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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1246079 |
審判番号 | 不服2008-24908 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-09-29 |
確定日 | 2011-11-02 |
事件の表示 | 特願2005-206983「両面操作支援のタッチパネル」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 1日出願公開、特開2007- 26060〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯 本願は、平成17年7月15日を出願日とする出願であって、平成20年6月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 平成20年9月29日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年9月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により、平成20年6月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。 「両面操作支援のタッチパネルにおいて、 プリント回路板の上層に位置するセンサと、 絶縁層であって、該センサの上方に接合され操作エリアを提供し、物品の該絶縁層への接触により該センサに第1電位変化を発生させる、上記絶縁層と、 該センサの下方に位置するキー操作導体と、 実体キーであって、該キー操作導体に対応し、該実体キーが押圧される時、該キー操作導体を該センサに接続或いは接近させ、該センサに第2電位変化を発生させる、上記実体キーと、 マイクロプロセッサコントロールユニットであって、該センサに接続され、該第1電位変化に基づき一般機能の入力を実行し、該第2電位変化に基づきキー機能をトリガする、 上記マイクロプロセッサコントロールユニットと、 キーエリアであって、該プリント回路板の下層にあってセンサに対応する位置に位置し並びにキー操作導体に対応し、該実体キーが押圧される時、該キー操作導体が該キーエリアに接触して、該キー操作導体が該センサに接続或いは接近し、該センサに第2電位変化を発生させる、上記キーエリアと、 を包含したことを特徴とする、両面操作支援のタッチパネル。」(下線は補正箇所を示す。) 2.補正の目的 本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項であるセンサ、絶縁層、実体キーを「プリント回路板の上層に位置するセンサ」、「絶縁層であって、該センサの上方に接合され操作エリアを提供し、物品の該絶縁層への接触により該センサに第1電位変化を発生させる、上記絶縁層」、「該センサに第2電位変化を発生させる、上記実体キー」と限定し、さらに、「キーエリアであって、該プリント回路板の下層にあってセンサに対応する位置に位置し並びにキー操作導体に対応し、該実体キーが押圧される時、該キー操作導体が該キーエリアに接触して、該キー操作導体が該センサに接続或いは接近し、該センサに第2電位変化を発生させる、上記キーエリア」を、請求項1に記載した発明の「両面操作支援のタッチパネル」の構成要素に加えるものでもので、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特表2005-506624号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 a)「データ入力ユニットであって、その第1の上面は、キーパッドといった第1の制御装置によって制御され、その第2の下面は、第2の制御装置によって制御される両面タッチパネルを有することを特徴とするデータ入力ユニット。」(【請求項1】の記載、下線は当審で付与、以下同様) b)「キー36は、図3に示す上部アイドル位置と、図4に示す下部又は押し込まれた作動位置との間に垂直方向に可動であり、作動位置では、各キーは、装置の第1の制御回路(図示せず)の制御に関連付けられる電気スイッチの第1の制御部材40と協働する。 【0030】 キー36は、主に上部制御部42から構成され、この上部制御部42上に、ユーザの指によって制御力が与えられる。上部制御部42は、対応するキーの上部を形成する。 【0031】 キー36は更に、第1の制御部材40と協働可能な剛性下部作動部44からも構成される。 【0032】 剛性下部作動部44は、対応するキー36の上部42の上部の底面から、第1の関連付けられる制御部材40の上壁まで垂直に延在する中心幹部の形に形成される。 【0033】 本発明によると、第1の制御部材40は、ここでは、両面タッチパネル48の第1の上面46である。第1の上面46は、装置の第1の制御回路を制御するために電気導体(図示せず)に電気接続される。 【0034】 例示的に、両面タッチパネル48は、抵抗性のタイプであることが可能である。この場合、両面タッチパネルは、抵抗のアレイから構成され、そのうちの一部は、折り蓋18が折り畳まれた位置にあるときに、第1の所定の電気信号を供給し、第1の制御装置26が、第1の上面46の第1の所定の領域と協働するよう電気的に相互接続される。 【0035】 変形によると、タッチパネル48は、誘導性、又は、容量性のタイプでも可能である。 【0036】 供給された第1の電気信号は、次に、装置の第1の制御回路を制御する。 」(段落【0029】?【0036】の記載) c)「【0051】 提案する構成によると、両面タッチパネル48の第2の下面62が、ユーザに向けて方向付けられる。本発明によると、タッチパネル48は、この場合、装置を制御する第2の回路(図示せず)のための第2の制御部材64を構成する。 【0052】 第2の制御部材64は、図2によると、ペンシルである第2の制御装置66によって制御される。第2の制御装置66は、第2の下面62と協働する。 【0053】 1つの変形によると、第2の制御装置66は、ユーザの指、又は、第2の制御部材64を制御可能な任意の他のアクセサリであることが可能である。 【0054】 両面タッチパネル48の下面62とのペンシルの接触点68は、第2の部材64によって装置の第2の制御回路を制御する。 【0055】 何故なら、両面タッチパネル48が抵抗のアレイから構成される、前に引用した例を参照するに、タッチパネル48は、折れ蓋18が開位置にあり、且つ、第2の制御装置66が、第2の下面62の第2の所定の領域と協働するときに、第2の所定の電気信号を供給するからである。 【0056】 供給される第2の電気信号は、装置の第2の制御回路を制御する。 【0057】 尚、上面46の第1の所定の領域が、下面62の第2の所定の領域に向かい合うとき、供給される所定の電気信号は、折れ蓋18が折り畳まれた位置にあり、第1の装置26が第1の所定の領域を制御するときと、折れ蓋18が開位置にあり、第2の装置66が、第2の所定の領域を制御するときと同じである。 【0058】 従って、折れ蓋18は、その第1の上面48は、ここでは、特に、標準キーパッド38である第1の制御装置26によって制御可能であり、その第2の下面62は、ここでは、ペンシルである第2の制御装置66によって制御される両面タッチパネル48から構成されるデータ入力パッド70を有する。 」(段落【0051】?【0058】の記載) これらの記載によれば、引用例1には、 「データ入力ユニットであって、その第1の上面は、キーパッドといった第1の制御装置によって制御され、その第2の下面は、第2の制御装置によって制御される両面タッチパネルを有し、 キーは、上部制御部及び剛性下部作動部から構成され、作動位置では、各キーは、装置の第1の制御回路の制御に関連付けられる電気スイッチの第1の制御部材と協働し、 両面タッチパネルは、抵抗性のタイプであり、抵抗のアレイから構成され、第1の制御部材である両面タッチパネルの第1の上面は、装置の第1制御回路を制御するために電気導体に電気接続され、 両面タッチパネルの第2の下面は、ペンシルである第2の制御装置によって制御され、第2の制御装置が、第2の下面の第2の所定の領域と協働するときに、第2の所定の電気信号を供給し、供給される第2の電気信号は、装置の第2の制御回路を制御する、 データー入力ユニット。」の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が開示されていると認めることができる。 4.対比 そこで、本願補正発明と引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「両面タッチパネル」は、両面での入力操作ができることから、本願補正発明の「両面操作支援のタッチパネル」に相当する。そして、引用例1記載の発明の「第1の上面」及び「第2の下面」は、接触により電気信号を発生させる「面」である点で本願補正発明の「キーエリア」「絶縁層」に、それぞれ相当し、また、「抵抗アレイ」は、その機能から「センサ」に相当する。 そして、引用例1記載の発明の「キー」は、本願補正発明の「実体キー」に相当し、そして、引用例1記載の発明の「剛性下部作動部」は、キー操作によりキー入力信号を生じさせる点で、本願補正発明の「キー操作導体」に相当する。 さらに、「第1の制御回路」、「第2の制御回路」は、それぞれの面からの電気信号からの信号によってそれぞれの入力機能を制御する制御回路である点で、本願補正発明の「マイクロプロセッサコントロールユニット」に相当する。 したがって、両者は次の点で一致する。 <一致点> 「両面操作支援のタッチパネルにおいて、 センサと、 第1の面であって、該センサの上方に操作エリアを提供し、物品の面への接触により該センサに第1電位変化を発生させる、上記第1の面と、 該センサの下方に位置するキー操作導体と、 実体キーであって、該キー操作導体に対応し、該実体キーが押圧される時、該キー操作導体を該センサに接続或いは接近させ、該センサに第2電位変化を発生させる、上記実体キーと、 制御回路であって、該センサに接続され、該第1電位変化に基づき一般機能の入力を実行し、該第2電位変化に基づきキー機能をトリガする、 上記制御回路と、 第2の面であって、センサに対応する位置に位置し並びにキー操作導体に対応し、該実体キーが押圧される時、該キー操作導体が該キーエリアに接触して、該キー操作導体が該センサに接続或いは接近し、該センサに第2電位変化を発生させる、上記第1の面と、 を備えたことを特徴とする、両面操作支援のタッチパネル。」 そして、両者は次の点で相違する。 <相違点1> 本願補正発明は、センサが、プリント回路板の上層に位置し、また、第1の電位変化を発生させる面が絶縁層である構成であるのに対し、引用例1記載の発明においては、その点について記載されていない点。 <相違点2> 本願補正発明は、センサに接続され、該第1電位変化に基づき一般機能の入力を実行し、該第2電位変化に基づきキー機能をトリガする制御回路がマイクロプロセッサユニットであり、両面操作支援のタッチパネルに包含されているのに対し、引用例1記載の発明は、当該回路は、2つの制御回路からなり、また、タッチパネルに包含されているかどうか不明である点。 5.相違点の判断 <相違点1について> 引用例1には、両面タッチパネルは、抵抗性のタイプに換えて、容量性のタイプでも可能であるとの記載(「3.引用例 b」の【0035】参照)があり、さらに、センサをプリント回路基板の上層に位置させる容量性のタッチパネルは周知技術(特表平11-511580号公報、第10頁第25行?第11頁第3行の記載参照)であることから、引用例1記載の発明に、当該周知技術を適用し、相違点1に係る本願補正発明のようにすることに何らの困難性はない。 <相違点2について> 一般に複数の処理を,マイクロプロセッサユニットで行わせるようにすることは引例を挙げるまでもなく、周知の技術であり、そして、タッチパネルに、タッチパネルを制御する回路を包含するようにすることは、タッチパネルを設計するに当たって、全体の大きさ及び組み込み易さ等を考慮して、適宜なし得る設計的事項であることから、相違点2に係る本願補正発明のようにすることに何らの困難性はない。 そして、本願補正発明が奏する作用、効果についてみても、引用文献1記載の発明及び周知技術から当業者が予想できる程度のものである。 よって、本願補正発明は、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6.むすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 平成20年9月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年6月9日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「両面操作支援のタッチパネルにおいて、 センサと、 該センサの上方に接合され操作エリアを提供し、物品の接触により第1電位変化を発生する絶縁層と、 該センサの下方に位置するキー操作導体と、 実体キーであって、該キー操作導体に対応し、該実体キーが押圧される時、該キー操作導体を該センサに接続或いは接近させ、第2電位変化を発生する、上記実体キーと、 マイクロプロセッサコントロールユニットであって、該センサに接続され、該第1電位変化に基づき一般機能の入力を実行し、該第2電位変化に基づきキー機能をトリガする、 上記マイクロプロセッサコントロールユニットと、 を包含したことを特徴とする、両面操作支援のタッチパネル。」 第4 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第2の3.引用例」に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、前記第2で検討した本願補正発明から、前記「第2の2.補正の目的」で検討した限定のあるところを削除したものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2の5.相違点の判断」に記載したとおり、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-01 |
結審通知日 | 2011-06-07 |
審決日 | 2011-06-20 |
出願番号 | 特願2005-206983(P2005-206983) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩橋 龍太郎 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
大野 克人 江口 能弘 |
発明の名称 | 両面操作支援のタッチパネル |
代理人 | 白石 光男 |
代理人 | 魚住 高博 |
代理人 | 杉山 秀雄 |
代理人 | 手島 直彦 |
代理人 | 竹本 松司 |
代理人 | 湯田 浩一 |