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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) G01R |
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管理番号 | 1247859 |
審判番号 | 不服2010-7768 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-04-12 |
確定日 | 2011-12-20 |
事件の表示 | 特願2007-152754「漏洩電流遮断装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月 6日出願公開、特開2007-225625、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
本願は、平成19年 6月 8日(遡及出願平成17年 1月31日)の出願であって、その請求項1ないし6に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、以下に示すように、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と原査定の拒絶の理由において引用された特開2002-125313号公報(以下、「引用文献1」という。)に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、両者の主たる相違点は次のとおりである。 相違点:漏洩電流との位相差を検出する際の基準の位相となる電圧が、本願発明では、非接地相間の電圧であるのに対し、引用発明では、接地相-非接地相間の電圧である点。 上記相違点について検討する。 原査定では、上記相違点に関して、特開昭54-73681号公報(以下、「引用文献2」という。)、実用新案登録第2576003号公報 (以下、「引用文献3」という。)を引用した上で、これらの文献に示されるように漏洩電流の位相を定めるための基準位相として非接地相間の電圧を採用することは周知技術であり、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することには格別の困難性はないとしている。 そこで、上記周知技術の存在を裏付ける周知例として引用された引用文献2、3について検討する。 まず、引用文献2について検討すると、引用文献2には、第1図に示されるように、非接地相をそれぞれ抵抗12、13を介して接続し、その接続点の電圧(各非接地相の電圧を内分した電圧となる。)を分圧して漏洩電流の検出電圧とともに乗算回路16に入力することにより、漏洩電流中の抵抗成分のみに比例した出力を得ることが記載されている。 すなわち、引用文献2には、各非接地相の電圧を用いることにより漏洩電流中の抵抗成分を求めることについては記載されているものの、そもそも漏洩電流の位相を求めるものではなく、漏洩電流の位相を定めるための基準位相として非接地相間の電圧を採用することについても記載されてはいない。 次に、引用文献3について検討すると、引用文献3には、段落【0005】、図2に示されるように、非接地相間の電圧波形の電気角が0度及び180度となるタイミングで漏洩電流波形をサンプリングすることにより抵抗性漏洩電流成分を検出することが記載されている。 すなわち、引用文献3には、非接地相間の電圧波形から漏洩電流波形をサンプリングするタイミングを得ることについては記載があるものの、漏洩電流の位相を求めるものではなく、漏洩電流の位相を定めるための基準位相として非接地相間の電圧を採用することについても記載されてはいない。 したがって、上記引用文献2、3は、漏洩電流の位相を定めるための基準位相として非接地相間の電圧を採用することが周知技術であるということを裏付けるに足る文献であるとはいえない。 したがって、上記周知技術の存在を前提として、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することに格別の困難性はない、とすることはできない。 ところで、本願発明において、漏洩電流の位相を定めるための基準位相として非接地相間の電圧を採用したことの技術的意義について検討すると、三相交流の各相には、外部のモータ、インバータ等のノイズ発生源からの誘導ノイズが同相のタイミングで誘起されるが、非接地相の各電圧の差である非接地相間の電圧は、誘導ノイズがキャンセルされることから安定した電圧波形となり、該電圧波形を漏洩電流の位相を定めるための基準位相とすることにより漏洩電流の位相を正確に検出することができるというものである。(請求人より平成23年11月30日付けで提出された「先行技術との対比説明書」(平成23年12月1日付けで作成の応対記録に添付。)参照。) したがって、本願発明は、漏洩電流の位相を定めるための基準位相として非接地相間の電圧を採用することにより、誘導ノイズの影響を排除して、漏洩電流の位相を正確に検出することができるという作用効果を奏するものである。 一方、このような作用効果については、引用文献1ないし3のいずれにも記載されておらずその示唆もない。 よって、本願発明は、引用文献1ないし3の記載からは予測し得ない格別の作用効果を奏するものである。 以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-12-02 |
出願番号 | 特願2007-152754(P2007-152754) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WYF
(G01R)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 羽飼 知佳 |
特許庁審判長 |
下中 義之 |
特許庁審判官 |
江塚 政弘 ▲高▼木 真顕 |
発明の名称 | 漏洩電流遮断装置及び方法 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 正林 真之 |