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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1245678
審判番号 不服2010-22603  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-07 
確定日 2011-10-27 
事件の表示 特願2000-141242「蓋身一体型六角カートン」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月20日出願公開、特開2001-322623〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成12年5月15日の出願であって、平成22年7月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年10月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書についての手続補正がなされたものである。


第2.平成22年10月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成22年10月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「六角形状の底板及び当該底板の各辺で立ち上がる内囲い板を有する身と、前記底板と相似な六角形状であり一辺を前記内囲い板の一つと連係させた天板及び当該天板の連係辺を除く各辺から折れ下がる外囲い板を有する蓋とを備えて、前記身に前記蓋を被せ合わせる蓋身一体型六角カートンにおいて、
前記天板との連係辺に隣接する内囲い板の上縁に、身内側へ折り込む折り返し片を設け、該折り返し片は前記外囲い板を前記身の外側へ案内するガイドであり、
前記天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略円弧的に向かう略三角形状としたことを特徴とする蓋身一体型六角カートン。」と補正された。

2.新規事項追加の有無、補正の目的の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「天板の連係辺に隣接する外囲い板」について、その形状を「連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略円弧的に向かう略三角形状」との限定を付加するものであり、この補正は、願書に最初に添付された明細書又は図面の記載からみて新規事項を追加するものではない。
また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3-1.刊行物とその記載事項
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された実願昭52-032022号(実開昭53-129633号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。
(a)「本考案に係る箱を使用する場合には例えば第5図に示す如く、同種のものを寸法違いで二種類作っておいて、これ等を身、蓋として組合せることによって使用することも、或は第6図に示す如く、一方の妻板5を共通とした同角形の蓋Pを形成し、これ等を組合せることも可能である。上記実施例においては八角形箱について説明したが、六角形箱を構成する場合には第7図に示す如く、六角形状底板1を中心にし、その左右尖端に先端に折曲片4を有する2個の側板2,3を夫々連設し、かつ他の部分を前述の八角形箱と同様に形成することによって全体を構成することが可能である。」(第4頁第5行?第5頁第2行)
そして、刊行物1の第6図を見ると、八角形状の底板1及び当該底板1の各辺で立ち上がる側板2,3及び妻板5,6を有する身と、前記底板1と相似な八角形状であり一辺を前記側板2の一つと連係させた天板及び当該天板の連係辺を除く各辺から折れ下がる外囲い板を有する蓋Pとを備えて、前記身に前記蓋Pを被せ合わせる蓋身一体型八角形箱が図示されており、前記蓋Pにおける天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略直線的に向かう略三角形状としたことが見て取れる。
また、上記(a)には、八角形箱を六角形箱に設計変更することも記載されている。

これらのことから、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「六角形状の底板1及び当該底板1の各辺で立ち上がる側板2,3及び妻板5,6を有する身と、前記底板1と相似な六角形状であり一辺を前記側板2の一つと連係させた天板及び当該天板の連係辺を除く各辺から折れ下がる外囲い板を有する蓋Pとを備えて、前記身に前記蓋Pを被せ合わせる蓋身一体型六角形箱において、
前記天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略直線的に向かう略三角形状とした蓋身一体型六角形箱。」

3-2.対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、その構造または機能からみて、引用発明の「側板2,3及び妻板5,6」は、本願補正発明の「内囲い板
」に相当し、以下同様に、「蓋身一体型六角形箱」は「蓋身一体型六角カートン」に、それぞれ相当する。

そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)
「六角形状の底板及び当該底板の各辺で立ち上がる内囲い板を有する身と、前記底板と相似な六角形状であり一辺を前記内囲い板の一つと連係させた天板及び当該天板の連係辺を除く各辺から折れ下がる外囲い板を有する蓋とを備えて、前記身に前記蓋を被せ合わせる蓋身一体型六角カートンにおいて、
前記天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ向かう略三角形状とした蓋身一体型六角カートン。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点1)
本願補正発明は、天板との連係辺に隣接する内囲い板の上縁に、身内側へ折り込む折り返し片を設け、該折り返し片は前記外囲い板を前記身の外側へ案内するガイドとしたのに対して、引用発明においては、折り返し片が設けられていない点。
(相違点2)
本願補正発明は、天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略円弧的に向かう略三角形状としたのに対して、引用発明は、天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略直線的に向かう略三角形状とした点。

3-3.相違点の判断
上記相違点について検討する。
(相違点1)について
カートンにおいて、内囲い板の上縁に、身内側へ折り込む折り返し片を設けることは、例えば、実願昭46-003941号(実開昭47-4139号)のマイクロフィルム(第3図、第5図)及び実願昭59-201384号(実開昭61-113223号)のマイクロフィルム(第1図)に記載されているように周知な事項であり、当該周知な事項を引用発明に適用して相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、その際に、折り返し片は、折り返し部分の厚さを増すと共に折り返し部分の強度を増加するから、外囲い板が内側に入り込むのを防ぐ機能、すなわち外囲い板を身の外側へ案内するガイドとしての機能も有しているものと認められる。
(相違点2)について
カートンにおいて、天板の連係辺に隣接する外囲い板の形状を、連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略円弧的に向かう略三角の形状とする点は、例えば、実公昭16-9089号公報(第2図、第3図)及び実願昭47-037228号(実開昭48-112724号)のマイクロフィルム(第1図)に記載されているように周知な形状であることから、当該周知な形状を引用発明に適用して相違点2に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び周知な事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3-4.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし2に係る発明は、平成22年3月5日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は以下のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。

「六角形状の底板及び当該底板の各辺で立ち上がる内囲い板を有する身と、前記底板と相似な六角形状であり一辺を前記内囲い板の一つと連係させた天板及び当該天板の連係辺を除く各辺から折れ下がる外囲い板を有する蓋とを備えて、前記身に前記蓋を被せ合わせる蓋身一体型六角カートンにおいて、
前記天板との連係辺に隣接する内囲い板の上縁に、身内側へ折り込む折り返し片を設け、該折り返し片は前記外囲い板を前記身の外側へ案内するガイドであることを特徴とする蓋身一体型六角カートン。」


第4.刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物とその記載事項及び引用発明は、上記「第2.3-1.刊行物とその記載事項」に記載したとおりである。


第5.対比・判断
本願発明は、上記「第2.1.本件補正」の本願補正発明から、「天板の連係辺に隣接する外囲い板」についての限定事項である、「連係辺側には角を設けずに当該連係辺側の折り点から他方の角へ略円弧的に向かう略三角形状」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.3-3.相違点の判断」に記載したとおり、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。


第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-24 
結審通知日 2011-08-30 
審決日 2011-09-12 
出願番号 特願2000-141242(P2000-141242)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 栗林 敏彦
特許庁審判官 豊島 ひろみ
佐野 健治
発明の名称 蓋身一体型六角カートン  
代理人 山口 芳広  
代理人 山口 芳広  
代理人 渡辺 敬介  
代理人 渡辺 敬介  

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