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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1248321
審判番号 不服2008-31940  
総通号数 146 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2012-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-18 
確定日 2011-08-04 
事件の表示 特願2000-571368「画像生成装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 3月30日国際公開、WO00/17778〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成10年9月17日を国際出願日とする出願であって、平成20年8月22日付けで拒絶理由が通知され、同年10月27日付けで手続補正がなされたが、同年11月14日付けで拒絶査定がされ、これに対し同年12月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成21年1月19日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成21年1月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[結論]
平成21年1月19日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正内容
平成21年1月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項4を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1のとおりに補正する補正事項を含むものである。

<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、4>
「【請求項1】 動画像を構成するように時系列的に並べられた複数の静止画像の一部分ずつを組み合わせて、動画像の内容を縮約した形で表す静止画像としての索引画像を生成する索引画像生成手段を備えた画像生成装置であって、
前記索引画像生成手段は、複数の異なる態様で前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成することが可能な機能を有し、
前記複数の異なる態様には、前記複数の静止画像の各々から垂直方向に細長い部分画像を、指定された任意の画素ライン数で抽出する態様が含まれる画像生成装置。」
「【請求項4】 前記索引画像生成手段は、さらに、
前記複数の静止画像からいずれかの静止画像を抽出し、この抽出した静止画像をも索引画像として利用する機能を有する請求項1記載の画像生成装置。」

<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>
「【請求項1】 動画像を構成するように時系列的に並べられた複数の静止画像の一部分ずつを組み合わせて、動画像の内容を縮約した形で表す静止画像としての索引画像を生成する索引画像生成手段を備えた画像生成装置であって、
前記索引画像生成手段は、複数の異なる態様の中から選択された態様によって前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成することが可能な機能を有し、
前記複数の異なる態様には、前記複数の静止画像の各々から垂直方向に細長い部分画像を、指定された任意の画素ライン数で抽出する態様が含まれ、
前記索引画像生成手段は、さらに、前記複数の静止画像からいずれかの静止画像を抽出し、この抽出した静止画像をも索引画像として利用する機能を有する画像生成装置。」

2.本件補正に対する判断
本件補正のうちの上記補正事項は、補正前の請求項1を引用する請求項4に記載した発明を特定するために必要な事項である「索引画像生成手段」を、「複数の異なる態様で前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成」するものから、「複数の異なる態様の中から選択された態様によって前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成」するものに限定したものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(上記改正前の特許法第17条の2第5項において読み替えて準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-1.本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の<本件補正後の特許請求の範囲の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。

2-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-260075号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

あ.「〔課題を解決するための手段〕
本発明による表示装置は例えば第1図に示す如く、2次元表示される一連の動画像データ(2A)?(2E)を夫々(例えば垂直スリット(4A)?(4E)によって)1次元的にサンプリングする手段と、このサンプリングの位置を左右(水平方向H)又は上下(垂直方向V)に移動させる手段と、そのサンプリングによって得られたデータに基づいて構成した静止画像(5)を表示する手段とを備えたものである。」(第2頁右上欄第4行?第13行)

い.「第1図は本例による動画像データの処理を説明する図であり、この第1図において(1)は全体として編集対称としてのビデオ映像群を示し、このビデオ映像群(1)は例えばVTRのビデオテープに記録されている一連の動画像データに対応する動画像を1フレーム(2フイールド)(2)の単位で時間(t)軸方向に並べたものと考えることができる。ビデオ信号のフレーム周波数は30Hzであるため、そのビデオ映像群(1)においては1秒間に30枚のフレーム(2)が配される。また、(2A)?(2E)は夫々そのビデオ映像群(1)の一連のフレームを示す。
そのビデオ映像群(1)のフレーム(2)において、(4)は画像データ入力用の垂直スリット(入力スリット)を示し、この垂直スリット(4)によってそのフレーム(2)の画像をサンプリングすると共に、この垂直スリット(4)を水平方向(H方向)に所定速度で走査してそのフレーム(2)の右端部に達したら再び左端部からH方向に繰返して走査する如くなす。従って、その垂直スリット(4)は時間軸を含めた3次元空間では斜めのHt方向に走査される。
その垂直スリット(4)がそのビデオ映像群(1)を左端部からてHt方向に右端部まで走査して行くときにf枚のフレームを横切ると共に、その垂直スリット(4)によってn枚(通常はn=1)のフレームについて1個のスリット状の画像をサンプリングすると仮定する。そして、fをnの倍数に選ぶと所定の整数Xを用いて、
f =nX ・・・・・・(1)
が成立し、そのf枚のフレーム(2)より成るフレーム群(3A)及び(3B)より夫々X個のスリット状の画像がサンプリングされる。本例においては、その垂直スリット(4)がそのビデオ映像群(1)を左端部からHt方向に右端部まで走査するのに要する時間を12秒に設定すると共に、n=1であるとすると、
f =X=12×30=360(枚) ・・・・・・(2)
となる。そして、そのフレーム群(3A)より得られたX個のスリット状の画像を水平方向につなぎ合わせた後に水平方向及び垂直方向に夫々1/5に圧縮して縮少画面(6A)を形成し、この縮少画面(6A)を1枚のフレームメモリに対応する表示画面(5)の中に嵌め込む如くなす。同様に、フレーム群(3B)より得られたX個のスリット状の画像を水平方向につなぎ合わせた後に圧縮して縮少画面(6B)を形成し、この縮少画面(6B)をその表示画面(5)の中のその縮少画面(6A)の隣りに嵌め込む如くなす。実際には垂直スリット(4)によってサンプリングされる画像は1個づつ時系列的に生成されるので、そのスリット状の画像を生成された順に圧縮して表示画面(5)の中に1個ずつ嵌め込んでいく。
第1図の個々のフレーム(2A)?(2E)に対応して夫々サンプリング用の垂直スリット(4A)?(4E)がH方向に走査する如く割り当てられており、これら垂直スリット(4A)?(4E)でサンプリングされた画像(4a)?(4e)が夫々圧縮されて表示画面(5)の垂直スリット(7A)?(7E)の部分の画像になるので、これら垂直スリット(7A)?(7E)を夫々出力スリットとも称する。また、垂直スリット(4A)?(4E)でサンプリングした画像を圧縮する方法としては単に画像データを間引く方法や所定領域の加重平均を採る方法がある。単に画像データを間引く方法を採る場合には、それらスリット(4A)?(4E)はH方向には1画素分の幅だけを有するとしてもよい。」(第2頁右下欄第3行?第3頁左下欄第4行)

う.「尚、上述実施例においてはビデオ映像群(1)の個々のフレーム(2)より垂直スリット(4)を用いて画像データをサンプリングしていたが、本発明はこれに限定されず、第7図に示す如く、個々のフレーム(2)より水平スリット(35)を用いて画像データをサンプリングしてもよい。この場合は、その水平スリット(35)を所定速度で周期的にそのフレーム(2)の上端から垂直方向(V方向)に下端まで走査する如くなす。
また、上述実施例では第1図に示す如く、個々のフレーム(2A)?(2E)より抽出したスリットデータを圧縮して合成しているが、圧縮を行わずにそのまま水平方向又は垂直方向につなぎ合せて表示画面(5)を形成してもよい。また、本発明はビデオデータベースの内容検索等にも有効に使用できる。
このように本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採り得ることは勿論である。
〔発明の効果〕
本発明によれば、不可視の状態で記録されている膨大な量の動画像データの概要を、時間経過に対応させて圧縮した形で静止画像として迅速に確認できると共に、その動画像データ中に在るTVコマーシャル等の短いカットのチェックが容易にできる利益がある。」(第6頁左下欄第3行?右下欄第7行)

ここで、上記各記載事項を関連図面及び各種常識に照らせば、以下のことがいえる。

(ア)上記記載事項中の「静止画像(5)を表示する手段」は、一連の動画像データであるビデオ映像群(1)を時間軸方向に並べた個々のフレーム(2)よりスリットデータを抽出し、得られたデータを組み合わせて、時間経過に対応させて圧縮した、索引とも呼び得る静止画像(5)を形成しているから、該「静止画像(5)を表示する手段」は、動画像を構成するように時系列的に並べられた複数の静止画像の一部分ずつを組み合わせて、動画像の内容を縮約した形で表す静止画像としての索引画像を生成する「索引画像生成手段」とも呼び得るものである。
(イ)上記「索引画像生成手段」とも呼び得る手段は、「垂直スリット」により「複数の静止画像の一部分を抽出」するから、該「索引画像生成手段」とも呼び得る手段が「複数の静止画像の各々から一部分を抽出」する態様には、「複数の静止画像の各々から垂直方向に細長い部分画像を抽出」する態様が含まれているといえる。

したがって、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「動画像を構成するように時系列的に並べられた複数の静止画像の一部分ずつを組み合わせて、動画像の内容を縮約した形で表す静止画像としての索引画像を生成する索引画像生成手段を備えた表示装置であって、
前記索引画像生成手段は、前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、索引画像を生成することが可能な機能を有し、
前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出する態様には、前記複数の静止画像の各々から垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様が含まれる表示装置。」

2-3.本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明の「表示装置」は、索引画像を生成する手段を備えた装置であるから、本願補正発明の「画像生成装置」に相当する。
(イ)引用発明の「索引画像生成手段」と本願補正発明の「索引画像生成手段」とは、「複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、索引画像を生成することが可能な機能」を有すると共に、該「複数の静止画像の各々から一部分を抽出する態様」には、前記複数の静止画像の各々から垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様が含まれる点で共通する。

したがって、本願補正発明と引用発明との間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「動画像を構成するように時系列的に並べられた複数の静止画像の一部分ずつを組み合わせて、動画像の内容を縮約した形で表す静止画像としての索引画像を生成する索引画像生成手段を備えた画像生成装置であって、
前記索引画像生成手段は、前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、索引画像を生成することが可能な機能を有し、
前記複数の静止画像の各々から一部分を抽出する態様には、前記複数の静止画像の各々から垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様が含まれる画像生成装置。」である点。

(相違点1)
本願補正発明の「索引画像生成手段」は、「複数の異なる態様の中から選択された態様によって」複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成することが可能な機能を有しているのに対し、引用発明の「索引画像生成手段」は、「複数の異なる態様の中から選択された態様によって」複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成することが可能な機能を有しているとはいえない点。

(相違点2)
本願補正発明の「索引画像生成手段」が有する機能に含まれる、垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様が、「指定された任意の画素ライン数」で抽出するものであるのに対し、引用発明の「索引画像生成手段」が有する機能に含まれる、垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様は、「指定された任意の画素ライン数」で抽出するものとはいえない点。

(相違点3)
本願補正発明の「索引画像生成手段」は、さらに、「複数の静止画像からいずれかの静止画像を抽出し、この抽出した静止画像をも索引画像として利用する機能」を有するのに対し、引用発明の「索引画像生成手段」は、そのような機能を有していない点。

2-4.判断
上記相違点について検討する。

(相違点1)について
以下の事情を勘案すると、引用発明の「索引画像生成手段」を、「複数の異なる態様の中から選択された態様によって」複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成することが可能な機能を有するように構成することは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(a)上記「2-2.」の「う.」の欄に摘記した引用例1の記載からも窺い知れるように、引用発明における「索引画像生成手段」は、「垂直スリット」を用いて抽出する態様に限らず、「水平スリット」を用いて抽出する態様を採用してもよいこと、つまり「索引画像生成手段」が実行する、複数の静止画像の各々から一部分を抽出する態様として、異なる態様が採用可能であること(当然に、生成される索引画像もその採用された態様に応じたものとなること)は、当業者に自明である。
(b)情報処理分野において、1つの手段に異なる態様が採用可能である場合には、1つの手段が複数の態様を実行可能なように構成するとともに、どの態様で実行させるかを(実行時等に)選択可能に構成することはごく普通に行われていることである(必要であれば、例えば特開昭59-214959号公報(第2頁右上欄第6行?第10行)をも参照されたい。)。
(c)引用発明に上記(b)のようなごく普通に行われていることを採用する場合には、「索引画像生成手段」が複数の態様を実行可能なように構成するとともに、どの態様で実行させるかを選択可能なように構成するのが最も自然であるし、またそのようにできない理由はない。
(d)上記(a)?(c)のことは、取りも直さず、引用発明の「索引画像生成手段」を、「複数の異なる態様の中から選択された態様によって」複数の静止画像の各々から一部分を抽出し、抽出された部分を基に、各態様に応じた索引画像を生成することが可能な機能を有するように構成することが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(相違点2)について
以下の事情を勘案すると、引用発明の「索引画像生成手段」が有する機能に含まれる、垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様を、「指定された任意の画素ライン数」で抽出するものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(a)上記「2-2.」の「い.」の欄に摘記した引用例1の記載からも窺い知れるように、引用発明における「垂直方向に細長い部分画像」、つまりサンプリングされる「スリット状の画像」は、加重平均を用いた圧縮を行う態様を併用するような場合には複数画素分の幅を有するものである。また、該「スリット状の画像」は「f枚のフレーム(2)より成るフレーム群」を「左端部からHt方向に右端部まで」走査するときに「n枚(通常はn=1)のフレームについて1個」抽出されるものであるから、生成すべき索引画像の幅方向画素数よりも選択されるフレーム数f(抽出されるフレーム数f÷n)の方が少ない場合にも、当然に「スリット状の画像」は複数画素分の幅が必要となる。
(b)上記(a)のことは、引用発明においても、「スリット状の画像」の幅が複数画素分とされる場合が当然にあり得ることを意味しており、当該「スリット状の画像」の幅を具体的にどのような値とするかは、当業者が適宜決定すべき事項であるから、それを「任意に指定可能」とすることも当業者が容易に推考し得たことである(現に、本願と同一の出願人による特開平6-86166号公報でも「スリット状の画像」の幅は任意に指定可能とされている。)。
(c)上記(a)(b)のことは、取りも直さず、引用発明の「索引画像生成手段」が有する機能に含まれる、垂直方向に細長い部分画像を抽出する態様を、「指定された任意の画素ライン数」で抽出するものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(相違点3)について
以下の事情を勘案すると、引用発明の「索引画像生成手段」を、さらに、「複数の静止画像からいずれかの静止画像を抽出し、この抽出した静止画像をも索引画像として利用する機能」を有するものとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(a)動画像の索引画像を生成する装置において、動画像全体のおおまかな流れを容易に把握できるように「複数の静止画像からいずれかの静止画像を抽出」した静止画像を索引画像とすることは、例えば特開平6-110943号公報(第4、16段落)や特開平6-253255号公報(第2、34段落)等に記載があるように周知である。
(b)引用発明も動画像の索引画像を生成する装置であり、そこにおいても上記(a)に示した周知の技術を用いて動画像全体のおおまかな流れを容易に把握できる機能を有するようにすることが有用な場合があることは、当業者に自明であるから、引用発明の「索引画像生成手段」に、さらに該周知の技術を用いる機能を持たせることは、当業者が容易に想到し得たことである。(なお引用発明により作成される索引画像と、上記(a)に示した周知の技術により作成される索引画像とは、お互いの長所がお互いの短所を補う、所謂相補的な関係を有しているから、「索引画像生成手段」に該周知の技術を用いる機能を持たせる場合には、両機能を併せて用いることでさらに適切な索引画像を生成できることは当業者に自明である。)
(c)上記(a)(b)のことは、取りも直さず、引用発明において、「索引画像生成手段」を、さらに、「複数の静止画像からいずれかの静止画像を抽出し、この抽出した静止画像をも索引画像として利用する機能」を有するものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。

(本願補正発明の効果について)
本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年10月27日付け手続補正書の請求項1を引用する請求項4に記載されたとおりのものである。
そして、その平成20年10月27日付け手続補正書の請求項1及び請求項1を引用する請求項4に記載された事項は、前記「第2」の「1.」の<本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、4>の欄に転記したもとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2」の「2.」の「2-2.」の項に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」の「2.」の項に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-06-02 
結審通知日 2011-06-07 
審決日 2011-06-20 
出願番号 特願2000-571368(P2000-571368)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅本 達雄  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 加内 慎也
長島 孝志
発明の名称 画像生成装置および方法  
代理人 藤島 洋一郎  

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