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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1245197
審判番号 不服2010-21823  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-29 
確定日 2011-10-13 
事件の表示 特願2004-160728「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 8日出願公開、特開2005-334536〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成16年5月31日の出願であって、拒絶理由に対して平成22年3月10日付けで手続補正がなされ、その後、同年8月4日付けでなされた拒絶査定に対し、同年9月29日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、手続補正がなされたものである。
また、当審において、同年12月9日付けで審査官による前置報告書の内容を添付して審尋を行い、請求人から平成23年2月9日に回答書が提出されている。

第二.平成22年9月29日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年9月29日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正後の本願発明
本件補正により補正された、特許請求の範囲の請求項1記載の発明(以下「本願補正発明」という。)は次のとおりである。
「 前面が開放した筐体と、該筐体の側部を形成する左右の両側板のうちいずれか一方の側板の前端部にヒンジ軸により開閉可能に設けられる前扉とを備え、前記筐体内に、遊技を制御するための主制御基板と、前記主制御基板の制御に基づいて演出制御信号を出力可能な副制御基板と、複数の識別情報を変動及び停止表示可能なリールユニットと、前記主制御基板の制御に基づいて前記リールユニットの後記回転リールの回転を制御するための回転リール制御基板とを設け、前記前扉に、前記主制御基板の制御信号に基づいて遊技情報を表示可能な表示手段と、少なくとも遊技を実行するときに操作される操作手段の操作に基づいて、前記主制御基板へ操作信号を出力可能な操作検出手段と、所定の遊技状態になったとき点灯または点滅するランプとを設けた遊技機において、
前記リールユニットは、外周面に前記識別情報が表示された回転リールと、該回転リールを支持するための左右の側板部を有するとともに前面が開放する正面視矩形のリール枠体とを含み、
前記主制御基板は、前記筐体内にあって前記リール枠体の真後ろ上方に取り付けられるとともに、前面下部に副制御基板用電気的接続ケーブルの一端が接続される副制御基板出力コネクタと、表示手段用電気的接続ケーブルの一端が接続される表示出力コネクタと、スイッチ入力用電気的ケーブルの一端が接続されるスイッチ入力コネクタと、回転リール用電気的接続ケーブルの一端が接続される回転リール出力コネクタとを左右方向に並設し、かつ前記副制御基板出力コネクタ、前記表示出力コネクタ及び前記スイッチ入力コネクタを前記筐体における前記一方の側板と前記一方の側板に対向する他方の側板間の真ん中よりも前記一方の側板寄りに配置し、
前記副制御基板は、前記リール枠体の前記左右の側板部のうち、前記筐体の前記一方の側板の内面に対向する方の側板部の対向面に、前記一方の側板の内面から離間するように縦置きに固定されるとともに、前記副制御基板用電気的接続ケーブルの他端が接続される主制御基板入力コネクタ、サブリール基板用電気的接続ケーブルの一端が接続されるサブリール基板出力コネクタ及び前記ランプへ制御信号を送信するための演出用電気的接続ケーブルが接続される演出出力コネクタを有し、 前記リール枠体の上面に、前記回転リール用電気的接続ケーブルの他端が接続される前記回転リール制御基板、及び前記サブリール基板用電気的接続ケーブルの他端が接続され前記副制御基板から出力される制御信号に基づいて、前記リールユニットにおける前記回転リールのバックライトの点灯及び消灯を制御するためのサブリール基板を配置し、 前記表示手段用電気的接続ケーブル及び前記スイッチ入力用電気的接続ケーブルを、前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間にあって前記一方の側板の最奥の位置に沿って配線して、前記表示手段及び前記操作検出手段にそれぞれ接続したことを特徴とする遊技機。」(下線部は補正によって追加又は変更された箇所。)

2.補正要件(目的)の検討
請求項1についての補正は、発明を特定するために必要な事項として、「前記主制御基板の制御に基づいて前記リールユニットの後記回転リールの回転を制御するための回転リール制御基板」、「所定の遊技状態になったとき点灯または点滅するランプ」、「サブリール基板用電気的接続ケーブルの一端が接続されるサブリール基板出力コネクタ」、「前記リール枠体の上面に、前記回転リール用電気的接続ケーブルの他端が接続される前記回転リール制御基板、及び前記サブリール基板用電気的接続ケーブルの他端が接続され前記副制御基板から出力される制御信号に基づいて、前記リールユニットにおける前記回転リールのバックライトの点灯及び消灯を制御するためのサブリール基板を配置し」等の付加を含む補正であるところ、当該補正における「回転リール制御基板」、「ランプ」、「サブリール基板」及びその付属構成は、今回新たに付加された事項である。
してみると、当該「回転リール制御基板」、「ランプ」、「サブリール基板」を含む前記補正は、特許請求の範囲を限定的に減縮するものではない。
したがって、本件補正は平成18年法律第55号による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

なお、本件補正が上記改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとしても、以下の理由により本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるので、本件補正を却下すべきものであることに変わりはない。

3.補正要件(独立特許要件:特許法第36条第6項第2号)の検討
(1)本件補正後の請求項1においては、表示手段用電気的接続ケーブル及び前記スイッチ入力用電気的接続ケーブルについて、「前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間にあって前記一方の側板の最奥の位置に沿って配線」と限定しているが、当該限定事項は以下に記載するとおり不明りょうであるから、その発明が明確でない。
a.そもそも「一方の側板の最奥の位置」の用語は出願当初の明細書には記載されていないことからその定義が不明である。
また、配線状態が図示されている図2及び図4を参照しても、表示手段用電気的接続ケーブル103及びスイッチ入力用電気的接続ケーブル104は、主制御基板8を出たところで、後板2aの適宜位置に設けられた結束具にて結束されている様子が示されているものの、当該位置が「前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間にあって前記一方の側板の最奥の位置」といえるか判然としない。
b.上記結束具にて結束されている電気的接続ケーブルは、中板23の下に配線されていることが図示され、当該中板23は、副制御基板9が配設されているリールユニット9をその上に保持しているから、「一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間」には、上記結束具にて結束されている電気的接続ケーブルは配線されていない。
よって、「前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間」がどこを示しているのか不明りょうである。

(2)まとめ
本件補正後の請求項1の記載は、以上の様に「前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間にあって前記一方の側板の最奥の位置に沿って配線」という限定事項が不明りょうであるから本願補正発明は明確でない。
したがって、本件補正後の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定を充足しないので、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.補正要件(独立特許要件:特許法第29条第2項)の検討
(1)引用された文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-224271号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
【0029】図1には本発明の実施例としてのスロットマシンの全体正面図、図2及び図3にはスロットマシン1の内部構造図がそれぞれ示されている。スロットマシン1は、前面が開口する筐体2aと、この筺体2aの側端に回動自在に枢支された前面扉2bとから構成されており、前面扉2bの裏面に設けられた施錠装置3(図3参照)の鍵穴3aに挿入した所定のキーを時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて前面扉2bを開放することが出来るようになっている。
【0030】前面扉2bの前面上部には上部飾り枠4が設けられており、略逆台形状の上部には、遊技効果ランプ部41と、演出リール飾り枠358がそれぞれ設けられている。この演出リール飾り枠358には、遊技の進行に関わる種々の演出を実行する演出用リール301L、301C、301R(図13、図14参照)を視認可能とする開口部359L、359C、359Rが、スロットマシン1の横方向に複数(本実施例では3つ)並設されており、これら開口部359L、359C、359Rがそれぞれ構成されている。また、この開口部359L、359C、359Rの左右両側には、主に演出用リール301L、301C、301Rによる演出の実行時において点灯する演出ランプ360(図11、図15参照)が内蔵された演出ランプ部380が設けられている。
【0031】上部飾り枠4の略楕円形状の中央部には、遊技パネル6や各種表示部が設けられている。上部飾り枠4の下部は遊技パネル6から前方に突出するように形成されており、この突出部にはメダル投入部34や各種操作ボタン35、36a,36b、37、40L,40C,40R、及びスタートレバー38等が設けられている。また、上部飾り枠4の中央部の周囲及び下部の左右側には、遊技効果ランプ部42?45がそれぞれ設けられている。
【0046】上部飾り枠8の下部における前側面には、スタートレバー38、ストップボタン40L、40C、40R、メダル詰まり解除ボタン35がそれぞれ設けられている。スタートレバー38は、ゲームを開始する際に操作するレバーであり、賭数の設定終了後においてスタートレバー38を操作することにより各リール51L、51C、51Rの回転が開始される。
【0047】各ストップボタン40L、40C、40Rは、ゲームが開始した後にリール51L、51C、51Rの回転を停止させる際に操作するボタンであり、ストップボタン40Lの内部には操作有効ランプ122Lが、ストップボタン40Cの内部には操作有効ランプ122Cが、ストップボタン40Rの内部には操作有効ランプ122Rが内蔵されている(図11参照)。これら操作有効ランプ122L、122C、122Rは、対応するストップボタン40L、40C、40Rの操作が有効である場合に点灯し、操作が無効である場合に消灯する。また、ストップボタン40L、40C、40Rが配列されたストップボタンユニット39は、ビッグボーナス入賞やレギュラーボーナス入賞の当選フラグが設定されている場合に、その内部に内蔵されたボーナス告知ランプ120(図11参照)が点灯する。
【0049】図2に示されるように、筐体2a内略中央部には、ゲーム用識別情報としての複数種の図柄が印刷された透光性を有する帯状のリールシート(図18参照)が外周に巻回されたリール51L、51C、51R(ゲームの進行を実行するために用いるゲーム用リール)を有するリールユニット52からなる可変表示装置50が設けられている。それぞれのリール51L、51C、51Rは、各々に対応して設けられたステッピングモータからなる電気的駆動源としてのリールモータ54L、54C、54Rによりそれぞれ独立して縦方向に回転(駆動)、停止するように構成されており、各リール51L、51C、51Rが回転することにより、表示窓14には前記各種図柄が連続的に変化しつつ表示されるようになっている。
【0052】各リール51L、51C、51R内には各リールの基準位置を検出するリールセンサ56が設けられており、このリールセンサ56により所定の図柄の停止位置を導出出来るようになっているとともに、各リール51L、51C、51Rにおける特定の表示領域(上、中、下段の表示領域)を裏面から個別に照射可能な複数のリールランプ55がそれぞれ上、中、下段に設けられており、これら各リールランプ55は、通常時において透視窓14に表示される各図柄を目立たせるように後方から点灯するバックライトとして機能するようになっている。
【0053】筐体2aの背板85の上部前面には、後述する遊技制御基板200が収納された収納ケース500が、背面板85の前面上部に取外し不能に固定された取付ケース517(図4参照)に対して取外し不能に固定されている。また、可変表示装置50を構成するリールユニット52を前方からみて右側の側板52aの外側面の上部には後述するリール中継基板203が、その下部には後述するリールランプ中継基板204がそれぞれ取り付けられている。
【0054】筐体2aを前面側からみて左側の側板86の内面におけるリールユニット52の側方位置には、後述する演出制御基板201が収容された収納ケース550が、保持ケース551を介して取り付けられている。保持ケース551は、特に図4及び図5に示されるように、その上下端縁から内向きガイドレール552が連設されており、この上下のガイドレール552間に前方から差し込まれる収納ケース550の上下端縁が逸脱不能に保持されるようになっている。
【0065】筐体2a、前面扉2bそれぞれに設けられる各種基板200?205、341、370は、図4及び図11に示されるように各種ケーブルを介して接続されている。特に前面扉2bに設けられる演出用リール基板341が接続される演出制御基板201が収納される収納ケース550が、前面扉2bを回動自在に枢支する蝶番89が取り付けられる側の側板86に取り付けられているため、配線されたケーブルやコード類が開閉扉2bの開閉時に邪魔になることがない。
【0067】まず図6(a)、(b)及び図7に示されるように、収納ケース500は、平面視で略横長四角状に形成される遊技制御基板200よりも若干大寸に形成され、下面が開口する略箱形の上部ケース501と、上面が開口する略箱形の下部ケース502とから構成されており、これら上部ケース501及び下部ケース502は、それぞれ透明な樹脂材により成形されている。
【0074】また、上部ケース501の上面501aには、後述するように上面に封印シール535(図9参照)が貼着される略四角形状の隆起部512が、係止片505側の所定箇所に突設されているとともに、放熱用の孔部513が複数形成されている。また、図6(a)中の上部ケース501の下側は、上側よりも高さが低くなるように形成されており、この下側には、遊技制御基板200に接続されるコネクタ等を挿通可能とするための横長の開口部514が長手方向に形成されている。
【0102】さらに全てのリール51L、51C、51Rが停止された時点で、賭数に応じて有効化されたいずれかの入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’上に予め定められた図柄の組み合わせが表示された場合は入賞となり、各種遊技効果ランプ部41?45の内部に内蔵された遊技効果ランプ130?134(図11参照)や入賞ラインL1、L2、L2’、L3、L3’に対応するリールランプ55等が点灯するとともに、スピーカ136a、136b、137から効果音等が出力されること等による演出が実行される。そして、入賞内容に対応して予め定められた所定枚数のメダル(有価価値)が遊技者に対してクレジットとして払出されてクレジット表示部31に表示されたクレジット数が加算更新される。また、クレジット数が上限数に達した場合には、メダルが直接メダル払出穴から払い出される。これらメダルの払出し枚数はペイアウト表示部33に表示される。
【0106】スロットマシン1に設けられた各種基板のうち、遊技制御基板200によって遊技状態が制御され、演出制御基板201によって遊技状態に応じた演出制御がなされる。また、電源基板202にはスロットマシン1の外部から電源が供給される。この電源基板202には、AC100Vの電源の供給を受けるための電源コード84と、メインスイッチ80とが接続されている。
【0107】遊技制御基板200は、演出制御基板201、電源基板202、リール中継基板203と配線接続されているとともに、リール中継基板203を介して外部出力基板205と、また、演出制御基板201を介してリールランプ中継基板204、及び演出用リール中継基板341と接続されている。
【0108】遊技制御基板200の制御部210は、遊技状態がレギュラーボーナス状態であることを示すRB中信号や、遊技状態がビッグボーナス状態であることを示すBB中信号、各リール51L、51C、51Rに対応するリールモータ54L、54C、54Rを制御するためのリール制御信号(モータ位相信号)、賭数を設定するために用いられたメダル数を示すメダルIN信号、入賞の発生により遊技者に払出されたメダル(クレジット)数を示すメダルOUT信号などをリール中継基板203を介して外部出力基板205からスロットマシン1の外部に出力する制御を行う。なお、ストップスイッチ103L、103C、103Rの操作がなされた旨を示すストップスイッチ信号は、後述するようにストップスイッチ103L、103C、103Rから直接出力された信号である。
【0109】遊技制御基板200には、各種のスイッチ、センサ、ランプ、及び表示器からの配線が接続されている。
【0111】リール中継基板203に配線接続されたリールモータ54L、54C、54R、及びリールセンサ56は、リール中継基板203によって中継されて遊技制御基板200に配線接続されており、リールセンサ56の検出信号は、遊技制御基板200の制御部210に入力される。リールランプ55は、リールランプ中継基板204によって中継されて演出制御基板201に配線接続されている。遊技制御基板200の制御部210は、始動条件(スタートスイッチ123の検出信号の入力)が成立すると、リールモータ54L、54C、54Rに制御信号を出力してリールの変動を開始させた後、表示結果を導出表示させる可変表示制御を実行する。
【0112】遊技制御基板200に配線接続されたスイッチのうち、1枚BETスイッチ100は1枚BETボタン36aの操作を検出し、MAXBETスイッチ101はMAXBETボタン36bの操作を検知するスイッチであり、スタートスイッチ102はスタートレバー38の操作を検出するスイッチであり、左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rは、左、中、右ストップボタン40L、40C、40Rの操作を検出するスイッチである。精算スイッチ104は、精算ボタン37の操作を検出するスイッチであり、第1リセットスイッチ105は、施錠装置3の鍵穴3aに挿入したキーによるスロットマシン1のリセット操作を検出するスイッチである。
【0117】特に、制御部210によって制御される「クレジット表示器109、ゲーム回数表示器108、ペイアウト表示器110、投入指示ランプ111、1枚賭けランプ112?3枚賭けランプ116、スタートランプ118、リプレイランプ119、ボーナス告知ランプ110、ゲームオーバーランプ117、左、中、右操作有効ランプ122L、122C、122R」は、遊技の進行に関わる情報を報知するものであり、それが機能しなければ遊技を行うことに支障が出るような、いわば“必須報知装置”といえる。これらの“必須報知装置”が遊技状態を制御する制御部210によって制御されるために、たとえ、演出制御基板201が故障したとしても、少なくとも遊技の進行に必要な情報が遊技者に提供される。このため、遊技者に不利な状態で遊技が進行してしまうことを防止できる。
【0121】演出制御基板201には、遊技効果ランプ130?134と、放音部12a、12b、13に内蔵されるスピーカ136a、136b、137と、タイトルパネル7及び遊技パネル6を内側から照らす各蛍光灯138と、ウエイトランプ139と、小役告知ランプ140a、140b、140cと、がぞれぞれ接続され、さらに、リールランプ中継基板204を介してリール51L、51C、51Rに内蔵されているリールランプ55が接続されている。
【0123】演出制御基板201には、マイクロコンピュータからなる制御部230と、各スピーカ136a、136b、137から音を出力させるためのスピーカ駆動回路235と、各種ランプを点灯あるいは点滅させるためのランプ駆動回路237と、演出用リールモータ303L、303C、303Rを駆動させるためのモータ回路240と、バックアップ電源238とが搭載されている。
【0125】制御部230のROM233には、演出制御基板201から送信されたコマンドに対応した演出パターンを定めたデータテーブルが記憶されている。このデータテーブルは、各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、ウェイトランプ139、小役告知ランプ140a?140c、及び演出用リールモータ303L、303C、303R、演出用リールセンサ305、演出用リールLED304、演出ランプ360別に分類されている。例えば所定の遊技情報を示すコマンドを受信した場合、制御部230はその遊技状態に応じた演出パターンを各データテーブルから読み出し、この読み出した演出パターンに応じて各遊技効果ランプ130?134、各スピーカ136a、136b、137、各蛍光灯138、ウェイトランプ139、小役告知ランプ140a?140c、リールランプ55、及び演出用リールモータ303L、303C、303R、演出用リールセンサ305、演出用リールLED304、演出ランプ360等を制御する。
【0127】図12に示されるように、スタートスイッチ102の検出信号は、スイッチ回路215を介して制御部210に入力されるとともに、サンプリング回路222に入力される。制御部210は、スタートスイッチ102の検出信号を受け、モータ回路216を介してリール制御信号を出力する。このリール制御信号はリール中継基板203を介して各リール51L、51C、51R別に設けられたリールモータ54L、54C、54Rに入力される。また、リール制御信号は、リール中継基板203及び外部出力基板205を介してスロットマシン1の外部へ出力される。

ところで、引用文献1には、「前方からみて」(段落【0053】)及び「前面側からみて」(段落【0054】、【0056】)という表記が混在しているが、本審決では、「前面側からみて」に統一して表記することとする。
また、引用文献1の【図5】及び段落【0054】からみて、演出制御基板201が収容された収納ケース550は、左側の側板86の内面におけるリールユニット52の側方位置に縦置きに取り付けられているものと認められる。
さらに、引用文献1の段落【0046】に「上部飾り枠8」と記載されているが誤記であり、「上部飾り枠4」を正しい記載と認定した。

摘記した上記の記載や図面等によれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「 前面が開口する筐体2aと、該筐体2aを前面側からみて左側の側板86に回動自在に枢支された前面扉2bとから構成されており、
前記筐体2aには、遊技状態を制御する遊技制御基板200が収納された収納ケース500と、遊技状態に応じた演出制御を行う演出制御基板201が収容された収納ケース550と、可変表示装置50を構成するリールユニット52と、前記遊技制御基板200の制御部210が出力したリール制御信号をリールモータ54L、54C、54Rに入力するリール中継基板203とを設け、
前記前面扉2bの上部飾り枠4の下部における前側面には、ゲームを開始する際に操作するスタートレバー38と該スタートレバー38の操作を検出するスタートスイッチ102と、ゲームが開始した後にリール51L、51C、51Rの回転を停止させる際に操作する左、中、右ストップボタン40L、40C、40Rと、該左、中、右ストップボタン40L、40C、40Rの操作を検出する左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rが設けられ、前記左、中、右ストップボタン40L、40C、40Rの内部には操作有効ランプ122L、122C、122Rが内蔵されており、該操作有効ランプ122L、122C、122Rは前記制御部210によって制御され、前記上部飾り枠4には、遊技効果ランプ130?134が内部に内蔵された遊技効果ランプ部41?45が設けられ、前記演出制御基板201の制御部230は遊技状態に応じた演出パターンで前記遊技効果ランプ130?134を制御するスロットマシンにおいて、
前記リールユニット52は、ゲーム用識別情報としての複数種の図柄が印刷された透光性を有する帯状のリールシートが外周に巻回されたリール51L、51C、51Rと、前面側からみて右側の側板52a等を有し、
前記収納ケース500は、前記筐体2aの背板85の上部前面に固定された取付ケース517に対して固定され、前記収納ケース500の上部ケース501の下側には、前記遊技制御基板200に接続されるコネクタ等を挿通可能とするための横長の開口部514が長手方向に形成され、前記遊技制御基板200は、各種スイッチ、センサ、ランプ、及び表示器並びに前記演出制御基板201及び前記リール中継基板203と配線接続され、
前記演出制御基板201が収容された収納ケース550は、前記左側の側板86の内面における前記リールユニット52の側方位置に縦置きに取り付けられるとともに、
前記演出制御基板201は、前記遊技制御基板200と配線接続されるとともに、演出用リール中継基板341及び前記遊技効果ランプ130?134と接続され、また、リールランプ中継基板204を介して前記リール51L、51C、51Rにおける特定の表示領域を裏面から個別に照射可能な複数のリールランプ55と接続されるとともに、遊技状態に応じた演出パターンに応じて前記リールランプ55を制御し、
前記右側の側板52aの外側面に、前記リール中継基板203、及び前記リールランプ中継基板204が取り付けられ、
前記遊技制御基板200には、前記操作有効ランプ122L、122C、122R、前記スタートスイッチ102及び前記左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rからの配線が接続されているスロットマシン。」

(2)引用発明と本願補正発明との対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「前面が開口する筐体2a」は、本願補正発明の「前面が開放した筐体」に相当し、以下同様に、
「筐体2aを前面側からみて左側の側板86」は「筐体の側部を形成する左右の両側板のうちいずれか一方の側板」に、
「回動自在に枢支された前面扉2b」は「ヒンジ軸により開閉可能に設けられる前扉」に、
「とから構成されており」は「とを備え」に、
「前記筐体2aには」は「前記筐体内に」に、
「遊技状態を制御する遊技制御基板200」は「遊技を制御するための主制御基板」に、
「リールユニット52」は「リールユニット」に、
「ゲームを開始する際に操作するスタートレバー38」及び「ゲームが開始した後にリール51L、51C、51Rの回転を停止させる際に操作する左、中、右ストップボタン40L、40C、40R」は「少なくとも遊技を実行するときに操作される操作手段」に、
「遊技効果ランプ130?134」は「ランプ」に、
「スロットマシン」は「遊技機」に、
「ゲーム用識別情報としての複数種の図柄が印刷された透光性を有する帯状のリールシートが外周に巻回されたリール51L、51C、51R」は「外周面に前記識別情報が表示された回転リール」に、
「取り付けられ」は「固定され」又は「配置し」に、
「前記リール51L、51C、51Rにおける特定の表示領域を裏面から個別に照射可能な複数のリールランプ55」は「前記回転リールのバックライト」に、
「リールランプ中継基板204」は「サブリール基板」に、それぞれ相当する。
さらに、引用文献1の記載等からみて、以下のことがいえる。

a.引用発明の「遊技状態」は「遊技制御基板200」が制御しているから、引用発明において「遊技状態に応じた演出制御を行う」ことは、本願補正発明において「主制御基板の制御に基づいて演出制御信号を出力」することに相当する。
そうすると、引用発明の「遊技状態に応じた演出制御を行う演出制御基板201」は、本願補正発明の「主制御基板の制御に基づいて演出制御信号を出力可能な副制御基板」に相当するものといえる。
また、引用発明の「リールユニット52」は、「ゲーム用識別情報としての複数種の図柄が印刷された透光性を有する帯状のリールシートが外周に巻回されたリール51L、51C、51R」(本願補正発明の「回転リール」に相当)を有し、遊技制御基板200の制御部210が出力したリール制御信号をリールモータ54L、54C、54Rに入力して、それらのリールの回転と停止が制御されているのであるから、引用発明の「可変表示装置50を構成するリールユニット52」は、本願補正発明の「複数の識別情報を変動及び停止表示可能なリールユニット」に相当するものということができるとともに、引用発明の「前記遊技制御基板200の制御部210が出力したリール制御信号をリールモータ54L、54C、54Rに入力するリール中継基板203」は、本願補正発明の「前記主制御基板の制御に基づいて前記リールユニットの後記回転リールの回転を制御するための回転リール制御基板」に相当するものといえる。

b.引用発明の「操作有効ランプ122L、122C、122R」は、遊技制御基板200の制御部210によって制御されているから、本願補正発明の「前記主制御基板の制御信号に基づいて遊技情報を表示可能な表示手段」に相当する。
また、引用発明の「遊技制御基板200」には、「スタートスイッチ102」及び「左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103R」からの配線が接続されているから、「スタートレバー38の操作を検出するスタートスイッチ102」及び「左、中、右ストップボタン40L、40C、40Rの操作を検出する左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103R」は、「遊技制御基板200」へ信号を出力するものであって、本願補正発明の「前記主制御基板へ操作信号を出力可能な操作検出手段」に相当するものといえる。
さらに、遊技効果ランプ130?134は、遊技状態に応じた演出パターンで制御されるから、本願補正発明の「所定の遊技状態になったとき点灯または点滅するランプ」に相当する。
そうしてみると、引用発明の「スロットマシン」は、本願補正発明の「前記前扉に、前記主制御基板の制御信号に基づいて遊技情報を表示可能な表示手段と、少なくとも遊技を実行するときに操作される操作手段の操作に基づいて、前記主制御基板へ操作信号を出力可能な操作検出手段と、所定の遊技状態になったとき点灯または点滅するランプとを設けた」に相当する構成を有しているといえる。

c.引用文献1には、「前方からみて右側の側板52a」についての説明しか記載されてはいないが、図2によれば、前方からみて左側にも側板があるものと認められ、左右の側板がリール51L、51C、51Rを支持するためのものであることも明らかである。
また、図2及び図5等からみて、「リールユニット52」は正面視矩形状であると認められ、リール51L、51C、51Rが前方から視認可能となっていることはいうまでもない。
そうすると、引用発明の「リールユニット52」は、本願補正発明の「回転リールを支持するための左右の側板部を有するとともに前面が開放する正面視矩形のリール枠体」に相当する構成を含むものであるといえる。

d.引用発明の「収納ケース500」は、遊技制御基板200(本願補正発明の「主制御基板」に相当)が収納されたものであるとともに、その固定位置である「筐体2aの背板85の上部前面」は、図2及び図4等からみて「リールユニット52」の真後ろ上方であると認められるから、引用発明の「遊技制御基板200」は、本願補正発明の「前記筐体内にあって前記リール枠体の真後ろ上方」に相当する位置に取り付けられるものといえる。
また、引用発明の「収納ケース500」の下側には、遊技制御基板200に接続されるコネクタ等を挿通可能とするための横長の開口部514が長手方向に形成されており、図4を参酌すれば、その開口部514近傍に遊技制御基板200のコネクタが配置されていることが見てとれるから、遊技制御基板200の前面下部に、演出制御基板201、リール中継基板203、各種スイッチ、センサ、ランプ、及び表示器と配線接続するための複数のコネクタが配置されているといえる。
そして、演出制御基板201と配線接続するためのコネクタは、本願補正発明の「副制御基板用電気的接続ケーブルの一端が接続される副制御基板出力コネクタ」に相当し、同様に、リール中継基板203と配線接続するためのコネクタは「回転リール用電気的接続ケーブルの一端が接続される回転リール出力コネクタ」に、各種スイッチと配線接続するためのコネクタは「スイッチ入力用電気的ケーブルの一端が接続されるスイッチ入力コネクタ」に、ランプ及び表示器と配線接続するためのコネクタは「表示手段用電気的接続ケーブルの一端が接続される表示出力コネクタ」に、それぞれ相当するものといえる。
そうすると、引用発明の「遊技制御基板200」と本願補正発明の「主制御基板」は、“前面下部に副制御基板用電気的接続ケーブルの一端が接続される副制御基板出力コネクタと、表示手段用電気的接続ケーブルの一端が接続される表示出力コネクタと、スイッチ入力用電気的ケーブルの一端が接続されるスイッチ入力コネクタと、回転リール用電気的接続ケーブルの一端が接続される回転リール出力コネクタとを左右方向に並設”している点で共通する。

e.上記c.で述べたように、引用発明の「リールユニット52」には、前方からみて左側にも側板があるものと認められ、該側板は、本願補正発明の「前記筐体の前記一方の側板の内面に対向する方の側板部」に相当するから、引用発明の「演出制御基板201」と本願補正発明の「副制御基板」は、“前記リール枠体の前記左右の側板部のうち、前記筐体の前記一方の側板の内面に対向する方の側板部の対向面と前記一方の側板の内面との間に縦置きに固定される”点で共通している。

f.引用発明の「演出制御基板201」は、前記遊技制御基板200と配線接続されているとともに、演出用リール中継基板341及び前記遊技効果ランプ130?134が接続されており、図4を参酌すれば、演出制御基板201がコネクタを有していることが見てとれるから、演出制御基板201は、遊技制御基板200(本願補正発明の「主制御基板」に相当)、演出用リール中継基板341(本願補正発明の「サブリール基板」に相当)及び遊技効果ランプ130?134(本願補正発明の「ランプ」に相当)と接続するための複数のコネクタを有しているといえる。
そして、遊技制御基板200と接続するためのコネクタは、本願補正発明の「前記副制御基板用電気的接続ケーブルの他端が接続される主制御基板入力コネクタ」に相当し、演出用リール中継基板341と接続するためのコネクタは、本願補正発明の「サブリール基板用電気的接続ケーブルの一端が接続されるサブリール基板出力コネクタ」に相当するものといえる。
さらに、引用発明の「演出制御基板201」は、遊技状態に応じた演出パターンに応じて前記遊技効果ランプ130?134を制御しているから、遊技効果ランプ130?134と接続するためのコネクタは、本願補正発明の「前記ランプへ制御信号を送信するための演出用電気的接続ケーブルが接続される演出出力コネクタ」に相当するものといえる。

g.引用発明の「リール中継基板203」は、前記遊技制御基板200と配線接続されているから、上記d.で述べたことを考え合わせると、本願補正発明の「前記回転リール用電気的接続ケーブルの他端が接続される」に相当する構成も備えているといえる。
また、引用発明の「リールランプ中継基板204」は、「演出制御基板201」及び「リールランプ55」と接続され、また、「リールランプ55」は、「演出制御基板201」及び「リールランプ中継基板204」によって、遊技状態に応じた演出パターンに応じて制御されているということができる。
よって、引用発明と本願補正発明は、“前記リール枠体に、前記回転リール用電気的接続ケーブルの他端が接続される前記回転リール制御基板、及び前記サブリール基板用電気的接続ケーブルの他端が接続され前記副制御基板から出力される制御信号に基づいて、前記リールユニットにおける前記回転リールのバックライトの点灯及び消灯を制御するためのサブリール基板を配置”している点で共通している。

h.上記d.で述べたことから、引用発明の「遊技制御基板200」と「操作有効ランプ122L、122C、122R」は、本願補正発明の「表示手段用電気的接続ケーブル」に相当する配線で接続され、引用発明の「遊技制御基板200」と「スタートスイッチ102」及び「左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103R」は、本願補正発明の「スイッチ入力用電気的接続ケーブル」に相当する配線で接続されているといえる。
また、上記b.で述べたとおり、引用発明の「操作有効ランプ122L、122C、122R」は、本願補正発明の「表示手段」に相当し、引用発明の「スタートスイッチ102」及び「左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103R」は、本願補正発明の「操作検出手段」に相当している。
よって、引用発明と本願補正発明は、“前記表示手段用電気的接続ケーブル及び前記スイッチ入力用電気的接続ケーブルを配線して、前記表示手段及び前記操作検出手段にそれぞれ接続した”点で共通している。

以上を総合すると、両者は、
「 前面が開放した筐体と、該筐体の側部を形成する左右の両側板のうちいずれか一方の側板の前端部にヒンジ軸により開閉可能に設けられる前扉とを備え、前記筐体内に、遊技を制御するための主制御基板と、前記主制御基板の制御に基づいて演出制御信号を出力可能な副制御基板と、複数の識別情報を変動及び停止表示可能なリールユニットと、前記主制御基板の制御に基づいて前記リールユニットの後記回転リールの回転を制御するための回転リール制御基板とを設け、前記前扉に、前記主制御基板の制御信号に基づいて遊技情報を表示可能な表示手段と、少なくとも遊技を実行するときに操作される操作手段の操作に基づいて、前記主制御基板へ操作信号を出力可能な操作検出手段と、所定の遊技状態になったとき点灯または点滅するランプとを設けた遊技機において、
前記リールユニットは、外周面に前記識別情報が表示された回転リールと、該回転リールを支持するための左右の側板部を有するとともに前面が開放する正面視矩形のリール枠体とを含み、
前記主制御基板は、前記筐体内にあって前記リール枠体の真後ろ上方に取り付けられるとともに、前面下部に副制御基板用電気的接続ケーブルの一端が接続される副制御基板出力コネクタと、表示手段用電気的接続ケーブルの一端が接続される表示出力コネクタと、スイッチ入力用電気的ケーブルの一端が接続されるスイッチ入力コネクタと、回転リール用電気的接続ケーブルの一端が接続される回転リール出力コネクタとを左右方向に並設し、
前記副制御基板は、前記リール枠体の前記左右の側板部のうち、前記筐体の前記一方の側板の内面に対向する方の側板部の対向面と前記一方の側板の内面との間に縦置きに固定されるとともに、前記副制御基板用電気的接続ケーブルの他端が接続される主制御基板入力コネクタ、サブリール基板用電気的接続ケーブルの一端が接続されるサブリール基板出力コネクタ及び前記ランプへ制御信号を送信するための演出用電気的接続ケーブルが接続される演出出力コネクタを有し、
前記リール枠体に、前記回転リール用電気的接続ケーブルの他端が接続される前記回転リール制御基板、及び前記サブリール基板用電気的接続ケーブルの他端が接続され前記副制御基板から出力される制御信号に基づいて、前記リールユニットにおける前記回転リールのバックライトの点灯及び消灯を制御するためのサブリール基板を配置し、
前記表示手段用電気的接続ケーブル及び前記スイッチ入力用電気的接続ケーブルを配線して、前記表示手段及び前記操作検出手段にそれぞれ接続した遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]本願補正発明の「主制御基板」の前面下部には、「前記副制御基板出力コネクタ、前記表示出力コネクタ及び前記スイッチ入力コネクタを前記筐体における前記一方の側板と前記一方の側板に対向する他方の側板間の真ん中よりも前記一方の側板寄りに配置」しているのに対し、引用発明の「遊技制御基板200」の前面下部には、演出制御基板201、リール中継基板203、各種スイッチ、センサ、ランプ、及び表示器と配線接続するための複数のコネクタをどのように配置しているか明らかでない点。
[相違点2]本願補正発明の「副制御基板」は、「前記筐体の前記一方の側板の内面に対向する方の側板部の対向面に、前記一方の側板の内面から離間するように」固定されるのに対し、引用発明の「演出制御基板201」は、「前記左側の側板86の内面における前記リールユニット52の側方位置に」固定される点。
[相違点3]本願補正発明は、前記リール枠体の上面に、「回転リール制御基板」及び「サブリール基板」を配置するのに対し、引用発明は、前記右側の側板52aの外側面に、「リール中継基板203」及び「リールランプ中継基板204」が取り付けられる点。
[相違点4]本願補正発明は、「前記表示手段用電気的接続ケーブル及び前記スイッチ入力用電気的接続ケーブルを、前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間にあって前記一方の側板の最奥の位置に沿って配線」しているのに対し、引用発明は、遊技制御基板200と操作有効ランプ122L、122C、122R、並びに遊技制御基板200とスタートスイッチ102及び左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rとを接続する配線がどのように配置されているか明らかでない点。

(3)相違点の検討及び判断
[相違点1について]
摘記した引用文献1の段落【0065】には、「前面扉2bに設けられる演出用リール基板341が接続される演出制御基板201が収納される収納ケース550が、前面扉2bを回動自在に枢支する蝶番89が取り付けられる側の側板86に取り付けられているため、配線されたケーブルやコード類が開閉扉2bの開閉時に邪魔になることがない。」と記載されているから、引用文献1には、前面扉2bに設けられる電装品と筐体に設けられる電装品をケーブルやコード類で接続する場合、筐体に設けられる電装品におけるケーブルやコード類との接続箇所は側板86に近い方が良いことが示されているといえる。
そうしてみると、引用発明において、前面扉2bに設けられている操作有効ランプ122L、122C、122R、スタートスイッチ102及び左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rと、筐体に設けられている遊技制御基板200とを接続する配線の遊技制御基板200における接続箇所を、前面扉2bに近い側として、上記相違点1に係る本願補正発明のような構成とすることは、遊技機における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に想到できることといえる。
また、引用発明の「遊技制御基板200」と「演出制御基板201」を接続する配線については、引用文献1の図4に「遊技制御基板200」の前面下部の側板86に近い位置にあるコネクタを接続箇所とすることが示されているし、「演出制御基板201」は側板86の内面に取り付けられていることから、演出制御基板201と接続するための遊技制御基板200の前面下部にあるコネクタの配置を側板86に近い位置とすることは、当業者がごく普通に行い得る事項である。
さらに、コネクタが一方の側板と前記一方の側板に対向する他方の側板間の真ん中よりも前記一方の側板寄りに配置されるか否かは、前面扉2bに設けられる部材と遊技制御基板200とを接続する配線の数とコネクタの大きさに依存するものであるが、その配置を側板86に近い位置とすべきである以上、当業者が側板86と側板87の間の真ん中より側板86寄りとなるように設計することは当然である。

[相違点2について]
リールユニットの上面や側面に各種基板を配設することは、例えば、引用文献1(特に、段落【0053】、図2及び図4)、特開平4-246387公報(特に、段落【0018】及び図1)、特開2002-65939号公報(特に、段落【0034】及び図5)、特開2002-143369号公報(拒絶理由の引用文献3、特に段落【0020】及び図3)及び特開2003-310832号公報(段落【0084】及び図6)に記載されるように、従来周知の技術(以下「周知技術1」という。)であるから、引用発明の「演出制御基板201」(本願補正発明の「副制御基板」に相当)をリールユニット52の左側の側板の外側面に配設して、上記相違点2に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到できることである。

[相違点3について]
リールユニットの上面や側面に各種基板を配設することは、上記[相違点2について]の項で述べたとおり周知技術1であり、遊技機内部の配線の長さを短くすることは、例を挙げるまでもなく従来周知の技術課題である。
そして、引用発明の「リール中継基板203」は、遊技制御基板200の制御部210が出力したリール制御信号をリールモータ54L、54C、54Rに入力するものであるから、当業者にとって「リール中継基板203」を「遊技制御基板200」及び「リールモータ54L、54C、54R」の両方に近い位置に設けようとすることは格別困難なことではない。
同様に、引用発明の「リールランプ中継基板204」は、上記(2)g.で述べたように、「演出制御基板201」及び「リールランプ55」と接続されるものであるから、当業者にとって「リールランプ中継基板204」を「演出制御基板201」及び「リールランプ55」の両方に近い位置に設けようとすることは格別困難なことではない。
そうしてみると、引用発明の「遊技制御基板200」は、上記(2)d.で述べたとおり「リールユニット52」の真後ろ上方に固定され、また、「演出制御基板201」は左側の側板86の内面における前記リールユニット52の側方位置、すなわち「リールユニット52」の左側方に取り付けられているから、引用発明の「リール中継基板203」及び「リールランプ中継基板204」を、右側の側板52aの外側面より「遊技制御基板200」及び「演出制御基板201」に近い「リールユニット52」上面に設けるようにして、上記相違点3に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到できることである。

[相違点4について]
上記「第二.3.」で指摘したように、「前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間にあって前記一方の側板の最奥の位置に沿って配線」という限定事項は不明りょうであるが、遊技機において固定体に沿わせて配線する技術は、例えば、特開平5-329266号公報(特に、段落【0025】及び図5)、前置報告書で示された特開平7-236752号公報(特に、段落【0011】、図2及び図3)及び同じく前置報告書で示された特開2002-18076号公報(特に、段落【0014】、【0016】、【0018】及び図1?4)に記載されるように、従来周知の技術(以下「周知技術2」という。)であるから、前面扉2bに設けられている操作有効ランプ122L、122C、122R、スタートスイッチ102及び左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rと、筐体に設けられている遊技制御基板200とを接続する配線に周知技術2を適用することは当業者が適宜行い得ることである。
そして、その際に、配線の一部について左側の側板86の最奥に沿わせるようにすることは、その配線が筐体2aの背板85の上部前面に固定されている遊技制御基板200から前面扉2bの枢支された側に延びるものであることを考えると、当業者が普通に採用し得ることである。
よって、引用発明において、遊技制御基板200と操作有効ランプ122L、122C、122R、並びに遊技制御基板200とスタートスイッチ102及び左、中、右ストップスイッチ103L、103C、103Rとを接続する配線の一部を、左側の側板86の最奥に沿わせて上記相違点4に係る本願補正発明のような構成とすることは、当業者が容易に想到できることである。

(4)まとめ
以上のように上記相違点1?4は、いずれも当業者が容易に想到できるものであり、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術1、2に基づいて当業者が予測できる範囲のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

第三.本願発明について
1.本願発明
平成22年9月29日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、同年3月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 前面が開放した筐体と、該筐体の側部を形成する両側板のうち一方の側板の前端部にヒンジ軸により開閉可能に設けられる前扉とを備え、前記筐体内に、遊技を制御するための主制御基板と、複数の識別情報を変動及び停止表示可能なリールユニットとを設け、前記前扉に、前記主制御基板の制御信号に基づいて遊技情報を表示可能な表示手段と、少なくとも遊技を実行するときに操作される操作手段の操作に基づいて、前記主制御基板へ操作信号を出力可能な操作検出手段とを設けた遊技機において、
前記リールユニットは、外周面に前記識別情報が表示された回転リールと、該回転リールを支持するための前面が開放する正面視矩形のリール枠体とを含み、前記リール枠体における前記筐体の前記一方の側板の内面に対向する側面に、前記主制御基板の制御に基づいて演出制御信号を出力可能な副制御基板を、前記一方の側板の内面から離間するように縦置きに配置し、
前記主制御基板の前面に、複数の電気的接続ケーブルがそれぞれ接続されるコネクタを左右方向に沿って複数設けるとともに、前記複数のコネクタのうち、前記電気的接続ケーブルにより、前記表示手段に接続される表示出力コネクタ、及び前記操作検出手段に接続されるスイッチ入力コネクタを、前記筐体における前記一方の側板と前記一方の側板に対向する他方の側板との間の中心線と前記一方の側板の内面との間の範囲内に配置し、かつ前記複数の電気的接続ケーブルのうち、少なくとも前記表示出力コネクタ及び前記スイッチ入力コネクタにそれぞれ接続される電気的接続ケーブルを、前記一方の側板の内面と前記副制御基板との間の隙間を通るように前記一方の側板に沿って配線して、前記表示手段及び前記操作検出手段のそれぞれに接続したことを特徴とする遊技機。」

2.特許法第29条第2項の検討
(1)引用文献記載事項
原査定における引用文献1及びその記載事項は、上記「第二.4.(1)」に記載したとおりである。

(2)引用発明と本願発明との対比及び判断
本願発明は、上記「第二」で検討した本願補正発明から、「前記主制御基板の制御に基づいて前記リールユニットの後記回転リールの回転を制御するための回転リール制御基板」、「所定の遊技状態になったとき点灯または点滅するランプ」、「サブリール基板用電気的接続ケーブルの一端が接続されるサブリール基板出力コネクタ」、「前記リール枠体の上面に、前記回転リール用電気的接続ケーブルの他端が接続される前記回転リール制御基板、及び前記サブリール基板用電気的接続ケーブルの他端が接続され前記副制御基板から出力される制御信号に基づいて、前記リールユニットにおける前記回転リールのバックライトの点灯及び消灯を制御するためのサブリール基板を配置し」等の構成を省いたものといえる。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第二.4.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第四.むすび
本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-15 
結審通知日 2011-08-16 
審決日 2011-08-31 
出願番号 特願2004-160728(P2004-160728)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大澤 元成  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 瀬津 太朗
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 中馬 典嗣  

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