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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1245623
審判番号 不服2009-3554  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-18 
確定日 2011-10-27 
事件の表示 特願2003-168755「バーコード方式により動作制御可能な情報処理装置、及びそれを用いたサービス提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月 6日出願公開、特開2005- 4574〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成15年6月13日の出願であって、平成20年6月19日付の拒絶理由通知に対して、同年8月25日に手続補正書が提出され(なお、書類に不備があったため同年9月25日に再度手続補正書が提出されている)、平成21年1月9日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年2月18日に拒絶査定不服審判がされるとともに、同年3月23日付で手続補正がなされ、平成22年7月9日付で審尋がなされたものである。

2.平成21年3月23日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年3月23日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成21年3月23日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】 コンピュータ機能を有する情報処理装置であって、
当該情報処理装置に対して直接コードデータを入力するためのキーボード、テンキーパッド、選択された座標に関する情報を入力するマウスあるいはタッチパッドの少なくとも一つからなる情報及び動作制御命令の直接入力手段と、
前記情報処理装置に接続されバーコードのシンボルパターンを認識してコードデータを出力する機器、音声あるいは手書き文字等を認識してコードデータを出力するための機器の少なくとも一つを備えたコード認識入力手段と、
前記直接入力手段からのコードデータ或いは座標データに基づいて、指定されたオブジェクトが何であるかを判別する判別手段と、
前記直接入力手段からのコードデータ、或いは前記コード認識入力手段からのコードデータを入力可能とし、該入力されたコードデータが特定のコード体系からなる場合には、当該入力コードがどのようなオブジェクト、或いは対象とするサービス項目等を指定しているかを判別するコード識別手段とを備え、
前記情報処理装置に対して、前記直接入力手段の直接コードデータを入力するキーボード、テンキーパッド及びマウスやタッチバッド等の座標を指定する手段を使用して特定のオブジェクトを指定するコードデータや座標データが入力されたことにより、指定されたオブジェクトが何であるかを前記判別手段により判別することによりアプリケーションプログラムが動作し、所望の制御が行われ、
入力されたコードデータの形式が特定のコード体系からなるバーコードデータ等である場合には、前記コード識別手段は、バーコードシンボルを認識する前記コード認識入力手段、あるいは前記キーボードやテンキーパッドの直接入力手段を使って該バーコードのコード値を直接情報処理装置に入力し、該入力された特定のコード体系からなるコードデータとコードデータ定義情報を随時参照することで、該入力されたコードデータが特定のコード体系からなるコードデータの場合であっても情報処理装置制御のためのどのようなオブジェクト等を指定しているのかを判別して、特定のアプリケーションプログラムの動作を介した所望の制御を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 請求項1記載の情報処理装置において、特定のコード体系からなる前記コード定義情報は、バーコード表記形式の情報処理装置用制御コマンドを表すバーコード、各種のサービス内容に対応するバーコード、および、バーコード間の階層化関係等に関する情報を含んだことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】 請求項1又は2記載の情報処理装置において、情報処理装置のコード認識入力手段として、バーコードリーダあるいは、音声認識装置、あるいは手書き文字認識装置を使用し、他方コードデータの値を直接入力する直接入力手段としてはキーボードあるいは、キーパッド機能を有するデータ入力装置を使用し、該コード認識入力手段による認識するコード体系のコード情報表現形式を特定のコード体系からなるバーコードとし、前記情報処理装置利用者に配布する印刷物あるいは情報処理装置の表示装置の画面に表示するホーム頁のコンテンツ表示内容に含まれるバーコードシンボルを、該バーコードリーダで読み取ること、あるいはバーコードシンボルの下側に併記されているコード値を該音声認識装置あるいは該手書き文字認識装置を使った認識による入力、あるいは該キーボードや該キーパッド機能を有するデータ入力装置を使い前記コード値を直接入力することにより特定のコード体系からなるコード制御方式を特徴とする情報処理装置。」
と補正された。
上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「情報処理機器」を「情報処理装置」に、「直接コードデータ」を入力する対象として「当該情報処理装置に対して」との限定を、「入力手段」について「直接」との限定を、「コード認識手段」が入力手段であるとして「コード認識入力手段」と、「コード認識入力手段」が接続される対象として「前記情報処理装置に接続され」と、また、「コード認識入力手段」について「機器の少なくとも1つを備えた」との限定を、「コード識別手段」について処理条件として「該入力されたコードデータが特定のコード体系からなる場合には」との限定を、「バーコードデータ等」について「特定のコード体系からなる」との限定を、「バーコードシンボルを認識」する手段が「前記コード認識入力手段」であること、「情報処理装置制御のためのどのようなオブジェクト等を指定しているのかを判別して、特定のアプリケーションプログラムの動作を介した所望の制御を行うこと」について「特定のコード体系からなるコードデータの場合であっても」との限定を付加するものである。
また、同様に請求項2に係る発明を特定するために必要な事項である「前記コード定義情報」に「特定のコード体系からなる」との限定を、さらに請求項3に係る発明を特定するために必要な事項である「コード認識手段」が入力手段であるとして「コード認識入力手段」と、「コードデータの値を直接入力する手段」として「他方コードデータの値を直接入力する直接入力手段」と、「バーコード」について「特定のコード体系からなる」との限定を、「情報処理装置」が「特定のコード体系からなるコード制御方式」を採用していることの限定を付加するものである。
よって、当該補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-279339号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
(a)「【0040】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
図1は本実施例のバーコードリーダの接続を説明する図である。図において(1)はパソコン等の端末本体であり、電話回線,CATV回線,専用回線等の通信回線を介してインターネット等のネットワークに接続されている。端末(1)としてはパソコンに限定されず、汎用コンピュータや専用の端末等でも良い。」
(b)「【0041】
(2)は端末(1)のキーボードであり、複数のキー(ボタン)を用いて端末(本体)に入力することができる。これらの端末(1)やキーボード(2)としては特別なものを使用する必要はなく、市販のパソコン等でよい(キーボードは通常パソコンの付属品として添付されている)。」
(c)「【0042】
(3)は本実施例のバーコードリーダであり、端末(1)とキーボード(2)との間に接続される。すなわち、キーボード(2)からの入力と、端末(1)への出力を有している。接続は有線ケーブルを用いても良いし、赤外線や電波などを用いた無線による接続でも良い。」
(d)「【0043】
このような接続により、バーコードリーダ(3)はキーボード(2)から情報(信号)を受けることができると共に、端末(1)に情報を送ることができる。通常に端末(1)を使用する際には、キーボード(3)から入力された信号は、バーコードリーダ(3)を素通りして端末(1)に送られる。したがって、バーコードリーダ(3)の存在は、端末(1)の使用に支障を生じさせることはない。」
(e)「【0047】
バーコードリーダ(3)にはICメモリ等の記憶素子に端末のOS(OperatingSystem:コンピュータのハードウエアとソフトウエアを総合的に管理する基本ソフト)を制御するコマンドとバーコード入力用WebページのURLが記録されている。記録素子は物理的に1つの素子でも良いし、コマンド記録用とURL記録用とで別々の素子を用いても良い。」
(f)「【0049】
バーコードリーダ(3)の利用者(以下「ユーザ」という)がバーコードリーダ(3)を使ってバーコードを読み取ると、読み取りがトリガー(ある状態を引き起こすためのきっかけ)となって、バーコードリーダ(3)の記録素子に記憶されているOS制御コマンドと、バーコード入力用WebページのURLと、読み取ったバーコード情報がバーコードリーダ(3)から端末(1)に送信される。」
(g)「【0050】
端末(1)はOS制御コマンドを受けて実行すべき内容の入力を待つ状態となる。コマンドの内容はOSにより異なるが、例えばWindows(登録商標)シリーズの場合を例に取ると、「Windows」キー+「R」キーを同時に入力すると、ホットキー入力となり、「ファイル名を指定して実行」という入力画面が起動する。」
(h)「【0051】
この「ファイル名を指定して実行」画面は、本来は実行したいファイルのファイル名やインターネットリソース等を入力欄に直接入力して実行させることのできる画面である。」
(i)「【0052】
このOS制御コマンドに続いて、実行すべき「ファイル名」として、バーコード入力用WebページのURLと読みとったバーコード情報が送られる。」
(j)「【0053】
よって、Windows(登録商標)の場合には、「Windows」キー+「R」キー(同時入力)、ついで「バーコード入力WebページのURL」と「バーコード情報」が送られることになる。」
(k)「【0054】
尚、上記の説明は送られる情報の概念としての説明であり、実際には「バーコード入力WebページのURL」と「バーコード情報」との間に「?」文字を入れて送信している。これは、インターネットでURLに続けてパラメータを渡すときのインターネット用標準規約に基づくものである。実際に稼動するときは、URLの値はHTMLのアドレスではなく、プログラムの指定として扱われる。例えばプログラムがabcdef.aspとすると、URLは「http://xxxxxx.com/abcdef.asp」のように表され、そのプログラムにパラメータを渡す場合には「?」で区切って、http://xxxxxx.com/abcdef.asp?bc=67890(仮にバーコード情報が67890である場合)のような情報として送られることになる。」
(l)「【0056】
端末(1)は「ファイル名を指定して実行」画面にURLが入力されることにより、ブラウザを起動して通信回線を介してインターネット等で所定のバーコード入力用Webページにアクセスし、そこに設けられたバーコード入力欄にバーコード情報を入力することとなる。これにより、バーコード情報に関連するWebページが表示されることとなる。」
(m)「【0073】
バーコード入力用Webページ以外のWebページにアクセスしたい場合には、そのURLをバーコード化して、バーコード(4)を読み込ませることにより、「Windowsキー」+「Rキー」に続いて「バーコードで指定されたURL」を送信し、直接そのWebページにアクセスさせることもできる。」
(n)「【0086】
[実施例4]
本実施例はキーボード(2)からのバーコード情報の入力をサポートすることが可能なバーコードリーダである。本実施例のバーコードリーダ(3)はバーコード(4)を読み込んで実施例1と同様に用いることができるだけでなく、キーボード(2)から入力されたバーコード情報を一時的に蓄積し、バーコードリーダ(3)でバーコード(4)を読み込んだのと同様に情報を送信することができる。」
(o)「【0087】
バーコード(4)が汚れて読みとりにくい場合や、バーコード(4)を作成するまでもなく直接キーボード(2)からバーコードの番号を入力した方が楽な場合等に用いる。」
(p)「【0088】
本実施例も実施例2と同様に「ダイレクトボタン」を備えている。そして「ダイレクトボタン」を単純に(クリックするように)押して離すと、実施例2と同様にバーコードリーダ(3)の記録素子に予め記録されているバーコード情報が、OS制御コマンドと、所定のURLと共に送信される。」
(q)「【0089】
キーボード(2)からバーコード情報を入力する場合には、一旦バーコードリーダ(3)にバーコード情報を記録させる。操作としては、「ダイレクトボタン」を押し下げた状態で保持する(長押する)。その状態で約2秒経過すると確認音が鳴るようにし、その後も「ダイレクトボタン」の押し下げ状態を維持しつつ所望のバーコード情報をキーボート(2)から入力する。本実施例ではキーボード(2)からの入力値の確認のために、前記の確認音と共に端末(1)の文字入力ソフトウエアを起動させ、キーボード(2)からの入力値を端末(1)の画面に表示できるようにした。」
(r)「【0093】
バーコード(4)からのバーコード情報のキー入力が終了すると、押し下げていた「ダイレクトボタン」を離す。するとキー入力して記録素子に一時的に記録されていたバーコード情報が、実施例1の場合と同様にOS制御コマンド及びバーコード入力用WebページURLに続いて送信され、端末(1)に実施例1と同様にバーコード情報と関連したWebページを表示させることができる。」
(2-2)ここで、上記(a)から(r)の記載をまとめる。
上記(a)から(d)には、キーボードが接続されたバーコードリーダと、さらにインターネット等のネットワークに接続された市販のパソコン等である端末が記載されており、ここでのキーボードはバーコードリーダに接続されているものの、上記(d)に示されるようにバーコードリーダを経由して通常の入力も可能なものである。なお、マウスについては明細書及び図面に明示されていないものの、該端末として市販のパソコンでよいとされ、さらに上記(g)に記載があるように使用するOSとして Windowsが挙げられていることから、市販のパソコンの標準構成及びWindowsの想定している標準的な入力機器構成を考慮すれば、当然にマウスが使用可能に接続されていると考えるのが相当である。
また、上記(e)から(m)には、バーコードリーダはバーコードを読み取った際に、記録素子に記憶されているOS制御コマンドと、バーコード入力用WebページのURLを読み出し、バーコード情報と共に端末に送信することによりバーコード情報に関連するWebページにアクセスする制御を行うことが記載されている。
また、上記(n)から(r)には、バーコードを読み取る代わりに、バーコードの番号をキーボードから入力することで同様にバーコード情報に関連するWebページにアクセスする制御を行うことが記載されている。
以上のことから、引用例には、
「バーコードの番号も入力可能なキーボード、マウス、バーコードを読み取るバーコードリーダを備え、前記キーボードからの入力もしくは前記バーコードリーダで読み取ったバーコード情報と、記録素子に記憶されているOS制御コマンドと、バーコード入力用WebページのURLにより関連するWebページにアクセスする制御を行う端末」
の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「端末」はパソコンなどのコンピュータであるから、本願補正発明の「コンピュータ機能を有する情報処理装置」に相当するものである。
また、引用発明の「バーコードの番号も入力可能なキーボード」は、上述したようにバーコードの番号というコードデータを直接入力しており、本願補正発明でいう「直接入力手段」の1つとして示されている「直接コードデータを入力するためのキーボード」に相当し、また引用発明の「マウス」は周知のように座標情報を入力するものであるから同様に「選択された座標に関する情報を入力するマウス」に相当するものであり、引用発明にはその他「テンキーパッド」や「タッチパッド」については記載がないが、本願補正発明がこれら入力機器の「少なくとも1つからなる」との択一的な記載をしていることから、引用発明の「バーコードの番号も入力可能なキーボード、マウス」は本願補正発明の「当該情報処理装置に対して直接コードデータを入力するためのキーボード、テンキーパッド、選択された座標に関する情報を入力するマウスあるいはタッチパッドの少なくとも一つからなる情報及び動作制御命令の直接入力手段」に相当するものと認められる。
また、引用発明の「バーコードを読み取るバーコードリーダ」は前記「端末」に接続され、バーコードのシンボルパターンを認識してコードデータを出力するものであるから、本願補正発明の「情報処理装置に接続されバーコードのシンボルパターンを認識してコードデータを出力する機器」に相当するものであり、引用発明にはその他「音声あるいは手書き文字等を認識してコードデータを出力するための機器」については記載がないが、本願補正発明がこれら機器の「少なくとも1つを備えた」との択一的な記載をしていることから、引用発明の「バーコードを読み取るバーコードリーダ」は本願補正発明の「前記情報処理装置に接続されバーコードのシンボルパターンを認識してコードデータを出力する機器、音声あるいは手書き文字等を認識してコードデータを出力するための機器の少なくとも一つを備えたコード認識入力手段」に相当するものと認められる。
また、本願補正発明でいう「オブジェクト、或いは対象とするサービス項目等」とは、第9?15図に示されるように例えばWebコンテンツ頁(第【0034】段落等も参照)に関連するものであって、本願補正発明も引用発明もバーコードリーダあるいはキーボードから入力されたバーコード情報に関連するWebコンテンツ頁を判別し、該Webコンテンツ頁へのアクセスを制御する点で共通しており、また、一般にWebコンテンツ頁へのアクセス制御やユーザ所望の制御(例えば、頁を「進む」、「戻る」、「更新」等)を行うアプリケーションプログラムとしてブラウザは周知であるから、実質的に本願補正発明も引用発明も周知のアプリケーションプログラムであるブラウザの機能を使用してWebコンテンツ頁のアクセス制御や所望の制御を行うものであると考えるのが相当である。
このことから、引用発明の「前記キーボードからの入力もしくは前記バーコードリーダで読み取ったバーコード情報と、記録素子に記憶されているOS制御コマンドと、バーコード入力用WebページのURLにより関連するWebページにアクセスする制御を行う」は、本願補正発明の「前記直接入力手段からのコードデータ、或いは前記コード認識入力手段からのコードデータを入力可能とし、当該入力コードがどのようなオブジェクト、或いは対象とするサービス項目等を指定しているかを判別するコード識別手段」及び「前記コード識別手段は、バーコードシンボルを認識する前記コード認識入力手段、あるいは前記キーボードやテンキーパッドの直接入力手段を使って該バーコードのコード値を直接情報処理装置に入力し、情報処理装置制御のためのどのようなオブジェクト等を指定しているのかを判別して、特定のアプリケーションプログラムの動作を介した所望の制御を行う」に相当するものである。
よって、両者は、
「コンピュータ機能を有する情報処理装置であって、
当該情報処理装置に対して直接コードデータを入力するためのキーボード、テンキーパッド、選択された座標に関する情報を入力するマウスあるいはタッチパッドの少なくとも一つからなる情報及び動作制御命令の直接入力手段と、
前記情報処理装置に接続されバーコードのシンボルパターンを認識してコードデータを出力する機器、音声あるいは手書き文字等を認識してコードデータを出力するための機器の少なくとも一つを備えたコード認識入力手段と、
前記直接入力手段からのコードデータ、或いは前記コード認識入力手段からのコードデータを入力可能とし、当該入力コードがどのようなオブジェクト、或いは対象とするサービス項目等を指定しているかを判別するコード識別手段とを備え、
前記コード識別手段は、バーコードシンボルを認識する前記コード認識入力手段、あるいは前記キーボードやテンキーパッドの直接入力手段を使って該バーコードのコード値を直接情報処理装置に入力し、情報処理装置制御のためのどのようなオブジェクト等を指定しているのかを判別して、特定のアプリケーションプログラムの動作を介した所望の制御を行うことを特徴とする情報処理装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明が「前記直接入力手段からのコードデータ或いは座標データに基づいて、指定されたオブジェクトが何であるかを判別する判別手段」を備えているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。
[相違点2]
本願補正発明の「コード識別手段」において、「該入力されたコードデータが特定のコード体系からなる場合には」としているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。
[相違点3]
本願補正発明が、「前記情報処理装置に対して、前記直接入力手段の直接コードデータを入力するキーボード、テンキーパッド及びマウスやタッチバッド等の座標を指定する手段を使用して特定のオブジェクトを指定するコードデータや座標データが入力されたことにより、指定されたオブジェクトが何であるかを前記判別手段により判別することによりアプリケーションプログラムが動作し、所望の制御が行われ」るのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。
[相違点4]
本願補正発明が、「入力されたコードデータの形式が特定のコード体系からなるバーコードデータ等である場合には」としているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。
[相違点5]
本願補正発明が、「該入力された特定のコード体系からなるコードデータとコードデータ定義情報を随時参照することで、該入力されたコードデータが特定のコード体系からなるコードデータの場合であっても」どのようなオブジェクト等を指定しているのかを判別しているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

(4)当審の判断
[相違点1]について
一般に、OSとしてWindowsを採用した場合、Webコンテンツ頁にアクセスするためのブラウザでの処理として、マウスでクリックされた座標位置に対応するWebコンテンツ頁を判別することは、当業者ならば周知の技術である。
そうすると、引用発明においても上記(2-1)(g)に記載されているようにOSをWindowsとしており、また、直接入力手段としてマウスを有していることから、バーコード情報に基づくWebコンテンツ頁のアクセスに加えて、マウスによる周知のアクセス技術を追加し、本願相違点1に係る構成とすることは当業者ならば容易に想到することができたものである。
[相違点2]について
一般に、バーコードを読み取って入力されたコードデータに基づいてコンピュータを制御するものであれば、入力されたコードデータはコンピュータが認識できる特定のルールに従った情報すなわち特定のコード体系からなる情報であるのが普通であり、引用発明も入力されたコードデータに基づいてコンピュータを制御するものであるから「該入力されたコードデータが特定のコード体系からなる場合には」と限定することは当業者が容易に想到することができたものである。
[相違点3]について
上記[相違点1]で述べたようにブラウザではマウスでクリックされた座標位置に対応するWebコンテンツ頁を判別しており、さらにその後Webコンテンツ頁へのアクセス制御やユーザ所望の制御(例えば、頁を「進む」、「戻る」、「更新」等)が可能であることも周知である。
そうすると、引用発明においてもバーコード情報に関連するWebコンテンツ頁を判別し、該Webコンテンツ頁へのアクセス制御やユーザ所望の制御を行うのであるから、同様に上記マウスでクリックされた座標位置から判別されたWebコンテンツ頁についても、該Webコンテンツ頁へのアクセス制御やユーザ所望の制御を行うようにすることは、当業者ならば容易に想到することができたものである。
[相違点4]について
上記[相違点2]で述べたのと同様に、特定のコード体系からなるバーコードデータ等とすることは当業者が容易に想到することができたものである。
[相違点5]について
引用発明ではWebコンテンツ頁を特定するために、上記(2-1)(k)に記載されているように、入力されたバーコードデータからURL「http:/
/xxxxxx.com/abcdef.asp?bc=67890(仮にバーコード情報が67890である場合)」を作成しているが、バーコード情報により対象を一意に特定する手法として、例えばPOSシステムではバーコードによるJANコードと価格等の定義情報を使用して売り上げ処理を行うことはよく知られた技術であるから、前記バーコードデータと対応するURLとの対応関係を定義した定義情報を参照して特定する構成とすることは、当業者であれば容易に想到することができたものである。
なお、ここでの「特定のコード体系からなるコードデータ」については、上記[相違点2]で述べたとおりである。

したがって,本願補正発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成21年3月23日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年9月25日付手続補正書により補正された平成20年8月25日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「コンピュータ機能を有する情報処理機器であって、
直接コードデータを入力するためのキーボード、テンキーパッド、選択された座標に関する情報を入力するマウスあるいはタッチパッドの少なくとも一つからなる情報及び動作制御命令の入力手段と、
バーコードのシンボルパターンを認識してコードデータを出力する機器、音声あるいは手書き文字等を認識してコードデータを出力するためのコード認識手段としての少なくとも一つと、
前記入力手段からのコードデータ或いは座標データに基づいて、指定されたオブジェクトが何であるかを判別する判別手段と、
前記入力手段からのコードデータ或いは前記コード認識手段からのコードデータを入力可能とし、該入力コードがどのようなオブジェクト、或いは対象とするサービス項目等を指定しているかを判別するコード識別手段とを備え、
情報処理装置に対して、前記入力手段の直接コードデータを入力するキーボード、テンキーパッド及びマウスやタッチバッド等の座標を指定する手段を使用して特定のオブジェクトを指定するコードデータや座標データが入力
されたことにより、指定されたオブジェクトが何であるかを前記判別手段により判別することによりアプリケーションプログラムが動作し、所望の制御が行われ、
コードデータの形式がバーコードデータ等である場合には、前記コード識別手段によりバーコードシンボルを認識あるいは前記キーボードやテンキーパッドを使って該バーコードのコード値を直接情報処理装置に入力し、該入力されたコードデータとコードデータ定義情報を随時参照することで、該入力されたコードデータが情報処理装置制御のためのどのようなオブジェクト等を指定しているのかを判別して、特定のアプリケーションプログラムの動作を介した所望の制御を行うことを特徴とする情報処理装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から2.(1)の前記各限定事項を省いたものであるから、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用例及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-10 
結審通知日 2011-08-23 
審決日 2011-09-08 
出願番号 特願2003-168755(P2003-168755)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄篠塚 隆森川 幸俊  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 井上 正
須田 勝巳
発明の名称 バーコード方式により動作制御可能な情報処理装置、及びそれを用いたサービス提供システム  
代理人 中村 守  

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