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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1246878 |
審判番号 | 不服2010-22917 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-10-12 |
確定日 | 2011-11-10 |
事件の表示 | 特願2004-234096「予定情報通知システム,予定情報通知端末,予定情報通知プログラム,及び予定情報通知方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 2月23日出願公開、特開2006- 53705〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成16年8月11日の出願であって、平成21年11月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成22年2月5日付けで意見書及び手続補正書が提出された。 これに対し、同年7月5日に拒絶査定がなされ、これ不服として同年10月12日に審判請求されたものである。 2.本願発明 本願発明は、平成22年2月5日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項5に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「通信回線を介して接続されたメール配信システムから、予定日及び予定内容を備えた二以上の予定情報を保有する電子メールを受信する予定情報通知装置であって、 前記電子メールを受信すると、当該電子メールから前記予定情報を順次読み出して、各予定情報に対応する前記予定日及び前記予定内容を備えた転記データを作成し、スケジュール部へ出力するメーラと、 前記転記データをスケジュールデータへ登録して、このスケジュールデータにもとづく前記予定情報の通知を実行する前記スケジュール部と、を備え、 前記スケジュール部が、前記転記データを前記スケジュールデータへ登録するに際して、通知開始日を合わせて登録し、当該通知開始日以降予定日まで、毎日通知を行う ことを特徴とする予定情報通知装置。」 3.引用発明等 A これに対して、原査定の拒絶の理由で引用した特開2001-186277号公報(以下、「引用例1」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 a.「【請求項1】 登録したスケジュール情報に基づきスケジュール報知を行うスケジュール機能を有する無線通信装置において、 送信側無線通信装置から送信されたスケジュール情報を受信するスケジュール情報受信手段と、 前記スケジュール情報受信手段で受信したスケジュール情報を解析し、該解析結果に基づき前記スケジュール機能のスケジュール登録を自動実行するスケジュール登録手段とを具備することを特徴とする無線通信装置。 【請求項2】 前記無線通信装置は、 文字情報を送受信可能な文字メール機能を有し、 前記スケジュール情報受信手段は、前記文字メール機能を用いて前記送信側無線通信装置から送信されたスケジュール情報を受信することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。」(【請求項1】、【請求項2】の記載。下線は当審で付与、以下同様。) b.「【0041】図2において、携帯電話機10-1は、スケジュールデータを送信するスケジュールデータ送信側であり、携帯電話機10-2は、スケジュールデータ受信するスケジュールデータ送信側である。 【0042】すなわち、この実施の形態においては、スケジュールデータ受信側である携帯電話機10-2は、スケジュールデータ送信側である携帯電話機10-1から送信されたスケジュールデータをセンタメールボックス30を介して受信し、この受信したスケジュールデータを解析して、その解析結果に基づきスケジュール機能172に対するスケジュールの自動登録を行う。」(段落【0041】、【0042】の記載。) c.「【0046】図3において、このスケジュールデータは、スケジュールデータであることを示す”SCHEDULE”の8文字からなる文字列、例えば”12月31日”等の6文字からなる日付データ、例えば”21時00分”等の6文字からなる時刻データ、50文字入力可能な用件を表わすメッセージ情報、例えば、送信者電話番号等の12桁からなる送信者情報を含んでいる。 【0047】このスケジュールデータの受信側の携帯電話機は、上記フォーマットの”SCHEDULE”の8文字からなる文字列からスケジュールデータであることを認識し、次の6文字からなる日付データ、6文字からなる時刻データ、メッセージ情報、送信者情報を順次取り出し、スケジュール機能へ自動登録する。」(段落【0046】、【0047】の記載。) d.「【0061】図5は、図2に示したスケジュールデータを送信するスケジュールデータ受信側の携帯電話機の処理を示すフローチャートである。 【0062】図5において、スケジュールデータ受信側の携帯電話機は、このスケジュール機能の処理が開始されると、まず、文字メール受信かが調べられる(ステップ201)。 【0063】ここで、文字メールを受信していないと判断されると(ステップ201でNO)、ステップ201へ戻り、文字メールの受信を待つが、文字メールを受信していると判断されると(ステップ1201でYES)、次に、受信した文字メールはスケジュールデータであるか否かを調べる(ステップ202)。 【0064】ここで、受信した文字メールがスケジュールデータであるか否かの判断は、受信した文字メールが図3に示したスケジュールデータのフォーマットに適合しているか、具体的は、”SCHEDULE”の8文字からなる文字列があるか否かによって判別することができる。 【0065】ステップ202で、受信した文字メールがスケジュールデータであると判断されると(ステップ202でYES)、受信したスケジュールデータをそのフォーマットに基づき解析し、その解析結果に基づきスケジュール機能172にスケジュールデータに対応するスケジュールを自動登録する(ステップ204)。 【0066】次に、スケジュール機能17に自動登録されたスケジュールの内容を表示器15に表示し、そのスケジュール設定内容の確認を行う(ステップ205)。ここで、必要に応じて、自動登録されたスケジュールの内容を変更若しくは編集することができる。 【0067】その後、登録されたスケジュールの予定の日時までの計時を行い、次に、この計時がタイムアップしたかを調べる(ステップ206)。 【0068】ここで、タイムアップしていないと判断されると(ステップ206でNO)、ステップ206に戻り、上記計時を続けるが、ステップ206でタイムアップしたと判断されると(ステップ206でYES)、アラーム若しくは所定のイラスト表示等によりスケジュール報知を行い(ステップ207)、このスケジュール機能の処理を終了する。」(段落【0061】?【0068】の記載。) 記載aから「無線通信装置」は、「文字情報を送受信可能な文字メール機能を有し」ている。 記載a、bから「スケジュール情報受信手段」は、「文字メール機能を用いて送信側無線通信装置から送信されたスケジュール情報をセンターメールボックスを介して受信する」ものである。 記載aの「スケジュール登録を自動実行するスケジュール登録手段」が登録するスケジュールは、記載cによれば「スケジュールデータであることを認識し」、「日付データ」、「時刻データ、メッセージ情報及び送信者情報」である。 してみると、引用例1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)は、以下のとおりのものである。 〈引用発明〉 「登録したスケジュール情報に基づきスケジュール報知を行うスケジュール機能を有し、文字情報を送受信可能な文字メール機能を有した無線通信装置において、 文字メール機能を用いて送信側無線通信装置から送信されたスケジュール情報をセンターメールボックスを介して受信するスケジュール情報受信手段と、 前記スケジュール情報受信手段で受信したスケジュール情報を解析し、スケジュールデータであることを示す文字列を認識し、日付データ、時刻データ、メッセージ情報及び送信者情報を順次取りだし、スケジュール機能に自動登録するスケジュール登録手段と、 登録されたスケジュールの予定の日時までの計時を行い、次に、この計時がタイムアップしたかを調べ、タイムアップしたと判断されると、アラーム若しくは所定のイラスト表示等によりスケジュール報知を行うスケジュール機能と、 を具備する無線通信装置。」 B また、原査定の理由で引用した特開2003-016093号公報(以下、「引用例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。 e.「次に、添付図面を参照しながら本発明に係る第5の実施形態にについて説明する。本発明に係る第5の実施形態は、利用者端末1からPIM(Personal Infomation Manager)等の個人情報管理ソフトを用いて入力された誕生日、記念日、利用者のスケジュール、作業メモ等の情報をサービス処理装置20において管理し、スケジュールの案内や記念日等の通知を曲/コンテンツの間に挿入して、配信することを特徴としている。」(段落【0110】の記載。) f.「サービス処理装置20は、この利用者登録情報に基づいて、利用者のスケジュールや記念日等を曲/コンテンツと共に報告する。なお、報告を行う時間帯の設定は、スケジュール情報であれば、例えば、その予定の1時間前に通知するものでもよいし、毎日決められた時間帯にその日のスケジュールを通知するものであってもよい。また、誕生日、結婚記念日等の記念日情報であれば、その当日に通知するものであってもよいし、記念日の何日か前から当日まで毎日通知するものであってもよい。また、通知する時間帯も、その日のスケジュールと共に予め決められた時間帯に通知するものであってもよいし、9時、12時、15時、18時といったように日に何度も繰り返し通知するものであってもよい。」(段落【0111】の記載。) 記載eの「スケジュールの案内」は、記載fによれば「記念日の何日か前から当日まで毎日通知するもの」である。 してみると、引用例2に記載された技術(以下、「公知技術」という。)は、以下のとおりのものである。 〈公知技術〉 「スケジュールの案内や記念日等の通知を曲/コンテンツの間に挿入して、配信するサービス処理装置であって、スケジュールの案内を記念日の何日か前から当日まで毎日通知するサービス処理装置。」 5.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「無線通信装置」は、「文字情報を送受信可能な文字メール機能を有し」ており、「アラーム若しくは所定のイラスト表示等によりスケジュール報知を行うスケジュール機能」を備えており、また、「文字メール機能を用いて送信側無線通信装置から送信されたスケジュール情報をセンターメールボックスを介して受信するスケジュール情報受信手段」を備えていることから、本願発明の「通信回線を介して接続されたメール配信システムから、予定日及び予定内容を備えた予定情報を保有する電子メールを受信する予定情報通知装置」に相当する。 また、引用発明の「文字メール機能を用いて送信側無線通信装置から送信されたスケジュール情報をセンターメールボックスを介して受信するスケジュール情報受信手段と、 前記スケジュール情報受信手段で受信したスケジュール情報を解析し、スケジュールデータであることを示す文字列を認識し、日付データ、時刻データ、メッセージ情報及び送信者情報を順次取りだし、スケジュール機能に自動登録するスケジュール登録手段」は、本願発明の「電子メールを受信すると、電子メールから前記予定情報を順次読み出して、各予定情報に対応する前記予定日及び前記予定内容を備えた転記データを作成し、スケジュール部へ出力する」機能を有する「メーラ」に相当する。 また、引用発明の「スケジュール機能」は、「登録したスケジュール情報に基づきスケジュール報知を行う」ものであるから、本願発明の転記データをスケジュールデータへ登録して、このスケジュールデータにもとづく予定情報の通知を実行する手段を備える点で一致している。 したがって、本願発明と引用発明は、以下の一致点と相違点とを有する。 <一致点> 「通信回線を介して接続されたメール配信システムから、予定日及び予定内容を備えた予定情報を保有する電子メールを受信する予定情報通知装置であって、 前記電子メールを受信すると、当該電子メールから前記予定情報を順次読み出して、各予定情報に対応する前記予定日及び前記予定内容を備えた転記データを作成し、スケジュール部へ出力するメーラと、 前記転記データをスケジュールデータへ登録して、このスケジュールデータにもとづく前記予定情報の通知を実行する前記スケジュール部と、を備える、 予定情報通知装置。」 <相違点1> 電子メールに保有する予定情報が、本願発明では「二以上」であるのに対し、引用発明では特段の明示がない点。 <相違点2> スケジュール部が、前記転記データを前記スケジュールデータへ登録するに際して、本願発明では「通知開始日を合わせて登録し、当該通知開始日以降予定日まで、毎日通知を行う」のに対し、引用発明では当該構成を備えない点。 6.検討 相違点につき検討する。 <相違点1> 予定情報を二以上保有する電子メールを用いることは、本願出願日前に慣用された周知技術であって、当該周知技術を引用発明に採用して本願発明を構成するに特段の創意を要するものではない。 前記周知技術の一例として周知例1及び周知例2を呈示する。 周知例1:特開平11-259568号公報 周知例2:特開平9-269940号公報 周知例1には「情報処理装置及び方法、並びに記録媒体」(【発明の名称】の記載。)につき、「図2は、返事を要請している電子メールの表示例を示している。この電子メールから、「1997・11・20」に「第2回○○会議」があり、「11/10まで」に田中さんに出欠の「返事をする」ということが内容解析部2で分かり、処理判定部3において、これは返事を要請している内容のメールであり、また、会議の日時を示していると判定される。」との記載がなされている。(段落【0027】の記載。) してみると、周知例1は「電子メールが保有する予定情報は、会議と返事の2つである。」というものである。 また、周知例2には「日時等を抽出する装置」(【発明の名称】の記載。)につき、「ここで、電子メールの文章の一例を図9に示す。抽出部105は、このような電子メールの文章から日付情報及び時間情報を抽出する。」(段落【0017】の記載。)、「ここで、表示部109における表示例を図12に示す。抽出結果の表示方法には、日付情報を赤、時間情報を青というように項目ごとに色を換えて表示する方法や、注目している情報だけをハイライトさせるなどの方法がある。また、抽出結果が複数ある場合には、候補のリストを表示する方法もある。」(段落【0024】の記載。) してみると、周知例2は「電子メールの文章から複数の日付情報及び時間情報を抽出する」というものである。 <相違点2> 相違点2に係る本願発明の構成と、前記公知技術の構成とを対比する。 公知技術の「記念日の何日か前」及び「当日」は、それぞれ、本願発明の「通知開始日」及び「予定日」に相当する。 また、両者ともに、毎日スケジュールを知らせる点においても差異がない。 したがって、相違点2に係る本願発明の構成は、すべて、公知技術も具備する構成であり、そして、一般に、引用発明のようなスケジュールを通知するものにおいて、当該スケジュールを実行する者がスケジュールを忘れないように、確実に通知することが重要であることは、きわめて一般的な課題であるため、引用発明において、スケジュールを通知する具体的な通知手段として、当該公知技術を採用し、相違点2に係る構成とすることに、格別な点はない。 また、本願発明の構成を採用することにより奏する作用効果も、引用発明、公知技術及び周知技術からなる構成により奏する作用効果からみて格別のものではない。 したがって、本願発明は、引用発明において、当該技術分野における公知技術及び周知技術を採用することによって、当業者が格別の創意を要することなく構成し得たものである。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用例1に記載された発明、公知技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-07 |
結審通知日 | 2011-09-13 |
審決日 | 2011-09-28 |
出願番号 | 特願2004-234096(P2004-234096) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田上 隆一 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
青木 健 近藤 聡 |
発明の名称 | 予定情報通知システム,予定情報通知端末,予定情報通知プログラム,及び予定情報通知方法 |
代理人 | 岡野 功 |
代理人 | 生富 成一 |
代理人 | 渡辺 喜平 |