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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65B
管理番号 1245960
審判番号 不服2010-13908  
総通号数 144 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-24 
確定日 2011-11-01 
事件の表示 特願2000-599657「喫煙品のパッケージング」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 8月24日国際公開、WO00/48907、平成14年11月 5日国内公表、特表2002-537186〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2000年1月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1999年8月6日、イギリス)を国際出願日とする出願であって、平成22年2月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年6月24日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
その後、当審において、平成22年11月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、平成23年4月27日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし14に係る発明は、平成23年1月13日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「喫煙品をパッケージングする装置で喫煙品の集合体を中心にパックを組み立てる喫煙品のパッケージング方法において、前記喫煙品の集合体を中心に前記パックを完全に組み立てるまでの組み立て過程で、パックの内部に位置する或る表面に、喫煙品用揮発性香料を塗布することで、完全に組み立てられたパック内で揮発した前記香料が、前記表面から前記喫煙品に拡散することを特徴とする方法。」

3.先願明細書等
当審で通知した拒絶理由に引用された、特願平10-297254号(特開2000-118510号の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】 内包材のウエブロールから繰り出されたウエブを所定長さの内包材に切断し、この内包材にたばこ製品を包み込んで、たばこ製品の内包体を形成し、この後、内包体を外包材に包み込むたばこ用包装機において、
前記ウエブの繰出し経路中、前記ウエブの切断位置直上流に配置され、前記ウエブの裏面に香料を塗布可能な塗布器と、
前記ウエブの繰出し長さに基づき前記塗布器の塗布作動を制御し、前記ウエブの切断予定部を避けて前記香料を塗布させる制御手段とを具備したことを特徴とするたばこ用包装機の内包材繰出し装置。」(特許請求の範囲参照)

(2)「【発明の属する技術分野】本発明は、たばこ製品の包装材を利用し、包装後のたばこ製品にメンソール等の香料を付加するたばこ用包装機に係わり、より詳しくは、その内包材の繰出し装置に関する。
【関連する背景技術】この種のたばこ用包装機によれば、先ず、フィルタシガレット等のたばこ製品はアルミ箔などの内包材に包み込まれて内包体となり、そして、この内包体は外包材により更に包み込まれてシガレットパックとなる。この後、シガレットパックは更にフィルム包装され、完成品となる。
上述のたばこ用包装機において、メンソール等の香料を含有した内包材を使用すれば、シガレットパックの完成後、内包材から揮散した香料成分が内包体内に充満し、この結果、その香料成分をたばこ製品に移り香として付加することができる。」(段落【0001】-【0003】参照)

(3)「【発明の実施の形態】図1は、たばこ用包装機における内包材の繰出し装置の一部を示し、この繰出し装置は水平に配置された一対の繰出しローラ2を備えている。これら繰出しローラ2は動力伝達経路(図示しない)に接続され、互いに逆向きに回転可能となっている。
・・・
一対の繰出しローラ2の下方には切断装置6が配置されており、切断装置6は固定ブレード8及び回転ブレード10を備えている。これら固定及び回転ブレード8,10はウエブ繰出し経路を挟んで配置されており、一対の繰出しローラ2から繰り出されたウエブWは、ブレード8,10間を通じて導かれている。従って、回転ブレード10が一対の繰出しローラ2の間欠回転に連動して回転されることにより、回転ブレード10は固定ブレード8と協働してウエブWを切断し、所定長さの内包材を形成することができる。
切断装置6の下方には内包材の供給経路(図示しない)が配置されており、この供給経路は切断装置6から内包材を受取り、この内包材を包装機の突込みセクションに供給する。突込みセクションにて、俵積み状態の20本のフィルタシガレット(たばこ製品)が突込みプッシャ(図示しない)により内包材に向けて押し出されると、これらは包装ホイールのポケット(図示しない)に突っ込まれ、この際、内包材はたばこ製品の周りに胴折りされる。この後、包装ホイールの間欠回転に伴い、内包材及びたばこ製品がそのポケットとともに移動される過程にて、内包材に対して、その胴折り以降のサイドの折り込みが順次実施され、これにより、内包材にてたばこ製品を包み込んだ内包体が得られる。
この後、内包体は包装機内を搬送される過程にて、外包材に包み込まれてシガレットパックとなり、このシガレットパックは更にフィルム包装されて完成品となる。そして、前述した一対の繰出しローラ2と切断装置6との間には、フレーバ塗布器12が配置されている。フレーバ塗布器12はウエブWの裏面側に水平な基台14を備え、この基台14は包装機のフレーム(図示しない)に支持されている。・・・」(段落【0008】-【0012】参照)

以上の記載内容からは、たばこ用包装機にのみならず、それを用いたたばこの包装方法も把握することができることから、先願明細書等には、
「内包材のウエブロールから繰り出されたウエブを所定長さの内包材に切断し、この内包材にたばこ製品を包み込んで、たばこ製品の内包体を形成し、この後、内包体を外包材に包み込むたばこ用包装機を用いたたばこの包装方法において、
前記ウエブの繰出し経路中、前記ウエブの切断位置直上流に配置された塗布器により、前記ウエブの裏面に香料を塗布し、
ウエブを切断し、所定長さの内包材を形成し、
上記内包材にてたばこ製品を包み込んだ内包体とし、
この後、上記内包体は、外包材に包み込まれてシガレットパックとし、
シガレットパックの完成後、内包材から揮散した香料成分が内包体内に充満し、この結果、その香料成分をたばこ製品に移り香として付加することができる方法。」の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

4.対比・判断
本願発明と先願発明とを対比すると、
先願発明の「たばこ製品」、「たばこ用包装機」及び「外包材」は、それぞれ本願発明の「喫煙品」、「喫煙品をパッケージングする装置」及び「パック」に相当し、
また、先願発明の「香料」は、その成分が揮散、すなわち本願発明でいう「揮発」するものであり、また、該「香料」は、シガレットパックの完成前、すなわち本願発明でいう「喫煙品の集合体を中心にパックを完全に組み立てるまでの組み立て過程で」、ウエブの裏面に塗布されるものである。
そして、本願発明の「パックの内部に位置する或る表面」について検討すると、請求項1を引用する請求項3において、「前記表面が、完全に組み立てられたパック内に配されたパックインサートの表面である」ことの限定を加え、ここで「パックインサート」とは、本願明細書の段落【0010】に「クーポン、カード又は類似のシート状のものを意味する」とされていることから、上記「パックの内部に位置する或る表面」とは、パックの内部表面に限られるもではなく、組み立てられたパックの内部に位置する任意の表面であると解するのが相当である。そうすると、先願発明の香料を塗布される「ウエブの裏面」は、たばこ製品を包み込んだ内包体の面として、外包材に包み込まれて、該外包材の内部に位置する面であるから、本願発明の「パックの内部に位置する或る表面」に相当するといえる。
そうすると、先願発明は、本願発明を特定するために必要な事項の全てを備えており、本願発明と対比して、相違点はない。

よって、本願発明は、その出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人がその出願に係る上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

なお、仮に、本願発明の「パックの内部に位置する或る表面」が、本願の請求項2のように「パックの内面」に限定されたとしても、それにより作用効果に格別な差が生じるものとも認められず、課題解決のための具体化手段における設計上の微差にすぎないものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものでもあるから、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-05-23 
結審通知日 2011-05-31 
審決日 2011-06-13 
出願番号 特願2000-599657(P2000-599657)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (B65B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村山 達也  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 熊倉 強
佐野 健治
発明の名称 喫煙品のパッケージング  
代理人 森田 順之  

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