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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1245612 |
審判番号 | 不服2008-17087 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-07-03 |
確定日 | 2011-10-27 |
事件の表示 | 特願2004-231386「クライアント装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月16日出願公開、特開2006- 48529〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願出願は、平成16年8月6日の出願であって、平成20年5月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月25日付けで手続補正がなされ、平成22年4月6日付けの審尋に対して同年6月8日に回答書が提出され、その後当審において、平成23年2月9日付けの拒絶理由通知が通知され、同年4月14日付けで手続補正がなされたものである。 2 本願発明について 本願の請求項に係る発明は、平成23年4月14日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 サーバ装置と通信ネットワークを介して通信することで、前記サーバ装置からコンテンツをダウンロードするクライアント装置であって、 複数の部分コンテンツからなるコンテンツと、このコンテンツを識別する第1の属性、及び前記複数のそれぞれの部分コンテンツを識別する第2の属性であって少なくとも前記それぞれの部分コンテンツのURIを含む第2の属性とを含むダウンロード記述子とを記憶する記憶手段と、 前記サーバ装置から送信されたダウンロード記述子を受信する受信手段と、 前記受信手段によって受信された前記サーバ装置に格納されたコンテンツのダウンロード記述子に含まれる第2の属性であって、少なくとも前記サーバ装置に格納されたコンテンツの複数のそれぞれの部分コンテンツのURIを含む第2の属性と、前記記憶手段に既に記憶され、前記受信されたダウンロード記述子の示すコンテンツに対応するダウンロード記述子に含まれる第2の属性とを比較する比較手段と、 前記比較手段による比較の結果、前記受信手段によって受信されたダウンロード記述子に含まれる複数のそれぞれの部分コンテンツの第2の属性が、前記記憶手段に記憶された前記対応するダウンロード記述子に含まれる部分コンテンツの第2の属性のいずれとも一致しないことが検出された場合、この検出された第2の属性に対応する部分コンテンツのダウンロード要求を前記サーバ装置に送信する送信手段とを有する ことを特徴とするクライアント装置。」 3 引用文献について 引用例 特開2003-316639号公報 (1)引用例の記載内容 当審による拒絶の理由に引用された引用例には、図面とともに、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークからデジタルコンテンツをダウンロードする方法と装置に関する。」 「【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、コンテンツの管理のため、複数のファイルをまとめたものをアイテムと定義し、各アイテムには、固有の識別子であるアイテム識別子と、アイテムの更新状況を示すアイテムバージョンの属性を与える。さらに、アイテムを構成する各ファイルには、ファイルごとの更新状況を示す最終更新時刻の属性をもたせる。その上で、コンテンツをダウンロードする前に、対象となるアイテム、および/または、そのアイテムを構成するファイルに関連する各属性を評価することによって、最適な処理を選択する。」 「【0009】図1を参照すると、本発明の一実施形態のコンテンツダウンロード装置10は、メタ情報取得部11と、メタ情報解析部12と、メタ情報保存部13と、ファイル取得部14と、ファイル保存部15で構成される。 【0010】メタ情報取得部11は、何らかの方法(自分自身で作成、あるいは他から取得した方法)でネットワークからメタ情報を取得し、それをメタ情報解析部12に送る。取得されるメタ情報は、例えば表1のような形式のものであり、各アイテムに対して、アイテム識別子と、アイテムバージョンと、各ファイルの最終更新時刻と、各ファイルのパス情報を含む。 【0011】 【表1】 【0012】メタ情報解析部12は、メタ情報取得部11から送られてきたメタ情報とメタ情報保存部13に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報を照合する。ダウンロードが必要と判断した場合、ダウンロード命令をファイル取得部14に送る。また、新たにダウンロードを行った場合、メタ情報保存部13のメタ情報を更新する。メタ情報保存部13は、例えば表2のような形式で、アイテム関連属性情報とファイル保存部15に保存されているファイルを結び付ける。 【0013】 【表2】(表2には、アイテム識別子、アイテムバージョン、最終更新時刻、ファイル名を各列のタイトルとした表が記載されている。) 【0014】ファイル取得部14は、メタ情報解析部12の命令に基づき、何らかの方法でファイルをネットワークダウンロードし、ダウンロードしたファイルをファイル保存部15へ送る。ファイル保存部15は、ファイル取得部14からのファイルを受け取り、保存する。」 「【0015】次に、コンテンツダウンロード装置10の動作を図2により説明する。 【0016】ステップ101で、利用者の要望に応じて、あるコンテンツをアイテムとしてダウンロードする必要が生じると、メタ情報取得部11は、対応するメタ情報をネットワークから取得する。 【0017】ステップ102で、メタ情報解析部13は、取得したメタ情報内のアイテム識別子を調べ、メタ情報保存部13に保存されているアイテム識別子のいずれか1つと一致するかどうかを判定する。 【0018】ステップ102で一致するアイテム識別子が発見された場合、次いでステップ103で、どちらのアイテムバージョンが新しいかを調べる。取得したメタ情報内のアイテムバージョンが新しくなければ、更新は不要のため、処理を終了する。取得したメタ情報内のアイテムバージョンが新しい場合、ステップ104で、当該アイテムのアイテムバージョンを更新してメタ情報保存部13に保存する。 【0019】次に、このアイテムに含まれる個々のファイルごとに更新の要否を判定する。ステップ105で、取得したメタ情報内のファイル名と同一名のファイルが、ファイル保存部15に保存されていない場合、ステップ107にとび、メタ情報内のパス情報から当該ファイルを新規にダウンロードして、最終更新時刻とともに保存する。ステップ108で、当該ファイルを処理済とする。一方、ステップ105で同一名のファイルがすでに存在している場合、ステップ106でファイルの最終更新時刻から更新が必要か否かを判断する。取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻が、メタ情報保存部13に保存されている同一名のファイルの最終更新時刻よりも新しい場合、ステップ107で、取得したメタ情報内のパス情報から当該ファイルをダウンロードしてこれをファイル保存部15に保存し、当該ファイルに対する最終更新時刻も更新してメタ情報保存部13に保存する。ステップ108で、当該ファイルを処理済とする。ステップ106で、取得したメタ情報内の最終更新時刻がメタ情報保存部13に保存されている同一名のファイルの最終更新時刻よりも新しくない場合、ステップ108にとび、ダウンロードを行わず、当該ファイルを処理済とする。ステップ109で、まだ処理すべきファイルが残っていれば、ステップ105に戻り、アイテムに含まれるすべてのファイルの処理が終われば、アイテムが更新されたので、処理を終了する。」 そうすると、引用例の上記摘記事項から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ネットワークからデジタルコンテンツをダウンロードするコンテンツダウンロード装置(10)において、 複数のファイルをまとめたものをアイテムと定義し、 コンテンツダウンロード装置(10)は、メタ情報取得部(11)と、メタ情報解析部(12)と、メタ情報保存部(13)と、ファイル取得部(14)と、ファイル保存部(15)で構成され、 メタ情報保存部(13)は、アイテム識別子、アイテムバージョン、最終更新時刻、ファイル名のような形式で、アイテム関連属性情報とファイル保存部(15)に保存されているファイルを結び付け、 ファイル保存部(15)は、ファイル取得部(14)からのファイルを受け取り、保存し、 メタ情報取得部(11)は、ネットワークからメタ情報を取得し、ここで、ネットワークから取得されるメタ情報は、各アイテムに対して、アイテム識別子と、アイテムバージョンと、各ファイルの最終更新時刻と、各ファイルのパス情報を含み、 メタ情報解析部(12)は、メタ情報取得部(11)から送られてきたメタ情報とメタ情報保存部(13)に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報を照合するものであって、 取得したメタ情報内のアイテム識別子を調べ、メタ情報保存部(13)に保存されているアイテム識別子のいずれか1つと一致するかどうかを判定し(ステップ102)、取得したメタ情報内のアイテムバージョンが新しい場合、当該アイテムのアイテムバージョンを更新してメタ情報保存部13に保存し(ステップ104)、 次に、アイテムに含まれる個々のファイル毎に更新の要否を判定するステップであって、取得したメタ情報内のファイル名と同一名のファイルが、ファイル保存部(15)に保存されていない場合(ステップ105)、あるいは、同一名のファイルがすでに存在している場合(ステップ105)であっても、取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻が、メタ情報保存部(13)に保存されている同一名のファイルの最終更新時刻よりも新しい場合(ステップ106)、 取得したメタ情報内のパス情報から当該ファイルをダウンロードする(ステップ107)、 ことを特徴とするコンテンツダウンロード装置(10)。」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明における「ネットワークからデジタルコンテンツをダウンロードするコンテンツダウンロード装置(10)」との事項において、デジタルコンテンツは、通常、サーバ装置からネットワークを介してクライアント装置にダウンロードすることは本願出願時における技術常識であるから、引用発明における上記事項は、本願発明における「サーバ装置と通信ネットワークを介して通信することで、前記サーバ装置からコンテンツをダウンロードするクライアント装置」に対応している。 (イ)引用発明における「アイテム」と「ファイル」は、「複数のファイルをまとめたものをアイテムと定義」した関係にあり、一方、本願発明における「コンテンツ」と「部分コンテンツ」は、「複数の部分コンテンツからなるコンテンツ」との関係にあることから、引用発明における「アイテム」と「ファイル」は、本願発明における「コンテンツ」と「部分コンテンツ」に対応している。 (ウ)引用発明における「メタ情報保存部(13)は、アイテム識別子、アイテムバージョン、最終更新時刻、ファイル名のような形式で、アイテム関連属性情報とファイル保存部(15)に保存されているファイルを結び付け」との事項において、「アイテム識別子、アイテムバージョン」はアイテムを識別する属性ということができるから、本願発明における「コンテンツを識別する第1の属性」に対応しており、「最終更新時刻、ファイル名」は複数のそれぞれのファイルを識別する属性ということができるから、本願発明における「複数のそれぞれの部分コンテンツを識別する第2の属性」に対応している。 また、引用発明における「アイテム識別子、アイテムバージョン、最終更新時刻、ファイル名」と、本願発明における「ダウンロード記述子」とは、「記述子」であるという点で共通している。 さらに、引用発明における「ファイル保存部(15)は、ファイル取得部(14)からのファイルを受け取り、保存し」との事項は、本願発明における「複数の部分コンテンツからなるコンテンツ」「を記憶する」との事項に対応している。 そうすると、引用発明における「メタ情報保存部(13)」と「ファイル保存部(15)」は、「複数の部分コンテンツからなるコンテンツと、このコンテンツを識別する第1の属性、及び前記複数のそれぞれの部分コンテンツを識別する第2の属性とを含む記述子とを記憶する記憶手段」であるという点で本願発明と共通している。 (エ)引用発明における「メタ情報取得部(11)は、ネットワークからメタ情報を取得し、ここで、ネットワークから取得されるメタ情報は、各アイテムに対して、アイテム識別子と、アイテムバージョンと、各ファイルの最終更新時刻と、各ファイルのパス情報を含み」との事項において、「ネットワークから取得されるメタ情報」は、本願発明における「サーバ装置から送信されたダウンロード記述子」に対応しているから、引用発明における上記事項は、本願発明における「サーバ装置から送信されたダウンロード記述子を受信する受信手段」に対応している。 (オ)引用発明における「メタ情報解析部(12)は、メタ情報取得部(11)から送られてきたメタ情報とメタ情報保存部(13)に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報を照合する」との事項において、「メタ情報取得部(11)から送られてきたメタ情報」と「メタ情報保存部(13)に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」は、本願発明における「受信手段によって受信された前記サーバ装置に格納されたコンテンツのダウンロード記述子」と「記憶手段に既に記憶され、前記受信されたダウンロード記述子の示すコンテンツに対応する記述子」に対応しており、また、「照合」は本願発明における「比較」に対応している。 さらに、引用発明では、「取得したメタ情報内のファイル名と同一名のファイルが、ファイル保存部(15)に保存されていない場合、あるいは、同一名のファイルがすでに存在している場合であっても、取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻が、メタ情報保存部(13)に保存されている同一名のファイルの最終更新時刻よりも新しい場合」を照合していることから、「メタ情報取得部(11)から送られてきたメタ情報」と「メタ情報保存部(13)に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」に含まれるファイル名や最終更新時刻、すなわち、本願発明における「第2の属性」が比較されているということができる。 そうすると、引用発明における上記事項は、本願発明における「前記受信手段によって受信された前記サーバ装置に格納されたコンテンツのダウンロード記述子に含まれる第2の属性と、前記記憶手段に既に記憶され、前記受信されたダウンロード記述子の示すコンテンツに対応する記述子に含まれる第2の属性とを比較する比較手段」に対応している。 (カ)引用発明における「アイテムに含まれる個々のファイル毎に更新の要否を判定するステップであって、取得したメタ情報内のファイル名と同一名のファイルが、ファイル保存部(15)に保存されていない場合、あるいは、同一名のファイルがすでに存在している場合であっても、取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻が、メタ情報保存部(13)に保存されている同一名のファイルの最終更新時刻よりも新しい場合」との事項において、「アイテムに含まれる個々のファイル毎」の「取得したメタ情報内のファイル名」や「取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻」は、本願発明における「受信手段によって受信されたダウンロード記述子に含まれる複数のそれぞれの部分コンテンツの第2の属性」に対応している。 また、「取得したメタ情報内のファイル名と同一名のファイルが、ファイル保存部(15)に保存されていない場合、あるいは、同一名のファイルがすでに存在している場合であって、取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻が、メタ情報保存部(13)に保存されている同一名のファイルの最終更新時刻よりも新しい場合」は、 「取得したメタ情報内のファイル名」が、「メタ情報保存部(13)に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」に含まれるファイル名のいずれとも一致しないことが検出された場合、あるいは、「取得したメタ情報内のファイルの最終更新時刻」が「メタ情報保存部(13)に保存されている、すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」に含まれる最終更新時刻のいずれとも一致しないことが検出された場合に相当するから、本願発明における「前記記憶手段に記憶された前記対応するダウンロード記述子に含まれる部分コンテンツの第2の属性のいずれとも一致しないことが検出された場合」に対応している。 そうすると、引用発明における上記事項は、本願発明における「前記比較手段による比較の結果、前記受信手段によって受信されたダウンロード記述子に含まれる複数のそれぞれの部分コンテンツの第2の属性が、前記記憶手段に記憶された前記対応する記述子に含まれる部分コンテンツの第2の属性のいずれとも一致しないことが検出された場合」と共通している。 (キ)引用発明における「取得したメタ情報内のパス情報から当該ファイルをダウンロードする」との事項において、「取得したメタ情報内のパス情報」は本願発明における「検出された第2の属性」に対応しており、また、ファイルのダウンロードにあたってはダウンロード要求を送信することは自明であるから、引用発明における上記事項は、本願発明における「この検出された第2の属性に対応する部分コンテンツのダウンロード要求を前記サーバ装置に送信する」との事項に対応している。 以上によれば、本願発明と引用発明の一致点、相違点は次のとおりである。 (1)一致点 「サーバ装置と通信ネットワークを介して通信することで、前記サーバ装置からコンテンツをダウンロードするクライアント装置であって、 複数の部分コンテンツからなるコンテンツと、このコンテンツを識別する第1の属性、及び前記複数のそれぞれの部分コンテンツを識別する第2の属性とを含む記述子とを記憶する記憶手段と、 前記サーバ装置から送信されたダウンロード記述子を受信する受信手段と、 前記受信手段によって受信された前記サーバ装置に格納されたコンテンツのダウンロード記述子に含まれる第2の属性と、前記記憶手段に既に記憶され、前記受信されたダウンロード記述子の示すコンテンツに対応する記述子に含まれる第2の属性とを比較する比較手段と、 前記比較手段による比較の結果、前記受信手段によって受信されたダウンロード記述子に含まれる複数のそれぞれの部分コンテンツの第2の属性が、前記記憶手段に記憶された前記対応する記述子に含まれる部分コンテンツの第2の属性のいずれとも一致しないことが検出された場合、この検出された第2の属性に対応する部分コンテンツのダウンロード要求を前記サーバ装置に送信する送信手段とを有する ことを特徴とするクライアント装置。」 (2)相違点 [相違点1] 本願発明では、「ダウンロード記述子」を記憶手段に記憶し、比較手段において比較対象としているのに対し、引用発明では、「ネットワークから取得されたメタ情報」に含まれる「各ファイルのパス情報」を「ファイル名」に置き換えた記述子をメタ情報保存部(13)に記憶し、メタ情報解析部(12)において比較対象としている点。 [相違点2] 本願発明では、記憶手段に記憶されたダウンロード記述子に含まれる第2の属性が「少なくとも前記それぞれの部分コンテンツのURI」を含み、受信手段によって受信されたサーバ装置に格納されたコンテンツのダウンロード記述子に含まれる第2の属性が「少なくとも前記サーバ装置に格納されたコンテンツの複数のそれぞれの部分コンテンツのURI」を含んでいるのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。 5 当審の判断 [相違点1]について 引用発明において、「ネットワークから取得されるメタ情報」に含まれる「各ファイルのパス情報」と、「すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」に含まれる「ファイル名」を詳細に検討すると、引用例【0011】段落【表1】と【0013】段落【表2】に記載されているように、「ネットワークから取得されたメタ情報」に含まれる「各ファイルのパス情報」(例えば、URL=http://content.com/movie.mpg)には、「すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」に含まれている「ファイル名」の情報(例えば、movie.mpg)が含まれていることから、「ネットワークから取得されたメタ情報」に含まれる「各ファイルのパス情報」と、「すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」に含まれる「ファイル名」とは、表現形式は異なるものの、あるファイルを特定するという点では同じ機能を有しているということができる。 そして、メタ情報をメタ情報保存部(13)に格納するにあたり、「各ファイルのパス情報」を含んだメタ情報をそのまま格納するか、「各ファイルのパス情報」を「ファイル名」に置き換えて格納するかは、各ファイルを一意に特定できるという制約を考慮しながら、当業者が適宜採択できる設計的事項にすぎない。 そうすると、引用発明において、「ネットワークから取得されるメタ情報」に含まれる「各ファイルのパス情報」を「ファイル名」に置き換えることなく、本願発明のように「ネットワーク記述子」として記憶手段に記憶し、比較手段において比較対象とすることは、当業者が容易に想到できるものである。 [相違点2]について 本願発明の背景技術として、「これらの標準仕様では、コンテンツのダウンロードに先立ち、そのダウンロード対象のコンテンツの属性情報を記述したダウンロード記述子(Download Descriptor、以後、DDと称する。)をダウンロードシステムのサーバ装置からクライアント装置へダウンロードする。そして、クライアント装置から上記ダウンロードされたDDに記述されているURI(Uniform Resource Identifier)に対してアクセスすることにより、上記コンテンツのダウンロードを実行するようになっている。」(本願明細書【0003】段落)と記載されているように、「クライアント装置から上記ダウンロードされたDDに記述されているURI(Uniform Resource Identifier)に対してアクセスすることにより、上記コンテンツのダウンロードを実行する」ことは本願出願当時既に周知の事項である。 一方、引用発明における「ネットワークから取得されるメタ情報」の「パス情報」は、「取得したメタ情報内のパス情報から当該ファイルをダウンロードする」ために使用されており、また、引用例【0011】段落の【表1】には当該「パス情報」がURLにより表示されている例が記載されている。 そうすると、引用発明において、「ネットワークから取得されるメタ情報」の「パス情報」として、URLに代えて、URLと同様の機能を有する周知のURIを採用し、「少なくともサーバ装置に格納されたコンテンツの複数のそれぞれの部分コンテンツのURI」を含むようにすることは、当業者が容易に想到できるものである。 また、上記[相違点1について]において示したように、メタ情報をメタ情報保存部(13)に格納するにあたり、「各ファイルのパス情報」を含んだメタ情報をそのまま格納することは、当業者が適宜採択できる設計的事項であるから、「ネットワークから取得されるメタ情報」の「パス情報」として周知のURIを採用した場合、「すでにダウンロード済みのアイテムのメタ情報」が「少なくとも前記それぞれの部分コンテンツのURI」を含むようにすることも、何ら困難なことではない。 そして、本願発明の作用効果は、引用発明及び周知事項から、当業者が容易に予測できるものである。 6 まとめ 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-08-30 |
結審通知日 | 2011-09-02 |
審決日 | 2011-09-14 |
出願番号 | 特願2004-231386(P2004-231386) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴村 理絵子、五十嵐 努 |
特許庁審判長 |
井上 正 |
特許庁審判官 |
木方 庸輔 須田 勝巳 |
発明の名称 | クライアント装置 |
代理人 | 堀口 浩 |