ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05B |
---|---|
管理番号 | 1246055 |
審判番号 | 不服2010-26994 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-11-30 |
確定日 | 2011-11-04 |
事件の表示 | 特願2006-317658「機器制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月 5日出願公開、特開2008-130520〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成18年11月24日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。 「【請求項1】 照明機器周辺の明るさを検知する明るさセンサと接続された明るさ入力手段と、 時間を計時する計時手段と、 前記明るさ入力手段によって入力した信号に基づいて明るさが低いと判定した場合に、前記照明機器を点灯させると共に、前記計時手段によって計時された現在時刻が所定時刻となったと判定した場合に前記照明機器を消灯させる定刻時間制御手段と、 前記定刻時間制御手段によって前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行う運転モードと、前記明るさ入力手段から入力した信号に関わらず前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わない停止モードとを切り替える運転切替スイッチとを備え、 前記定刻時間制御手段は、前記明るさ入力手段からの信号又は前記計時手段によって計時された現在時刻を入力し、前記運転切替スイッチが運転モードである場合に、前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行い、前記運転切替スイッチが停止モードである場合に、前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わないこと を特徴とする機器制御装置。」 2.引用刊行物記載の発明 (2-1)これに対して、当審における、平成23年6月17日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開2005-322475号公報(平成17年11月17日公開、以下「引用例1」という。)には、「照明器具のリモコン送信機」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。 ・「【0030】 次に、リモコン送信機20の各種ボタンの機能について説明する。 <設定ボタン32> リモコン送信機20の表示部31は、平常時は時計として機能している。この時計を表示している現在時刻表示モードから、設定ボタン32を1回押す毎に、各種モードへの切替が行われる。 具体的には、現在時刻設定モードの状態で、設定ボタン32を3秒以上長押しすることで、現在時刻設定モード(現在時刻が設定できる状態である。)に切替が行われ、その後は1回押す毎に、アラーム時刻設定モード(目覚ましが鳴る時刻を設定する状態。)、照明点灯時刻設定モード(照明を点灯させる時刻を設定する状態。)、照明消灯時刻設定モード(照明を消灯させる時間を設定する状態。)、の順にモードの切替が行われる等である。また、照明消灯時刻設定モードの時に、設定ボタン32を押すと、もう一度現在時刻設定モードに戻り、現在時刻表示モード以外の時に、5秒以上ボタン操作を行わないと、現在時刻表示モードに戻るものとする等である。」 ・「【0033】 <モード切替ボタン33> モード切替ボタン33は、照明動作信号を送信するか否かを設定するものである。すなわち、設定ボタン32によって、照明点灯時刻及び照明消灯時刻を設定しているが、それらの時刻に照明動作信号を送信するか否かをモード切替ボタン33で決定するわけである。 これによって、照明点灯時刻及び照明消灯時刻を一度設定しておくと、次からはいちいちこれらの時刻を設定する必要はなく、設定した時刻に送信を行うか否かを決めれば良いことになる。」 ・「【0040】 また、以上のリモコン送信機20の構成は、図8に示すごとく構成される。 図8において、71はプログラム記憶部、72は時計部、73はスピーカ等よりなるアラーム発生部、74は照明動作信号送信部、75は電源部、31は表示部であり、これらは、制御部76に接続されている。 まず、プログラム記憶部71には、アラーム時刻、照明点灯時刻、照明消灯時刻のそれぞれにつき、個別の値の入力を可能とし、該入力値に基づいて所定の動作、すなわちアラームを発生させたり、照明動作信号を送信させたり、をさせるプログラムが予め記憶されるものである。 また、当該プログラムは、アラーム時刻、照明点灯時刻、照明消灯時刻のそれぞれにつき、1又は複数個の値の入力を可能とすべく構成される。また、当該プログラムは、前記スヌーズ・ライトボタン40からの入力に応じて、アラーム及び照明のON・OFFの繰り返しを行うスヌーズ機能を実効可能とすべく構成される。 また、時計部72は、いわゆる時計機能を有するものであり、当該時計部72では時刻をカウントし、当該時刻が前記プログラムによって参照される。 また、アラーム発生部73は、アラーム音を発生させるアラーム機能を果たすものであり、可変抵抗を備えて、その音量の大小が変更可能に構成される。 また、前記照明動作信号送信部74は、制御部76の指令に基づき、「順送り信号」や、「消灯信号」等を生成し、照明動作信号送信機能を果たすものである。尚、「順送り信号」と「消灯信号」の波形・周波数は、互いに異なるものであり、照明器具側にて、いずれの信号であるかを判断し、順送り動作、又は消灯動作が行われるようにしている。 また、表示部31は、図3に示されるごとくであり、制御部76の指令に基づき、所定の情報を表示させるものである。」 これらの記載事項によると、引用例1には、 「時計機能を有する時計部と、時計部のカウントする時刻を参照し、照明点灯時刻、照明消灯時刻のそれぞれにつき、照明動作信号を送信させるプログラムが予め記憶されるプログラム記憶部と、制御部の指令に基づき、照明動作信号送信機能を果たす照明動作信号送信部と、これらが接続されている制御部と、照明点灯時刻及び照明消灯時刻に照明動作信号を送信するか否かを決定するモード切替ボタンとを備え、プログラム記憶部、照明動作信号送信部、制御部は、時計部のカウントする時刻を参照し、モード切替ボタンの決定に応じ、照明点灯時刻及び照明消灯時刻に照明動作信号を送信、あるいは送信しないリモコン送信機」の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 (2-2)同じく、当審における、平成23年6月17日付けで通知した拒絶の理由に引用した特開2005-50658号公報(平成17年2月24日公開、以下「引用例2」という。)には、「光電式自動点滅器」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】 周囲照度によって照明負荷の通電を導通・停止させる光電式自動点滅器において、予め設定される消灯時間が経過すると照明負荷への通電を停止させるタイマ機能を具備して、照明負荷を点灯させてから消灯させるまでの時間を示す整数の数字を外周に沿って複数配して回動自在なダイヤルと、ダイヤルの回動位置に応じて消灯時間を設定する設定手段とを備え、ダイヤルの回動位置がダイヤルの各整数の数字を中心とした所定の回動角の範囲内であれば、設定手段は各整数の数字で表される消灯時間に設定することを特徴とする光電式自動点滅器。」 ・「【0002】 従来、周囲照度を検出して所定の点灯照度よりも低下したときに外部電源(商用電源)から照明負荷への給電路をオンして照明負荷を点灯し、予め設定される消灯時間になると外部電源から照明負荷への給電路をオフして照明負荷を消灯させる光電式自動点滅器が提供されている。(例えば、特許文献1参照) 次に図9(a),(b)、図10に示す従来の光電式自動点滅器は、壁面Wに取り付けられた箱状の合成樹脂等の成形品から成る器体10を有し、器体10の前面下部には右に偏倚してアースねじ42を設け、下面には照明負荷に電力を供給するコンセント26を2個設けている。また、器体10の前面に設けた略矩形の開口10aに露出するダイヤル22を回動させることで消灯時間を設定している。」 3.対比 本願発明と引用例1記載の発明を対比すると、後者における「時計機能を有する時計部」は、前者における「時間を計時する計時手段」に相当する。 また、後者における「時計部のカウントする時刻を参照し、照明点灯時刻、照明消灯時刻のそれぞれにつき、照明動作信号を送信させるプログラムが予め記憶されるプログラム記憶部と、制御部の指令に基づき、照明動作信号送信機能を果たす照明動作信号送信部と、これらが接続されている制御部」と、前者における「明るさ入力手段によって入力した信号に基づいて明るさが低いと判定した場合に、照明機器を点灯させると共に、計時手段によって計時された現在時刻が所定時刻となったと判定した場合に照明機器を消灯させる定刻時間制御手段」とは、「時間等の検出値を入力し、照明機器を点灯、消灯させる制御手段」である点で共通する。 また、後者における「照明点灯時刻及び照明消灯時刻に照明動作信号を送信するか否かを決定するモード切替ボタン」と、前者における「定刻時間制御手段によって前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行う運転モードと、前記明るさ入力手段から入力した信号に関わらず前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わない停止モードとを切り替える運転切替スイッチ」とは、「制御手段によって照明機器を点灯又は消灯させる制御を行う運転モードと、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わない停止モードとを切り替える切替スイッチ」である点で共通する。 また、後者において「プログラム記憶部、照明動作信号送信部、制御部は、時計部のカウントする時刻を参照し、モード切替ボタンの決定に応じ、照明点灯時刻及び照明消灯時刻に照明動作信号を送信、あるいは送信しない」ことと、前者において「定刻時間制御手段は、明るさ入力手段からの信号又は計時手段によって計時された現在時刻を入力し、運転切替スイッチが運転モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行い、運転切替スイッチが停止モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わないこと」とは、「制御手段は、検出値を入力し、切替スイッチが運転モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行い、切替スイッチが停止モードである場合に、前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わないこと」である点で共通する。 また、後者における「リモコン送信機」は、前者における「機器制御装置」に相当する。 したがって、両者は、 「時間を計時する計時手段と、時間等の検出値を入力し、照明機器を点灯、消灯させる制御手段と、制御手段によって照明機器を点灯又は消灯させる制御を行う運転モードと、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わない停止モードとを切り替える切替スイッチとを備え、制御手段は、検出値を入力し、切替スイッチが運転モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行い、切替スイッチが停止モードである場合に、前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わない機器制御装置」である点で一致し、次の各点において相違する。 [相違点1] 本願発明においては、「照明機器周辺の明るさを検知する明るさセンサと接続された明るさ入力手段」を備えているのに対し、引用例1記載の発明においては、該手段を備えていない点。 [相違点2] 「制御手段」について、本願発明においては、「明るさ入力手段によって入力した信号に基づいて明るさが低いと判定した場合に、照明機器を点灯させると共に、計時手段によって計時された現在時刻が所定時刻となったと判定した場合に照明機器を消灯させる定刻時間制御手段」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、「時計部のカウントする時刻を参照し、照明点灯時刻、照明消灯時刻のそれぞれにつき、照明動作信号を送信させるプログラムが予め記憶されるプログラム記憶部と、制御部の指令に基づき、照明動作信号送信機能を果たす照明動作信号送信部と、これらが接続されている制御部」である点。 [相違点3] 「切替スイッチ」について、本願発明においては、「定刻時間制御手段によって照明機器を点灯又は消灯させる制御を行う運転モードと、明るさ入力手段から入力した信号に関わらず照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わない停止モードとを切り替える運転切替スイッチ」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、「照明点灯時刻及び照明消灯時刻に照明動作信号を送信するか否かを決定するモード切替ボタン」である点。 [相違点4] 「制御手段は、検出値を入力し、切替スイッチが運転モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行い、切替スイッチが停止モードである場合に、前記照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わないこと」について、本願発明においては、「定刻時間制御手段は、明るさ入力手段からの信号又は計時手段によって計時された現在時刻を入力し、運転切替スイッチが運転モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行い、運転切替スイッチが停止モードである場合に、照明機器を点灯又は消灯させる制御を行わないこと」であるのに対し、引用例1記載の発明においては、「プログラム記憶部、照明動作信号送信部、制御部は、時計部のカウントする時刻を参照し、モード切替ボタンの決定に応じ、照明点灯時刻及び照明消灯時刻に照明動作信号を送信、あるいは送信しない」ことである点。 4.判断 相違点1?4について検討するに、これらの相違点は、まとめると、本願発明は、「照明機器周辺の明るさを検知する明るさセンサと接続された明るさ入力手段」を備え、照明機器を「明るさが低いと判定した場合に、照明機器を点灯させると共に、計時手段によって計時された現在時刻が所定時刻となったと判定した場合に照明機器を消灯させる」制御手段、および、該制御手段による制御を行う運転モードと、制御を行わない停止モードを切り替えるスイッチを備えているのに対し、引用例1記載の発明は、明るさ入力手段を備えず、照明機器を「計時手段によって計時された現在時刻が照明点灯時刻となったと判定した場合に、照明機器を点灯させると共に、計時手段によって計時された現在時刻が照明消灯時刻となったと判定した場合に照明機器を消灯させる」制御手段、および、該制御手段による制御を行う運転モードと、制御を行わない停止モードを切り替えるスイッチを備えているものである点で、両者は相違するということができる。 ところで、引用例2には、周囲照度を検出して所定の点灯照度よりも低下したときに照明負荷を点灯し、予め設定される消灯時間になると照明負荷を消灯させることが記載されており、引用例1記載の発明において、現在時刻が照明点灯時刻となったと判定した場合に、照明機器を点灯させる代わりに、周囲照度を検出して所定の点灯照度よりも低下したときに照明機器を点灯させることは、該引用例2の記載に基づいて、当業者が容易に想到し得ることにすぎない。 また、引用例1記載の発明における「モード切替ボタン」の機能についても、時刻制御を行う制御手段の照明動作信号を送信するか否かを決定するものであるとはいえ、制御手段の自動制御による照明動作信号を送信するか否かを決定するものであるから、引用例1記載の発明に引用例2に記載された技術を適用して、周囲照度を検出して所定の点灯照度よりも低下したときに照明機器を点灯させるようにしたときにも、周囲照度、および時刻による自動制御による照明動作信号を送信するか否かを決定するようにし、本願発明のようにすることは、当業者にとって、適宜なし得ることにすぎない。 そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、および引用例2の記載から当業者が予測し得る程度のものである。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例1記載の発明、および引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-01 |
結審通知日 | 2011-09-06 |
審決日 | 2011-09-20 |
出願番号 | 特願2006-317658(P2006-317658) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H05B)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田村 佳孝 |
特許庁審判長 |
丸山 英行 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 栗山 卓也 |
発明の名称 | 機器制御装置 |
代理人 | 三好 秀和 |