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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1245676
審判番号 不服2010-20554  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-09-13 
確定日 2011-10-27 
事件の表示 特願2002-213203「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月12日出願公開、特開2003- 38795〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月19日に出願した特願平11-76973号の一部を、平成14年7月22日に分割出願したものであって、平成22年6月9日付け(発送:6月15日)で拒絶査定がされ、これに対し同年9月13日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされ、当審において、平成23年2月10日付けで審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、同年4月12日付けで回答書が提出された。

2.平成22年9月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年9月13日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の請求項1?3に記載された
「【請求項1】
遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、
遊技者が操作する操作部と、
前記遊技領域に設けられた所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段と、
前記遊技領域に設けられた第2図柄表示部と、
前記操作部が操作された場合に、前記第2図柄表示部に、前記判断手段が前記第2特別遊技状態を生起させると判断しているか否かを示す図柄を確定表示させる図柄確定手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第2図柄表示部は、前記第1図柄表示部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2特別遊技状態は、前記第1特別遊技状態生起の確率を高確率とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。」
という発明を、
「【請求項1】
遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、前記遊技領域に設けられた所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて発する図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、
遊技球の発射のための発射ハンドルとは別に設けられ遊技者が操作する操作部と、
前記所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段と、
前記遊技領域に設けられた第2図柄表示部と、
前記第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示された後に、前記第2図柄表示部の図柄の変動表示を開始し、前記操作部が操作された場合に、前記第2図柄表示部に、前記判断手段が前記第2特別遊技状態を生起させると判断しているか否かを示す図柄を確定表示させる図柄確定手段とを備え、 第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過しても前記操作部が操作されない場合は、前記操作部の操作が行われたと判断することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第2図柄表示部は、前記第1図柄表示部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2特別遊技状態は、前記第1特別遊技状態生起の確率を高確率とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。」
という発明に変更することを含むものである(下線部は補正箇所である。)。

(2)補正の適否
本件補正により、補正前の請求項1の発明特定事項を限定した複数の箇所に加えて、請求項1に「第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過しても前記操作部が操作されない場合は、前記操作部の操作が行われたと判断する」という特定事項が追加された。
ここで、当該事項について検討すると、願書に最初に添付された明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)には次の事項が記載されている。
【0038】次に、本実施例のパチンコ機1の作動内容の詳細について、図8乃至図10のフローチャートに従って説明する。・・・また、図8に示すパチンコ機1のメインルーチンは、第1実施例乃至第12実施例において全て共通である。
【0058】・・・ここで、確率変動判定図柄停止スイッチがON(S33:YES)となるのは、大当たり表示の後に、図4に示す第2図柄表示部28の表示が変動表示を行い、その変動表示動作中に遊技者が操作スイッチ70を操作した場合である。
【0059】まず、遊技者が操作スイッチ70を操作していない場合、すなわち、確率変動判定図柄停止スイッチがOFFの場合は(S33:NO)、RAM45に記憶されている確率変動判定ループカウンタLC6の値を「1」増加することによって、更新する(S34)。次いで、第2図柄表示部28に表示される確率変動判定図柄を変動させて(S35)、メインルーチンにリターンする。
【0060】遊技者が操作スイッチ70を操作し、確率変動判定図柄停止スイッチがONの場合は(S33:YES)、RAM45に記憶されている確率変動判定ループカウンタLC6の値を確率変動判定乱数として取得し、確率変動判定乱数記憶エリア45eに記憶する(S36)。ここで、RAM45に記憶されている確率変動判定ループカウンタLC6の値は、「0」?「11」の間でループカウントされているので、確率変動判定乱数としては、「0」?「11」の内の何れかの値が確率変動判定乱数記憶エリア45eに記憶される。
【0068】さらに、確率変動判定処理は、遊技者が操作スイッチ70を操作しなかった場合には、第1特別遊技状態である大当たり状態で、大入賞口16の開成の最終回(最終ラウンド)で、大入賞口16内の中央に設けられたV入賞口(図示外)にて、遊技球が検出された時点で、確率変動判定図柄停止スイッチをONとして(S33:YES)、S36?S44に示す処理を行って、第2図柄表示部28に確率変動判定図柄を確定表示し(S42)、判定結果表示部30に判定結果の表示を行い(S43)、確率変動判定図柄確定フラグをONしてもよい(S44)。
【0069】または、遊技者が操作スイッチ70を操作しなかった場合には、S37でNOと判定し、S40に移行し、自動的にはずれの判定を行ってもよい。
【0070】以上のように本実施例では、遊技者が操作スイッチ70を操作して、第2図柄表示部28に確率変動判定図柄を確定表示して、確率変動突入か否かを判断することができるので、確率変動突入が第1図柄表示部27の第1停止図柄表示部27a、第2停止図柄表示部27b、第3停止図柄表示部27cのみで、自動判定されることなく、遊技者にとって有利となる特典を自分で決定することができるという効果がある。また、遊技者が操作スイッチ70を操作するタイミングにより、確率変動突入をスロット遊技機に多くみられる技術介入と同様に決定できるので、遊技者の楽しみが増すという効果がある。
【0126】[第5実施例] 第5実施例のパチンコ機1の構成は、第1実施例のパチンコ機1の構成と機械的構成及び電気的構成は同一であるが、第5実施例のパチンコ機1は、確率変動判定処理における作動内容が第1実施例のパチンコ機1と異なっている。
【0127】本実施例では、遊技者が操作スイッチ70を操作すると第2図柄表示部27が変動を開始し、再度、遊技者が操作スイッチ70を操作すると第2図柄表示部28が変動を停止し、確率変動突入か否かが判断されることを特徴したものである。
【0138】この第5実施例では、遊技者が操作スイッチ70を操作していない場合には、第1特別遊技状態である大当たり状態で、大入賞口16の開成の最終回(最終ラウンド)より1つ手前の回(ラウンド)で、大入賞口16内の中央に設けられたV入賞口(図示外)にて、遊技球が検出された時点で、S114に示す確率変動判定図柄始動スイッチをONとし、最終回でのV入賞口にて、遊技球が検出された時点で、S117に示す確率変動判定図柄停止スイッチをONとしてもよい。また、遊技者が操作スイッチ70を操作していない場合には、S122に移行して自動的に非確率変動としてもよい。さらに、S116で確率変動判定図柄を変動後に所定時間経過しても、遊技者が操作スイッチ70を操作していない場合には、S117で自動的にYESと判断するようにしてもよい。
【0139】本実施例では、遊技者が操作スイッチ70を操作した場合に、確率変動判定図柄始動スイッチをONし、再度、同じ操作スイッチ70を操作した場合に、確率変動判定図柄停止スイッチをONするようにしているが、確率変動判定図柄始動スイッチのON及び確率変動判定図柄停止スイッチのONは、操作スイッチ70を2個設け、遊技者が第1の操作スイッチ70を操作したときに確率変動判定図柄始動スイッチをONし、次に、第1の操作スイッチ70とは別の第2の操作スイッチ70を操作したときに、確率変動判定図柄停止スイッチをONするようにしてもよい。
【0140】以上説明したように、本実施例では、第2図柄表示部28の確率変動判定図柄の変動の開始及び停止を、遊技者が所定のタイミングで操作スイッチ70を操作することによって制御できるので、確率変動突入が自動判定されることなく、遊技者にとって有利となる特典を自分で決定することができるという効果がある。本実施例では、確率変動判定図柄の変動の開始及び停止とも遊技者がうまいタイミングで操作スイッチ70を操作できるか否かの技術にかかっているので、遊技者の気持ちをより高めることができる。
【0215】[第12実施例] 次に、第12実施例について、図19乃至図21のフローチャートを参照して説明する。図19は、本実施例の入賞処理を示すフローチャートであり、図20は、本実施例の確率変動判定処理を示すフローチャートであり、図21は、本実施例の保留数減算処理を示すフローチャートである。第12実施例のパチンコ機1の構成は、第1実施例のパチンコ機1の構成と機械的構成及び電気的構成は同一であり、パチンコ機1のメインルーチンの処理及び大当たり判定の処理についても、第1実施例のパチンコ機1と同一である。
【0216】まず、この第12実施例のパチンコ機1の動作の概略を説明する。第12実施例のパチンコ機1では、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が検出された時点で、大当たり判定用ループカウンタLC2の値を乱数としてRAM45の特別図柄乱数記憶エリア45sに記憶すると共に、確率変動判定ループカウンタLC6の値をRAM45の確率変動判定乱数記憶エリア45eに記憶する。実際は、この時点で確率変動突入か否かが判明している。ここで、特別図柄乱数記憶エリア45sに記憶された乱数が、大当たりの乱数である場合は、大当たりが生起し、第2図柄表示部28が変動表示を開始する。そして、遊技者により操作スイッチ70が操作され、確率変動判定停止図柄停止スイッチがONとなると、RAM45の確率変動判定乱数記憶エリア45eに記憶された確率変動判定乱数に基づいた図柄を第2図柄表示部28に確定表示し、判定結果表示部30に確率変動突入か否かの表示を行う。これにより、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に、既に、自動的に確率変動突入の可否は判定されているが、「確率変動」であるかどうかの表示は遊技者により操作スイッチ70が操作され、確率変動判定図柄停止スイッチのONが検出された後になるので、遊技者は自分の技術で判定を行ったように思えるため、遊技者の気持ちを高めることができる。
【0218】次に、本実施例の確率変動判定処理について、図20に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。図20は、図8に示すメインルーチンの特別図柄処理(S12)で行われる確率変動判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、本実施例の確率変動判定処理では、確率変動判定図柄停止スイッチがONか否かを判定する(S211)。ここで、確率変動判定図柄停止スイッチがON(S211:YES)となるのは、大当たり表示の後に、遊技者により操作スイッチ70が操作された場合である。
【0219】大当たり表示の後に、遊技者により操作スイッチ70が操作されていない場合、すなわち、確率変動判定図柄停止スイッチがOFFの場合は(S211:NO)、メインルーチンにリターンする。大当たり表示の後に、遊技者により操作スイッチ70が操作され、確率変動判定図柄停止スイッチがONとなった場合は(S211:YES)、上記S206の処理でRAM45の確率変動判定乱数記憶エリア45eに記憶した確率変動判定乱数を読み出す(S212)。次いで、S212で読み出した確率変動判定乱数が確率変動の値か否かを判断する(S213)。ここで、S212で読み出した確率変動判定乱数が確率変動の値であった場合には(S213:YES)、RAM45の確率変動判定図柄記憶エリア45gに確率変動図柄を記憶する(S214)。そして、S214で記憶した確率変動判定図柄を、図4に示す第2図柄表示部28に確定表示する(S215)。例えば、RAM45の確率変動判定図柄記憶エリア45gに確率変動図柄として、「七萬」が記されている場合には、図4に示すように第2図柄表示部28に「七萬」を確定表示させる(S215)。具体的には、CPU44aからI/Oインターフェース47を介して、特別図柄表示装置8の制御回路に、第2図柄表示部28に「七萬」を表示させるコードデータを送信する。

以上の記載及び図面から、第1実施例及び第5実施例は、遊技者が操作スイッチ70を操作することによって確率変動判定乱数を取得する作動内容であり、遊技者が操作スイッチ70を操作しないと確率変動判定乱数を取得しないので、操作しない場合には何らかのきっかけで確率変動判定乱数を取得するか、そもそも取得をしないようにする必要があるのに対して、第12実施例は、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が検出された時点で確率変動判定乱数を取得し、遊技者が操作スイッチ70を操作することによって取得済みの確率変動判定乱数の値に応じて確率変動判定図柄を確定表示し、遊技者により操作スイッチ70が操作されていない場合はメインルーチンにリターンする作動内容であり、その後の遊技進行に必要な確率変動判定乱数は、遊技者による操作スイッチ70の操作の有無に関わらず取得済みである。
してみると、第1実施例及び第5実施例の作動内容と第12実施例の作動内容とは確率変動判定乱数を取得する契機が異なるものであって、その違いにより、その後の遊技の進行に影響を与えるものであって、それらを適宜組み合わせても良いという記載が当初明細書等になく、また、上記のような異なる作動内容のものを適宜組み合わせることが当業者にとって自明とも認められないので、「前記所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段」を備えた請求項1に記載の発明に「第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過しても前記操作部が操作されない場合は、前記操作部の操作が行われたと判断する」ことを追加する補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。
なお、請求人は平成23年4月12日付け回答書において「平成22年9月13日付け手続補正書による請求項1の補正の根拠は、本願明細書の第1実施例の記載([0022]段落、[0051]段落?[0054]段落、[0058]段落)と、第5実施例の記載([0126]段落?[0140]段落の記載)と、第12実施例の記載([0215]段落?[0222]段落)との複数の実施例の記載に基づくものとなっているが、明細書の[0126]段落において、「第5実施例のパチンコ機1の構成は、第1実施例のパチンコ機1の構成と機械的構成及び電気的構成は同一である」と記載しており、また、明細書の[0215]段落において、「第12実施例のパチンコ機1の構成は、第1実施例のパチンコ機1の構成と機械的構成及び電気的構成は同一であり、パチンコ機1のメインルーチンの処理及び大当たり判定の処理についても、第1実施例のパチンコ機1と同一である。」と記載しており、所謂当業者にとっては、第1実施例の制御、第5実施例の制御及び第12実施例の制御を組み合わせても良いことは自明事項であるので、平成22年9月13日付けの請求項1の補正は、第1実施例の記載、第5実施例の記載及び第12実施例の記載に基づいて何ら新規事項を付加するものではない。」と主張しているが、第1実施例、第5実施例及び第12実施例のパチンコ機1の機械的構成及び電気的構成が同じであることのみをもって、各実施例の制御を組み合わせても良いことが当業者にとって自明であるとはいえないため、上記請求人の主張は妥当ではなく採用することができない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

しかしながら、この補正が、特許法第17条の2第3項に規定された事項に違反しないものと仮定して、さらに、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項に規定された事項を目的とするものに該当すると仮定して本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについても、以下検討を続けることとする。

(3)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成22年2月8日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された特開平10-155992号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1を参照して実施形態に係る遊技装置(図示ではパチンコ遊技機)の遊技盤1の構成について説明する。図1は、遊技盤1を示す正面図である。図1において、遊技盤1の表面には、発射された打玉を誘導するための誘導レール2がほぼ円状に植立され、該誘導レール2で区画された領域が遊技領域3を構成している。遊技領域3のほぼ中央には、画像表示部60で特別図柄を可変表示(以下、変動ともいう)する特別可変表示装置30が配置されている。なお、画像表示部60は、左・中・右の特別図柄を個々に可変表示し得る特別図柄表示部62a・63a・64aを備えている(図15参照)。特別可変表示装置30の詳細な構成については後に詳述する。」

(イ)「【0023】しかして、上記のように構成される特別可変入賞球装置9は、以下のように作動する。即ち、打玉が普通可変入賞球装置5に入賞して始動玉検出器8をONさせると、特別可変表示装置30が特別図柄の変動を開始する。その後、所定時間の経過により表示結果を導出して、その表示結果が所定の大当り図柄となると特定遊技状態を発生させる。また、この特定遊技状態においては、特別可変入賞球装置9の開閉板11が所定期間(例えば、29.5秒)あるいは所定個数(例えば、10個)の入賞玉が発生するまで開放(開放サイクル)するように設定され、その開放している間遊技盤1の表面を落下する打玉を受け止めるようになっている。また、受け止められた打玉が特定玉検出器12をONすると、再度上記した開放サイクルを繰り返し、特定玉検出器12がONする毎に継続権が成立して開放サイクルを最高16回繰り返すことができるようになっている。」

(ウ)「【0028】以上、特別可変表示装置30を含むパチンコ遊技機の遊技盤1の構成について説明してきたが、それらの遊技装置は、図2及び図3に示す遊技制御回路によって制御される。図2及び図3は、遊技制御回路をブロック構成で示す回路図であり、MPU、ROM、RAM、入出力回路を含む基本回路42によって制御されている。しかして、基本回路42は、入力回路43を介して通過玉検出器15、始動玉検出器8、特定玉検出器12、及び入賞玉検出器13からの検出信号が入力され、アドレスデコード回路44から基本回路42にチップセレクト信号が与えられる。また、電源投入時に初期リセット回路45から基本回路42にリセット信号が与えられ、所定時間毎に定期リセット回路46から基本回路42に定期リセット信号が与えられる。」

(エ)「【0030】次に、前記特別可変表示装置30による特別図柄の変動動作について図6乃至図14に示すタイムチャート及び説明図等を参照して説明する。先ず、特別可変表示装置30の変動動作に用いられるランダム数について説明する。特別可変表示装置30では、図6に示すような5種類のランダム数が使用されている。これらのランダム数は、大当り決定用のWCRND1と、左図柄表示用であり且つ大当り表示用のWCRND_Lと、中図柄表示用のWCRND_Cと、右図柄表示用のWCRND_Rと、リーチ動作指定用のWCRND_ACTと、から構成されている。WCRND1は、「0?224」の225通りの数値が0.002秒毎に1ずつ加算されることで刻々と変化するものである。WCRND_Lは、「0?14」の15通りの数値が0.002秒毎に1ずつ加算されることで刻々と変化するものである。WCRND_Cは、「0?14」の15通りの数値が割り込み処理の余り時間に1ずつ加算されることで刻々と変化するものである。WCRND_Rは、「0?14」の15通りの数値がWCRND_Cの桁上げ時に1ずつ加算されることで刻々と変化するものである。WCRND_ACTは、「1?100」の100通りの数値が割り込み処理の余り時間に1ずつ加算されることで刻々と変化するものである。
【0031】そして、図7に示すように、WCRND1から抽出された値が「3」であり大当りと判定されると、WCRND_L(0?14)のデータにより大当り図柄が決定され、この大当り図柄が特別可変表示装置30の画像表示部60に表示される。一方、WCRND1で「3」以外の値が抽出されて外れと判定されると、WCRND_L・C・Rからの各抽出値に対応する図柄が外れ図柄として特別可変表示装置30の画像表示部60に表示される。なお、WCRND_L・C・Rからの各抽出値が偶然にも大当り図柄と一致した場合には、WCRND_Rのデータに「1」を加算して外れ図柄にして表示するものである。なお、このような当り外れの判定において、確率変動時(高確率時)にはWCRND1内の「3・7・67・77・173」の値が大当り決定用のランダム数となる。」

(オ)「【0035】先ず、図12において、普通可変入賞球装置5に打玉が入賞し始動玉検出器8が始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に、WCRND1から数値を抽出してこれを格納する。なお、後述する第六実施形態では、これと同時にWCRND_Kの抽出及び判定を行う。その後、始動信号の立ち上がりより0.002秒後には、WCRND L・C・R及びWCRND ACTから数値を抽出すると共に、格納したWCRND1の読み出し及び判定を行う。そして、始動信号の立ち上がりより0.004秒後に、左・中・右の全図柄が変動パターンAで変動される。その後、左図柄は、6.260秒間変動パターンAで変動された時点で変動中の図柄位置に関係なく停止図柄の3図柄前がセットされ(このような制御を飛ばし制御という)、その後0.420秒間変動パターンBで変動されて停止される。右図柄は、スベリ変動がない場合、6.680秒間変動パターンAで変動された時点で停止図柄の3図柄前がセットされ、その後0.420秒間変動パターンBで3図柄分変動されて停止される。右図柄でショートスベリがある場合は、6.680秒間変動パターンAで変動された時点で停止図柄の4?7図柄前がセットされ、その後前記※2の0.560?0.980秒間変動パターンBで4?7図柄のいずれかの図柄分変動されて停止される。右図柄でミドルスベリがある場合は、図13に示すように、6.680秒間変動パターンAで変動された時点で停止図柄の8?15図柄前がセットされ、その後前記※3の1.120?2.100秒間変動パターンBで8?15図柄のいずれかの図柄分変動されて停止される。右図柄でロングスベリがある場合は、6.680秒間変動パターンAで変動された時点で停止図柄の16?21図柄前がセットされ、その後前記※4の2.240?2.940秒間変動パターンBで16?21図柄のいずれかの図柄分変動されて停止される。右図柄で一旦停止のショートスベリがある場合は、6.680秒間変動パターンAで変動された時点で停止図柄の4?7図柄前がセットされ、その後0.480秒間一旦停止される。そして、その一旦停止後には、0.560?0.980秒間変動パターンGで4?7図柄のいずれかの図柄分変動されて停止される。」

(カ)「【0045】次に、特別図柄及び普通図柄の確率変動について説明すると、図25に示すように、大当り時(条件装置の作動時)に特別可変表示装置30に「1」「3」「5」「7」「9」のうちいずれかの同一図柄のゾロ目(大当り図柄であり且つ確変図柄)が停止表示されて特定遊技状態となると、その後、無条件に確率変動が所定回数(本実施形態では、2回)繰り返し行われる。この確率変動は、確変図柄によって発生した特定遊技状態の終了を契機に高確率に変動させた後、確変図柄以外での特定遊技状態の発生を契機に通常時の確率に戻す。また、確変時に再度確変図柄で大当りした場合には、その時点から再度確率変動が所定回数(2回)繰り返される(※6)。」

(キ)「【0051】次に、第六実施形態では、前記第一実施形態に記載の確率変動に代えて、普通図柄の変動時間短縮(以下、これを時短ともいう)を本発明の特別遊技状態として、この特別遊技判定時(時短判定時)に大当り履歴の表示を行う。先ず、時短判定用のWCRND_Kについて説明すると、このWCRND_Kは、図31(B)に示すように、「0?14」の15通りの数値が0.002秒毎に1ずつ加算されることで刻々と変化するものであり、各ランダム数「0?14」は、個々に判定用の特別図柄「0?9・F・X・G・P・R」と対応している(図31(A)参照)。そして、図32(B)に示すように、WCRND_Kから抽出された値が「3」又は「7」であり当りと判定されると、このWCRND_Kの抽出値に基づく図柄(「3」又は「7」)が当り図柄として表示され、特別遊技状態(普通図柄の時短制御)が発生される。一方、WCRND_Kで「3」「7」以外の値が抽出されて外れと判定されると、このWCRND_Kの抽出値に基づく図柄(「3」「7」以外の図柄)が外れ図柄として表示され、通常の遊技状態に戻る。
【0052】また、上記した時短判定は、図32(A)に示すように、大当り動作の終了から0.7秒後に表示される時短抽選(同図中には「特別遊技抽選」と記載)の画面によって行われる。なお、時短抽選の終了時点で始動記憶がある場合は、時短抽選の終了から0.408秒後に図柄の変動が開始される。時短抽選の画面では、図33に示すように、時短判定用の特別図柄表示部80aを備えたレーシングカー80を表示し、その画面の下側部分には、遊技時点から所定回数(同図中では、前回?3回前)遡って発生した大当りの図柄種類を報知する大当り履歴の情報81を表示する。また、この時短抽選画面において特別図柄表示部80aでの図柄変動中には、「時短抽選」の文字82を表示する。そして、特別図柄表示部80aに当り図柄が導出された(時短抽選の当りが確定した)場合には、「時短抽選」の文字82に代えて「やったね!」の文字83を表示する。このように、第六実施形態では、確変制御に代えて時短制御を特別遊技状態とすると共に、大当りの決定時点(大当り図柄の導出時点)では、特別遊技状態の発生の有無が分からず、大当り終了後のサブゲームによって特別遊技状態の有無を決定するようになっている。このため、大当り決定後においても遊技者の期待感を持続させることができ、遊技性の向上を可能にしている。」

以上、上記(ア)乃至(キ)の記載及び図面の記載を総合すると、引用例1には、
「遊技領域3のほぼ中央には、左・中・右の特別図柄を個々に可変表示し得る特別図柄表示部62a・63a・64aを備えた画像表示部60で特別図柄を可変表示(以下、「変動」という)する特別可変表示装置30が配置され、打玉が普通可変入賞球装置5に入賞して始動玉検出器8をONさせると格納特別可変表示装置30が特別図柄の変動を開始し、その後、所定時間の経過により表示結果を導出して、その表示結果が所定の大当り図柄となると特定遊技状態を発生させ、大当り時に特別可変表示装置30に「1」「3」「5」「7」「9」のうちいずれかの同一図柄のゾロ目が停止表示されて特定遊技状態となると、特定遊技状態の終了を契機に普通図柄の変動時間短縮(以下、これを「時短」という)が発生するパチンコ遊技機であって、
普通可変入賞球装置5に打玉が入賞し始動玉検出器8が始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に、大当り決定用のWCRND1及び時短判定用のWCRND_Kから数値を抽出して判定をし、
時短判定用の特別図柄表示部80aを備えたレーシングカー80を表示し、大当り動作の終了から0.7秒後に表示される時短抽選の画面によって行われ、特別図柄表示部80aでの図柄変動中には、「時短抽選」の文字82を表示し、特別図柄表示部80aに当り図柄が導出された場合には、「時短抽選」の文字82に代えて「やったね!」の文字83を表示するパチンコ遊技機。」
の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明1」という。)。

(4)対比
引用発明1の「左・中・右の特別図柄」は、本願補正発明の「複数の図柄」に相当する。以下同様に、
「可変表示し得る」は「表示可能」に、
「特別図柄表示部62a・63a・64a」は「第1図柄表示部」に、
「普通可変入賞球装置5」は「所定の入賞口」に、
「打玉」は「遊技球」に、
「その後、所定時間の経過により」は「所定時間後に」に、
「表示結果を導出」は「確定表示」に、
「その表示結果が」は「その確定表示された図柄が」に、
「所定の大当り図柄となると」は「所定の図柄であるときに」に、
「特定遊技状態を発生させ」は「遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し」に、
「特定遊技状態の終了を契機に」は「この第1特別遊技状態の終了後に」に、
「普通図柄の変動時間短縮が発生する」は「遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する」に、
「パチンコ遊技機」は「遊技機」に、それぞれ相当する。

引用発明1は、打玉が普通可変入賞球装置5に入賞して始動玉検出器8をONさせると格納特別可変表示装置30が特別図柄の変動を開始するのであって、引用例1の段落【0035】によれば、「普通可変入賞球装置5に打玉が入賞し始動玉検出器8が始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に、WCRND1から数値を抽出してこれを格納」するのであるから、引用発明1は、「所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて発する図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始」するといえる。

また、引用発明1は、普通可変入賞球装置5に打玉が入賞し始動玉検出器8が始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に、大当り決定用のWCRND1及び時短判定用のWCRND_Kから数値を抽出して判定をしていることから、時短を発生させるか否かを判断していることは明らかであるため、「前記所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段」を備えているといえる。そして、引用発明1は、特定遊技状態の終了を契機に普通図柄の変動時間短縮が発生するのであるから、当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段を備えていることは明らかである。

また、引用例1の図33には、特別図柄表示部80aを、画像表示部60に表示することが記載されており、画像表示部は、遊技領域3のほぼ中央にあることから、引用発明1は、「前記遊技領域に設けられた第2図柄表示部」を備えているといえる。

また、引用発明1は、時短判定用の特別図柄表示部80aを備えたレーシングカー80を表示し、大当り動作の終了から0.7秒後に表示される時短抽選の画面によって行われ、特別図柄表示部80aでの図柄変動中には、「時短抽選」の文字82を表示し、特別図柄表示部80aに当り図柄が導出された場合には、「時短抽選」の文字82に代えて「やったね!」の文字83を表示するのであるから、「前記第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示された後に、前記第2図柄表示部の図柄の変動表示を開始し、前記第2図柄表示部に、前記判断手段が前記第2特別遊技状態を生起させると判断しているか否かを示す図柄を確定表示させる図柄確定手段とを備え、第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過すると第2図柄表示部に、図柄を確定表示」する点で本願補正発明と共通する。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、前記遊技領域に設けられた所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて発する図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、
前記所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段と、
前記遊技領域に設けられた第2図柄表示部と、
前記第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示された後に、前記第2図柄表示部の図柄の変動表示を開始し、前記第2図柄表示部に、前記判断手段が前記第2特別遊技状態を生起させると判断しているか否かを示す図柄を確定表示させる図柄確定手段とを備え、
第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過すると第2図柄表示部に、図柄を確定表示ことを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点>
本願補正発明では、遊技球の発射のための発射ハンドルとは別に設けられ遊技者が操作する操作部と、前記操作部が操作された場合に、前記第2図柄表示部に、前記判断手段が前記第2特別遊技状態を生起させると判断しているか否かを示す図柄を確定表示させる図柄確定手段とを備え、第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過しても前記操作部が操作されない場合は、前記操作部の操作が行われたと判断しているのに対して、引用発明1では、遊技球の発射のための発射ハンドルとは別に設けられ遊技者が操作する操作部を備えていないため、そのような構成を有していない点。

(5)判断
<相違点>について
遊技機の分野において、遊技球の発射のための発射ハンドルとは別に設けられ遊技者が操作する操作部を設け、操作部が操作された場合に、変動中の図柄を確定表示し、変動開始から所定時間経過しても操作部が操作されない場合は、図柄を確定表示することは、例えば、特開平9-192307号公報(特に、段落【0015】を参照)、特開平10-80542号公報(特に、【0014】を参照)にみられるように周知技術である。そして、引用発明1の特別図柄表示部80aでの図柄の変動と上記周知技術はともに図柄の変動に関するものであるから引用発明1の特別図柄表示部80aでの図柄の変動に上記周知技術を採用することに格別の困難性はなく、引用発明1に上記周知技術を採用して、上記相違点に係る請求項1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明1及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のように、本願補正発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

(6)本願補正発明についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定された事項に違反しないものと仮定して、さらに、上記改正前の特許法第17条の2第4項に規定された事項を目的とするものに該当すると仮定した場合にも、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成22年9月13日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1?3に係る発明は、平成21年7月7日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものである。
「【請求項1】
遊技領域に複数の図柄を表示可能な第1図柄表示部を設け、図柄変動開始信号により前記第1図柄表示部に表示されている図柄が変動を開始し、所定時間後に前記第1図柄表示部に確定表示され、その確定表示された図柄が所定の図柄であるときに、遊技者にとって有利となる第1特別遊技状態が生起し、この第1特別遊技状態の終了後に遊技者にとって有利となる第2特別遊技状態が生起する遊技機であって、
遊技者が操作する操作部と、
前記遊技領域に設けられた所定の入賞口への遊技球の入賞に基づいて、前記第2特別遊技状態を生起するか否かを判断する判断手段と、
当該判断手段が前記第2特別遊技状態を生起すると判断したときに、前記第1特別遊技状態の終了後に前記第2特別遊技状態を生起する制御手段と、
前記遊技領域に設けられた第2図柄表示部と、
前記操作部が操作された場合に、前記第2図柄表示部に、前記判断手段が前記第2特別遊技状態を生起させると判断しているか否かを示す図柄を確定表示させる図柄確定手段とを備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第2図柄表示部は、前記第1図柄表示部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2特別遊技状態は、前記第1特別遊技状態生起の確率を高確率とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。」

一方、原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-155992号公報(引用例1)に記載された発明は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
平成21年7月7日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明(以下、「本願発明」という。)は、前記2.(2)で検討したとおり本願補正発明から、複数の箇所の発明特定事項の限定を除き、「第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過しても前記操作部が操作されない場合は、前記操作部の操作が行われたと判断する」という追加された事項を除いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(5)に記載したとおり、引用発明1及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成23年4月12日付けの回答書において補正案を提示しているが、補正案の請求項1に係る発明については、「第1図柄表示部に第1特別遊技状態生起の図柄が確定表示されてから所定時間経過しても前記操作部が操作されない場合は、前記操作部の操作が行われたと判断する」という特定事項を除き、本願補正発明では特定されていなかった事項を特定しているものの、その特定事項は引用例1に記載されているので、上記と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、他の請求項について検討するまでもなく、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-24 
結審通知日 2011-08-30 
審決日 2011-09-12 
出願番号 特願2002-213203(P2002-213203)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 綾子  
特許庁審判長 小原 博生
特許庁審判官 澤田 真治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 山本 尚  

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