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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01J |
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管理番号 | 1245206 |
審判番号 | 不服2008-6728 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-03-19 |
確定日 | 2011-10-14 |
事件の表示 | 特願2002-535802号「担体および前記担体表面上に設置された触媒活性酸化物材料から成る触媒」拒絶査定不服審判事件〔平成14年4月25日国際公開、WO02/32571、平成16年6月3日国内公表、特表2004-516129号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成13年10月16日(パリ条約による優先権主張 (DE)2000年10月17日)を国際出願日とする出願であって、平成19年7月20日付けの拒絶理由に対し、同年10月25日付けで意見書および手続補正書が提出され、同年12月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年3月19日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明は、平成19年10月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載により特定される、以下のとおりのものである。 「担体および前記担体の表面上に設置された一般式I Mo_(1)V_(b)M_(c)^(1)M_(d)^(2)O_(n) (I) [式中、 M^(1)は、Teおよび/またはSbであり、 M^(2)は、Nb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、Ga、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Bi、BおよびCeから成る群からの少なくとも1種の元素であり、 bは、0.01?1であり、 cは、0.01?1であり、 dは、0.01?1であり、かつ nは、電荷の中性の前提のもとに、式(I)中の酸素とは異なる元素の原子価および存在度により決定される数である] の触媒活性酸化物材料から成り、担体の縦方向の寸法が1?10mm、そして活性酸化物材料層の厚さが10?700μmであることを特徴とする、プロパンを気相接触酸化してアクリル酸を製造するためのシェル触媒。」 2.引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用した特開平11-169716号公報(以下、「引用例」という。)には、下記の記載および表示がある。 (a)「【0012】本発明の触媒は、上記の複合酸化物に由来する回折ピークの他に、触媒に含まれるバインダー、担体、希釈剤などに由来する回折ピークを有していてもよい。また、本発明の触媒は、従来知られている2種類の結晶系が特定割合で混ざっていることが特徴の一つである。すなわち、本発明の触媒は、X線回折図形において、回折角2θ=22.1±0.3 °の回折ピークの強度を100としたときの、回折角2θ=27.3±0.3 °の回折ピークの強度(相対強度)が5?100、好ましくは10?80、回折角2θ=28.2±0.3 °の回折ピークの強度(相対強度)が20?150、好ましくは25?120である。回折角2θ=27.3±0.3 °の回折ピークの強度(相対強度)が5よりちいさいとアルカンの転化率が不十分となり、一方100を超えると触媒の経時的な安定性が不十分になることがある。また、回折角2θ=28.2±0.3 °の回折ピークの強度(相対強度)が20より小さいとニトリルの選択率や経時的な安定性の上で不十分であったり、一方、150を超えるとアルカン転化率が不十分であることがしばしば観察される。」 (b)「【0023】アルカンの転化率(%)=(消費アルカンのモル数/供給アルカンのモル数)×100 目的生成物の選択率(%)=(生成目的生成物のモル数/消費アルカンのモル数)×100 目的生成物の収率(%)=(生成目的生成物のモル数/供給アルカンのモル数)×100」 (c)「【0024】<触媒製造例1>実験式Mo_(1)V_(0.3)Te_(0.23)Nb_(0.12)O_(n)の複合酸化物をSiO_(2)に担持させた触媒(SiO_(2)は触媒全体の10重量%)を次のように調製した。温水5.68リットルに1.38kgのパラモリブデン酸アンモニウム塩、0.275kgのメタバナジン酸アンモニウム塩、0.413kgのテルル酸を溶解し、均一な水溶液を調製した。さらにシリカ含量が20wt%のシリカゾル0.972kg、およびニオブの濃度が0.659mol/kgのシュウ酸ニオブアンモニウム水溶液1.422kgを混合し、スラリ-を調製した。このスラリーを乾燥させ水分を除去した。次いで、この乾燥物をアンモニア臭がなくなるまで約300℃で加熱処理した後、窒素気流中600℃で2時間焼成した。」 (d)「【0028】<実施例2>触媒製造例1で得られた触媒0.55g を固定床流通型反応器に充填し、反応温度400℃、空間速度SVを約1870h^(-1)に固定して、プロパン:空気:水蒸気=1:15:14のモル比でガスを供給し気相接触酸化反応を行なった。5時間後の結果を表-2に示す。」 (e)「【0042】 【発明の効果】本発明によれば、アルカンの気相接触酸化反応により工業原料として有用なアクリロニトリル、アクリル酸などの不飽和ニトリル、不飽和カルボン酸を長期間高い収率、選択率で製造することができる。」 (f)【表2】には、「実施例2に関して、プロパン転化率が80.2%で、アクリル酸選択率が60.7%で、アクリル酸収率が48.7%である」ことの表示がある。 (g)上記(a)で示した「【0012】本発明の触媒は、上記の複合酸化物に由来する回折ピークの他に、触媒に含まれるバインダー、担体、希釈剤などに由来する回折ピークを有していてもよい。・・・」との記載、および、同(c)で示した「【0024】<触媒製造例1>実験式Mo_(1)V_(0.3)Te_(0.2)Nb_(0.12)O_(n)の複合酸化物をSiO_(2)に担持させた触媒(SiO_(2)は触媒全体の10重量%)を次のように調製した。・・・」との記載からして、担体と希釈剤とは区別されたものであり、また、金属複合酸化物を担持するSiO_(2)は、担持するものである以上、担体であるということができるので、引用例には、「希釈剤と区別された担体としてのSiO_(2)は、金属複合酸化物を担持する」ことが記載されているということができる。 上記(a)ないし(g)の記載事項より、引用例には、 「担体に担持されたMo_(1)V_(0.3)Te_(0.23)Nb_(0.12)O_(n)で示される金属複合酸化物から成る、プロパンを気相接触酸化してアクリル酸を製造するための触媒。」の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されている。 3.対比・判断 本願発明と引用例記載の発明とを対比する。 ○引用例記載の発明の「担持」、「金属複合酸化物」は、本願発明の「設置」、「触媒活性酸化物材料」にそれぞれ相当する。 ○引用例記載の発明の「担体に担持(設置)された」金属複合酸化物(触媒活性酸化物材料)は、当然、担体の表面の少なくとも一部に幾らかでも存在するものであるということができるので、本願発明の「担体および前記担体の表面上に設置された」触媒活性酸化物材料に相当する。(本願発明と引用例記載の発明の対比において示す()内の事項は、本願発明の発明特定事項である。) ○引用例記載の発明の「Mo_(1)V_(0.3)Te_(0.23)Nb_(0.12)O_(n)で示される金属複合酸化物」と、本願発明の「一般式I Mo_(1)V_(b)M_(c)^(1)M_(d)^(2)O_(n) (I) [式中、 M^(1)は、Teおよび/またはSbであり、 M^(2)は、Nb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、Ga、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Bi、BおよびCeから成る群からの少なくとも1種の元素であり、 bは、0.01?1であり、 cは、0.01?1であり、 dは、0.01?1であり、かつ、 nは、電荷の中性の前提のもとに、式(I)中の酸素とは異なる元素の原子価および存在度により決定される数である] の触媒活性酸化物材料」とは、各金属成分およびこれらの存在度が同じであり、そうである以上、酸素の存在度についても同じであると見るのが妥当であり、故に、酸素を含む各成分およびこれらの存在度が同じであって、全体の電荷も同じになっているということができるので、 引用例記載の発明の「Mo_(1)V_(0.3)Te_(0.23)Nb_(0.12)O_(n)で示される金属複合酸化物」は、本願発明の「一般式I Mo_(1)V_(b)M_(c)^(1)M_(d)^(2)O_(n) (I) [式中・・・かつ、 nは、電荷の中性の前提のもとに、式(I)中の酸素とは異なる元素の原子価および存在度により決定される数である] の触媒活性酸化物材料」に相当する。 ○引用例記載の発明の「触媒」と本願発明の「シェル触媒」とは、「触媒」という点で共通する。 上記より、本願発明と引用例記載の発明とは、 「担体および前記担体の表面上に設置された一般式I Mo_(1)V_(b)M_(c)^(1)M_(d)^(2)O_(n) (I) [式中、 M^(1)は、Teおよび/またはSbであり、 M^(2)は、Nb、Ta、W、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、Ga、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Bi、BおよびCeから成る群からの少なくとも1種の元素であり、 bは、0.01?1であり、 cは、0.01?1であり、 dは、0.01?1であり、かつ nは、電荷の中性の前提のもとに、式(I)中の酸素とは異なる元素の原子価および存在度により決定される数である] の触媒活性酸化物材料から成り、プロパンを気相接触酸化してアクリル酸を製造するための触媒。」という点で一致し、以下の点で相違している。 <相違点> 本願発明では、プロパンを気相接触酸化してアクリル酸を製造するために「担体の縦方向の寸法が1?10mm、そして活性酸化物材料層の厚さが10?700μmである」「シェル触媒」を用いるのに対して、 引用例記載の発明では、同製造するために「触媒」を用いるものの、「担体の縦方向の寸法が1?10mm、そして活性酸化物材料層の厚さが10?700μmである」「シェル触媒」を用いていない点。 <相違点>について検討する。 一般に、プロパンの誘導体を気相接触酸化してアクリル酸を製造するために「シェル触媒」を用いることは、本願優先権主張日前に周知の事項(下記の[追記1]参照)であり、また、引用例記載の発明と上記周知の事項とは、プロパン系の材料を気相接触酸化してアクリル酸を製造するために「触媒」を用いるという点で共通している。 そうすると、引用例記載の発明において、プロパンを気相接触酸化してアクリル酸を製造するために「触媒」を用いることについて、上記2.(b)(e)(f)で示した引用例に記載の事項の「アクリル酸の選択率を高める」等の観点を考慮しつつ上記周知の事項を適用することで、「触媒」を「シェル触媒」とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることであり、 そして、この際に、「シェル触媒」の形態をどのようにするか、具体的には、「担体」の形状を円柱状や円筒状(例えば、下記の[追記1]で示す特開平7-10802号公報の【0015】参照)にし、「担体」の寸法を数ミリ程度(例えば、同特開平7-10802号公報の特に【0015】【0026】、同特開平10-28877号公報の特に【0023】【0029】【0034】【0038】【0039】参照)にし、触媒活性酸化物材料層の厚さを200μm程度(下記の[追記2]参照)にするかは、「アクリル酸の選択率を高める」等の観点を考慮した上で当業者であれば適宜決定する設計的事項である。 したがって、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、引用例記載の発明および本願優先権主張日前に周知の事項に基いて当業者であれば容易になし得ることである。 [追記1] 本願発明における「シェル触媒」は、発明の詳細な説明の「【0017】本発明により使用すべき担体は、有利には化学的に不活性である。すなわち、これらは、本発明による被覆された触媒により触媒作用されるプロパンからアクリル酸への接触気相酸化の反応において重要な役割を果たさない。・・・」との記載からして、「不活性な担体に触媒成分を被覆した(担持させた)触媒」であるということができ、 一方、特開平7-10802号公報には、「【0011】即ち本発明は、少なくともモリブデン及びバナジウムを含有する触媒活性物質を不活性な担体に担持した触媒を充填した固定床多管式反応器を用いて、アクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してアクリル酸を製造する方法において、反応管の原料ガス入口側から出口側に向けて触媒活性物質の担持率がより大きい触媒を順次充填して反応することを特徴とするアクリル酸の製造方法である。」との記載があり、これからして、プロパンの誘導体を気相接触酸化してアクリル酸を製造するために用いる「触媒」は「不活性な担体に触媒成分を担持させた触媒」であることが示されており、また、 特開平10-28877号公報には、「【0010】【課題を解決するための手段】・・・そこで、本発明者らは、触媒活性成分のみかけの密度を低減し、触媒上で生じる反応熱の集中を回避することを目的として種々の検討を行った結果、触媒活性成分を不活性担体に担持する際の触媒活性成分の担持量およびその触媒の粒径と焼成温度を制御することによって、上記の目的を達成することができることを見出し本発明を完成させた。」および「【0019】本発明の触媒は、オレフィン類や第3アルコール類を気相接触酸化して対応する不飽和アルデヒド及び不飽和酸を製造するために好ましく用いられ、プロピレン、イソブチレンまたはt-ブタノールからそれぞれアクロレイン及びアクリル酸またはメタクロレイン及びメタクリル酸を製造するために用いられるのが更に好ましい。」との記載があり、これらからして、プロパンの誘導体を気相接触酸化してアクリル酸を製造するために用いる「触媒」は「不活性な担体に触媒成分を担持させた触媒」であることが示されている。 そうすると、上記両文献における、プロパンの誘導体を気相接触酸化してアクリル酸を製造するために用いる「不活性な担体に触媒成分を担持させた触媒」は、本願発明における「シェル触媒(不活性な担体に触媒成分を担持させた触媒)」に相当しているということができるので、プロパンの誘導体を気相接触酸化してアクリル酸を製造するために「シェル触媒(不活性な担体に触媒成分を担持させた触媒)」を用いることは、本願優先権主張日前に周知の事項(例えば、両文献参照)であるということができる。 [追記2] 上記の[追記1]で示した特開平10-28877号公報には、「担体の平均粒径」「担体に触媒成分を担持させた触媒の平均粒径」が、【0023】では「4mm」「4.5mm」、【0029】では「4.5mm」「5.0mm」、【0034】では「5.0mm」「5.5mm」、【0038】では「6.0mm」「6.3mm」、【0039】では「4mm」「4.4mm」であることの記載があり、これから触媒成分の厚さを算出すると、【0023】【0029】【0034】では「250μm」、【0038】では「150μm」、【0039】では「200μm」となる。 次に、本願発明の作用効果について検討する。 発明の詳細な説明の【0095】ないし【0102】には、本願発明の唯一の実施例である「例1」が記載されており、これにおける「【0101】次に、この反応管をプロパン:空気:H_(2)Oのモル組成=1:15:14の反応ガス出発混合物で充填した(入口側は後充填物側であった)。継続時間(活性材料充填物に対して)を2.4秒まで調節した。入口圧力は2バール(絶対)であった。」および「【0102】42時間の運転継続の後、プロパンの転化率は1回の通過で25モル%であった。アクリル酸形成の選択性は、58モル%であった。付加的に13モル%の選択性でプロパンが有用な副生成物として形成された。」との記載からして、本願発明(例1)は、出発混合物がプロパン:空気:H_(2)Oのモル組成=1:15:14のガスであって、アクリル酸の選択性(選択率)を58モル%とするものである。 一方、引用例には、上記2.(d)(f)で示したように「【0028】<実施例2>触媒製造例1で得られた触媒0.55g を固定床流通型反応器に充填し、反応温度400℃、空間速度SVを約1870h^(-1)に固定して、プロパン:空気:水蒸気=1:15:14のモル比でガスを供給し気相接触酸化反応を行なった。5時間後の結果を表-2に示す。」との記載および「実施例2に関して、プロパン転化率が80.2%で、アクリル酸選択率が60.7%で、アクリル酸収率が48.7%である」ことの表示があり、これらからして、引用例記載の発明(実施例2)は、出発混合物がプロパン:空気:水蒸気=1:15:14のガスであって、アクリル酸の選択率を60.7%とするものである。 そうすると、本願発明(例1)と引用例記載の発明(実施例2)とは、反応温度、空間速度等が同じでないとしても、出発混合物が同じであり、また、上記対比において示したように、気相接触酸化触媒の触媒活性酸化物材料が同じであり、このような状況において、引用例記載の発明(実施例2)のアクリル酸の選択率(60.7%)の方が本願発明(例1)のアクリル酸の選択率(58モル%)よりも高くなっていることから、本願発明の作用効果(特に、アクリル酸の選択率)は、格別顕著なものであるとはいえない。 請求人は、審判請求書の第3頁第15から24行において、「引用文献1にはそもそも、『触媒成分を担体に担持すること』が【0017】段落に記載されておりません。この段落には確かに『担体成分』が記載されておりますが、しかしながら『担体機能』との関連においてではなく、もっぱら活性材料のための『希釈剤』としての使用の意味合いにおいてのみであります(『担体成分』の特徴付けはここでは、希釈目的に使用される材料の化学的性質にもっぱら留意し、前記材料は『担体』の場合と同様に、通常高熱処理されかつ従って化学的に不活性であります(即ち、理想としては、当初の活性材料の希釈のためであります))。『担体成分』が『希釈剤』であることは、触媒が単独で用いることができるとの引用文献1の記載(【0017】段落)からも明らかであると思料します。」との主張をしているので、以下、この点について検討する。 引用例の【0017】の記載は、「このようにして製造された複合酸化物からなる触媒は、単独で用いてもよいが、周知の担体成分、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アルミノシリケ-ト、珪藻土などを1?90重量%程度含んだ混合物として使用することもできる。このような担体成分は、触媒原料の溶液、またはスラリーを調合する際に同時に添加しても、あるいは溶液またはスラリーを乾燥させた後などに添加してもよい。あるいは焼成後の触媒粒子とこれら担体成分粒子を物理的に混合して使用してもよい。」であり、これからして、複合酸化物を担体に担持させることの明示はない。 しかしながら、上記「・・・このような担体成分は、触媒原料の溶液、またはスラリーを調合する際に同時に添加しても、あるいは溶液またはスラリーを乾燥させた後などに添加してもよい。・・・」との記載からして、触媒を製造する途中過程において担体成分と触媒原料を混合する場合が示されており、この場合、担体に複合酸化物が担持される可能性があること自体、当業者であれば十分に想起し得ることであることから、上記【0017】の記載は、複合酸化物は担体に担持されない、つまり、担体は希釈剤であるとの意味に限定解釈されるものではない。 したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。 よって、本願発明は、引用例記載の発明および本願優先権主張日前に周知 の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、引用例記載の発明および本願優先権主張日前に周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それゆえ、本願は、特許請求の範囲の請求項2ないし20に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-13 |
結審通知日 | 2011-05-18 |
審決日 | 2011-05-31 |
出願番号 | 特願2002-535802(P2002-535802) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B01J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 牟田 博一 |
特許庁審判長 |
豊永 茂弘 |
特許庁審判官 |
深草 祐一 中澤 登 |
発明の名称 | 担体および前記担体表面上に設置された触媒活性酸化物材料から成る触媒 |
代理人 | 久野 琢也 |
代理人 | 矢野 敏雄 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |