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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1246851
審判番号 不服2009-25903  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-28 
確定日 2011-11-10 
事件の表示 特願2004-147675「ネットワークノード装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 2日出願公開、特開2005-333220〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成16年5月18日の出願であって、原審において平成21年9月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し同年12月28日に審判請求がなされるとともに手続補正書の提出があったものである。


第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成21年12月28日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の平成21年3月26日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、

「【請求項1】 それぞれ入、出力回線に接続された複数のインタフェースモジュールと、上記各インタフェースモジュールで受信したパケットの宛先アドレスに基いて、経路情報を検索する経路制御部と、上記受信パケットを上記経路制御部が検索した経路情報によって特定される何れかのインタフェースモジュールに転送するパケット中継部とからなるネットワークノード装置において、
上記経路制御部が、
経路情報を示す複数のエントリからなる経路情報テーブルと、
検索条件となるパケット宛先アドレスに応じて異なったメモリアドレスを出力するフォワーディングテーブルと、
上記フォワーディングテーブルから出力されるメモリアドレスを上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換するための複数のエントリからなるアドレス変換テーブルとを有し、
上記経路情報テーブルの各エントリが、上記経路情報の一部として、次転送先MACアドレスを記憶しており、
上記アドレス変換テーブルが、次転送先MACアドレスが同一となる複数のパケット宛先アドレスと対応する一群のメモリアドレスを上記経路情報テーブルの特定のエントリアドレスに対応付けており、
上記経路制御部が、受信パケットの宛先アドレスを検索キーとして、上記フォワーディングテーブルから1つのメモリアドレスを検索し、該メモリアドレスを上記変換テーブルによって上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換し、該エントリアドレスに基いて上記経路情報テーブルから経路情報を検索することを特徴とするネットワークノード装置。」
という発明(以下、「本願発明」という。)を、

「【請求項1】 それぞれ入、出力回線に接続された複数のインタフェースモジュールと、上記各インタフェースモジュールで受信したパケットの宛先アドレスに基いて、経路情報を検索する経路制御部と、上記受信パケットを上記経路制御部が検索した経路情報によって特定される何れかのインタフェースモジュールに転送するパケット中継部とからなるネットワークノード装置において、
上記経路制御部が、
経路情報を示す複数のエントリからなる経路情報テーブルと、
検索条件となるパケット宛先アドレスに応じて異なったメモリアドレスを出力するフォワーディングテーブルと、
上記フォワーディングテーブルから出力されるメモリアドレスを上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換するための複数のエントリからなるアドレス変換テーブルとを有し、
上記経路情報テーブルが、上記フォワーディングテーブルよりも少数のエントリで構成され、各エントリが、上記経路情報の一部として、受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレスと、上記受信パケットの出力ポートを示す出力ポート番号とを記憶しており、
上記アドレス変換テーブルが、次転送先MACアドレスが同一となる複数のパケット宛先アドレスと対応する一群のメモリアドレスを上記経路情報テーブルの特定のエントリアドレスに対応付けており、
上記経路制御部が、受信パケットの宛先アドレスを検索キーとして、上記フォワーディングテーブルから1つのメモリアドレスを検索し、該メモリアドレスを上記変換テーブルによって上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換し、該エントリアドレスに基いて上記経路情報テーブルから経路情報を検索することを特徴とするネットワークノード装置。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。


2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件
上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において、
補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「上記経路情報テーブル」に、「上記フォワーディングテーブルよりも少数のエントリで構成され、」という構成を付加して限定し、
また、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「次転送先MACアドレス」に、「受信パケットの次転送先ノード装置を示す」という構成を付加して限定し、
また、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「上記経路情報テーブルの各エントリが、上記経路情報の一部として、」記憶する構成要素に、「上記受信パケットの出力ポートを示す出力ポート番号」を付加して限定することにより特許請求の範囲を減縮するものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。


(2)独立特許要件
上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

[補正後の発明]
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

[引用発明及び周知技術]
A.原審の拒絶理由に引用された特開2002-176431号公報(以下、「引用例」という。)には、「パケット転送装置及びそれに用いる転送情報管理方法並びにその転送情報検索方法」として図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【請求項1】パケットを予めパケット検索テーブルに設定された複数のエントリのいずれかに対応する転送情報に基づいて転送するデータ転送装置であって、前記転送情報が目的別に登録される複数の登録テーブルと、前記複数の登録テーブル各々のアドレスが登録されるアドレステーブルと、前記複数のエントリのうちの一致したエントリに対応する前記アドレステーブルから前記アドレスを取得しかつそのアドレスに基づいて前記複数の登録テーブル各々の転送情報を取得する検索手段とを有することを特徴とするデータ転送装置。」(2頁1欄)

ロ.「【請求項9】前記検索手段の検索結果として得られる転送情報を前記アドレスによる間接参照で共有化するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか記載のデータ転送装置。」(2頁1欄)

ハ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパケット転送装置及びそれに用いる転送情報管理方法並びにその転送情報検索方法に関し、特にIP(Internet Protocol)パケット転送におけるQoS(Quality of Service)保証に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、IPパケットの転送においては、ユーザが利用できる通信伝送帯域をネッワークの混雑時に保証しないベストエフォート(BE:Best Effort)転送が一般的である。しかしながら、ネッワークの混雑時の通信伝送帯域を保証するIPパケットの転送において、伝送遅延、揺らぎ、最低保証速度、ピーク値等をパラメータとして持つQoSを提供する際に、如何にしてそのQoS保証を行うかが議論されている。
【0003】このQoS技術の要素としては、大きくわけて、パケットの情報を基にパケットのフロー(Flow)/クラス(Class)を識別する「Classify(分類)」、フローの「Classify」によって識別されたパケットのAdmission Control(受付け制御)を行う「Policing」、「Classify」によって識別されたパケットをどのように転送するかを決定する「Forwarding」の3つに分類することができる。
【0004】「Classify」は複数情報(キー)を基にした高速検索であり、「Po
licing」は受付け制御の判定要因[強制廃棄、流入レート計測、CC(Central Control eqipment:中央制御装置)使用率計測等]であり、「Forwading」はキューイングアルゴリズム、load-balancing、高速迂回等である。
【0005】上記の「Classify」としてはIPパケット転送におけるフロー識別検索方式がある。このフロー識別検索方式では、図16に示すように、CAM(Content-Addressable Memory:連想記憶装置)12という高速検索可能なメモリを使用している。
【0006】CAM12には予めヒットさせた検索パターンエントリ(以下、エントリとする)を書込んでおき、IPパケットが到着すると、検索処理回路11はその検索情報をCAM12に入力する。検索処理回路11はその検索情報によるCAM12の検索でヒットしたエントリの登録位置(アドレス情報)を得ると、その登録位置を基にアクション解決メモリ13のエントリからアクション解決情報を読出し、そのアクション解決情報に基づいてパケットアクションを解決する。
【0007】ここで、CAM12への検索キーの登録においては送信元IPアドレス、送信先IPアドレス、DSPC、TCP(Transmission Control Protocol)/UDP(User Datagram Protocol)等が登録されているので、パケットの検索情報としても送信元IPアドレス、送信先IPアドレス、DSPC、TCP/UDP等が与えられる。」(3頁3?4欄)

ニ.「【0013】「Forwarding」ではForwarding情報更新処理において複数箇所を更新する必要があり、処理能力に問題がある。また、出力回線決定、その他のアプリケーションに依存するアクション決定方式においては、「Classify」から直接、出力回線、その他のアクションを決定しており、出力回線状態、アプリケーションに柔軟に対応することができる構成となっていない。」(4頁5欄)

ホ.「【0028】具体的に、本発明のパケット転送のテーブル構成では、入力されたパケットの検索結果として目的別に管理されている転送情報のテーブルのアドレスを取得し、間接的に転送情報を取得する構成をとっている。このような構成をとることによって、情報の共有化によるメモリ削減と、転送情報更新処理の高速化と、アプリケーションに柔軟に対応したパケット転送とが可能となる。」(5頁7欄)

ヘ.「【0033】さらに、検索結果として得られる転送情報を共有化することによって、転送情報更新の際に1箇所のテーブル更新で対応することが可能となるため、処理能力が向上する。さらにまた、迂回機能と連携して考えれば、ネットワークの信頼性の向上にもつながる。」(5頁8欄)

ト.「【0034】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例によるパケット転送装置の転送情報検索部の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例によるパケット転送装置の転送情報検索部は検索処理回路1と、パケット検索テーブル2とから構成されている。
【0035】パケット検索テーブル2はCAM(Content-Addressable Memory:連想記憶装置)20と、転送情報アドレステーブル21と、ポリサー情報テーブル22と、アプリケーション転送情報テーブル23と、システム内共通転送情報テーブル24と、出力情報テーブル25とから構成されている。
【0036】検索処理回路1はIPパケット入力されると、パケット検索テーブル2にパケット検索情報を送出してパケット検索テーブル2のCAM20による検索を行う。CAM20には予めヒットさせた検索パターンエントリ(以下、エントリとする)を書込んでおき、ヒットしたエントリの登録位置(アドレス情報)を転送情報アドレステーブル21に出力する。転送情報アドレステーブル21からは転送情報が設定されている各テーブルのアドレス情報が取得され、そのアドレス情報に基づいてポリサー情報テーブル22、アプリケーション転送情報テーブル23、システム内共通転送情報テーブル24、出力情報テーブル25からそれぞれ転送情報が読出される。
【0037】パケット検索テーブル2は各テーブルから読出された転送情報を検索処理回路1に渡し、検索処理回路1はその転送情報を図示せぬパケット転送制御部に出力するので、入力されたIPパケットはその転送情報にしたがって転送されることとなる。」(5頁8欄?6頁9欄)

チ.「【0038】図2は本発明の一実施例によるパケット転送装置の転送情報検索処理を示す概念図である。図2において、パケット検索テーブル2のCAM20には機能A,B,Cの各エントリが登録されており、それらのエントリのいずれかにヒットすると、ヒットしたエントリに対応する転送情報アドレステーブル21からアドレス情報を読出す。
【0039】このアドレス情報によってポリサー情報テーブル22、アプリケーション転送情報テーブル23、システム内共通転送情報テーブル24からそれぞれアクション情報#1?#3が読出されることとなる。尚、図2においては出力情報テーブル25の図示を省略してある。」(6頁9欄)

リ.「【0040】図3は図1のパケット検索テーブル2の構成を示す図である。図3において、パケット検索テーブル2には有効/無効を示すV(バリッド)ビットと、対象検索回数と、検索キー情報(IN-Line、SA、DA、protocol等)とが少なくとも登録されている。」(6頁9欄)

ヌ.「【0041】図4は図1の転送情報アドレステーブル21の構成を示す図である。図4において、転送情報アドレステーブル21には廃棄情報A1、CPU行A2、VビットA3,A5,A11と、ポリサー情報格納アドレスA4と、アプリ転送情報格納アドレスA6と、SW内転送情報格納アドレスA7と、受信カウンタA8と、平均レート違反カウンタA9と、ピークレート違反カウンタA10と、出力方路情報アドレスA12とから少なくともなる転送情報アドレスAが登録されている。」(6頁9欄)

ル.「【0045】図8は図1の出力情報テーブル25の構成を示す図である。図8において、出力情報テーブル25にはVビットD1と、出力回線スロットD2と、出力回線ポートD3と、出力キュー番号D4とからなる出力情報Dが登録されている。」(6頁10欄)

ヲ.「【0046】図9は図1のパケット検索テーブル2のCAM20の具体的な構成例を示す図であり、図10は本発明の一実施例によるデータ転送装置の処理動作を示すフローチャートであり、図11?図15は図1の検索処理回路1の処理動作を示すフローチャートである。これら図1?図15を参照して本発明の一実施例によるデータ転送装置の処理動作について説明する。
【0047】検索処理回路1はIPパケットが入力されると(図10ステップS1)、予め設定されたパケット検索テーブル2のCAM20で検索を行う(図10ステップS2)。検索処理回路1はパケット検索テーブル2のCAM20の検索結果でヒットしたエントリに対応する転送情報アドレステーブル21から転送情報が設定されている各テーブルの転送情報アドレスAを取得する(図10ステップS3)。
【0048】検索処理回路1は取得したアドレスを基にポリサー情報テーブル22からポリサー情報Bを取得し(図10ステップS4)、アプリケーション転送情報テーブル23からアプリケーション転送情報Cを取得し(図10ステップS5)、システム内共通転送情報テーブル24からシステム内共通転送情報を取得し(図10ステップS6)、出力情報テーブル25から出力情報Dを取得する(図10ステップS7)(図2参照)。パケット転送制御部はこれらの転送情報にしたがってIPパケットを転送する(図10ステップS8)。」(6頁10欄)

ワ.「【0074】さらに、検索結果として得られる転送情報を間接参照で共有化することによって、転送情報更新の際に1箇所のテーブル更新で対応することができるため、処理能力を向上させることができる。また、迂回機能と連携して考えれば、ネットワークの信頼性の向上にもつながる。
【0075】この場合、検索結果として得られる情報の中の「出力回線番号」に着目すると、回線障害等によって回線番号#1の回線が使用できなくなった場合、アドレス参照によって回線情報の共有化を行っていれば、その回線情報の共有テーブルだけを更新することによって、その回線情報を参照している全てのエントリが回線障害を知ることができる。
【0076】これに対して、情報を共有せずに検索結果から直接「出力回線番号」を取得する方式の場合、回線番号#1を使用している該当エントリ全てに対して検索結果の更新処理を行う必要がある。この共有化する情報の選別はシステムの実装依存であるので、ここで一概に決定することは困難であるが、少なくとも上記の「出力回線番号」等は共有化することによって、メモリの削減、検索結果の更新処理能力の向上につながる。」(8頁14欄)


上記引用例の記載及び関連する図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、
まず、引用例記載の「パケット転送装置」は、その従来例として上記ハ.【0006】及び引用例図16にあるように、「IPパケット」が到着すると、その「検索情報」による「CAM12」の検索を行うことにより「IPパケットの転送」を行うことを前提とするものであり、ここで、パケットの「検索情報」としては、例えば「送信先IPアドレス」が与えられることが上記ハ.【0007】に記載されている。

また、引用例記載の「パケット転送装置」は、具体的には上記ト.【0034】、【0037】及び引用例図1にあるように、「検索処理回路1」と「パケット検索テーブル2」とから構成される「転送情報検索部」と、図示せぬ「パケット転送制御部」とからなるものである。

また、前記「検索処理回路1」は、上記ト.【0036】及び引用例図1にあるように、「IPパケット入力されると、パケット検索テーブル2にパケット検索情報を送出してパケット検索テーブル2のCAM20による検索を行う」ことにより、「転送情報が設定されている各テーブル」から「転送情報」を読出すものである。

ここで、上記「転送情報が設定されている各テーブル」の1つに「出力情報テーブル25」があり、これは引用例図1に記載されているように、縦方向に配列された複数のエントリ(登録された横一列の情報群の入り口点)からなるものであり、上記ル.及び引用例図8にあるように、各エントリは、「出力回線ポートD3」等からなる「出力情報D」を示すものであるから、「出力回線ポートD3」は、「転送情報検索部」が「出力情報テーブル25」から読出す「転送情報」の1つである。

また、前記「パケット転送制御部」は、上記ト.【0037】にあるように、「検索処理回路1」(転送情報検索部)に「入力されたIPパケット」を、「その転送情報にしたがって転送」するものである。

また、前記「パケット検索テーブル2」は、上記ト.【0035】及び引用例図1にあるように、前記「出力情報テーブル25」のほか、「CAM(Content-Addressable Memory:連想記憶装置)20」と、「転送情報アドレステーブル21」を含んで構成されており、
該「CAM20」は、上記ト.【0036】及び引用例図1にあるように、「パケット検索情報」に基づく検索により「ヒットしたエントリの登録位置(アドレス情報)を転送情報アドレステーブル21に出力する」ものであり、引用例図2に記載されているように、「パケット検索情報」(送信先IPアドレス)に応じて異なった「アドレス情報」を出力するものである。

また、前記「転送情報アドレステーブル21」は、引用例図2に記載されているように、「CAM20」の出力とそれぞれ対応する複数のエントリからなり、上記ト.【0036】、チ.及び引用例図1、2によれば、各エントリが、「CAM20」から出力される「アドレス情報」を「転送情報が設定されている各テーブル」の「アドレス情報」と対応付けることは明らかである。

そして、前記「検索処理回路1」は、上記ヲ.【0047】、【0048】及び引用例図10にあるように、「パケット検索テーブル2のCAM20の検索結果でヒットしたエントリに対応する転送情報アドレステーブル21から転送情報が設定されている各テーブルの転送情報アドレスAを取得」(図10ステップS3)し、「取得したアドレスを基に」、「出力情報テーブル25から出力情報Dを取得」(図10ステップS7)するものである。

したがって、上記引用例には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

(引用発明)
「IPパケットが入力されると、パケット検索テーブル2にパケット検索情報として送信先IPアドレスを送出してパケット検索テーブル2のCAM20による検索を行うことにより、出力情報テーブル25から転送情報として出力回線ポートD3を読出す転送情報検索部と、転送情報検索部に入力されたIPパケットを、転送情報の1つである出力回線ポートD3にしたがって転送するパケット転送制御部とからなるパケット転送装置において、
上記転送情報検索部が、
転送情報の1つである出力回線ポートD3を示す複数のエントリからなる出力情報テーブル25と、
パケット検索情報である送信先IPアドレスに応じて異なったアドレス情報を出力するCAM20と、
CAM20から出力されるアドレス情報を出力情報テーブル25のアドレス情報と対応付ける複数のエントリからなる転送情報アドレステーブル21とから構成され、
上記出力情報テーブル25の各エントリが、転送情報の1つとして出力回線ポートD3を示し、
上記転送情報検索部が、パケット検索テーブル2のCAM20の検索結果でヒットしたエントリに対応する転送情報アドレステーブル21から出力情報テーブル25の転送情報アドレスAを取得し、取得したアドレスを基に出力情報テーブル25から転送情報の1つである出力回線ポートD3を取得するパケット転送装置」


B.例えば原審の拒絶査定に引用された、特開2000-196670号公報(以下、「周知例1」という。)には図面とともに以下の事項イ.が、
また、特開平11-220483号公報(以下、「周知例2」という。)には以下の事項ロ.が記載されている。

(周知例1)
イ.「【0026】IPネットワーク構成を示す図1を参照すると、参照符号RTで示すルータのそれぞれは、あるLANから別のLANあるいは専用線などと云ったIPネットワーク1内の異なるサブネット間のパケットを中継し、直接パケットの授受が行えない通信ノード間での通信を可能にする役割を担う。各ルータRTは複数のインタフェースを持ち、あるインタフェースから受信したIPパケットをそのパケット内の宛先アドレスに応じ、どのインタフェースからどこに送出すれば、宛先に届けることができるか否かを判定してパケット中継を行う。
【0027】このパケット中継を行う際に必要となるパケットの宛先アドレスに応じてどこへ中継したら良いかの情報を格納したテーブルが経路(ルーティング)テーブルである。各ルータRTはこのルーティングテーブルを有する。また、各ルータRTはLAN及びWANなどのネットワークNET間を接続する。
【0028】図1に示した各ルータRTは一例として図2に示す詳細構成を採る。図2を参照すると、ルータRTはネットワークNET(厳密には、EthernetなどのLANのインタフェース部)からパケットを受信する受信インタフェース(I/F)部20と、受信I/F部20からの中継すべきパケットに基づいて宛先IPアドレス情報を抽出してルーティングテーブル検索部22に渡す宛先IPアドレス抽出部21とを有する。
【0029】ルーティングテーブル検索部22は経路情報を格納し、中継するパケットの宛先アドレスに対応する経路情報を調べ、該当する宛先インタフェースと、その宛先インタフェースで付与する送信先の物理アドレスの宛先MAC(Media Access Control:媒体アクセス制御)アドレスを得る。この検索部22は後に詳述するように、マスク付検索メモリ221及びRadishTree検索エンジン222から構成される。また、宛先MACアドレス更新部23はルーティングテーブル検索結果に基づき、宛先に対応したMACアドレスを宛先IPアドレス抽出部21からのパケットに上書きして付与する。
【0030】ルータRTは、さらにルーティングテーブル検索結果に基づき決定された送信インタフェース(I/F)部25にパケットを送出するスイッチ・ファブリック24を有する。この送信I/F部25はスイッチ・ファブリック24から受けたパケットをネットワークNET(厳密には、EthernetなどのLANのインタフェース部)に送出する。ルータRTはネットワーク対応に複数のインタフェースを有し、このインタフェース毎に上述した回路を構成している。
【0031】各ルータRTが有するルーティングテーブルは、各宛先ネットワークに対し、その宛先ネットワークにパケットを送出するときに、次に中継してくれるルータRTのIPアドレス(最終宛先に直接送信することができる場合は最終宛先の通信ノードのアドレス)と、そのルータRTとつながっているインタフェースの情報を持つ。すなわち、図1に示すIPネットワークの例では、ルータRT・Aの有するルーティングテーブルは図3に示す構成になる。また、このルーティングテーブルで想定しているIPアドレスと各ホストのネットワーク上でのMACアドレスとの対応を図4に示す。
【0032】図3のルーティングテーブル3は、宛先ネットワークをそのアドレス(同図中「宛先ネットワークアドレス」の項)とそのプレフィックス長(同図中「プレフィックス長」の項)とで示し、その宛先ネットワークについて宛先に向いた経路を与える情報として送信先インタフェース(同図中「送信先インタフェース」の項)と送信時に宛先として指定するMACアドレス(同図中「送信先アドレス」の項)とを得るためのテーブルである。
【0033】このルーティングテーブル3の例では、ルータRT・Aは自分から直接送信できる各ルータ(またはホスト)のIPアドレス及びMACアドレスを既に知っていることを前提にしており、かつこのルーティングテーブル3ではこれらのルータRTについて個別に経路エントリを作成してある状態で表記している。また、自身を示すIPアドレスがこの例では3つあり、そのエントリでは送信先インタフェースを「local(自分自身宛)」、MACアドレスを「N.A.(無効)」を示す識別子によりそれぞれ設定している。」(4頁6欄?5頁7欄)

(周知例2)
ロ.「【0002】
【従来の技術】一般に、複数のネットワーク間を接続するIPルータ等の通信装置では、ネットワークレイヤ(IPレイヤ:OSI第3層)において、受信したフレームデータから、IP(Internet Protocol)アドレス等の宛先アドレスを取得し、これに対応するポート番号あるいはMAC(Media Access Control)アドレス等の経路情報を検索し、得られた経路情報に基づいてフレームデータを転送するものとなっている。」(2頁1欄)

上記周知例1、2および各図面からも明らかなように、
「受信したパケットの宛先アドレスに基いて、経路情報を検索し、該経路情報によって受信パケットを転送するネットワークノード装置において、受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレスを経路情報とすること」は、周知技術である。


[対比・判断]
補正後の発明と引用発明を対比すると、
まず、引用発明の「IPパケット」は、補正後の発明の「パケット」であり、
引用発明において「IPパケットが入力される」とは、パケットを「受信」することであり、
引用発明のIPパケットの「送信先IPアドレス」とは、補正後の発明のパケットの「宛先アドレス」であり、
引用発明の「転送情報」は、パケットの転送経路を識別するための情報であるから、補正後の発明の「経路情報」に相当する。

また、引用発明の「転送情報検索部」は、受信したパケットの送信先IPアドレス(宛先アドレス)に基いて、転送情報(経路情報)を「検索」し転送経路を制御するものであるから、補正後の発明の「経路制御部」に相当する。

また、引用発明の「パケット転送制御部」と、補正後の発明の「パケット中継部」は、ともに受信したパケットを転送情報(経路情報)によって転送・中継するから、両者は「上記受信パケットを上記経路制御部が検索した経路情報によって転送するパケット中継部」の点で一致する。

また、引用発明の「パケット転送装置」は、通信網(ネットワーク)を構成する装置であり、通信網(ネットワーク)の結節点(ノード)において網の接続線を構成する各通信路から受信したパケットを転送・中継する装置であるから、補正後の発明の「ネットワークノード装置」にあたる。

更に、引用発明の「転送情報検索部」(経路制御部)は、「出力情報テーブル25」と「CAM20」と「転送情報アドレステーブル21」とから構成される「パケット検索テーブル2」を有するものであり、
また、引用発明の「出力情報テーブル25」は、転送情報(経路情報)を示す複数のエントリ(入り口点)からなるものであるから、補正後の発明の「経路情報テーブル」に相当し、
また、引用発明の「CAM20」から出力される「アドレス情報」は、テーブルを構成するメモリをアクセスする際のアドレスを示すものであるから、補正後の発明の「メモリアドレス」であり、
引用発明の「CAM20」は、パケット検索情報(検索条件)となる送信先IPアドレス(パケット宛先アドレス)に応じて異なったアドレス情報(メモリアドレス)を出力する点で補正後の発明の「フォワーディングテーブル」と同様であって、更に本願明細書の記載【0009】によれば、補正後の発明の「フォワーディングテーブル」も例えば「連想メモリ(CAM)」で構成されるものであるから、結局、引用発明の「CAM20」は、補正後の発明の「フォワーディングテーブル」に相当する。

また、引用発明の「転送情報アドレステーブル21」が対応付ける「出力情報テーブル25」の「アドレス情報」は、テーブルを構成するメモリにおけるエントリ(入り口点)のアドレスを示すものであるから、補正後の発明の「エントリアドレス」であり、
引用発明の「転送情報アドレステーブル21」は、「CAM20(フォワーディングテーブル)から出力されるアドレス情報(メモリアドレス)を出力情報テーブル25(経路情報テーブル)のアドレス情報(エントリアドレス)と対応付ける」ことによってアドレスを「変換」するものであるから、補正後の発明の「アドレス変換テーブル」に相当する。

また、引用発明の「出力回線ポートD3」は、パケットの出力ポートを示すものであって、このようなポートが番号で識別されるのは技術常識であるから、補正後の発明の「出力ポート番号」にあたり、
引用発明の「出力情報テーブル25」と、補正後の発明の「経路情報テーブル」は、「各エントリが、上記経路情報の一部として、上記受信パケットの出力ポートを示す出力ポート番号とを記憶して」いる点で一致する。

そして、引用発明の「転送情報検索部」は、受信したパケットの送信先IPアドレス(宛先アドレス)に基いて、CAM20(フォワーディングテーブル)の検索を行う、すなわち、受信パケットの送信先IPアドレス(宛先アドレス)をパケット検索情報(検索キー)として、CAM20(フォワーディングテーブル)からアドレス情報(メモリアドレス)を検索するものであり、
また、引用発明の「転送情報検索部」の「転送情報アドレステーブル21」(アドレス変換テーブル)は、上述したように、CAM20(フォワーディングテーブル)から出力されるアドレス情報(メモリアドレス)を出力情報テーブル25(経路情報テーブル)のアドレス情報(エントリアドレス)に変換するものであり、
また、引用発明の「転送情報検索部」は、転送情報アドレステーブル21(アドレス変換テーブル)から取得した出力情報テーブル25(経路情報テーブル)のアドレス情報(エントリアドレス)である転送情報アドレスAに基いて出力情報テーブル25(経路情報テーブル)から転送情報(経路情報)を「検索」して取得するものであるから、
小括すると、引用発明の「転送情報検索部」と、補正後の発明の「経路制御部」は、「受信パケットの宛先アドレスを検索キーとして、上記フォワーディングテーブルから1つのメモリアドレスを検索し、該メモリアドレスを上記変換テーブルによって上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換し、該エントリアドレスに基いて上記経路情報テーブルから経路情報を検索する」点で一致する。

したがって、両者は以下の点で一致し、また相違している。

(一致点)
「受信したパケットの宛先アドレスに基いて、経路情報を検索する経路制御部と、上記受信パケットを上記経路制御部が検索した経路情報によって転送するパケット中継部とからなるネットワークノード装置において、
上記経路制御部が、
経路情報を示す複数のエントリからなる経路情報テーブルと、
検索条件となるパケット宛先アドレスに応じて異なったメモリアドレスを出力するフォワーディングテーブルと、
上記フォワーディングテーブルから出力されるメモリアドレスを上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換するための複数のエントリからなるアドレス変換テーブルとを有し、
上記経路情報テーブルが、各エントリが、上記経路情報の一部として、上記受信パケットの出力ポートを示す出力ポート番号を記憶しており、
上記経路制御部が、受信パケットの宛先アドレスを検索キーとして、上記フォワーディングテーブルから1つのメモリアドレスを検索し、該メモリアドレスを上記変換テーブルによって上記経路情報テーブルのエントリアドレスに変換し、該エントリアドレスに基いて上記経路情報テーブルから経路情報を検索するネットワークノード装置。」

(相違点1)
補正後の発明では「ネットワークノード装置」が、「それぞれ入、出力回線に接続された複数のインタフェースモジュール」を備え、
「経路制御部」が、受信パケットを「上記各インタフェースモジュールで受信」し、
「パケット中継部」が、受信パケットを「(経路情報によって)特定される何れかのインタフェースモジュールに」転送するのに対し、引用発明ではこれらの点が不明な点

(相違点2)
「経路情報テーブル」の各エントリが、補正後の発明では「受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレス」を記憶しているのに対し、引用発明では不明な点。

(相違点3)
「経路情報テーブル」が、補正後の発明では「上記フォワーディングテーブルよりも少数のエントリで構成され」るのに対し、引用発明では不明な点、
および、「アドレス変換テーブル」が、補正後の発明では「次転送先MACアドレスが同一となる複数のパケット宛先アドレスと対応する一群のメモリアドレスを上記経路情報テーブルの特定のエントリアドレスに対応付けて」いるのに対し、引用発明では不明な点。


そこで、まず、上記相違点1の「ネットワークノード装置」が、「それぞれ入、出力回線に接続された複数のインタフェースモジュール」を備え、「経路制御部」が、受信パケットを「上記各インタフェースモジュールで受信」し、「パケット中継部」が、受信パケットを「(経路情報によって)特定される何れかのインタフェースモジュールに」転送する点について検討するに、
引用発明の「パケット転送装置」(ネットワークノード装置)は、上述したように、ネットワーク(通信網)を構成する装置であり、ネットワーク(通信網)の結節点(ノード)において網の接続線を構成する各通信路から受信したパケットを転送・中継する装置であるから、引用発明の「パケット転送装置」が、各通信路を構成する複数の「入、出力回線」に接続されることは当業者には自明なことに過ぎない。
また、例えばルータのようなネットワークノード装置において、各通信路を構成する複数の入、出力回線との接続部(ポート)にそれぞれ電気的、機械的整合性を取るためのハードウェアとしてのインタフェースモジュールを設け、該各インタフェースモジュールでパケットを受信し、該受信パケットを特定される何れかのインタフェースモジュールに転送することは、特開平10-303966号公報(請求項1,図1)、特開平11-234344号公報(図1)などにあるように周知技術であるから、該周知技術を引用発明の「パケット転送装置」に適用して、引用発明の「パケット転送装置」に、「それぞれ入、出力回線に接続された複数のインタフェースモジュール」を設け、転送情報検索部(経路制御部)が、受信パケットを「上記各インタフェースモジュールで受信」し、パケット転送制御部(パケット中継部)が、受信パケットを「(経路情報によって)特定される何れかのインタフェースモジュールに」転送するようにすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。

ついで、上記相違点2の「経路情報テーブル」の各エントリが、「受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレス」を記憶している点について検討するに、
上記周知例1、2にあるように、「受信したパケットの宛先アドレスに基いて、経路情報を検索し、該経路情報によって受信パケットを転送するネットワークノード装置において、受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレスを経路情報とすること」は、周知技術であるから、該周知技術を引用発明の「パケット転送装置」に適用して、引用発明の「転送情報」(経路情報)に「受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレス」を追加することは、当業者であれば適宜なし得ることである。

最後に、相違点3の「経路情報テーブル」が、「上記フォワーディングテーブルよりも少数のエントリで構成され」る点、および、「アドレス変換テーブル」が、「次転送先MACアドレスが同一となる複数のパケット宛先アドレスと対応する一群のメモリアドレスを上記経路情報テーブルの特定のエントリアドレスに対応付けて」いる点について検討するに、
引用発明の「パケット転送装置」は、上記イ.、ロ.、ニ.、ホ.、ヘ.にあるように、「転送情報」を「出力情報テーブル25」の「アドレス情報」によって間接的に参照することにより、「転送情報」を共有化すること、すなわち、「転送情報アドレステーブル21」が、例えば「出力回線ポートD3」が同一となる複数の「送信先IPアドレス」と対応する一群の「CAM20」の「アドレス情報」を「出力情報テーブル25」の特定の「アドレス情報」に対応付けることにより、「出力情報テーブル25」の更新処理の高速化、および、メモリの容量の削減を実現するものであるから、「出力情報テーブル25」が、「CAM20」よりも少数のエントリで構成されることは明らかである。
また、引用発明の「パケット転送装置」において、どの「転送情報」を共有化するかは、当業者が適宜決定し得る設計事項であるから、上述したように、受信パケットの次転送先ノード装置を示す次転送先MACアドレスを経路情報とした場合に、次転送先MACアドレスを「出力情報テーブル25」の「アドレス情報」によって間接的に参照すること、すなわち、「転送情報アドレステーブル21」が、次転送先MACアドレスが同一となる複数の「送信先IPアドレス」と対応する一群の「CAM20」の「アドレス情報」を「出力情報テーブル25」の特定の「アドレス情報」に対応付けることは、当業者が適宜なし得ることである。

よって、補正後の発明は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


3.結語
以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、
平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3.本願発明について
1.本願発明
平成21年12月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明及び周知技術
引用発明及び周知技術は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の[引用発明及び周知技術]で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は上記補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-31 
結審通知日 2011-09-06 
審決日 2011-09-27 
出願番号 特願2004-147675(P2004-147675)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 衣鳩 文彦  
特許庁審判長 石井 研一
特許庁審判官 宮田 繁仁
萩原 義則
発明の名称 ネットワークノード装置  
代理人 ポレール特許業務法人  

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