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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60C
管理番号 1247678
審判番号 不服2008-19833  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-05 
確定日 2011-12-01 
事件の表示 特願2001-341702「らせん六角ビードおよび製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月10日出願公開、特開2002-192921〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年11月7日(パリ条約による優先権主張2000年11月20日、米国)の出願であって、平成20年4月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成20年8月5日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成20年9月4日付けで手続補正がなされたものである。
その後、平成21年2月13日付けで前置報告がなされ、その前置報告の内容に基づいて平成22年11月24日付けで審尋を通知したが、指定した期間内に請求人からは何らの回答もなかったものである。

2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は、平成20年9月4日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、以下のとおりである(以下、「本願発明」という。)。
「らせん六角ビード(10)において、
各列が2つ以上の連続した同心巻線(1?7)を有する、重ね合せられた連続した列(22a、22b、22c)からなる少なくとも3つの層を形成するように連続的に巻かれたビードコアワイヤ(16)の単一のフィラメントで形成されたビードコア(12)と、
前記ビードコア(12)の周りにらせん状に巻かれ、ビードラッピングワイヤの単一のフィラメントで形成されている、非ゴム材料でコーティングされたビードラッピングワイヤ(26)からなる第1の環状被覆部(14)と、
を有し、
前記ビードコアワイヤ(16)は、硬化されていないゴムまたはエラストマ材料のコーティング(20)を有しており、
前記第1の環状被覆部(14)の前記非ゴム材料でコーティングされたビードラッピングワイヤ(26)に接着されたタイヤ構成材料の、前記ビードコア(12)に対する回転または滑りを可能にするように、非接着材料のコーティングが、前記ビードコアワイヤの前記硬化されていないゴムまたはエラストマ材料のコーティング(20)と、前記非ゴム材料でコーティングされたビードラッピングワイヤ(26)からなる前記第1の環状被覆部(14)との間に配置されている
ことを特徴とするらせん六角ビード。」

3.原審の拒絶理由の概要
原審の拒絶理由の概要は、以下のとおりである。

この出願の請求項1-3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:実願昭62-116674号(実開昭64-22504号)のマイクロフィルム
引用文献2:特開昭51-50106号公報

4.対比・判断
引用文献1には、スチールワイヤを複数本束ねて形成される環状のビードコアの表面にスチールワイヤを螺旋状に巻き付けたビード補強体がビード部に埋設されている高荷重用タイヤ、前記環状のビードコアを構成するスチールワイヤの各々がゴムで被覆されていること(実用新案登録請求の範囲、請求項1,2)、前記ビードコアについて、第1図(a)には六角形状に束ねられたワイヤ19により構成されているもの、第1図(b)には扁平六角形状のもの、第1図(c)には四角形状のものが示され、該ビードコアは1本のワイヤをコイルを巻くように巻くいわゆる巻並べによりリング状に形成してもよいこと(第7頁第13行?第8頁第5行)、ビードコア21の表面にワイヤ22が螺旋状に巻かれること(第8頁第6?9行)が記載されている。

そこで、本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、
引用文献1に記載された発明の「ビード補強体」、「ワイヤ19」、「ビードコア21」及び「ビードコアの表面に螺旋状に巻かれるワイヤ22」は、それぞれ本願発明の「六角ビード」、「ビードコアワイヤ」、「ビードコア」及び「ビードラッピングワイヤ」に相当することから、両者は、
「らせん六角ビードにおいて、
各列が2つ以上の連続した同心巻線を有する、重ね合せられた連続した列からなる少なくとも3つの層を形成するように連続的に巻かれたビードコアワイヤのビードコアと、
前記ビードコアの周りにらせん状に巻かれたビードラッピングワイヤからなる第1の環状被覆部と、
を有するらせん六角ビード。」である点で一致し、
本願発明では、
(a)ビードコアワイヤは、硬化されていないゴムまたはエラストマ材料のコーティングを有している点、
(b)ビードラッピングワイヤは、非ゴム材料でコーティングされている点、
(c)タイヤ構成材料の、ビードコアに対する回転または滑りを可能にするように、非接着材料のコーティングが、ビードコアワイヤの硬化されていないゴムまたはエラストマ材料のコーティングと、非ゴム材料でコーティングされたビードラッピングワイヤからなる第1の環状被覆部との間に配置されている点及び
(d)ビードコア及びビードラッピングワイヤが単一のフィラメントで形成された点で、引用文献1に記載された発明と相違する。

しかし、上記各相違点は、引用文献2に記載された事項または周知技術等を参酌することにより、当業者が容易になし得たものと認められる。

よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-30 
結審通知日 2011-07-06 
審決日 2011-07-20 
出願番号 特願2001-341702(P2001-341702)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増田 亮子  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 亀田 貴志
熊倉 強
発明の名称 らせん六角ビードおよび製造方法  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 石橋 政幸  

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