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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F |
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管理番号 | 1246114 |
審判番号 | 不服2010-10140 |
総通号数 | 144 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-05-12 |
確定日 | 2011-11-02 |
事件の表示 | 特願2004-271585「液晶表示装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 3月30日出願公開、特開2006-084975〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯・本願発明 (1)本願は、平成16年9月17日の特許出願であって、平成20年10月27日付け及び平成21年7月21日付けで手続補正がなされたが、同年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年5月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 (2)本願の請求項に係る発明は、平成21年7月21日付けでなされた手続補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「液晶表示装置を構成するための一対の基板を用意する工程と、 前記一対の基板のうちの一方の基板上の複数の箇所に液晶を滴下する工程と、 前記一方の基板と他方の基板とを貼り合わせることにより、前記液晶を拡散させて前記一対の基板の間に該液晶を封入する工程とを有する液晶表示装置の製造方法であって、 前記液晶を滴下する工程において前記液晶を滴下する間隔を調整して、前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とすることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。」 2 引用刊行物の記載 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-258299号公報(以下「引用刊行物」という。)には、以下の事項が記載されている。 (1)「【0023】次に実際に液晶を滴下して液晶表示装置を製造する製造方法について説明する。すなわちこの液晶表示装置の製造方法は、液晶パネルを構成する配向処理を施した一対の電極付き基板3のうち、少なくとも一方の基板3に液晶パネルのギャップを決定するためのスペーサ材を配置する工程と、少なくとも一方の基板3に、一対の基板3を接着して液晶を封止するための(メタ)アクリレート系、またはエポキシ系紫外線硬化型シール材2を形成する工程と、シール材2で囲まれた領域内に所定のパターンで所定の量の液晶7を滴下する工程と、一対の基板3のアライメントを行い、0.8トール以下の減圧下で貼り合わせ液晶パネルを形成する工程と、この液晶パネルのシール材2以外の部分を遮光し、紫外線を照射することによりシール材2を硬化する工程と、液晶7の配向を安定させ液晶パネル内の気泡を消滅するために液晶7のNI点以上の温度で1時間以上の熱アニールを行う工程とを含む。」 (2)「【0027】ここで実際に13インチのXGA仕様のTFTパネルを滴下工法で試作した。このパネルでの液晶量は、縦240mm×横310mm×セルギャップ5μm=372mlとなる。ここで滴下パターンは、図3,4に示す2パターンを行った。このとき図3を滴下パターンA,図4を滴下パターンBとする。滴下パターンAでは、1点の滴下量が372ml÷(24点×60点)=0.258ml、滴下パターンBでは372ml÷(46点×60点)=0.135mlとなる。なお、滴下パターンAでは、縦方向のピッチ9mm、横方向のピッチ4.65mm、1コーナ部の滴下点の位置はシール材2からの距離が縦方向17.8mm、横方向16.5mmであり、滴下パターンBでは、縦方向のピッチ5.0mm、横方向のピッチ5.0mm、1コーナ部の滴下点の位置はシール材2からの距離が縦方向5.0mm、横方向5.0mmである。 【0028】従って滴下パターンAでは、φ1.0mmのシリンジを用いて33パルスをパルスモータに印加すれば滴下量は(33パルス×0.00785ml)×(24点×60点)=373.032mlで372ml±0.4%の範囲に入っている。次に滴下パターンBでは、(17パルス×0.00785ml)×(46点×60点)+(17パルス×0.0019625ml)×(2点×60点)=372.3mlとなりこの場合も372ml±0.4%の範囲に入る。ここで滴下パターンBでは、1stでφ1.0mmのシリンジで滴下を行い、2ndでφ0.5mmのシリンジを用いて図面上下の端の列に滴下を行うことにより、滴下量を精度良く調整することができる。ここで、滴下パターンと表示品位に対して表1に示す。 【0029】 【表1】 【0030】この結果から滴下パターンAでは、シールから滴下点の距離が16.5mmと遠いためパネルコーナ部の気泡が消滅できなかった。また面内むらに関しては、滴下点のピッチが10mm以内であることから発生しなかった。」 3 引用発明 上記2(1)によれば、引用刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「液晶パネルを構成する配向処理を施した一対の電極付き基板3のうち、少なくとも一方の基板3に液晶パネルのギャップを決定するためのスペーサ材を配置する工程と、少なくとも一方の基板3に、一対の基板3を接着して液晶を封止するための(メタ)アクリレート系、またはエポキシ系紫外線硬化型シール材2を形成する工程と、シール材2で囲まれた領域内に所定のパターンで所定の量の液晶7を滴下する工程と、一対の基板3のアライメントを行い、0.8トール以下の減圧下で貼り合わせ液晶パネルを形成する工程と、この液晶パネルのシール材2以外の部分を遮光し、紫外線を照射することによりシール材2を硬化する工程と、液晶7の配向を安定させ液晶パネル内の気泡を消滅するために液晶7のNI点以上の温度で1時間以上の熱アニールを行う工程とを含む液晶表示装置の製造方法。」 4 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「一対の基板3」は、本願発明の「液晶表示装置を構成するための一対の基板」に相当し、引用発明は、「一対の基板3のアライメントを行い、0.8トール以下の減圧下で貼り合わせ液晶パネルを形成する工程」を有するものであるから、本願発明の「液晶表示装置を構成するための一対の基板を用意する工程」を有することは明らかである。 (2)引用刊行物の「滴下パターンAでは、1点の滴下量が372ml÷(24点×60点)=0.258ml、滴下パターンBでは372ml÷(46点×60点)=0.135mlとなる。」(上記2(2)【0027】を参照。)との記載によれば、引用発明の「シール材2に囲まれた領域内に所定のパターンで所定の量の液晶7を滴下する工程」は、基板上の複数の個所に液晶を滴下するものといえるから、本願発明の「前記一対の基板のうちの一方の基板上の複数の箇所に液晶を滴下する工程」に相当する。 (3)引用発明の「一対の基板3のアライメントを行い、減圧下で貼り合わせ液晶パネルを形成する工程」において、その前の工程で滴下されていた液晶7が拡散するものと認められる。また、引用発明の「シール材2」は、「一対の基板3を接着して液晶を封止するための」ものである。したがって、引用発明の「一対の基板3のアライメントを行い、減圧下で貼り合わせ液晶パネルを形成する工程と、この液晶パネルのシール材2以外の部分を遮光し、紫外線を照射することによりシール材を硬化する工程」は、本願発明の「前記一方の基板と他方の基板とを貼り合わせることにより、前記液晶を拡散させて前記一対の基板の間に該液晶を封入する工程」に相当する。 (4)以上によれば、本願発明と引用発明とは、 「液晶表示装置を構成するための一対の基板を用意する工程と、 前記一対の基板のうちの一方の基板上の複数の箇所に液晶を滴下する工程と、 前記一方の基板と他方の基板とを貼り合わせることにより、前記液晶を拡散させて前記一対の基板の間に該液晶を封入する工程とを有する液晶表示装置の製造方法。」 である点で一致し、 「本願発明は、『前記液晶を滴下する工程において前記液晶を滴下する間隔を調整して、前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とする』との構成を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えていない点。」 で相違するものと認められる(以下、単に「相違点」という)。 5 判断 (1)相違点について ア 上記2(2)によれば、引用刊行物は、滴下点パターンと表示品位の関係について、「また面内むらに関しては、滴下点のピッチが10mm以内であることから発生しなかった。」との記載が認められ、これによれば、引用刊行物には、滴下点のピッチを小さくすることによって、面内むらが発生しないようにすることが示唆されているものと認められる。したがって、引用発明において、面内むらが発生しないように、滴下点のピッチを小さいものとすることは、当業者が容易に想到することができたことである。 イ 本願明細書には、以下の記載がある。 「【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 本発明の実施形態を説明する前に、滴下注入法によって液晶が注入された液晶表示装置で格子状の輝度むらが発生する原因について説明する。 【0019】 本願発明者は、滴下注入法によって液晶が注入された液晶表示装置について鋭意研究した結果、液晶セル内の不純物が不均一に分布することに起因して格子状の輝度ムラが発生することを見出した。なお、このような不純物は、例えば、フタル酸ジエチルなどのフタル酸誘導体であった。フタル酸誘導体の他でも極性の高い化学物質ほど輝度ムラが発生しやすい。 【0020】 すなわち、図2(a)に示すように、貼り合わせ前の基板1上にはほぼ均一な分布で不純物4が付着している。また、この基板1上には一定の間隔(図2(a)では30mm)で液晶3が滴下されている。そして、図2(b)に示すように、基板1,2を貼り合わせると、基板1上に滴下された液晶3が液晶セル5の空間内に広がる。このとき、基板上の不純物4が液晶3に取り込まれて液晶3が広がる方向に移動し、液晶3と液晶3とが衝突する部位Aに集められる。この結果、液晶セル5内には不純物4が集まっている部分、つまり不純物濃度の高い部分が格子状に形成される。この不純物濃度の高い部分とそれ以外の不純物濃度の低い部分とが、液晶表示装置を駆動したときに液晶セル5内での保持率及び残留DCの不均一さとなって、表示画面に格子状の輝度ムラが発生する。 【0021】 このため、基板上の不純物を完全に除去すれば、液晶セル内では不純物濃度の差が生じないので、輝度ムラは発生しないと考えられる。しかしながら、基板上の不純物を完全に除去することは極めて困難であり、基板洗浄時間を長くしたり、基板の放置時間を極力少なくしたとしても解決できるものではない。 【0022】 そこで、本願発明者は、不純物濃度の高い部分の濃度を低くして、不純物濃度の高い部分と不純物濃度の低い部分との濃度差を小さくすることにより輝度ムラの発生を抑制することを考え、基板上に液晶を滴下する間隔に着目した。 【0023】 すなわち、図3(a)に示すように、液晶を滴下する間隔を小さくすることにより、基板1上に滴下された液晶3の間隔(図3(a)では15mm)が小さくなれば、図3(b)に示すように、基板1,2を貼り合わせて液晶3が液晶セル5内で広がったときに、液晶3が他の液晶3と衝突するまでに取り込む不純物4の量は少なくなるので、液晶同士が衝突する部位Aに集められる不純物4の量も少なくなる。この結果、不純物4が集まっている部分の不純物濃度が低くなるので、液晶表示装置を駆動したときに発生する輝度ムラは抑制される。 【0024】 このため、本願発明者は、液晶を滴下する間隔を種々変えて格子状の輝度ムラの発生状況を調べる実験を行った。この実験結果を表1に示す。 【0025】 【表1】 【0026】 表1に示すように、液晶を滴下する間隔が15mmより大きい場合には格子状の輝度ムラが発生し、15mm以下の場合には輝度ムラは発生しなかった。また、液晶を滴下する間隔が30mmのときの輝度ムラの幅は約5mmであり、同じく20mmのときは約3.5mmであった。 【0027】 この実験の結果、液晶を滴下する間隔が小さいほど格子状の輝度ムラが発生しにくく、また輝度ムラが発生した場合でもその幅が狭くなることが判明した。つまり、液晶を滴下する間隔に起因する液晶同士が衝突する部位の不純物濃度がある値より高くなったときに輝度ムラが発生するといえる。 【0028】 しかしながら、液晶セル内の特定部位における不純物濃度を測定することは困難である。これは、液晶セル内の不純物が液晶中に溶け込んでいるのではなく、液晶と基板との界面に存在するからである。 【0029】 そこで、本願発明者は、基板を貼り合わせる前の基板上の総不純物量(不純物濃度)を予め測定しておき、基板を貼り合わせて液晶が液晶セル内に広がったときの液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を液晶を滴下する間隔(基板上に滴下された液晶間の距離)を変えて算出した。このとき、(液晶同士が衝突する部位の不純物濃度)=(A*B*c)/r*(A+B-r)とした。但し、Aは横方向(基板面の水平方向)の液晶間の距離(mm)であり、Bは縦方向(基板面の垂直方向)の液晶間の距離(mm)であり、cは貼り合わせ前の基板に付着している不純物濃度(ppm)であり、及び、rは輝度ムラの幅(mm)である。 【0030】 まず、基板を貼り合わせる前の基板上の不純物濃度を測定したところ、液晶セル領域において約10ppmであった。次に、この結果に基づき、上記した式によって液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を算出すると、横方向及び縦方向の液晶間の距離がそれぞれ30mmのときは37.2ppmとなり、20mmのときは31.3ppmとなった。液晶間の距離が15mmのときには輝度ムラは発生しなかったが、仮に輝度ムラが発生したとし、その幅を3mmとして不純物濃度を算出すると27.8ppmとなった。 【0031】 この結果によれば、輝度ムラが発生するときの不純物濃度のしきい値は約30ppmであるといえる。すなわち、(A*B*c)/r*(A+B-r)≦30(ppm)が満たされるときに輝度ムラが発生しないといえる。 【0032】 このように、輝度ムラが発生する要因として、基板上の不純物量、液晶間の距離及び輝度ムラの幅が挙げられる。これらのうち、輝度ムラの幅は液晶表示装置の製造条件などによっても変化する。また、基板上の不純物を完全に除去することは極めて困難である。但し、安定した製造条件においては基板上の不純物量はほぼ一定となる。従って、液晶間の距離を小さくすること、すなわち液晶を滴下する間隔を小さくすることが輝度ムラの発生を防止するのに最も効果的であるといえる。表1に示す実験結果によれば、液晶を滴下する間隔を15mm以下にすると輝度ムラは発生しない。」 ウ 上記イによれば、本願明細書の【0024】ないし【0031】には、液晶を滴下する間隔を種々変えて格子状の輝度ムラの発生状況を調べた実験の結果、液晶を滴下する間隔が15mmより大きい場合には格子状の輝度ムラが発生し、15mm以下の場合には輝度ムラは発生しなかったこと、したがって、液晶を滴下する間隔が小さいほど格子状の輝度ムラが発生しにくいこと、液晶同士が衝突する部位の不純物濃度がある値より高くなったときに輝度ムラが発生すると考えられるが、液晶セル内の特定部位における不純物濃度を測定することが困難であることから、基板を貼り合わせて液晶が液晶セル内に広がったときの液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を「(液晶同士が衝突する部位の不純物濃度)=(A*B*c)/r*(A+B-r)」、「但し、Aは横方向(基板面の水平方向)の液晶間の距離(mm)であり、Bは縦方向(基板面の垂直方向)の液晶間の距離(mm)であり、cは貼り合わせ前の基板に付着している不純物濃度(ppm)であり、及び、rは輝度ムラの幅(mm)である。」との計算式により算出したところ、輝度ムラが発生するときの不純物濃度のしきい値は約30ppmであるといえることが記載されている。 エ 上記ウによれば、相違点に係る本願発明の「前記液晶を滴下する工程において前記液晶を滴下する間隔を調整して、前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とする」との構成は、輝度ムラが発生しない程度に小さい間隔で液晶が滴下されることを、上記計算式により求められる「液晶同士が衝突する部位の不純物濃度」という指標を用いて表現したものと認められる。 すなわち、相違点に係る本願発明の「前記液晶を滴下する工程において前記液晶を滴下する間隔を調整して、前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とする」との構成は、実質的には「液晶を滴下する工程において液晶を滴下する間隔を、輝度ムラが発生しない程度に小さいものとすること」にほかならないものと認められる。 オ しかるところ、上記アのとおり、引用発明において、面内むらが発生しないように、滴下点のピッチを小さいものとすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、それによって、実質的に相違点に係る本願発明の「前記液晶を滴下する工程において前記液晶を滴下する間隔を調整して、前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とする」との構成に到ることになるものと認められる。 (2)本願発明の効果について 本願発明の効果は、引用発明において、面内むらが発生しないように、滴下点のピッチを小さいものとすることにより当然予測される程度のものであり、格別顕著なものとは認められない。 (3)請求人の主張について なお、請求人は、審判請求書において、以下のとおり主張する。 「なお、輝度ムラの発生を防止するために、液晶を滴下する間隔を、可能な限り小さい値に設定することが考えられますが、そのように設定した場合には、液晶を滴下する回数が増えてしまい、液晶滴下工程の処理時間が長くなってしまうという別な問題が生じてしまいます(本願明細書の段落0050をご参照下さい)。 これに対して、本発明では、前述しましたように、輝度ムラの発生を防止することができるか否かを、液晶同士が衝突する部位の不純物濃度によって規定しています。 このため、本発明では、例えば、本願明細書の段落0029に記載されているように、貼り合わせ前の基板に付着している不純物濃度を予め測定することにより、輝度ムラが発生しない液晶滴下間隔を決定することができます。 これにより、本発明では、液晶滴下工程の処理時間の長時間化を抑えながらも、輝度ムラが発生しない、液晶滴下間隔の適切な値(例えば、10mmよりも大きい値)を設定することができるという効果を奏します。このような効果は、面内むらが発生するか否かを、滴下点のピッチのみによって規定している文献1に記載された発明にはないものです。 以上のように、本発明の『前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とする』という事項は、文献1に記載されていなく、また当業者が適宜設定しうる事項でもありません。そして、本発明は、『前記液晶が拡散して該液晶同士が衝突する部位の不純物濃度を30ppm以下とする』という事項により、文献1に記載された発明にはない効果を奏するものです。」 しかし、請求人の上記主張に係る効果は、本願明細書には記載されておらず、本願発明がかかる効果を奏するものに特定されているものとも認められない。請求人の上記主張は、本願発明の構成及び本願明細書の記載に基づくものではないから、採用できない。 (3)小括 したがって、本願発明は、引用発明及び引用刊行物の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用刊行物の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-05-24 |
結審通知日 | 2011-06-07 |
審決日 | 2011-06-20 |
出願番号 | 特願2004-271585(P2004-271585) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G02F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 右田 昌士、金高 敏康 |
特許庁審判長 |
服部 秀男 |
特許庁審判官 |
稲積 義登 北川 創 |
発明の名称 | 液晶表示装置の製造方法 |
代理人 | 岡本 啓三 |
代理人 | 岡本 啓三 |