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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 A01N
審判 査定不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用) 取り消して特許、登録 A01N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A01N
管理番号 1247556
審判番号 不服2008-31513  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-11 
確定日 2011-12-13 
事件の表示 特願2007- 62069「体液漏出防止方法及び体液漏出防止装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月14日出願公開、特開2007-145868、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願の手続き経緯は次のとおりである。
平成19年 3月12日 特許出願(分割出願、原出願:特願2000 -100967号(出願日:平成12年4月 3日))
平成19年 6月 7日付け 拒絶理由
同年 7月20日 意見書、手続補正
平成20年 6月17日付け 拒絶理由(最後)
同年 8月25日 意見書、手続補正
同年10月17日付け 補正の却下の決定(同年8月25日付け手続 補正)、拒絶査定
同年12月11日 審判請求
平成21年 1月13日 手続補正(特許請求の範囲、審判請求書)
平成22年12月10日 審尋
平成23年 2月14日 回答書

第2 平成21年1月13日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[結論]
平成21年 1月13日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成21年 1月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成19年 7月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1である、
「両親媒性ゲルからなる体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストンと、該注入シリンダの先端に接続可能な挿入管とを用意し、
上記注入シリンダと上記挿入管とを接続し、該挿入管を遺体の口腔から咽喉部に挿入し、その後、上記ピストンを押圧して上記注入シリンダ内の体液漏出防止剤を上記挿入管内を通して咽喉部に導入することを特徴とする体液漏出防止方法。」

「両親媒性ゲルからなる体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストンと、該注入シリンダの先端に接続可能なテーパー形状の開口部を有する挿入管とを用意し、
上記注入シリンダの先端側を上記挿入管のテーパー形状の開口部に差し込んで該注入シリンダと上記挿入管とを接続し、該挿入管を遺体の口腔から咽喉部に挿入し、その後、上記ピストンを押圧して上記注入シリンダ内の体液漏出防止剤を上記挿入管内を通して咽喉部に導入することを特徴とする体液漏出防止方法。」
とする補正を含むものである(下線部は、補正箇所。)。

2.補正の適否
本願の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)には、本件補正に係る発明で使用する、遺体の口腔に適用される装置について「テーパー」との用語は使用されておらず、ましてや、「テーパー形状の開口部」について、それが何れの部位のことであるかを説明した記載はない(なお、段落【0023】に、遺体の肛門に適用される装置について「テーパー」との用語が使用されているが、その装置を表した【図2】を見ると、口腔に適用される装置とは、構造上全く別異の装置であるから、口腔に適用される装置において「テーパー」が何れの部位のことであるかを示唆するものとは認められない。)。
そこで、願書に最初に添付した図面(以下、「当初図面」という。)の【図1】を見ると、挿入管「4」の端部の接続部「5」において、開放端と管接続端の間に、縮径のためのテーパー形状部分があり、この他に注入シリンダの先端に接続可能な箇所にテーパー形状部分はないので、「テーパー形状」とはこの部分のことを指すものと認められる。
そして、「テーパー形状の開口部」とは、「テーパー形状部分の縮径が開始される部分」のことであると認められる。
(当審注:「テーパー形状」と認められる部分を○印によって示した【図1】を以下に掲載する。)

以上を、踏まえて、「注入シリンダの先端側を上記挿入管のテーパー形状の開口部に差し込んで」との補正事項について検討する。
当初明細書には、注入シリンダと挿入管との接続に関して、「注入器(1)の注入口(2)の保護キャップ(3)を取り外し、代わりに挿入管(1)の接続部(5)を被せて接続する。」(段落【0017】)と記載されるのみであり、この記載からは、単に、注入口(2)の先端を接続部(5)の開放端に差し込むことにより注入シリンダと挿入管とを接続することが記載されているとしか認められず、注入シリンダの先端側を【図1】の接続部「5」におけるテーパー形状の開口部にまで差し込むことが記載されているものとは認められない。
そうすると、本件補正によって「注入シリンダの先端側を上記挿入管のテーパー形状の開口部に差し込んで」との事項を付加する点は、平成19年7月20日付け手続補正により補正された本願の明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものとはいえないから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第3項の規定に違反するものである。

なお、仮に「テーパー形状の開口部」との補正事項が、上記のような「テーパー形状部分の縮径が開始される部分」のことではなく、「テーパー形状部分を有する部材である接続部(5)の開口部」を意図するものである場合について、一応検討する。
(当審注:この仮定による場合に「テーパー形状の開口部」と認められる部分を△印によって示した【図1】を以下に掲載する。)

この場合、請求項1についての補正のうち「テーパー形状の開口部を有する」は「挿入管」の種類を限定するものであり、「注入シリンダの先端側を上記挿入管のテーパー形状の開口部に差し込んで」は「該注入シリンダと上記挿入管とを接続」する態様を限定する補正であり、補正前と発明の産業上の利用分野、解決すべき課題を変えるものではないから、平成18年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
しかしながら、図面から、開放端と管接続端の間に、テーパー形状と認められる部位(最初に掲載した【図1】の○印の部分)が認められる以上、「テーパー形状の開口部」との補正事項が「接続部(5)の開口部」を意図するものであったとしても、「テーパー形状の開口部」とは「テーパー形状部分の縮径が開始される部分」(最初に掲載した【図1】の○印の部分)および「接続部(5)の開口部」(後に掲載した【図1】の△印の部分)のうち、いずれの部位であるかは当初明細書および当初図面の記載から明瞭といえない。
そうすると、「テーパー形状の開口部」は、その内容を特定することができないので、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された特許を受けようとする発明が明確であるとすることができない。よって、補正後の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものではないので、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものとはいえない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正のうち、請求項1についての補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第3項に規定に違反するものであり、仮に、そうでないとしても、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
平成21年1月13日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成19年7月20日付け手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項1?4に記載される発明を、それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」といい、これらをまとめて「本願発明」という。)。

「【請求項1】
両親媒性ゲルからなる体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストンと、該注入シリンダの先端に接続可能な挿入管とを用意し、
上記注入シリンダと上記挿入管とを接続し、該挿入管を遺体の口腔から咽喉部に挿入し、その後、上記ピストンを押圧して上記注入シリンダ内の体液漏出防止剤を上記挿入管内を通して咽喉部に導入することを特徴とする体液漏出防止方法。
【請求項2】
両親媒性ゲルからなる体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストンと、該注入シリンダの先端に接続可能な挿入管とを用意し、
上記挿入管を遺体の口腔から咽喉部に挿入し、上記注入シリンダと上記挿入管とを接続し、その後、上記ピストンを押圧して上記注入シリンダ内の体液漏出防止剤を上記挿入管内を通して咽喉部に導入することを特徴とする体液漏出防止方法。
【請求項3】
体液漏出防止剤には、薬液が混入されていることを特徴とする請求項1または2に記載の体液漏出防止方法。
【請求項4】
両親媒性ゲルからなる体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストンと、該注入シリンダの先端に連通する挿入管とを備え、
上記挿入管は遺体の口腔から咽喉部に挿入されることを特徴とする体液漏出防止装置。」

1.本願発明1について
原査定は、「この出願については、平成20年6月17日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。」というものであるところ、その拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、この出願の請求項1?4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものであり、刊行物として、特開平10-298001号公報(引用例2)、特開昭62-238802号公報(引用例3)を挙げている。
そこで、これらの刊行物を見ると、引用例2(特開平10-298001号公報)の、
「【特許請求の範囲】
【請求項1】自重の50倍以上の水を吸収して保持できる高吸水性ポリマーを、人間の遺体の口、耳、鼻などの中に少量詰めて、遺体からの体液の漏出防止を行なう遺体の処置法。
【請求項2】150メッシュの篩を通過する微粉末からなる高吸水性ポリマーを使用する…遺体の処置法。
【請求項3】…微粉末の高吸水性ポリマーを針を付けない注射器に充填し、中筒を押すことにより遺体の口、耳、鼻などの中に高吸水性ポリマーを均一に注入する…遺体の処置法。」、
「段落【0004】
そこで、この発明の遺体処置法は…高吸水性ポリマーを…詰めて、遺体からの体液の漏出防止を行う。」
との記載からみて、
「体液漏出防止剤である微粉末の高吸水性ポリマーを、針を付けない注射器に充填して押し出すことにより、遺体の口、耳、鼻などの中に均一に注入する、遺体の処置法。」の発明が記載されているといえる。

本願発明1と引用例2に記載された発明とを対比すると、引用例2に記載された発明の「体液漏出防止剤…針を付けない注射器に充填して押し出すこと」、「遺体の口、耳、鼻などの中に均一に注入する」、「遺体の処置法」はそれぞれ、本願発明1の「…体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストン…を用意し…その後、上記ピストンを押圧」、「…該挿入管を遺体の口腔から咽喉部に挿入し…注入シリンダ内の体液漏出防止剤…を…咽喉部に導入する」、「体液漏出防止方法」に相当すると認められるから、両者は、
「体液漏出防止剤が入れられた注入シリンダと、該注入シリンダ内を摺動するピストンと、を用意し、その後、上記ピストンを押圧して上記注入シリンダ内の体液漏出防止剤を咽喉部に導入する体液漏出防止方法」
の点で一致し、次の点で相違する。
相違点1:体液漏出防止剤が、本願発明1は「両親媒性ゲル」であるのに対して、引用例2に記載された発明は「微粉末の高吸水性ポリマー」である点
相違点2:注入シリンダが、本願発明は、体液漏出防止剤を咽喉部に導入する「挿入管」を有するものであるのに対して、引用例2に記載された発明は「針を付けない注射器」である点

引用例3を見ると、「特定の(メタ)アクリルアミド誘導体の重合体…の特性を利用することにより…繰り返し使用可能な尿の吸収および保持体」を得る(第2頁左上欄第9?12行)にあたって、「…粉末状、粒状、フレーク状、繊維状またはフィルム状である…尿の吸収および保持体」(第1頁特許請求の範囲の第1項)を使用することは記載されているが、「両親媒性ゲル」の形態の体液漏出防止剤を使用することは記載されておらず、相違点1に係る点は引用例3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易になし得たことといえない。
また、相違点2に係る点についても引用例3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易になし得たことといえない。
そして、本願発明1は、微粉末状高吸水性ポリマーを注射器で投入した場合の、入口部分は充填できるが奥まで充填できない(本願明細書段落【0006】)、飛び出る粉末が拡散するので、粉末を固めて栓をしたい所に粉末を留めることが困難である(同【0007】)等の問題点を、両親媒性ゲルを用い、これを注入シリンダの先端に接続可能な挿入管を用いて導入することにより解決し、さらに、ゲルを集中的に流し込むことができ、咽頭部を封止することができる(同段落【0018】)という顕著な効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用例2及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

2.本願発明2?4について
本願発明2は、「注入シリンダと挿入管とを接続」する工程と、「挿入管を遺体の口腔から咽喉部に挿入」する工程の順序の点でのみ、本願発明1と相違する発明であって、「両親媒性ゲル」を使用する点、「挿入管」を有する点では、本願発明1と同様であるから、本願発明1について上記した理由と同様の理由により、本願発明2は、引用例2及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
また、本願発明3は、本願発明1、2に係る請求項1、2を引用する発明であるから、本願発明1、2について述べたのと同様の理由により、引用例2及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたとものではない。
さらに、本願発明4も、「両親媒性ゲル」を使用すること、「挿入管」を有することを発明特定事項とするものであるから、本願発明1、2について述べたのと同様の理由により、引用例2及び3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたとされるものではない。

第4 むすび
以上のとおりであり、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-11-25 
出願番号 特願2007-62069(P2007-62069)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A01N)
P 1 8・ 537- WY (A01N)
P 1 8・ 56- WY (A01N)
P 1 8・ 575- WY (A01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 泰之  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 齋藤 恵
小石 真弓
発明の名称 体液漏出防止方法及び体液漏出防止装置  
代理人 今江 克実  
代理人 杉浦 靖也  
代理人 藤田 篤史  
代理人 原田 智雄  
代理人 前田 弘  
代理人 二宮 克也  
代理人 竹内 宏  
代理人 竹内 祐二  
代理人 関 啓  
代理人 嶋田 高久  

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