明の「スクリーン機能を有する固定式又は移動式のボード」に相当する。

(4)上記(2)及び(3)から、引用発明1において、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知技術1及び周知技術2に基づいて適宜なし得た設計上のことである。

2 相違点2について
(1)引用例2には、「容易に設置でき、天井のような固定構造にプロジェクターを永久的に取り付けるという要件をもたないプロジェクター・フレーム・システムを提供することを1つの目的とし、
プロジェクター、スクリーン、およびオーディオ/ビデオ装置を格納・支持するとともに、持ち運びの便のために組立と分解の容易なポータブル・プロジェクター・フレーム・システムを提供することをもう1つの目的とし、
必要に応じて半永久的に設置できるプロジェクター・フレーム・システムを提供することをさらにもう1つの目的とし、
表面をもち、かつ、リア垂直平面を画定するビデオ・プロジェクター映像受信手段であって、前記映像受信手段から所定の距離だけ離隔した場所におけるビデオ・プロジェクターの脱着可能な搭載のために前記リア垂直平面の上部からほぼ直交方向に伸びるV形ビデオ・プロジェクター・トップ・サポート・フレームを含む、ビデオ・プロジェクター映像受信手段。」である引用発明2が記載されている(上記第3の2(5)参照。)。

(2)上記(1)から、引用発明1において、投影ヘッドを脱着可能とするために、アームを、投影ヘッドを脱着可能に搭載できるものとすることは、当業者が引用発明2に基づいて容易になし得たことである。

(3)本願明細書の「【0015】…(略)…プロジェクター23は、予めプロジェクター取付け部21に取り付けられていることもあるが、使用時等に取り付けられることもある。」との記載によれば、本願発明の「プロジェクター取付け部」は、プロジェクターが取り外し可能に取り付けられる部分と解されるから、上記(2)の「投影ヘッドを脱着可能に搭載できる」ものとした「アーム」における、投影ヘッドが脱着可能に搭載される部分は、本願発明の「プロジェクター取付け部」に相当する。

(4)上記(2)及び(3)から、引用発明1において、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用発明2に基づいて容易になし得たことである。

3 効果について
本願発明の奏する効果は、当業者が、引用発明1の奏する効果、引用発明2の奏する効果、周知技術1の奏する効果及び周知技術2の奏する効果から予測できた程度のものである。

4 まとめ
したがって、本願発明は、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2に記載された発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-01 
結審通知日 2011-08-02 
審決日 2011-08-17 
出願番号 特願2009-285564(P2009-285564)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B43L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 菅野 芳男
桐畑 幸▲廣▼
発明の名称 スクリーン機能を有するボード  
代理人 齋藤 貴広  
代理人 齋藤 晴男  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ