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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1247245
審判番号 不服2009-15651  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-26 
確定日 2011-12-06 
事件の表示 特願2002-109342「情報記録媒体及びその生産方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月31日出願公開、特開2003-308674、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.経緯
(1)手続き
本願は、平成14年4月11日の出願である。

(2)査定
原査定の理由は、概略、下記のとおりである。

記(査定の理由)
本願の請求項1ないし請求項10に係る発明は、下記刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

刊行物1:特開2001-223980号公報
刊行物2:特開2001-103415号公報
刊行物3:特開2001-339682号公報
刊行物4:特開2002-57975号公報
刊行物5:特開2000-293154号公報

2.本願発明
本願の請求項1ないし請求項10に係る発明(以下「本願各発明」という。)は、平成21年2月2日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次のとおりのものである。

「 【請求項1】
表示手段にスライド表示するための画像データと、コンピュータを、前記表示手段に前記画像データを基にした画像をスライド表示させるための手段として機能させるプログラムとが記録されたコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体において、
異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの、前記画像データ及び前記プログラムのセットが複数記録されており、
各々の前記セットに属する前記画像データの記録フォーマット及び解像度が相異なることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記情報記録媒体に、前記画像データを基にして生成された動画データが、前記異なる種類の画像再生機器のいずれかに対応するフォーマットで記録されていることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記動画データは、各々の前記画像データに、予め定められたスライド効果に基づいて計算される差分データを付加して生成されたものであることを特徴とする請求項2記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記情報記録媒体に、前記異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの楽曲音声データが記録されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
前記異なる種類の画像再生機器に、コンピュータ端末とDVDプレーヤーとを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
顧客が提供したフィルム又は情報記録媒体から画像データを読み取るステップと、読み取った前記画像データを異なる種類の画像再生機器の各々に対応するフォーマットに変換するステップと、情報記録媒体に、前記異なる種類の画像再生機器の各々に対応するフォーマットの、前記画像データと、コンピュータを、表示手段に前記画像データを基にした画像をスライド表示させるための手段として機能させるプログラムとのセットを複数記録するステップと、を少なくとも有し、
前記変換ステップにおいて、各々の前記セットに属する前記画像データを相異なる記録フォーマット及び解像度に変換することを特徴とする情報記録媒体の生産方法。
【請求項7】
更に、前記画像データを基にして動画データを生成するステップを備え、前記記録ステップにおいて、前記情報記録媒体に、前記動画データを前記異なる種類の画像再生機器のいずれかに対応するフォーマットで記録することを特徴とする請求項6記載の情報記録媒体の生産方法。
【請求項8】
前記動画データ生成ステップでは、各々の前記画像データに、予め定められたスライド効果に基づいて計算される差分データを付加して動画データを生成することを特徴とする請求項7記載の情報記録媒体の生産方法。
【請求項9】
前記記録ステップにおいて、前記情報記録媒体に、前記異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの楽曲音声データを記録することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一に記載の情報記録媒体の生産方法。
【請求項10】
前記異なる種類の画像再生機器に、コンピュータ端末とDVDプレーヤーとを含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一に記載の情報記録媒体の生産方法。」

3.当審の判断
(1)本願各発明(請求項1から請求項10までに係る発明)の主要構成
査定で引用された各刊行物のいずれにも、本願各発明が備える下記の主要構成は記載されていない。また、これら各刊行物を組み合わせても、同主要構成を導くことはできない。

記(本願各発明が備える主要構成)
「異なる種類の画像再生機器の各々に対応した(対応する)フォーマットの、前記画像データ及び(と)」「コンピュータを、表示手段に前記画像データを基にした画像をスライド表示させるための手段として機能させる」「プログラムのセットが(を)複数記録」される(する)こと。

本願各発明は、上記主要構成を採用することにより、「顧客はフィルムカメラで撮影したフィルムやデジタルカメラで撮影した画像データを記録した情報記録媒体を提供するのみで、DVDプレーヤー等の家庭用画像再生機器でもパソコン等のコンピュータ端末でも再生可能な情報記録媒体を入手することができる」(段落【0054】)等の明細書記載の顕著な効果を奏するものと認められる。

以上によれば、本願各発明は、査定で引用された各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、とすることはできない。

(2)引用刊行物の記載等
各刊行物の記載について見ておく。

(2-1)刊行物1:特開2001-223980号公報
(a)刊行物1には、以下の記載がある。
「少なくとも圧縮処理された静止画情報を記録する記録メディアにおいて、異なる圧縮形式のフォーマット毎に設定されて該当する圧縮形式のフォーマットの静止画ファイルが記録される複数のディレクトリと、夫々の該ディレクトリに記録される該静止画ファイル間の関連性を示す管理情報からなるファイル情報とを含む画像ファイルシステムが構築されており、同じ静止画情報が、異なる該圧縮形式のフォーマットの静止画ファイルとして、該当するディレクトリに夫々記録され、該ディレクトリのいずれかからも該静止画情報を再生可能に構成したことを特徴とする記録メディア。」(特許請求の範囲【請求項1】)
「DVDカメラでDVDディスクに記録された静止画情報をJPEG規格を備えたパソコンで取り込むことができるようにするためには、このDVDディスクにJPEG静止画情報も記録するようにすればよい。これにより、DVDディスクがMPEG規格を備えた機器にも、また、JPEG規格を備えた機器にも使用することができ、その利便性が向上することになる。」(段落【0008】)
(b)上記記載によれば、刊行物1には、異なる圧縮形式のフォーマット(JPEG規格およびMPEG規格)の静止画ファイルが複数のディレクトリにそれぞれ記録され、それにより、MPEG規格を備えた機器にも、また、JPEG規格を備えた機器にも使用することができることが記載されている。
しかしながら、異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの画像データ及びプログラムのセットを複数記録する点については記載がなく、示唆もない。

(2-2)刊行物2:特開2001-103415号公報
(a)刊行物2には、以下の記載がある。
「図1に示すスライドショー装置は、現実にはコンピュータとその周辺機器により実現される。具体的には、演算制御手段1はCPUおよびメモリで実現され、メモリに読み込んだプログラムを実行することにより、全体の演算制御を実行するものである。入力指示手段2はマウスやキーボードにより実現される。表示手段3としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等が適用できる。ハードディスク4は、必要に応じて各種データを保存可能なものである。CD-ROM読取り手段5は、通常のCD-ROM読取り装置が適用できる。CD-ROM6は、スライドショー実行プログラム6a、順序テーブル6b、画像ファイル群6cを記録している。」(段落【0008】)
「次に、図1に示すスライドショー装置の処理動作について説明する。ここでは、1画像1ファイルの形式で記録されている画像を、スライド画像として利用する場合について説明する。CD-ROM6をCD-ROM読取り手段5にセットして入力指示手段2によりスライドショー実行プログラム6aの実行指示を行うと、スライドショー実行プログラム6aは、CD-ROM6から読み出されて演算制御手段1のメモリに読み込まれて実行され、図1に示す装置がスライドショー装置として機能することになる。」(段落【0008】)
(b)上記記載によれば、刊行物2には、スライドショー実行プログラム6a、順序テーブル6b、画像ファイル群6cを記録しているCD-ROM6を、CD-ROM読取り手段5にセットし、スライドショー実行プログラム6aの実行指示を行うと、スライドショー実行プログラム6aは、CD-ROM6から読み出されて演算制御手段1のメモリに読み込まれて実行され、図1に示す装置がスライドショー装置として機能することが記載されている。
しかしながら、異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの画像データ及びプログラムのセットを複数記録する点については記載がなく、示唆もない。

(2-3)刊行物3:特開2001-339682号公報
(a)刊行物3には、以下の記載がある。
「画像を再生する機能と音楽を再生する機能とを有するデジタルカメラであって、
複数の単位画像を順次再生するときの単位画像枚数、および各単位画像の再生時間に基づいて定められる、前記複数の単位画像を再生するのに要する画像再生時間と、前記複数の単位画像とともに再生する音楽の音楽再生時間とがほぼ一致した音楽付画像を再生することを特徴とするデジタルカメラ。」(特許請求の範囲【請求項1】)
(b)上記記載によれば、刊行物3には、「複数の単位画像を順次再生するとき」に「複数の単位画像とともに再生する音楽の音楽再生時間とがほぼ一致した音楽付画像を再生すること」が記載されている。
しかしながら、異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの画像データ及びプログラムのセットを複数記録する点については記載がなく、示唆もない。

(2-4)刊行物4:特開2002-57975号公報
(a)刊行物4には、以下の記載がある。
「顧客によって持ち込まれた撮影画像記憶メディアから撮影画像データを取得する撮影画像データ入力部と、
前記顧客による入力情報に基づいて最適な音声を決定する音声決定部と、
前記音声決定部で決定された音声の音声データを配信センタより通信ネットワークを介して取得する音声データ入力部と、
前記入力された撮影画像データと音声データとのリンク関係を設定するリンク形成部と、
前記設定されたリンク関係に基づいて前記撮影画像データと前記音声データを同期して出力するマルチメディア再生プログラムとともに前記撮影画像データと音声データを記録メディアに記録するデータ記録部と、
を備えたことを特徴とする撮影画像記録装置。」(特許請求の範囲【請求項1】)
(b)上記記載によれば、刊行物4には、「撮影画像データと音声データを同期して出力するマルチメディア再生プログラムとともに前記撮影画像データと音声データを記録メディアに記録する」が記載されている。
しかしながら、異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの画像データ及びプログラムのセットを複数記録する点については記載がなく、示唆もない。

(2-5)刊行物5:特開2000-293154号公報
(a)刊行物5には、以下の記載がある。
「各列が列名を有する複数列から構成される表の表示形態を、スクロール操作に応じて制御する表示制御装置であって、
スクロール操作に応じて、前記複数列のうちの一部の列が表示されるように制御するスクロール列表示制御手段と、
前記列名の表示を制御するものであって、前記スクロール列表示制御手段により表示された表示列の列名と、前記複数列のうち表示されていない非表示列の列名とが、異なる形態で表示されるように制御する列名表示制御手段と、
を有することを特徴とする表の表示制御装置。」(特許請求の範囲【請求項1】)
(b)上記記載によれば、刊行物5には、「各列が列名を有する複数列から構成される表の表示形態を、スクロール操作に応じて制御する表示制御装置」が記載されている。
しかしながら、異なる種類の画像再生機器の各々に対応したフォーマットの画像データ及びプログラムのセットを複数記録する点については記載がなく、示唆もない。

(2-6)まとめ
以上のように、刊行物1?刊行物5までのものは、いずれも、本願各発明のように、異なる種類の画像再生機器の各々に対応した(対応する)フォーマットの、前記画像データ及び(と)コンピュータを、表示手段に前記画像データを基にした画像をスライド表示させるための手段として機能させるプログラムのセットが(を)複数記録される(する)ものでもなく、上記主要構成を示唆するものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1から請求項10までに係る発明は上記各刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである、という原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-11-24 
出願番号 特願2002-109342(P2002-109342)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅本 章子日下 善之  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 ▲徳▼田 賢二
藤内 光武
発明の名称 情報記録媒体及びその生産方法  
代理人 宮本 恵司  
代理人 宮本 恵司  

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