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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1247575
審判番号 不服2011-1739  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-01-25 
確定日 2011-11-24 
事件の表示 特願2006-252107「遊技料金処理ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月21日出願公開、特開2006-341123〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年6月14日に出願した特願2000-178521号の一部を、平成18年9月19日に新たな特許出願としたものであって、平成22年3月18日付けの拒絶理由通知に対して同年5月20日付けで手続補正がなされ、これに対し、同年10月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年1月25日付けで拒絶査定不服に対する審判の請求および手続補正がなされ、当審において、同年5月17日付けで審査官の前置報告書に基づく審尋がなされ、同年7月21日付けで回答書が提出された。

2.平成23年1月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年1月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正は、補正前の特許請求の範囲に記載された
「【請求項1】
有価価値が関連付けられた記録媒体を受け入れ、該有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す処理を行う記録媒体処理装置と、前記遊技媒体の発行データを管理する管理装置とを有する遊技システムに設けられ、前記管理装置と第1の通信手段で接続される遊技料金処理ユニットであって、
デビットカードからカード情報を読み取り、少なくとも該カード情報、該デビットカードの暗証番号、デビット決済を行う指定金額を含むデビット決済に関わる情報を前記管理装置を介さずに第2の通信手段を介してデビットシステムのセンタ処理装置に送信することにより、該センタ処理装置に対して当該カード情報に対応した口座から前記指定金額を引き落とす決済処理を行わせる決済処理手段と、
前記第1の通信手段を介して前記センタ処理装置を介さずに前記管理装置に少なくとも記録媒体発行の可否、記録媒体発行データの登録要求を含む記録媒体発行に関わる情報を送信するとともに、前記決済処理手段からの前記決済処理の完了通知により前記指定金額の範囲内の有価価値が関連付けられた記録媒体を発行する媒体発行手段と
を有し、
前記決済処理手段は、
前記デビットカードから前記カード情報を読み取って抽出するカード情報抽出手段と、
前記デビットカードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と
を具備し、
前記媒体発行手段は、
前記決済処理手段から前記決済処理の完了通知を受け取ると、前記記録媒体の発行可否の問合せを前記管理装置に対して行い、該問合せの結果、記録媒体発行可であれば前記記録媒体を発行するとともに、該発行する記録媒体のデータの登録指示を前記管理装置に対して行う制御手段と
を具備することを特徴とする遊技料金処理ユニット。
【請求項2】
前記媒体発行手段は、
発行する記録媒体の有価価値に対応する金額を選択する第1の選択ボタンと、
発行する記録媒体の有価価値に対応する金額及び現金払出金額の両者を同時に選択する第2の選択ボタンと、
前記第1の選択ボタンにより前記有価価値に対応する金額が選択された場合、該金額を前記決済処理手段に通知する第1の通知手段と、
前記第2の選択ボタンにより前記有価価値に対応する金額及び現金払出金額の両者が選択された場合、該有価価値に対応する金額と前記現金払出金額とを合算した金額を前記決済処理手段に通知する第2の通知手段と
を具備し、
前記制御手段は、
前記第1の通知手段による金額の通知後、前記決済処理の完了通知を受けることにより、前記第1の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関係付けられた記録媒体を発行するように制御する第1の制御手段と、
前記第2の通知手段による金額の通知後、前記決済処理の完了通知を受けることにより、前記第2の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関係付けられた記録媒体を発行するとともに前記現金払出金額を払い出すように制御する第2の制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の遊技料金処理ユニット。
【請求項3】
前記媒体発行手段は、
発行する記録媒体の有価価値に対応する金額を選択する第1の選択ボタンと、
現金払出金額を選択する第2の選択ボタンと、
前記第1の選択ボタンにより前記記録媒体の有価価値に対応する金額のみが選択された場合、該有価価値に対応する金額を前記決済処理手段に通知する第1の通知手段と、
前記第1の選択ボタンにより前記記録媒体の有価価値に対応する金額が選択され、かつ前記第2の選択ボタンにより前記現金払出金額が選択された場合は、該有価価値に対応する金額と該現金払出金額とを合算した金額を前記決済処理手段に通知する第2の通知手段と、
前記第2の選択ボタンにより前記現金払出金額のみが選択された場合は、該現金払出金額を前記決済処理手段に通知する第3の通知手段と
を具備し、
前記制御手段は、
前記第1の通知手段による金額の通知後、前記決済処理の完了通知を受けることにより、前記第1の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関係付けられた記録媒体を発行するように制御する第1の制御手段と、
前記第2の通知手段による金額の通知後、前記決済処理の完了通知を受けることにより、前記第1の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関係付けられた記録媒体を発行するとともに前記第2の選択手段で選択された現金払出金額を払い出すように制御する第2の制御手段と、
前記第3の通知手段による金額の通知後、前記決済処理の完了通知を受けることにより、前記第2の選択ボタンで選択された前記現金払出金額を払い出すように制御する第3の制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の遊技料金処理ユニット。」
という発明を、
「【請求項1】
有価価値が関連付けられた記録媒体を受け入れ、該有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す処理を行う記録媒体処理装置と、前記遊技媒体の発行データを管理する管理装置とを有する遊技システムに設けられ、前記管理装置と第1の通信手段で接続される遊技料金処理ユニットであって、
デビットカードからカード情報を読み取り、少なくとも該カード情報、該デビットカードの暗証番号、デビット決済を行う指定金額を含むデビット決済に関わる情報を前記管理装置を介さずに第2の通信手段を介してデビットシステムのセンタ処理装置に送信することにより、該センタ処理装置に対して当該カード情報に対応した口座から前記指定金額を即時に引き落とす口座引落処理を行わせる口座引落処理手段と、
前記第1の通信手段を介して前記センタ処理装置を介さずに前記管理装置に少なくとも記録媒体発行の可否、記録媒体発行データの登録要求を含む記録媒体発行に関わる情報を送信するとともに、前記口座引落処理手段からの前記口座引落処理の完了通知により前記指定金額の範囲内の有価価値が関連付けられた記録媒体を発行する媒体発行手段と
を有し、
前記口座引落処理手段は、
前記デビットカードから前記カード情報を読み取って抽出するカード情報抽出手段と、
前記デビットカードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と
を具備し、
前記媒体発行手段は、
前記口座引落処理手段から前記口座引落処理の完了通知を受け取ると、前記記録媒体の発行可否の問合せを前記管理装置に対して行い、該問合せの結果、記録媒体発行可であれば前記記録媒体を発行するとともに、該発行する記録媒体のデータの登録指示を前記管理装置に対して行う制御手段と
を具備することを特徴とする遊技料金処理ユニット。
【請求項2】
前記媒体発行手段は、
発行する記録媒体の有価価値に対応する金額を選択する第1の選択ボタンと、
発行する記録媒体の有価価値に対応する金額及び現金払出金額の両者を同時に選択する第2の選択ボタンと、
前記第1の選択ボタンにより前記有価価値に対応する金額が選択された場合、該金額を前記口座引落処理手段に通知する第1の通知手段と、
前記第2の選択ボタンにより前記有価価値に対応する金額及び現金払出金額の両者が選択された場合、該有価価値に対応する金額と前記現金払出金額とを合算した金額を前記口座引落処理手段に通知する第2の通知手段と
を具備し、
前記制御手段は、
前記第1の通知手段による金額の通知後、前記口座引落処理の完了通知を受けることにより、前記第1の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関連付けられた記録媒体を発行するように制御する第1の制御手段と、
前記第2の通知手段による金額の通知後、前記口座引落処理の完了通知を受けることにより、前記第2の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関連付けられた記録媒体を発行するとともに前記現金払出金額を払い出すように制御する第2の制御手段と を具備することを特徴とする請求項1記載の遊技料金処理ユニット。
【請求項3】
前記媒体発行手段は、
発行する記録媒体の有価価値に対応する金額を選択する第1の選択ボタンと、
現金払出金額を選択する第2の選択ボタンと、
前記第1の選択ボタンにより前記記録媒体の有価価値に対応する金額のみが選択された場合、該有価価値に対応する金額を前記口座引落処理手段に通知する第1の通知手段と、
前記第1の選択ボタンにより前記記録媒体の有価価値に対応する金額が選択され、かつ前記第2の選択ボタンにより前記現金払出金額が選択された場合は、該有価価値に対応する金額と該現金払出金額とを合算した金額を前記口座引落処理手段に通知する第2の通知手段と、
前記第2の選択ボタンにより前記現金払出金額のみが選択された場合は、該現金払出金額を前記口座引落処理手段に通知する第3の通知手段と
を具備し、
前記制御手段は、
前記第1の通知手段による金額の通知後、前記口座引落処理の完了通知を受けることにより、前記第1の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関連付けられた記録媒体を発行するように制御する第1の制御手段と、
前記第2の通知手段による金額の通知後、前記口座引落処理の完了通知を受けることにより、前記第1の選択ボタンで選択された金額に対応する有価価値が関連付けられた記録媒体を発行するとともに前記第2の選択手段で選択された現金払出金額を払い出すように制御する第2の制御手段と、
前記第3の通知手段による金額の通知後、前記口座引落処理の完了通知を受けることにより、前記第2の選択ボタンで選択された前記現金払出金額を払い出すように制御する第3の制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の遊技料金処理ユニット。」
という発明に変更することを含むものである。

(2)補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1における、「前記指定金額を引き落とす」を「前記指定金額を即時に引き落とす」と変更することにより指定金額を引き落とす時期を特定しており、補正前の請求項1?3における、「決済処理」及び「決済処理手段」を「口座引落処理」及び「口座引落処理」とした変更には実質的な変更はなく処理の名称を変更したものであり、補正前の請求項2及び3における、「有価価値が関係付けられた」を「有価価値が関連付けられた」とした変更には実質的な変更はなく同義の言葉に変更したものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(3)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由(平成22年3月18日付け拒絶理由通知)において引用文献1として引用された国際公開第96/021908号(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「さらに、会員カードおよびプリペイドカードを共用化するようにした場合は、遊技場にとって、会員カードの発行作業およびプリペイドカードの販売作業を自動化することができるので、便利であり、プリペイドカードの代金をクレジットカードの信用判定システムから確実に得ることができるので、偽造紙幣による被害の減少につながる。
以上説明したように、本発明によれば、顧客は、所定の申込み用紙に必要事項を記入することなく、手軽に会員カードを入手することができるので、便利である。」(11頁3?12行)

(イ)「さて、顧客は、遊技開始時に、現金に応じた個数のパチンコ玉を受け取り、受皿202に該パチンコ玉を投入する。」(19頁8?9行)

(ウ)「次に、会員カード発行端末3について説明する。
図19は会員カード発行端末3の正面図である。図19において、会員カード発行端末3の正面には、顧客が持参したクレジットカードを挿入するためのカード挿入口31と、パチンコ店が発行する会員カードを出力するためのカード発行口32とが設けられている。
顧客は、持参したクレジットカードをカード挿入口31に挿入すると、該クレジットカードが使用可能なものである場合に、カード発行口32からパチンコ店が発行した会員カードが出力されるので、即座に会員カードを入手することができる。
会員カード発行端末3においては、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードに登録されている内容を読み取って、クレジットカードが使用可能であるか否かの判定をクレジットカードの発行会社のクレジットカードの信用判定システムに依頼する。そして、上記クレジットカードの信用判定システムによる判定結果が、クレジットカードが使用可能であることを示している場合に、固有の会員カード番号を登録した会員カードを、カード発行口32から出力するようになっている。
図20は会員カード発行端末3の構成図である。図20において、31はカード挿入口、32はカード発行口、33は読取装置、34は送信装置、35は受信装置、36は制御装置、37はカード収納箱、38はカード内容登録装置である。この会員カード発行端末3は、クレジットカードの信用判定システム3aに、通信回線3bを介して接続される。クレジットカードの信用判定システム3aは、通常は、クレジットカード発行会社に設置される。
読取装置33は、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードの登録内容を読み取るものである。また、送信装置34は、読取装置33が読み取ったクレジットカードの登録内容をクレジットカードの信用判定システム3aに送信するものであり、受信装置35は、クレジットカードの信用判定システム3aから返送されてくる、クレジットカードが使用可能であるか否かを示す判定結果を受信するものである。
カード収納箱37は、内容が未登録の会員カードを複数枚収容しているものであり、カード内容登録装置38は、カード収納箱37が収納している会員カードの1枚に固有の会員カード番号を書き込んで、カード発行口32から出力するものである。
また、制御装置36は、会員カード発行端末3の動作を実現するためのものであり、その処理フローチャートを図21に示す。
図21に示すように、制御装置36は、顧客が持参したクレジットカードをカード挿入口31に挿入すると(ステップ2101)、読取装置33に対して、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードの登録内容を読み取るよう制御する(ステップ2102)。これにより、読取装置33は、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードの登録内容を読み取り、読み取った登録内容を制御装置36に出力する。
続いて、制御装置36は、送信装置34に対して、読取装置33から出力されたクレジットカードの登録内容をクレジットカードの信用判定システム3aに送信するよう制御する(ステップ2103)。
クレジットカードには、通常、クレジットカードの信用判定システム3aの識別情報およびクレジットカードに固有のクレジットカード番号が、少なくとも登録されている。そこで、ステップ2103において、制御装置36は、識別情報が示す発行会社にクレジットカード番号を送信するよう、送信装置34を制御する。これにより、送信装置34は、識別情報が示す発行会社にクレジットカード番号を送信する。
クレジットカードの信用判定システム3aは、各所から送信されてくるクレジットカード番号を受信すると、該クレジットカード番号に対応付けて管理している顧客データ(氏名,住所,クレジットカードの使用期限,クレジットカードの使用状況,購買金額の上限等)を参照することにより、クレジットカードが使用可能であるか否かを判定し、判定結果を返送するようになっている。
クレジットカードの信用判定システム3aから返送されてきた判定結果は、受信装置35によって受信され、受信装置35は、判定結果を受信すると、該判定結果を制御装置36に出力する。
そこで、制御装置36は、受信装置35から出力された判定結果がクレジットカードが使用可能であることを示している場合に(ステップ2104)、読取装置33が読み取ったクレジットカードの登録内容、および、発行すべき会員カードに固有の会員カード番号を、ホストコンピュータ2に出力する(ステップ2105)。これにより、ホストコンピュータ2は、後述する顧客データを取得することができる。
続いて、制御装置36は、カード内容登録装置38に対して、ホストコンピュータ2に出力した会員カード番号と同じ会員カード番号を出力することにより、会員カードを発行するよう制御する(ステップ2106)。これにより、カード内容登録装置38は、カード収納箱37に収納されている会員カードの1枚に、制御装置36から出力された会員カード番号を書き込んで、カード発行口32から出力する。
最後に、制御装置36は、読取装置33に対して、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードをカード挿入口31から出力するよう制御する(ステップ2107)。これにより、読取装置33は、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードをカード挿入口31から出力して、クレジットカードを顧客に返却する。」(39頁14行?43頁14行)

(エ)「次に、ホストコンピュータ2について説明する。図26はホストコンピュータ2の構成図である。
図26において、21は制御装置、22は記憶装置である。記憶装置22には、顧客データ23と提供データ24とが格納されている。
顧客データ23は、会員カード発行端末3から出力されてくる、クレジットカードの発行会社の識別情報,クレジットカードのクレジットカード番号,発行した会員カードの会員カード番号を対応付けたものである。」(51頁3?11行)

(オ)「ところで、クレジットカードを利用することから、会員カードを、パチンコ玉を貸与するためのプリペイドカードと共用させ、プリペイドカードの支払いをクレジットカードで行うようにすることができる。以下、そのようにした例を、別の実施の形態として説明する。
本実施の形態の情報提供システムの構成図は、図1と同様である。また、パチンコ遊技機1,ホストコンピュータ2,情報提供端末4の各々について、その構成および動作の説明は、上記実施の形態と同様である。ただし、本実施の形態では、会員カード発行端末3について、その動作が上記実施の形態とは異なる。
図29は制御装置36の処理フローチャートである。図29に示すように、制御装置36は、顧客が持参したクレジットカードをカード挿入口31に挿入すると(ステップ2901)、読取装置33に対して、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードの登録内容を読み取るよう制御する(ステップ2902)。これにより、読取装置33は、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードの登録内容を読み取り、読み取った登録内容を制御装置36に出力する。
続いて、制御装置36は、送信装置34に対して、読取装置33から出力されたクレジットカードの登録内容をクレジットカードの発行会社のクレジットカードの信用判定システム3aに送信するよう制御する(ステップ2903)。
クレジットカードには、通常、クレジットカードの発行会社の識別情報およびクレジットカードに固有のクレジットカード番号が、少なくとも登録されている。そこで、ステップ2903において、制御装置36は、識別情報が示す発行会社のクレジットカードの信用判定システム3aにクレジットカード番号を送信するよう、送信装置34を制御する。これにより、送信装置34は、識別情報が示す発行会社にクレジットカード番号を送信する。
クレジットカードの信用判定システム3aは、各所から送信されてくるクレジットカード番号を受信すると、該クレジットカード番号に対応付けて管理している顧客データ(氏名,住所,クレジットカードの使用期限,クレジットカードの使用状況,購買金額の上限等)を参照することにより、クレジットカードの信用、すなわち、クレジットカードが使用可能であるか否かを判定し、判定結果を返送するようになっている。
クレジットカードの信用判定システム3aから返送されてきた判定結果は、受信装置35によって受信され、受信装置35は、判定結果を受信すると、該判定結果を制御装置36に出力する。
そこで、制御装置36は、受信装置35から出力された判定結果がクレジットカードが使用可能であることを示している場合に(ステップ2904)、送信装置34に対して、購買品であるプリペイドカード(会員カード)の金額(例えば、5000円)をクレジットカードの発行会社に送信するよう制御する(ステップ2905)。これにより、送信装置34は、識別情報が示す発行会社に金額を送信する。
クレジットカードの信用判定システム3aは、クレジットカード番号に続いて送信されてくる購買品の金額を受信すると、該クレジットカード番号に対応付けて管理している顧客データ(特に、購買金額の上限)を参照することにより、該金額の購買品が購買可能であるか否かを判定し、判定結果を返送するようになっている。
クレジットカードの発行会社の信用判定システム3aから返送されてきた判定結果は、受信装置35によって受信され、受信装置35は、判定結果を受信すると、該判定結果を制御装置36に出力する。
そこで、制御装置36は、受信装置35から出力された判定結果が購買可能であることを示している場合に(ステップ2906)、読取装置33が読み取ったクレジットカードの登録内容、および、発行すべき会員カードに固有の会員カード番号を、ホストコンピュータ2に出力する(ステップ2907)。これにより、ホストコンピュータ2は、顧客データ23を取得することができる。
続いて、制御装置36は、カード内容登録装置38に対して、ホストコンピュータ2に出力した会員カード番号と同じ会員カード番号を出力することにより、会員カードを発行するよう制御する(ステップ2908)。これにより、カード内容登録装置38は、カード収納箱37に収納されている会員カードの1枚に、制御装置36から出力された会員カード番号および金額(例えば、5000円)を書き込んで、カード発行口32から出力する。
最後に、制御装置36は、読取装置33に対して、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードをカード挿入口31から出力するよう制御する(ステップ2909)。これにより、読取装置33は、カード挿入口31に挿入されたクレジットカードをカード挿入口31から出力して、クレジットカードを顧客に返却する。」(56頁11行?60頁7行)

(カ)「また、図29には図示していないが、カード発行口32から会員カードが出力されると、制御装置36は、送信装置34に対して、先に送信した金額の購買品を購買する旨をクレジットカードの発行会社に送信するよう制御するようにして、購買契約を結ぶようにする。これにより、後日、クレジットカードの発行会社は、顧客の口座から上記金額を引き落すと共に、遊技場の口座に上記金額を振り込むようになる。
このように、会員カード発行端末3においては、顧客は、持参したクレジットカードをカード挿入口31に挿入するだけで、手軽に、カード発行口32から出力される遊技場の会員カードを入手することができる。本実施の形態では、会員カードがプリペイドカードを兼ねているので、顧客は、会員カードを利用して、遊技を行うことも、遊技情報やその他の情報を見ることもできる。」(60頁20行?61頁10行)

以上、上記(ア)乃至(カ)の記載及び図面の記載を総合すると、引用例1には、
「会員カードを兼ねたプリペイドカードで遊技を行うことができ、記憶装置22に、会員カード発行端末3から出力されてくるクレジットカードの発行会社の識別情報、クレジットカードのクレジットカード番号、発行した会員カードの会員カード番号を対応づけた顧客データ23を格納したホストコンピュータ2と、前記ホストコンピュータ2と接続した前記会員カード発行端末3であって、
制御装置36は、クレジットカードをカード挿入口31に挿入すると、該クレジットカードに登録されている内容を読取装置33が読み取って、該クレジットカードが使用可能であるか否かの判定を通信回線3bを介して接続されたクレジットカードの発行会社のクレジットカードの信用判定システム3aに依頼し、受信装置35でクレジットカードが使用可能であるか否かを示す判定結果を受信し、判定結果が使用可能である場合に、送信装置34に対して、プリペイドカード(会員カード)の金額をクレジットカードの発行会社に送信し、クレジットカードの信用判定システム3aは、クレジットカード番号に続いて送信されてくる購買品の金額を受信すると、該クレジットカード番号に対応付けて管理している顧客データを参照することにより、該金額の購買品が購買可能であるか否かを判定し、判定結果を返送し、
判定結果が購買可能である場合に、読取装置33が読み取ったクレジットカードの登録内容、および、発行すべき会員カードに固有の会員カード番号をホストコンピュータ2に出力し、前記顧客データ23を取得し、カード内容登録装置38に対して、ホストコンピュータ2に出力した会員カード番号と同じ会員カード番号を出力することにより、会員カードを発行するように制御し、カード収納箱37に収納されている会員カードの1枚に、制御装置36から出力された会員カード番号を書き込んで、カード発行口32から出力し、
カード発行口32から会員カードが出力されると、制御装置36は、送信装置34に対して、先に送信した金額の購買品を購買する旨をクレジットカードの発行会社に送信するようにし、購買契約を結び、後日、クレジットカードの発行会社は、顧客の口座から上記金額を引き落とすとともに、遊技場の口座に上記金額を振り込む、会員カード発行端末3。」
の発明が開示されていると認めることができる(以下、この発明を「引用発明1」という。)。

(4)対比
引用発明1の「ホストコンピュータ2」は、本願補正発明の「管理装置」に相当する。以下同様に、
「会員カード発行端末3」は「遊技料金処理ユニット」に、
「通信回線3b」は「第2の通信手段」に、それぞれ相当する。

ここで、請求項1には「前記遊技媒体の発行データを管理する管理装置」と記載されているが、平成19年6月12日付け手続補正書の請求項7の「前記記憶媒体の発行データを管理する管理装置」との記載、及び、願書に最初に添付した明細書の段落【0027】の「このプリペイドカード61の発行に先立ち、カード発行機60は、T/C20ヘカード発行データの登録を要求すると共に、発行の可否を問い合わせ、発行可の時のみプリペイドカード61を発行する。」との記載から、「前記遊技媒体」は「前記記録媒体」の誤記であると認めて以下検討を進めることとする。

引用発明1は、会員カードを兼ねたプリペイドカードで遊技を行うことができ、プリペイドカードは、引用例1の上記(オ)によれば、例えば、5000円のプリペイドカードとして購入するのであるから、引用発明1は「有価価値が関連付けられた記録媒体」を備えているといえる。

また、引用例1には、上記(オ)のとおり、プリペイドカードによりパチンコ玉を貸与することのみで、パチンコ玉を貸し出す装置については明記されていないものの、上記(イ)のとおり、遊技開始時に、現金に応じた個数のパチンコ玉を受け取り、受皿202に該パチンコ玉を投入するのであるから、引用発明1は、遊技機の分野で例示するまでもなく慣用されているプリペイドカードによりパチンコ玉(本願補正発明の「遊技媒体」に相当。)を貸し出す装置(本願補正発明の「記録媒体処理装置」に相当。)を備えているといえる。

また、引用発明1は、記憶装置22に、会員カード発行端末3から出力されてくるクレジットカードの発行会社の識別情報、クレジットカードのクレジットカード番号、発行した会員カード(本願補正発明の「記録媒体」に相当)の会員カード番号(本願補正発明の「発行データ」に相当)を対応づけた顧客データ23を格納したホストコンピュータ2を備えているから、引用発明1は「前記記録媒体の発行データを管理する管理装置」を備えているといえる。

また、引用発明1における、ホストコンピュータ2、会員カード発行端末3からなるシステムはパチンコ遊技機に関するシステムであるので「遊技システム」であるといえる。

また、引用発明1は、ホストコンピュータ2と会員カード発行端末3とでデータのやりとりを行っているのであって、引用例1の図20の記載からも、両者は通信回線3bとは異なる通信手段により接続されていることは明らかであるから、引用発明1は、ホストコンピュータ2と会員カード発行端末3とを接続する「第1の通信手段」を備えているといえる。

引用発明1は、クレジットカードを用いて、後日、顧客の口座から購買品の金額を引き落とすものであるが、会員カード発行端末3とクレジットカードの発行会社のクレジットカードの信用判定システム3aとは、通信回線3bで接続されており、クレジットカードが使用可能であるか否か、購買品を購買可能であるか否かの判定のためのデータのやりとりは、ホストコンピュータ2を介さずに通信回線3bで行っていることは明らかであって、引用発明1と本願補正発明とは現金によらない決済方法である点で共通しているのであるから、両者は「カードからカード情報を読み取り、少なくとも該カード情報、決済を行う指定金額を含む決済に関わる情報を前記管理装置を介さずに第2の通信手段を介してシステムのセンタ処理装置に送信することにより、該センタ処理装置に対して当該カード情報に対応した口座から前記指定金額を引き落とす口座引落処理を行わせる口座引落処理手段」を備える点で共通しているといえる。

また、引用発明1は、読取装置33が読み取ったクレジットカードの登録内容、および、発行すべき会員カードに固有の会員カード番号をホストコンピュータ2に出力しているのであるから(ホストコンピュータ2と会員カード発行端末3とを接続する「第1の通信手段」を備えている点は上述のとおり。)、引用発明1と本願補正発明とは「前記第1の通信手段を介して前記センタ処理装置を介さずに前記管理装置に記録媒体発行に関わる情報を送信」している点で共通しているといえる。

また、引用発明1は、クレジットカードの信用判定システム3aは、・・・該金額の購買品が購買可能であるか否かを判定し、判定結果を返送し、判定結果が購買可能である場合に、・・・会員カードを発行するように制御し、カード収納箱37に収納されている会員カードの1枚に、制御装置36から出力された会員カード番号を書き込んで、カード発行口32から出力するのであるから、引用発明1は「前記口座引落処理手段からの前記口座引落処理の完了通知により前記指定金額の範囲内の有価価値が関連付けられた記録媒体を発行する媒体発行手段」を備えているといえる。

以上のことから、両者は、
<一致点>
「有価価値が関連付けられた記録媒体を受け入れ、該有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す処理を行う記録媒体処理装置と、前記記録媒体の発行データを管理する管理装置とを有する遊技システムに設けられ、前記管理装置と第1の通信手段で接続される遊技料金処理ユニットであって、
カードからカード情報を読み取り、少なくとも該カード情報、決済を行う指定金額を含む決済に関わる情報を前記管理装置を介さずに第2の通信手段を介してシステムのセンタ処理装置に送信することにより、該センタ処理装置に対して当該カード情報に対応した口座から前記指定金額を引き落とす口座引落処理を行わせる口座引落処理手段と、
前記第1の通信手段を介して前記センタ処理装置を介さずに前記管理装置に記録媒体発行に関わる情報を送信するとともに、前記口座引落処理手段からの前記口座引落処理の完了通知により前記指定金額の範囲内の有価価値が関連付けられた記録媒体を発行する媒体発行手段と
を具備する遊技料金処理ユニット。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>
本願補正発明では、決済にデビットカードを用いており、決済時に暗証番号をデビットシステムのセンタ処理装置に送信し、指定金額を即時に引き落としているのに対して、引用発明1は、決済にクレジットカードを用いており、決済時に暗証番号をクレジットカードの信用判定システム3aに送信しているかどうかが不明であり、後日口座から引き落としている点。

<相違点2>
本願補正発明では、前記口座引落処理手段は、前記デビットカードから前記カード情報を読み取って抽出するカード情報抽出手段と、前記デビットカードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段とを備えているのに対して、引用発明1では、そのような構成ではない点。

<相違点3>
本願補正発明では、前記媒体発行手段は、前記口座引落処理手段から前記口座引落処理の完了通知を受け取ると、前記記録媒体の発行可否の問合せを前記管理装置に対して行い、該問合せの結果、記録媒体発行可であれば前記記録媒体を発行するとともに、該発行する記録媒体のデータの登録指示を前記管理装置に対して行う制御手段を備えているのに対して、引用発明1では、そのような構成ではない点。

(5)判断
<相違点1>、<相違点2>について
相違点1及び相違点2は関連しているので、ここで併せて検討することとする。
デビットカードを用いて、決済時に暗証番号をデビットシステムのセンタ処理装置に送信し、指定金額を口座から即時に引き落とす決済方法は例示するまでもなく周知技術であり、また、遊技機の分野において、キャッシュカードや銀行カードを利用して、銀行口座内の預金の一部を即時に引き落として決済をすることは、例えば、特開平6-71039号公報(平成22年3月18日付け拒絶理由通知における引用文献2、特に、段落【0074】を参照)、特開平10-5415号公報(平成22年3月18日付け拒絶理由通知における引用文献4、特に、段落【0105】?【0113】を参照)にみられるように周知技術である。そして、上記デビットカードを用いた決済方法に関する周知技術が、デビットカードのカード情報を抽出する手段を備えることや、暗証番号を入力する手段を備えることは、ともに明らかなことである。
してみると、引用発明1におけるクレジットカードによる決済方法を上記周知技術であるデビットカードを用いた決済方法に置換して、本願補正発明の相違点1及び相違点2に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

<相違点3について>
平成22年3月18日付け拒絶理由通知において引用文献10として引用された特開平11-319276号公報(以下「引用例2」という。)には、ターミナルコントローラ(本願補正発明の「管理装置」に相当)は、遊技カード(本願補正発明の「記録媒体」に相当)の遊技カード情報を発行カード情報(本願補正発明の「発行データ」に相当)として発行カード情報記憶部に登録し、個々の遊技カードを管理することが記載され(特に、段落【0050】を参照)、この発行カード情報の登録後、ターミナルコントローラは、カード発行機に対して問い合わせのあった遊技カードの発行許可応答を行い、発行許可応答を受けたカード発行機が遊技カードを発行することが記載されている(特に、段落【0051】を参照)。
そして、引用発明1及び引用例2に記載の発明は、ともに遊技機のカードを管理装置とカード発行機を用いて発行するものであるから、引用例2に記載の発明を引用発明1に適用して、本願補正発明の相違点3に係る発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明の効果は、引用発明1、引用例2に記載の発明及び上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

以上のように、本願補正発明は、引用発明1、引用例2に記載の発明及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、その特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

なお、審判請求人は審判請求書において「かかる構成によれば、本件の平成22年5月20日付提出の意見書で検討した、
“デビット決済関連の情報と記録媒体発行に関わる情報とを分離して処理することができ、これにより、デビット決済関連の情報が外部に漏れないようにするとともに、遊技店における遊技媒体の発行の可否および記録媒体発行データを遊技店の管理装置で的確に管理できる。”
という作用効果に加え、
“挿入されたデビットカードから読み取ったカード番号に対応する口座の預金から指定金額の即時引落を実施したうえで、該即時引落処理完了の通知を受けることにより、該指定金額の範囲内の有価価値が関連付けられた記録媒体が発行されることから、後々になって不払い等の問題が生じることがなく、円滑なカード発行を行なうことができる。”
という作用効果を更に有する。」と主張しているものの、引用発明1ではプリペイドカードを会員カードと兼用して発行しているため、クレジットカードが使用可能であるかの判定を行うための登録内容をクレジットが使用可能であるか否かの判定とは別にカード発行に利用しているのであって、クレジット決済関連の情報と記録媒体発行に関わる情報とは分離して処理している。
また、デビット決済では預金から指定金額の即時引落が実施される点は、クレジット決済かデビット決済かの決済方法による違いであって、格別のものではない。
したがって、上記主張は採用することができない。

(6)本願補正発明についてのまとめ
以上のとおり、本件補正は、上記改正前の特許法17条の2第5項で準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、同法159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成23年1月25日け付の手続補正は上記のとおり却下されたので、請求項1に係る発明は、平成22年5月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。
そして、その請求項1により特定される発明は次のとおりである。
なお、前記2.(4)で検討したとおり、請求項1の「前記遊技媒体の発行データを管理する管理装置」は、「前記記録媒体の発行データを管理する管理装置」の誤記であると認めて、以下検討を進めることとする。)
「【請求項1】
有価価値が関連付けられた記録媒体を受け入れ、該有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す処理を行う記録媒体処理装置と、前記記録媒体の発行データを管理する管理装置とを有する遊技システムに設けられ、前記管理装置と第1の通信手段で接続される遊技料金処理ユニットであって、
デビットカードからカード情報を読み取り、少なくとも該カード情報、該デビットカードの暗証番号、デビット決済を行う指定金額を含むデビット決済に関わる情報を前記管理装置を介さずに第2の通信手段を介してデビットシステムのセンタ処理装置に送信することにより、該センタ処理装置に対して当該カード情報に対応した口座から前記指定金額を引き落とす決済処理を行わせる決済処理手段と、
前記第1の通信手段を介して前記センタ処理装置を介さずに前記管理装置に少なくとも記録媒体発行の可否、記録媒体発行データの登録要求を含む記録媒体発行に関わる情報を送信するとともに、前記決済処理手段からの前記決済処理の完了通知により前記指定金額の範囲内の有価価値が関連付けられた記録媒体を発行する媒体発行手段と
を有し、
前記決済処理手段は、
前記デビットカードから前記カード情報を読み取って抽出するカード情報抽出手段と、
前記デビットカードの暗証番号を入力する暗証番号入力手段と
を具備し、
前記媒体発行手段は、
前記決済処理手段から前記決済処理の完了通知を受け取ると、前記記録媒体の発行可否の問合せを前記管理装置に対して行い、該問合せの結果、記録媒体発行可であれば前記記録媒体を発行するとともに、該発行する記録媒体のデータの登録指示を前記管理装置に対して行う制御手段と
を具備することを特徴とする遊技料金処理ユニット。」(この発明を「本願発明」という。)

一方、原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第96/021908号(引用文献1)に記載された発明は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.(2)で検討したとおり本願補正発明から、指定金額を引き落とす時期の特定を削除したもの、及び、実質的な変更がない名称の変更を元に戻したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(5)に記載したとおり、引用発明1、引用例2に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、前記2.(4)で検討したとおり、請求項1の「前記遊技媒体の発行データを管理する管理装置」は、「前記記録媒体の発行データを管理する管理装置」の誤記であると認めて検討したものの、仮に、請求項1の「前記遊技媒体の発行データを管理する管理装置」との記載どおり認定した場合においても、遊技媒体の発行データを管理する点は、平成22年3月18日付け拒絶理由通知において引用文献10として引用された特開平11-319276号公報の段落【0074】に記載されているため、同様に当業者が容易に発明をすることができたものである点にも留意されたい。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、引用例2に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-21 
結審通知日 2011-09-27 
審決日 2011-10-12 
出願番号 特願2006-252107(P2006-252107)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 綾子  
特許庁審判長 伊藤 陽
特許庁審判官 澤田 真治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技料金処理ユニット  
代理人 木村 高久  

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