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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B
管理番号 1244516
審判番号 不服2010-7156  
総通号数 143 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-05 
確定日 2011-10-06 
事件の表示 特願2004-237577「無線中継装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月 2日出願公開、特開2006- 60321〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成16年8月17日の出願であって、平成21年12月24日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対して平成22年4月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正書が提出されたものである。

第2 補正却下の決定
平成22年4月5日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

(1)[補正却下の決定の結論]
平成22年4月5日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

(2)[補正却下の決定の理由]
(a)補正の内容
本件補正によると、少なくとも、その特許請求の範囲の請求項1は、
「基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えて、時分割多重された複数の絶対スロットを利用して移動局と基地局との間で無線による通信を行う無線通信システムに用いられ、移動局と基地局との間で各々の送信電波を中継する無線中継装置において、通信制御手段は、移動局の位置登録時に、基地局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、基地局からの指示によって絶対スロットを割り当てた後、移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てることを特徴とする無線中継装置。」
と補正されている。

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「移動局の位置登録時に移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」を、「移動局の位置登録時に、基地局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、基地局からの指示によって絶対スロットを割り当てた後、移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」とするものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するといえる。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下検討する。

(b)引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-26798号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下のような記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無線チャネル割当方法に関し、特に、TDMAによって通信を行なう無線通信システムにおける無線チャネル割当方法に関する。」(段落【0001】)

(イ)「【0002】
【従来の技術】図4は、従来の無線通信システムの構成例を示す図である。この無線通信システムは、無線端末101?10nと、無線端末101?10nと無線チャネルで接続される無線中継装置20と、無線中継装置20と無線チャネルで接続される無線基地局301?30mとで構成される。無線基地局301?30mは、他の無線基地局又はPSTN(Public Switched Telephone Network:公衆電話網)、ISDN(Integrated Services Digital Network:統合サービスディジタル網)、インターネット等の交換局、ルータ等に接続されている。
【0003】この従来の無線通信システムでの無線チャネル割当方法のシーケンスを図5に示して説明する。図5はPHS(Personal Handy Phone system)を用いて64k無線通信を行う場合を示している。
【0004】無線端末101は、発信時に無線端末側の第1の無線チャネル(以下、「端末側第1TCH」という。)の割当のためのLCH(リンクチャネル)確立要求信号を無線中継装置20に送信する(ステップ101)。
【0005】無線中継装置20は、無線端末101からの端末側第1CHの割当のためのLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301に対して無線基地局側の第1の無線チャネル(以下、「基地局側第1TCH」という。)の割当のためにLCH確立要求信号を送信する(ステップ102)。
【0006】無線基地局301は、無線中継装置20からLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301で使用していない無線チャネルを無線中継装置20に対して基地局側第1TCHとして割り当て、LCH割当信号によって無線中継装置20に通知する(ステップ103)。
【0007】無線中継装置20は、無線基地局301から割り当てられた基地局側第1TCHが使用可能であれば、基地局側第1TCHにおいて、無線基地局301との無線チャネルを確立する(ステップ104)。
【0008】そして、無線中継装置20は、使用していない無線チャネルを端末側第1TCHとして無線端末101に割り当て、無線端末101にLCH割当信号によって通知する(ステップ105)。
【0009】無線端末101は、無線中継装置20からLCH割当信号を受信すると、端末側第1TCHにおいて、無線中継装置20との無線チャネルを確立する(ステップ106)。
【0010】そして、無線中継装置20に無線端末側の第2の無線チャネル(以下「端末側第2TCH」という。)の割当を要求するためにTCH追加要求信号を無線中継装置20に送信する(ステップ107)。
【0011】無線中継装置20は、無線端末101からのTCH追加要求信号を受信すると、無線基地局301に対して無線基地局側の第2の無線チャネル(以下「基地局側第2TCH」という。)の割当のためにLCH確立要求信号を送信する(ステップ108)。
【0012】無線基地局301は、無線中継装置20からLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301で使用していない無線チャネルを無線中継装置20に対して基地局側第2TCHとして割り当て、LCH割当信号によって無線中継装置20に通知する(ステップ109)。
【0013】無線中継装置20は、無線基地局301から割り当てられた基地局側第2TCHが使用可能でれば、基地局側第2TCHにおいて、無線基地局301との無線チャネルを確立する(ステップ110)。
【0014】そして、使用していない無線チャネルを端末側第2TCHとして、無線端末101にLCH割当信号によって通知する(ステップ111)。
【0015】無線端末101は、無線中継装置20からLCH割当信号を受信すると、端末側第2TCHにおいて、無線中継装置20との無線チャネルを確立する(ステップ112)。
【0016】上記に示す手順により各無線端末101?10nは、無線中継装置20を介して無線基地局301?30mと無線チャネルを確立する事が可能になる(ステップ113)。」(段落【0002】?【0016】)

(ウ)「【0017】従来の無線チャネル割当方法においては、無線基地局301?30m及び、無線中継装置20が任意の使用していない無線チャネルを割り当てる。無線基地局301?30mは無線中継装置20が無線端末101?10nに割り当てた端末側第1TCHの無線チャネルを知る事ができないので、無線基地局301?30mが無線中継端末20に割り当てた基地局側第2TCHと端末側第1TCHが同一となる場合がある。この場合、無線中継装置20は無線基地局301?30mに再度基地局側第2TCHの割当を要求するが、無線基地局301?30mが先に割り当てた基地局側第2TCH以外の無線チャネルを割り当てる事が出来なければ、無線端末101?10nと無線基地局301?30mの間において複数の無線チャネルを確立することができない。」(段落【0017】)

以上の記載によれば、引用例には従来の技術に以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「無線端末101?10nと、無線端末101?10nと無線チャネルで接続される無線中継装置20と、無線中継装置20と無線チャネルで接続される無線基地局301?30mとで構成され、TDMAによって通信を行う無線通信システムにおいて、
無線中継装置20は、無線端末101からの端末側第1TCHの割当のためのLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301に対して無線基地局側の第1の無線チャネル(以下、「基地局側第1TCH」という。)の割当のためにLCH確立要求信号を送信し、
無線基地局301は、無線中継装置20からLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301で使用していない無線チャネルを無線中継装置20に対して基地局側第1TCHとして割り当て、LCH割当信号によって無線中継装置20に通知し、
無線中継装置20は、無線基地局301から割り当てられた基地局側第1TCHが使用可能であれば、基地局側第1TCHにおいて、無線基地局301との無線チャネルを確立し、
無線中継装置20は、使用していない無線チャネルを端末側第1TCHとして無線端末101に割り当て、無線端末101にLCH割当信号によって通知し、
無線端末101は、無線中継装置20からLCH割当信号を受信すると、端末側第1TCHにおいて、無線中継装置20との無線チャネルを確立し、
無線中継装置20に無線端末側の第2の無線チャネル(以下「端末側第2TCH」という。)の割当を要求するためにTCH追加要求信号を無線中継装置20に送信し、
無線中継装置20は、無線端末101からのTCH追加要求信号を受信すると、無線基地局301に対して無線基地局側の第2の無線チャネル(以下「基地局側第2TCH」という。)の割当のためにLCH確立要求信号を送信し、
無線基地局301は、無線中継装置20からLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301で使用していない無線チャネルを無線中継装置20に対して基地局側第2TCHとして割り当て、LCH割当信号によって無線中継装置20に通知し、
無線中継装置20は、無線基地局301から割り当てられた基地局側第2TCHが使用可能でれば、基地局側第2TCHにおいて、無線基地局301との無線チャネルを確立し、使用していない無線チャネルを端末側第2TCHとして、無線端末101にLCH割当信号によって通知し、
無線端末101は、無線中継装置20からLCH割当信号を受信すると、端末側第2TCHにおいて、無線中継装置20との無線チャネルを確立する無線通信システム。」

(c)対 比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「無線基地局301」は、本願補正発明の「基地局」に相当する。
(2)引用発明の「無線端末101」は、本願補正発明の「移動局」に相当する。
(3)引用発明の「無線中継装置20」は、「無線基地局301」、「無線端末101」と「TDMAで通信を行って」いるから、本願補正発明の「時分割多重された複数の絶対スロットを利用して移動局と基地局との間で無線による通信を行う無線中継システムに用いられ、移動局と基地局との間で各々の送信電波を中継する無線中継装置」に相当し、引用発明の「無線中継装置20」は「無線基地局301及び無線端末101」と通信を行う無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えることは明らかである。
(4)引用発明の「無線チャネル」は、TDMAで通信を行っているから、本願補正発明の「絶対スロット」に相当するといえ、引用発明において、「無線中継装置20」の通信制御手段が無線チャネルの割り当てを行っていることは明らかである。
(5)引用発明の「無線基地局301に対して無線基地局側の第1の無線チャネル(以下、「基地局側第1TCH」という。)の割当のためにLCH確立要求信号を送信し、無線基地局301は、無線中継装置20からLCH確立要求信号を受信すると、無線基地局301で使用していない無線チャネルを無線中継装置20に対して基地局側第1TCHとして割り当て、LCH割当信号によって無線中継装置20に通知し、無線中継装置20は、無線基地局301から割り当てられた基地局側第1TCHが使用可能であれば、基地局側第1TCHにおいて、無線基地局301との無線チャネルを確立し」は、本願補正発明の「基地局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、基地局からの指示によって絶対スロットを割り当てた」に相当する。
(6)引用発明の「無線中継装置20は、使用していない無線チャネルを端末側第1TCHとして無線端末101に割り当て、無線端末101にLCH割当信号によって通知し、無線端末101は、無線中継装置20からLCH割当信号を受信すると、端末側第1TCHにおいて、無線中継装置20との無線チャネルを確立し」は、本願補正発明の「移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」と、「移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを割り当てる」点で対応する。
(7)引用発明の「無線中継装置20は、使用していない無線チャネルを端末側第1TCHとして無線端末101に割り当て、無線端末101にLCH割当信号によって通知し、無線端末101は、無線中継装置20からLCH割当信号を受信すると、端末側第1TCHにおいて、無線中継装置20との無線チャネルを確立」は、「無線基地局301で使用していない無線チャネルを無線中継装置20に対して基地局側第1TCHとして割り当て、LCH割当信号によって無線中継装置20に通知し、無線中継装置20は、無線基地局301から割り当てられた基地局側第1TCHが使用可能であれば、基地局側第1TCHにおいて、無線基地局301との無線チャネルを確立」の後に行われていることは明らかである。

そうすると、本願補正発明の用語を用いると両者は、
「基地局及び移動局と通信を行う無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えて、時分割多重された複数の絶対スロットを利用して移動局と基地局との間で無線による通信を行う無線通信システムに用いられ、移動局と基地局との間で各々の送信電波を中継する無線中継装置において、通信制御手段は、基地局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、基地局からの指示によって絶対スロットを割り当てた後、移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを割り当てることを特徴とする無線中継装置。」
で一致するものであり、次の(1)?(3)の点で相違している。

(1)本願補正発明は、無線中継装置が「基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えて」いるのに対し、引用発明は、基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の通信手段を備えることは明らかでない点。

(2)本願補正発明では、絶対スロットの割り当てを行うのが、「移動局の位置登録時」であるのに対し、引用発明は、無線端末101の位置登録について記載がない点。

(3)本願補正発明は、移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、「未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」のに対し、引用発明は、使用していない無線チャネルを割り当てているが、「優先的に割り当てる」記載はない点。

(d)当審の判断
上記相違点について検討する。
・相違点(1)について
PHSの基地局と移動局との間の通信を中継する中継装置において、基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えることは、本願出願前周知(例えば、特開平10-51374号公報段落【0019】、図2、特開2000-78065号公報段落【0007】、【0067】、図2、特開2001-251240号公報段落【0040】、図3参照)である。
したがって、引用発明において、無線中継装置が基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えるようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点(2)について
TDMA/TDD方式のPHSにおいて、移動局の位置登録時に、移動局がリンクチャネル(LCH)確立要求してリンクチャネル割当が行われることは、本願出願前周知(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-199141号公報段落【0005】、図14の記載、原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-230712号公報段落【0014】、【0015】の記載、特開平9-289684号公報段落【0087】?【0091】の記載参照)である。
引用発明は、移動局からリンクチャネル(LCH)確立要求を受信すると、無線チャネルの割り当てが行われるものである。
そうすると、上記周知技術を考慮すれば、引用発明において、「移動局の位置登録時」とすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点(3)について
本願補正発明の「未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」は、具体的には、通信制御部が基地局側無線通信部及び移動局側無線通信部において、通信に使用していないスロット(未使用スロット)が存在するのであれば、その未使用スロットを優先的に移動局側のリンクチャネル割当として選択することである(本願明細書段落【0051】参照。)。
引用発明は、無線中継装置20が、使用していない無線チャネルを端末側第1TCHとして無線端末101に割り当て、無線端末101にLCH割当信号によって通知しているものであるから、相違点(1)で検討したように、引用発明の無線中継装置が基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の無線通信手段を備えるようにすれば、通信制御部が基地局側無線通信部及び移動局側無線通信部において、通信に使用していないスロット(未使用スロット)が存在するのであれば、その未使用スロットを優先的に移動局側のリンクチャネル割当として選択するようにすることは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。

また、本願補正発明により奏される効果は、引用発明及び周知技術から、当業者が予想し得る範囲内のものと認められる。

(e)結論
そうすると、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年10月13日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「基地局及び移動局と各々通信を行う2系統の無線通信手段と、無線通信手段の動作を制御する通信制御手段とを備えて、時分割多重された複数の絶対スロットを利用して移動局と基地局との間で無線による通信を行う無線通信システムに用いられ、移動局と基地局との間で各々の送信電波を中継する無線中継装置において、通信制御手段は、移動局の位置登録時に移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てることを特徴とする無線中継装置。」

第4 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2 (2)(b)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明の「移動局の位置登録時に、基地局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、基地局からの指示によって絶対スロットを割り当てた後、移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」を、「移動局の位置登録時に移動局と通信を行う無線通信手段が送受信する回線交換の通信用信号の中継処理に対して、未使用状態にある絶対スロットを優先的に割り当てる」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-03 
結審通知日 2011-08-09 
審決日 2011-08-24 
出願番号 特願2004-237577(P2004-237577)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04B)
P 1 8・ 121- Z (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石原 由晴  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 稲葉 和生
青木 健
発明の名称 無線中継装置  
代理人 西川 惠清  

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