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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09F |
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管理番号 | 1245661 |
審判番号 | 不服2010-14159 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-06-28 |
確定日 | 2011-10-27 |
事件の表示 | 平成11年特許願第289781号「発光型ディスプレイ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 4月20日出願公開、特開2001-109413〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件審判請求に係る出願は、平成11年10月12日の出願であって、平成20年11月4日付けの拒絶理由通知に対して、同年12月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、更に、平成21年6月8日付けの拒絶理由(最後)に対して、同年8月5日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成22年3月31日付けで、前記平成21年8月5日付け手続補正について補正の却下の決定がなされると共に、拒絶査定がなされたものである。 これに対して、平成22年6月28日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に、明細書についての手続補正がなされ、当審において、平成23年1月27日付けで審判審尋を行ったところ、同年3月23日付けで回答書が提出された。 その後、当審において、平成23年5月20日付けで拒絶理由を通知したところ、同年7月15日付けで意見書及び手続補正書が提出された。 2.本願発明 本願の請求項1に係る発明は、平成23年7月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下「本願発明1」という。)。 「可撓性を有する樹脂フィルム基板上に多数個の発光体が形成され全体が薄厚に構成されてなり、該樹脂フィルム基板には該発光体各々の電極に接続された回路パターンが形成されているとともに、該樹脂フィルム基板の一端部にはコネクタ端子部が形成されている発光部と、 上記発光部とほぼ等しい外形寸法の可撓性を有する透明な樹脂フィルムを素材として透光パターン部と遮光パターン部とからなる所定の表示パターンが印刷によって設けられ上記発光部の一方の主面上に積層されたシート状表示部と、 それぞれ金属箔からなる金属集電体に極活物質を塗布してなる負極材と正極材とをポリマー電解質を介して積層し、これらを樹脂フィルムとアルミニウム箔とを接合したラミネートフィルムからなる外装体によって封装することにより全体が上記発光部と上記表示部の積層体とほぼ等しい外形寸法を有し薄厚でかつ可撓性を付与されシート状に構成されて上記発光部の他方の主面に接合されたポリマー二次電池とから構成され、 上記ポリマー二次電池の負極端子及び正極端子が上記発光部のコネクタ端子部と接続されて上記発光部に電源を供給することによって駆動し、上記表示部の表示パターンを発光表示するようにした巻回可能な発光型ディスプレイ装置。」 3.引用刊行物とそれに記載された事項及び発明 (1)当審における拒絶理由において引用した、特開平6-348215号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面(特に図1ないし3、図7参照)と共に、次の事項が記載されている。 以下、下線は審決において付すものである。 ア.段落【0001】 「【産業上の利用分野】本発明に係るELランプの薄型防水機能付きフレキシブルデスプレーは、安全な方向方面等の認識をさせる標識類、広告看板、サイン、マーク類、表札等の文字、数字、図形若しくは記号のデザインを表示しているフイルムシート(これをデザインフイルムシートという。)の光源とするELランプ及び該デザインフイルムシートを共にフレキシブルな薄型の防水機能を備えている袋部に装着し防水することにより、漏電や退色を防止するためのフレキシブルなデスプレーに関する発明である。」 イ.段落【0004】1ないし12行 「【発明が解決しようとする技術的課題】ELランプは、それ自体防水性のある樹脂製の膜で中のEL素子を覆われているものである。その接点の周囲にはシリコン樹脂で防水されているから、水は引き出し線のリード線を伝って簡単にはパネルの中に入っていけないようになっているが、その接点に接続するリード線の端自体は空気に直接さらされているので最も弱点となっている部分である。なぜなら、いつも外気にさらされているため、その部分は、酸性の雨水や海水の塩害などにより最も弱い部分となるから、そのようなELパネルを光源とする照明類の装置には、更に、ELパネルの外側に防水加工をすることが必要になる。」 ウ.段落【0006】1ないし6行 「【作用】このような本発明の構成により、この発明に係るELランプの薄型防水機能付きフレキシブルデスプレーは、全体に薄く軽くなるように成作することが可能になるものであり、製品にした場合にそれを柔らかく曲げることも可能なフレキシブルな樹脂シートを使用し形状の変形が容易である。」 エ.段落【0009】 「符号に基づいて部品の注釈を加え説明する。 1は、ELランプであり、これは点滅制御器で自由に目的に対応し点滅させる電光ELランプである。2は、デザインフイルムシート、これは、ELランプの発光により照明される標識や広告看板等の文字、数字、記号や図形の所謂デザインを表示した可撓性(フレキシブル)のフイルムシートである。3は、透明なフレキシブルな塩化ビニール製の樹脂シートであり、4は、表裏樹脂シートを部分的に加熱し融着させた融着部である。5は、樹脂製の点チャックでこれを閉じれば防水可能な袋入り口の開閉用の点チャックである。これは、樹脂製の点チャックのひだを袋入り口の樹脂シートに融着している。6は、ボード、これは、デザインフイルムシートと共にELランプを入れている防水型デスプレーの装置が脱落しないための取り付け手段として吸着盤を取り付けるためのボード穴18を開けてある。7は、ELランプに電通する導線であり、8は、そのELランプの接点であり、9は、該導線を通す通穴で、ここに通している導線を被覆している塩化ビニール膜部分と表裏樹脂シートとを一緒に融着し一体にする。10は、脱落防止取り付け手段であるボードに設けている吸着盤である。11は、被取り付け体が鉄板に対して脱落防止取り付け手段であるゴム磁石である。12は、円柱であり、13は、円柱等に取り付けている標識ELで、これはELランプの薄型防水機能付きフレキシブルデスプレーを利用している製品である。14は、防水のためにデザインフイルムシートと共にELランプを入れる袋部であり、15は、該袋の入り口部の樹脂シートで、ここに袋入り口を開閉するための点チャックのひだ(取り付ける為の余裕を有する部分)を融着するための入り口部の樹脂シートである。16は、EL固定部材であり、これは両面接着テープでELランプを袋内部に固定するために使用されるEL固定部材である。17は、角柱であり、その角柱に標識ELを設けている。18は、吸着盤の取り付け用のボード穴である。19は、取り付け部材で、これはボードに設けている標識ELを両面接着テープ、マジックファスナー等の取り付け部材でボードに設けるようにしているものである。」 オ.段落【0010】 「ELランプの薄型防水機能付きフレキシブルデスプレーにおいて、透明度のあるフレキシブルな表裏の樹脂シート3を合わせ、その周りを融着し、その間にELランプ1及びデザインを施してなるフイルムシート2を入れる袋部14を設け、その入り口部15及びELランプへの導線(リード線)の通穴9を残して表裏の該樹脂シート3を融着することにより融着部4を設け、該袋部入り口及び通穴を設け、入り口部15の表裏樹脂シートに点チャック5のひだをそれぞれ融着し、この点チャックを開いてその袋部14の中にELランプを挿入し、これをEL固定部材16で袋内部の樹脂シートに取り付け、導線7を通穴9に通してその導線の被覆用樹脂と表裏樹脂シートとを一体に融着する。更に、そのELランプの前面にデザインフイルムシートを挿入し、点チャック5を閉じることにより、薄型で防水機能を備えているフレキシブルデスプレーになる。これは、ELランプ及びそのデザインフイルムシートを共に収納し、防水機能を備え、薄型で可撓性を有し、軽量なものである。このデスプレーの裏面部分に設けられる脱落防止のために取り付け手段を、その裏面部分に設けているものである。このELランプを点滅させるためには、バッテリー又は一般商業用電源より、その電源にそれぞれのインバータを設け、点滅制御噐で自由にその使用目的に対応するようにELランプを駆動する回路を設け、注意喚起サイン、案内表示、広告看板等のデザインフイルムシートの光源とするELランプを発光させるようにして初めて利用可能になるものである。」 引用文献1の図1ないし3からみて、ELランプとデザインフイルムシートとは、ほぼ同じ大きさに形成されている、即ち、ほぼ等しい外形寸法を有していることは明らかであり、図7からみて、ELランプの防水機能付きフレキシブルデスプレーは、巻回可能であることは明らかであり、更に、上記記載事項等を併せ勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用文献1記載発明」という。)が開示されていると認められる。 「バッテリーにより発光する、接点を有するELランプと、 ELランプの発光により照明され、ELランプとほぼ等しい外形寸法を有し、標識や広告看板等の文字、数字、記号や図形のデザインを表示した可撓性(フレキシブル)のフイルムシートであるデザインフイルムシートと、 透明なフレキシブルな塩化ビニール製の樹脂シートの周りを融着した袋部とから構成され、 フレキシブルな樹脂シート製の袋部に、ELランプと可撓性(フレキシブル)のフイルムシートであるデザインフイルムシートを共に挿入し、 ELランプの接点に接続される導線を、バッテリーに接続することにより、デザインフイルムシートの光源とするELランプを発光させる、 薄型で可撓性を有し、巻回可能なELランプの防水機能付きフレキシブルデスプレー。」 (2)同じく引用した特開平2-255166号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面(特に第6及び7図参照)と共に、次の事項が記載されている。 カ.同2頁左下欄6行ないし3頁右上欄6行 「(実施例3) 第6図は、本発明の第3の実施例を示す図であり、本実施例では、太陽電池2と、発光ダイオード等による表示部3、シート状操作パネル10がフレキシブルシート9上に、一体的に作製されている。また、背面には、第7図に示すように、シート状蓄電池11が、また、不図示ではあるが、第2図に示されるような電気回路が、やはり一体的に作製されている。 太陽電池2、表示部3、操作パネル10、蓄電池11は、フレキシブルな材質のものであれば好適であるが、フレキシブルでないものであっても、微小部分に分離して接続し、全体としてフレキシブルな構造とすることも出来る。 本実施例は、第7図のように丸めて収納し、簡単に持ち運べ、また、太陽光等の光エネルギーの得られるところであれば、どこにでも簡単に、張り付ける等の方法で、設置することが可能である。また、折り曲げて、小さく収納できる構造とすることも可能である。」 4.対比 本願発明1と引用文献1記載発明とを対比する。 a.引用文献1記載発明の「接点」は、本願発明1の「コネクタ端子部」に相当する。 b.引用文献1記載発明の「ELランプの防水機能付きフレキシブルデスプレー」は、薄型で可撓性を有しているものであるから、袋部に挿入される「ELランプ」も、全体が薄厚に構成されたものと解され、また、該「ELランプ」は、ELランプの防水機能付きフレキシブルデスプレーの「発光部」であるから、本願発明1の「発光部」に相当する。 c.引用文献1記載発明の「デザインフイルムシート」は、「標識や広告看板等の文字、数字、記号や図形のデザインを表示した可撓性(フレキシブル)のフイルムシート」であるところ、それらデザインが広告等に用いられることから勘案すると、該フィルムシートには、透明な樹脂フィルムに透光パターン部と遮光パターン部とが印刷により設けられているものが含まれることはいうまでもないから、引用文献1記載発明の「デザインフイルムシート」は、本願発明1の「シート状表示部」に相当する。 d.本願発明1の「シート状表示部」は、「発光部の一方の主面上に積層された」ものであるが、該「積層」が、発光部とシート状表示部とが単に重ねられていること(非接着)を意味するのか、接着剤等で(一体的に)接着されていることを意味するのか、本願明細書を参酌しても特段の記載はなく、曖昧であるので、検討する。 本願明細書の段落【0012】には「発光型ディスプレイ装置1は、図1に示すように表示部2と、この表示部2を発光させる発光部3と、この発光部3に電源を供給するリチウムイオンポリマー二次電池4(ポリマー二次電池)とが積層されて」と、また、段落【0026】には「ポリマー二次電池4は、図1に示すように一方の主面に表示部2を積層した発光部3の他方主面に、適宜の接着剤等によって接合される」と記載されている。 これらの記載によれば、表示部と発光部とポリマー二次電池とは、それぞれ積層されるものであるところ、特に、発光部とポリマー二次電池との積層に関しては、発光部の他方の主面に積層されるポリマー二次電池は接着剤により接合されると明記されており、表示部と発光部、発光部とポリマー二次電池との関係が、それぞれ同じ「積層」なる用語で表現される以上、ポリマー二次電池が、発光部の他方の主面に接着剤により接合されているならば、シート状表示部も、発光部の一方の主面に接着剤により接合されていると解するのが妥当である。 即ち、本願発明1の「積層」とは、接着剤により接合されていることを意味すると解される。 他方、引用文献1記載発明のELランプは、デザインフイルムシートと共に袋部に挿入され、重ねられている(引用文献1の図2参照)が、接着剤により接合されているか否かは定かでないので、この点は相違点として検討する。 e.本願発明1の「ポリマー二次電池」と引用文献1記載発明の「バッテリー」とは、発光部に電源を供給する電源供給部材である点で共通するものである。 f.引用文献1記載発明の「ELランプの防水機能付きフレキシブルデスプレー」も発光するものであるから、「発光型ディスプレイ装置」といい換えることができる。 以上によれば、本願発明1と引用文献1記載発明とは、次の点で一致及び相違している。 《一致点》 「全体が薄厚に構成されてなり、一端部にはコネクタ端子部が形成されている発光部と、 上記発光部とほぼ等しい外形寸法の可撓性を有する透明な樹脂フィルムを素材として透光パターン部と遮光パターン部とからなる所定の表示パターンが印刷によって設けられ上記発光部の一方の主面上に重ねられたシート状表示部と、 電源供給部材とから構成され、 上記電源供給部材が上記発光部のコネクタ端子部と接続されて上記発光部に電源を供給することによって駆動し、上記表示部の表示パターンを発光表示するようにした巻回可能な発光型ディスプレイ装置。」 《相違点1》 発光部が、本願発明1では、「可撓性を有する樹脂フィルム基板上に多数個の発光体が形成され」、「該樹脂フィルム基板には該発光体各々の電極に接続された回路パターンが形成されている」ものであり、「樹脂フィルム基板の一端部」にコネクタ端子部が形成されているのに対して、引用文献1記載発明では、ELランプである点。 《相違点2》 発光部とシート状表示部とが重ねられている点について、本願発明1では、接着剤等によって接合されているのに対して、引用文献1記載発明では、接着されているか否か定かでない点。 《相違点3》 電源供給部材が、本願発明1では、「それぞれ金属箔からなる金属集電体に極活物質を塗布してなる負極材と正極材とをポリマー電解質を介して積層し、これらを樹脂フィルムとアルミニウム箔とを接合したラミネートフィルムからなる外装体によって封装することにより全体が上記発光部と上記表示部の積層体とほぼ等しい外形寸法を有し薄厚でかつ可撓性を付与されシート状に構成されて上記発光部の他方の主面に接合されたポリマー二次電池」であるのに対して、引用文献1記載発明では、バッテリーである点。 《相違点4》 本願発明1では、「ポリマー二次電池の負極端子及び正極端子が発光部のコネクタ端子と接続され」るのに対して、引用文献1記載発明では、ELランプの接点には、バッテリーに接続する導線が接続されている点。 5.判断 (1)相違点1について 多数個のEL素子が、樹脂基板上に形成され、各EL素子の電極が回路パターンにより接続されたものは、例えば、実公平3-22876号公報(4欄43行?5欄19行、6欄24?29行、8欄11?12行等参照)、特開平9-306668号公報(段落【0009】等参照)、特開平10-172763号公報(段落【0002】、【0007】、【0015】等参照)等に記載されるように、周知の技術手段である。 刊行物1記載発明は「薄型で可撓性を有し、巻回可能」なものであるから、引用文献1記載発明の発光部に上記周知の手段を採用し、樹脂基板上に多数個のEL素子の各電極が、回路パターンで接続されたものとし、その際、樹脂基板を可撓性を有するフィルム状とし、該可撓性の樹脂フィルム基板の一端部にコネクタ端子部を形成することは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 (2)相違点2について 引用文献1記載発明において、デザインフィルムシートがELランプとずれてしまうと、デザインの一部(ずれた部分)が明確に発光表示されなくなることは明らかである。 してみると、デザインフィルムシート(シート状表示部)がELランプ(発光部)とずれないように重ねることは、引用文献1記載発明における自明の課題であるから、シート状表示部と発光部とを重ねる際に、接着剤等で接合することは、当業者が容易に想到し得ることと認められる。 (3)相違点3について 相違点3に係る「それぞれ金属箔からなる金属集電体に極活物質を塗布してなる負極材と正極材とをポリマー電解質を介して積層し、これらを樹脂フィルムとアルミニウム箔とを接合したラミネートフィルムからなる外装体によって封装したシート状のポリマー二次電池」は、特開平9-259929号公報(段落【0012】、【0019】、【0038】、【0039】等参照、以下「周知文献1」という。)、特開平11-273735号公報(段落【0002】、【0027】、【0029】、【0033】等参照、以下「周知文献2」という。)等に記載されるように、周知の技術手段である。 そして、上記周知のポリマー二次電池は、薄型で、且つ、柔軟性のあるアルミラミネートフィルムの電槽に密閉収納されている点等からみて、可撓性を有しているといえる。 引用文献1記載発明は、電源としてバッテリーを使用するものであるところ、該バッテリーは、リード線により、ELランプの接点と接続されるものであるから、バッテリーはフレキシブルデスプレーに直接接合されるものではなく、又、シート状のものであるか否かも定かではない。 ただ、引用文献1には、接点に接続されるリード線の端は空気にさらされているため最弱点となっている、旨の記載があり(段落【0004】参照)、この記載は、最弱点であるリード線はできれば無くした方が良いことをうかがわせるものであるから、リード線を無くす、あるいは、できるだけ短くすることは、引用文献1記載発明の自明の課題である。 他方、引用文献2には、丸めて簡単に持ち運べるようにした表示装置において、該表示装置の電源として、フレキシブルシートの背面に一体的に作成された、フレキシブルなシート状蓄電池を用いることが記載されている。 即ち、フレキシブルなシート状蓄電池を電源として用い、フレキシブルシートの背面に一体的に作成することは、公知の技術事項である。 してみると、引用文献1記載の上記自明の課題を解決するために、発光部と電源を接近させるべく、引用文献2記載の技術事項を適用して、引用文献1記載発明のフレキシブルデスプレーのELランプ(発光部)の背面にフレキシブルなシート状蓄電池を一体的に作成し、丸めて持ち運べるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められ、シート状蓄電池として、具体的に周知のポリマー二次電池を採用することに格別の困難性は認められない。 そして、ポリマー二次電池を採用するに際し、ポリマー二次電池は、その面積に比例して蓄電能力が高くなるものであるから、その面積をできるだけ大きくすること、即ち、接合される発光部とほぼ同じ大きさ(外形)とすることは、持久力等の点からみて、当然の設計事項である。 (4)相違点4について 相違点3の検討の際に例示した周知文献1及び2には、ポリマー二次電池が負極端子及び正極端子を有することも記載されている(周知文献1の段落【0018】、周知文献2の段落【0032】等参照)。 なお付言すれば、負極端子及び正極端子が外部に導出される(露呈する)ことも記載されている。 上記相違点3において検討したとおり、周知のポリマー二次電池を発光部の他方の主面に接合することは当業者が容易に想到し得ることであり、そうすると、ポリマー二次電池を発光部と電気的に接続しなければならないことは自明であるところ、ポリマー二次電池は、上記のとおり、負極端子及び正極端子を有しているから、該負極端子及び正極端子を、発光部のコネクタ端子部と接続することは、当然の設計事項である。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、上記各相違点に係る特定事項は、当業者が適宜想到可能なものであり、それにより得られる作用効果も当業者であれば容易に推察可能なものであって、格別なものとはいえない。 したがって、本願発明1は、引用文献1記載発明、引用文献2記載の技術事項及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-08-23 |
結審通知日 | 2011-08-30 |
審決日 | 2011-09-13 |
出願番号 | 特願平11-289781 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G09F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 秋山 斉昭 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 笹野 秀生 |
発明の名称 | 発光型ディスプレイ装置 |
代理人 | 小池 晃 |
代理人 | 伊賀 誠司 |
代理人 | 藤井 稔也 |
代理人 | 野口 信博 |
代理人 | 祐成 篤哉 |