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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H01R 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01R |
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管理番号 | 1247645 |
審判番号 | 不服2009-19250 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-08 |
確定日 | 2011-11-30 |
事件の表示 | 特願2003-582863号「同軸ケーブルをプリント回路板に接続するアダプタ」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月16日国際公開、WO03/85786、平成17年7月21日国内公表、特表2005-522013号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2003年3月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年4月2日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成21年6月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年10月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。 2.平成21年10月8日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年10月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、補正前、請求項1に 「同軸ケーブルをプリント回路板に接続するアダプタであって、 ハウジングと、 同軸コネクタと、 導電性部材と、 を備えており、 前記ハウジングは、第1端部と第2端部とを備えており、前記ハウジングの前記第2端部は、第1部分と第2部分とを有しており、前記第1部分と前記第2部分との間には空間が形成されており、前記ハウジング内には中央開口部が延びており、前記中央開口部の両側には前記第1部分及び前記第2部分が配設されており、 前記同軸コネクタは、前記中央開口部内且つ前記ハウジングの前記第1端部に配設されており、前記同軸コネクタは、接地部材を備えており、前記接地部材は、信号コンタクトの第1端部の周辺に配設されており、前記接地部材は前記信号コンタクトの前記第1端部と同心であり、 前記導電性部材は、前記ハウジングの前記第2端部の前記第2部分と接触しており、前記導電性部材は、前記同軸コネクタの前記接地部材に電気的に接続されており、 前記信号コンタクトの第2端部は、前記ハウジング内において、前記ハウジングの前記第2端部の前記第1部分と前記導電性部材との間に位置していることを特徴とするアダプタ。」と記載され、請求項2?17に請求項1を引用して又は請求項1を引用した請求項を引用して記載され、請求項18に 「同軸ケーブルをプリント回路板に接続するアダプタであって、 ハウジングと、 同軸コネクタと、 導電性部材と、 を備えており、 前記ハウジングは、第1端部と第2端部とを備えており、前記ハウジングの前記第2端部は、第1部分と第2部分とを有しており、前記第1部分と前記第2部分との間には空間が形成されており、前記ハウジング内には中央開口部が延びており、前記中央開口部の両側には前記第1部分及び前記第2部分が配設されており、前記ハウジングは、非導電性素材で形成されており、 前記同軸コネクタは、前記中央開口部内且つ前記ハウジングの前記第1端部に配設されており、前記同軸コネクタは、接地部材を備えており、前記接地部材は、信号コンタクトの第1端部の周辺に配設されており、前記接地部材は、前記信号コンタクトの前記第1端部と同心であり、 前記導電性部材は、前記ハウジングの前記第2端部の前記第2部分と接触しており、前記導電性部材は、前記同軸コネクタの前記接地部材に電気的に接続されており、 前記信号コンタクトの第2端部は、前記ハウジング内において、前記ハウジングの前記第2端部の前記第1部分と前記第2部分との間に位置していることを特徴とするアダプタ。」と記載されていたものを、 補正後、請求項1を 「信号トレース及び接地部を有するプリント回路板を同軸コネクタに結合させる高周波アダプタであって、 前記プリント回路板に取り外し可能に結合されるように設計されたハウジングと、 前記ハウジングの後方内側部に配置されている接地クリップと、 前記ハウジングに取り付けられているアダプタサブアセンブリと、 から成り、 前記アダプタサブアセンブリは、 基端部と、先端部と、前記基端部と前記先端部とを連結させる長尺な軸と、を有するコンタクトと、 前記コンタクトを包囲している絶縁体と、 前記絶縁体を包囲している導電性の円筒形コネクタと、 から成り、 前記先端部は前記同軸コネクタと接続するように形成され、前記基端部は前記プリント回路板と接続するように形成され、前記長尺な軸は、長手軸を有するとともに前記基端部においてテーパ状となっており、前記基端部はボールコンタクトで終結しており、前記ボールコンタクトと前記長尺な軸とは前記長手軸を中心としており互いに同心となっており、前記ボールコンタクトは前記プリント回路板上の前記信号トレース上をスライドし、前記プリント回路板上の前記信号トレースを前記コンタクトに電気的に結合させ、前記接地クリップは前記プリント回路板の前記接地部上をスライドして前記接地クリップを前記接地部に電気的に結合させ、 前記コンタクトは、前記導電性の円筒形コネクタ内に配置されており、前記導電性の円筒形コネクタと同心であり、前記導電性円筒形コネクタは前記接地クリップに電気的に結合され、前記コンタクトは前記接地クリップから絶縁されていることを特徴とする高周波アダプタ。」と、請求項4を 「プリント回路板を同軸コネクタに結合させるアダプタであって、 第1端部及び第2端部を有するハウジングと、 前記ハウジング内に配置されている中心導体と、 から成り、 前記ハウジングの前記第1端部は、前記同軸コネクタに接続されるように構成されている導電性円筒形コネクタを収容するようになっており、前記ハウジングの前記第2端部はプリント回路板収容溝を有しており、前記プリント回路板収容溝は前記プリント回路板の一部の上をスライドするように形成されており、前記ハウジングは非導電性素材で形成されており、 前記中心導体は、前記プリント回路板の第1表面上に配置されている導電性コンタクトの上をスライドするボール形状のプリント回路板接触端部を有しており、前記中心導体は、前記ボール形状のプリント回路板接触端部とは反対側に同軸コネクタ端部を有しており、前記同軸コネクタ端部は、長尺な軸によって、前記ボール形状のプリント回路板接触端部に連結されており、前記長尺な軸は、前記同軸コネクタ端部から遠く離れた領域にてテーパ状となっていることを特徴とするアダプタ。」と、請求項5を 「前記ハウジングはプラスチックで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のアダプタ。」と、請求項10を 「プリント回路板を同軸コネクタに結合させるアダプタであって、 第1端部及び第2端部を有するハウジングと、 前記ハウジング内に配置されている中心導体と、 から成り、 前記ハウジングの前記第1端部は、前記同軸コネクタに接続されるように構成されている導電性円筒形コネクタを収容するようになっており、前記ハウジングの前記第2端部はプリント回路板収容溝を有しており、前記プリント回路板収容溝は前記プリント回路板の一部の上をスライドするように形成されており、前記ハウジングは、バレル形状であり、1対のアライメントピンを有する前面を有しており、前記1対のアライメントピンはパネルに嵌入されて前記ハウジングと前記パネルとを一直線上に適切に配置し、 前記中心導体は、前記プリント回路板の第1表面上に配置されている導電性コンタクトの上をスライドするボール形状のプリント回路板接触端部を有しており、前記中心導体は、前記ボール形状のプリント回路板接触端部とは反対側に同軸コネクタ端部を有しており、前記同軸コネクタ端部は、長尺な軸によって、前記ボール形状のプリント回路板接触端部に連結されており、前記長尺な軸は、前記同軸コネクタ端部から遠く離れた領域にてテーパ状となっていることを特徴とするアダプタ。」と、請求項11を 「プリント回路板を同軸コネクタに結合させるアダプタであって、 第1端部及び第2端部を有するハウジングと、 前記ハウジング内に配置されている中心導体と、 から成り、 前記ハウジングの前記第1端部は、前記同軸コネクタに接続されるように構成されている導電性円筒形コネクタを収容するようになっており、前記ハウジングの前記第2端部はプリント回路板収容溝を有しており、前記プリント回路板収容溝は前記プリント回路板の一部の上をスライドするように形成されており、前記ハウジングは、バレル形状であり、1対の穴を有する前面を有しており、前記1対の穴にはパネルに配置されているアライメントピンが嵌入されて前記ハウジングと前記パネルとを一直線上に適切に配置し、 前記中心導体は、前記プリント回路板の第1表面上に配置されている導電性コンタクトの上をスライドするボール形状のプリント回路板接触端部を有しており、前記中心導体は、前記ボール形状のプリント回路板接触端部とは反対側に同軸コネクタ端部を有しており、前記同軸コネクタ端部は、長尺な軸によって、前記ボール形状のプリント回路板接触端部に連結されており、前記長尺な軸は、前記同軸コネクタ端部から遠く離れた領域にてテーパ状となっていることを特徴とするアダプタ。」と、請求項12を 「プリント回路板を同軸コネクタに結合させるアダプタであって、 第1端部及び第2端部を有するハウジングと、 複数の中心導体と、 から成り、 前記ハウジングの前記第1端部は、前記同軸コネクタに接続されるように構成されている導電性円筒形コネクタを収容するようになっており、前記ハウジングの前記第2端部はプリント回路板収容溝を有しており、前記プリント回路板収容溝は前記プリント回路板の一部の上をスライドするように形成されており、前記ハウジングは、互いに隣接する複数のバレルを備えており、 前記中心導体は、前記プリント回路板の第1表面上に配置されている導電性コンタクトの上をスライドするボール形状のプリント回路板接触端部を有しており、前記中心導体は、前記ボール形状のプリント回路板接触端部とは反対側に同軸コネクタ端部を有しており、前記同軸コネクタ端部は、長尺な軸によって、前記ボール形状のプリント回路板接触端部に連結されており、前記長尺な軸は、前記同軸コネクタ端部から遠く離れた領域にてテーパ状となっており、 前記複数のバレルの各々は、前記複数の中心導体の各々を収容していることを特徴とするアダプタ。」と補正することを含むものである。 (2)当審の判断 ア.補正前の請求項1及び18は、明細書中で「接地クリップ18」として説明される「導電性部材」を発明特定事項としている。そして、請求項2?17は請求項1又は請求項1を引用した請求項を引用するものであるから、すべての請求項は「導電性部材」を発明特定事項としている。 一方、補正後の請求項4、5、10、11及び12は、補正前の「導電性部材」に対応する事項を有していない。 したがって、本件補正のうち、請求項4、5、10、11及び12に係る補正事項は、補正前のすべての請求項の発明特定事項であった「導電性部材」について、これを削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 また、上記補正事項は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものとも認められない。 イ.さらに補正後の請求項1についても検討する。 まず、補正前の請求項1を補正したものとすると、 (ア)補正前のハウジングは、「第1端部と第2端部とを備えており、前記ハウジングの前記第2端部は、第1部分と第2部分とを有しており、前記第1部分と前記第2部分との間には空間が形成されており、前記ハウジング内には中央開口部が延びており、前記中央開口部の両側には前記第1部分及び前記第2部分が配設されて」いるが、補正後は「後方内側部」と、補正前の第2端部に対応する部分は存在するものの、中央開口部や第1部分と第2部分に関する記載はない。 (イ)そして、補正前の同軸コネクタは「中央開口部内且つ前記ハウジングの前記第1端部に配設され」と、ハウジングの一方である第1端部でかつハウジングの中央開口部内に配設されているが、補正後のアダプタサブアセンブリは「ハウジングに取り付けられている」のみである、 (ウ)また、補正前の同軸コネクタの接地部材は、「信号コンタクトの第1端部の周辺に配設されて」いて、信号コンタクトの一方である第1端部の周辺に配設されるのに、補正後のアダプタサブアセンブリのコンタクトは、「導電性の円筒形コネクタ内に配置さ」れるのみである。 (エ)また、補正前の導電性部材は「ハウジングの第2端部の第2部分と接触して」いるのに、補正後の接地クリップは「ハウジングの後方内側部に配置されている」のみで接触していない。 (オ)また、補正前の信号コンタクトの第2端部は、「ハウジング内において、前記ハウジングの前記第2端部の前記第1部分と前記導電性部材との間に位置している」と、導電性部材が接触している第2部分との間で空間を介して中央開口部の反対側に配設される第1部分と、導電性部材との間に位置しているが、補正後は「コンタクトは前記接地クリップから絶縁されている」というものの補正前の第1部分に対応する部分との関係はない。 上記(ア)?(オ)で述べたようであるから、補正後の請求項1が補正前の請求項1を補正したものとすると、当該補正事項は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 また、補正前の請求項2?17も請求項1又は請求項1を引用した請求項を引用して記載されているのであるから、補正前の請求項2?17を補正したものとしても当該補正事項は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 さらに補正前の請求項18は、補正前の請求項1のハウジングについてさらに「非導電性素材で形成され」ること及び信号コンタクトの第2端部について、請求項1では「第1部分と前記導電性部材との間に位置している」ものを「第1部分と前記第2部分との間に位置している」とするものであるが、補正後の請求項1には、ハウジングが「非導電性素材で形成され」ることも、コンタクトと補正前の第1部分に対応する部分との関係もなく、補正前の請求項18を補正したものであるとしても上記と同様に特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 そうすると、補正後の請求項1は、補正前の何れの請求項を補正したものとしても、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。 また、請求項1についての補正は、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とするものとも認められない。 ウ.まとめ したがって、上記ア.及びイ.で述べたとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の各号に該当せず、同項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の明細書、特許請求の範囲及び図面は、平成20年9月24日付けの手続補正で補正された明細書、特許請求の範囲及び図面である。 (1)原査定の拒絶の理由のうち、理由(1)は、平成20年9月24日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないというものであって、以下のように指摘している。 「(三)補正された請求項17には『「前記ハウジングの前記開口部は、前記同軸コネクタを変形させて前記同軸コネクタとの間で摩擦が生じるように前記同軸コネクタを収容するような素材で形成されている』と記載され、意見書では、この補正の根拠として図1を挙げている。 しかしながら、図1ではハウジングの開口部がどのような素材で形成されているかまで表しているとはいえない。 したがって、補正された請求項17に記載された事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されていない。」 上記理由(1)について検討する。 平成20年9月24日付けの手続補正で補正された請求項17は、「前記ハウジングの前記第2端部は開口部を有しており、前記ハウジングの前記開口部は、前記同軸コネクタを変形させて前記同軸コネクタとの間で摩擦が生じるように前記同軸コネクタを収容するような素材で形成されている請求項1に記載のアダプタ。」である。 出願当初の明細書の段落【0008】には「好適な実施例において、ハウジング14はプラスチックで形成されている。コンタクト22は、絶縁体24内に押入されており、絶縁体24は外側円筒形導電性コネクタ26内に押入されている。」と記載され、請求項2及び12にも「前記ハウジングはプラスチックで形成されていること」が記載されている。 そして図1には、円筒状のハウジング14の内側に一部接触するように、内部にコンタクト22及び絶縁体24を有する外側円筒形導電性コネクタ26からなるアダプタサブアセンブリ20が、配置される様子が断面図で図示されている。 しかしながら、アダプタサブアセンブリ20がどのようにして円筒状のハウジング14の内側に配置されるのかについて、明細書、特許請求の範囲及び図面には記載がない。 出願当初の明細書の段落【0006】には「コンタクト22の先端部30は、同軸コネクタ(図示せず)と接続するように設計されており、・・・(中略)・・・アダプタ10は、例えば、BNCコネクタ、Fコネクタ等の同軸コネクタと結合することができる」と記載されているから、外側円筒形導電性コネクタ26からなるアダプタサブアセンブリ20は同軸コネクタに結合されるものである。そうすると、外側円筒形導電性コネクタ26も同軸コネクタに結合されるものといえ、通常、金属からなる、ある程度の強度及び精度のあるものであって、図1においても、外側円筒形導電性コネクタ26もある程度の厚みがある様子が図示される。 したがって、アダプタサブアセンブリ20は如何にして円筒状のハウジング14の内側に配置されるのか不明であるとともに、例え、押し込むものとしても、同軸コネクタに嵌合する、通常、ある程度の強度及び精度が要求され、金属で作られる、アダプタサブアセンブリ20の外側円筒形導電性コネクタ26が、その押し込むとき、プラスチックで形成されているハウジング14により「同軸コネクタを変形させ」、そのことにより「同軸コネクタとの間で摩擦が生じるように前記同軸コネクタを収容する」ことまで、出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されていたとはいえない。 以上のようであるから、平成20年9月24日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (2)原査定の拒絶の理由のうち、理由(2)は、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないというものであって、「理由(1)で前述したように、補正された請求項1-18は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されていない。そのため、補正された請求項1-18に記載された事項は、発明の詳細な説明に記載されていない」と指摘している。 これについても検討する。 平成20年9月24日付けの手続補正で補正された請求項17は、上記(1)で述べたとおりである。 平成20年9月24日付けの手続補正で補正された明細書又は図面においても、上記(1)で述べたと同様に、明細書の段落【0008】には「好適な実施例において、ハウジング14はプラスチックで形成されている。コンタクト22は、絶縁体24内に押入されており、絶縁体24は外側円筒形導電性コネクタ26内に押入されている。」と記載され、図1には、円筒状のハウジング14の内側に一部接触するように、内部にコンタクト22及び絶縁体24を有する外側円筒形導電性コネクタ26からなるアダプタサブアセンブリ20が、配置される様子が断面図で図示されているが、アダプタサブアセンブリ20がどのようにして円筒状のハウジング14の内側に配置されるのかについて、明細書又は図面には記載がない。 そして、上記(1)と同じく、明細書の段落【0006】には「コンタクト22の先端部30は、同軸コネクタ(図示せず)と接続するように設計されており、・・・(中略)・・・アダプタ10は、例えば、BNCコネクタ、Fコネクタ等の同軸コネクタと結合することができる」と記載されているから、外側円筒形導電性コネクタ26からなるアダプタサブアセンブリ20は同軸コネクタに結合されるものである。そうすると、外側円筒形導電性コネクタ26も同軸コネクタに結合されるものといえ、通常、金属からなる、ある程度の強度及び精度のあるものであって、図1においても、外側円筒形導電性コネクタ26もある程度の厚みがある様子が図示される。 したがって、明細書又は図面には、アダプタサブアセンブリ20は如何にして円筒状のハウジング14の内側に配置されるのか記載されていない。 仮に、押し込むものとしても、同軸コネクタに嵌合する、通常、ある程度の強度及び精度が要求され、金属で作られる、アダプタサブアセンブリ20の外側円筒形導電性コネクタ26が、その押し込むとき、プラスチックで形成されているハウジング14により「同軸コネクタを変形させ」、そのことにより「同軸コネクタとの間で摩擦が生じるように前記同軸コネクタを収容する」ことまで、明細書又は図面に記載されているとはいえない。 以上のようであるから、請求項17には明細書又は図面に記載された発明が記載されているとはいえないので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (3)まとめ 上記(1)又は(2)で述べたとおり、本願は、平成20年9月24日付けでした手続補正が特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、また、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-06-29 |
結審通知日 | 2011-07-05 |
審決日 | 2011-07-19 |
出願番号 | 特願2003-582863(P2003-582863) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
Z
(H01R)
P 1 8・ 537- Z (H01R) P 1 8・ 572- Z (H01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲垣 浩司、栗山 卓也 |
特許庁審判長 |
平上 悦司 |
特許庁審判官 |
長浜 義憲 中川 真一 |
発明の名称 | 同軸ケーブルをプリント回路板に接続するアダプタ |
代理人 | 下田 容一郎 |