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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01M
管理番号 1245454
審判番号 不服2010-14737  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-02 
確定日 2011-10-19 
事件の表示 特願2004-352180「衝突試験用ダミーのためのフレキシブルプリント回路ケーブルシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年8月25日出願公開、特開2005-227266〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成16年12月6日(パリ条約による優先権主張 2003年12月5日、米国(US))の特許出願(2004年特許願第352180号。以下、「本件出願」という。)であって、平成22年2月23日付けで、拒絶査定(発送日:同年3月2日)がなされたところ、拒絶査定不服審判が同年7月2日に請求されたものである。

第2 本件出願に係る発明
本件出願の請求項1?請求項16に係る発明は、平成20年12月2日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1?請求項16に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものと認める。

【請求項1】「衝突試験用ダミーのためのフレキシブルプリント回路ケーブルシステムであって、
少なくとも1つの集中データ受信ユニットと、
該少なくとも1つの集中データ受信ユニットから離れて配置されて、乗物の衝突に関するデータの電気信号を生成する、複数のセンサと、
該センサから前記少なくとも1つの集中データ受信ユニットへ前記電気信号を送信するために該センサと該少なくとも1つの集中データ受信ユニットとを電気的に相互接続する複数のフレキシブルプリント回路ケーブルと
を含む、衝突試験用ダミーのためのフレキシブルプリント回路ケーブルシステム。」

第3 引用刊行物の記載
(3A)原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願の優先権主張の日前に頒布された引用文献(特開平4-251283号公報。以下、「引用刊行物A」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。(下線は当審により付加されたものである。以下も同様である。)

(3A-1)「【請求項1】 人間の事故による影響を評価する装置であって、人間の事故による影響を模擬する人間の形に似た人体模型手段と、この人体模型手段は人間の形に似た人体模型を含み、上記人体模型は該人体模型中に分配され、上記人体模型手段の構成要素によって模擬事故中に経験された力、加速度、速度又は変位を検知してこれらを表わす信号を発生するセンサを有する検知手段を含み、上記人体模型に収められ、上記センサから発生するデータの所定量を記憶する再循環メモリ手段を含むデータ収集/記憶手段と、を備えた事故を模擬する装置。」

(3A-2)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オートバイ事故の模擬実験方法、および、オートバイ事故で人体が受ける傷害状態を効果的且つ実験的に再現する、人体模型であるオートバイ事故模擬実験用ダミーに関する。」

(3A-3)「【0028】図1に示すように、実験用ダミー1には、以下に列挙する様々な検出手段が取り付けられている。
a)頭部直線加速度測定手段
b)頭部角加速度測定手段
c)首部荷重検出(ローロセル)手段
d)胸部撓み測定手段
e)胸部加速度測定手段
f)骨盤加速度測定手段
g)大腿骨荷重検出(ロードセル)手段h)大腿骨歪検出(歪ゲージ)手段
i)膝歪検出(歪ゲージ)手段
j)脛骨上部歪検出(歪ゲージ)手段
k)脛骨下部歪検出(歪ゲージ)手段」

(3A-4)「【0030】オートバイのハンドル握持手段17aは、力又は圧力が加わった時に開くように構成されているので、オートバイ事故模擬実験において、実験用ダミー1に加わる慣性力がハンドル手段を握る握持力に勝った時、同ハンドル握持手段17aはオートバイのハンドル手段から離脱する。そして、オートバイ3が障害物に衝突すると、実験用ダミー1に作用する慣性力によって、同ダミー1はハンドル手段の上方に動き、その結果、手手段17がオートバイ3から離れる。
【0031】四肢手段に加わる応力、及び/又は四肢手段に生じる歪の少なくとも一方は、第一検出手段23によって検出される。この第一検出手段23は、例えば、図5に示すように、脛骨14bに一列に取り付けられた歪ゲージ23a、23bから成る。図1に参照番号j,kで示す位置に取り付けられた斯かる周知の検出手段23は、脛骨に生じる歪の検出に応じて電気的な第一データ信号手段を発生する。脛骨には各々斯様な歪ゲージが一列に取り付けられ、大腿骨にも同じ構成の検出器が一列に取り付けられている。
【0032】関節手段に加わる応力、及び/又は関節手段に生じる歪の少なくとも一方は、第二検出手段24によって検出される。この様な第二検出手段24は例えば、膝関節歪ゲージiを備える。
【0033】第二検出手段24は、歪ゲージによって検出される膝関節の歪値に応じて第二データ信号手段を発生する。
【0034】実験用ダミー1は、図1及び図3に示すように、データ受取/記憶手段25を備え、このデータ受取/記憶手段25は、第一検出手段23および第二検出手段24からデータ信号手段を受け取るとともに、そのデータを胸部10内に記憶する。この手段の詳細は後程説明することにして、ここでは、斯かるデータ受取/記憶手段(ハウジング/衝撃保護手段)25が凹凸の多いハウジング26を有し、同手段25が胸手段10内部のハウジング26に完全に収納される構成について触れるに留める。凹凸が多く強固なハウジング26は、緩衝マウント、即ち、衝撃吸収手段を備え、模擬実験において、実験用ダミー1に加わる力からデータデータ受取/記憶手段を遮蔽する。尚、このハウジングは、実験用ダミー1の背骨、即ち、首手段8から下方に連続して垂下する部位に取り付けてもよい。
【0035】信号伝送手段27は、図5に示すようなリード線28等の、検出器用リード線である電気信号伝送用ワイヤを備える。これらのリード線28は第一検出手段及び第二検出手段から夫々受け取った第一データ信号手段および第二データ信号手段をデータ受取/記憶手段25に伝送する。図3において、このスライド式の信号伝送手段27は、手段25の中央に形成された凹部の基底から取り出された状態にある。この構成の詳細は、後程説明する。
【0036】信号伝送手段27は、実験用ダミー1の内部に完全に収納され、アンビリカルコード等の外部に延出する伝送手段を必要としない。ここで、外部に延出するコードとは、例えば、実験用ダミーから離れた位置に設けられた手段に物理的に接続され、模擬実験において、ダミーの自由な動きを許容するコードのことである。」

(3A-5)「【0080】図12に示す如く、データ収集及び記憶アッセンブリ(DSCアッセンブリ)25は複数の別々のデータ収集及び記憶(DCS)ユニット25.1?25.8を含む。これらのDSCユニット25.1?25.8は好ましくは小さく、高速で作動する、バッテリにより電力を供給されたレコーダである。
【0081】図示された実施例に於いては、ユニット25.1?25.8は略胸部の脊髄部分に位置する取付ボックス26の対向する側面に配設された縦の配列内に分けて収められている。各ユニットは取付ボックス26の対応するタブ又はスロットと係合するタブ又はスロットを有する容器中に収納され、取付け時には、ユニット25.1?25.8は記録されて取付ボックス26に固定され、剛性を有するユニットを形成する。・・・」

上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-1)?(3A-5)の記載を参照すると、上記引用刊行物Aには、
「オートバイ事故模擬実験用ダミーに用いられる装置であって、
ユニット25.1?25.8からなるデータ受取/記憶手段25と、」
実験用ダミー1に取り付けられている様々な検出手段と、
様々な検出手段から夫々受け取ったデータ信号手段をデータ受取/記憶手段25に伝送するリード線28とを、
備えたオートバイ事故模擬実験用ダミーに用いられる装置。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

(3B)原査定の拒絶の理由に周知例として引用され、本件出願の優先権主張の日前に頒布された引用文献(特開平8-122009号公報、以下「引用刊行物B」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。

(3B-1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衝突試験用ダミーに装着され、ダミーの腹部の変形量の時刻歴を計測するとともに、腹部の傷害を推定することが出来るダミー腹部変形計測装置に関する。」

(3B-2)「【0020】前記ゲージ3は、図2および図3に示すように前記矩形の弾性薄板部材20の長手方向に例えば15個配設する。ついで前記弾性薄板部材およびリード線部を形成するフレキシブルプリント基板を、片面に粘着剤を塗布した0.13mmテフロンシートで上に置くことにより相互の位置決めを行う。次いで、弾性薄板部材上のゲージとフレキシブルプリント基板との計測用配線を行ったあと、これらの上面を0.13mmテフロンシートで覆うことにより一体のバンドとする。従って、バンドは上下面をテフロンシートで覆われたものである。」

(3B-3)「【0048】図10に示すように前記矩形の弾性薄板部材21の長手方向に貼着された歪みゲージに対応して並設されるフレキシプルなプリント基板に前記25個の歪みゲージのリード線の抵抗が同一になるとともに、曲げ剛性が長手方向に一様になるように設計されたプリント基板によって、リード部23が形成されている。センサのひずみゲージは、半導体単結晶の箔片により製作して鋼帯表面に絶縁性接着剤で接着して構成してもよく、あるいは、鋼帯表面に絶縁層を形成した後、半導体または導体薄膜を蒸着法、スパッタリング法あるいはエッチング法によって形成してもよい。ひずみゲージは抵抗変化を利用するものであればよく、本実施例においては、箔ゲージを接着して構成した。」

第4 対比・判断
(4-1)本願発明と引用発明とを対比する。
(i)上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-4)に、「【0030】・・・オートバイ3が障害物に衝突すると、実験用ダミー1に作用する慣性力によって、同ダミー1はハンドル手段の上方に動き、その結果、手手段17がオートバイ3から離れる。」と記載されていることから、引用発明の「オートバイ事故模擬実験用ダミー」は、衝突用のオートバイ事故模擬実験用ダミーであって、本願発明の「衝突試験用ダミー」に相当する。
そして、引用発明の装置は、様々な検出手段から夫々受け取ったデータ信号手段をデータ受取/記憶手段25に伝送するリード線28を備えており、さらに、リード線は、例えば、特開2000-110306号公報に、「【0015】前記内部配線13cは、図2中、屋根パネル3下面側に設けられた接続ボックス10a、10bにて、電気ケーブル15a、15b(リード線)と電気的に接続される。・・・」と記載され、また、特開2002-319318号公報に、「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、リード線、無線ケーブルあるいは接続ケーブルなどの電気ケーブルに関するものであり、例えば、フラットケーブル(FFC: Flexible flat cable)や、フレキシブルプリント回路(FPC: Flexible printed circuit)、あるいはその派生物である電気ケーブルに関する。」と記載されているように、フレキシブルプリント回路と同様に、電気ケーブルに含まれるものであるから、引用発明の「リード線28」を備えた「オートバイ事故模擬実験用ダミーに用いられる装置」と、本願発明の「衝突試験用ダミーのためのフレキシブルプリント回路ケーブルシステム」とは、「衝突試験用ダミーのための電気ケーブルシステム」である点で共通する。

(ii)本願発明には、「少なくとも1つの集中データ受信ユニット」と記載されていることから、本願発明の「少なくとも1つの集中データ受信ユニット」の構成に、複数の集中データ受信ユニットが含まれることは明らかである。
そうすると、引用発明の「ユニット25.1?25.8からなるデータ受取/記憶手段25」と本願発明の「少なくとも1つの集中データ受信ユニット」とは「複数の集中データ受信ユニット」である点で一致する。

(iii)上記引用刊行物Aの摘記事項(3A-4)に、「【0030】・・・そして、オートバイ3が障害物に衝突すると、実験用ダミー1に作用する慣性力によって、同ダミー1はハンドル手段の上方に動き、その結果、手手段17がオートバイ3から離れる。【0031】四肢手段に加わる応力、及び/又は四肢手段に生じる歪の少なくとも一方は、第一検出手段23によって検出される。この第一検出手段23は、例えば、図5に示すように、脛骨14bに一列に取り付けられた歪ゲージ23a、23bから成る。図1に参照番号j,kで示す位置に取り付けられた斯かる周知の検出手段23は、脛骨に生じる歪の検出に応じて電気的な第一データ信号手段を発生する。」と記載されてることから、引用発明の「実験用ダミー1に取り付けられている様々な検出手段」は、オートバイが衝突したときには発生する信号を検出することは明らかであり、さらに、事故模擬実験用ダミーリード線28を介して検出したデータ信号手段をデータ受取/記憶手段25に伝送していることから、引用発明の「実験用ダミー1に取り付けられている様々な検出手段」とデータ受取/記憶手段25とが、離れて配置されていることは明らかである。
そして、上記(ii)で検討したように、引用発明の「ユニット25.1?25.8からなるデータ受取/記憶手段25」と本願発明の「少なくとも1つの集中データ受信ユニット」とは、「複数の集中データ受信ユニット」である点で一致することから、引用発明の「実験用ダミー1に取り付けられている様々な検出手段」と本願発明の「該少なくとも1つの集中データ受信ユニットから離れて配置されて、乗物の衝突に関するデータの電気信号を生成する、複数のセンサ」とは、「該複数の集中データ受信ユニットから離れて配置されて、乗物の衝突に関するデータの電気信号を生成する、複数のセンサ」である点で一致する。

(iv)引用発明の「リード線28」は、様々な検出手段から夫々受け取ったデータ信号手段をデータ受取/記憶手段25に伝送するリード線であるから、複数のリード線28から構成されることは明らかである。
さらに、上記(i)で検討したように、引用発明のリード線28は、フレキシブルプリント回路と同様に、電気ケーブルに含まれるものであり、さらに、上記(ii)で検討したように、引用発明の「ユニット25.1?25.8からなるデータ受取/記憶手段25」と本願発明の「少なくとも1つの集中データ受信ユニット」とは「複数の集中データ受信ユニット」である点で一致することから、引用発明の「様々な検出手段から夫々受け取ったデータ信号手段をデータ受取/記憶手段25に伝送するリード線28」と本願発明の「該センサから前記少なくとも1つの集中データ受信ユニットへ前記電気信号を送信するために該センサと該少なくとも1つの集中データ受信ユニットとを電気的に相互接続する複数のフレキシブルプリント回路ケーブル」とは、「該センサから前記複数の集中データ受信ユニットへ前記電気信号を送信するために該センサと該複数の集中データ受信ユニットとを電気的に相互接続する複数の電気ケーブル」である点で共通する。

(v)上記(i)で検討したように引用発明の「オートバイ事故模擬実験用ダミーに用いられる装置」と本願発明の「衝突試験用ダミーのためのフレキシブルプリント回路ケーブルシステム」とは「衝突試験用ダミーのための電気ケーブルシステム」である点で共通する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
「衝突試験用ダミーのための電気ケーブルシステムであって、
複数の集中データ受信ユニットと、
該複数の集中データ受信ユニットから離れて配置されて、乗物の衝突に関するデータの電気信号を生成する、複数のセンサと、
該センサから前記複数の集中データ受信ユニットへ前記電気信号を送信するために該センサと該複数の集中データ受信ユニットとを電気的に相互接続する複数の電気ケーブルと
を含む、衝突試験用ダミーのための電気ケーブルシステム。」
である点で一致し、次の相違点(あ)で相違している。

・相違点(あ)
本願発明では、電気ケーブルシステムが、「フレキシブルプリント回路ケーブルシステム」であり、複数の電気ケーブルが、「複数のフレキシブルプリント回路ケーブル」であるのに対して、引用発明では、電気ケーブルシステムが、「リード線28」を備えた「オートバイ事故模擬実験用ダミーに用いられる装置」であり、複数の電気ケーブルが、「複数」の「リード線28」である点。

(4-2)当審の判断
上記相違点(あ)について判断する。
2つの電気部品を接続する電気ケーブルとして、フレキシブルプリント回路ケーブルは周知である。
例えば、上記引用刊行物Bの摘記事項(3B-3)には、「【0048】図10に示すように前記矩形の弾性薄板部材21の長手方向に貼着された歪みゲージに対応して並設されるフレキシプルなプリント基板に前記25個の歪みゲージのリード線の抵抗が同一になるとともに、曲げ剛性が長手方向に一様になるように設計されたプリント基板によって、リード部23が形成されている。」と記載されており、さらに、リード部23が形成されたフレキシプルなプリント基板は、例えば、特開2003-217731号公報に、「【0002】・・・その内部の電子部品間の情報を送受するための信号伝送ケーブルとして、銅箔で形成された導電線をポリイミド、ポリエステル等を材質とする絶縁フィルムで挟んで構成されるFPC(Flexible Printed Circuit:フレキシブルプリント基板)ケーブルが用いられるようになってきている。」と記載されていることから、上記引用刊行物Bに記載された「リード部23が形成されたフレキシプルなプリント基板」が、フレキシブルプリント回路ケーブル(FPCケーブル)に含まれることは明らかである。
また、上記(4-1)の(i)で例示した特開2002-319318号公報に「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、リード線、無線ケーブルあるいは接続ケーブルなどの電気ケーブルに関するものであり、例えば、フラットケーブル(FFC: Flexible flat cable)や、フレキシブルプリント回路(FPC: Flexible printed circuit)、あるいはその派生物である電気ケーブルに関する。」(下線は当審で付与したものである。以下、同様である。)と記載されている。
さらに、特開平2001-297813号公報に、「【0035】・・・上記のフレキシブル・ケーブルは、屈曲変形可能な平面状の基板にプリント配線により電気回路が形成されたフレキシブルプリント回路ケーブル(FPCケーブル)とし、このフレキシブルプリント回路ケーブルに第1のコネクタを表面実装して取り付けた構成において、フレキシブルプリント回路ケーブルは、第1及び第2のコネクタを接続する際に第1のコネクタに加わる力を吸収する形状としてもよい。」と記載されている。
そうすると、引用発明のリード線28も上記周知のフレキシブルプリント回路ケーブルも、ともに電気ケーブルに含まれる点で共通し、さらに、上記周知例の引用刊行物Bの摘記事項(3B-1)の記載を参照すると、引用発明のリード線28も上記周知例の引用刊行物Bのフレキシブルプリント回路ケーブルに含まれるリード部23を形成されたフレキシプルなプリント基板も、ともに、衝突試験用ダミーに使用される電気ケーブルに含まれるといえるから、引用発明のリード線28の代わりに、同じ電気ケーブルに含まれる周知のフレキシブルプリント回路ケーブルを採用することにより、本願発明のごとく、電気ケーブルシステムが「フレキシブルプリント回路ケーブルシステム」であり、複数の電気ケーブルが「複数のフレキシブルプリント回路ケーブル」とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知の技術事項から予測される範囲内のものであって、格別のものではない。

なお、請求人は審判請求書の請求に理由において、「引用文献1の衝突試験用ダミーを、周知文献のフレキシブルプリント回路の教示を用いて、衝突試験用ダミーにフレキシブルプリント回路をもたらすことによって改良することは自明であるという主張を支持する実際の根拠を証拠としてまったく示しておられません。」の旨の主張をしているが、上記「(4-1)」の(i)において検討したように、引用発明のリード線28は、フレキシブルプリント回路と同様に、2つの電気部品の電気接続するための電気ケーブルに含まれるものであるから、引用発明のリード線28に代わりに、リード線28と同様に電気ケーブルに含まれる上記周知例のフレキシブルプリント回路を採用することは当業者が容易になし得たものであり、請求人の主張は採用できないものである。

したがって、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-20 
結審通知日 2011-05-24 
審決日 2011-06-06 
出願番号 特願2004-352180(P2004-352180)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 亨  
特許庁審判長 後藤 時男
特許庁審判官 信田 昌男
石川 太郎
発明の名称 衝突試験用ダミーのためのフレキシブルプリント回路ケーブルシステム  
代理人 古谷 聡  
代理人 西山 清春  
代理人 溝部 孝彦  

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