ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61G |
---|---|
管理番号 | 1246655 |
審判番号 | 訂正2011-390104 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2011-08-25 |
確定日 | 2011-11-04 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3680160号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3680160号に係る明細書を本件審判請求書に添付された全文訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1 請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3680160号発明(平成12年9月4日特許出願、平成17年5月27日設定登録)の明細書(以下、「本件明細書」という。)を審判請求書に添付した全文訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)ないし(9)のとおり訂正することを求めるものである(以下、下線部は訂正箇所を示すものである。)。 (1)訂正事項1 本件明細書の段落0013における「車輪フレーム体のガイドフレーム部に案内されながら、」を、「車輪フレーム体のガイドフレームに案内されながら、」と訂正する。 (2)訂正事項2 本件明細書の段落0013における「車輪フレーム体は、背フレームとサイドフレームと脚フレームとを備えて構成されていることから、」を、「座席フレーム体は、背フレームとサイドフレームと脚フレームとを備えて構成されていることから、」と訂正する。 (3)訂正事項3 本件明細書の段落0024における「軸部132」を、「軸132」と訂正する。 (4)訂正事項4 本件明細書の段落0031における「上部フレーム部11」を、「上部フレーム11」と訂正する。 (5)訂正事項5 本件明細書の段落0032における「取り付け金部35」を、「取り付け金具35」と訂正する。 (6)訂正事項6 本件明細書の段落0038における「座席フレーム20」を、「座席フレーム体20」と訂正する。 (7)訂正事項7 本件明細書の段落0041における「ピストン部32」を、「ピストン部33」と訂正する。 (8)訂正事項8 本件明細書の段落0041における「シリンダ部33」を、「シリンダ部32」と訂正する。 (9)訂正事項9 本件明細書の段落0043における「ヘッドレスト20」を、「ヘッドレスト29」と訂正する。 2 当審の判断 そこで、これらの訂正事項について検討する。 (1)訂正事項1について 本件明細書の記載内容を検討すると、「ガイドフレーム」又は「ガイドフレーム部分」として示される部材について、「ガイドフレーム部」と記載されているのは段落0013のみであり、特許請求の範囲を始め他の箇所は全て「ガイドフレーム」と記載されている。そうすると、段落0013における「ガイドフレーム部」は「ガイドフレーム」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項1は誤記の訂正を目的とするものである。 (2)訂正事項2について 本件明細書の記載内容を図面と合わせ検討すると、「背フレームとサイドフレームと脚フレームとを備えて構成されている」のは「座席フレーム体」であることは明らかである。そうすると、段落0013における「車輪フレーム体」は「座席フレーム体」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項2は誤記の訂正を目的とするものである。 (3)訂正事項3について 本件明細書の記載内容を検討すると、「132」の符号で示される部材について、「軸部」と記載されているのは段落0024のみであり、他の箇所は全て「軸」と記載されている。そうすると、段落0024における「軸部」は「軸」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項3は誤記の訂正を目的とするものである。 (4)訂正事項4について 本件明細書の記載内容を検討すると、「11」の符号で示される部材について、「上部フレーム部」と記載されているのは段落0031のみであり、他の箇所は全て「上部フレーム」と記載されている。そうすると、段落0031における「上部フレーム部」は「上部フレーム」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項4は誤記の訂正を目的とするものである。 (5)訂正事項5について 本件明細書の記載内容を図面と合わせ検討すると、「35」の符号で示される部材は「取り付け金具」を示すものと解されるし、「35」の符号で示される部材について、「取り付け金部」と記載されているのは段落0032のみであり、他の箇所は全て「取り付け金具」と記載されている。そうすると、段落0032における「取り付け金部」は「取り付け金具」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項5は誤記の訂正を目的とするものである。 (6)訂正事項6について 本件明細書の記載内容を検討すると、「20」の符号で示される部材について、「座席フレーム」と記載されているのは段落0038のみであり、他の箇所は他の誤記と解される箇所を除けば全て「座席フレーム体」と記載されている。そうすると、段落0038における「座席フレーム」は「座席フレーム体」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項6は誤記の訂正を目的とするものである。 (7)訂正事項7について 本件明細書の記載内容を検討すると、「ピストン部」について「32」の符号が付されているのは段落0041のみであり、他の箇所は全て「33」の符号が付されている。そうすると、段落0041における「ピストン部32」は「ピストン部33」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項7は誤記の訂正を目的とするものである。 (8)訂正事項8について 本件明細書の記載内容を検討すると、「シリンダ部」について「33」の符号が付されているのは段落0041のみであり、他の箇所は全て「32」の符号が付されている。そうすると、段落0041における「シリンダ部33」は「シリンダ部32」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項8は誤記の訂正を目的とするものである。 (9)訂正事項9について 本件明細書の記載内容を検討すると、「ヘッドレスト」について「20」の符号が付されているのは段落0043のみであり、他の箇所は全て「29」の符号が付されている。そうすると、段落0043における「ヘッドレスト20」は「ヘッドレスト29」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項9は誤記の訂正を目的とするものである。 そして、上記訂正事項1?9は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。 3 むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項ないし第5項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 車椅子 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、 それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成されていることを特徴とする車椅子。 【請求項2】 前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されることを特徴とする請求項1記載の車椅子。 【請求項3】 前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子。 【請求項4】 前記座席フレーム体が、前記座席フレーム体から突出したシャフト部と、前記シャフト部を把持するロック体とを備え、前記シャフト部が把持位置を変えることによって、前記座席フレーム体の適宜な角度で停止できるロック装置を有していることを特徴とする請求項1,2又は3記載の車椅子。 【請求項5】 前記背フレームにヘッドレストが装着可能に形成されることを特徴とする請求項1,2又は3記載の車椅子。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、車椅子に関し、さらに詳しくは、障害者が座位姿勢のままリクライニング可能に構成された車椅子に関する。 【0002】 【従来の技術】 一般に、車椅子において、障害者を支持する座席フレーム体は、座位シートを装着するサイドフレームと、前輪に連結する前フレームと、後輪に連結する後フレームと、背もたれシートを装着する背フレームと、を有して構成され、介護者が背フレームに配置された介護用ハンドル部を操作して車椅子を運転したり、又、障害者自身が後輪に配置された操作輪を自ら操作することによって車椅子を運転していたりしていた。そして、これらの車椅子には、障害者が背を延ばすために構成されたリクライニング機構が知られていた。 【0003】 車椅子における従来のリクライニング機構は、背フレームをサイドフレームに対して傾倒可能に構成することによって構成されていた。しかし、背フレームをサイドフレームに対して傾倒可能に構成することは、背フレームの傾倒支点と障害者の屈曲支点とが異なることとなることから、障害者の臀部がずれて臀部を移動させなければならなかった。この動作は、重度な障害者によっては極めて困難な動作を強いられることになっていた。これを解決するために、例えば、特開平7-457号や特開平11-155908号によって改良された車椅子が提供されていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 従来の公報に示されているリクライニング機構、例えば、前者の公報(特開平7-457号)に示されているものは、背フレームの傾倒支点部を本体に対して傾倒可能に支持するとともに、座を背フレームの傾倒支点より下方の位置で回動可能に支持して、座のステップ側を、本体に回動自在かつ摺動自在に支持している。これによって、障害者が車椅子に搭乗している際に、背フレームを傾倒しても、座を前方に移動することから、障害者は臀部をずらすことなく安定した姿勢を保持することができた。 【0005】 又、後者の公報(特開平11-155908号)に示されているものは、背フレームを上下2段に構成し、上フレームを下フレームに摺動可能に構成して、背フレームを傾倒させると、障害者の背中を支持する上フレームが下フレーム側に摺動することによって、障害者の臀部をずらさずに安定した姿勢を保持してリクライニングさせることができた。 【0006】 しかし、上記の公報に示されるいずれの場合においても、背フレームが座(又はサイドフレーム)に対して傾倒することから、障害者は座位した姿勢を崩さずにリクライニングすることはできない。そのため重度な障害者では、身体を動かすことができずにリクライニング動作が困難となることがあった。しかも、いずれのリクライニング機構においても、背フレームは座(又はサイドフレーム)に対してピンのみで支持するように構成されていることから、ピンで障害者の重量を受けることとなり、ピンが破損しやすく、障害者に危険を伴うことになっていた。 【0007】 この発明は、上述の課題を解決するものであり、障害者の安定した姿勢を保持した状態でリクライニング作用が行なえるとともに、堅固に構成されたリクライニング機構を有する車椅子を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 この発明にかかわる車椅子では、上記の課題を解決するために、以下のように構成するものである。すなわち、 前輪と後輪とを支持する車輪フレーム体が、介護者用のハンドル部を有する背フレーム・サイドフレーム・脚フレームを有して障害者を座位可能に支持する座席フレーム体を間にして左右に一対配置されて構成される車椅子であって、 それぞれの前記車輪フレーム体は、前記座席フレーム体の両側において、前記座席フレーム体に軸着して前記座席フレーム体を揺動可能に支持する上部フレームと、前記上部フレームの下方に配置される下部フレームと、前記座席フレーム体の両側部において前記座席フレーム体の揺動時に前記座席フレーム体を支持して摺動可能なガイド手段を構成するガイドフレームと、を有して枠体状に構成されていることを特徴とするものである。 【0009】 また好ましくは、前記ガイド手段が、前記座席フレーム体から突出するガイドと、前記ガイドフレームと、を有して構成されていればよい。 【0010】 また、前記座席フレーム体が中央部で幅方向に折畳可能に構成されていればさらによい。 【0011】 さらに、前記座席フレーム体が、前記座席フレーム体から突出したシャフト部と、前記シャフト部を把持するロック体とを備え、前記シャフト部が把持位置を変えることによって、前記座席フレーム体の適宜な角度で停止できるロック装置を有していることが望ましい。 【0012】 また、前記背フレームにヘッドレストが装着可能に形成されていればなおよい。 【0013】 【発明の効果】 本発明の車椅子は、座席フレーム体の背フレームを、車輪フレーム体に対して傾倒させる際、座席フレーム体は、車輪フレーム体のガイドフレームに案内されながら、左右一対の車輪フレーム体に対して揺動される。座席フレーム体は、背フレームとサイドフレームと脚フレームとを備えて構成されていることから、座席フレーム体に座位する障害者は、座位姿勢のままでリクライニング作用を行なうことができ、身体を動かせない重度な障害者であっても、安定した姿勢でリクライニングすることが可能となる。しかも、座席フレーム体が、車輪フレーム体に対して揺動する際、揺動支点部のピンだけでなくガイド手段で支持されて摺動することができることから、障害者の体重を十分に支持することができて、障害者を安心して車椅子に搭乗させてリクライニングさせることが可能となる。 【0014】 又、前記座席フレーム体が揺動する際、車輪フレーム体に配設されたガイドフレームに係合可能なガイドが、座席フレーム体に摺動するように構成されていれば、障害者の体重をガイドフレームを介して支持することができることから、リクライニング作用を安定して行なうことができる。 【0015】 又、本発明の車椅子は、幅方向に沿って折畳可能に形成されていることから、コンパクトに構成することができて持ち運びしやすい。 【0016】 さらに、本発明の車椅子において、車輪フレーム体に対して揺動された座席フレーム体は、前記座席フレーム体から突出したシャフトのいずれかの部位を把持するようにしてロックすることができることから、障害者の要求に合わせて自在な角度で強固にロックさせることができる。 【0017】 さらに、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動する際に、障害者の頭部は、背フレームに装着されたヘッドレストで支持されることから、障害者は後方に揺動されても安定した姿勢を維持したままでリクライニング作用を行なうことができる。 【0018】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の車椅子は、障害者を搭乗させてリクライニングする際に、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動でき、しかも極めてスムーズに揺動できるとともに、揺動時に安定して支持できるように堅固に構成するものであり、そのために、実施形態の車椅子1は、図1?2に示すように、左右一対の前輪3及び後輪5と、各前輪3及び後輪5を支持する左右一対の車輪フレーム体10と、一対の車輪フレーム体10の間に配置されて、左右一対の車輪フレーム体10に対して揺動可能な座席フレーム体20と、を有して構成されている。 【0019】 各車輪フレーム体10は、図3にも示すように、座席フレーム体20に軸着される支点部13を有した上部フレーム11と、前輪3と後輪5とを連結する下部フレーム12と、上部フレーム11に配置され支点部13を中心にして円弧状に形成されるガイドフレーム14と、を有して構成されている。 【0020】 上部フレーム11は、前輪3と後輪5とを連結するために、実施形態では、支点部13を略中央部の上部に配置させて山形状に形成し、上部フレーム11の前部に前輪3の車軸3aを接続するジョイント部4を固着し、上部フレーム11の後部に後輪5の車軸5aを固着させている。さらに、車輪フレーム体10を強固に構成するために、上部フレーム11の前端部と後端部とを一部屈曲部を有して略水平方向に延設する下部フレーム12が固着され、上部フレーム11と下部フレーム12とで枠体状に構成している。 【0021】 なお、図1に示すように、後輪5の回転を停止させるブレーキ体7が、手操作用レバー7aを有して、上部フレーム11とガイドフレーム14との間に配置されたブレーキフレーム15に装着されている。 【0022】 座席フレーム体20は、図1に示すように、障害者が座位姿勢で肘を掛ける位置に配置される肘かけフレーム21と、肘かけフレーム21の下方に配置されるサイドフレーム22と、サイドフレーム22の下方に配置される底フレーム23と、肘かけフレーム21と底フレーム23との後部で底フレーム23から肘かけフレーム21の上方に向かって立ち上がる背フレーム24と、肘かけフレーム21の前方屈折部から前方下部に向かって屈曲するように配置された脚フレーム25と、を有して一対の車輪フレーム体10の内側に配置するように構成されている。 【0023】 肘かけフレーム21は、後端部で略垂直方向に配置された背フレーム24と略水平方向に配置された底フレーム23の前端部とを連結するように上部前方で屈曲するL字形に形成され、水平方向の上面に肘かけ部21aが取り付けられている。 【0024】 肘かけフレーム21の上部と底フレーム23との間に配置されているサイドフレーム22は、実施形態では、車輪フレーム体10の上部フレーム11と軸着されて支持されている。つまり、サイドフレーム22は、図1及び図4に示すように、上部フレーム11の頂点部111下面で筒体131を介して固着された支点部13の軸132の先端に筒体221を介して枢着するように連結されていることから、座席フレーム体20は車輪フレーム体10に対して揺動可能に配置されることとなる。 【0025】 底フレーム23は、脚フレーム25の下部から背フレーム24の下端部を連結して背フレーム24より後方に延設され、中間部において、車輪フレーム体10のガイドフレーム14の下方を円弧状のガイドフレーム14に沿って屈曲するように形成されている。そして、図5に示すように、底フレーム23に2か所で固着されたブラケット26が、ガイドフレーム14を囲うように配置されるとともに、パイプ状に形成されたガイドフレーム14の外周面を把持して摺動可能に配置された一対のローラ27、27を、軸支するようにして形成されている。 【0026】 従って、座席フレーム体20は、車輪フレーム体10に対して、底フレーム23を介してガイドフレーム14に案内されながら揺動されるとともに、座席フレーム体20に搭乗する障害者の体重は一対のローラ27、27を介して車輪フレーム体10で支持されることとなる。 【0027】 なお、ローラ27は、ガイドフレーム14の外周面上を摺動するものであれば、特にその形状を限定するものではないが、実施形態では、ガイドフレーム14の外径と略同形の凹状円弧部271を外周面に形成した鼓状のローラ27を、ガイドフレーム14の外周面に当接するようにガイドフレーム14を間にして一対配置させている。もちろんローラは、ローラの内周面がガイドフレーム14の外周面に嵌合するようにパイプ状に形成されていてもよい。 【0028】 背フレーム24は、図1に示すように、背もたれシート24aを掛着するように形成されるとともに上端部で後方に屈曲して介護者が操作するハンドル部241を形成し、背フレーム24の縦方向の中間部から車輪フレーム体10の上部フレーム11の後部にわたって連結された座席フレーム体20の揺動位置を規制してロックするロック装置30を配置させている。 【0029】 脚フレーム25は、肘かけフレーム21の前縦部211のサイドフレーム22の先端部と対向する位置から前方から下方に屈曲して形成され、開閉可能なフットレスト28を装着している。 【0030】 ロック装置30は、図1に示すように、背フレーム24の中間部と上部フレーム11の後端部(後輪5の車軸5a付近)との間を連結した伸縮可能な連結体31の距離を適宜規制することによって、座席フレーム体20の車輪フレーム体10に対する揺動角度を自在に設定することができる。 【0031】 実施形態における連結体31は、市販のメカニカルロック装置を採用している。メカニカルロック装置は、シリンダ部32とシリンダ部32内を挿通して摺動するピストン部33とを有し、ピストン部33の先端が背フレーム24の中間部に取り付け金具34を介して枢着可能に掛止され、シリンダ部32の一端は上部フレーム11の後端部に回動可能に装着された取り付け金具35に枢着可能に掛止され、ピストン部33が挿通されたシリンダ部32は縮径可能に形成されている。そして、シリンダ部32の縮径作動を操作する操作レバー36が一対で背フレーム24の一対のハンドル部241に、それぞれシリンダ部32から連結されたワイヤ37を介して装着されている。 【0032】 操作レバー36は、手で操作しない通常時においては、シリンダ部32を縮径状態にしてピストン部33を把持してロック状態にし、手で握るとワイヤ37を牽引してシリンダ部32が拡径されてピストン部33を移動可能にさせる。これによって、ピストン部33の、取り付け金具34と取り付け金具35間との距離を、適宜変更することができ、座席フレーム体20を適宜な位置で揺動可能に作用させることができる。 【0033】 実施形態の車椅子1は、座席フレーム体20を幅方向で折り畳むことができる。図6に示すように、左右一対の底フレーム23、23と、左右一対のサイドフレーム22、22の内側に配置された左右一対のシートフレーム41、41と、を接続するように、クロス状に配置した一対の連結棒42、42をそれぞれの各端部で枢着可能に構成した折畳機構40を有している。 【0034】 一対の連結棒42、42は、クロスした中央部の支点部43で同軸で回動可能に支持され、そのために、支点部43を中心にしてシートフレーム41、41が各底フレーム23、23から内方に突出した装着部231の枢支点232で回動することによって、一対の車輪フレーム体10、10を接近させたり、離隔させたりして折畳可能に構成している。なお、シートフレーム41には座位シート45が掛けられて、障害者を座位できるようにし、折畳機構40は、シートフレーム41の前後方向に2か所配置している(図1参照)。そして、座位シート45の幅方向の中央部を上方に押し上げることによって、一対の連結棒42、42を枢支点232、232を中心にして回動させると、折畳機構40は支点部43を中心に折り畳まれることとなる。 【0035】 なお、左右一対の背フレーム24、24の上部には、図2に示すように、頭部シート291を装着したヘッドレスト29を支持するための受け部242、242がヘッドレスト29を着脱できるように形成され、座席フレーム体20が後方に揺動した際に、障害者の頭部を支持できるように構成されている。 【0036】 さらに、実施形態の車椅子1には、図1に示すように、車軸5aを圧接して後輪5の回転を停止されるブレーキ装置8が、背フレーム24のハンドル部241に装着された操作ハンドル81とワイヤ82(図1参照)によって操作可能に配置されている。 【0037】 次に、上記のように構成された車椅子1の作用を説明する。 【0038】 本形態の車椅子1を重度の障害者を搭乗させて使用する場合、通常走行時においては、図1に示すように、座席フレーム体20を、車輪フレーム体10に対して立てた状態にして障害者を座位シート45上に座位させ、後輪5用のブレーキ体7を後輪5から離隔させてる。そして、ハンドル部241、241を介護者が操作することによって、車椅子1を走行させる。 【0039】 リクライニングを行なう場合には、ハンドル部241、241に装着されているリクライニング用の操作レバー36、36を握り、ワイヤ37、37を牽引することによって、ロック装置30、30のピストン部33、33とシリンダ部32、32とのロックを解除させた後、図7に示すように、ハンドル部241、241を下方に移動させることによって、座席フレーム体20を車輪フレーム体10に対して後方に揺動させる。 【0040】 この際、座席フレーム体20に装着されているローラ27が、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に沿って摺動しながら、座席フレーム体20は、背フレーム24、サイドフレーム22、肘掛けフレーム21、底フレーム23の各フレーム間の角度を変化させることなく一体的にした状態で、車輪フレーム体10の支点部13を中心に後方に回動される。 【0041】 また、ロック装置30は、ピストン部33がシリンダ部32からの圧着が解除されていることによって、シリンダ部32内への移動を可能とし、座席フレーム体20の後方への揺動によって、ロック装置30のピストン部33は、シリンダ部32内を移動して、ピストン部33側の取り付け金具34とシリンダ部32側の取り付け金具35との距離を変化させて、座席フレーム体20の適度な揺動角度に設定し、その位置において操作レバー36、36から手を離して、ピストン部33の移動を停止させてロックをする。 【0042】 従って、サイドフレーム22と背フレーム24及び底フレーム23との角度を維持した状態で座席フレーム体20を車輪フレーム体10に対して一体的に揺動することから、障害者は走行中に座位した状態の姿勢のままで座席フレーム体20と共に後方に揺動されることとなる。 【0043】 この際、座席フレーム体20の底フレーム23から突出したローラ27は車輪フレーム体10のガイドフレーム14に沿って摺動されることから、障害者の体重は、車輪フレーム体10の支点部13における軸132で支持されるとともにローラ27を介してガイドフレーム14で支持されることとなる。また、ヘッドレスト29が背フレーム24、24に装着されることによって、障害者の頭部は後方に揺動されて重心が後方に移動しても、ヘッドレスト29によって安定した姿勢を維持した状態で支持されることとなる。 【0044】 従って、上述のように、実施形態の車椅子1は、座席フレーム体20の背フレーム24を、車輪フレーム体10に対して揺動させる際、座席フレーム体20は、車輪フレーム体10のガイドフレーム14に案内されながら、車輪フレーム体10に対して揺動されることから、座席フレーム体20に座位する障害者は、座位姿勢のままでリクライニング作用を行なうことができ、身体を動かせない重度な障害者であっても、安定した姿勢でリクライニングすることが可能となる。しかも、座席フレーム体20が、車輪フレーム体10に対して揺動する際、揺動支点部13の軸132だけでなく、ローラ27を介してガイドフレーム14で支持されて摺動することができることから、障害者の体重を十分に支持することができて、障害者を安心して車椅子1に搭乗させてリクライニングさせることが可能となる。 【0045】 又、座席フレーム体20が揺動する際、車輪フレーム体10に配設されたガイドフレーム14に係合可能なローラ27が、座席フレーム体20に摺動するように構成されていれば、障害者の体重をガイドフレーム14を介して支持することができることから、リクライニング作用を安定した姿勢で維持したまま行なうことができる。 【0046】 しかも、本形態の車椅子1は、幅方向に沿って折畳可能に形成されていることから、コンパクトに構成することができ持ち運びしやすい。 【0047】 さらに、車輪フレーム体10に対して揺動された座席フレーム体20は、座席フレーム体20から突出したメカニカルロック装置(連結体31)のピストン部33のいずれかの部位を把持するようにしてロックすることができることから、障害者の要求に合わせて自在な角度で強固にロックさせることができる。 【0048】 さらに、障害者が座位姿勢を崩すことなく後方に揺動する際に、障害者の頭部は、背フレーム24に装着されたヘッドレスト29で支持されることから、障害者は後方に揺動されても安定した姿勢を維持したままでリクライニング作用を行なうことができる。 【0049】 なお、本発明の車椅子は、障害者が座位姿勢のままで揺動できるものであり、座席フレーム体の揺動時に、摺動ガイドできて安定して支持できるように構成するものであれば、上記形態に限定するものではない。例えば、座席フレーム体20の揺動支点部13を図例のようにサイドフレーム22に設けるのではなく、例えば、肘掛けフレーム21に設けるようにしてもよく、その場合、ガイドフレーム14に係合するガイドとしてのレール27を、サイドフレーム22から突出するように設けてもよい。 【0050】 又、ロック装置30の連結体31の一端を支持する部位は、車輪フレーム体10に設けられていれば、上部フレーム11でなく下部フレーム12でもよく、又、連結体31としてメカニカルロックを使用するのではなく、背フレーム24から取り付け金具34を介して下方に突出したシャフトと、車輪フレーム体10に取り付け金具35を介して一端が支持されてシャフトを挿通する筒体と、筒体内を摺動するシャフトの一部を把持する把持部を有し、取り付け金具34と取り付け金具35との間の距離が可変になるように構成されていれば、他の手段でもよい。さらに、座席フレーム体20の揺動支点部を、ロックするように構成された支点部ロック手段であってもよい。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一形態の車椅子を示す側面図である。 【図2】図1におけるII矢視図である。 【図3】図1の車椅子の車輪フレーム体を示す側面図である。 【図4】図3におけるIV-IV断面図である。 【図5】図3におけるV-V断面図である。 【図6】図1における車椅子の折畳機構を示す背面図である。 【図7】図1における車椅子のリクライニング状態を示す作用図である。 【符号の説明】 1…車椅子 3…前輪 5…後輪 10…車輪フレーム体 11…上部フレーム 12…下部フレーム 13…支点部 14…ガイドフレーム 20…座席フレーム体 21…肘掛けフレーム 22…サイドフレーム 23…底フレーム 24…背フレーム 27…ローラ 29…ヘッドレスト 30…ロック装置 31…連結体(メカニカルロック) 32…シリンダ部 33…ピストン部 34、35…取り付け金具 36…操作レバー 37…ワイヤ 40…折畳機構 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2011-10-25 |
出願番号 | 特願2000-266850(P2000-266850) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(A61G)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 洋昭 |
特許庁審判長 |
亀丸 広司 |
特許庁審判官 |
蓮井 雅之 田合 弘幸 |
登録日 | 2005-05-27 |
登録番号 | 特許第3680160号(P3680160) |
発明の名称 | 車椅子 |
代理人 | 村松 孝哉 |
代理人 | 江間 路子 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 上田 千織 |
代理人 | 村松 孝哉 |
代理人 | 上田 千織 |
代理人 | 江間 路子 |