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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B26B
管理番号 1247723
審判番号 不服2011-16895  
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-05 
確定日 2011-12-01 
事件の表示 特願2010- 62395「鋏」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月25日出願公開、特開2010-264229〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成22年3月18日(優先日、平成21年4月17日)の特許出願であって、同22年5月26日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同22年7月26日に意見書とともに特許請求の範囲及び明細書について手続補正書が提出され、同23年1月11日付けで再度拒絶の理由が通知され、その指定期間内の同23年3月22日に意見書とともに特許請求の範囲及び明細書について再度手続補正書が提出されたが、同23年4月11日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。これに対し、平成23年8月5日に本件審判の請求がなされたものである。
その後、平成23年9月28日付けで審理終結通知がなされ、同23年10月5日に審理再開申立てがなされている。

第2 審理再開申立てについての判断
上記平成23年10月5日になされた審理再開申立において、請求人は「面接」により「本件発明の本質的な技術的優位性」を「伝え」ることを希望している。
しかしながら、上記平成23年8月5日に提出された審判請求書には、面接の希望に関する記載は一切なかったのであるから、審理終結通知がなされた後になって面接のための審理再開を申し立てることは、時機に遅れたものといわざるを得ない。
なお、請求人は上記審理再開申立書において、(審理再開申立て前の)「2011年10月4日に電話にて御庁に面接のお願いを致した次第」と主張している。しかしながら、上記審理終結通知は、(面接を依頼した)平成23年10月4日にオンラインにて請求人宛発送されているから、同日に請求人側には送達している。
したがって、審理を再開する必要性は認められない。

第3 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成23年3月22日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その請求項1の記載は以下のとおりである。

「 【請求項1】
それぞれ板状をなしプレス加工により形成してなる一対の刃片を具備してなりオフィスや家庭で表面に粘着剤を塗布した切断対象を切断する際に使用される鋏であって、これら対をなす刃片が、幅寸法を0.8mm?1.2mmに設定しており他方の刃片と摺動可能な刃線部と、この刃線部に隣接する部位に該刃線部との間に段差をなして形成してなり他方の刃片の刃裏から厚さ方向に離間するとともに前記刃線部の刃裏面と略平行で略平坦な底面を有する凹陥部とをそれぞれ具備し、これら対をなす刃片における外面のうち前記凹陥部に対応する部位が、それぞれ当該凹陥部の底面に略平行で略平坦な面をなしており、前記凹陥部が、刃峰側に開口する形状をなしていることを特徴とする鋏。」(以下請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

第4 引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である以下の文献には、以下の発明、あるいは事項が記載されていると認められる。

刊行物1:実願昭62-136594号(実開昭64-040471号)の マイクロフィルム
刊行物2:特開2004-148442号公報

1 刊行物1
(1)刊行物1記載の事項
刊行物1には、「鋏」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 実用新案登録請求の範囲
「1.裏面の両側縁がそれぞれ刃先および峰先を形成する刃部と、その基端部に連設された柄部とを有する一対の鋏部材を、各刃部の裏面どうしが重なり合い、かつ各刃先が摺接するように各刃部の基端部において枢着した鋏において、各刃部の前記峰先が、両刃先を含む平面から各刃部の表面側に後退していることを特徴とする鋏。」

イ 明細書第1ページ第20行?第2ページ第11行
「一般に鋏は第1図に示すたち鋏の例を参照して説明すると、刃部1とその基端部に連設された柄部2とを有する一対の鋏部材3を備え、両鋏部材3は各刃部1の裏面4どうしが重なり合い、かつ各刃先5が摺接するように各刃部1の基端部においてねじ6等を介して枢着されている。そして従来の鋏は第4図に示すように、各刃部1の裏面4^(’)がその一側縁が形成する刃先5から他側縁が形成する峰先7^(’)にかけて凹状湾曲面となっていて、しかも峰先7^(’)は両刃先5を含む平面P上に位置するように製作されている。」

ウ 明細書第4ページ第3行?第13行
「この考案の鋏は第1図に関連して説明した一般的な構成は従来と同様であるが、第2図に示すように各刃部1の峰先7が両刃先5を含む平面Pから刃部1の表面側に後退している。その結果峰先7と平面Pとの間に間隙dが形成されることとなるので、この間隙dを介して被裁断物が逃げ易くなり、裏面4に被裁断物の接着剤が付着しにくくなる。
裏面4はその峰先6が平面Pから後退していればよく、従来と同様な湾曲面とせずに平坦面としてもよい。」

エ 明細書第5ページ第19行?第6ページ第4行
「以上のようにこの考案によれば、裁断時に被裁断物が刃部の裏面に沿って逃げ易くなり、したがって接着剤が塗着されている被裁断物であってもその接着剤が刃部の裏面に付着しにくく、切れ味の良さを長期に亘って維持することができる。」

(2)刊行物1記載の発明
第2図に示された各刃部1の断面図から、各刃部1は板状をなした形状であることが理解できる。
そして、摘記事項アに、「刃先」「を形成する刃部」とあり、さらに「各刃先が摺接する」とあることから、他方の刃部と摺接可能な刃先、ということができる。
また、摘記事項ウに「各刃部1の峰先7が両刃先5を含む平面Pから刃部1の表面側に後退している。その結果峰先7と平面Pとの間に間隙dが形成される」とあり、さらに「裏面4はその峰先6が平面Pから後退していればよく、従来と同様な湾曲面とせずに平坦面としてもよい」とあるから、これらの記載を図面も参酌しつつまとめると、刃部1が、刃先5に隣接する部位に両刃先5を含む平面Pとの間に間隙をなして形成された後退した平坦面を具備している、いうことができる。さらに、摘記事項ウの「この間隙dを介して被裁断物が逃げ易くなり」なる記載及び第2図を参酌すれば、この「後退した平坦面」が、峰先7側に開口する形状をなしている、といえる。

そこで、刊行物1に記載された事項を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて本願発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認める。
「それぞれ板状をなす一対の刃部1を具備してなり接着剤が塗着されている被裁断物を切断する際に使用されるたち鋏であって、これら対をなす刃部1が、他方の刃部1と摺接可能な刃先5と、この刃先5に隣接する部位に両刃先5を含む平面Pとの間に間隙をなして形成された後退した平坦面とをそれぞれ具備し、前記後退した平坦面が、峰先7側に開口する形状をなしているたち鋏」(以下「刊行物1発明」という。)

2 刊行物2
刊行物2には、「ラベルプリンタのカッターユニット」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

オ 段落【0017】?【0018】
「【0017】
可動刃50は、・・・(中略)・・・また、図4の部分断面図に示すように、可動刃50の刃先50aは固定刃52側に向けて本体50bから突出した形状となっている。その本体50bからの刃先高さH50は、後述のように、切断時に付着した粘着剤を刃先から逃がすために設けられており、その大きさは好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上である。また刃先幅W50は、好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下である。
【0018】
一方、固定刃52の刃先52a周縁は直線形状をなしており、図4の断面図に示すように、刃先52aは可動刃50側に向けて突出した形状となっている。その突出した刃先高さH52は、可動刃50と同様に好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上である。また刃先幅W50は、好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下である。」

カ 段落【0022】?【0023】
「【0022】
上記可動刃50の往動によって、可動刃50と固定刃52の間に送通した粘着ラベル2を切断する。このときラベルシート4の裏面に形成した粘着剤層8の粘着剤が可動刃50で切り込まれ、さらに固定刃52側へ押し込む形となる。しかしながら、粘着剤が可動刃50や固定刃52に付着したとしても、その影響は限定的である。すなわち図4に示すように、可動刃50と固定刃52の各々の突出した刃先50a、52aが互いに触れ合う幅は、最大でも各々の刃先幅W50、W52に限定され、しかもこれらの刃先幅W50、W52は、好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下ときわめて小さいためである。したがって、可動刃50の往動により可動刃50と固定刃52が交差し重なり合っても、互いの刃先50a、52aが重なる面積はきわめて小さく、例え粘着剤がたがいの刃先50a、52aに付着して可動刃50の往復動を妨げるように働いても、実質的に刃の動きに影響することはほとんどない。
【0023】
また、突出した刃先50a、52aに一時的に多量の粘着剤が付着しても、これらの粘着剤の多くは突出した刃先50a、52aから互いの本体部に移動するので、刃先に多量の粘着剤が蓄積することはない。すなわち図4に示すように、可動刃50の往動により粘着ラベルを切断すると、一部は可動刃の本体50bの固定刃52との間にできた空間に移動し、また一部は可動刃50の刃先50aにより粘着剤の多くが図4の上方へ押しやられ、固定刃52の本体52bの可動刃50との間にできた空間に移動する。・・・(中略)・・・上記の結果、刃先50a、52aに付着する粘着剤の量は少量に保つことが可能となり、切断回数を重ねても粘着剤の蓄積による可動刃50の動きを累積的に悪化させ、切断不良を起こすことはない。」

上記摘記事項オと図4に示された刃の断面図から、一対の可動刃50と固定刃52は、刃先50a,52aとの間に段差を形成して、刃先50a,52aの裏側の面と略平行で略平坦な底面を有する凹陥部とし、さらに、可動刃50と固定刃52の外面のうち、凹陥部に対応する部位が、それぞれ凹陥部の底面に略平行で略平坦な面となっていることが理解できる。
また、上記摘記事項カより、粘着剤が刃先に付着しても刃の動きを妨げないように、刃先幅Wをきわめて小さくしている、ということかできる。

そこで、刊行物2に記載された事項を、図面を参照しつつ技術常識を踏まえて整理すると、刊行物2には、
「一対の可動刃50と固定刃52を具備してなる粘着ラベル2を切断する際に使用されるカッターユニットにおいて、一対の可動刃50と固定刃52は、刃先50a,52aとの間に段差を形成して、刃先50a,52aの裏側の面と略平行で略平坦な底面を有する凹陥部とし、さらに、可動刃50と固定刃52の外面のうち、凹陥部に対応する部位を、それぞれ凹陥部の底面に略平行で略平坦な面とし、また、一対の刃先50a,52aの刃先幅Wをきわめて小さくして粘着剤が刃先に付着しても刃の動きを妨げないようにすること。」が記載されていると認められる。

第5 対比
本願発明と刊行物1発明とを対比すると以下のとおりである。
まず、刊行物1発明の(一対の)「刃部1」が本願発明の(一対の)「刃片」に相当することは、技術常識に照らして明らかであり、同様に、「接着剤が塗着されている被裁断物」は「表面に粘着剤を塗布した切断対象」に、「たち鋏」は「鋏」に、「摺接可能な」は「摺動可能な」に、「刃先5」は「刃線部」に、「峰先7」は「刃峰」に相当することも明らかである。
また、刊行物1発明の「後退した平坦面」と本願発明の「凹陥部」とは、後退した面、である限りにおいて共通する。
次に、刊行物1発明のように、両刃線部(両刃先5)を含む平面Pとの間に間隙をなすことと、本願発明の、他方の刃片の刃裏から厚さ方向に離間することとは、実質的に同じことを規定するものといえる。そうすると、刊行物1発明の「両刃先5を含む平面Pとの間に間隙をなして形成された」「後退した平坦面」と、本願発明の「刃線部との間に段差をなして形成してなり他方の刃片の刃裏から厚さ方向に離間するとともに前記刃線部の刃裏面と略平行で略平坦な底面を有する」「凹陥部」とは、他方の刃片の刃裏から厚さ方向に離間する」「後退した面」、である限りにおいて共通するということができる。

したがって、本願発明と刊行物1発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「それぞれ板状をなす一対の刃片を具備してなり表面に粘着剤を塗布した切断対象を切断する際に使用される鋏であって、これら対をなす刃片が、他方の刃片と摺動可能な刃線部と、この刃線部に隣接する部位に他方の刃片の刃裏から厚さ方向に離間する後退した面とをそれぞれ具備し、前記後退した面が、刃峰側に開口する形状をなしている鋏。」

そして、本願発明と刊行物1発明とは、以下の4点で相違している。
1 <相違点1>
本願発明の一対の刃片はプレス加工により形成してなるのに対し、刊行物1発明の一対の刃片は、形成手段が不明である点。

2 <相違点2>
本願発明の鋏は、「オフィスや家庭で」「使用される」ものであるのに対し、刊行物1発明の(たち)鋏は、そのような特定がなされていない点。
3 <相違点3>
本願発明は、「刃線部」の「幅寸法を0.8mm?1.2mmに設定して」いるのに対し、刊行物1発明の一対の刃片は、そのような特定がなされていない点。

4 <相違点4>
他方の刃片の刃裏から厚さ方向に離間する後退した面について、本願発明においては、「刃線部との間に段差をなして形成してなり」「刃線部の刃裏面と略平行で略平坦な底面を有する凹陥部」とし、さらに「刃片における外面のうち前記凹陥部に対応する部位が、それぞれ当該凹陥部の底面に略平行で略平坦な面をなして」いるのに対し、刊行物1発明においては、後退した平面であり、それ以外の形状の詳細は不明である点。

第6 相違点の検討
1 <相違点1>について
鋏の(一対の)刃片をプレス加工により形成することは、例えば、特開2004-248707号公報(【0036】段落等参照、原審の引用文献1)、特開2001-314669号公報(【0023】段落等参照)、実願昭56-140694号(実開昭58-045642号)のマイクロフィルム(明細書第2ページ第13?第15行等参照、原審の引用文献7)に示されるように、従来より広く行われている周知の事項である。そして、刊行物1発明にかかる従来周知の事項を適用して、相違点1に係る発明特定事項を本願発明のものとすることは、当業者が容易に想到し得ることというべきである。

2 <相違点2>について
刊行物1発明は「たち鋏」であるところ、「たち鋏」は一般に家庭で使用されるものである。したがって、相違点2な実質的な相違点ではない。

3 <相違点3及び相違点4>について
まず、相違点4につき検討する。本願発明が相違点4に係る特定事項のような平坦な形状を採用しているのは、本願明細書【0008】段落等記載されているように、プレス形成後の反り戻り(いわゆるスプリングバック)を少なくするためと認められが、一般的にプレス加工において、スプリングバックを少なくするために平坦な形状の部分を多くすることは、例えば、特開平6-168609号公報(第2ページ右欄第34?38行等参照)に示されるように、従来周知の事項である。

次に、上記第4の2にて指摘したように、刊行物2には「一対の可動刃50と固定刃52を具備してなる粘着ラベル2を切断する際に使用されるカッターユニットにおいて、一対の可動刃50と固定刃52は、刃先50a,52aとの間に段差を形成して、刃先50a,52aの裏側の面と略平行で略平坦な底面を有する凹陥部とし、さらに、可動刃50と固定刃52の外面のうち、凹陥部に対応する部位を、それぞれ凹陥部の底面に略平行で略平坦な面と」すること、が記載されている。これを本願発明の用語を用いれば、刊行物2記載の「一対の可動刃50と固定刃52」は本願発明の「一対の」「刃片」に、「粘着ラベル2」は「表面に粘着剤を塗布した切断対象」に、「刃先50a,52a」は「刃線部」に相当するから、刊行物2記載の事項は、一対の刃片を具備してなる表面に粘着剤を塗布した切断対象を切断する際に使用されるカッターユニットにおいて、刃線部との間に段差を形成して、刃線部の裏側の面と略平行で略平坦な底面を有する凹陥部とし、さらに、刃片の外面のうち、凹陥部に対応する部位を、それぞれ凹陥部の底面に略平行で略平坦な面とすること、と表現することができる。

そして、刊行物1発明において、従来周知の技術のようにスプリングバックを少なくするべく平坦な形状の部分を多くしようとする際に、同じ切断具に関する刊行物2記載の事項に接した当業者が、刊行物2に記載された上記形状を刊行物1発明に適用することを試みることには、容易に推考し得るとことといえる。
そうしてみると、刊行物1発明に、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項を適用して、相違点4に係る本願発明の後退した面の形状とすることは、当業者が容易に想到し得たことといえる。

次に相違点3につき検討する。刊行物1発明のような粘着剤を塗布した切断対象を切断する鋏において、凹陥部のような後退した面を設けて刃線部の幅寸法を制限することは、刊行物1のみならず、特開2004-248707号公報(【0037】段落等参照、原審の引用文献1)、特開2001-314669号公報(【0026】段落等参照)にも示されるように、従来周知の事項である。
そして、上記刊行物2には、上記第4の2にて指摘したように、刃先幅W(すなわち刃線部の幅寸法)をきわめて小さくして粘着剤が刃先に付着しても刃の動きを妨げないようにすること、すなわち、線部の幅寸法に上限値を設けることが記載されている。他方、刃線部の強度を考えると幅寸法に下限値が必要なことも明らかである。
さらに、相違点3に係る本願発明の特定事項たる「幅寸法を0.8mm?1.2mmに設定」することについて、本願明細書を参酌しても格別臨界的意義は認められない。また、通常の鋏の大きさを考えると、刃線部の幅寸法として0.8mm?1.2mmという上・下限値は、格別顕著なものとはいえない。
これらを併せ考えるに、刊行物1発明に、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項を適用して、「刃線部」の「幅寸法を0.8mm?1.2mmに設定して」相違点3に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が通常の創作能力の発揮によりなし得たことというのが相当である。

3 本願発明の効果について
本願発明によってもたらされる効果も、刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。

4 したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明、刊行物2記載の事項及び従来周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることがないものである。
したがって本願はその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-09-28 
結審通知日 2011-10-04 
審決日 2011-10-17 
出願番号 特願2010-62395(P2010-62395)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B26B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 段 吉享  
特許庁審判長 豊原 邦雄
特許庁審判官 長屋 陽二郎
藤井 眞吾
発明の名称 鋏  
代理人 赤澤 一博  

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