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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1247504
審判番号 不服2010-4549  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-03-02 
確定日 2011-11-24 
事件の表示 特願2007-548046「移動通信端末機ユニット及び移動通信端末機用ゲーム支援装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月13日国際公開、WO2006/073220、平成20年 7月10日国内公表、特表2008-523946〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2005年2月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年1月4日,韓国)にされた出願であって,平成21年11月10日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成22年3月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされ,同時に手続補正がなされたものである。
平成23年2月23日付けで,審判請求人に前置報告書の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ,同年5月31日に回答書が提出された。

第2.平成22年3月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成22年3月2日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容,補正後の本願発明
平成22年3月2日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲の請求項1について,補正前(平成21年8月27日付け手続補正書を参照)のものから,次のとおりに補正しようとする補正を含む。

「【請求項1】移動通信端末機と,
前記移動通信端末機と連結されて,前記移動通信端末機とデータまたは/及び命令信号を送受信する第1USBポートと,
前記移動通信端末機から受信されたグラフィックデータを外部ディスプレイにグラフィック加速化させ,外部ディスプレイに適するように前記グラフィックデータに対応する信号を発生させるグラフィック処理部と,
前記移動通信端末機から受信されたデジタルオーディオデータをワイドバンド(wideband)方式でアナログオーディオ信号に変換して出力し,外部のアナログ音声信号を検出してワイドバンド方式でデジタル音声データに変換するオーディオ処理部と,
外部機器から命令信号を受信する第2USBポートと,
前記移動通信端末機と連動して前記第1USBポートから送受信されるデータまたは/及び命令信号を判別して,グラフィック処理部,オーディオ処理部,及び第2USBポートへのデータ入出力を制御する制御部と,
を含む移動通信端末機用ゲーム支援装置とを備えており,
前記移動通信端末機は,
データチャネルを介して特定のサーバーとデータ通信を遂行し,音声チャネルを介して特定の移動通信端末機と音声通信を遂行する無線通信部と,
前記移動通信端末機用ゲーム支援装置とデータまたは/及び命令信号を送受信するUSBポートと,
前記無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させて,前記ゲーム関連プログラムの実行結果及び前記入出力部における命令信号または/及びデータに対応するグラフィックデータとオーディオデータを生成して,前記移動通信端末機用ゲーム支援装置に提供する制御部と,を含み,
前記移動通信端末機の制御部は,前記ゲーム関連プログラム実行及び前記入出力部における命令信号または/及びデータによって前記無線通信部を制御して,特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させることを特徴とする移動通信端末機ユニット。」

上記補正は,移動通信端末機の制御部を,補正前の「ゲーム関連プログラム実行及び前記入出力部における命令信号または/及びデータによって前記無線通信部を制御して,特定のサーバーとのデータチャネルまたは/及び特定の移動通信端末機との音声チャネルを成立させる」ものから「ゲーム関連プログラム実行及び前記入出力部における命令信号または/及びデータによって前記無線通信部を制御して,特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させる」ものに限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とする。

そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下,「補正発明」という。)が,特許出願の際,独立して特許を受けることができるものかについて検討する。

2.刊行物及びその記載内容
刊行物1 特開2001-352373号公報

(1)本件出願の優先権主張の日前に頒布された上記刊行物1には,以下の記載がある。
(1a)「【請求項15】画像表示データをビデオ信号に変換してテレビモニタに出力する信号変換手段を備える変換アダプタに着脱自在に装着して用いられる携帯端末であって,
液晶ディスプレイ,
前記液晶ディスプレイに表示するための画像データを記憶する画像データ記憶手段,
少なくとも前記画像データ記憶手段に記憶されている画像データを処理して画像表示データを発生し,前記信号変換手段に供給する処理手段とを備える,携帯端末。
【請求項16】前記携帯端末は,前記液晶ディスプレイと前記テレビモニタの表示を切換える切換手段をさらに備え,
前記切換手段は,前記携帯端末が前記変換アダプタに接続されていないときは前記液晶ディスプレイに画像を表示させ,前記携帯端末が前記変換アダプタに接続されているとき前記テレビモニタに画像を表示させるように切換えることを特徴とする,請求項15に記載の携帯端末。
【請求項17】前記携帯端末は,音声データを記憶する音声データ記憶手段を備え,
前記処理手段は,前記音声データを画像表示データの発生タイミングに関連させて前記変換アダプタに供給する音声処理手段を含む,請求項15に記載の携帯端末。」
(1b)「【請求項20】液晶ディスプレイに表示するための画像データを記憶する画像データ記憶手段と,少なくとも画像データ記憶手段に記憶されている画像データを処理して画像表示データを発生し,変換アダプタに供給する処理手段とを備える携帯端末に着脱自在に装着して用いられる変換アダプタであって,
前記処理手段によって供給された画像表示データをビデオ信号に変換してテレビモニタに出力する信号変換手段を備える,変換アダプタ。
【請求項21】前記変換アダプタは,前記携帯端末を充電するための充電手段をさらに含むことを特徴とする,請求項20に記載の変換アダプタ。
【請求項22】前記変換アダプタは,前記処理手段から供給された画像表示データを一時記憶する第1の一時記憶手段と,第1の一時記憶手段に記憶されている画像表示データの前記信号変換手段への読出タイミングを制御する読出制御手段とをさらに備えることを特徴とする,請求項20に記載の変換アダプタ。
【請求項23】前記変換アダプタは,前記携帯端末から供給される音声データを一時記憶する第2の一時記憶手段と,第2の一時記憶手段に記憶されている音声データを変換して前記テレビモニタに出力する音声変換手段とを備え,
前記読出制御手段は,画像表示データの読出タイミングに関連させて前記第2の一時記憶手段に記憶されている音声データの前記音声変換手段への読出タイミングを制御することを特徴とする,請求項22に記載の変換アダプタ。
【請求項24】前記変換アダプタは,前記携帯端末に操作信号を供給するための操作手段をさらに備えることを特徴とする,請求項20に記載の変換アダプタ。」
(1c)「【0012】
【実施例】図1はこの発明の一実施例の携帯端末を用いた表示処理システムの外観図である。図1において,携帯端末を用いた表示処理システム(以下「システム」と略称する)10は,携帯電話機20と,信号変換機能付き充電装置(以下,単に「変換アダプタ」と略称する)40と,コントローラ50と,テレビモニタ60とを含む。携帯電話機20は,ハウジングの一方主面に液晶表示器21が設けられ,その下方に複数の操作部22が設けられる。なお,図示を省略しているが,携帯電話機20のハウジングの底部には,変換アダプタ40と着脱自在に装着されるためのコネクタ又は接点が設けられる。変換アダプタ40は,商用電源に接続するためのプラグ41が設けられるとともに,コントローラ50を着脱自在に接続するための端子42がハウジングに設けられる。変換アダプタ40の内部回路の詳細は,図2を参照して後述する。
【0013】コントローラ50は,携帯電話機20が変換アダプタ40に装着されているとき,システム10全体を操作するための少なくとも1つの操作部51を含む。なお,コントローラ50は,ケーブルを介して変換アダプタ40の端子42に接続されるが,・・・」
(1d)「【0014】図2はこの発明の一実施例のシステム10(特に,携帯電話機20と変換アダプタ40)のブロック図である。携帯電話機20は,CPU23と充電池24を含む。CPU23には,操作部22,アンテナ部37,電力モード切換回路25,ROM26,フラッシュメモリ27,ワーキングRAM28,VRAM29,ミキサー30及びPCMエンコーダ31が接続される。CPU23は,操作部22の入力に応じてROM26に格納されている制御プログラムに基づく処理を実行する。また,CPU23は,必要に応じて,フラッシュメモリ27に記憶されているデータを処理して画像表示データ及び/又は音声データを発生する。CPU23によって処理された画像表示データは,VRAM29に与えられて一時記憶され,LCDコントローラ32を介して液晶表示器21に供給され表示される。また,CPU23によって処理された音声データは,ミキサー30によってミキシングされた後,アンプ33で増幅されて,スピーカ34から出力される。さらに,携帯電話機20は,通話の際に,利用者の声等を入力するためのマイク35を含む。このマイク35から入力されたアナログ音声信号は,アナログ-ディジタル(AD)コンバータ36によってデジタルデータ(例えば,PCM又はAD-PCM等)に変換された後,PCMエンコーダ31を介してCPU23に与えられ処理される。CPU23によって処理された入力音声は,所定の変調方式で変調されて,アンテナ37から電波として送信され,中継器及びセンターサーバー(図示せず)を介して通話先の電話機へ送信される。
【0015】電力モード切換回路25は,供給される電源が充電池24からのものか電源回路43からのものかを検出し,検出した電源に応じて内蔵IC(集積回路)の消費電力を切換える。ROM26は,携帯電話機20を制御するために必要なプログラムを固定的に記憶している。ROM26の詳細は図3を参照して説明する。フラッシュメモリ27は,例えばネットワークを介してダウンロードした画像データや音声データ等の受信データ又は登録データを記憶するための書込み読出可能なメモリ(又は一時記憶メモリ)として用いられる。フラッシュメモリ27に記録されるデータとしては,携帯電話の電話帳データや,通信を利用して配信されるゲーム・音楽データ等がある。ワーキングRAM28は,CPU23によって処理されるデータを一時記憶するためのワーキングメモリ又はレジスタとして用いられる。表示RAM29は,CPU23によって処理された次に表示すべき一画面分の画像表示データを一時記憶する。」
(1e)「【0018】変換アダプタ40は,充電器40aの一例の電源回路43及びビデオ信号変換器40bを含む。・・・ビデオ信号変換器40bは,例えばビデオメモリ(又は表示メモリ)44,ビデオ信号変換回路45,音声データ用バッファメモリ(以下「音声バッファ」と略称する)46,アンプ47,ディジタル-アナログコンバータ(以下「DAC」と略称する)48及び読出制御回路49を含む。ビデオメモリ44は,CPU23から与えられる1画面分の画像表示データを一時記憶する。ビデオ信号変換回路45は,ビデオメモリ44から供給される画像表示データをビデオ信号(NTSC,PAL等)に変換してテレビモニタ60に出力する。音声バッファ46は,CPU23から与えられる音声データを一時記憶する。DAC48は,音声バッファ46から供給される音声データ(デジタルデータ)をアナログ信号に変換する。この変換された音声(アナログ)信号がアンプ47によって増幅されて,テレビモニタ60のスピーカ(図示せず)から音声として出力される。読出制御回路49は,画像表示データと音声データの同期をとるために,ビデオメモリ44から出力する画像表示データの読出タイミング及び音声バッファ46から出力する音声データの読出タイミングを制御する。」
(1f)「【0019】次に,CPU23の具体的な機能を説明する。CPU23は,アンテナ部37に着信あるいはデータ受信があると,ROM26に記憶されているプログラムに従って,受信データを処理し,必要に応じてフラッシュメモリ27に受信データ又は登録データを記憶させるとともに,記憶データを処理して画像表示データ及び/又は音声データを発生する。
【0020】ここで,携帯電話機20が変換アダプタ40に装着(又は接続)されていない状態において,CPU23から発生された画像表示データは,表示RAM29に一時記憶された後,LCDコントローラ32を介して液晶表示器21に表示される。また,CPU23から発生された音声データはミキサー30によって音声信号に変換され,その音声信号に基づく音声がアンプ33を介してスピーカ34から出力される。
【0021】一方,携帯電話機20が変換アダプタ40に装着されて電気的にも接続された状態において,使用者の選択によりコントローラ50から表示切換信号が与えられると,CPU23は画像表示データを表示RAM29に供給するのを停止するとともに,画像表示データをビデオメモリ44へ供給して一時記憶させる。ビデオメモリ44に記憶されている画像表示データは,読出制御回路49によって所定のタイミングで読み出されて,ビデオ信号変換回路45によってビデオ信号に変換された後,テレビモニタ60へ供給され,一画面の画像としてテレビモニタ60に表示される。また,CPU23は,音声データをミキサー30に供給するのを停止するとともに,音声データを音声バッファ46へ供給して一時記憶させる。この音声データは,読出制御回路49によって所定のタイミングで読み出されて,DAC48によって音声信号に変換された後,アンプ47を介してテレビモニタ60のスピーカ(図示せず)に供給され,音声として出力される。CPU23は,コントローラ50又は操作部22から入力される操作信号に基づいてデータ処理を行い,必要に応じてテレビモニタ60の画面に表示されている画像に変更を加えたり,対応する音声を出力する。従って,利用者は,携帯電話機20が変換アダプタ40に接続された状態において,テレビモニタ60の画面に表示される画像を見ながら,及び/又はテレビモニタ60のスピーカから出力される音声を聞きながらコントローラ50を操作することにより,携帯電話機20を間接的に操作することになる。」
(1g)「【0023】さらに,携帯電話機20は,アンテナ部37を介してゲームデータをダウンロードし,フラッシュメモリ27に記憶しておくこともできる。例えば,コントローラ50を操作してフラッシュメモリ27に記憶しているゲームの実行が指示されたとき,CPU23はフラッシュメモリ27に記憶されているゲームプログラムに基づいてゲームのための画像表示データを発生し,ビデオメモリ44に記憶させる。ゲームのための画像表示データは,ビデオ信号変換回路45によってビデオ信号に変換されて,テレビモニタ60へ出力される。従って,プレイヤは,テレビモニタ60に表示されるゲーム画面を見ながらコントローラ50を操作することによって,携帯電話機20にダウンロードされているゲームプログラムに基づくゲームをプレイすることができる。
【0024】CPU23がゲーム実行中に,携帯電話20の着信があったときは,テレビモニタ60の画面の一部分又は液晶表示器21に着信を知らせるためのメッセージ又はアイコンを表示してもよい。その場合,CPU23はゲーム処理と着信処理とを時分割処理することになる。これに応じて,使用者は,コントローラ50を操作して着信を受けるか又は着信処理を待機するかの選択を行う。着信を受けることが選択された場合,CPU23はゲーム処理を中断して通話処理を行う。その場合は,通話処理が終了した後に,ゲーム処理が再開される。一方,着信処理の待機が選択された場合,CPU23は着信処理を保留状態にして,ゲームを中断しても問題のない場面(きりの良い場面)までゲームを続行させるか,通話できない状態であることを示すコードを送信した上でゲーム処理を続行する。」
(1h)「【0035】図7はこの発明の他の実施例のシステム10の外観図である。図7実施例が図1実施例と異なる点は,図1の変換アダプタ40がビデオ変換機能を持たない充電器40aとビデオ信号変換器40bに分離可能に構成されたことである。すなわち,充電器40aは1つのハウジングに電源回路43のみを含む。ビデオ信号変換器40bは,充電器40aとは別のハウジングで構成され,VRAM44,ビデオ信号変換回路45,音声データ用バッファ46,アンプ47,DAC48及び読出制御回路49を内蔵する。充電器40aとビデオ信号変換器40bには,それぞれコネクタ(図示せず)が設けられ,互いに着脱自在かつ電気的に接続自在に構成される。このように構成すれは,使用者は,先に充電器40aのみを購入し,必要に応じて後からビデオ信号変換器40bを購入することができる。従って,使用者は,充電器40aのみを購入して後でビデオ信号変換器40bを追加するか,充電器40aとビデオ信号変換器40bの両方を同時に購入するかを自由に選択できる。また,充電器40aは市販のものを利用可能にすれば,システム全体のコストを抑えることができ,使用者の負担を軽減できる。」
(1i)「【0042】図13はこの発明のさらにその他の実施例のシステム10のブロック図である。図13実施例は,図2実施例の変換アダプタ40にコントローラ50を制御するためのコントローラ制御回路70をさらに備えたものである。コントローラ制御回路70は,コントローラ50からテレビモニタ60への表示切換を指示する操作信号の入力を受けると,画像表示データをビデオメモリ44に,音声データを音声バッファ46にそれぞれ供給させるように制御信号を生成して,CPU23に与える。また,コントローラ制御回路70は,コントローラ50からの操作信号に基づいて,画像又は音声を変更させるための制御信号をCPU23に送信する。」
(1j)「【0044】上述の各実施例では,テレビモニタ60に携帯電話機の画像を表示する場合を述べたが,この発明の技術思想はこれに限ることなく,携帯電話20によって情報提供サーバーから受信したゲームデータに基づくゲーム画像や各種データ(ニュース,天気予報,占い,道路地図,その他各種のホームページ情報等)を表示しても良いことは勿論である。また,上述の各実施例では,携帯電話機の画像をテレビモニタ60に表示する場合を述べたが,テレビモニタ60に限らず,CRTディスプレイ等の大画面で表示可能なものであれば何であってもよい。」

上述の記載事項(1a)?(1j)の記載から見て,刊行物1には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「刊行物1記載の発明」という。)

「携帯電話機20と,変換アダプタ40とを備えた表示処理のためのシステムであって,
変換アダプタ40は,
携帯電話機20のコネクタ又は接点と着脱自在に装着され,
携帯電話機20のCPU23で処理して発生した画像処理データを受け取ってテレビモニタ60に表示されるようにビデオ信号に変換するビデオメモリ44及びビデオ信号変換回路45と,
携帯電話機20のCPU23から供給される音声データをアナログ信号に変換して出力する音声データバッファ46,アンプ47及びDAC48と,
コントローラ50に着脱自在に接続する端子42と,
コントローラ50からの操作信号に基づいて画像又は音声を変更させるための制御信号をCPUに送信するコントローラ制御回路70とを含むものであり,
携帯電話機20は,
アンテナ部37を介してゲームデータをダウンロードするとともに,利用者の音声を変調して電波としてアンテナ37から送信するものであり,
変換アダプタ40と着脱自在に装着されるコネクタ又は接点と,
ダウンロードしたゲームプログラムを実行してゲームのための表示画像データを発生させるものであり,必要に応じてデータを処理して画像表示データと音声データを発生し,グラフィックデータ及びオーディオデータを変換アダプタ40に供給するCPU23と,を含む
携帯電話機20と,変換アダプタ40とを備えた表示処理のためのシステム。」

3.対比
補正発明と刊行物1記載の発明とを対比する。
刊行物1記載の発明の「携帯電話機20」,「CPU23」,「変換アダプタ40」,「テレビモニタ60」,「コントローラ50」及び「操作信号」は,補正発明の「移動通信端末機」,「移動通信端末機の制御部」,「移動通信端末機用ゲーム支援装置」,「外部ディスプレイ」,「外部機器」及び「命令信号」に相当する。

刊行物1記載の発明はアンテナ部37を介して,ゲームをダウンロードするものであるから,データチャネルを介して特定のサーバとデータ通信をすることは自明である。また,アンテナ部37を介して利用者の音声を電波として送信するものであるから,音声チャネルを介して特定の移動通信端末機と音声通信をするものであることは明らかである。よって,刊行物1記載の発明の「アンテナ部37」は,データチャネルを介して特定のサーバーとデータ通信を遂行し,音声チャネルを介して特定の移動通信端末機と音声通信を遂行する「無線通信部」に相当する。

刊行物1記載の発明の移動通信端末機用ゲーム支援装置(変換アダプタ40)は,移動通信端末機(携帯電話機20)のコネクタまたは接点と着脱自在とされ,データやコントローラ50からの操作信号の送受信が行われるものであるから,携帯電話機同様コネクタまたは接点が設けられていることは明らかである。そして,刊行物1記載の発明の「変換アダプタ40に設けられたコネクタまたは接点」は移動通信端末機(携帯電話機20)との接点であり,技術常識からみて該コネクタまたは接点を介してデータの送受信をしているものと認められるから,刊行物1記載の発明の「変換アダプタ40に設けられたコネクタまたは接点」と補正発明の「第1USBポート」とは,「他の機器とデータを送受信するための第1のポート」の点で共通する。

刊行物1記載の発明の「ビデオメモリ44及びビデオ信号変換回路45」は,移動通信端末機(携帯電話機20)から送られる画像表示データを外部ディスプレイ(テレビモニタ60)に適した信号(ビデオ信号)に変換するものである。よって,刊行物1記載の発明の「ビデオメモリ44及びビデオ信号変換回路45」と補正発明の「グラフィック処理部」とは,「移動通信端末機から受信されたグラフィックデータを処理して,外部ディスプレイに適するようにグラフィックデータに対応する信号を発生させるグラフィック処理部」の点で共通する。

刊行物1記載の発明の「音声データバッファ46,アンプ47及びDAC48」は,移動通信端末機(携帯電話機20)から供給されるオーディオ(音声)データをアナログ音声信号に変換して出力するものであり,オーディオデータがデジタルデータであることは明らかであるから,刊行物1記載の発明の「音声データバッファ46,アンプ47及びDAC48」と補正発明の「オーディオ処理部」とは,「移動通信端末機から受信されたデジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換して出力するオーディオ処理部」の点で共通する。

刊行物1記載の発明の「端子42」は,外部機器(コントローラ50)と接続するポートであり,外部機器(コントローラ50)と移動通信端末機用ゲーム支援装置(変換アダプタ40)との接点であり,技術常識からみてこの「端子42」を介して命令信号を受信することは明らかである。よって,刊行物1記載の発明の「端子42」と補正発明の「第2USBポート」とは,「外部機器から命令信号を受信する第2のポート」の点で共通する。
また,本件明細書段落【0017】によれば,USBポート50及び外部機器(キーパッド51)を「入出力部」と称しているものであるから,本件発明の「端子42及び外部機器(コントローラ50)」は,補正発明の「入出力部」に相当する。

刊行物1記載の発明の「移動通信端末機(携帯電話機20)に設けられたコネクタまたは接点」は,先に検討したように,移動通信端末機用ゲーム支援装置(変換アダプタ40)とデータや命令信号の送受信を行うポートであるから,刊行物1記載の発明「コネクタまたは接点」と補正発明の「USBポート」とは,「移動通信端末機用ゲーム支援装置とデータまたは/及び命令信号を送受信するポート」の点で共通する。

刊行物1記載の発明の「CPU23」は,移動通信端末機(携帯電話機20)の情報処理部であり,ダウンロードしたゲームデータを実行してゲームのための表示画像データを発生させるものである。刊行物1記載の発明にはゲーム関連プログラムを実行する際にオーディオデータを生成することは明示されていないが,必要に応じてデータを処理して画像表示データと音声データを発生する(記載事項(1d))ものであるから,音声の含まれるゲーム関連プログラムを実行する際には,CPU23がデータに対応したグラフィックデータとオーディオデータを生成することは自明である。また,CPU23には,外部機器(コントローラ50)からの命令信号に基づく「画像又は音声を変更させるための制御信号」がコントローラ制御回路70から送られるものであるから,技術常識からみて,「ゲーム関連プログラムを実行する際に,ゲームプログラムの実行結果及び外部機器(コントローラ50)からの命令信号に対応するグラフィックデータとオーディオデータを生成する」ことは自明である。よって,刊行物1記載の発明の「CPU23」と補正発明の「制御部」とは,「ゲーム関連プログラムを実行させて,ゲーム関連プログラムの実行結果及び入出力部からの命令信号に対応するグラフィックデータとオーディオデータを生成して移動通信端末機用ゲーム支援装置(変換アダプタ1)に提供する制御部」の点で共通する。

したがって,補正発明と刊行物1記載の発明との一致点,相違点は以下のように認定できる。

一致点
「移動通信端末機と,
前記移動通信端末機と連結されて,前記移動通信端末機とデータまたは/及び命令信号を送受信する第1のポートと,
前記移動通信端末機から受信されたグラフィックデータを外部ディスプレイに適するように前記グラフィックデータに対応する信号を発生させるグラフィック処理部と,
前記移動通信端末機から受信されたデジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換して出力するオーディオ処理部と,
外部機器から命令信号を受信する第2のポートと,
を含む移動通信端末機用ゲーム支援装置とを備えており,
前記移動通信端末機は,
データチャネルを介して特定のサーバーとデータ通信を遂行し,音声チャネルを介して特定の移動通信端末機と音声通信を遂行する無線通信部と,
前記移動通信端末機用ゲーム支援装置とデータまたは/及び命令信号を送受信するポートと,
ゲーム関連プログラムを実行させて,前記ゲーム関連プログラムの実行結果及び入出力部における命令信号に対応するグラフィックデータとオーディオデータを生成して,前記移動通信端末機用ゲーム支援装置に提供する制御部と,を含む移動通信端末機ユニット。」

相違点1
補正発明は,移動通信端末機の第1,第2のポート及び移動通信端末機用ゲーム支援装置のポートがUSBポートであるのに対し,刊行物1記載の発明はUSBポートとされていない点。
相違点2
補正発明の移動通信端末機の制御部は,「無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させ」るものであり,「ゲーム関連プログラム実行及び前記入出力部における命令信号または/及びデータによって」無線通信部を制御して,「特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させる」ものであるのに対し,刊行物1は移動通信端末機を用いてネットワーク上でゲームを行うことを記載するものではないため,当然,刊行物1記載の発明には,移動通信端末機の制御部が「無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させ」るとの構成や,「ゲーム関連プログラム実行及び前記入出力部における命令信号または/及びデータによって」無線通信部を制御するとの構成がなく,また,「特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させる」ことも開示されていない点。
相違点3
補正発明は,移動通信端末機用ゲーム支援装置のグラフィック処理部がデータを「グラフィック加速させ」て処理するものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,そのようなものとなっていない点。
相違点4
補正発明は,移動通信端末機用ゲーム支援装置のオーディオ処理部がワイドバンド方式でAD変換するものであり,外部のアナログ音声信号を検出してワイドバンド方式でデジタル音声データに変換するものであるのに対し,刊行物1記載の発明は,AD変換をワイドバンド方式で行うことについて開示されておらず,また,外部のアナログ音声信号を検出してワイドバンド方式でデジタル音声データに変換するものでもない点。
相違点5
補正発明は,移動通信端末機用ゲーム支援装置が「移動通信端末機と連動して第1USBポートから送受信されるデータまたは/及び命令信号を判別して,グラフィック処理部,オーディオ処理部,及び第2USBポートへのデータ入出力を制御する制御部」を備えるのに対し,刊行物1記載の発明は,このような制御部を備えない点。

4.判断
上記相違点について検討する。
相違点1について
機器を接続してデータを送受信する際にUSBポート/コネクタを用いることは本件出願の優先権主張の日前のデータ通信の分野における周知技術であり,刊行物1記載の発明において,移動通信端末機の第1,第2のポート及び移動通信端末機用ゲーム支援装置のポートをUSBポートとすることは,当業者が容易になし得たことである。

相違点2について
刊行物1記載の発明も,移動通信端末機が音声通話とデータ通信とをともに行うことができるように構成されたものであるように,移動通信端末機である携帯電話の分野において,移動通信端末機に通話機能に加えて通信回線を介してデータ通信を行う機能を具備させることは,本件出願の優先権主張の日前に一般に普及していた技術であり,また,移動通信端末機(携帯電話)を用いてネットワークを介してゲームをすることも,本件出願の優先権主張の日前に一般に普及していたことである。
よって,刊行物1記載の発明において,移動通信端末機でネットワークを通じてゲームを行うものとすることは当業者が容易になし得ることである。

ここで,補正発明の相違点2に係る「無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させ」との構成について,本件明細書を参酌すると,段落【0038】には,「制御部65は、ゲームプログラム実行の全般的な制御を担当する。例えば、無線データ網を通じてゲームサーバーと送受信するデータに対応するゲームプログラムを実行させ(ネットワークゲーム内に相手方のゲーム操作信号を特定し、ユーザのゲーム操作信号がゲームサーバーに伝送されるようにする等)・・・」と記載されている。
当該記載から,「無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させ」とは,具体的には,ネットワークゲーム内に相手方のゲーム操作信号を特定する、ユーザのゲーム操作信号がゲームサーバーに伝送されるようにする等のことを意味するものと認められる。

ネットワークゲームを行う際に,プレイヤー同士が操作信号を送受信して共有することは必須であるから,刊行物1記載の発明において移動通信端末機でネットワークを通じてゲームを行うものとする際に,移動通信端末機の制御部によって,無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させる(すなわち,相手方のゲーム操作信号を特定する,ユーザのゲーム操作信号を送信する等)ように構成することは,当業者であれば当然に想到することである。同様に,制御部は「ゲーム関連プログラム実行及び入出力部における命令信号」によって無線通信部を制御するように構成することも当業者であれば当然に想到することである。

また,遠隔地にいるプレイヤー同士がネットワークを介してデータ通信をしながらゲームをする際に他のプレイヤーと音声で対話をしながらゲームをすることは,例えば,特開2003-304350号公報【0002】,特開2004-159886号公報【0005】に従来技術として記載されるように,本件出願の優先権主張の日前に一般に行われていたことである。
したがって,刊行物1記載の発明において,移動通信端末機を用いて遠隔地にいるプレイヤーとゲームをしながら音声で対話ができるように,移動通信端末機の音声チャネルとデータチャネルとを共に利用し,無線通信部を制御することにより「特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させる」ものとすることも,当業者が容易になし得たことである。

なお,移動通信端末機において,データチャネルと音声チャネルを同時に成立させることは例えば特開2003-229974号公報【0017】にも記載されるように周知の技術であり,本件明細書【0074】においても公知の機能と認めているところであるから,データチャネルと音声チャネルを同時に成立させることが技術的に不可能であるというような阻害要因はない。

審判請求人は,審尋回答書中で,引用文献2(上記特開2003-304350号公報),引用文献3(上記特開2004-159886号公報)は,ゲームデータと音声データを同じネットワーク上でやりとりしているものであり,補正発明のように分離されたデータチャネルと音声チャネルとを同時に成立させるものではないから,各引用文献から補正発明の「特定のサーバとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末との音声チャネルを同時に成立させる」との構成とすることはできない旨主張する。
しかし,ネットワークを介してゲームをするという点においては,携帯電話もPC等のその他の装置も何ら変わるところはなく,携帯電話においても「音声で通話をしながらネットワークゲームをする」ことは当然想定されるものであるところ,このような場合に従来より携帯電話に備わっている音声チャネルとデータチャネルを同時に用いることは,当業者が容易に想到し得ることと認められるから,引用文献2,3に音声チャネルとデータチャネルを同時に用いることが記載されていないことを理由に,各引用文献から補正発明を想到できないとする審判請求人の主張は認められない。

相違点3について
グラフィックデータを処理するにあたり,動作速度を向上させるようチップを用いる等して高速処理することは本件出願の優先権主張の日前のデータ処理の分野において通常行われていたことであり,刊行物1記載の発明において,グラフィック処理部がデータを「グラフィック加速させ」て処理するものとすることは,当業者が容易になし得たことである。

相違点4について
ワイドバンド方式でAD変換を行うことは,本件出願の優先権主張の日前のデータ処理の分野において通常行われていたことであるから,刊行物1記載の発明において,移動通信端末機用ゲーム支援装置のオーディオ処理部を,音質を向上するためにワイドバンド方式でAD変換するものとすることは当業者が適宜なし得ることである。
また,移動通信端末機において,別途外部マイクを設ける等して「外部のアナログ音声信号を検出する」ことも,例えば特開2000-124993号公報,特開2002-142006号公報【0045】等に記載のように本件出願の優先権主張の日前において一般に行われていることであり,刊行物1記載の発明において,移動通信端末機用ゲーム支援装置のオーディオ処理部を,さらに「外部のアナログ音声を検出する」ように構成することは,当業者が容易になし得たことである。検出したアナログ音声は,制御部で処理されるべくデジタル変換されるものであるが,これを,ワイドバンド方式で行うことは,当業者が適宜なし得たことである。

相違点5について
処理を行う制御部をどのように構成するかは,システムのハードウエア資源等を考慮して当業者が適宜決定すべきことである。刊行物1記載の発明は,グラフィック処理部,オーディオ処理部,外部機器とのデータのやりとりを移動通信端末機の制御部(CPU23)が直接行っているものであるが,移動通信端末機は小型化,軽量化を求められるものであり搭載できるシステム資源が制限されるものであるから,移動通信端末機の制御部の能力を補うべく,移動通信端末機用ゲーム支援装置に制御部を設けて移動通信端末機の制御部で行っているデータ通信処理を行わせるようにすることは当業者が容易になし得たことである。
よって,刊行物1記載の発明において,移動通信端末機用ゲーム支援装置が「移動通信端末機と連動して第1USBポートから送受信されるデータまたは/及び命令信号を判別して,グラフィック処理部,オーディオ処理部,及び第2USBポートへのデータ入出力を制御する制御部」を備えるよう構成することは,当業者が容易になし得たことである。

補正発明の効果は,刊行物1記載の発明及び周知技術から予測し得るものである。

したがって,補正発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである

5.補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成22年3月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成21年8月27日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
移動通信端末機と,
前記移動通信端末機と連結されて,前記移動通信端末機とデータまたは/及び命令信号を送受信する第1USBポートと,
前記移動通信端末機から受信されたグラフィックデータを外部ディスプレイにグラフィック加速化させ,外部ディスプレイに適するように前記グラフィックデータに対応する信号を発生させるグラフィック処理部と,
前記移動通信端末機から受信されたデジタルオーディオデータをワイドバンド(wideband)方式でアナログオーディオ信号に変換して出力し,外部のアナログ音声信号を検出してワイドバンド方式でデジタル音声データに変換するオーディオ処理部と,
外部機器から命令信号を受信する第2USBポートと,
前記移動通信端末機と連動して前記第1USBポートから送受信されるデータまたは/及び命令信号を判別して,グラフィック処理部,オーディオ処理部,及び第2USBポートへのデータ入出力を制御する制御部と,
を含む移動通信端末機用ゲーム支援装置とを備えており,
前記移動通信端末機は,
データチャネルを介して特定のサーバーとデータ通信を遂行し,音声チャネルを介して特定の移動通信端末機と音声通信を遂行する無線通信部と,
前記移動通信端末機用ゲーム支援装置とデータまたは/及び命令信号を送受信するUSBポートと,
前記無線通信部から送受信されるデータに対応するゲーム関連プログラムを実行させて,前記ゲーム関連プログラムの実行結果及び前記入出力部における命令信号または/及びデータに対応するグラフィックデータとオーディオデータを生成して,前記移動通信端末機用ゲーム支援装置に提供する制御部と,を含み,
前記移動通信端末機の制御部は,前記ゲーム関連プログラム実行及び前記入出力部における命令信号または/及びデータによって前記無線通信部を制御して,特定のサーバーとのデータチャネルまたは/及び特定の移動通信端末機との音声チャネルを成立させることを特徴とする移動通信端末機ユニット。」(以下,「本願発明」という。)

2.刊行物の記載内容
本件出願の優先権主張の日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された上記刊行物1の記載事項は,前記「第2.2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は,補正発明から「特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させる」との限定事項を削除し,「特定のサーバーとのデータチャネルまたは/及び特定の移動通信端末機との音声チャネルを成立させる」ものにしたものである。

前記第2.4.で検討したとおり,本願発明において,さらに,「特定のサーバーとのデータチャネル,及び,特定の移動通信端末機との音声チャネルを同時に成立させる」ものに限定した補正発明が,刊行物1記載の発明及び周知技術から容易になし得るものと判断されるものであるから,この限定をしない本願発明も,当然,刊行物1記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

第4.むすび
したがって,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-23 
結審通知日 2011-06-28 
審決日 2011-07-12 
出願番号 特願2007-548046(P2007-548046)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 肇  
特許庁審判長 山口 由木
特許庁審判官 土屋 真理子
鈴野 幹夫
発明の名称 移動通信端末機ユニット及び移動通信端末機用ゲーム支援装置  
代理人 梶 良之  
代理人 須原 誠  

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