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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1245277
審判番号 不服2009-3719  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-19 
確定日 2011-10-20 
事件の表示 特願2003- 57138「画像形成装置及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月24日出願公開、特開2004-265315〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成15年3月4日の出願であって、平成21年1月9日付けで拒絶査定がなされたが、これに対して同年2月19日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに同年3月18日付けで手続補正がなされ、平成22年12月14日付けで審尋がなされ、これに対して平成23年2月8日に回答書が提出されたものである。

そして、平成21年3月18日付け手続補正は、請求項の削除を目的としてなされたものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に照らして適法になされたものである。したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年3月18日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】 情報を保持する情報保持装置と通信可能であり、印刷部を有する画像形成装置であって、
ネットワークを介して接続された情報処理装置において入力されたキーワード及びアドレスを受信する受信手段と、
前記受信されたキーワードに基づいて構成される検索条件を記憶する記憶手段と、
前記受信されたアドレスに基づいて、当該アドレスに対応する情報保持装置から、当該情報保持装置が保持する情報をネットワークを介して取得する取得手段と、
前記記憶手段によって記憶された検索条件に従って、前記取得手段により取得された情報に対して検索を行う検索手段と、
前記検索手段による検索の結果、前記取得手段によって取得された情報が前記検索条件を満たさない場合には当該情報に基づく印刷を前記印刷部に実行させず、前記取得手段によって取得された情報が前記検索条件を満たす場合には当該情報に基づく印刷を前記印刷部に実行させるように制御する印刷制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。」


2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された特開2002-99557号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下(ア)ないし(シ)の事項が記載されている。

(ア)「【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、Web上に散在する情報を自動的に巡回・収集して、その情報をクライアントに提供するWeb巡回サーバ装置(以下、情報提供サーバ装置と呼ぶ。)であって、予め設定したURL情報に基づきWWWを巡回する手段と、指定されたWebの内容を外部ネットワークを介して読み込む手段と、自動的に情報提供サーバ装置内部に蓄積する手段と、前記蓄積したWebの内容を予め設定した条件に基づいて、情報の抽出・分類・統合を行なう手段と、解析された情報を予め設定した送信先テーブルに基づいて、(1)・・・(中略)・・・、又は(3)自動的にプリンタなどの印刷装置によって印刷する手段との少なくともひとつを備えることを特徴とする。」

(イ)「【0010】
【発明の実施の形態】本発明の1個の実施の形態としてのWWW情報取得システムについて説明する。WWW情報取得システムは、図1に示すように、情報提供サーバ装置10、複数個のWWWサーバ装置20、21、22、・・・、複数個のファクシミリ装置30、31、32、・・・、複数個のプリンタ装置40、41、42、・・・及び複数個の電子メール送受信装置50、51、52、・・・から構成され、情報提供サーバ装置10、WWWサーバ装置20、21、22、・・・及び電子メール送受信装置50、51、52、・・・は、インターネット60を介して接続され、情報提供サーバ装置10及びプリンタ装置40、41、42、・・・は、LAN70を介して接続され、情報提供サーバ装置10及びファクシミリ装置30、31、32、・・・は、公衆電話網80を介して接続されている。」

(ウ)「【0014】WWWサーバ装置20は、インターネット60に接続されている情報提供サーバ装置10から、URLを受け取り、受け取ったURLにより示される情報を内部のハードディスク部から読み出し、読み出した情報を情報提供サーバ装置10へ出力する。一例として、前記URL
http://www.xyz/abc/home.html
を情報提供サーバ装置10から受け取ると、WWWサーバ装置20は、ハードディスク部内のディレクトリabc内のHTMLファイルhome.htmlを読み出して、読み出したHTMLファイルを情報提供サーバ装置10へ出力する。」

(エ)「【0015】・・・(中略)・・・
2.1 情報提供サーバ装置10の構成
情報提供サーバ装置10は、図2に示すように、巡回部101、対象URL記憶部102、電子メール受信部103、URL更新部104、巡回結果記憶部105、入力部106、キーワード更新部107、抽出部108、キーワード記憶部109、抽出結果記憶部110、要約部111、送信情報記憶部112、制御部113、電子メール送信部114、電子メール送信先記憶部115、FAX送信部116、FAX送信先記憶部117、印刷部118及び印刷出力先記憶部119から構成される。」

(オ)「【0017】・・・(中略)・・・
(1)対象URL記憶部102
対象URL記憶部102は、図3に一例として示すように対象URLテーブル200を有している。
【0018】対象URLテーブル200は、URL、優先度、巡回頻度レベル、巡回頻度、巡回時刻、更新頻度、更新履歴及び評価度数から構成される組を複数個記憶する領域を含む。URLは、情報提供サーバ装置10が情報を取得するURLを示す。URLは、例えば、「新聞社のホームページ」、「放送局のホームページ」又は「関連会社のホームページ」を識別するためのものである。

(カ)「【0022】・・・(中略)・・・
(2)入力部106
入力部106は、具体的には、キーボード及びディスプレィなどから構成されている。
【0023】入力部106は、対象URL記憶部102が有する対象URLテーブル200から各組を読み出し、読み出した各組を一覧表として表示する。次に、操作者からURL、優先度、巡回頻度、巡回時刻及び操作の終了を示す指示の入力を受け付け、受け付けたURL、優先度、巡回頻度、巡回時刻をURL更新部104へ出力する。入力部106は、操作者から操作の終了の指示を受け付けるまで、上記のURL、優先度、巡回頻度及び巡回時刻の入力の受付けを繰り返す。
【0024】また、入力部106は、キーワード記憶部109が有するカテゴリテーブル230(後述する)からカテゴリと対応する複数個のキーワードからなる各組を読み出し、読み出した各組をディスプレィに表示する。次に、操作者から各組毎にカテゴリと複数個のキーワードの入力を受け付け、受け付けたカテゴリと複数個のキーワードをキーワード更新部107へ出力する。入力部106は、操作者から操作の終了の指示を受け付けるまで、上記入力の受付けを繰り返す。」

(キ)「【0026】・・・(中略)・・・
(4)URL更新部104
URL更新部104は、入力部106からURL、優先度、巡回時刻及び巡回頻度を受け取る。
【0027】URLを受け取ると、URL更新部104は、受け取ったURLが対象URLテーブル200内に存在するか否かを判断する。存在しない場合には、新たに1個の組のための領域を対象URLテーブル200内に確保し、入力を受け付けた前記URLを前記領域に書き込む。ここで、前記領域において、URL以外は、すべて空白とする。」

(ク)「【0033】・・・(中略)・・・
(URLの巡回参照)巡回部101は、対象URL記憶部102が有する対象URLテーブル200から、より高い優先度を含む組から低い優先度を含む組への順序で、組を順次読み出す。
【0034】・・・(中略)・・・取得した現時刻と読み出した組に含まれる巡回時刻とが一致するか否かを判断し、一致するとき、読み出した組に含まれるURLにより示される情報をWWWサーバ装置20、21、22、・・・から取得する。取得した情報がHTMLファイルである場合に、HTMLファイル内にリンクされている2次情報をさらに取得し、前記URLと取得した情報を識別する名称とを対応付けて、また、前記URLと取得した2次情報を識別する名称とを対応付けて、巡回結果記憶部105内の巡回結果リスト220内に書き込む。また、取得した情報と、取得した2次情報とを、それぞれを識別する名称と対応付けて、巡回結果記憶部105内に書き込む。」

(ケ)「【0039】・・・(中略)・・・
(7)キーワード更新部107
キーワード更新部107は、入力部106からカテゴリと、前記カテゴリに対応する複数個のキーワードを受け取り、受け取ったカテゴリがキーワード記憶部109が有するカテゴリテーブル230内に存在するか否かを判断し、存在しない場合には、受け取ったカテゴリと対応する複数個のキーワードをカテゴリテーブル230内に追加して書き込む。存在する場合には、受け取った複数個のキーワードをカテゴリテーブル230内に上書きする。」

(コ)「【0042】・・・(中略)・・・読み出したファイル名がHTMLファイルを示している場合には、読み出したファイル名により識別されるファイルを巡回結果記憶部105から読み出す。次に、読み出したファイル内に、前記記憶している複数のキーワードのそれぞれが含まれている数を計数し、前記カウント数として記憶する。読み出した前記URLに対応する全てのファイル名の読出しが終了すると、カテゴリに対応する各キーワード毎に計数されたカウント数を全て合計して、カテゴリのカウント数合計を算出し、カウント数合計として記憶する。」

(サ)「【0044】・・・(中略)・・・
(11)要約部111
要約部111は、抽出結果記憶部110が有する抽出結果データ250から、カウント数合計が所定数以上であるURLとカテゴリとカウント数合計の組を1個ずつ読み出し、読み出したURLとカテゴリとの組を送信情報記憶部112へ書き込む。ここで、前記所定数は、一例として、30である。」

(シ)「【0065】・・・(中略)・・・
(19)印刷部118
・・・(中略)・・・
【0066】印刷部118は、印刷出力先記憶部119が有する印刷先テーブル330から、プリンタ番号と宛先とカテゴリとからなる組を1個ずつ順次読み出す。次に、読み出した組に含まれるカテゴリと一致するカテゴリを有するURLとカテゴリと要約文(及び/又はJPEGファイル)を送信情報記憶部112に記憶されている送信情報260から読み出す。・・・(中略)・・・
【0067】・・・(中略)・・・次に、印刷部118は、1個以上のURLとカテゴリと要約文(及び/又はJPEGファイル)との組に、差出人、宛先、件名、日時を付加して書き込む。このようにして生成された情報が印刷情報である。
【0068】次に、印刷部118は、生成された印刷情報を、読み出した組に含まれるプリンタ番号により識別されるプリンタ装置へ送信する。」

上記摘記事項(ア)ないし(シ)によれば、以下の(a)ないし(d)の事項がいえる。

(a)上記摘記事項(ウ)によれば、WWWサーバ装置20は受け取ったURLにより示される情報を内部のハードディスク部から読み出しているから、WWWサーバ装置20は情報を保持しているといえ、また、WWWサーバ装置20と情報提供サーバ装置10はインターネットにより接続され、URLやハードディスク部から読み出した情報をやりとりしているから、互いに通信可能であるということができる。また、上記摘記事項(イ)によれば、情報提供サーバ装置10はプリンタ装置とLAN70を介して接続されている。したがって、これらの記載から引用例記載のものは「情報を保持するWWWサーバ装置と通信可能であり、プリンタ装置と接続された情報提供サーバ装置である」ということができる。

(b)上記摘記事項(カ)には「次に、操作者からURL、優先度、巡回頻度、巡回時刻及び操作の終了を示す指示の入力を受け付け」、及び、「次に、操作者から各組毎にカテゴリと複数個のキーワードの入力を受け付け」と記載されていることからみて、引用例記載のものは、対象となるURLやキーワードを操作者から受け付ける入力部を有している。したがって、引用例記載のものは「入力されたキーワード及びURLを受け付ける入力部」を有しているといえる。

(c)上記摘記事項(ク)によれば、対象URL記憶部102が有する対象URLテーブル200からURLを読み出し、読み出したURLにより示される情報をWWWサーバ装置から取得している。ここで対象URLテーブル200に記憶されたURLは、上記摘記事項(キ)によれば入力部より入力されるURLであり、また、情報の取得は上記摘記事項(イ)及び(ウ)の記載によればインターネットを介して行われるものである。したがって、これらの摘記事項によれば、引用例記載のものは、入力部で受け付けたURLに基づいて、当該URLにより示されるWWWサーバ装置から、当該WWWサーバ装置が保持する情報をインターネットを介して取得するものであり、このような取得手段を有しているということができる。

(d)上記摘記事項(コ)によれば、読み出したファイル内に、キーワードのそれぞれが含まれている数を計数し、カテゴリに対応する各キーワード毎に計数されたカウント数を全て合計して、カテゴリのカウント数合計を算出しているが、ここで、読み出したファイルとはURLにより示されるWWWサーバ装置から取得した情報であり、上記(c)の取得手段で取得した情報である。
さらに上記摘記事項(サ)及び(シ)によれば、カウント数合計が所定数以上である場合に、URLとカテゴリと要約文との組に、差出人、宛先、件名、日時を付加した印刷情報をプリンタ装置へと送信し印刷を実行している。
したがって、上記摘記事項(コ)ないし(シ)から、引用例記載のものは、WWWサーバ装置から取得した情報にキーワードが含まれている数を計数し、カテゴリに対応する各キーワード毎に計数されたカウント数を全て合計して、カテゴリのカウント数合計を算出し、当該カウント数合計が所定数以上である場合に、URLとカテゴリと要約文との組に、差出人、宛先、件名、日時を付加した印刷情報をプリンタ装置へと送信し、印刷を実行するものである。

したがって、上記摘記事項(ア)ないし(シ)、及びこれに関連する図面の内容を総合すると、引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「情報を保持するWWWサーバ装置と通信可能であり、プリンタ装置と接続された情報提供サーバ装置であって、
入力されたキーワード及びURLを受け付ける入力部と、
入力部で受け付けたURLに基づいて、当該URLにより示されるWWWサーバ装置から、当該WWWサーバ装置が保持する情報をインターネットを介して取得する取得手段とを有し、
前記取得手段によって取得した情報にキーワードが含まれている数を計数し、カテゴリに対応する各キーワード毎に計数されたカウント数を全て合計して、カテゴリのカウント数合計を算出し、当該カウント数合計が所定数以上である場合に、URLとカテゴリと要約文との組に、差出人、宛先、件名、日時を付加した印刷情報をプリンタ装置へと送信し、印刷を実行する情報提供サーバ装置。」


3.対比
本願発明を引用発明と比較すると、

引用発明における「情報」「WWWサーバ装置」が、それぞれ本願発明における「情報」「情報保持装置」に相当する。

引用発明における「キーワード」「URL」「インターネット」が、それぞれ本願発明における「キーワード」「アドレス」「ネットワーク」に相当する。

引用発明における「入力部」は、後述する点で相違するものの、本願発明における「受信手段」に対応し、キーワードやアドレスを受け取る手段である点で両者は共通する。

引用発明における「取得手段」は、本願発明における「取得手段」に対応する。

引用発明は「情報提供サーバ装置」であるのに対して、本願発明は「画像形成装置」であるが、両者は「装置」の発明であるという点では共通している。

引用発明では「取得した情報にキーワードが含まれている数を計数し、カテゴリに対応する各キーワード毎に計数されたカウント数を全て合計して、カテゴリのカウント数合計を算出し、当該カウント数合計が所定数以上である」かどうかという条件を判断し、所定数以上であった場合に印刷を行うように構成している。カウント数合計が所定値以上のものを探すという動作を行っているから検索を行っているといえ、このときのカウント数合計が所定値以上であるという条件が本願発明の「検索条件」に相当する。また検索を行っているのであるから検索手段を備えていると考えるのが自然である。
そうしてみると、引用発明は、検索条件に従って前記取得手段により取得された情報に対して検索を行う検索手段を有している点で本願発明と一致する。
また、引用発明では「カウント数合計が所定数以上である場合に、URLとカテゴリと要約文との組に、差出人、宛先、件名、日時を付加した印刷情報をプリンタ装置へと送信し、印刷を実行」している。したがって、検索条件が満たされた場合に、取得された情報に基づく情報である印刷情報を印刷しており、そのための印刷制御手段を有していると考えるのが自然である。

したがって、本願発明と引用発明は以下の[一致点]で一致し、[相違点1]ないし[相違点4]で相違する。

[一致点]
「情報を保持する情報保持装置と通信可能な装置であって、
入力されたキーワード及びアドレスを受け取る手段と、
前記受け取ったアドレスに基づいて、当該アドレスに対応する情報保持装置から、当該情報保持装置が保持する情報をネットワークを介して取得する取得手段と、
検索条件に従って前記取得手段により取得された情報に対して検索を行う検索手段と、
前記検索手段による検索の結果、前記取得手段によって取得された情報が前記検索条件を満たす場合には当該情報に基づく印刷を印刷部に実行させるように制御する印刷制御手段と
を有する装置。」


[相違点1]本願発明が、印刷部を有する画像形成装置であるのに対して、引用発明はそのようなものではない点。

[相違点2]本願発明が、ネットワークを介して接続された情報処理装置においてキーワード及びアドレスを入力するのに対して、引用発明はそのようなものではない点。

[相違点3]本願発明が、「前記受信されたキーワードに基づいて構成される検索条件を記憶する記憶手段」を有し、当該記憶手段によって記憶された検索条件に従って検索行っているのに対して、引用発明はそのようなものではない点。

[相違点4]本願発明が、「前記検索手段による検索の結果、前記取得手段によって取得された情報が前記検索条件を満たさない場合には当該情報に基づく印刷を前記印刷部に実行させ」ない構成を有しているのに対して、引用発明にはそのような明示がない点。


4.判断
相違点について検討する。

[相違点1]について
引用発明では、情報提供サーバ装置に別構成のプリンタ装置が接続された構成となっている。しかしながら、WWWサーバ装置と通信して情報を取得する装置において、取得した情報を出力するプリンタ装置を一体に構成する技術は周知の技術にすぎないこと(特開2002-157096号公報参照。)を勘案すれば、引用発明において情報提供サーバ装置とプリンタ装置を一体構成とすることは、設置や使用する際の利便性などを考慮して当業者が適宜なし得た程度の技術事項にすぎない。したがって、相違点1とした本願発明の構成は格別なものではない。

[相違点2]について
引用発明においては、入力部においてキーワードとURLを操作者が入力する構成となっているが、WWWサーバ装置と通信して情報を取得する装置において、各種設定情報をネットワークを介して外部から入力するような技術は従来より周知の技術にすぎないから(特開2000-315191号公報参照。)、本願発明のようにネットワークを介して接続された情報処理装置から各種設定情報である、キーワードやアドレスを入力するような構成とすることは、当業者が設計をする際に、その使用形態や利便性を踏まえて必要に応じて適宜設計できる程度の技術的事項にすぎないものである。したがって、相違点2とした本願発明の構成は格別なものではない。

[相違点3]について
引用発明は「前記取得手段によって取得した情報にキーワードが含まれている数を計数し、カテゴリに対応する各キーワード毎に計数されたカウント数を全て合計して、カテゴリのカウント数合計を算出し、当該カウント数合計が所定数以上である場合」という条件を判定するものであり、キーワードに基づいて構成される検索条件を判定しているものである。したがって、このような検索条件を記憶手段に記憶しておくように記憶手段を用意しておくことは、当業者が適宜なし得る技術事項にすぎない。よって、相違点3とした本願発明の構成は格別のものではない。

[相違点4]について
引用発明は、検索条件を満たす場合に印刷を実行する構成となっているのであるから、これ以外の場合、すなわち検索条件を満たさない場合に、満たす場合とは逆に印刷を実行しない構成とすることは、当業者が適宜設計できる事項にすぎない。したがって、相違点4とした本願発明の構成は格別の構成とはいえない。

そして、本願発明の効果も、引用発明及び周知の技術から予測できる程度のものにすぎない。


5.むすび
上記「4.」で述べたとおり、本願請求項1に係る発明は,引用発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-10 
結審通知日 2011-08-22 
審決日 2011-09-05 
出願番号 特願2003-57138(P2003-57138)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田上 隆一  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 山本 章裕
松尾 俊介
発明の名称 画像形成装置及び制御方法  
代理人 別役 重尚  

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