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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16C
管理番号 1247206
審判番号 不服2010-27807  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-08 
確定日 2011-11-14 
事件の表示 特願2004-198708「円すいころ軸受」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月14日出願公開、特開2005-188738〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成16年7月5日(優先権主張 平成15年12月2日)の出願であって、平成22年9月7日(起案日)付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成22年12月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成22年3月25日付け、平成22年7月23日付け、及び平成22年12月8日付けの手続補正によって補正された明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によって特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明は、以下のとおりのものである。なお、上記平成22年12月8日付けの手続補正は、明細書の全文及び図面の図4について補正をするものであり、特許請求の範囲についてする補正ではない。
「【請求項1】
内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複数の円すいころと、前記円すいころを円周所定間隔に保持する保持器とを備えた、前記保持器が中立位置にあるとき前記外輪と接触しない円すいころ軸受において、前記保持器のポケットの窓角を55°以上80°以下にし、かつ、ころ係数γが0.94を越えることを特徴とする円すいころ軸受。」(以下「本願発明」という。)

2.引用刊行物とその記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された刊行物は、次のとおりである。

刊行物1:特開平11-210765号公報
刊行物2:特開2003-28165号公報
(公開日 平成15年1月29日)

(1)刊行物1(特開平11-210765号公報)の記載事項

刊行物1には、「デファレンシャルギヤのピニオン軸支持用円すいころ軸受」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のデファレンシャルにおいて、減速小歯車のピニオン軸をケーシングに対して回転自在に支持する円すいころ軸受に関する。」

(イ) 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】自動車の低燃費化を実現するためには、動力伝達系の動力伝達ロスを低減することが不可欠であり、そのための手段として、動力伝達系における軸受部の摩擦トルクを低減することが考えられる。その場合、デファレンシャルギヤのピニオン軸支持用軸受(13)の摩擦トルクを低減することが有効である。
【0006】本発明は、自動車の低燃費化を達成するために、デファレンシャルギヤのピニオン軸支持用軸受のトルク低減を図ることを目的とするものである。」

(ウ) 「【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明では、
(1)外輪の軌道面が軸受中心軸となす角度(接触角α)を21?25度とし、
(2)円すいころの軸線と直交しかつ円すいころの直径が平均径(DA)となる位置を通る断面における、円すいころの平均径(DA)と、内輪の内径面と外輪の外径面との間の間隔(W)との比(肉厚比PR=DA/W×100)を40%?51%とし、
(3)γ=(Z・DA)/(π・PCD)(Z:円すいころの本数、DA:円すいころの平均径、PCD:円すいころのピッチ円直径)で表されるころ係数(γ)を0.86?0.94とし、
(4) 円すいころの長さ(L)と平均径(DA)との比(=L/DA)を1.20?2.25に設定した。」(審決注:上記(1)ないし(4)は、原文では、それぞれ丸囲み数字の1ないし4である。)

(エ) 「【0009】接触角α、肉厚比PR、ころ係数γ、比(L/DA)を上記のような値に設定することにより、転がり摩擦トルク(MR)を低減し、特に中高速回転域における回転トルク(M)を効果的に低減することができる。」

(オ) 「【0012】図1に示す円すいころ軸受は、図4に示すようなデファレンシャルの減速歯車装置において、ピニオン軸12をケーシング11に対して回転自在に支持するもので、円すい状の軌道面1aを有する外輪1と、円すい状の軌道面2aを有し、この軌道面2aの小径側に小鍔面2b、大径側に大鍔面2cを有する内輪2と、外輪1の軌道面1aと内輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の円すいころ3と、円すいころ3を円周所定間隔に保持する保持器4とで構成される。……」

上記記載事項(ア)?(オ)及び図面の記載を総合すると、刊行物1には、
「円すい状の軌道面1aを有する外輪1と、円すい状の軌道面2aを有し、この軌道面2aの小径側に小鍔面2b、大径側に大鍔面2cを有する内輪2と、外輪1の軌道面1aと内輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の円すいころ3と、円すいころ3を円周所定間隔に保持する保持器4とで構成される、円すいころ軸受において、γ=(Z・DA)/(π・PCD)(Z:円すいころの本数、DA:円すいころの平均径、PCD:円すいころのピッチ円直径)で表されるころ係数(γ)を0.86?0.94とした円すいころ軸受。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(2)刊行物2(特開2003-28165号公報)の記載事項

刊行物2には、「ころ軸受装置」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。

(カ) 「【0003】
【発明が解決しようとする課題】図4は、従来技術によるころ軸受装置の軸線方向断面図であり、図5は、図4の構成をV-V線で切断して矢印方向に見た図である。図において、ころ軸受装置100は、外輪101と、内輪102と、外輪101と内輪102との間に転動自在に配置された円すいころ103と、円すいころ103を保持する保持器104とを有している。保持器104は、リング状部104bと、リング状部104bから軸線方向且つ半径方向に延在する複数の柱部104aとを有している。
【0004】ここで、かかる保持器104は、図5に示すように、円すいころ103の周方向両側に、柱部104aの案内面104cを当接させることで支持され、外輪101と内輪102との間において、フローティング状態で配置されている。そのため、かかる従来の円すいころ軸受では次のような問題が生じている。
【0005】まず、外輪101の内周面と保持器104の外周面との間のすきまSが小さいと、軸受装置回転時の保持器104の振れ回りなどにより、保持器104の外周面と外輪101の内周面(軌道面)が当接し、硬度の低い保持器104の当接部では著しい摩耗を生じる恐れがある。
【0006】このような当接による摩耗を防ぐため、保持器104の振れ回り量などを考慮しても当接しないすきまSminを確保する必要がある。しかしながら、すきまSminを確保すると、外輪101の内径に対して、保持器104の外径を、図5に示すように限られた範囲以上に大きくできず(CRmax以下)、それに伴って保持器104の柱部104aの周方向幅W1は狭くなり、ころ103から大きな力を受ける厳しい使用条件では、柱部104aの強度を十分に得られない恐れがある。」

(キ) 「【0007】図6は、上述の問題点を解消できると考えられるころ軸受装置110の軸線方向断面図であり、図7は、図6の構成をVII-VII線で切断して矢印方向に見た図である。かかるころ軸受装置においては、保持器114の柱部114aが、外輪111の内周面(軌道面)に当接し、それにより案内されるような構造となっている。このような構成によれば、保持器114の外径が増大するので、それに伴い柱部114aの周方向幅W2をW1より大きくすることができ、保持器114の強度を増大させることができる。
【0008】しかしながら、図6,7の構造を採用すると、保持器114の強度は確保できるが、以下に述べるような新たな問題が生じる。図8は、図6の構成の拡大図であり、図9は、図7の構成の拡大図である。ころ軸受装置110の動作時に、図9に示すように、ころ113が保持器114の柱部114aを押す、あるいは保持器114の柱部114aがころ113を押すことにより、柱部114aが力を受ける。すなわち、図5の従来技術の保持器104と比較すると、窓押し角(一つのころに当接する柱部の案内面のなす角度)L2が広くなることから、保持器114を半径方向に押し広げる力F1(ころ113からの反力Fに対し、F・cosθ:θ=90-(L2/2))も大きくなり、柱部114aの中央部は、図8の実線(点線は力を受ける前)で示すように変形する。すると、互いに当接し合う外輪111の内周面と保持器114との外周面の摩擦が増大し、当接部の摩耗を促進し、引きずりトルクの増大を引き起こす可能性がある。」

3.発明の対比

本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「円すい状の軌道面1aを有する外輪1」は本願発明の「外輪」に相当し、以下同様に、「円すい状の軌道面2aを有し、この軌道面2aの小径側に小鍔面2b、大径側に大鍔面2cを有する内輪2」は「内輪」に、「外輪1の軌道面1aと内輪2の軌道面2aとの間に転動自在に配された複数の円すいころ3」は「前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複数の円すいころ」に、「円すいころ3を円周所定間隔に保持する保持器4」は「前記円すいころを円周所定間隔に保持する保持器」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「γ=(Z・DA)/(π・PCD)(Z:円すいころの本数、DA:円すいころの平均径、PCD:円すいころのピッチ円直径)で表されるころ係数(γ)」は、本願発明の「ころ係数γ」に相当し、引用発明の「ころ係数(γ)を0.86?0.94とした」ことと、本願発明の「ころ係数γが0.94を越える」こととは、「ころ係数γを所定の数値範囲に限定した」ことで共通する。

よって、本願発明と引用発明とは、
[一致点]
「内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配された複数の円すいころと、前記円すいころを円周所定間隔に保持する保持器とを備えた、円すいころ軸受において、ころ係数γを所定の数値範囲に限定した円すいころ軸受。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明は、「前記保持器が中立位置にあるとき前記外輪と接触しない」円すいころ軸受において、「前記保持器のポケットの窓角を55°以上80°以下にし」、かつ、ころ係数γが「0.94を越える」ようにしたものであるのに対して、引用発明は、保持器4が中立位置にあるとき外輪1と接触しない円すいころ軸受であるか否か明らかでなく、また、保持器4のポケットの窓角をどの程度の角度にしたのか明らかでなく、更に、ころ係数(γ)を0.86?0.94としたものである点。

4.当審の判断

(1)相違点について

刊行物2の記載事項(カ)には、保持器と外輪のすきまを小さくすると、保持器の外周面と外輪の内周面とが当接して保持器の当接部に摩耗を生じるが、このような当接による摩耗を防ぐため、当接しないすきまSminを確保した場合であっても、保持器の柱部の強度などに問題が生じる旨が記載されている。他方、本願発明は、負荷容量のアップと軌道面の面圧過大による早期破損を防止するために(当該課題自体は周知である(例えば、特開2002-195255号公報の段落【0005】を参照。))、保持器に柱部の強度などに関する課題が生じるか否かに拘わらず、「前記保持器のポケットの窓角を55°以上80°以下にし」、ころ係数γが「0.94を越える」構成を特定したものである。そこで、本願発明が上記のように保持器のポケットの窓角ところ係数γを数値によって特定した技術的意義について検討すると次のとおりである。
本願発明がころ係数γについて「0.94を越える」こととした根拠は、従来「通常0.94以下」(本願明細書の段落【0010】)であったものを、その範囲「0.94を越える」(同段落【0013】)としたものであり、上記「0.94」という値の根拠や技術的意義については本願明細書に何ら記載されてなく、ころ係数γの下限として「0.94」に臨界的意義があるというものでもない。
この点について審判請求人は、平成23年1月7日付けで提出した審判請求書の手続補正書(方式)の請求の理由の「(3)-1)A)本願発明の特徴的構成」の項において、保持器と外輪とのすきま(A)と保持器ところとのすきま(B)とに関し、上記手続補正書(方式)に添付した参考図の図2に、横軸がころ充填率(γ)すなわちころ係数γを表し、縦軸に保持器が軸中心に対してセンタリングした状態すなわち中立位置での各部のすきま(上記参考図では「スキマ」と表記されている。)(A、B)のグラフを示して、上記ころ係数γが「0.94」の値を境にしてすきま(A)とすきま(B)の大小関係が変わり、臨界的意義があるかのように説明しているが、上記すきま(A)と上記すきま(B)との大小関係は、ころに対する保持器の柱部の断面の幾何学的形状(半径方向に細長いか、円周方向に広いか)や半径方向の厚さ寸法などの構造によっても変わるものであり、ころ係数γのみによって一義的に変わるものではない。さらに、ころを密着して配置(ころ係数γは1に近い数値となる。)した場合でも、材料の選択や構造に基づく強度は別として、保持器の柱部の上述した構造を調整すれば、ころ係数に関わりなく保持器が外輪に接触する形状も接触しない形状も自由に設計できることも参酌すると、特定のころ係数において円すいころ軸受に対する普遍的な技術的意義ないし臨界的意義があるということはできない。
また、保持器が外輪に接触するか接触しないかは、円すいころ軸受の傾斜角(刊行物1の記載事項(ウ)及び図1(b)の接触角αを参照。)が急なら相対的に少し動かせば接触するし、保持器のポケットの軸方向の隙間が大きい場合にも大きく移動できる結果として接触するので、この点からもころ係数γが0.94を境界にして普遍的に上記すきま(A)と上記すきま(B)との関係が変わるものではないということができる。換言すれば、円すいころ軸受は、上述した保持器の構造に関連して、保持器を小径側に寄せて径方向に動かすと外輪に接触するようなころ係数γの値があるというに過ぎない。
次に、本願発明が「前記保持器のポケットの窓角を55°以上80°以下にし」た技術的意義は、本願の明細書の記載を参酌すると、その段落【0021】に「下限窓角θminを55°以上としたのは、ころとの良好な接触状態を確保するためであり、窓角55°未満ではころとの接触状態が悪くなる。すなわち、窓角を55°以上にすると、保持器強度を確保した上でγ>0.94として、かつ、良好な接触状態を確保できるのである。また、上限窓角θmaxを80°以下としたのは、これ以上大きくなると半径方向への押し付け力が大きくなり、自己潤滑性の樹脂材であっても円滑な回転が得られなくなる危険性が生じるからである。」と記載されている。すなわち、上記窓角の下限値55°は、保持器ところの良好な接触状態を確保するためであり、同上限値80°は、上記刊行物2の記載事項(キ)に記載されたようなころに対する保持器の押し付け力を最適化するために特定されたものであって、いずれも、接触状態に関する定性的な特性から窓角を特定したものであって、臨界的意義を有するものではない。

そこで、まず、上記相違点に係る本願発明の円すいころ軸受が「前記保持器が中立位置にあるとき前記外輪と接触しない」ものであって、ころ係数γが「0.94を越える」ものである点について検討する。
刊行物1に記載された円すいころ軸受は、デファレンシャルギヤのピニオン軸支持用軸受のトルク低減を図る(刊行物1の記載事項(イ))ために、接触角α、肉厚比PR、ころ係数γ、比(L/DA)を刊行物1の記載事項(ウ)のような値に設定したもので、当該ころ係数(γ)は0.86?0.94としたものであるから、本願明細書の段落【0010】に「・・・従来の典型的な保持器付き円すいころ軸受は、図9のように外輪71と保持器72との接触を避けた上で、保持器72の柱幅を確保し、適切な保持器72の柱強度と円滑な回転を得るために、次式で定義されるころ係数γ(ころの充填率)を、通常0.94以下にして設計している。」と記載されているとおり、保持器4が中立位置にあるとき外輪1と接触しないものであり、このことは刊行物1の図1の記載からも看取できるから、引用発明の円すいころ軸受は、実質的に、保持器が中立位置にあるとき外輪と接触しないものである。
さらに検討を進めると、本願発明の目的は、「負荷容量のアップと軌道面の面圧過大による早期破損を防止する」(本願明細書の段落【0012】)ことであるが、転動体の個数を増やしたり転動体の径を大きくしたりすることによって、転がり軸受の基本動定格荷重を大きくして転がり軸受内部に発生する最大接触面圧を低下させることは、周知の技術である(例えば、特開2002-195255号公報の段落【0005】を参照)。すなわち、上記のように転動体の個数を増やしたり転動体の径を大きくしたりすることは、引用発明のころ係数(γ)を定義する式のZ:円すいころの本数、及びDA:円すいころの平均径がともに分子にあることから、ころ係数(γ)を大きくすることにほかならない。そうすると、引用発明では、デファレンシャルギヤのピニオン軸支持用軸受の摩擦トルク低減を図る(刊行物1の記載事項(イ))ために、上記記載事項(ウ)段落【0007】の(1)?(4)に記載された4つの条件の一つであるころ係数(γ)を0.86?0.94としているが、上記周知の技術である、転がり軸受の基本動定格荷重を大きくすることにより転がり軸受内部に発生する最大接触面圧を低下させるという観点から、必要に応じて上記ころ係数を大きくして、引用発明のころ係数(γ)の上限値0.94を単に越えるようにすることは、当業者であれば容易になし得たことであり、そのことに何らかの困難な事情があったとは認められないし、0.94という値に臨界的意義がないことは上述のとおりである。

次に、上記相違点に係る本願発明の「前記保持器のポケットの窓角を55°以上80°以下にし」たものである点について検討する。
刊行物2の記載事項(キ)には、窓押し角(一つのころに当接する柱部の案内面のなす角度)L2が広くなると、保持器114を半径方向に押し広げる力F1(ころ113からの反力Fに対し、F・cosθ:θ=90-(L2/2))が大きくなり、互いに当接し合う外輪111の内周面と保持器114との外周面の摩擦が増大する旨が記載されている。さらに、円筒ころに対する保持器の傾斜角(ポケットの窓角)の関係は、柱部のころ案内部および薄肉部に、適切な傾斜角を有する面押し部を形成することにより、ころの安定した案内性がより一層向上することは周知の技術であり(例えば、特開2000-240661号公報の段落【0009】、【0016】、及び図3には当該傾斜角を30?100°としたものが記載されている。)、円すいころにおいてもその保持器との関係において、上記傾斜角の最適値を見いだして安定した案内性の向上を図ることは、当業者が試みる通常の創作活動である。そうすると、上記刊行物2及び上記周知の技術に接した当業者であれば、円すいころ軸受において、ころと保持器について安定した案内性などの良好な接触状態を考慮して、引用発明の保持器4のポケットの窓角についての数値範囲を実験などに基づいて最適化又は好適化することは容易に推考できたことである。そして、上記窓角を具体的に「55°以上80°以下」としたことは、上述のとおり、臨界的意義を有するものでもない以上、当業者が円すいころ軸受のころ係数などの諸元に応じた良好な接触状態を考慮して適宜設定できる設計事項に過ぎない。
したがって、引用発明に上記刊行物2に記載された発明及び上記各周知の技術を適用して、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)作用効果について

本願発明が奏する作用効果は、刊行物1及び2に記載された発明並びに上記各周知の技術から当業者が予測できる程度のものである。

5.むすび

したがって、本願発明(請求項1に係る発明)は、刊行物1及び2に記載された発明並びに上記各周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、請求項2に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。



 
審理終結日 2011-09-20 
結審通知日 2011-09-21 
審決日 2011-10-04 
出願番号 特願2004-198708(P2004-198708)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬川 裕  
特許庁審判長 川上 溢喜
特許庁審判官 倉田 和博
常盤 務
発明の名称 円すいころ軸受  
代理人 熊野 剛  
代理人 城村 邦彦  
代理人 白石 吉之  

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