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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 取り消して特許、登録 A61K 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61K 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K |
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管理番号 | 1248309 |
審判番号 | 不服2008-32573 |
総通号数 | 146 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2012-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-12-25 |
確定日 | 2011-08-09 |
事件の表示 | 特願2004-530568「関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月 4日国際公開、WO2004/017996、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、2003年8月19日(優先権主張2002年8月20、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成20年11月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年12月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付け及び平成21年1月22日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成21年1月22日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成21年1月22日付け手続補正を却下する。 [理由] 本件においては、「1.手続の経緯」に記載したとおり、拒絶査定に対する審判請求の後に2件の手続補正がなされているので、先に平成20年12月25日付け手続補正が適法なものか検討し、その後、平成21年1月22日付け手続補正が適法なものか検討する。 (1)平成20年12月25日付け手続補正の適否の判断 本件補正は、以下の補正事項Aを有するものと認める。 補正事項A;特許請求の範囲の記載につき 「【請求項1】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤。 【請求項2】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、FK228、下式(I)で示されるデプシペプチド化合物、下記一般式(II)で示されるデプシペプチド化合物、下記一般式(IIa)で示されるデプシペプチド化合物、MS-27-275、Trichostatin A、NVP-LAQ824、SAHA、Apicidin、Phenylbutyrate、Valproic acid、Pivaloyloxymethyl butyrate、CI-994、Depudecin、Trapoxin、CHAP及び酪酸から選択される請求項1記載の剤。 【化1】(化学式の記載は省略する。) (式中Rは、イソプロピル基、sec-ブチル基又はイソブチル基を意味する。) 【請求項3】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、FK228、請求項2記載の式(I)で示されるデプシペプチド化合物、請求項2記載の一般式(II)で示されるデプシペプチド化合物、請求項2記載の一般式(IIa)で示されるデプシペプチド化合物、MS-27-275、Trichostatin A、NVP-LAQ824、SAHA、Apicidin、Phenylbutyrate及びValproic acidから選択される請求項1記載の剤。 【請求項4】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、「吉田ら、Journal of Biological Chemistry、1990年、第265巻、p17174-17179」記載の方法により測定したヒストン脱アセチル化酵素阻害活性(IC50値)が100 μM以下の濃度の化合物である請求項1記載の剤。 【請求項5】 骨関節炎の予防又は治療剤である請求項1乃至4記載の剤。 【請求項6】 関節リウマチの予防又は治療剤である請求項1乃至4記載の剤。 【請求項7】 変形性関節症の予防又は治療剤である請求項1乃至4記載の剤。 【請求項8】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する骨関節炎における関節軟骨細胞外マトリクス分解の予防又は治療剤。 【請求項9】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する関節リウマチにおける関節軟骨細胞外マトリクス分解の予防又は治療剤。 【請求項10】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する変形性関節炎における関節軟骨細胞外マトリクス分解の予防又は治療剤。」 とあるのを、 「【請求項1】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤。 【請求項2】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、「吉田ら、Journal of Biological Chemistry、1990年、第265巻、p17174-17179」記載の方法により測定したヒストン脱アセチル化酵素阻害活性(IC50値)が100 μM以下の濃度の化合物である請求項1記載の剤。」 と補正するものである。 上記補正事項Aが、特許法第184条の6第2項の規定により、願書に添付して提出された明細書又は特許請求の範囲とみなされた国際出願時の明細書又は特許請求の範囲の記載の範囲内でする補正であって新規事項の追加に当たらないことは明らかであるし、また、補正前の請求項1及び4を残して、他の請求項を削除するものであるから、請求項の削除を目的とするものであることも明らかである。 したがって、この補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定を満足するものであって、適法になされたものである。 (2)平成21年1月22日付け手続補正の適否の判断 (1)で述べたとおり、平成20年12月25日付け手続補正は適法であることから、平成21年1月22日付け手続補正の適否の判断においては、平成20年12月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の記載が基準となる。 そして、平成21年1月22日付け手続補正は、以下の補正事項Bを有するものと認める。 補正事項B;特許請求の範囲の記載につき 「【請求項1】 ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤。 【請求項2】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、「吉田ら、Journal of Biological Chemistry、1990年、第265巻、p17174-17179」記載の方法により測定したヒストン脱アセチル化酵素阻害活性(IC50値)が100 μM以下の濃度の化合物である請求項1記載の剤。」 とあるのを、 「【請求項1】 平成15年8月19日の本願出願時にヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物として公知であるヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物を有効成分として含有する関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤。 【請求項2】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、FK228、下式(I)で示されるデプシペプチド化合物、下記一般式(II)で示されるデプシペプチド化合物、下記一般式(IIa)で示されるデプシペプチド化合物、MS-27-275、Trichostatin A、NVP-LAQ824、SAHA、Apicidin、Phenylbutyrate、Valproic acid、Pivaloyloxymethyl butyrate、CI-994、Depudecin、Trapoxin、CHAP及び酪酸から選択される請求項1記載の剤。 【化1】(化学式の記載は省略する。) (式中Rは、イソプロピル基、sec-ブチル基又はイソブチル基を意味する。) 【請求項3】 前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物が、「吉田ら、Journal of Biological Chemistry、1990年、第265巻、p17174-17179」記載の方法により測定したヒストン脱アセチル化酵素阻害活性(IC50値)が100 μM以下の濃度の化合物である請求項1記載の剤。」 と補正するものである。 上記補正事項Bは、国際出願時の明細書又は特許請求の範囲の記載の範囲内でする補正であって新規事項の追加に当たらないことは明らかである。しかしながら、補正事項Bは、補正前の請求項1,2における「関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤」の有効成分である「ヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「平成15年8月19日の本願出願時にヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物として公知であるヒストン脱アセチル化酵素阻害化合物」に限定し、補正後の請求項1,3とする補正を行う際に、新たに請求項2を追加したものに相当し、補正前の請求項数から増項するものとなっている。そして、かかる補正事項Bを含む平成21年1月22日付け手続補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものとはいえない。 また、誤記を訂正するためのものでも明りょうでない記載を釈明するためのものでも、請求項を削除するものでもない。 したがって、この手続補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に反するものであって、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成21年1月22日付け手続補正は却下すべきものとされた。 したがって、本願発明は、平成20年12月25日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-07-27 |
出願番号 | 特願2004-530568(P2004-530568) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
WY
(A61K)
P 1 8・ 537- WY (A61K) P 1 8・ 121- WY (A61K) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小森 潔 |
特許庁審判長 |
内田 淳子 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 田名部 拓也 |
登録日 | 2011-08-19 |
登録番号 | 特許第4804004号(P4804004) |
発明の名称 | 関節軟骨細胞外マトリクス分解阻害剤 |
代理人 | 鈴木 ▲頼▼子 |
代理人 | 森田 拓 |
代理人 | 矢野 恵美子 |