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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1246888
審判番号 不服2010-28342  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-15 
確定日 2011-11-10 
事件の表示 特願2004-180025「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 1月 5日出願公開、特開2006- 3649〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成16年6月17日の出願であって、平成21年9月18日付けで通知した拒絶理由に対して、同年11月25日付けで手続補正書が提出され、平成22年3月5日付けでなされた最後の拒絶理由の通知に対して、同年4月28日付けで意見書が提出された(手続補正書の提出はなし)が、同年9月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月15日付けで審判請求がなされたものである。

第2 本願発明について

1.本願発明

本願の請求項1?26に係る発明は、平成21年11月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?26に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
当該画像形成装置の高さ方向を上下方向とした場合に、前記画像形成部の上方に設けられ、用紙排出口から排出される用紙を載置可能な用紙載置部と、
前記用紙載置部の上方において前記用紙載置部を覆うように設けられた読取部とを備え、
前記用紙載置部の上面と、前記読取部の下面とが対向するように構成された画像形成装置であって、
当該画像形成装置を水平面上に載置した場合の水平方向と、前記用紙排出口からの用紙排出方向のなす角度を排出角度θとした場合、
前記用紙排出口において、当該用紙排出口から排出される前記用紙が前記読取部の下面に接触するように前記排出角度θが設定されており、
当該画像形成装置において画像形成可能となる最大サイズの用紙を用いた場合に、前記用紙排出口から前記用紙が排出されて前記下面に接触する時点において当該用紙全体が転写位置を通過し終えていることを特徴とする
画像形成装置。」

2.引用刊行物の記載事項

これに対して、原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願日前に頒布された、
1.特開2002-271568号公報(原査定の引用文献1。以下、「 刊行物1」という。)
2.特開平6-9096号公報(原査定の引用文献2。以下、「刊行物2 」という。)
3.特開平8-114958号公報(原査定の引用文献3。以下、「刊行 物3」という。)

には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)刊行物1

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 作像部とスキャナ部との空間に被転写体を排出して画像を形成する画像形成装置において、被転写体に画像情報を形成する作像部と、上記作像部を内包する装置筐体と、上位装置筐体の上方に空間を隔てて配設されてオリジナル画像情報を読み取り電気信号に変換して上記作像部に供給するスキャナ部と、上記スキャナ部と上記作像部との空間に被転写体を排出する排紙部と、上記排紙部の上部に配置されて排紙される被転写体と接するスキャナ部底板と、上記スキャナ部底板の排紙される被転写体と接する接触領域面内と、上記接触領域面内外の接触領域面外に障害形状部の全部又は一部を配置したことを特徴とする画像形成装置。」

(1b)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、FAX、それらとの複合機等の画像形成装置に関するものである。」

(1c)「【0004】
そこで、画像形成装置の占有スペ-スを縮小化し、かつその設置の自由度を増やすべく、シ-ト上に画像を形成する作像エンジンと、当該作像エンジンで画像形成されたシ-トを排出するシ-ト排出手段と、当該シ-ト排出手段により排出されたシ-トを積載するシ-ト積載部を上記作像エンジンの上方に形成する作像エンジン筐体と、シ-ト積載部の上方に空間を隔てて配置され、原稿画像情報を電気信号に変換して上記作像エンジンに供給するスキャナ手段と、当該スキャナ手段を上記シ-ト積載部の上方に空間を隔てて支持する支持手段とを有してなる画像形成装置が提案されている。
【0005】
このように、作像部とスキャナ部との間に用紙を排出する所謂ウイングレス型装置は、装置筐体側に排紙トレイを張り出す必要がないので、上記した外付け排紙トレイの疎ましさが解消され、装置の設置スペ-スの制約を減らすことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、胴内排紙させることで排紙トレイを無くすことができるので、画像形成装置の占有スペ-スを縮小化し、かつその設置の自由度を増やすことが可能になった。しかし今日、SOHOなどの環境ではより装置の小型化が期待されている。つまり、幅方向のダウンサイジングはもとより、高さ方向のダウンサイジングへも関心が高まっている。
【0007】
装置の高さ方向を低くする手段の一つとして、排紙シ-トの積載部を狭くすることが考えられる。排紙されたシ-トをすぐに取り除くことを考えれば、排紙積載部の高さをそれほど高くしておく必要がないという発想である。最近の装置では、スキャナ部の底カバ-を排除して少しでも積載枚数を稼ごうとするものも見られる。そうした場合、スキャナ底板に穴部、突起部があると、排紙したシ-トが穴部、突起部に引っ掛かり、シ-トがジャムったり、破れたりすることが考えられる。これを防止するために、樹脂のカバ-を設けたり、排紙されるシ-トがスキャナ部底板に当たらないように胴内排紙部を大きく設計しておくなどの方法が取られている。これらの方法は、コストがかかり、装置自体の大きさを小さくできないなどのデメリットがある。
【0008】
そこで本発明は、作像部とその上方に配置されたスキャナ部の装置筐体内空間に被転写体を排紙しても、ジャム等の発生を防止して、被転写体の積載枚数を減少することなく小型化が可能で、低コストの画像形成装置を提供することを目的とする。」

(1d)「【0018】
図1と図2において、作像部とスキャナ部との空間に被転写体を排出して画像を形成する画像形成装置0は、被転写体(P)の転写紙に画像情報を形成する作像部1と、上記作像部1を内包する装置筐体0aと、上位装置筐体0aの上方に空間を隔てて配設されてオリジナル画像情報を読み取り電気信号に変換して上記作像部1に供給するスキャナ部2と、上記スキャナ部2と上記作像部1との空間に被転写体(P)の転写紙を排出する排紙部3と、上記排紙部3の上部に配置されて排紙される被転写体(P)の転写紙と接するスキャナ部底板4と、上記スキャナ部底板4の排紙される被転写体(P)の転写紙と接すると、上記接触領域面内4a外の接触領域面外4bに障害形状部5の全部又は一部を配置して、作像部とその上方に配置されたスキャナ部の装置筐体内空間に被転写体を排紙しても、ジャム等の発生を防止して、被転写体の積載枚数を減少することなく小型化が可能で、低コストである。
【0019】
上記画像形成装置0のほぼ中央部には、上記作像部1が配置され、そのすぐ下方に給紙部7が位置する。上記給紙部7は2段の給紙カセットからなるように図示されているが、必要に応じてカセット数を増減することは自在である。
【0020】
上記作像部1の上方には空間を隔てて原稿読み取りのための上記スキャナ部2が設けられている。上記作像部1と上記スキャナ部2との間の空間部が上記排紙部3として形成され、画像複写された被転写体(P)の転写用紙を排紙するようになっている。上記排紙部3は2段の排紙部からなるように図示されているが、必要に応じて排紙部を増減することは自在である。」

(1e)図1は次のとおり。


(1f)図2は次のとおり。


(1g)「【0027】
上記読み取り走行体2bにより走査された画像情報は、レンズの後方に設けられた画像読取装置2cに、画像信号として読み込まれる。読み込まれた画像信号は、デジタル化されて画像処理される。画像処理された信号に基づいて、上記露光装置10の図示しないレ-ザ-ダイオ-ド(LD)を駆動し、このレ-ザ-ダイオ-ド(LD)からのレ-ザ-光をポリゴンミラ-で反射した後、ミラ-を介して、上記感光体ドラム8上に照射して、上記感光体ドラム8上に静電潜像を形成する。
【0028】
上記作像部1上の上記排紙部3は、図1で見て正面を除く三方が上記装置筐体0aの一部を形成する壁面によって取り囲まれて構成されており、上記スキャナ部2を上方に持ち上げ支持する状態となっている。その結果、画像形成された被転写体(P)の転写用紙は上記画像形成装置0の胴内に排紙されることになる。
【0029】
上記排紙部3には、上記装置筐体0a上面に形成された排紙トレイ3aの他に、排紙ジョガ-付きビントレイ3bが備えられている。
【0030】
上記ビントレイ3bは、図示の矢印A方向に移動可能で、排紙空間の程度に応じて任意に増やすことが可能である。
【0031】
上記帯電ロ-ラ9によって上記感光体ドラム8の表面を均一に帯電し、上記スキャナ部2で読み取られた画像処理された信号に基づき露光装置10での光照射によって静電潜像を上記感光体ドラム8表面に形成する。
【0032】
次いで、上記感光体ドラム8に形成された静電潜像が上記現像装置11の対向位置を通過する際にトナ-付着によって、上記感光体ドラム8に形成された静電潜像が可視像化される。
【0033】
上記給紙部7の上記給紙カセット7a、又は、上記手差しトレイ7eからタイミングを合わせて搬送されてきた被転写体(P)の転写用紙に可視像が重ねられ、上記転写ロ-ラ12を用いて、被転写体(P)の転写用紙に上に転写される。
【0034】
転写されたトナ-像は上記定着装置14を通過することによって被転写体(P)の転写用紙上に固着される。
【0035】
一方、転写処理後の上記感光体ドラム8は上記クリ-ニング装置13によって残留トナ-を除去され、上記感光体ドラム8上の残留電荷は図示しない除電装置によって除電される。トナ-像を定着された被転写体(P)の転写用紙は、上記排紙部3の上記排紙トレイ3a、上記ビントレイ3b、開放された最外側カバ-3cのいずれかに排出されるようになっている。
【0036】
図3乃至図6において、上記スキャナ部2の底面に配置された上記スキャナ部底板4の上記接触領域面内4aが排紙される被転写体(P)の転写用紙との接触領域である。
【0037】
上記接触領域面内4aの幅方向は、搬送・排紙時のスキュ-を考慮して最大転写用紙よりも若干大き目に設定する。」

これらの記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

「画像を形成する作像部と、
該作像部によりトナー像が定着され、画像が形成された転写用紙を排出、積載する排紙部と、
オリジナル画像情報を読み取り電気信号に変換して、前記作像部に供給するスキャナ部とを備えた画像形成装置において、
前記作像部の上方に空間を隔てて前記スキャナ部が設けられ、
前記作像部と前記スキャナ部との間の前記空間が前記排紙部として形成され、
前記排紙部の上部に配置される前記スキャナ部の底面に配置されたスキャナ部底板に排紙された転写用紙が接触する画像形成装置。」

(2)刊行物2

(2a)「【0037】
そこで、定着速度を遅くして熱量供給時間を長くするという手法が提案されたが、このような手法を用いると、画像ステイションにおける画像形成速度と定着速度の間に差が生じて転写材Pが定着ローラ411と加圧ローラ412の圧接部に突入する際に衝撃を受けたり、速度差によって転写材Pがループして画像を乱すという問題があった。そのため、転写材Pが転写部406を全て抜けて搬送ベルト9上に載った時点で定着ローラ411と加圧ローラ412及び搬送ベルト409の速度を遅らせる手法が提案された。ところが、このような手法の場合は少なくとも転写部406と定着装置408との距離を最大転写材サイズよりも長くしなければならず、上述したように複数の画像形成ステイションを設ける必要のあるカラー画像形成装置においては装置全体が大型化するという問題があった。したがって、装置を大型化することなくこの手法を用いるには、転写部6と定着装置8との距離をが短くする必要があり、坪量の大きい転写材の定着時には転写材サイズが制限されるという問題があった。」

(3)刊行物3

(3a)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の画像形成装置では次のような問題がある。
すなわち、画像形成装置が小型で転写部から定着部に至る通紙パスが短いものでは、トナー像転写が完了しないうちに転写シートの先端が定着部に突入し、この突入の衝撃が転写に影響を及ぼし、画像ノイズを発生させる、いわゆる定着突入ノイズの問題がある。
【0004】
また、特にオーバヘッドプロジエクタ(OHP)用の透明の転写シートにトナー像を定着させる場合、十分にトナーを溶融させないとトナー像表面の平滑性が得られず、透光性が悪化するので、このような場合は、例えば特開昭59-188673号公報に開示されているように、定着部におけるシート移動速度を通常の転写紙のときより低下させてトナーを十分溶融させることが考えられる。だが、このようなものでは、前述のように画像形成装置が小型で転写部から定着部に至る通紙パスの長さが転写シートの長さに比べて十分でないとき、転写部と定着部の双方に転写シートがかかったときに、転写部と定着部での転写シート搬送速度の相違のため、シート搬送に乱れが生じ、これが画像ノイズを招く。
【0005】
これらの問題を解決するには転写部から定着部に至る通紙パスを、使用される転写シートのうち最大長のものより長くすればよい。しかしそれでは画像形成装置が大型化し、特に今日における装置の小型化の要求に応えられない。
そこで本発明は、装置を大型化させることなく、転写シートのサイズに応じて転写部から定着部に至る通紙パスの長さを確保して定着突入ノイズの発生を防止することができるとともに、例えばOHP用転写シートにトナー像を十分溶融定着させる等のために定着部におけるシート搬送速度、換言すれば定着速度を低下させるときのように定着速度を変化させるときでも、転写シート搬送乱れ及びそれに伴う画像ノイズの発生を防止することができる電子写真方式の画像形成装置を提供することを課題とする。」

3.対比・判断

本願発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、
刊行物1記載の発明の「作像部」「画像形成装置」「転写用紙」「排紙部」「スキャナ部」は、
それぞれ、本願発明1の「画像形成部」「画像形成装置」「用紙」「用紙載置部」「読取部」に相当する。

また、刊行物1記載の発明の「画像形成装置」は、「前記作像部の上方に空間を隔てて前記スキャナ部が設けられ、前記作像部と前記スキャナ部との間の前記空間が前記排紙部として形成され」ており、本願発明1の「用紙載置部」は「画像形成装置の高さ方向を上下方向とした場合に、前記画像形成部の上方に設けられ」ること、「読取部」は「用紙載置部の上方において前記用紙載置部を覆うように設けられ」ることとから、刊行物1記載の発明の「作像部」「排紙部」「スキャナ部」と、本願発明1の「画像形成部」「用紙載置部」「読取部」とは、「画像形成装置」における構成の配置の点で共通する。
そして、刊行物1記載の発明の「画像形成装置」は、「前記排紙部の上部に配置される前記スキャナ部の底面に配置されたスキャナ部底板に排紙された転写用紙が接触」しており、「転写用紙」が排紙される「排紙部」に対して、その上部に配置される「スキャナ部の底面に配置されたスキャナ部底板」に接触して排紙されるのであるから、刊行物1記載の発明の「排紙部」、「スキャナ部」の配置は、本願発明1の前記用紙載置部の上面と、前記読取部の下面とが対向するように構成され」ていることと、「画像形成装置」における構成の配置の点で共通する。

そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりと認められる。

[一致点]
「画像を形成する画像形成部と、
当該画像形成装置の高さ方向を上下方向とした場合に、前記画像形成部の上方に設けられ、用紙排出口から排出される用紙を載置可能な用紙載置部と、
前記用紙載置部の上方において前記用紙載置部を覆うように設けられた読取部とを備え、
前記用紙載置部の上面と、前記読取部の下面とが対向するように構成された画像形成装置。」

[相違点1]
本願発明1は、「当該画像形成装置を水平面上に載置した場合の水平方向と、前記用紙排出口からの用紙排出方向のなす角度を排出角度θとした場合、前記用紙排出口において、当該用紙排出口から排出される前記用紙が前記読取部の下面に接触するように前記排出角度θが設定されて」いるのに対して、刊行物1記載の発明では、「用紙載置部」の上部に配置される「読取部」の底面に配置されたスキャナ部底板に排紙された用紙が接触するが、接触するように排出角度が設定されているか不明である点。

[相違点2]
本願発明1は、「当該画像形成装置において画像形成可能となる最大サイズの用紙を用いた場合に、前記用紙排出口から前記用紙が排出されて前記下面に接触する時点において当該用紙全体が転写位置を通過し終えている」のに対して、刊行物1記載の発明では、そのように構成されているのかは不明である点。

相違点について検討する。

(相違点1について)
刊行物1記載の発明には、用紙排出口から排紙された用紙が読取部の下面に接触することに関し、「図3乃至図6において、上記スキャナ部2の底面に配置された上記スキャナ部底板4の上記接触領域面内4aが排紙される被転写体(P)の転写用紙との接触領域である。」(【0036】参照。)と記載されており、用紙排出口から排紙された用紙が読取部の下面に接触するように構成されているのであるから、読取部の下面に接触するように用紙の排出角度が所望の角度に設定されていることは明らかである。

(相違点2について)
刊行物2,3には、用紙の先端が定着器に突入する際の衝撃が、転写部におけるトナーの転写に影響を及ぼし、転写される画像が乱れるという課題、また、この課題を解決するために、定着器と転写部との距離を、使用する用紙の最大サイズよりも長くすること、すなわち、用紙の先端が定着器に達するまでに、当該最大サイズの用紙の後部が転写部の転写位置を通過するように距離が設定されている技術が明示されており、当該技術は本願出願前に周知の技術である。
そして、当該技術が周知の技術であり、また、画像形成を伴う用紙の搬送で、画像が転写される転写部の用紙の搬送方向下流側に配置されるいずれかの構成に用紙の先端が衝突した場合、発生した衝撃が用紙を伝わり、転写部におけるトナー転写へ少なからず影響を与えることは明らかであることから、用紙の先端が搬送中に何らかの構成に突き当たり、それに伴う衝撃が用紙の先端から後方へと伝わり、転写部におけるトナーの転写に影響を及ぼし、転写される画像が乱れるという課題、また、この課題を解決するために、転写部と、転写部の用紙搬送方向下流側において突き当たることにより用紙に衝撃が加わる構成との距離を、使用する用紙の最大サイズよりも長くすること、すなわち、当該最大サイズの用紙を用いた場合でも、用紙の先端が前記構成に達するまでに、転写部の転写位置を通過するように、前記距離を設定する技術は、当業者が適宜考慮する事項であると認められる。

そうしてみると、刊行物1記載の発明においても、用紙排出口から排出された用紙が読取部の下面に接触するのであるから、その接触により前記用紙に衝撃が作用することは明らかであり、作用した衝撃に対する構成として、当該考慮する事項である技術を採用し、画像形成装置において画像形成可能となる最大サイズの用紙を用いた場合に、用紙排出口から用紙が排出されて下面に接触する時点において当該用紙全体が転写位置を通過し終えているようにすることは、当業者が容易になし得ることといわざるを得ない。

(相違点1,2全体について)
以上は、相違点1、2を個々に検討したが、相違点1,2を全体としてみても、本願発明1のようになすことに、困難性がない。

(本願発明1の効果について)
そして、全体として、本願発明1によってもたらされる効果も、刊行物1?3に記載された事項や周知技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(まとめ)
よって、本願発明1は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.請求人の主張について

請求人は、審判請求書で、

「引用文献2、3
引用文献2、3には、用紙の先端が「定着器に突入する」際の衝撃がトナーの転写に影響を及ぼすことが記載されています。これは、用紙が搬送される方向において定着器よりも前の範囲の衝撃についての課題が認識されているに過ぎません。
特に、引用文献3においては、その[0003]段落に記載のように、「・・画像形成装置が小型で転写部から定着部に至る通紙パスが短いもの」に対して生じる課題を認識して発明がなされたものであり、本願発明のように通紙パスが短い画像形成装置に適用するには阻害要因を有しております。
これに対し、本願発明は、用紙の先端が「読取部の下面に当接する」際の衝撃が転写に影響を与え得ることを、発明者が初めて見い出し、その課題を解決すべくなされたものであります。つまり、定着器を過ぎた後において生じる衝撃が転写に影響することを初めて見出し、引用文献2、3には記載も示唆もされていない技術的課題を解決するために(A)「当該画像形成装置において画像形成可能となる最大サイズの用紙を用いた場合に、用紙排出口から用紙が排出されて読取部の下面に接触する時点において当該用紙全体が転写位置を通過し終えている」という引用文献1?3には記載も示唆もない本願特有の構成を備えるように構成したものです。
このように、本願発明は、上記本願独自の構成を備えることによって、引用文献1?3に記載も示唆もない新規な技術的課題(用紙の先端が読取部の下面に当接する際の衝撃が転写に影響を与えることを防止する)を引用文献1?3に記載も示唆もない本願独自の構成(A)を備えることによって解決する以上、当業者といえども引用文献1?3から本願発明を容易に想到することは不可能です。」

と主張する。

たしかに、請求人が主張するように、刊行物2,3には、「用紙の先端が「定着器に突入する」際の衝撃がトナーの転写に影響を及ぼすこと」が記載されているのみで、「用紙の先端が「読取部の下面に当接する」際の衝撃が転写に影響を与え得ること」については記載も示唆もされていない。
しかし、上記「(相違点2について)」でも示すように、画像形成を伴う用紙の搬送で、画像が転写される転写部の用紙の搬送方向下流側に配置されるいずれかの構成に用紙の先端が衝突した場合、発生した衝撃が用紙を伝わり、転写部におけるトナー転写へ少なからず影響を与えることは明らかであり、刊行物2,3に記載された事項から、用紙の先端が搬送中に何らかの構成に突き当たり、それに伴う衝撃が用紙の先端から後方へと伝わり、転写部におけるトナーの転写に影響を及ぼし、転写される画像が乱れるという課題、また、この課題を解決するために、転写部と、転写部の用紙搬送方向下流側において突き当たることにより用紙に衝撃が加わる構成との距離を、使用する用紙の最大サイズよりも長くすること、すなわち、当該最大サイズの用紙を用いた場合でも、用紙の先端が前記構成に達するまでに、転写部の転写位置を通過するように、前記距離を設定する技術は、当業者が適宜考慮する事項であると認められる。

また、刊行物3に記載された発明を本願発明に適用するには阻害要因がある旨主張している。
しかし、本願発明は画像形成装置の小型化を実現するものであることは認められるが、発明の詳細な説明または図面を参酌しても、画像形成装置の通紙パスが短いものであることについては、記載も示唆もされておらず、本願発明の記載に基づく主張であるとは認められない。
よって、上記請求人の主張は採用できない。

4.むすび

以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-08-30 
結審通知日 2011-09-06 
審決日 2011-09-21 
出願番号 特願2004-180025(P2004-180025)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 勝見  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 立澤 正樹
住田 秀弘
発明の名称 画像形成装置  
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