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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1247713 |
審判番号 | 不服2010-21347 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-22 |
確定日 | 2011-12-01 |
事件の表示 | 特願2004-156212「コンテンツダウンロードシステムとそのクライアント装置」拒絶査定不服審判事件〔平成17年12月 8日出願公開、特開2005-339130〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続きの経緯・本願発明 本願は、平成16年5月26日の出願であり、平成22年6月15日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年9月22日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成22年4月12日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。) 「サーバ装置と、このサーバ装置に対し通信ネットワークを介して接続可能なクライアント装置とを備え、クライアント装置からの要求に応じて前記サーバ装置からクライアント装置に対しコンテンツをダウンロードするシステムにおいて、 前記サーバ装置は、 前記コンテンツのダウンロードに先立ち、当該ダウンロード対象のコンテンツのダウンロード日時とその後の周期を指定する情報を含むタイミング指定情報を、前記クライアント装置に対し送信する手段と、 前記タイミング指定情報の送信に応答して前記クライアント装置からダウンロード要求が送られた場合に、前記ダウンロード対象のコンテンツを要求元のクライアント装置へ送信する手段と を備え、 前記クライアント装置は、 前記サーバ装置から送信されるタイミング指定情報を受信する手段と、 前記受信されたタイミング指定情報に含まれるダウンロード日時を指定する情報をもとに、前記ダウンロード対象のコンテンツを取得するための第1のダウンロード要求送信タイミングを設定すると共に、前記受信されたタイミング指定情報に含まれる周期を指定する情報をもとに、前記ダウンロード対象のコンテンツを取得するための第2のダウンロード要求送信タイミングを設定する手段と、 前記設定された第1のダウンロード要求送信タイミングに基づいて、前記第1のダウンロード要求を前記サーバ装置へ送信する手段と、 前記設定された第2のダウンロード要求送信タイミングに基づいて、前記第2のダウンロード要求を前記サーバ装置へ周期的に送信する手段と、 前記第1及び第2のダウンロード要求の送信に応答して前記サーバ装置から送信されるコンテンツを受信する手段と を備えることを特徴とするコンテンツダウンロードシステム。」 第2 引用例 (1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-186851号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (ア)「【0002】 【従来の技術】従来より、所望のウェブページを所定のサーバから自動的にダウンロードするためのソフトウエアとして、自動巡回ソフトが知られている。この自動巡回ソフトは、ユーザが設定した周期で所定のサーバに接続し、所望のウェブページをダウンロードするものである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の自動巡回ソフトでは、巡回の周期をユーザが自ら設定する必要があったため、巡回の周期がウェブページの更新タイミングと合致せず、ウェブページの更新が全くされていないにもかかわらず接続を何度も行ったり、既に何回も更新がなされた後のウェブページをダウンロードし、必要な情報を逃したりすることがあった。 【0004】本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ユーザが所望のコンテンツを取得するにあたり、そのダウンロードのタイミングを自ら設定する必要のないコンピュータプログラム、記録媒体、クライアントコンピュータ、サーバ、コンテンツ配信システムおよびコンテンツ配信方法を提供することを目的とする。」(段落【0002】?【0004】) (イ)「【0058】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態によるコンテンツ配信システムの構成図である。なお、本実施形態によるコンテンツ配信システムは、コンテンツの一例として電子出版物を配信するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0059】本実施形態によるコンテンツ配信システムは、図1に示すように、インターネットを介してそれぞれ接続された認証認証サーバ10と、複数のコンテンツサーバ20と、複数のユーザ端末30とから構成されている。 【0060】上記認証サーバ10の主要な構成を図2に示す。認証サーバ10は、主制御部11と、出力制御部12と、入力制御部13と、第1の記憶装置14aと、第2の記憶装置14bと、第3の記憶装置14cと、第4の記憶装置14dと、第5の記憶装置14eとを備えている。 【0061】主制御部11は、CPUおよび主記憶装置(メモリ)等からなり、各部の制御や、データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行い、出力制御部12は、認証サーバ10の外部に出力するデータを制御し、入力制御部13は、認証サーバ10の外部から入力されるデータを制御する。 【0062】第1?第4(審決注:「第4」の記載は「第5」の誤記と認められる。)の記憶装置14a?14eは、それぞれハードディスク等の記憶装置(またはその中の一部のディスクもしくは記憶領域)からなり、第1の記憶装置14aにはメインプログラム141が記憶されており、第2の記憶装置14bにはダウンロード用のアプリケーションプログラム142が記憶されており、第3の記憶装置14cにはプロパティ情報データベース143が構成されており、第4の記憶装置14dにはコンテンツ情報データベース144が構成されており、第5の記憶装置14eにはユーザ情報データベース145が構成されている。」(段落【0058】?【0062】) (ウ)「【0065】プロパティ情報データベース143には、各コンテンツのプロパティ情報がそれぞれのコンテンツIDに関連付けられて記憶されている。プロパティ情報には、コンテンツ提供元であるコンテンツサーバ20のIPアドレス、そのコンテンツサーバ20へのアクセスタイミング、当該プロパティ情報の有効期限およびコンテンツ発行者に関する情報が含まれている。このプロパティ情報は、コンテンツ発行者から送信される情報に従って自動的にまたはマニュアルで生成される。 【0066】なお、プロパティ情報に含まれるコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングは、多数のユーザ端末30からコンテンツサーバ20へのアクセスが集中しないように、プロパティ情報毎にある程度時間をずらすのが好ましい。このようなアクセスタイミングは、例えば乱数を利用して設定することができる。」(段落【0065】、【0066】) (エ)「【0077】次に、プロパティ情報を取得する場合における認証サーバ10およびユーザ端末30の処理動作について説明する(図4)。 【0078】ユーザが、ユーザ端末30にインストールされたコンテンツ管理ソフトを立ち上げ、そのコンテンツ管理ソフトからインターネットを介して認証サーバ10に対してログインを要求すると、ユーザ端末30は、記憶しているユーザIDおよびパスワードを認証サーバ10に対して送信する(SU106)。認証サーバ10の主制御部11は、そのユーザIDおよびパスワードを受信し(SA105)、ユーザ情報データベース145を参照して、受信したユーザIDおよびパスワードが正しいか否かを判断し、正しいと判断した場合には、ログインを許可するログイン情報をユーザ端末30に対して送信する(SA106)。 【0079】ユーザ端末30が上記ログイン情報を受信した後(SU107)、ユーザが利用可能なコンテンツの一覧であるコンテンツリストを要求すると、ユーザ端末30は、コンテンツリスト要求情報を認証サーバ10に対して送信する(SU108)。認証サーバ10の主制御部11は、そのコンテンツリスト要求情報を受信して(SA107)、コンテンツ情報データベース144から読み出したコンテンツリストの画面データを生成し、ユーザ端末30に対して送信する(SA108)。 【0080】上記コンテンツリストの画面データを受信したユーザ端末30のディスプレイには、図9に示すようなコンテンツリスト画面40がコンテンツ管理ソフトにて表示される(SU109)。図9に示すように、コンテンツリスト画面40には、ユーザが利用可能なコンテンツのタイトル411が列挙されたリスト41と、コンテンツに関する情報(出版元,タイトル,発行日,契約期間,金額,目次)が表示された情報ボックス42と、「申し込み」と表示されたクリックボタン(申し込みボタン)43とが含まれている。なお、リスト41中におけるタイトル411はクリッカブルになっており、マウス・ポインタによってクリックされたタイトル411に係るコンテンツの情報が情報ボックス42に表示されるようになっている。 【0081】ユーザが、ユーザ端末30のマウス・ポインタによって、リスト41中所望のタイトル411を選択して申し込みボタン43をクリックすると、その選択されたタイトル411に関連付けられたコンテンツIDが、ユーザ端末30から認証サーバ10に対して送信される(SU110)。 【0082】認証サーバ10の主制御部11は、上記コンテンツIDを受信し(SA109)、当該コンテンツIDに関連付けられているプロパティ情報をプロパティ情報データベース143から検索して(SA110)、得られたプロパティ情報を、当該ユーザのユーザIDとともにユーザ端末30に対して送信する(SA111)。上述したとおり、プロパティ情報には、上記コンテンツIDに係るコンテンツの提供元であるコンテンツサーバ20のIPアドレス、そのコンテンツサーバ20へのアクセスタイミング、当該プロパティ情報の有効期限およびコンテンツ発行者に関する情報が含まれている。 【0083】ユーザ端末30は、上記プロパティ情報およびユーザIDを受信・記憶して、そのユーザIDが当該ユーザのユーザIDであるか否か確認し(SU111)、当該ユーザのユーザIDであると確認できた場合には、確認情報を認証サーバ10に対して送信する(SU112)。そして、ユーザ端末30は、受信したプロパティ情報に基づいて、コンテンツのダウンロードにつきコンテンツ管理ソフトの設定を行う(SU113)。 【0084】認証サーバ10の主制御部11は、上記確認情報を受信し(SA112)、ユーザ情報データベース145において、当該ユーザのユーザIDに関連付けて上記コンテンツIDを記憶する(SA113)。なお、認証サーバ10においては、ユーザ情報データベース145に記憶した情報およびコンテンツ情報データベース144に記憶されている情報に従って、課金処理を行うことができるようになっているものとする。 【0085】プロパティ情報に従って設定されたコンテンツ管理ソフトにおいては、ユーザからの要求に応じて、図10に示すように、当該ユーザが申し込んだ契約済みのコンテンツリスト画面50を表示できるようになっている。この契約済みコンテンツリスト画面50のデータは、認証サーバ10(ユーザ情報データベース145・コンテンツ情報データベース144)から取得することができる。 【0086】図10に示すように、契約済みコンテンツリスト画面50には、ユーザが契約したコンテンツのタイトル511が列挙されたリスト51と、コンテンツに関する情報(出版元,タイトル,前回取得日,次回取得日,契約開始日,契約終了日)が表示された情報ボックス52とが含まれている。なお、リスト51中におけるタイトル511はクリッカブルになっており、マウス・ポインタによってクリックされたタイトル511に係るコンテンツの情報が情報ボックス52に表示されるようになっている。 【0087】次に、プロパティ情報に基づいてコンテンツをダウンロードする場合における認証サーバ10、コンテンツサーバ20およびユーザ端末30の処理動作について説明する(図5?図8)。 【0088】コンテンツ管理ソフトが設定されたユーザ端末30は、プロパティ情報の有効期限が切れていないか否かを判断し(SU114)、有効期限が切れていると判断した場合には、「プロパティ情報の有効期限が切れています。」等の警告をユーザ端末30のディスプレイに表示する(SU115)。一方、ユーザ端末30は、有効期限が切れていないと判断した場合には、現在がコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングか否かを判断し(SU116)、アクセスタイミングであると判断した場合には、認証サーバ10に対してユーザIDおよびコンテンツIDを含む認証の要求情報を送信する(SU117)。 【0089】認証サーバ10の主制御部11は、上記認証の要求情報を受信し(SA114)、ユーザ情報データベース145を参照して認証を行う(SA115)。そして、認証サーバ10の主制御部11は、認証が正しくできなかった場合には、警告情報をユーザ端末30に対して送信し(SA116)、その情報を受信したユーザ端末30のディスプレイには、「認証が正しくできませんでした。」等の警告情報が表示される(SU118)。 【0090】認証サーバ10の主制御部11は、認証が正しくできた場合には、ユニークなコンテンツ利用鍵を生成して当該ユーザのユーザIDと関連付けて記憶し(SA117)、そのコンテンツ利用鍵をユーザ端末30に対して送信する(SA118)。 【0091】ユーザ端末30は、上記コンテンツ利用鍵を受信したら(SU119)、コンテンツ管理ソフトに設定されたコンテンツサーバ20に対して、ユーザID、コンテンツ利用鍵および当該コンテンツを前回ダウンロードした日の情報を含むダウンロードの要求情報を送信する(SU120)。 【0092】コンテンツサーバ20の主制御部は、上記ダウンロードの要求情報を受信し(SC101)、受信したユーザIDおよびコンテンツ利用鍵について、認証サーバ10に対して確認の要求情報を送信する(SC102)。認証サーバ10の主制御部11は、ユーザIDおよびコンテンツ利用鍵を含む確認の要求情報を受信し(SA119)、受信したユーザIDおよびコンテンツ利用鍵が上記ステップSA117で記憶したユーザIDおよびコンテンツ利用鍵と一致するか否か判断し、一致すると判断した場合には、コンテンツ利用鍵確認情報をコンテンツサーバ20に対して送信する(SA120)。 【0093】コンテンツサーバ20の主制御部は、上記コンテンツ利用鍵確認情報を受信したら(SC103)、送信すべきコンテンツを検索し(SC104)、ユーザ端末30に対して送信する(SC105)。このコンテンツ(電子出版物)のヘッダには、ユーザID、発行者プロパティ、コンテンツ詳細ID、表示用ビューア識別子、表示用ビューア取得サーバアドレス、当該コンテンツの有効期限、当該コンテンツのデータサイズ等が記述されている。 【0094】なお、コンテンツサーバ20がコンテンツを検索するにあたっては、コンテンツサーバ20が上記ステップSC101で受信した前回ダウンロード日に基づいて、当該ユーザに送信すべき最新のコンテンツを判断することができる。」(段落【0077】?【0094】) (オ)「【0107】以上のコンテンツ配信システムにおいては、コンテンツのプロパティ情報がコンテンツ毎に設けられているため、そのプロパティ情報によって、コンテンツのダウンロードに関する情報についてコンテンツ毎に詳細に設定することができる。ユーザは、このプロパティ情報をユーザ端末30のコンテンツ管理ソフトに取り込むことにより、所望のコンテンツを自動的に取得することができるため、ダウンロードのタイミング等を自ら設定する必要がない。また、コンテンツの提供者は、自分の都合に合わせてダウンロードのタイミングを設定することができるため、コンテンツサーバ20へのアクセス集中を防止することや、コンテンツ更新前のダウンロードを防止すること等ができる。」(段落【0107】) 以上の記載によれば、この引用例1には以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 「インターネットを介してそれぞれ接続された認証サーバ10と、複数のコンテンツサーバ20と、複数のユーザ端末30から成るコンテンツ配信システムであって、 前記認証サーバ10は、前記ユーザ端末30で選択したコンテンツのタイトルに関連したコンテンツIDに関連付けられたプロパティ情報を、前記ユーザ端末30に送信する手段と、 前記コンテンツサーバ20は、前記ユーザ端末30からコンテンツの要求情報を受信し、当該コンテンツを前記ユーザ端末30に送信する手段と を備え、 前記プロパティ情報は、コンテンツの提供元であるコンテンツサーバ20のIPアドレスおよびそのコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングを含み、コンテンツサーバ20へのアクセスタイミングは、多数のユーザ端末30からコンテンツサーバ20へのアクセスが集中しないように、プロパティ情報毎にある程度時間をずらすものであり、 前記ユーザ端末30は、コンテンツ管理ソフトを有し、 ユーザが利用可能なコンテンツの一覧であるコンテンツリストを認証サーバ10から受信し、コンテンツのタイトルが列挙されたリストとリスト中の所望のコンテンツのタイトルをユーザに選択させるクリックボタン(申し込みボタン)43を表示する手段と、 選択されたコンテンツの提供元であるコンテンツサーバ20のIPアドレスおよびそのコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングを含むプロパティ情報を、前記認証サーバ10から受信・記憶する手段と、 現在がコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングか否かを判断し、アクセスタイミングであると判断した場合には、コンテンツサーバ20に対して、当該コンテンツのダウンロードの要求情報を送信する手段と、 を備えたコンテンツ配信システム。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用された「高木 優,プッシュで増すトラフィックキャッシュ・サーバで緩和,日経バイト,日本,日経BP社,1997年11月22日,第172号,p214-219」(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 (ア)「インターネットを用いて自動的にデータを配信しクライアントに最新の情報を保持させるしくみを,従来のWWWブラウザのようにクライアントが情報を引き出す(プル)必要がないことからプッシュ技術と呼ぶ。 現在主流のプッシュ製品は,実際にはバックグラウンドでクライアントが一定のスケジュールに従ってサーバにアクセスしており技術的にはプルと変わらない。これを「疑似プッシュ」あるいは「スマート・プル」という。」(第215頁左欄下から8行?中欄第4行) (イ)「図4は、IE4のActive Channel によるプッシュのしくみである。・・・(中略)・・・ チャネル提供者は視聴者の利便性とトラフィックの双方を考慮して配信スケジュールを設定することが重要になる。Active Channel は,CDF ファイルを登録するとチャネルごとに記述された<SCHEDULE></SCHEDULE>タグを参照する。リスト1の例は,毎日午前1時から午前7時の間に更新を行う設定である。Active Channel はタグで指定された時間内からランダムに更新日時を指定し更新を行う。」(第217頁右欄第5行?第218中欄第5行) (ウ)図4の説明として「図4 IE4のActive Channel によるスケジューリングのしくみ (B)Active Channel は,コンテンツ提供者から受信したCDF ファイルに基づいてクライアントが配信サーバにリクエストを出す」と記載され、図4には、配信サーバからクライアントがスケジュールを受信し、リクエストを配信サーバに送信し、配信サーバからクライアントにコンテンツが配信されることが示され、リスト1のCDF ファイルの例には、<SCHEDULE></SCHEDULE>間の更新スケジュールに、<Interval Time DAY=”1” /> 毎日 と記載されている。 第3 対 比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「認証サーバ10」及び「コンテンツサーバ20」は、本願発明の「サーバ装置」に相当する。 (2)引用発明の「ユーザ端末30」は、本願発明の「クライアント装置」に相当する。 (3)引用発明の「インターネットを介してそれぞれ接続された認証サーバ10と、複数のコンテンツサーバ20と、複数のユーザ端末30から成るコンテンツ配信システム」は、本願発明の「サーバ装置と、このサーバ装置に対し通信ネットワークを介して接続可能なクライアント装置とを備え、クライアント装置からの要求に応じて前記サーバ装置からクライアント装置に対しコンテンツをダウンロードするシステム」に相当するといえる。 (4)引用発明のプロパティ情報に含まれる「コンテンツサーバ20へのアクセスタイミング」は、ユーザ端末30において、アクセスタイミングであると判断した場合には、コンテンツサーバ20に対して、当該コンテンツのダウンロードの要求情報を送信するものであり、多数のユーザ端末30からコンテンツサーバ20へのアクセスが集中しないように、プロパティ情報毎にある程度時間をずらすものであるから、本願発明の「前記コンテンツのダウンロードに先立ち、当該ダウンロード対象のコンテンツのダウンロード日時とその後の周期を指定する情報を含むタイミング指定情報」と「ダウンロード対象のコンテンツのダウンロード日時を含むタイミング指定情報」である点で対応する。 (5)引用発明の「前記認証サーバ10は、前記ユーザ端末30で選択したコンテンツのタイトルに関連したコンテンツIDに関連付けられたプロパティ情報を、前記ユーザ端末30に送信する手段」を備える点は、本願発明の「前記サーバ装置は、前記コンテンツのダウンロードに先立ち、当該ダウンロード対象のコンテンツのダウンロード日時とその後の周期を指定する情報を含むタイミング指定情報を、前記クライアント装置に対し送信する手段」を備える点と、「前記サーバ装置は、前記コンテンツのダウンロードに先立ち、当該ダウンロード対象のコンテンツのダウンロード日時を含むタイミング指定情報を、前記クライアント装置に対し送信する手段」を備える点で対応する。 (6)引用発明の「前記コンテンツサーバ20は、前記ユーザ端末30からコンテンツの要求情報を受信し、当該コンテンツを前記ユーザ端末30に送信する手段」を備える点は、本願発明の「前記サーバ装置は、前記タイミング指定情報の送信に応答して前記クライアント装置からダウンロード要求が送られた場合に、前記ダウンロード対象のコンテンツを要求元のクライアント装置へ送信する手段」を備える点に相当するといえる。 (7)引用発明の「前記ユーザ端末30は、」「前記選択されたコンテンツの提供元であるコンテンツサーバ20のIPアドレスおよびそのコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングを含むプロパティ情報を、前記認証サーバ10から受信・記憶する手段」を備える点は、本願発明の「前記クライアント装置は、前記サーバ装置から送信されるタイミング指定情報を受信する手段」を備える点に相当する。 (8)引用発明の「前記ユーザ端末30は、」「現在がコンテンツサーバ20へのアクセスタイミングか否かを判断し、アクセスタイミングであると判断した場合には、コンテンツサーバ20に対して、当該コンテンツのダウンロードの要求情報を送信する手段」を備える点は、本願発明の「前記クライアント装置は、」「前記受信されたタイミング指定情報に含まれるダウンロード日時を指定する情報をもとに、前記ダウンロード対象のコンテンツを取得するための第1のダウンロード要求送信タイミングを設定すると共に、前記受信されたタイミング指定情報に含まれる周期を指定する情報をもとに、前記ダウンロード対象のコンテンツを取得するための第2のダウンロード要求送信タイミングを設定する手段と、前記設定された第1のダウンロード要求送信タイミングに基づいて、前記第1のダウンロード要求を前記サーバ装置へ送信する手段」を備える点と、「前記受信されたタイミング指定情報に含まれるダウンロード日時を指定する情報をもとに、前記ダウンロード対象のコンテンツを取得するための第1のダウンロード要求送信タイミングを設定する手段と、前記設定された第1のダウンロード要求送信タイミングに基づいて、前記第1のダウンロード要求を前記サーバ装置へ送信する手段」を備える点で対応するといえる。 (9)引用発明は、前記コンテンツサーバ20は、前記ユーザ端末30からコンテンツの要求情報を受信し、当該コンテンツを前記ユーザ端末30に送信しているから、ユーザ端末30は、コンテンツの要求情報の送信に応答し、コンテンツサーバ20から当該コンテンツを受信していることは明かであり、このことは、本願発明の「前記クライアント装置は、」「前記第1及び第2のダウンロード要求の送信に応答して前記サーバ装置から送信されるコンテンツを受信する手段」を備える点と、「前記クライアント装置は、」「前記第1の送信に応答して前記サーバ装置から送信されるコンテンツを受信する手段」を備える点で対応する。 したがって、本願発明の用語を用いて表現すると両者は、 「サーバ装置と、このサーバ装置に対し通信ネットワークを介して接続可能なクライアント装置とを備え、クライアント装置からの要求に応じて前記サーバ装置からクライアント装置に対しコンテンツをダウンロードするシステムにおいて、 前記サーバ装置は、 前記コンテンツのダウンロードに先立ち、当該ダウンロード対象のコンテンツのダウンロード日時を含むタイミング指定情報を、前記クライアント装置に対し送信する手段と、 前記タイミング指定情報の送信に応答して前記クライアント装置からダウンロード要求が送られた場合に、前記ダウンロード対象のコンテンツを要求元のクライアント装置へ送信する手段と を備え、 前記クライアント装置は、 前記サーバ装置から送信されるタイミング指定情報を受信する手段と、 前記受信されたタイミング指定情報に含まれるダウンロード日時を指定する情報をもとに、前記ダウンロード対象のコンテンツを取得するための第1のダウンロード要求送信タイミングを設定する手段と、 前記設定された第1のダウンロード要求送信タイミングに基づいて、前記第1のダウンロード要求を前記サーバ装置へ送信する手段と、 前記第1ダウンロード要求の送信に応答して前記サーバ装置から送信されるコンテンツを受信する手段と を備えることを特徴とするコンテンツダウンロードシステム。」 で一致するものであり、次の点で相違している。 (相違点) 本願発明では、サーバ装置からクライアント装置に対して送信されるタイミング指定情報には、その後の周期を指定する情報が含まれており、クライアント装置は、このその後の周期を指定する情報に基づいてダウンロード対象のコンテンツを取得するための第2のダウンロード要求タイミングを設定し、該設定された第2のダウンロード要求タイミングに基づいて第2のダウンロード要求を周期的に送信し、クライアント装置はこの第2のダウンロード要求の送信に応答してサーバ装置から送信されるコンテンツを周期的に受信しているのに対して、引用発明にはこのような構成は記載されていない点。 第4 当審の判断 上記相違点について検討する。 引用例2には、配信サーバはユーザの利便性とトラフィックの双方を考慮して配信スケジュールを設定し、配信スケジュールをクライアントに送信し、クライアントは受信した当該配信スケジュールに従ってリクエストを送信し、配信サーバはコンテンツをクライアントに配信すること、例えば、毎日午前1時から午前7時の間に更新を行う設定であることが記載されているから、サーバ装置からクライアント装置に対して送信されるタイミング指定情報には、更新周期を指定する情報が含まれており、クライアント装置は、この更新周期を指定する情報に基づいてダウンロード対象のコンテンツを取得するためのダウンロード要求タイミングを設定し、該設定されたダウンロード要求タイミングに基づいてダウンロード要求を周期的に送信し、クライアント装置は、このダウンロード要求の送信に応答してサーバ装置から送信されるコンテンツを周期的に受信していることが示されている。 また、サーバが、データ取得装置に対して、次回以降に読み出し要求を行う時間間隔を通知し、データ取得装置が、次回からダウンロードサーバから通知された周期で読み出し要求を行うことは、本願出願前周知の技術(例えば、特開2002-366365号公報、段落【0053】?【0055】の記載参照)である。 したがって、上記引用例2記載の技術及び周知技術を適用することにより、引用発明において、サーバ装置からクライアント装置に対して送信されるタイミング指定情報に、その後の周期を指定する情報が含むようにし、クライアント装置は、このその後の周期を指定する情報に基づいてダウンロード対象のコンテンツを取得するための第2のダウンロード要求タイミングを設定し、該設定された第2のダウンロード要求タイミングに基づいて第2のダウンロード要求を周期的に送信し、クライアント装置はこの第2のダウンロード要求の送信に応答してサーバ装置から送信されるコンテンツを周期的に受信するようにすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 また、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2記載の技術及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2011-09-28 |
結審通知日 | 2011-10-04 |
審決日 | 2011-10-18 |
出願番号 | 特願2004-156212(P2004-156212) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 北岡 浩 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
中野 裕二 稲葉 和生 |
発明の名称 | コンテンツダウンロードシステムとそのクライアント装置 |
代理人 | 村松 貞男 |
代理人 | 中村 誠 |
代理人 | 河野 哲 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |