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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60T
管理番号 1245664
審判番号 不服2010-16685  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-23 
確定日 2011-10-27 
事件の表示 特願2006- 50678「車両制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月13日出願公開、特開2007-230255〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年2月27日の出願であって、平成22年4月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年7月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ、その後、当審において拒絶理由が通知されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明5」という。)は、平成20年12月16日付け手続補正、及び平成23年7月6日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、それぞれその特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
なお、平成21年12月18日付け手続補正は、原審において平成22年4月22日付けで、また、平成22年7月23日付け手続補正は、当審において平成23年4月27日付けで、それぞれ決定をもって却下されている。
「【請求項1】
車両の停止中に所定の条件が満たされた場合に、駆動源を自動的に停止および始動する駆動源制御装置と、
車輪に付与する制動力を制御する制動力制御装置と、を備え、
前記駆動源制御装置は、車両の停止中に変速機のシフトポジションとしてPポジションが選択され、かつ、実質的に車輪に制動力が付与されていない場合において、前記駆動源を自動的に始動する所定の条件が満たされたとき、該駆動源を始動するタイミングより前に、ドライバのブレーキ操作によらずに車輪に制動力が付与されるように前記制動力制御装置を制御することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記駆動源制御装置は、駆動源を始動する際に車輪に付与された制動力が、走行ポジションが選択されていない期間保持されるように前記制動力制御装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記駆動源制御装置は、走行ポジションが選択されていない期間において制動力が保持されている時間が所定の時間を超えた場合、制動力が解除されるように前記制動力制御装置を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制動力が解除されるタイミングは、前記駆動源が停止している期間であることを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記駆動源制御装置は、前記車輪に油圧ブレーキ以外の制動装置により制動力が付与されている場合、前記駆動源を始動する際に油圧ブレーキにより車輪に制動力を付与する制御を行わないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両制御装置。」

3.本願発明についての検討
3-1.本願発明1について
(1)本願発明1は上記のとおりである。
(2)引用例
(2-1)引用例1
特開平11-247675号公報(以下、「引用例1」という。)には、下記の事項が図面とともに記載されている。
(あ)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 処理部(CPU)と、各種情報を収集するための各種センサーと、シフト自動切替部を有するシフト操作部と、エンジンと、音声警告装置と、補助自動ブレーキ装置と、自動切替装置とからなることを特徴とするエンジン自動停止及び始動装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両が信号で停止している時、積載荷物の積み卸しをしている際にエンジンが自動的に停止するとともに、走行する場合には自動的にエンジンが始動するエンジン自動停止及び始動装置に関する発明である。」
(い)「【0008】図2は、本発明であるエンジン自動停止システムの大まかな流れを示したフローチャートである。車両のエンジンを始動(エンジン始動)した後、走行している車両が走行を停止(停止)すると、車両が停止している状態によって本発明であるエンジン自動停止及び始動装置を作動させるかを判断する。
【0009】即ち、車両のエンジンを始動(エンジン始動)させて車両を走行(走行)後に車両が停止(停止)し、本エンジン自動停止及び始動装置を作動させる(本装置作動)と判断された場合は、自動的に車両のエンジンが停止(エンジン停止)する。その後、運転者が発車のための動作を行ったとき(発車動作)にエンジンが再始動(エンジン再始動)し走行できる状態にする。
【0010】本エンジン自動停止及び始動装置が、本装置を作動させる必要がないと判断すれば、エンジンは停止せず、エンジンを再始動せずに走行することができる。
【0011】図3は、本発明であるエンジン自動停止及び始動装置の流れを示したフローチャートである。エンジン始動後、走行中の車両が停止した時に、図1に示したスピードセンサー7によりスピ-ドが確認され車両が停止していることを確認した後、シフトレバ-がシフトレンジ4のNレンジにある場合には、フットブレーキが踏まれている状態で一定時間が経過したときに本エンジン自動停止及び始動装置が作動する。また、シフトレハバ-がシフトレンジ4のPレンジにある場合には、一定時間が経過24後したときに本エンジン自動停止及び始動装置が作動する。
【0012】本エンジン自動停止及び始動装置が作動すると、自動ブレーキが掛かり車両を固定した後にイグニッションキーをオフにしてエンジンを停止させる。この時、必要に応じて音声警告装置でエンジンが停止したことを運転者に知らせる。
【0013】エンジンが停止すると、自動切替装置によってそれまで使用されていた、ワイパー、電熱線、エアコン等の電気を大量に消費する機器は停止される。また夜間など車両のライトが点燈していた場合にはスモール(車幅表示灯)に切り替えられる。
【0014】エンジン10が停止され停車しフットブレーキを踏んだ状態でシフト操作部2のシフトレバ-をDレンジ又はRレンジに動かしたときに、シフト自動切替部3がシフトをNレンジまたはPレンジのままで保持し、スタ-タ11を回しエンジン10を自動的に掛けた後にシフト自動切替部3によりシフトをシフト操作部2で操作したように切り換える。
【0015】ただし、フットブレーキが踏まれた状態のまま継続されていなければ、前記のようにシフト操作部2によってシフトが切り替えられることはない。その後アクセルが踏まれると、補助自動ブレーキ14を解除して車を走行できる状態にする。
【0016】エンジンが停止中にタイヤが少しでも動くとスピードセンサー7、タイヤセンサー9により検知され、音声警告装置13により運転者に音声によって警告される。
【0017】また、本発明であるエンジン自動停止及び始動装置は、電圧センサー15によってバッテリー12の電圧を測定しており、バッテリー12の電圧が低下しているときには働かない。
【0018】また、本エンジン自動停止及び始動装置が作動してエンジンが停止している間にバッテリー12の電圧が低くなってきた場合には、音声警告装置14によって運転者にエンジン10を始動するように警告し、フットブレーキが踏まれるとエンジンが最始動される。警告はエンジンが再始動されるまで定期的に行われる。
【0019】その後、シフト操作部2によってシフトレバ-がDレンジ又はRレンジに切り替えられたときに、シフト自動切替部3によりシフトがシフト操作部2で切り替えられた位置に切り替えられ、アクセルが踏まれると補助自動ブレーキ装置14が解除され走行できる状態になる。
【0020】本発明であるエンジン自動停止及び始動装置は、ラジエター内の水温を水温センサー8により常時測定しており、自動車の暖気運転のためのアイドリングの際(ラジエターの水温が50度以下の場合)には機能しないようになっている。
【0021】スタータ11は、スピードセンサー7及びタイヤセンサー9が停止を確認していないとシフトの操作によって始動しない。このことにより、走行中にシフトをNレンジに入れてブレーキを踏んだあとでも誤作動することがない。」
上記の記載事項及び図面からみて、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「車両の停止後、シフトレバーがシフトレンジ4のPレンジにある場合には、一定時間が経過したときにエンジン10を自動停止し、その後、バッテリー12の電圧が低くなってきた場合にフットブレーキが踏まれるとエンジン10を再始動するエンジン自動停止及び始動装置と、
補助自動ブレーキ装置14、及びフットブレーキと、を備え、
前記エンジン自動停止及び始動装置は、自動ブレーキを作動した後にエンジン10を自動停止し、車両の停止中に変速機のシフトレンジ4としてPレンジが選択されていてエンジン10が停止している間にバッテリー12の電圧が低くなってきた場合に、運転者にエンジン10を始動するように警告し、フットブレーキが踏まれるとエンジン10を再始動するように制御する制御装置。」
(2-2)引用例2
特開2001-3778号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。
(か)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定のエンジン停止条件が成立したときにエンジンを自動停止するとともに、所定のエンジン再始動条件が成立したときに該自動停止したエンジンを再始動し、且つ、運転者の操作に因らない車両の制動制御を実行可能に構成した車両のエンジンの自動停止・再始動制御装置に関する。」
(き)「【0004】エンジンを再始動させる条件が成立したとき、例えば、ドライバがアクセルペダルを踏む(アクセルオン)などの走行の意思を示した場合には、直ちにエンジンを再始動させるようにしている。又、バッテリの充電量が不足したときなどではドライバが走行の意思を表していない場合でもエンジンを再始動させるようにしている。これは、バッテリ上がりを防止し、エンジン再始動が不可能な事態となるのを避けるためである。」
(く)「【0070】図7の制御フローは、(平坦路、上り坂での)制動保持の開始から制動終了(時刻t2?t7)に至るまでの制御手順を示している。
【0071】ステップ400ではシフトレバーの位置がニュートラル、またはパーキングのいずれかであるかが判断される。ニュートラルかパーキングのいずれかであったときは制動保持制御実行しないためそのままステップ418に進むが、ニュートラルでもパーキングでもないと判断された場合にはステップ402に進んでエンジンの再始動条件が成立するか否かが判断される。再始動条件が成立するまではステップ400の判断が繰り返されるため、結果としてその間「制動保持」が維持されることになる。」
(3)対比
本願発明1と引用例1発明とを対比すると、後者の「エンジン自動停止及び始動装置」は前者の「駆動源制御装置」に相当し、以下同様に、「エンジン10を自動停止し」は「駆動源を自動的に停止」に、「車両の停止後」は「車両の停止中」に、「シフトレバーがシフトレンジのPレンジにある場合には、一定時間が経過したとき」及び「バッテリー12の電圧が低くなってきた場合にブレーキが踏まれる」は「所定の条件が満たされた場合」に、「エンジン」は「駆動源」に、「補助自動ブレーキ装置14」は「車輪に付与する制動力を制御する制動力制御装置」に、「シフトレンジ」は「シフトポジション」に、「Pレンジ」は「Pポジション」に、「制御装置」は「車両制御装置」に、それぞれ相当する。また、前者の「該駆動源を始動するタイミングより前に、ドライバのブレーキ操作によらずに車輪に制動力が付与されるように前記制動力制御装置を制御する」と「フットブレーキが踏まれるとエンジン10を再始動するように制御する」とは、「前記駆動源を始動する際に車輪に制動力が付与されるようにする」という限りにおいて一致する。
したがって、本願発明1の用語に倣って整理すると、両者は、
「車両の停止中に所定の条件が満たされた場合に、駆動源を自動的に停止および始動する駆動源制御装置と、
車輪に付与する制動力を制御する制動力制御装置と、を備え、
前記駆動源制御装置は、車両の停止中に変速機のシフトポジションとしてPポジションが選択されている場合、前記駆動源を始動する際に車輪に制動力が付与されるようにする車両制御装置。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願発明1の「駆動源制御装置」は、「車両の停止中に所定の条件が満たされた場合に、駆動源を自動的に」「始動する」ものであって、「車両の停止中に変速機のシフトポジションとしてPポジションが選択され、かつ、実質的に車輪に制動力が付与されていない場合において、前記駆動源を自動的に始動する所定の条件が満たされたとき、該駆動源を始動するタイミングより前に、ドライバのブレーキ操作によらずに車輪に制動力が付与されるように前記制動力制御装置を制御する」のに対し、引用例1発明の「エンジン自動停止及び始動装置」は、「エンジン10を自動停止し、その後、バッテリー12の電圧が低くなってきた場合にフットブレーキが踏まれるとエンジン10を再始動する」ものであって、「自動ブレーキを作動した後にエンジン10を自動停止し、車両の停止中に変速機のシフトレンジ4としてPレンジが選択されていてエンジン10が停止している間にバッテリー12の電圧が低くなってきた場合に、運転者にエンジン10を始動するように警告し、フットブレーキが踏まれるとエンジン10を再始動するように制御する」ものである点。
(4)判断
(4-1)相違点1について
引用例1発明は「自動ブレーキを作動した後にエンジン10を自動停止」し、エンジン10の停止中にも自動ブレーキが作動している。このような自動ブレーキが登坂路などの斜面における車両の前後進のおそれに対処するものであることは、例えば、特開平11-348607号公報(特に「【0033】、【0034】)に示されているように周知ないし自明であって、平坦路などにおいて車両の前後進のおそれがない場合には必ずしも自動ブレーキの作動が必要でないこと、バッテリーの負担にかんがみると、その方が技術合理的であることは明らかである。また、引用例2には、上記(く)に摘記したように、エンジン停止時にシフトレバーの位置がパーキングであったときは制動保持制御を実行しないことが示されている。以上を勘案すると、引用例1発明において、エンジンが停止した後に自動ブレーキを停止することは、路面状態やバッテリ状況等を考慮して適宜設計する事項にすぎないと認められる。そのようにした場合には、自動ブレーキが停止している状態でバッテリー電圧が低下するという事態が起こり得ることは明らかである。
次に、引用例1発明の「エンジン自動停止及び始動装置」は、「バッテリー12の電圧が低くなってきた場合」に「フットブレーキが踏まれるとエンジン10を再始動する」ものである。しかし、(a)エンジン始動時に車両にブレーキ力を付与するとしても、引用例1発明は補助自動ブレーキ装置14も備えており、必ずしもフットブレーキに限る理由はないこと、(b)引用例1発明において、フットブレーキを踏むことが「発車動作」のためのエンジン始動の条件の一つであるとしても、バッテリー電圧低下の場合のエンジン始動は発車のためではないから、フットブレーキを踏むことをバッテリ電圧低下の場合のエンジン始動の必須の条件とする理由は特にないこと、以上からすると、バッテリー電圧低下の場合のエンジン始動にあたって、フットブレーキを踏むことを条件とするかどうかは適宜の設計的事項にすぎない。そして、引用例1発明はそもそも、自動ブレーキが作動している状態で、バッテリー電圧低下時のエンジン10の始動がなされるものであるから、上記のように自動ブレーキが停止している状態でバッテリー電圧が低下するという事態が起こったとき、自動ブレーキを作動した状態でエンジン10を始動するように構成することは、当業者が容易になし得たものと認められる。
そして、エンジン始動時に車体に振動ないし揺れが発生することはいうまでもないことであって、本願発明1の作用効果は、引用例1、2に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が予測し得た程度のものである。

以上に関して、請求人は、平成23年7月6日付け意見書において、「つまり、引用文献1に記載された発明は、ドライバのブレーキ操作によるブレーキ動作が行われていない状態でエンジンが始動することはなく、フットブレーキが踏まれた状態でエンジンが始動されることを前提としています。そのため、車両の停止中に変速機のシフトポジションとしてPポジションが選択されている場合であっても、エンジンの始動の際の揺れを考慮する必要がありません。つまり、本願発明が解決しようとする、駆動源を始動する際の車両の振動の抑制という課題を認識し得ません。一方、引用文献1に記載の発明においては、エンジンを再始動するためには前提としてフットブレーキの操作が必要なため、充電状態が低下したような条件で発電をするためにエンジン等の駆動源の始動をドライバの操作を必要とせずに自動的にするということが不可能です。」と主張する。しかし、(A)確かに、引用例1の実施例はそのようになっているが、フットブレーキを踏むことをバッテリ電圧低下の場合のエンジン始動の必須の条件とする理由は特になく、バッテリー電圧低下の場合のエンジン始動にあたって、フットブレーキを踏むことを条件とするかどうかは適宜の設計的事項にすぎないことは、上述したとおりである。(B)引用例1発明は、バッテリー電圧が低下してエンジン10を始動するときにも自動ブレーキが作動しているのであって、フットブレーキが踏まれているからエンジンの始動の際の揺れを考慮する必要がないというわけではない。フットブレーキを踏む踏まないにかかわらず、エンジンの始動の際の揺れの問題は解決されているのである。(C)引用例1発明において、バッテリー電圧低下の場合のエンジン始動にあたってフットブレーキを踏むことを条件としないという程度の設計変更に格別の困難性があるとは認められないし、技術的に不可能であるとも認められない。請求人は「…ドライバの操作を必要とせずに自動的にするということが不可能です。」と主張するが、技術的要求・優先度の変化や差異などに応じて引用例1発明等の公知の発明に種々の設計変更を施すことは通常みられる創作活動であって、引用例1の実施例の記載に終始拘泥することはあり得ない。
同じく、「しかしながら、本願請求項1に係る発明は、実質的に車輪に制動力が付与されていない場合において、駆動源の始動のタイミングを狙って制動力が付与されるのに対して、引用文献1に記載された発明は、エンジン自動停止からエンジン自動始動まで自動ブレーキが継続して作動しているため、エンジン始動のタイミングを狙って制動力を付与する必要がありません。そのため、エンジンが始動する前後において継続的に作動している自動ブレーキを、エンジンが始動する際に作動させ車輪に制動力が付与されるようにすることは困難です。さらには、引用文献1に記載された発明は、車両の停止中にPレンジが選択されていても、エンジンを停止してからエンジンが再始動するまでの間中、自動ブレーキが作動しています。そのため、本願発明とは異なり、不必要にブレーキが作動していることになり、本願発明のように、駆動源が停止中にPポジションで停止している車両の場合にブレーキの作動頻度を抑制することができる、という効果を奏することもできません。」と主張する。これは、Pポジションが選択されたエンジン停止時に実質的に車輪に制動力が付与されていないことを前提とする主張であるが、そのこと自体は格別のものではなく、本願明細書にも「【0006】…エンジンが自動的に停止するものがある。【0007】…Pポジションを選択して停車している場合、ドライバは車両に制動力を付与していないときが多く、…」と記載されているように、稀な事象ではない。本願発明1は、そのような状況でバッテリー電圧が低下したときにも、実質的に車輪に制動力が付与されている状況でバッテリー電圧が低下したときと同じブレーキ状態でエンジンを始動するようにしたものにすぎない。そして、引用例1発明において、自動ブレーキが停止している状態でバッテリー電圧が低下するという事態が起こったとき、自動ブレーキを作動した状態でエンジン10を始動するように構成することは当業者が容易になし得たものと認められることは、上述したとおりである。また、上記のとおり、「そのため、本願発明とは異なり、不必要にブレーキが作動していることになり、本願発明のように、駆動源が停止中にPポジションで停止している車両の場合にブレーキの作動頻度を抑制することができる、という効果を奏することもできません。」と主張するが、「ブレーキの作動頻度を抑制することができる」という効果が本願発明1のどの事項に基づくのか、必ずしも明らかではないとともに、本願明細書の「【0058】図2および図5に示す処理により本実施形態に係る車両制御装置100は、図6に示すように、車両が停車し、作動しているエンジン2がエンジン停止条件を満たしてエンジン2が停止する場合、シフトポジションがPポジションのとき(時間T6)、それまで制動力を車輪に付与しているブレーキ作動ONの状態を維持する。これにより、ブレーキ作動のON、OFFに伴う車輪に制動力を付与するブレーキの動作頻度を低減することができる。」との説明と必ずしも整合していない。

(5)むすび
したがって、本願発明1は、引用例1、2に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.結語
以上のとおり、本願発明1が特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである以上、本願発明2?5について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-16 
結審通知日 2011-08-23 
審決日 2011-09-12 
出願番号 特願2006-50678(P2006-50678)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B60T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤村 泰智平城 俊雅  
特許庁審判長 山岸 利治
特許庁審判官 所村 陽一
常盤 務
発明の名称 車両制御装置  
代理人 村田 雄祐  
代理人 三木 友由  
代理人 森下 賢樹  
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