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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1244341
審判番号 不服2010-26684  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-26 
確定日 2011-09-26 
事件の表示 特願2007-183418「医用画像表示装置、方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月29日出願公開、特開2009- 18048〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成19年7月12日に特許出願されたものであって,平成22年8月26日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。さらに,平成23年2月18日付けで審尋がなされ,回答書が同年4月22日付けで請求人より提出されたものである。


第2 平成22年11月26日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正内容
本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであって,そのうち請求項1についてする補正は,以下のとおりである。

(1)補正前の請求項1(平成22年6月7日付けの手続補正によって補正されたもの。)
「【請求項1】
診断対象となる3次元医用画像を構成する一連のスライス画像を取得する画像取得手段と,
前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の3次元情報を取得する異常陰影領域取得手段と,
前記取得した異常陰影領域の3次元情報に基づいて前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段であって,少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を決定する決定手段と,
前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,
前記作成した表示画面を表示手段に出力する出力手段と,を備え,
前記表示画面作成手段は,前記取得した異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,前記決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含まないスライス画像も表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示させることを特徴とする医用画像表示装置。」

(2)補正後の請求項1(下線は,補正箇所を示す。)
「【請求項1】
診断対象となる3次元医用画像を構成する一連のスライス画像を取得する画像取得手段と,
前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の3次元情報を取得する異常陰影領域取得手段と,
前記取得した異常陰影領域の3次元情報に基づいて前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段であって,少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定し,又は前記スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定する決定手段と,
前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,
前記作成した表示画面を表示手段に出力する出力手段と,を備え,
前記表示画面作成手段は,前記取得した異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,前記決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含まないスライス画像も表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させることを特徴とする医用画像表示装置。」

2 本件補正の目的
本件補正前の「少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を」「決定する決定手段」を,「少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定し,又は前記スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定する決定手段」とする補正は,画面分割数の決定の内容を限定して,特許特許請求の範囲を減縮するものである。
また,本件補正前の「異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示させる」を,「異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させる」とする補正は,区別できるように表示させることの内容を限定して,特許特許請求の範囲を減縮するものである。
そうすると,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで,補正後の請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,以下検討する。

3 引用刊行物の記載事項
本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由において引用された刊行物である特開2006-197968号公報(以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。なお,以下において,下線は当審にて付与したものである。
(1-ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の診断対象部位に対し第1の画像診断装置が生成した空間的に連続する複数枚の第1の画像データと前記診断対象部位に対し第2の画像診断装置が生成した前記第1の画像データより少ない枚数の第2の画像データを含む画像データ群の中から,前記第1の画像データを診断用画像データとして,又,前記第2の画像データを参照用画像データとして取得する画像情報取得手段と,
前記参照用画像データの前記診断対象部位における特徴量を検出する特徴量検出手段と,検出された特徴量の位置情報に基づき空間的に連続する複数枚の診断用画像データに対して精査範囲を設定する精査範囲設定手段と,
設定された精査範囲における診断用画像データを精査範囲外の診断用画像データより優先して表示する画像データ表示手段を
備えたことを特徴とする画像観察装置。
・・・
【請求項8】
サムネール画像データ生成手段と診断用画像データ選択手段を備え,前記画像データ表示手段は,前記サムネール画像データ生成手段が生成した前記精査範囲における複数の診断用画像データのサムネール画像データの中から前記診断用画像データ選択手段が選択した所望のサムネール画像データに対応した診断用画像データを表示することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載した画像観察装置。」

(1-イ)
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像観察装置及び画像観察方法に係り,特に当該被検体に対して収集された多くの画像データの中から病巣部における画像データを効率よく読影することが可能な画像観察装置及び画像観察方法に関する。」

(1-ウ)
「【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで,上述のX線CT装置やMRI装置等では,空間分解能の改善を目的として画像データを構成する画素数や画像データ枚数は増加の一途にあり,例えば,ヘリカルスキャンの実用化によって3次元データ(ボリュームデータ)の生成が容易となったX線CT装置では,被検体の1検査におけるスライス方向の画像データ枚数は1000枚を超えることがある。そして,このような画像データに対して上述の特許文献1に記載されている方法を適用した場合には,画像解析に多くの時間を要し効率のよい読影を行なうことは困難であった。
【0009】
本発明は,上述の問題点に鑑みてなされたものであり,その目的は,画像データ枚数が比較的少ない画像診断装置の画像データ(参照用画像データ)から得られた病巣部の位置情報に基づいて画像データ枚数が多い画像診断装置の画像データ(診断用画像データ)の中から選択された前記病巣部における診断用画像データを優先的に読影することにより,精度のよい読影を効率よく行なうことが可能な画像観察装置及び画像観察方法を提供することにある。」

(1-エ)
「【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,画像データ枚数が比較的少ない参照用画像データから得られた病巣部の位置情報に基づいて画像データ枚数が多い診断用画像データの中から選択された前記病巣部における診断用画像データを優先的に読影することにより,精度のよい読影を効率よく行なうことが可能となる。」

(1-オ)
「【0016】
尚,以下の説明では,第1の画像診断装置をX線CT装置,第2の画像診断装置をX線診断装置とするがこれに限定されない。そして,第1の画像診断装置によって新たに得られ読影に供される画像データ(CT画像データ)を診断用画像データ,第2の画像診断装置によって予め得られ上述の診断用画像データにおける精査範囲を設定するために用いられる画像データ(X線画像データ)を参照用画像データと呼び,更に,精査範囲における診断用画像データを精査用画像データと呼ぶ。
【0017】
この場合,当該被検体に対して収集される診断用画像データは,参照用画像データと比較して極めて多い枚数を有する場合を想定しており,例えば,胸部の診断部位に対しX線CT装置から得られる診断用画像データは既に述べたように1000枚程度となるのに対して,伝統的なX線診断装置によって得られる参照用画像データは1枚あるいは数枚となる。」

(1-カ)
「【0019】
図1は,本実施例における画像観察装置の全体構成を示すブロック図であり,画像観察装置100は,画像診断装置101や画像データサーバ102から供給される診断用画像データや参照用画像データを,その付帯情報と共に保存する画像情報記憶部10と,画像情報記憶部10に保存された画像データの付帯情報に基づいて画像データリストを生成する画像データリスト生成部9と,この画像データリストに基づいて選択された画像データあるいは付帯情報を前記画像情報記憶部10から読み出す画像情報取得部11と,読み出された画像データに対して診断用画像データと参照用画像データを区分する画像データ識別部12と,区分された診断用画像データを保存すると共に,この診断用画像データの中から後述の精査範囲設定部15によって設定された精査用画像データを保存する診断用画像データ記憶部13を備えている。
【0020】
又,画像観察装置100は,画像データ識別部12によって区分された参照用画像データの病巣部における陰影等の特徴量を検出し,この特徴量に基づいて設定された関心領域(ROI:Region of Interest)の位置データを生成する特徴量位置データ生成部14と,ROIの位置データに基づいて診断用画像データにおける精査範囲を設定する精査範囲設定部15を備え,更に,上述の画像データリストや精査範囲設定部15によって設定された精査範囲の診断用画像データ,即ち精査用画像データ等を表示する表示部16と,前記画像データリストにおいて所望の診断用画像データ及び参照用画像データの選択や各種コマンド信号の入力等を行なう入力部17と,上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部18を備えている。
・・・
【0023】
一方,図1の画像情報取得部11は,表示部16に表示された画像データリストにおいて入力部17が選択した情報に基づき,当該被検体に対する診断用画像データと,この診断用画像データに対して精査範囲を設定するための参照用画像データを読み出す。・・・『造影剤有』『造影剤無』『拡大表示』『高コントラスト』の各シリーズで生成されたM枚のCT画像データDd-1乃至Dd-Mが順次読み出される。・・・同様にして,参照用画像データとして・・・X線画像データDr-1が読み出される。
・・・
【0025】
診断用画像データ記憶部13は,画像データ識別部12によって区分された各シリーズの診断用画像データDd-1乃至Dd-Mを順次保存し,更に,特徴量位置データ生成部14が設定したROIの位置データに基づき後述の精査範囲設定部15が診断用画像データに対して設定した精査範囲におけるP枚の精査用画像データDx-1乃至Dx-Pの保存を行なう。具体的には,診断用画像データDd-1乃至Dd-Mの中の前記精査範囲における診断用画像データに対し,精査用画像データであることを識別するためのインデックスDx-1乃至Dx-Pが付加される。
【0026】
次に,特徴量位置データ生成部14は,画像データ識別部12によって区分された参照用画像データを保存する参照用画像データ記憶部141と,この参照用画像データに対して所定の画像処理を行ない腫瘍陰影等の特徴量を検出する特徴量検出部142と,検出された特徴量の形状に基づいてROIを設定するROI設定部143を備えている。
・・・
【0031】
図4は,参照用画像データとして収集された胸部のX線透視画像データを示したものであり,・・・参照用画像データ51は,・・・腫瘍等の特徴量52が検出され,更に,ROI設定部143により,円形状のROI53が前記特徴量52を取り囲むように自動設定される。尚,図4の参照用画像データ51におけるZ方向は被検体の体軸方向に対応している。
【0032】
そして,ROI設定部143よりROI53の位置情報が供給された精査範囲設定部15は,診断用画像データが体軸方向(Z方向)に垂直な複数の断面において得られるCT画像データの場合には,前記ROIにおけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxに設定する。
【0033】
一方,図5は,X線CT装置によって収集された胸部の診断用画像データDd-1乃至Dd-MとROI53の位置情報によって設定された精査用画像データDx-1乃至Dx-Pを示したものであり,画像情報取得部11は,被検体の体軸方向(Z方向)にΔZ間隔で収集された診断用画像データDd-1乃至Dd-Mを画像情報記憶部10から読み出す。そして,読み出された診断用画像データDd-1乃至Dd-Mは,画像データ識別部12を介して診断用画像データ記憶部13に保存される。
【0034】
次いで,上述の精査範囲設定部15は,ROI53におけるZ軸方向の最小値Zmin及び最大値Zmaxで定義された精査範囲ΔZxに対応する診断用画像データを精査用画像データZx-1乃至Zx-Pに設定する。
【0035】
再び図1に戻って,表示部16は,画像データリスト生成部9にて生成された診断用画像データ及び参照用画像データに関する画像データリスト(図3参照)や診断用画像データ記憶部13に保存された精査用画像データの表示を行ない,更に,診断用画像データ記憶部13に保存された診断用画像データや精査用画像データを用いて生成したサムネール画像データやスカウト画像データを表示する。
【0036】
図6は,表示部16の構成を示したものであり,表示部16は,サムネール画像データ生成部161,スカウト画像データ生成部162,表示データ生成回路163,変換回路164及びモニタ165を備えている。
【0037】
サムネール画像データ生成部161は,診断用画像データ記憶部13に保存された精査用画像データDx-1乃至Dx-Pを読み出し,そのサムネール画像データDxs-1乃至Dxs-Pを生成する。又,診断用画像データが複数のシリーズにおいて得られる場合には,各シリーズを代表する精査用画像データ(例えば,精査範囲設定部15が設定した精査範囲ΔZxの略中央において得られた精査用画像データ)のサムネール画像データを各々のシリーズに対して生成する。
【0038】
一方,スカウト画像データ生成部162は,診断用画像データ記憶部13に保存されている診断用画像データと精査用画像データの位置情報に基づいてスカウト画像データを生成する。即ち,スカウト画像データ生成部162は,診断用画像データ記憶部13に保存されている体軸方向に垂直な複数のスライス断面において生成された診断用画像データと上述の精査用画像データの位置情報とからスカウト画像データを生成する。
【0039】
次に,表示データ生成回路163は,画像データリスト生成部9にて生成された診断用画像データ及び参照用画像データに関する画像データリスト,診断用画像データ記憶部13に保存された精査用画像データ,更には,表示部16のサムネール画像データ生成部161及びスカウト画像データ生成部162において生成された上述のサムネール画像データ及びスカウト画像データを所定の表示フォーマットに変換して表示データを生成する。又,精査用画像データの表示に際しては,この精査用画像データに対して付帯情報を合成し表示データを生成する。そして,表示データ生成回路163にて生成された表示データは,変換回路164にてD/A変換とテレビフォーマット変換がなされた後モニタ165に表示される。
【0040】
図7(a)は,表示部16のモニタ165においてシリーズ単位で表示されるサムネール画像データの具体例を示したものであり,例えば,造影剤無,造影剤有,拡大撮影,高コントラスト撮影の各シリーズにおける代表的な精査用画像データのサムネール画像データDxs1乃至Dxs4が並列表示される。尚,この場合のサムネール画像データDxs1乃至Dxs4は,既に述べたように精査範囲設定部15が設定した精査範囲ΔZxの略中央において得られた精査用画像データに基づいて生成されたものであってもよいが,頭部側の精査用画像データDx-1に基づくものであってもよく,特に限定されない。
【0041】
又,図7(b)は,図7(a)に示した複数のサムネール画像データDxs1乃至Dxs4の中の所定シリーズのサムネール画像データ(例えばサムネール画像データDxs1)が選択された場合に表示部16に表示される画像データを示している。この場合,選択されたシリーズにおける代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データがモニタ165の中央部に表示される。尚,スカウト画像データ生成部162が生成したスカウト画像データSSも,上述の画像データと共に表示してもよい。
【0042】
一方,図8は,表示部16に表示されるスカウト画像データを示したものであり,診断用画像データDd?1乃至Dd-Mに基づいて生成された画像データに対し,診断用画像データDd?1乃至Dd-Mの位置情報を示すスライスラインSL-1乃至SL-M及び精査用画像データの位置情報を示すスライスラインSLx-1乃至SLx-Pが重畳表示される。この場合,精査用画像データのスライスラインSLx-1乃至SLx?Pは,診断用画像データのスライスラインSL-1乃至SL?Mに対し異なる色彩や線種等で表示することによって精査用画像データの位置を容易に把握することが可能となる。」

(1-キ)
「【0053】
次いで,精査範囲設定部15は,ROI設定部143から供給されたROIの位置データに基づき,診断用画像データ記憶部13に保存されている各シリーズの診断用画像データに対して精査範囲を設定し,更に,この精査範囲の診断用画像データを精査用画像データに設定する(図9のステップS6)。
【0054】
一方,表示部16のスカウト画像データ生成部162は,診断用画像データ記憶部13に保存されている診断用画像データと精査範囲設定部15が設定した精査用画像データの位置情報とからスカウト画像データを生成する(図8参照)。
【0055】
又,サムネール画像データ生成部161は,診断用画像データ記憶部13に保存された精査用画像データを読み出し,そのサムネール画像データを生成する。そして,このとき生成された各シリーズの代表サムネール画像データは表示部16の表示データ生成回路163及び変換回路164を介してモニタ165に並列表示される(図7(a)参照)。
【0056】
次に,操作者は,表示部16に表示された各シリーズの代表サムネール画像データの中から所望シリーズの代表サムネール画像データを入力部17に設けられた入力デバイスを用いて選択し,システム制御部18を介してこの選択情報を受信した表示部16の表示データ生成回路163は,選択されたシリーズにおける複数のサムネール画像データとスカウト画像データ生成部162が生成したスカウト画像データを合成し,変換回路164を介してモニタ165に表示する(図7(b)参照)(図9のステップS7)。
【0057】
次に,操作者は,表示部16に表示されたスカウト画像データを参考に所望位置におけるサムネール画像データを入力部17の入力デバイスを用いて選択する。この選択情報を受信した表示部16の表示データ生成回路163は,選択されたサムネール画像データに対応した精査用画像データと付帯情報を診断用画像データ記憶部13から読み出し,所定表示フォーマットに変換して表示データを生成する。そして,この表示データは,変換回路164にてD/A変換とテレビフォーマット変換がなされた後モニタ165に表示される(図9のステップS8)。そして,操作者は,表示された精査用画像データに対して精密な読影(精査)を行なう(図9のステップS9)。
【0058】
以下,上述の動作を繰返すことによって精査用画像データに対する精査を行ない,これらの精査が終了したならば,精査範囲以外における診断用画像データに対して通常の読影を行なう(図9のステップS10)。
【0059】
以上述べた第1の実施例によれば,画像データ枚数が比較的少ない参照用画像データから得られた病巣部の位置情報に基づいて画像データ枚数が多い診断用画像データの中から選択した前記病巣部における精査用画像データを優先的に精密読影することにより,精度のよい読影を効率よく行なうことが可能となる。
【0060】
又,上述の方法によって設定された精査用画像データを読影する際に,この精査用画像データに対するサムネール画像データやスカウト画像データに基づいて所望の精査用画像データの選択が行なわれるため,被検体あるいは腫瘍等の病巣部と精査用画像データの位置関係を正確に把握することが可能となる。
【0061】
尚,上述の実施例では,診断用画像データに対して精査範囲を設定する際に,先ず参照用画像データの病巣部における特徴量を検出し,この特徴量に対して設定したROIの位置情報に基づいて精査範囲を設定したが,検出された特徴量の位置情報から前記精査範囲を直接設定してもよい。又,参照用画像データに対して特徴量を検出する際の画像処理は,上述のフィルタリング処理や2値化処理に限定されるものではなく,他の画像処理方法を適用してもよい。」

(1-ク)
「【図面の簡単な説明】
【0082】
・・・
【図7】同実施例の表示部におけるサムネール画像データの表示例を示す図。
【図8】同実施例の表示部におけるスカウト画像データの表示例を示す図。
・・・」

(1-ケ)
図7(b)には,表示部におけるサムネール画像データの表示例を示す図であって,選択されたシリーズにおける代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データがモニタ165の中央部の四角枠中に表示され,前記モニタ165には,前記中央部の四角枠で示された表示部以外にも,別の四角枠で示された複数の表示部が存在する様子が記載されている。

(1-コ)
図8には,表示部におけるスカウト画像データの表示例が記載されている。

上記摘記事項(1-ア)?(1-コ)からみて,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。

「被検体の診断対象部位に対し第1の画像診断装置が生成した空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mと前記診断対象部位に対し第2の画像診断装置が生成した前記第1の画像データより少ない枚数の参照用画像データDr-1とを取得する画像情報取得部11と,
前記参照用画像データの腫瘍陰影等の特徴量52を検出する特徴量検出部142と,
検出された前記特徴量52の位置情報に基づき,空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mに対して,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxとして直接設定し,前記精査範囲ΔZxに対応する診断用画像データを精査用画像データDx-1乃至Dx-Pに設定する精査範囲設定部15と,
前記精査用画像データDx-1乃至Dx-Pを読み出し,そのサムネール画像データDxs-1乃至Dxs-Pを生成するサムネール画像データ生成部161と,
診断用画像データ選択手段と,
モニタ165を備え,
前記モニタ165には,選択されたシリーズにおける代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データを中央部に含む画像が表示されるとともに,前記サムネール画像データ生成部161が生成したサムネール画像データDxs-1乃至Dxs-Pの中から前記診断用画像データ選択手段が所望のサムネール画像データを選択した場合に,当該所望のサムネール画像データに対応した診断用画像データを表示する画像観察装置。」(以下,「引用発明」という。)

また,本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由において引用された刊行物である特表2003-524489号公報(以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
(2-ア)
「【要約】
コンピュータトモグラフィ(computed tomography, CT)の画像スキャンにおいて肺小結節を自動的に検出するための斬新な方法,システム,およびコンピュータ読み出し媒体であって:CTの画像スキャンから求められた複数の二次元のCT画像断面をセグメント化することによって二次元のセグメント化された肺画像を生成することと;二次元のセグメント化された肺画像を結合することによって三次元のセグメント化された肺体積の画像を生成することと;体積基準を満たす三次元のセグメント化された肺体積の画像内の構造を識別することを含めて,三次元のセグメント化された肺体積の画像から三次元の肺小結節候補を判断することと;肺小結節候補から特徴を求めることと;特徴を解析して,小結節候補から偽陽性の小結節を削除することによって,肺小結節を検出することとを含む方法,システム,およびコンピュータ読み出し媒体。」

(2-イ)
「【0057】
本発明では,胸部のヘリカルCTスキャンにおける肺小結節の自動検出についての向上した方法が提供する。この方法では,濃度閾値化技術を使用して,画像データ内で肺体積をセグメント化する。体積基準に関連して,多数の濃度閾値が適用され,1組の三次元の小結節候補を識別する。例えば,自動分類器のような線形識別解析を使用して,小結節以外の構造に対応する候補の数を低減する。この方法は,CTスキャンにおいて肺小結節を正確に検出する能力における有望な働きを証明している。」

同様に,本願出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由において引用された刊行物である特開平6-292654号公報(以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。
(3-ア)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,医用画像を分割して表示する表示方法に関するものである。近年,医療業界では医用画像を電子化しておき,いつでもどこでもだれでも容易に検索可能な医用画像管理システムが導入されている。この際に,患者毎に撮影した一連の画像を医学的に意味のある画像属性(例えば種別)毎に関連づけて画面分割して表示することが望まれている。
【0002】
【従来の技術】従来,医師が診断条件を入力して1検査を選択すると,患者の患部を撮影した画像を順次CRTに表示して診断を行う。この際,一般的に1検査でX線CTスキャナーでは20枚位の画像が発生し,MRI(各磁気共鳴装置)の画像では100枚の画像が発生することもある。
【0003】これらの画像を発生順に順次1枚毎にCRT上に表示したり,画面を固定的に分割した部分に画像発生順に順次表示したりしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の画像を発生順に順次1枚毎にCRT上に表示したのでは,見たい画像に到達するまで注視する必要があり,非常に疲れると共に,1枚だけの表示では前後の変化の様子を見渡すことができないという問題があった。
【0005】また,画面を固定的に分割した部分に画像を発生順に表示したのでは,医学的に意味のある順番に表示されなく,見難いという問題があった。これらの問題をまとめると下記のようになる。
【0006】
(1) 1検査毎の全体像が把握できない。
(2) 画像の表示される順番が発生順であり,医学的に不連続である。
(3) 1枚だけ診断するのではなく,前後のスライスなどした画像を見比べる必要があるが,その見比べる画像が同時に医学的に意味のある順番で表示されない。」

(3-イ)
「【0040】図7は,本発明の画面の分割説明図を示す。これは,図4のフローチャートに従って画面分割するときの例である。ここで,実線は,種別毎の分割を表し,点線は種別内の分割を表す。
【0041】図7の(a)は,1回目の画面分割例を示す。これは,図4のS11で種別がT2,T1の2つであった場合(図3の(a)の画像例の場合),画面の縦方向を2分割し,次にS12で各種別の画面を正方形に2分割した例を示す。この図7の(a)の分割では,図3の(a)の種別毎の画像が入らないので,図7の(b)に進む。
【0042】図7の(b)は,2回目の画面分割例を示す。これは,図4のS14で縦方向の分割数を+1してここでは種別毎に2分割し,次にS12で各種別の画面を正方形に4分割した例を示す。この図7の(b)の分割では,図3の(a)の種別毎の画像が入るので,図7の(b-1)に進む。
【0043】図7の(b-1)は,左上より順につめて表示した例を示す。これは,図7の(b)の画面上で,種別T2でロケーションの降順にソートした画像10,8,6,4,2,および種別T1でロケーションの降順にソートした画像9,7,5,3,1を左上より順につめて表示したものである。
【0044】図7の(c)は,3回目の画面分割例を示す。これは,図7の(b)の分割でも画像が入らない場合,更に図4のS14で縦方向の分割数を+1してここでは種別毎に3分割し,次にS12で各種別の画面を正方形に6分割した例を示す。この横分割6でも画像が全て入らない場合には,更に縦方向の分割および横方向お分割を繰り返し,画像が入るまで繰り返し,動的に画面分割を行う。」

(3-ウ)
図7(a)には,T1,T2それぞれの種別内の分割に関し,1回目の分割で,画面がそれぞれ2分割された様子が記載されている。
図7(b)には,T1,T2それぞれの種別内の分割に関し,2回目の分割で,画面がそれぞれ8分割された様子が記載されている。
図7(c)には,T1,T2それぞれの種別内の分割に関し,3回目の分割で,画面がそれぞれ18分割された様子が記載されている。
図7(b-1)には,T1,T2それぞれの種別内の分割に関し,2回目の分割で,画面がそれぞれ8分割され,それぞれ,5つの分割画面に画像が表示され,3つの分割画面が余っている様子が記載されている。

4 対比・判断

(1)対比
補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「診断用画像データDd-1乃至Dd-M,および,精査用画像データDx-1乃至Dx-P」,「腫瘍陰影等の特徴量52」および「モニタ165」は,その機能からみて,それぞれ,補正発明の「スライス画像」,「異常陰影領域」および「表示手段」に相当する。

イ 引用例1の摘記事項(1-ウ)における「【0008】・・・3次元データ(ボリュームデータ)の生成が容易となったX線CT装置では,被検体の1検査におけるスライス方向の画像データ枚数は1000枚を超えることがある。・・・【0009】本発明は,上述の問題点に鑑みてなされたものであり,その目的は,・・・画像データ枚数が多い画像診断装置の画像データ(診断用画像データ)の中から選択された前記病巣部における診断用画像データを優先的に読影する・・・」の記載からみて,引用発明の「診断用画像データDd-1乃至Dd-M」は,3次元医用画像を構成する一連のスライス画像であることが明白である。
してみると,引用発明の「被検体の診断対象部位に対し第1の画像診断装置が生成した空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mと前記診断対象部位に対し第2の画像診断装置が生成した前記第1の画像データより少ない枚数の参照用画像データDr-1とを取得する画像情報取得部11」は,補正発明の「診断対象となる3次元医用画像を構成する一連のスライス画像を取得する画像取得手段」に相当する。

ウ 引用発明では,「空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mに対して,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxとして直接設定」しているのであるから,取得した複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mに含まれる腫瘍陰影等の特徴量52(異常陰影領域)の位置情報を取得していることが明白である。
してみると,引用発明の「前記参照用画像データの腫瘍陰影等の特徴量52を検出する特徴量検出部142と,検出された前記特徴量52の位置情報に基づき,空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mに対して,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxとして直接設定し,前記精査範囲ΔZxに対応する診断用画像データを精査用画像データDx-1乃至Dx-Pに設定する精査範囲設定部15」とを備える点と,補正発明の「前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の3次元情報を取得する異常陰影領域取得手段」を備える点とは,「前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の位置情報を取得する異常陰影領域取得手段」を備える点で共通する。

エ 引用発明では,「前記モニタ165には,選択されたシリーズにおける代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データを中央部に含む画像が表示され」るのであるから,代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データを中央部に含む画像を表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,前記作成した表示画面をモニタ165に出力する出力手段を備えていることが自明である。また,引用発明の「サムネール画像データDxs-1乃至Dxs-P」は,前記特徴量52(異常陰影領域)におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間のスライス画像である「精査用画像データDx-1乃至Dx-P」から生成されるものであるから,引用発明の「代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データ」が,異常陰影領域を含むスライス画像であることも自明である。
してみると,引用発明の「前記モニタ165には,選択されたシリーズにおける代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データを中央部に含む画像が表示され」る点と,補正発明の「前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,前記作成した表示画面を表示手段に出力する出力手段と」を備える点とは,「前記異常陰影領域を含むスライス画像を表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,前記作成した表示画面を表示手段に出力する出力手段と」を備える点で共通する。

オ 引用発明の「画像観察装置」は,補正発明の「医用画像表示装置」に相当する。

そうすると,両者は,

(一致点)
「診断対象となる3次元医用画像を構成する一連のスライス画像を取得する画像取得手段と,
前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の位置情報を取得する異常陰影領域取得手段と,
前記異常陰影領域を含むスライス画像を表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,
前記作成した表示画面を表示手段に出力する出力手段と,を備える医用画像表示装置。」
の点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点1)前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の位置情報を取得する異常陰影領域取得手段が,補正発明では,前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の「3次元情報」を取得しているのに対し,引用発明では,「前記参照用画像データの腫瘍陰影等の特徴量52を検出する特徴量検出部142と,検出された前記特徴量52の位置情報に基づき,空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mに対して,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxとして直接設定し,前記精査範囲ΔZxに対応する診断用画像データを精査用画像データDx-1乃至Dx-Pに設定する精査範囲設定部15」である点。

(相違点2)補正発明では,「前記取得した異常陰影領域の3次元情報に基づいて前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段であって,少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定し,又は前記スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定する決定手段」を備えているのに対し,引用発明では,そのような手段を備えておらず,
前記異常陰影領域を含むスライス画像を表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段が,補正発明では,「前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて」前記異常陰影領域を含む「複数の」スライス画像を「マルチ画面」表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段であるのに対し,引用発明では,選択されたシリーズにおける代表的なサムネール画像データDxs1に対応した画像データを中央部に含む画像を表示するための表示画面を作成するものであり,
表示画面作成手段が,補正発明では,「前記取得した異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,前記決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含まないスライス画像も表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させる」ものであるのに対し,引用発明では,そのような構成でない点。

(2)上記相違点1について
本願明細書の段落【0084】には,「ステップS14により異常陰影領域の外形形状を示す3D情報を取得すると,この3D情報に基づいて異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数を算出する(ステップS40)。例えば,異常陰影領域の外形形状を示す3D情報のうちの最も大きなz座標を有するスライス画像のスライス番号と,最も小さなz座標を有するスライス画像のスライス番号との差に1を加算することで,異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数を算出することができる。・・・」と記載されていることからみて,補正発明の「異常陰影領域の3次元情報を取得する」は,異常陰影領域の3次元情報のうちz軸方向の情報を取得することを包含しているといえる。
他方,引用発明では,「空間的に連続する複数枚の診断用画像データDd-1乃至Dd-Mに対して,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxとして直接設定し」ているのであるから,特徴量52(異常陰影領域)の3次元情報のうちz軸方向の情報を取得していることが明白である。
してみると,上記相違点1は,補正発明と引用発明との実質的な相違点であるとはいえない。

仮に,上記相違点1が,補正発明と引用発明との実質的な相違点であるとしても,当該相違点1は,以下のとおり,引用発明および引用例2に記載の技術的事項から,当業者が容易に想到し得るものである。
引用例2の摘記事項(2-ア)および(2-イ)からみて,引用例2には,CTの画像スキャンから求められた複数の二次元のCT画像から三次元の肺小結節候補を識別すること,すなわち,一連のスライス画像から三次元の異常陰影領域を識別する(異常陰影領域の3次元情報を取得する)という技術的事項が記載されているといえる。
そして,引用発明も引用例2に記載の上記技術的事項も,医用画像表示装置という同一の技術分野に属するものであり,異常陰影領域を抽出するという技術的課題も一致していることから,引用発明に,引用例2に記載の上記技術的事項を適用し,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間を精査範囲ΔZxを求めるために,一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の3次元情報を取得するようにすること,すなわち,上記相違点1における補正発明のようにすることは,当業者であれば何ら困難性はなく,容易に想到し得る事項であるといえる。

(3)相違点2について
ア 「前記取得した異常陰影領域の3次元情報に基づいて前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段であって,少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定し,又は前記スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定する決定手段」を備えている点について
引用発明は,「前記精査用画像データDx-1乃至Dx-Pを読み出し,そのサムネール画像データDxs-1乃至Dxs-Pを生成」し,「生成したサムネール画像データDxs-1乃至Dxs-Pの中から前記診断用画像データ選択手段が所望のサムネール画像データを選択」するものである。
ところで,引用例3の摘記事項(3-ア)?(3-ウ)の記載からみて,引用例3には,「一連の医用画像を画面分割して表示する表示手段であって,画像属性(種別)毎の分割および画像属性(種別)内の分割を行う表示手段であり,各画像属性(種別)内の分割に関しては,2分割,8分割,18分割を含む複数の画面分割数が用意され,各画像属性(種別)の画像の全てが入らない場合には,縦方向の分割および横方向の分割を画像が入るまで繰り返し,動的に画面分割を行う表示手段」という技術的事項が記載されている。
そして,(A)引用発明も引用例3に記載の上記技術的事項も,医用画像表示装置という同一の技術分野に属するものであり,診断を行い易くするという技術的課題も一致していること,(B)引用例3の摘記事項(3-ア)には「【0006】・・・1枚だけ診断するのではなく,前後のスライスなどした画像を見比べる必要がある」という技術的課題が記載され,当該技術的課題に照らせば,引用発明においても,代表的なサムネール画像データの他に,前後のスライス位置におけるサムネール画像データを併せて表示し,画像を見比べられるようにすれば,診断を行い易くなることが明白であること,(C)引用発明は,ユーザーがサムネール画像データを選択するものであるが,ユーザーがサムネール画像データを選択するものにおいては,選択対象が把握しやすいように,サムネール画像データを一覧表示することが,例えば,写真画像管理ソフト等において一般的に採用されているように,本願出願前における常套手段であること,(D)引用例3に記載の技術的事項は,画像属性(種別)毎の分割および画像属性(種別)内の分割を行う表示手段であり,画像属性(種別)が複数存在する場合を想定したものであるのに対し,引用発明の「精査用画像データDx-1乃至Dx-P」は,画像属性(種別)が1種類である場合に該当するものであるが,引用例3に記載の技術的事項において,引用発明のように画像属性(種別)が1種類であるような単純なケースでは,種別毎の分割は行わず種別内の分割のみ行えば足りるのが自明であること,を総合的に考慮すれば,引用発明に,引用例3に記載の上記技術的事項を適用し,「前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段であって,少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定」する「決定手段」を備えるようにすることは,当業者であれば,何ら困難性はなく,容易に想到し得る事項であるといえる。
また,上記「異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数」は,引用発明では,前記特徴量52におけるZ軸方向の最小値Zminと最大値Zmaxの間のスライス画像の枚数,すなわち,精査範囲ΔZxに属するスライス画像の枚数であるのが自明であり,当該精査範囲ΔZxは,取得した異常陰影領域の3次元情報から求まるものであることが上記「(2)上記相違点1について」で検討のとおりであるから,引用発明において,上記のとおり,「異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて」画面分割数を決定するにあたっては,「取得した異常陰影領域の3次元情報に基づいて」決定することとなるのが自明である。
さらに,上記のとおり「該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定」することとすると,スライス画像の枚数が非常に多くなった場合には,分割数が非常に多くなり,各分割画面が非常に小さくなって各分割画面の識別が困難となるのが自明であるから,許容可能な画面分割数を予め設定し,「前記スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定する」ようにすることは,例えば,特開平11-55592号公報の段落【0030】に「また,マルチ画面分割数は,4,6,9,12,16,20の各分割画面とする。最適なマルチ画面分割数は,選局可能なチャンネル数以上で,最小の分割画面数とする。選局可能なチャンネル数が20以上の場合は,分割数を20とする。最低分割数は4画面とする。」と記載されているように,当業者であれば,当然になし得る設計的事項であるといえる。

イ 前記異常陰影領域を含むスライス画像を表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段が,「前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて」前記異常陰影領域を含む「複数の」スライス画像を「マルチ画面」表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段である点について
引用発明に,引用例3に記載の上記技術的事項を適用して,「前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段」を備えるようにするのが容易であることは,上記「ア」で検討のとおりである。
そして,上記のとおり,上記決定手段により,表示形態が決定され,異常陰影領域を含む複数のスライス画像がマルチ画面表示されることとなれば,引用発明の「表示画面作成手段」が,「前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて」前記異常陰影領域を含む「複数の」スライス画像を「マルチ画面」表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段となるのは自明である。

ウ 表示画面作成手段が,「前記取得した異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,前記決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含まないスライス画像も表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させる」ものである点について
引用発明に,引用例3に記載の上記技術的事項を適用して,「少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を」,「該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定」するようにするのが容易であることは,上記「ア」で検討のとおりである。
ところで,引用例3の摘記事項(3-ウ)における「図7(b-1)には,T1,T2それぞれの種別内の分割に関し,2回目の分割で,画面がそれぞれ8分割され,それぞれ,5つの分割画面に画像が表示され,3つの分割画面が余っている様子が記載されている。」の記載からみて,所定の分割数で分割画面を表示する場合に,表示する画像の枚数が,決定された画面分割数よりも少ない場合に,分割画面に余りが生じることは自明であり,当該分割画面の余りをそのまま余りとして,例えば,枠だけ表示するようにするか,あるいは,当該余りを利用して別の画像を表示するようにするかは,2者択一であり,当業者が適宜選択し得る事項である。
してみると,引用発明に,引用例3に記載の上記技術的事項を適用して,「少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を」,「該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定」するようにするに際して,分割画面の余りを利用して,別の画像,すなわち,異常陰影領域を含まないスライス画像を表示するようにすることは,当業者が適宜選択し得る設計的事項であるといえる。
また,(A)上記のとおり「異常陰影領域を含まないスライス画像を表示する」ようにした場合,異常陰影領域を含むスライス画像と,異常陰影領域を含まないスライス画像との混同を生じるおそれのあることは自明であり,また,引用例1の摘記事項(1-カ)には,「・・・【0042】・・・精査用画像データのスライスラインSLx-1乃至SLx?Pは,診断用画像データのスライスラインSL-1乃至SL?Mに対し異なる色彩や線種等で表示することによって精査用画像データの位置を容易に把握することが可能となる。・・・」と記載されていること,(B)表示画像を区別できるようにするために,表示枠を変更して表示することが,例えば,特開2006-14989号公報の段落【0025】に「・・・表示装置7は,同じグループに属するサムネイル画像には同じ色枠をつける等,各グループが視認できるように表示する。・・・」と記載され,特開2005-342128号公報の段落【0023】に「・・・基準超音波画像と抽出された超音波画像について他の超音波画像と区別(識別)可能な態様で表示するようにしてもよい。区別可能な態様の例としては,画像枠の色や縁取り線の濃さを変えることが挙げられる。・・・」と記載されているように,本願出願前に周知であること,を総合的に考慮すれば,上記のとおり「異常陰影領域を含まないスライス画像を表示する」ようにした場合,異常陰影領域を含むスライス画像と,異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるようにするために,表示枠を変更して表示するようにすることは,当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項であるといえる。

そして,本願明細書に記載された補正発明によってもたらされる効果は,引用例1?3の記載事項および周知技術から,当業者であれば予測することができる程度のものであり,格別顕著なものとはいえない。

なお,請求人は,補正発明の効果に関し,審判請求書7頁12行?8頁5行において「(3)本願発明の特徴
本願発明によれば,『3次元医用画像を構成する一連のスライス画像の中から異常陰影領域を含む複数のスライス画像を,効率的かつ読影しやすい表示形態で自動的に表示させることができ,これにより読影の効率化に寄与することができる。(本願明細書の段落[0025]参照』という効果を奏します。
特に,マルチ画面表示する際の画面分割数は,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定し,又はスライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定するようにしたため,異常陰影領域を含む複数のスライス画像を,可能な限り大きく,かつ1画面で表示することができ(本願明細書の段落[0068]),また,異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が多く,全てのスライス画像を1画面で表示できない場合には,最も画面分割数の多い分割画面で表示することにより(本願明細書の段落[0069]),無制限にスライス画像が小さくならないという効果を奏します。
また,異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含むスライス画像の異常陰影領域を含まないスライス画像も同時に表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させるようにしたため,異常陰影領域を含むスライス画像の範囲を直感的に判断することができるという効果を奏します。」と主張している。
しかし,「3次元医用画像を構成する一連のスライス画像の中から異常陰影領域を含む複数のスライス画像を,効率的かつ読影しやすい表示形態で自動的に表示させることができ,これにより読影の効率化に寄与することができる。」点は,引用例1において,特徴量52(異常陰影領域)を含む複数のスライス画像を精査用画像データとして抽出している点,および,引用例2において,複数のスライス画像を,読影しやすい表示形態で自動的に表示させている点から,当業者であれば予測することができる程度のものであるといえる。
また,「異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が多く,全てのスライス画像を1画面で表示できない場合には,最も画面分割数の多い分割画面で表示することにより」「無制限にスライス画像が小さくならないという効果を奏」する点については,無制限にスライス画像が小さくなるような態様は,当業者であれば当然に回避するものといえ,現に,「全てのスライス画像を1画面で表示できない場合には,最も画面分割数の多い分割画面で表示する」構成は,上記特開平11-55592号公報の段落【0030】にも開示されている。
加えて,「異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含むスライス画像の異常陰影領域を含まないスライス画像も同時に表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させるようにしたため,異常陰影領域を含むスライス画像の範囲を直感的に判断することができるという効果を奏」する点については,上記「(3)相違点2について ウ」で検討のとおり,分割画面の余りの利用の有無は,当業者が適宜選択し得る事項であり,分割画面の余りの利用を選択した場合には,付加的情報の表示に伴い本来表示すべき情報が把握しづらくなるという欠点のあることが自明であるのを前提として,引用例1の摘記事項(1-カ)における「・・・【0042】・・・精査用画像データのスライスラインSLx-1乃至SLx?Pは,診断用画像データのスライスラインSL-1乃至SL?Mに対し異なる色彩や線種等で表示することによって精査用画像データの位置を容易に把握することが可能となる。」の記載,特開2006-14989号公報の段落【0025】における「・・・表示装置7は,同じグループに属するサムネイル画像には同じ色枠をつける等,各グループが視認できるように表示する。・・・」の記載,および,特開2005-342128号公報の段落【0023】における「・・・基準超音波画像と抽出された超音波画像について他の超音波画像と区別(識別)可能な態様で表示するようにしてもよい。区別可能な態様の例としては,画像枠の色や縁取り線の濃さを変えることが挙げられる。・・・」の記載から,当業者であれば予測することができる程度のものであるといえる。
よって,請求人の上記主張は採用することができない。

5 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
以上のとおり,本件補正は,却下されることとなったから,本件特許出願人が特許を受けようとする発明は,平成22年6月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められ,そのうち請求項1に係る発明は,次のとおりである。(以下,「本願発明」という。)
「【請求項1】
診断対象となる3次元医用画像を構成する一連のスライス画像を取得する画像取得手段と,
前記取得した一連のスライス画像に含まれる異常陰影領域の3次元情報を取得する異常陰影領域取得手段と,
前記取得した異常陰影領域の3次元情報に基づいて前記一連のスライス画像のうちの前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するため表示形態を決定する決定手段であって,少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を決定する決定手段と,
前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像と前記決定した表示形態の情報とに基づいて前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像をマルチ画面表示するための表示画面を作成する表示画面作成手段と,
前記作成した表示画面を表示手段に出力する出力手段と,を備え,
前記表示画面作成手段は,前記取得した異常陰影領域を含むスライス画像の枚数が,前記決定された画面分割数よりも少ない場合には,異常陰影領域を含まないスライス画像も表示させ,かつ異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示させることを特徴とする医用画像表示装置。」

2 引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例およびその記載事項は,上記「第2 3 引用刊行物の記載事項」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は,補正発明から「少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を,それぞれ画面分割数が異なる複数の分割画面のうち,前記異常陰影領域を含む複数のスライス画像の枚数に基づいて,該スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面の中で最小の画面分割数を有する分割画面の画面分割数に決定し,又は前記スライス画像の枚数以上の画面分割数を有する分割画面がない場合には,最も画面分割数の多い分割画面の画面分割数に決定する決定手段」との限定を省き,元の「少なくとも前記マルチ画面表示する際の画面分割数を」「決定する決定手段」に戻し,「異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示枠を変更して表示させる」との限定を省き,元の「異常陰影領域を含むスライス画像と異常陰影領域を含まないスライス画像とを区別できるように表示させる」に戻したものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が,上記「第2 4 対比・判断」において検討のとおり,引用発明,引用例2に記載の技術的事項,引用例3に記載の技術的事項,および,周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,引用発明,引用例2に記載の技術的事項,引用例3に記載の技術的事項,および,周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-07-26 
結審通知日 2011-07-27 
審決日 2011-08-12 
出願番号 特願2007-183418(P2007-183418)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安田 明央  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 後藤 時男
石川 太郎
発明の名称 医用画像表示装置、方法及びプログラム  
代理人 松浦 憲三  

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