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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1245024
審判番号 不服2009-11515  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-22 
確定日 2011-10-12 
事件の表示 特願2003-581058「発行-購読ネットワークにおける、信頼性が高く効率的なコンテンツに基づくルーティング、クエリ及び応答のための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 9日国際公開、WO03/83703、平成17年 7月21日国内公表、特表2005-521950〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2003年3月28日(パリ条約による優先権主張2002年3月28日、米国;2002年3月28日、米国;2002年3月28日、米国;2002年3月28日、米国;2002年4月3日、米国;2003年2月19日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年11月6日付け拒絶理由に対して、平成21年2月13日付けで手続補正されたが、同年3月18日付けで拒絶査定され、これに対し、同年6月22日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同年7月22日に手続補正されたものである。

第2 平成21年7月22日付けの手続補正につての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年7月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正前及び本件補正後の本願発明
本件補正は、特許請求の範囲、発明の名称、明細書及び図面についてするもので、少なくとも特許請求の範囲の請求項1については、
(a)「信頼性の低いネットワーク上でインテリジェントルータにより発行-購読処理を実行するための通信方法」とあったところを、「インテリジェントルータを含む信頼性の低いネットワーク上で発行-購読動作を実行する通信方法」とし、
(b)「上記ネットワークを介して、コンテンツの購読予約を受信するステップ」とあったところを、「上記ネットワークを用いて、コンテンツの購読予約を受信するステップ」とし、
(c)「上記コンテンツの購読予約に基づいて、上記ネットワークを介して通知を処理するステップ」とあったところを、「上記ネットワークを用いて、上記コンテンツの購読予約に基づき、通知を処理するステップ」とし、
(d)「上記通知を処理するステップは、」との文章を挿入し、
(e)「上記ネットワークにおけるノードにおいて、上記コンテンツに関する通知を受信するステップ」とあったところを、「上記ネットワークの1つのノードからの上記コンテンツに関する上記通知を、該ネットワークの他の1つのノードで受信し、該受信通知を、該ノードのキャッシュに格納するステップ」とし、
(f)「上記通知を隣接しているノードに転送すべきか否かを判定するステップ」とあったところを、「上記通知を上記他のノードに隣接する隣接ノードに転送するか否かを判定するステップ」とし、
(g)「上記判定に基づいて、信頼できる伝送プロトコルを用いて、上記隣接しているノードに上記通知を選択的に転送するステップ」とあったところを、「信頼性が高い伝送プロトコルを用いて、上記通知を、上記判定に基づき、上記隣接ノードに選択的に転送するステップ」とし、
(h)「該通知を選択的に転送するステップは、該通知の転送の失敗を示す情報を示す指示情報を受け取り、該指示情報に応じて上記通知を再転送する通信方法」とあったところを、「上記通知を選択的に転送するステップは、該通知の転送における障害を示す指標を受信し、該指標に応じて、該通知を再転送することを特徴とする通信方法」とするものである。
そして、平成21年7月22日付け手続補正書(審判請求書の請求の理由についての補正書)「第3 本願発明が特許されるべき理由」「2.補正について」欄には、上記(e)の補正に関して、「この補正は、審査官が拒絶査定の中で指摘された明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるのに加え、受信された通知は、ノードのキャッシュに格納される点を限定するものであり、請求項の限定減縮を目的とするものである。」と記載されているから、上記(e)の補正のうち、「通知を受信するステップ」とあったところを、「通知を、」「受信し、該受信通知を、該ノードのキャッシュに格納するステップ」とする補正は、特許請求の範囲の限定的減縮とを目的とする補正であると認められる。
また、上記(a)?(d)、(f)?(h)の補正、及び(e)についてのその他の補正は、明りょうでない記載の釈明又は誤記の訂正を目的とする補正であると認められる。
よって、本件補正は、少なくとも特許請求の範囲の請求項1については、特許法第17条の2第4項第2号又は第3号、及び第4号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する要件を満たすか)否かを、請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)について以下に検討する。

本願補正発明は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
インテリジェントルータを含む信頼性の低いネットワーク上で発行-購読動作を実行する通信方法において、
上記ネットワークを用いて、コンテンツの購読予約を受信するステップと、
上記ネットワークを用いて、上記コンテンツの購読予約に基づき、通知を処理するステップとを有し、
上記通知を処理するステップは、
上記ネットワークの1つのノードからの上記コンテンツに関する上記通知を、該ネットワークの他の1つのノードで受信し、該受信通知を、該ノードのキャッシュに格納するステップと、
上記通知を上記他のノードに隣接する隣接ノードに転送するか否かを判定するステップと、
信頼性が高い伝送プロトコルを用いて、上記通知を、上記判定に基づき、上記隣接ノードに選択的に転送するステップとを有し、
上記通知を選択的に転送するステップは、該通知の転送における障害を示す指標を受信し、該指標に応じて、該通知を再転送することを特徴とする通信方法。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、Banavar, G. et.al., An Efficient Multicast Protocol for Content-based Publish-Subscribe Systems, 19th IEEE International Conference on Distributed Computing Systems, 1999. Proceedings., p. 262 - 272 (以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。
(イ)「Abstract
The publish/subscribe (or pub/sub) paradigm is an increasingly popular model for interconnecting applications in a distributed environment. Many existing pub/sub systems are based on pre-defined subjects, and hence are able to exploit multicast technologies to provide scalability and availability. An emerging alternative to subject-based systems, known as content-based systems, allow information consumers to request events based on the content of published events. This model is considerably more flexible than subject-based pub/sub. However, it was previously not known how to efficiently multicast published events to interested content-based subscribers within a large and geographically distributed network of broker (or router) machines.
In this paper, we develop and evaluate a novel and efficient distributed algorithm for this purpose, called "link matching". Link matching performs just enough computation at each node to determine the subset of links to which an event should be forwarded. We show via simulations that (a) link matching yields higher throughput than flooding when subscriptions are selective, and (b) the overall CPU utilization of link matching is comparable to that of centralized matching.
1 Introduction
The publish/subscribe paradigm is an easy to use and efficient paradigm for interconnecting applications in a distributed environment. Pub/sub based middleware is currently being applied for application integration in many domains including financial, process automation, transportation, and mergers and acquisitions. Pub/sub systems contain information providers, who publish events to the system, and information consumers, who subscribe to particular categories of events within the system. The system ensures the timely delivery of published events to all interested subscribers. A pub/sub system is implemented on a network of event brokers that are responsible for routing events between publishers and subscribers.
The earliest pub/sub systems were subject-based.」(第262頁左欄第1行?同頁右欄第3行)(当審訳:アブストラクト
発行/購読(又は、パブ/サブ)パラダイムは、分散環境におけるアプリケーションを相互接続するための、流行しつつあるモデルです。多くの既存のパブ/サブシステムは、あらかじめ定義された主題に基づいており、それゆえ、スケーラビリティと有効性とを提供するマルチキャスト技術を利用することができます。主題に基づいたシステムの代わりとして登場した、コンテンツに基づいたシステムとして知られているものは、情報の消費者が、発行されたイベントの内容に基づいてイベントを要求することを可能にします。このモデルは、主題に基づいたパブ/サブより相当に柔軟です。しかしながら、大規模でかつ地理的に分散したブローカー(あるいはルーター)マシンのネットワークの内で、コンテンツに基づいて、興味を抱いた購読者へ、マルチキャストをどのように効率的に行ったらよいか、以前には知られていませんでした。この論文では、その目的のため、「リンクマッチング」と呼ばれる、新規で、かつ効率的に分配されたアルゴリズムを開発し、評価を行っています。リンクマッチングは、イベントが転送されるべきリンクの部分集合を決定するために、各ノードでちょうど十分な計算を行ないます。私たちは、シミュレーションによって、(a)リンクマッチングは、購読予約が選択的である場合には、フラッディング(氾濫)よりも高いスループットを生み出すこと、また、(b)リンクマッチングの全体的なCPUの利用効率は、集中的なマッチングに匹敵することを示します。
1 はじめに
発行/購読パラダイムは、使いやすく分散環境でアプリケーションを相互接続させるための効率的なパラダイムです。パブ/サブベースのミドルウェアは、現在、金融、プロセスオートメーション、輸送および合併・買収を含む多くの領域におけるアプリケーション統合のために適用されています。パブ/サブシステムは、情報プロバイダー(彼らはイベントをシステムへ発行する)および情報消費者(彼らはシステム内の特定のカテゴリーのイベントについ購読予約をする)を含んでいます。このシステムは、興味を抱いたすべての購読者へ、発行されたイベントを適時に配達することを保証します。パブ/サブシステムは、発行者と購読者との間でイベントをルーチングすることに責任を負うイベントブローカーよりなるネットワーク上にインプリメントされます。
最も初期のパブ/サブシステムは主題に基づいていました。)

(ロ)「An emerging alternative to subject-based systems is content-based subscription systems [14]. These systems support a number of information spaces, each associated with an event schema defining the type of information contained in each event. Our stock trade example (shown in Figure 1) may be defined as a single information space with an event schema defined as the tuple [issue: string, price: dollar, volume: integer]. A content-based subscription is a predicate against the event schema of an information space, such as (issue="IBM" & price < 120 & volume > 1000) in our example.
With content-based pub/sub, subscribers have the added flexibility of choosing filtering criteria along multiple dimensions, without requiring pre-definition of subjects. In our stock trading example, the subject-based subscriber is forced to select trades by issue name. In contrast, the content-based subscriber is free to use an orthogonal criterion, such as volume, or indeed a collection of criteria, such as issue, price and volume.」(第262頁右欄第18?36行)(当審訳:主題に基づいたシステムに代わって登場したのは、コンテンツに基づいた購読予約システム[14]です。これらのシステムは多くの情報スペースをサポートし、各々(当審注:情報スペース)は、各イベントに含まれる情報のタイプを定義するイベントの式型と結びついています。私たちの株式取引例(図1に示される)は、[発行:文字列、価格:ドル、数量:整数]の組として定義される、イベントの式型を備えた、一つの情報スペースとして定義され、コンテンツを基準とした購読予約は、私たちの例では(発行=「IBM」 & 価格<120 & 数量>1000)のように、情報スペースのイベント式型に対して「属性の宣言」(predicate)がなされます。
コンテンツを記載としたパブ/サブによって、購読者は、主題の前定義を要求することなしに、多数の次元に沿ったフィルター基準を選択しうるという、付加的な柔軟性を持っています。私たちの株式取引例において、主題を基礎とした購読者は、取引を、発行名によって選択することが強いられます。対照的に、コンテンツを基礎とした購読者は、数量のような直交する基準、あるいは、発行、価格及び数量のような基準の集まりを、自由に使用することができます。)

(ハ)「The central contribution of this paper is a new distributed algorithm for content-based routing, an efficient solution to the multicast problem for content-based pub/sub systems. With this algorithm, called link matching, each broker performs just enough of the matching work to determine which neighboring brokers should receive the event, and then forwards the event along links to these neighbors. The disadvantages of the match-first approach are avoided since no additional information is appended to the event headers. Further, at most one copy of a event is sent on each link. The disadvantages of the flooding approach are avoided as the event is only sent to brokers and clients needing the event, thus exploiting locality. We illustrate, using a network simulator, that flooding overloads the network at significantly lower publish rates than link matching.」(第263頁右欄第21?36行)(当審訳:この論文が主に寄与する点は、コンテンツを基礎としたルーチングのための新しい分散アルゴリズム、コンテンツを基礎としたパブ/サブシステム用のマルチキャスト問題の効率的な解決策です。リンクマッチングと呼ばれるこのアルゴリズムによって、ブローカーの各々は、どの隣接ブローカーがそのイベントを受け取るべきかを決定するのに十分なマッチング作業を行い、それから、そのイベントを、これらのブローカーへのリンクに沿って転送します。付加的な情報がイベントヘッダーに追加されないので、マッチファーストアプローチの欠点が回避されます。さらに、1つのイベントの高々1つのコピーが各リンク上で送られます。イベントを必要とするブローカー、およびクライアントのみにイベントが送られ、それにより、局所性が利用できるので、フラッディング(氾濫)アプローチの欠点が回避されます。私たちはネットワーク・シミュレータを使用して、フラッディング(氾濫)はリンクマッチングよりも著しく低い発行レートでさえ、ネットワークに過負荷をかけることを、例証します。)

(ニ)「2. The Matching Algorithm
This section summarizes a non-distributed algorithm for matching an event against a set of subscriptions, and returning the subset of subscriptions that are satisfied by the event. (A more detailed presentation of matching along with experimental and analytic measures of performance are the subject of a companion paper [2].) This matching algorithm is the basis of our distributed multicast protocol, presented in the following section.
Our approach to matching is based on sorting and organizing the subscriptions into a parallel search tree (PST) data structure, in which each subscription corresponds to a path from the root to a leaf.^(1) The matching operation is performed by following all those paths from the root to the leaves that are satisfied by the event. Intuitively, this data structure yields a scaleable algorithm because it exploits the commonality between subscriptions as shared prefixes of paths from root to leaf.
We assume that addition and deletion of subscriptions are rare occurrences relative to the rate of published events. We envision that changes to the subscription set are batched and periodically propagated to all brokers. Hence, we describe here the "steady state" matching algorithm that executes between changes to the set of subscriptions. We distinguish between "tree preparation time", when the subscriptions change and the PST is constructed or updated, and "matching time", when a particular event is matched using the PST data structure.」(第264頁左欄第1行?28行)(当審訳:2.マッチングアルゴリズム
このセクションは、1つの購読予約の集合に対して1つのイベントとのマッチングを行い、そのイベントによって満足される購読予約の部分集合を返す、非分散的なアルゴリズムを要約します(より実験的・分析的なパフォーマンスの測定に沿った、マッチングアルゴリズムの詳細な説明は、もう一方の文書[2]の主題です。)。このマッチングアルゴリズムは、次のセクション中で示される、分散されたマルチキャスト・プロトコルの基礎です。
マッチングへの私たちのアプローチは、購読要求をソートし、並行検索木(PST)データ構造へ組織化することを基礎としています。そして、そこ(当審注:並行検索木(PST)データ構造)では根(ルート)から葉へのパスに購読予約の各々が対応しています。マッチング操作は、そのイベントによって満足される、根(ルート)から葉へのこれらのパスをたどることによって行われます。直観的に、購読予約間の共通性を、根(ルート)から葉までのパスに共有されるプレフィックスとして利用するので、このデータ構造はスケーラブルなアルゴリズムを生成します。私たちは、購読予約の追加および削除が、発行イベントの頻度に比べ、まれにしか発生しないと想定しています。
私たちは、その購読予約の集合に対する変更は、1回分として処理され、周期的にブローカーに伝播されます。従って、私たちは、購読予約の集合への変更の合間に実行される、「定常状態」にあるマッチングアルゴリズムについて記述します。私たちは、購読要求が変更され、PSTが構築又は更新されるときの「木準備時間」と、特定のイベントについてPSTデータ構造を用いてマッチングがとられる「マッチング時間」とを区別します。

(ホ)「3 The Link Matching Algorithm
The previous section described a non-distributed algorithm for matching events to subscriptions. This section presents the central contribution of this paper -- an extended matching algorithm for a network of brokers, and publishing and subscribing clients (as shown in Figure 3). The problem, in this case, is to efficiently deliver an event from a publisher to all distributed subscribers interested in the event.
Link matching is our strategy for multicasting events without using destination lists. After receiving an event, each broker receiving an event performs just enough matching steps to determine which of its neighbors should receive it. As shown in Figure 3, a broker is connected to its neighbors, which may be brokers or clients, via links (this figure shows a spanning tree derived from the actual non-tree broker network). That is, each broker, rather than determining which subset of all subscribers is to receive the event, instead computes which subset of its neighbors is to receive the event, i.e., it determines those links along which it should transmit the event. Intuitively, this approach should be more efficient because the number of links out of a broker is typically much less than the total number of subscribers in the system.
To run link matching, each broker in the network has a copy of all the subscriptions organized into a PST data structure as described in the previous section.」(第265頁左欄第33行?同頁右欄第10行)(当審訳:3 リンクマッチングアルゴリズム
前のセクションでは、購読予約にイベントを一致させるための、分散されていないアルゴリズムについて記述しました。このセクションでは、この論文の中心的な寄与--ブローカーと発行者と購読者とのネットワーク用に拡張されたマッチングアルゴリズム(図3に示されている)、を呈示します。その問題は、この場合、結局興味を抱いているすべての分散された加入者へ、発行者から効率的にイベントを配達することです。
リンクマッチングは、宛先リストを使用せずにイベントをマルチキャストするための私たちの戦略です。イベントを受け取った後、イベントを受け取ったブローカーは、それぞれ、そのお隣のどれがそれを受け取るべきかを決定するために十分なマッチングステップを実行します。図3に示されているように、ブローカーは、リンク(この図は、実際的な、ツリー状でないブローカー・ネットワークに由来したスパニング・ツリーを示します)によって、そのお隣(それらはブローカーまたはクライアントかもしれない)に接続されます。すなわち、各ブローカーは、全購読者のいかなる部分集合がそのイベントを受け取るべきかを決定するのではなく、その代わりに、そのお隣のいかなる部分集合がそのイベントを受け取るべきかを計算します。つまり、それは、そのイベントを送信するべきリンクを決定します。直観的にわかるとおり、ブローカーからのリンクの数はシステムにおける購読者の総数より典型的にはるかに少ないので、このアプローチはより効率的であるに違いありません。
リンクマッチングを実行するために、ネットワーク中のブローカーはそれぞれ、前のセクションに述べられているようなPSTデータ構造へと組織化された、購読予約のコピーを所持しています。)

(ヘ)「3.2 Computing the Initialization Mask
We assume that each broker knows the topology of the broker network as well as the best paths between each broker and each destination (i.e., subscribing client). To simplify the discussion, we ignore alternative routes for load balancing or recovery from failure and congestion. Instead, we assume that events always follow the shortest path. From this topology information, each broker constructs a routing table mapping each possible destination to the link which is the next hop along the best path to the destination.
We also assume that the broker knows the set of spanning trees, only one of which will ever be used by each publisher.」(第266頁右欄第14?27行)(当審訳:3.2初期化マスクの計算
私たちは、それぞれのブローカーが、各ブローカーと各宛先(つまり購読予約するクライアント)との間の最良のパスと同様に、ブローカー・ネットワークのトポロジーを知っていると考えます。議論を単純化するために、私たちは、負荷分散のための、あるいは障害や輻輳からの回復のための代替ルートを無視します。代わりに、私たちは、イベントが常に最短のパスに従うと考えます。このトポロジー情報から、ブローカーはそれぞれ、個々の到達可能な宛先を、その宛先への最良のパスに沿った次のホップであるリンクへとマッピングするルーチングテーブルを構築します。
さらに、私たちは、ブローカーがスパニング・ツリー(そのうちの1つだけが各発行者によってすっかり使用されるだろう)の集合を知っていると考えます。)

上記引用例記載事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ネットワーク上で、購読者へ、発行されたイベントを適時に配達する方法において、
コンテンツに基づいた発行/購読(パブ/サブ)システムは、システムへイベントを発行する情報プロバイダーである発行者、およびシステム内の特定のカテゴリーのイベントについて購読予約をする情報消費者である購読者を含み、発行者と、購読者と、発行者と購読者との間でイベントをルーチングすることに責任を負うイベントブローカー(あるいはルーター)よりなるネットワーク上にインプリメントされ、興味を抱いたすべての購読者へ、発行されたイベントを適時に配達することを保証し、購読者は、購読予約として、例えば(発行=「IBM」 & 価格<120 & 数量>1000)のような、多数の次元に沿ったフィルター基準を選択でき、
イベントを受け取ったブローカーは、リンクマッチングを実行するが、このアルゴリズムは、イベントが転送されるべきリンクの部分集合を決定するために、各ノードでちょうど十分な計算を行なうアルゴリズムであって、イベントを受け取ったブローカーは、どの隣接ブローカーがそのイベントを受け取るべきかを決定するのに十分なマッチング作業を行い、それから、そのイベントを、これらのブローカーへのリンクに沿って転送し、
ネットワーク中のブローカーは、ネットワークのトポロジー情報から、個々の宛先を、その宛先への最良のパスに沿った次のホップであるリンクにマッピングするルーチングテーブルを構築し、リンクマッチングを実行するために、購読予約の集合に対する変更は、周期的にブローカーに伝播され、ネットワーク中のブローカーはそれぞれ、購読予約のコピーをPST(並列検索木)データ構造へと組織化し、1つの購読予約の集合に対して1つのイベントとのマッチングを行い、そのイベントによって満足される購読予約の部分集合を返すアルゴリズムを実行する、
方法。」

3.対比
本願補正発明を、引用発明と比較する。
引用発明における「イベントブローカー」は、「ルーチングテーブル」だけでなく、(発行=「IBM」 & 価格<120 & 数量>1000)のような、多数の次元に沿ったフィルター基準に基づいて「発行者と購読者との間でイベントをルーチングする」ものであるから、本願補正発明の「インテリジェントルータ」に相当するといえる。
次に、引用発明の「ネットワーク」は、「発行者と、購読者と、」「イベントブローカー(あるいはルーター)よりなる」から、引用発明の「ネットワーク上で、購読者へ、発行されたイベントを適時に配達する方法」と、本願補正発明の「インテリジェントルータを含む信頼性の低いネットワーク上で発行-購読動作を実行する通信方法」とは、インテリジェントルータを含むネットワーク上で発行-購読動作を実行する通信方法、の点で一致するといえる。
次に、引用発明では、「例えば(発行=「IBM」 & 価格<120 & 数量>1000)」のような「購読予約」は、その変更がなされると、「周期的にブローカーに伝播され、ネットワーク中のブローカーは、購読予約のコピーをPST(並列検索木)データ構造へと組織化」しているから、引用発明において、このように購読予約をブローカーへ伝播することが、本願補正発明の「上記ネットワークを用いて、コンテンツの購読予約を受信するステップ」に相当するといえる。
次に、引用発明の「コンテンツに基づいた発行/購読(パブ/サブ)システム」おいて、「イベント」は、「情報プロバイダー」から「発行」され、「購読予約」をした「購読者」へと「配達」される「情報」であるから、本願補正発明の「コンテンツに関する」「通知」に相当するといえる。
次に、引用発明において、「ネットワーク上」の「ブローカー」が「ネットワーク」の「ノード」であることは明らかであるから、引用発明において、「ネットワーク上」の1つの「ブローカー」(即ち、「ネットワーク」の1つの「ノード」)から「転送」された上記「イベント」を、「ネットワーク上」の他の「ブローカー」(即ち、「ネットワーク」の他の「ノード」)が「受け取」ることと、本願補正発明の「上記ネットワークの1つのノードからの上記コンテンツに関する上記通知を、該ネットワークの他の1つのノードで受信し、該受信通知を、該ノードのキャッシュに格納するステップ」とは、上記ネットワークの1つのノードからの上記コンテンツに関する上記通知を、該ネットワークの他の1つのノードで受信するステップである点で一致する。
次に、引用発明において、「イベントを受け取った」「ブローカー」(即ち、「ノード」)は、「どの隣接ブローカー(即ち、隣接「ノード」)がそのイベントを受け取るべきかを決定するのに十分なマッチング作業を行」なうことが、本願補正発明の「上記通知を上記他のノードに隣接する隣接ノードに転送するか否かを判定するステップ」に相当し、引用発明において「それから、そのイベントを、これらのブローカー(即ち、これらの「ノード」)へのリンクに沿って転送」することが、本願補正発明の「上記通知を、上記判定に基づき、上記隣接ノードに選択的に転送するステップ」に相当する。
次に、引用発明では、「どの隣接ブローカーがそのイベントを受け取るべきかを決定する」ための「リンクマッチング」を実行するため、「ブローカーに伝播され」た「購読予約のコピーをPST(並列検索木)データ構造へと組織化し、1つの購読予約の集合に対して1つのイベントとのマッチングを行」っているから、引用発明において、「受け取った」「イベント」は「購読予約」に基づいて処理されているといえる。
従って、引用発明において、「ネットワーク上」の「ブローカー」が「受け取った」「イベント」を「購読予約」に基づいて処理することが、以下の相違点は除いて、本願補正発明の「上記ネットワークを用いて、上記コンテンツの購読予約に基づき、通知を処理するステップ」に相当する。

すると、本願補正発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「インテリジェントルータを含むネットワーク上で発行-購読動作を実行する通信方法において、
上記ネットワークを用いて、コンテンツの購読予約を受信するステップと、
上記ネットワークを用いて、上記コンテンツの購読予約に基づき、通知を処理するステップとを有し、
上記通知を処理するステップは、
上記ネットワークの1つのノードからの上記コンテンツに関する上記通知を、該ネットワークの他の1つのノードで受信するステップと、
上記通知を上記他のノードに隣接する隣接ノードに転送するか否かを判定するステップと、
上記通知を、上記判定に基づき、上記隣接ノードに選択的に転送するステップとを有することを特徴とする通信方法。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点1>
本願補正発明では、「信頼性の低いネットワーク上」での通知の転送に、「信頼性が高い伝送プロトコルを用い」、「該通知の転送における障害を示す指標を受信し、該指標に応じて、該通知を再転送する」のに対し、引用発明では、ネットワークの信頼性について言及がなく、また、イベント(本願補正発明における「通知」に相当する。以下同じ)の転送に、どのような伝送プロトコルを用いているのか記載されていない点。

<相違点2>
本願補正発明では、通知を受信したノードが「該受信通知を、該ノードのキャッシュに格納」しているのに対し、引用発明では、イベント(通知)を受け取った(「受信」した)ブローカー(ノード)が、該「受け取った」「イベント」(受信通知)を該ブローカー(ノード)上のキャッシュに格納することは記載されていない点。

4.判断
そこで、上記相違点について検討すると、
<相違点1>について:
ネットワークの隣接ノード間でNACKを用いたパケットの再送を行うことは、本願優先日前において、周知技術である。(例えば、原 俊英、外3名、アクティブノードによるユーザ適応型ネットワークの構築、マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO 2000)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2000 No.7、社団法人情報処理学会、2000年6月28日、p.337?342(「(2)高信頼性マルチキャスト配送における再送遅延短縮機構 アクティブノードにパケットキャッシュ機構を実装することにより,従来のTCPを用いたEnd-to-Endでの再送制御ではなく,ノード単位での再送制御を実現することができる.図6にアクティブパケットの再送の流れを数字により示してある.リアルタイムデータ配送中に時間的に意味をなさなくなったパケットを途中ノード上で廃棄したり,NACK信号を前ノードに送ることにより再送させることができる.」(第341頁左欄第29?39行)、及び第341頁「図6 マルチキャスト環境におけるノード単位での再送制御」の記載参照。)、大槻英樹、外2名、リアルタイムメディア伝送のための適応プロトコル中継方式の提案、電子情報通信学会論文誌 (J84-B)、第9号、社団法人電子情報通信学会、2001年9月1日、p.1633?1642(「ARQ方式は受信側がパケットを受信するごとにパケットが正常に受信できたことを示すACK (Acknowledge)を送出する.受信側でパケットに誤りを検出したら,NAK(Negative Acknowledge)を送出し,誤りが発生したことを知らせる.送信側ではNAKによりパケットの再送を行い,受信側が正常に受信できるまでこれを繰り返す.」(第1634頁左欄第15?22行)、及び「2.2 プロトコル中継方式と廃棄率 ARQによる誤り訂正を用いた場合,誤りによる遅延が大きくなるのは,再送がEnd-End間で行われるためである.よって,途中の中継ノードにおいて再送の処理を行うことにより,再送にかかわる遅延時間が大きく減少する.途中の中継ノードでプロトコルの終端処理と中継を行うことで,誤りによる再送はプロトコルを終端したノード間で行われ,End-End間での誤り訂正に比べて,遅延時間を短縮できる.これをプロトコル中継方式と呼ぶ.」(第1634頁右欄第21?30行)の記載参照。)
従って、引用発明にかかる周知技術を用い、引用発明において、ネットワークとして、「信頼性の低いネットワーク」を用い、隣接ブローカー(隣接ノード)間のイベント(通知)の転送に、TCPやARQ方式(信頼性が高い伝送プロトコル)を用い、イベント(通知)が正常に転送できなかった場合、イベント(通知)についてNACK(通知の転送における障害を示す指標)を受信し、該NACK(該指標)に応じてイベント(通知)を再転送することは、当業者が容易になし得たことである。

<相違点2>について:
情報を受信したノードが、該情報をキャッシングを行うこと(キャッシュに格納すること)は、本願優先日前において、周知技術である(例えば、椎名 誠、外3名、アクセス頻度適応型ネットワークウェブキャッシング、電子情報通信学会技術研究報告、IN99-17、第99巻、第51号、1999年5月14日、p.29?34(「2.1 システムモデル ネットワーク内の一部のルータの機能を拡張し,ウェブキャッシングを行う機能を付加する。これらのルータ(キャッシングルータ)間でメッセージをやり取りすることでキャッシュの制御を行う.キャッシングルータは通過する全てのバケットのTCPポート番号を参照することが可能であり,80番ポートへのアクセスがあればパケットを参照してウェブサーバーへのアクセスを記録することが可能である.」(第30頁右欄第18?26行)、「・ルーティング経路上にあるキャッシングルータでキャッシングを行うことにより,クライアントにキャッシュシステムの存在を意識させない透過的なウェブキャッシングを実現する.」(第31頁左欄第14?17行)、「4.1 シミュレーションモデル シミュレーションは以下の条件で行った.トポロジーはクライアント側のキャッシングルータ,バックボーンキャッシングルータ,サーバー側のキャッシングルータを接続した状況を想定し,3個のウェブサーバー,15個のキャッシングルータ,9個のクライアントを図2のように配置したものを用いた.」(第32頁右欄第30?36行)、及び第32頁「図2:シミュレーションに用いたトポロジー」の記載参照。)、山中直明、大木英司、高速プッシュ型ネットワーク構成法、電子情報通信学会技術研究報告、SSE98-176、第98巻、第566号、電子情報通信学会、1999年1月28日、p.1?6(「提案するネットワークは網をセグメント化してプッシュサービストラヒックはセグメント間をコピーしながら、フルスピードで転送する。すでに十分に経済化したメモリやハードディスクを提供することができるので、各ノードでは、必要に応じてキャッシングしながら原則的に蓄積交換をしている。」(第2頁右下欄最下行?第3頁左上欄第6行)、及び第3頁「図3 プッシュサービスの実現法と構成」「(c)提案のセグメントごとに蓄積するバースト転送」の記載参照。)
従って、かかる周知技術を引用発明に適用し、引用発明において、イベント(通知)を受け取った(「受信」した)ブローカー(ノード)が、該「受け取った」「イベント」(受信通知)を該ブローカー(ノード)上でキャッシングを行うこと(キャッシュに格納すること)は当業者が容易になし得たことである。

また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測しうる範囲のものである。

5.本件補正についての結び
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成21年7月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?61に係る発明は、平成21年2月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?61に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
信頼性の低いネットワーク上でインテリジェントルータにより発行-購読処理を実行するための通信方法において、
上記ネットワークを介して、コンテンツの購読予約を受信するステップと、
上記コンテンツの購読予約に基づいて、上記ネットワークを介して通知を処理するステップと、
上記ネットワークにおけるノードにおいて、上記コンテンツに関する通知を受信するステップと、
上記通知を隣接しているノードに転送すべきか否かを判定するステップと、
上記判定に基づいて、信頼できる伝送プロトコルを用いて、上記隣接しているノードに上記通知を選択的に転送するステップとを有し、該通知を選択的に転送するステップは、該通知の転送の失敗を示す情報を示す指示情報を受け取り、該指示情報に応じて上記通知を再転送する通信方法。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、「通知を、」「受信し、該受信通知を、該ノードのキャッシュに格納するステップ」とあったところを、「通知を受信するステップ」と限定を解除するとともに、不明りょうな記載の釈明又は誤記の訂正を目的として行った補正箇所を、補正前の記載に戻したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の発明特定事項を付加し、明りょうでない記載箇所を明りょうな記載とし、又は誤記の訂正を行ったものに相当する本願補正発明が、前記「第2[理由]4.」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-12 
結審通知日 2011-05-17 
審決日 2011-06-01 
出願番号 特願2003-581058(P2003-581058)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 茂和北岡 浩  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 青木 健
清水 稔
発明の名称 発行-購読ネットワークにおける、信頼性が高く効率的なコンテンツベースの経路選択、問合せ及び応答のための方法及び装置  
代理人 伊賀 誠司  
代理人 小池 晃  
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